明 細 書
減速装置
技術分野
[0001] 本出願は、 2006年 1月 26日に出願された日本国特許出願第 2006— 017391号 に基づく優先権を主張する。その出願の全ての内容はこの明細書中に参照により援 用されている。
本発明は、産業用ロボットや工作機械で使用される減速装置に関する。特に、入力 軸に加えられるトルクを入力軸に略直交する方向に伸びて 、る中継軸に伝達して回 転方向を変換するユニットと、内歯歯車内で公転 (揺動)する外歯歯車を利用して減 速するユニットを有する減速機構に関する。 背景技術
[0002] 歯数が異なる内歯歯車と外歯歯車を用意し、内歯歯車内で外歯歯車を公転 (揺動 )させると、内歯歯車と外歯歯車に生じる自転回転数が相違してくると ヽぅ現象を利用 する減速機構が開発されており、特開昭 62— 218087号公報にその基本構成が開 示されている。このタイプの減速機構はクランク軸を利用する。クランク軸〖こは、クラン ク軸が自転すると偏心回転する偏心カムが固定されており、その偏心カムに外歯歯 車が係合している。クランク軸が自転すると偏心カムが偏心回転し、偏心カムに係合 して 、る外歯歯車が公転 (揺動)する。
このタイプの減速機構は、外歯歯車の自転を拘束すると内歯歯車が自転する。この 場合には内歯歯車がキャリアの周りに自転する。逆に、内歯歯車の自転を拘束すると 外歯歯車が自転する。この場合には外歯歯車が公転しながら自転する。外歯歯車の 公転中心の周りに自転可能であるとともに外歯歯車を自転可能に支える部材を利用 することによって、外歯歯車の公転中心の周りに自転する出力軸部が得られる。
[0003] 産業用ロボットや工作機械では、モータの回転軸と減速機構の出力軸が直交する 関係を得たいことが多い。このレイアウトを用いると、モータに減速機構を組み合わせ た機構の全長を短くするのに優位なことが多いからである。
そこでモータのトルクが作用する入力軸に対して中継軸を直交して配置し、入力軸
と中継軸を歯車で連結することによって回転方向を変換する機構と、減速機構を組 み合わせて用いることが多い。一対の傘歯車や、一対のハイポイド歯車同士を嚙み 合わせることによって、中継軸に直交して配置されている入力軸から中継軸にトルク を伝達することができる。
回転方向変換部分と減速部分が組み合わされている減速装置力 特開 2004— 2 93640号公報に開示されて 、る。
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0004] 回転方向変換部分と減速部分が組み合わされている減速装置を利用すると、モー タの回転軸と減速機構の出力軸が直交する関係を得ることができる。
このタイプの減速装置では、回転方向変換部分をユニットィ匕し、減速部分をユニット 化することができるはずであり、ユニットィ匕された回転方向変換ユニットと減速ユニット を組み合わせることによって減速装置を実現することが望ましい。減速装置を、回転 方向変換ユニットと減速ユニットに分離しておくと、各ユニットの製造工程が簡単化さ れるため、減速装置の製造工程が簡単ィ匕できるものと予想される。
[0005] し力しながら実際には難しい。回転方向変換ユニットでは、一対の歯車を嚙み合わ せることによって、回転方向を変換する。このときに、入力軸と中継軸が所定の軸方 向位置にないときは、歯車が円滑に回転しないか又は、騒音及びバックラッシュが大 きくなるため、入力軸と中継軸を所定の軸方向位置に固定することが重要である。ま た、減速ユニット側のクランク軸にトルク伝達するためのラジアル方向の荷重とスラスト 方向の荷重が、クランク軸と中継軸に付加されるため、クランク軸と中継軸を支持する ための構造が大型化するという問題も生じる。
減速装置を、回転方向変換ユニットと減速ユニットに分離すると、回転方向変換ュ ニット側の中継軸と減速ユニット側のクランク軸をトルク伝達可能に連結する必要があ る。このときに、減速ユニット側のクランク軸が回転方向変換ユニット側の中継軸に軸 方向の力を加え、予め所望の範囲に調整しておいた中継軸の予圧が所望の範囲か らずれてしまうことがある。あるいは、逆に、回転方向変換ユニット側の中継軸が減速 ユニット側のクランク軸に軸方向の力を加え、予め所望の範囲に調整しておいたクラ
ンク軸の予圧が所望の範囲からずれてしまうことがある。上記問題が生じるために、 減速装置を回転方向変換ユニットと減速ユニットに分離し、それぞれに完成しておい たユニットを組み合わせることによって減速装置を完成する構造力 Sいまだ実現されて いない。
課題を解決するための手段
[0006] 本発明の減速装置は、回転方向変換ユニットと減速ユニットに分離されており、両 者を組み合わせることによって減速装置が完成して 、る。
回転方向変換ユニットは、第 1平坦面を有する第 1台座と、第 1台座に自転可能に 支持されている入力軸と、入力軸に略直交する姿勢で第 1台座に自転可能に支持さ れている中継軸と、入力軸と一体に自転する第 1歯車と、第 1歯車に嚙み合っている とともに中継軸と一体に自転する第 2歯車を備えている。
減速ユニットは、第 1平坦面に面接触する第 2平坦面を有する第 2台座と、内歯歯 車と、その内歯歯車内に収容されている外歯歯車と、第 2台座に対して自転可能で 軸方向に変位不能に支持されているクランク軸を備えている。クランク軸は、外歯歯 車に係合して偏心回転することによって内歯歯車内で外歯歯車を公転させる偏心力 ムを有する。
本発明の減速装置では、第 1平坦面に第 2平坦面が面接触した状態で回転方向変 換ュニットと減速ユニットが固定されており、その位置関係において中継軸とクランク 軸がトルク伝達可能で軸方向に変位可能に結合されており、入力軸の自転に伴って 内歯歯車または外歯歯車の 、ずれか一方に生じる自転を出力部材に伝達する。
[0007] 回転方向変換ユニットは、第 1台座によって、入力軸から第 1歯車と第 2歯車を経て 中継軸に至るトルク伝達系が位置決めされており、ユニットとして完成させておくこと ができる。
減速ユニットは、第 2台座によって、内歯歯車と外歯歯車とクランク軸等によって構 成される減速機構が位置決めされており、ユニットとして完成させておくことができる。 回転方向変換ユニットの第 1台座には第 1平坦面が形成されており、減速ユニット の第 2台座には第 2平坦面が形成されており、両者を面接触させることによって、回 転方向変換ユニットと減速ユニットの位置関係を一定に保つことができる。
中継軸とクランク軸は、回転方向変換ユニットに減速ユニットを位置決めすると、中 継軸力 クランク軸にトルク伝達可能で軸方向に変位可能に結合される。 2つの軸を トルク伝達可能で軸方向に変位可能に結合する機構として、既知の種々の機構を採 用することができる。 2つの軸をトルク伝達可能で軸方向に変位可能に結合するため には、 2つの軸の間にそれほど高度な位置関係が必要とされない。回転方向変換ュ ニットに減速ユニットを位置決めすれば、中継軸とクランク軸をトルク伝達可能で軸方 向に変位可能に結合することができる。
中継軸とクランク軸が軸方向に変位可能に連結されることから、回転方向変換ュニ ットに減速ユニットを組みつけても、クランク軸が中継軸に軸方向の力をカ卩えることが ない。回転方向変換ユニットに減速ユニットを組みつけても、回転方向変換ユニット の完成過程で予め所望の範囲内に調整されている第 1歯車と第 2歯車間の嚙み合 い状態が変化してしまうことはない。同様に、減速ユニットに回転方向変換ユニットを 組みつけても、中継軸がクランク軸に軸方向の力をカ卩えることがない。減速ユニットに 回転方向変換ユニットを組みつけても、減速ユニットの完成過程で予め所望の範囲 内に調整されて 、るクランク軸の位置が変化してしまうことはな!/、。
本発明の減速機構は、予め、回転方向変換ユニットと減速ユニットに分けて完成し ておくことができ、両者を組み付けることによって完成する。各ユニットの完成過程で 調整しておいた位置ゃ予圧が、組みつけによつて変化してしまうことがなぐ組み付 け後に歯車間の嚙み合 、状態を調整する必要がな 、。
高性能な減速機構を簡単に製造することが可能となる。
中継軸力 クランク軸へトルク伝達可能にするとともに、中継軸をクランク軸の軸方 向に変位可能に結合するために、中継軸とクランク軸をスプライン結合することが好 ましい。
周知のように、スプライン結合は、 2つの軸同士をトルク伝達可能で軸方向に変位 可能に結合する簡単な結合方式であり、中継軸とクランク軸を同軸上に配置して、両 者を軸方向に接近させることによって両軸を簡単に結合することができる。クランク軸 が公転しないタイプの減速ユニットに対しては、スプライン結合を利用することが特に 好ましい。
[0009] 中継軸力 クランク軸へトルク伝達可能にするとともに、中継軸をクランク軸の軸方 向に変位可能に結合するために、中継軸とクランク軸を、両軸に平行な軸の周りに自 転する平歯車群によって結合するようにしてもよい。
中継軸とクランク軸に平行な軸の周りに自転する平歯車群を利用して中継軸とクラ ンク軸を結合すれば、中継軸とクランク軸が軸方向に変位しても、その変位が平歯車 の厚みの範囲内である限り、中継軸とクランク軸をトルク伝達可能に結合しておくこと ができる。クランク軸が公転しながら自転するタイプの減速ユニットに対しては、平歯 車群を利用することが特に好ましい。
[0010] 平歯車群を利用する場合、第 1平坦面と第 2平坦面を面接触させたときに回転方向 変換ユニットと減速ユニットの間に空間が形成され、その空間内に中継軸とクランク軸 を連結する平歯車群が収容される構造が好まし ヽ。
この場合、第 1台座と第 2台座によって、平歯車群を減速装置の外部から遮蔽する ことができる。
[0011] ユニットィ匕することによって生産工程を単純ィ匕する技術は、回転方向変換ユニットと 減速ユニットに分離するだけでなぐ入力軸に関する部分をユニット化することにも適 用できる。その技術では入力軸ユニットを利用する。
入力軸ユニットは、入力軸と、入力軸と一体に自転する第 1歯車と、入力軸ハウジン グと、入力軸と入力軸ハウジングの間にあって入力軸を入力軸ハウジングに対して自 転可能で軸方向に変位不能に支持する一対の軸受とが予め組み付けられたもので ある。この場合、第 1歯車は入力軸ハウジングの先端において入力軸ハウジングから 露出する位置関係にしておく。
この入力軸ユニットを用いると、第 1台座に孔を設けておき、その孔に入力軸ュ-ッ トを挿入して固定することによって、第 1台座に対して入力軸と第 1歯車を自転可能に 支持する構造が実現できる。
[0012] 同様に、生産工程を単純化する技術は、第 2歯車と中継軸に関する部分をユニット ィ匕することにも適用できる。中継軸ユニットは、中継軸と、中継軸と一体に自転する第 2歯車と、中継軸ハウジングと、中継軸と中継軸ハウジングの間にあって中継軸を中 継軸ハウジングに対して自転可能で軸方向に変位不能に支持する一対の軸受とが
予め組み付けられたものである。この場合、第 2歯車は中継軸ハウジングの先端にお いて中継軸ハウジング力 露出する位置関係にしておく。
この中継軸ユニットを用いると、第 1台座に第 2の孔を設けておき、その第 2の孔に 中継軸ユニットを挿入して固定することによって、第 1台座に対して中継軸と第 2歯車 を自転可能に支持する構造が実現できる。
入力軸と中継軸の双方をユニットィ匕しておくことが好ましい。この場合、第 1台座に 2 つの孔を設けておき、一方の穴に入力軸ユニットを挿入して固定し、他方の穴に中 継軸ユニットを挿入して固定することによって、第 1歯車と第 2歯車を嚙み合わせるこ とができる。一方の穴に入力軸ユニットを挿入して固定し、他方の穴に中継軸ユニット を挿入して固定することによって、回転方向変換ユニットを完成することができる。共 通の台座を利用して入力軸ユニットと中継軸ユニットを固定するために、両ユニットを 正確な位置関係に固定することができる。
入力軸ユニットと中継軸ユニットの台座に対する挿入深さを、後述するスぺーサ板 を利用して調整することによって、第 1歯車と第 2歯車の嚙み合い状態を調整すること ができる。挿入深さを調整することによって、第 1歯車と第 2歯車が円滑に回転する状 態に調整することができる。
第 1歯車と第 2歯車の嚙み合い状態を調整しても、入力軸と入力軸ハウジングの間 で軸方向及びラジアル方向への変位に対する剛性は影響を受けな 、。入力軸ュ- ットの挿入深さを調整しても、入力軸を支持して 、る軸受の予圧の状態は変化しな ヽ ため、入力軸と入力軸ハウジングの相対的な位置関係は変わらないからである。第 1 歯車と第 2歯車の嚙み合 、状態を調整しても、入力軸と入力軸ハウジングの位置関 係までも再調整する必要がな ヽ。
同様に、第 1歯車と第 2歯車の嚙み合い状態を調整しても、中継軸と中継軸ハウジ ングの間で軸方向及びラジアル方向への変位に対する剛性は影響を受けな 、。中 継軸ユニットの挿入深さを調整しても、中継軸を支持して 、る軸受の予圧の状態は 変化しな ヽため、中継軸と中継軸ハウジングの相対的な位置関係は変わらな 、から である。第 1歯車と第 2歯車の嚙み合い状態を調整しても、中継軸と中継軸ハウジン グの位置関係までも再調整する必要がな ヽ。
入力軸と中継軸の双方をユニットィ匕しておくことが好ましいが、双方をユ ットしなけ ればならないものではない。入力軸についてはユニットィ匕する一方、第 2歯車と中継 軸については台座に対して組みつけてもよい。逆に、中継軸についてはユニットィ匕す る一方、第 1歯車と入力軸については台座に対して組みつけてもよい。いずれか一 方をユニットィ匕するだけでも、回転方向変換ユニットの完成過程を簡単ィ匕することが できる。
[0014] 入力軸と中継軸の双方または一方をユニットィ匕する技術は、回転方向変換ユニット と減速ユニットにユニットィ匕する技術と組み合わせて用いることが好まし 、。しかしな がら、それは不可欠ではない。減速機構のための台座に対して、入力軸ユニットおよ び Z又は中継軸ユニットを固定することによって減速装置を完成する場合でも、入力 軸と中継軸をユニットィヒしておく利益が十分に得られる。入力軸と中継軸の双方また は一方をユニットィ匕する技術は、回転方向変換ユニットと減速ユニットにユニットィ匕す る技術とは独立して適用することができる。
発明の効果
[0015] 請求項 1の減速装置によると、回転方向変換ユニットと減速ユニットを別々に完成し ておくことができる。別々に完成しておいた回転方向変換ユニットに減速ユニットを組 みつけることによって、減速装置を完成することができる。回転方向変換ユニット内で 、第 1歯車と第 2歯車の嚙み合い状態を簡単に調整することができる。し力も、回転方 向変換ユニットに減速ユニットを組みつけることによって、回転方向変換ユニットの完 成過程で予め所望の範囲内に調整されている第 1歯車と第 2歯車間の嚙み合い状 態が変化してしまうことはない。同様に、減速ユニットに回転方向変換ユニットを組み つけることによって、減速ユニットの完成過程で予め所望の範囲内に調整されている クランク軸の位置が変化してしまうことはな 、。組み付け後に調整作業をする必要が なぐ高性能な減速装置を簡単に製造することが可能となる。
[0016] 請求項 2の減速装置によると、クランク軸に軸方向の力が力かることがなぐ減速ュ ニットの動作に影響を与えることを防止できる。
[0017] 請求項 3と 4の減速装置によると、簡単な構成で、中継軸とクランク軸をトルク伝達可 能で軸方向に変位可能に結合することができる。
[0018] 請求項 5と 6の減速装置によると、入力軸ユニットと中継軸ユニットを別々に完成し ておくことができる。別々に完成しておいた入力軸ユニットと中継軸ユニットを第 1台 座に組みつけることによって、回転方向変換ユニットを完成することができる。しかも、 入力軸ユニットと中継軸ユニットを嚙み合わせることによって、入力軸ユニットの完成 過程で予め所望の範囲内に調整されている入力軸の軸方向の位置や入力軸を支持 している軸受の予圧が変化することがない。同様に、中継軸の位置や入力軸を支持 して 、る軸受の予圧が変化してしまうことはな 、。組み付け後に調整作業をする必要 がなぐ高性能な回転方向変換ユニットを簡単に製造することが可能となる。また、第 1歯車や第 2歯車の直径が大きくても、それらの歯車に対応する大きさの軸受を使用 することなぐそれらの歯車を第 1台座に組み付けることができる。
図面の簡単な説明
[0019] [図 1]図 1は、第 1実施例の減速装置を示す。
[図 2]図 2は、第 1実施例の減速装置の製造過程を示す。
[図 3]図 3は、図 1の III III線に沿った断面図を示す。
[図 4]図 4は、第 2実施例の減速装置を示す。
[図 5]図 5は、図 4の V— V線に沿った断面図を示す。
[図 6]図 6は、第 3実施例の減速装置を示す。
[図 7]図 7は、第 4実施例の減速装置を示す。
[図 8]図 8は、第 5実施例の減速装置を示す。
発明を実施するための最良の形態
[0020] 本発明の主要な特徴を列記する。
(特徴 1)
外歯歯車は第 2台座に対して自転不能に拘束されて!、る。
(特徴 2)
内歯歯車の中心軸に沿って伸びる筒が内歯歯車に固定されており、その筒が外歯 歯車の中心近傍に設けられて 、る開口を通過して 、る。
(特徴 3)
特徴 2の形態を有する減速装置において、その筒内をケーブル類が通過している。
(特徴 4)
内歯歯車は第 2台座に対して固定されている。クランク軸は、内歯歯車の中心の周 りを公転しながら自転する。外歯歯車が偏心回転可能に支持されており、内歯歯車 の中心の周りに自転可能な出力軸を有する。
(特徴 5)
特徴 4の形態を有する減速装置において、出力軸の中心軸に沿って伸びる筒が出 力軸に固定されており、その筒内をケーブル類が通過している。
(特徴 6)
第 1台座は、第 1平坦面と、それに平行な第 3平坦面を備えている。その第 3平坦面 が不動面に固定されて用いられる。
(特徴 7)
回転する内歯歯車に固定された円盤が、外歯歯車の上方を覆っている。
(特徴 8)
出力軸に固定された円盤が、内歯歯車の上方に位置している。
(特徴 9)
第 1台座と第 2台座がロボットの基台であり、減速装置の出力軸にロボットのアーム が取り付けられている。
実施例
図面を参照して以下に実施例を詳細に説明する。
(第 1実施例)
図 1は、本実施例の減速装置 10の要部断面図を示している。減速装置 10は、回転 方向変換ュ-ット 17に減速ュ-ット 18を組み付けることによって構成されて 、る。回 転方向変換ユニット 17は、第 1台座 12に入力軸ユニット 14と中継軸ユニット 16を組 み付けることによって構成されている。
図 2は、組み付ける前の入力軸ユニット 14と中継軸ユニット 16と減速ユニット 18と第 1台座 12を示しており、第 1台座 12に対して入力軸ユニット 14と中継軸ユニット 16と 減速ユニット 18を組み付けることによって減速装置 10が完成する。通常は、第 1台座 12に対して入力軸ユニット 14と中継軸ユニット 16を組み付けることによって回転方向
変換ュ-ット 17を完成し、次 ヽで別に完成してぉ 、た減速ュ-ット 18に組み付けるこ とによって減速装置 10が完成する。
[0022] 図 2に示されているように、第 1台座 12は、入力軸ユニット 14を挿入するための第 1 孔 20と、中継軸ユニット 16を挿入するための第 2孔 22と、電源ケーブル等 (例えば、 電源テーブル、信号線、エアーチューブ、配管等)を減速装置 10内に引き込むため の穴 26と、電源ケーブル等を減速装置 10の外部に引き出すための穴 28を備えてい る。さらに第 1台座 12に減速ユニット 18を位置決めする第 1平坦面 30と、減速装置 1 0を固定面に固定する第 3平坦面 32を有している。
[0023] 入力軸ユニット 14は、入力軸 35と、入力軸 35と一体に自転する第 1歯車 (傘歯車) 34と、入力軸ハウジング 38と、入力軸 35と入力軸ハウジング 38の間にあって、入力 軸 35を入力軸ハウジング 38に対して自転可能で軸方向に変位不能に支持する一 対のアンギユラ軸受 36a, 36bを備えており、それらが予め組み付けられている。入力 軸ユニット 14では、第 1歯車 34が入力軸ハウジング 38の先端において入力軸ハウジ ング 38から露出する位置関係に組み付けられている。第 1歯車 34の直径は入力軸 ハウジング 38の直径よりも小さぐ第 1歯車 34は入力軸ハウジング 38を固定するため の第 1孔 20を通過することができる。入力軸ユニット 14を第 1歯車 34側力も第 1孔 20 に挿入し、ボルト 40を締め付けることによって、入力軸ユニット 14が第 1台座 12に固 定される。
[0024] 中 ϋ軸ユニット 16は、中 ϋ軸 66a, 66bと、中 ϋ軸 66a, 66bと一体に自転する第 2 歯車 (傘歯車) 44と、中継軸ハウジング 48と、中継軸 66aと中継軸ハウジング 48の間 にあって、中継軸 66aを中継軸ハウジング 48に対して自転可能で軸方向に変位不 能に支持する一対のアンギユラ軸受 46a, 46bを備えており、それらが予め組み付け られている。中継軸ユニット 16では、第 2歯車 44が中継軸ハウジング 48の先端にお いて中継軸ハウジング 48から露出する位置関係に組み付けられている。第 2歯車 44 の直径は中継軸ハウジング 48のボス部の直径 Dよりも小さぐ第 2歯車 44は中継軸 ハウジング 48を固定するための第 2孔 22を通過することができる。中継軸ユニット 16 を第 2歯車 44側から第 2孔 22に挿入し、ボルト 50を締め付けることによって、中継軸 ユニット 16が第 1台座 12に固定される。中継軸 66aと 66bは一体に固定されており、
中継軸 66bの内周に、スプライン結合のための軸方向に伸びる複数本の溝(内スプ ライン溝)が形成されている。
なお、第 1歯車 34及び第 2歯車 44の組み合わせは、傘歯車同士やハイポイド歯車 等、直交型の歯車の組み合わせが好ましい。
[0025] 第 1台座 12に、入力軸ユニット 14と中継軸ユニット 16を固定すると、第 1歯車 34と 第 2歯車 44が嚙み合う。入力軸 35と中継軸 66a, 66bは直交している。第 1歯車 34と 第 2歯車 44が嚙み合うことによって、入力軸の回転方向が変換される。
入力軸ユニット 14と中継軸ユニット 16は、共通の第 1台座 12に固定されるために、 両者の位置関係が正確に調整され、第 1歯車 34と第 2歯車 44はスぺーサ板 49a, 4 9bによって適宜な隙間を保って良好な嚙み合い状態に調整される。
第 1歯車 34と第 2歯車 44の嚙み合 、状態を適値に調整するために、必要であれば 入力軸ユニット 14と中継軸ユニット 16の第 1台座 12に対する挿入深さを調整可能に することができる。入力軸ユニット 14の挿入深さを調整しても、一対のアンギユラ軸受 36a, 36bが入力軸 35を入力軸ハウジング 38に対して軸方向に変位不能に拘束し ている拘束強さは変化しない。入力軸ユニット 14の挿入深さを調整しても、入力軸 3 5を支持している軸受 36a, 36bの予圧は変わらず、入力軸 35と入力軸ハウジング 3 8の位置関係は変わらないからである。同様に、中継軸ユニット 16の挿入深さを調整 しても、一対のアンギユラ軸受 46a, 46bが中継軸 66aを中継軸ハウジング 48に対し て軸方向に変位不能に拘束して 、る拘束強さは変化しな 、。中継軸ュ-ット 16の挿 入深さを調整しても、中継軸 66aを支持している軸受 46a, 46bの予圧は変わらず、 中継軸 66aと中継軸ハウジング 48の位置関係は変わらないからである。
[0026] 予め入力軸ユニット 14と中継軸ユニット 16を別に完成しておき、それらを共通の第 1台座 12に固定することによって、回転方向変換ユニット 17が完成する。第 1台座 12 に固定した後に、入力軸ユニット 14と中継軸ユニット 16を再調整する必要はない。
[0027] 減速ユニット 18は、第 2台座 58と、内歯歯車 52と、内歯歯車 52内に収容されてい る外歯歯車 54a, 54bと、第 2台座 58に対して自転可能で軸方向に変位不能に支持 されて 、るクランク軸 60aを備えて 、る。
第 2台座 58には、第 1台座 12の第 1平坦面 30に面接触する第 2平坦面 58aが形成
されている。内歯歯車 52は一対のアンギユラ軸受 56a, 56bによって第 2台座 58に 対して自転可能に支持されている。内歯歯車 52内に 2枚の外歯歯車 54a, 54bが収 容されている。 2枚の外歯歯車 54a, 54bは上下方向に重なり合つている。
[0028] 図 3は、図 1の III III線に沿った断面を示している。図 3に示すように、外歯歯車 54 aには、周方向に合計 12個の穴 55a〜551が形成されている。第 2台座 (キャリア) 58 には 9本の柱咅 58b〜58d、 58f〜58h、 58】〜581(図示の明瞭ィ匕のために588以 外の柱部の参照番号は図示を省略している)が形成されており、外歯歯車 54aの対 応する穴 55b〜55d、 55f〜55h、 55j〜551【こ挿人されて!/、る。
外歯歯車 54aは、内歯歯車 52よりも小径であり、外歯歯車 54aの歯数は内歯歯車 5 2の歯数よりも 1つ少ない。外歯歯車 54aは内歯歯車 52に内歯ピン 92を介して嚙み 合った状態で、矢印 57に示すように中心 59の周りに公転することができる。外歯歯 車 54aの穴 55b〜55d、 55f〜55h、 55ト 551と、第 2台座 58の柱部 58b〜58d、 58 f〜58h、 58j〜581の間には、外歯歯車 54aの公転 57を許容するだけの空間が確保 されている。外歯歯車 54aの自転が拘束された状態で外歯歯車 54aが公転 57すると 、内歯歯車 52の歯数よりも外歯歯車 54aの歯数が少ないので、内歯歯車 52が自転 する。本実施例の場合、外歯歯車 54aの歯数と内歯歯車 52の歯数の差が 1であり、 内歯歯車 52の歯数が 60個であるために、外歯歯車 54aが 1回公転すると内歯歯車 5 2が 1Z60回転する。
[0029] 図示 60aは、クランク軸であり、第 2台座 58に対して中心 60xの周りに自転可能に 支持されている。図示 61aは、クランク軸 60aに形成されている偏心カムであり、その 外形は円形であり、その円形の中心 6 lxはクランク軸 60aの自転中心 60xから偏心し ている。図 3の状態では、偏心カム 61の中心 61xはクランク軸 60aの自転中心 60xか ら左方に偏心している。偏心カム 61aは、ニードル軸受 90を介して外歯歯車 54aの 穴 55aに係合している。クランク軸 60aが自転中心 60xの周りに自転すると、偏心カム 61の中心 61xは、矢印 63に示すようにクランク軸 60aの自転中心 60xの周りに公転 する。偏心カム 61aの中心 61xが矢印 63に示すように公転すると、外歯歯車 54aは 矢印 57に示すように公転する。公転軌道 63と公転軌道 57は等 ヽ。
図示 60e、 60iは、クランク軸であり、第 2台座 58に対して自転可能に支持されてい
る。図示 61e, 61iは、クランク軸 60e、 60iに形成されている偏心カムであり、その外 形は円形であり、その円形の中心はクランク軸 60e、 60iの自転中心力 偏心してい る。図 3の状態では、偏心カム 61e、 61iの中心はクランク軸 60e、 60iの自転中心か ら左方に偏心している。偏心カム 61e、 61iは、ニードル軸受 90e、 90iを介して外歯 歯車 54aの穴 55e、 55iに係合している。クランク軸 60aが自転すると、偏心カム 61e、 61iの中心は、クランク軸 60e、 60iの自転中心の周りに公転し、外歯歯車 54aが矢印 57に示すように公転する。
外歯歯車 54の中央部分には孔 63が形成されている。
[0030] 上記の説明は、外歯歯車 54bに対しても共通である。ただし、偏心方向が反対であ る。図 3の状態において、外歯歯車 54bのための偏心カムの中心はクランク軸 60aの 自転中心 60xから図示右方に偏心している。外歯歯車 54aのための偏心カムの中心 と外歯歯車 54bのための偏心カムの中心は、 、つもクランク軸 60aの自転中心 60xを 挟んだ対称の位置にある。即ち、図 3において、外歯歯車 54aが左方向に偏心すれ ば外歯歯車 54bは右方向に偏心し、外歯歯車 54aが上方向に偏心すれば外歯歯車 54bは下方向に偏心し、外歯歯車 54aが右方向に偏心すれば外歯歯車 54bは左方 向に偏心し、外歯歯車 54aが下方向に偏心すれば外歯歯車 54bは上方向に偏心す る。即ち、外歯歯車 54aと外歯歯車 54bとクランク軸 60aの全体を観察すると、クラン ク軸 60aの自転中心に対して外歯歯車 54aと外歯歯車 54bが左右対称となっており 、回転バランスが確保される関係が実現されている。
[0031] 図 1に示すように、クランク軸 60aは一対の円すいころ軸受 65a, 65bによって、第 2 台座 58に対して自転可能で軸方向に移動不能に支持されて!、る。一対の円す!/、こ ろ軸受 65a, 65bには所定の予圧が付与されているため、クランク軸 60aは第 2台座 5 8に対して軸方向に移動不能となって 、る。
第 1平坦面 30に第 2平坦面 58aを面接触させて第 1台座 12に減速ユニット 18を位 置決めしたときに、クランク軸 60aと中継軸 66bは同軸上に位置する関係に設定され ている。前記したように、中継軸 66bの内面には軸方向に伸びる複数本の溝が形成 されている。それに対応するように、クランク軸 60aの外面には軸方向に伸びる複数 本の突条 (スプライン)が形成されている。中継軸 66bの内側にクランク軸 60aを挿入
すると、軸方向に伸びる溝と突条が嚙み合い、中継軸 66bとクランク軸 60aはスプライ ン結合される。即ち、中継軸 66bからクランク軸 60aにトルクが伝達される一方、中継 軸 66bとクランク軸 60aの間に軸方向の力が作用することはない。
減速ユニット 18と回転方向変換ユニット 17を組み付けることによって、一対の円す いころ軸受 65a, 65bによって第 2台座 58からクランク軸 60aに付与されている軸方 向の圧縮力(予圧)が変化することはない。同様に、減速ユニット 18と回転方向変換 ユニット 17を組み付けることによって、第 1歯車 34と第 2歯車 44の嚙み合い状態が変 ィ匕することもない。減速ユニット 18と回転方向変換ユニット 17のそれぞれを完成して おけば、両者を組み立てた後に予圧ゃ嚙み合 、状態を再調整する必要がな!、。
[0032] 前記したように、第 2台座 58に対して、内歯歯車 52は図 3の中心 59の周りに自転 する。その内歯歯車 52にボルト 64によってプレート 62が固定されており、そのプレー ト 62の中央部に筒 63が取り付けられている。電源ケーブル等を穴 26から筒 63の内 部を通過させることができる。
減速ユニット 18の第 2台座 58は、第 2平坦面 58aと第 1平坦面 30が面接触している 状態で、ボルト 51によって、回転方向変換ユニット 17の第 1台座 12に固定されてい る。減速ユニット 18と回転方向変換ユニット 17が固定されることによって減速装置 10 が完成している。
[0033] 本実施例の減速装置 10の製造方法を説明する。図 2は、減速装置 10を、第 1台座 12と、入力軸ユニット 14と、中継軸ユニット 16と、減速ユニット 18に分解した状態の 要部断面図を示している。第 1台座 12と、入力軸ユニット 14と、中継軸ユニット 16と、 減速ュ-ット 18を以下に示すように別々に形成する。
[0034] 第 1台座 12には、入力軸ユニット 14を挿入する第 1孔 20と、中継軸ユニット 16を揷 入する第 2孔 22と、電源ケーブルなどを回転方向変換ユニット 17に通す穴 26と、減 速装置 10の内外に電源ケーブルなどを通す穴 28と、減速ユニット 18を位置決めす る第 1平坦面 30と、減速装置 10を固定する第 3平坦部 32を準備しておく。
入力軸ユニット 14は、第 1台座 12に組み込む前に組み立てておく。中継軸ユニット 16も、第 1台座 12に組み込む前に組み立てておく。減速ユニット 18も、第 1台座 12 に組み込む前に組み立てておく。このときに、一対の軸受 65a, 65bに予圧を与える
ことによって、クランク軸 60aが第 2台座 58に対して軸方向に変位しな 、ようにする。 次いで、第 1台座 12の第 1孔 20に入力軸ユニット 14を挿入し、第 1台座 12の第 2 孔 22に中継軸ユニット 16を挿入する。第 1歯車 34と第 2歯車 44の嚙み合わせを調 節し、入力軸ユニット 14と中継軸ユニット 16を第 1台座 12に固定する。このときに、入 力軸ユニット 14の軸受 36a, 36bに与えておいた予圧や、中継軸ユニット 14の軸受 4 6a, 46bに与えておいた予圧を再調整する必要はない。この段階で、回転方向変換 ユニット 17が組み立てられる。次に、減速ユニット 18の第 2平坦面 58aを回転方向変 換ュニット 17の第 1平坦面 30に面接触させることによって両者の位置関係を所望の 位置関係にしてから、第 2台座 58と第 1台座 12をボルト 51によって固定する。このと きに、クランク軸 60aが中継軸 66bの内部に挿入され、両者がスプライン連結される。 上述の製造方法により減速装置 10を製造する。クランク軸 60aと中継軸 66bはスプラ イン連結され、クランク軸 60aと中継軸 66bの間で軸方向の力が作用しないので、減 速ユニット 18と回転方向変換ユニット 17を組み立てたあとに、減速ユニット 18のクラ ンク軸 60aに与えておいた予圧や、入力軸ユニット 14の入力軸 35に与えておいた予 圧や、中継軸ユニット 14の中継軸 66aに与えておいた予圧を再調整する必要はない 。第 1歯車 34と第 2歯車 44との嚙み合い調整は、スぺーサ板 49a, 49bの厚さを調整 するだけで実施できる。
[0035] 本実施例の減速装置 10の動作を説明する。この減速装置は、回転方向変換ュニ ット 17の第 1台座 12の第 3平坦面 32が、基板等の不動面に固定されて用いられる。 第 1台座 12に対してモータ 42が固定される。このときに、モータ 42の出力軸 42aと入 力軸 35がトルク伝達可能に結合される。また、プレート 62に図示しないワーク固定治 具が固定される。ワーク固定治具に固定されたワークは、図 3の中心 59の周りに自転 する。入力軸 35と入力軸ハウジング 38の間に、オイルシール 37が設置されている。 モータ 42の出力軸 42aは入力軸 35に挿入されているため、モータ 42を第 1台座 12 に取り付けている台 43から取り外しても、減速装置 10内の油が外部に流出すること を防止できる。
[0036] 図中の X, Yは座標軸を示している。モータ 42の出力軸 42aは、 X軸方向に伸びて おり、 X軸の周りに回転する。その結果、第 1歯車 34も X軸の周りに回転する。すると
、第 1歯車 34と嚙み合っている第 2歯車 44は Y軸の周りに回転する。第 1歯車 34と第 2歯車 44によって、回転方向が変換される。第 1歯車 34と第 2歯車 44の歯数は調整 することによって、回転方向を変換するのと同時に減速比を変更することもできる。 第 2歯車の回転速度 R2は次式で表される。
R2= -R1 X Z1/Z2 (1)
上記において、 R1はモータ 42及び第 1歯車 34の回転速度、 Z1は第 1歯車 34の歯 数、 Z2は第 2歯車 44の歯数を示している。
第 2歯車 44に伝達された回転は、中継軸 66bにスプライン結合しているクランク軸 6 Oaに伝達される。前記したように、クランク軸 60aが中心 60xの周りに自転すると、偏 心カム 61a, 61bは、中心 60xの周り〖こ公転する。その結果、外歯歯車 54a、 54bは 矢印 57に示すように公転する。即ち、外歯歯車 54a, 54bは内歯歯車 52に嚙み合つ た状態で内歯歯車 52の内側で揺動する。外歯歯車 54a, 54bの自転は拘束されて いる。自転が拘束されている外歯歯車 54a, 54bが、内歯歯車 52に嚙み合った状態 で揺動すると、外歯歯車 54a, 54bと内歯歯車 52の歯数が相違するために、内歯歯 車 52が自転する。外歯歯車 54aと 54bは、公転中心 59を挟んだ対称位置を維持す る関係で公転し、クランク軸 60aと外歯歯車 54aと 54bの全体は、回転バランスが確 保された状態で円滑に回転する。クランク軸 60e、 60iの自転に伴って、外歯歯車 54 aと 54bが公転する。
内歯歯車 52の回転速度 Rは次式で表される。
R= (R3 X (Z4-Z3) /Z4 (2)
上記において、 R3はクランク軸 60の回転速度、 Z4は内歯歯車 52の歯数、 Z3は外 歯歯車 54の歯数を示して!/ヽる。
また、第 2歯車 44とクランク軸 60は同速度で自転するために、次式が成立する。
R2=R3 (3)
上式 (1)、(2)、(3)より
R= - (R1 X Z1 X (Z4-Z3) / (Z2 X Z4) ) (4)
本実施例の減速装置 10は、モータ 42の回転速度 R1を (4)式で表される回転速度 Rに変換することができる。
[0038] (第 2実施例)
図 4に、第 2実施例の減速装置 110の要部断面図を示している。図 5に図 4の V— V 線断面図を示す。ここでは第 1実施例と相違する部分のみを説明する。第 1実施例と 同様な部材には同じ参照番号又は下 2桁に同じ参照番号を付することによって、重 複説明を省略する。
第 1実施例では、図 3に示したクランク軸 60e, 60iが、外歯歯車 54a, 54bの揺動( 公転)に伴って自転させられる。クランク軸 60e, 60iは、外歯歯車 54a, 54bの揺動( 公転)を妨げな、、と 、う受動的なものであった。
第 2実施例では、中継軸 166bによってクランク軸 160e, 160iをも自転させ、外歯 歯車 154a, 154b〖こ外歯歯車 154a, 154bを揺動(公転)させる駆動力を伝達する。 第 2実施例では、中継軸 166bの回転をクランク軸 160e, 160iに伝えるための歯車 群 168a, 168e, 168i、 170力付カロされて! /、る。歯車 168eと歯車 168iは図示されて いない。
[0039] 平歯車 168aは、クランク軸 160aに固定されており、クランク軸 160aの自転と一体 となって自転する。平歯車 170は、軸受 171を介して第 2台座 158に対して、内歯歯 車 152の中心と同じ中心の周りに自転可能に支持されている。クランク軸 160eには 歯車 168eが固定されており、クランク軸 160iには歯車 168iが固定されている。歯車 168eと歯車 168iは、平歯車 170に嚙み合っている。このために、中継軸 166b力 S回 転すると、平歯車 170が回転し、クランク軸 160a, 160e, 160iが自転する。
このために、全咅のクランク軸 160a, 160e, 160i力 S自ら自転し、外歯歯車 154a, 154bを揺動 (公転)させる。
減速ュ-ット 118と回転方向変換ュ-ット 117を組み立てたあとに、減速ュ-ット 11 8のクランク軸 160a, 160e, 160iに与えておいた予圧を再調整する必要はない。
[0040] (第 3実施例)
第 3実施例の減速装置 410の要部断面図を図 6に示している。減速装置 410は、 第 1実施例の減速装置 10の変形例である。減速装置 410では、入力軸 435と第 1歯 車 434がユニットィ匕されていない。入力軸 435と第 1歯車 434は、一対のアンギユラ軸 受 36a, 36bを介して第 1台座 412に直接的に固定されている。入力軸 434の外径
力 入力軸 435の外径よりも小さい場合、入力軸 435と第 1歯車 434を、一対のアン ギユラ軸受 36a, 36bを介して第 1台座 412に直接的に固定することによって、入力 ハウジングを省略することができる。
すべてをユニットィ匕する必要はなぐ減速機構をユニットィ匕して第 1台座に組み付け る構造を備えて 、る限り、一部の回転体を第 1台座 412に直接的に組み付けるように しても、良質な製品を簡単に製造することができる。
[0041] (第 4実施例)
図 7に、ワーク支持装置 510を示している。ワーク支持装置 510は、第 1実施例の減 速装置 10のプレート 62に、ワーク (被カ卩ェ物)を固定する治具 80を備えるものである 電源ケーブル等 82が、減速装置 10の下部から減速装置 10の上部へ通過している 。電源ケーブル等 82は、第 1台座 12の孔 26と、第 1台座 12の孔 28と、減速ユニット 18の筒 63の内部を通っている。本実施例は、減速装置 10を、ポジショナ回転装置( ワーク支持装置)として適用したものである。
[0042] (第 5実施例)
第 1実施例と第 2実施例では、外歯歯車 54a, 54b又は外歯歯車 154a, 154bの自 転が拘束されており、内歯歯車 52又は内歯歯車 152内で外歯歯車 54a, 54b又は 外歯歯車 154a, 154bが公転すると、内歯歯車 52又は内歯歯車 152が自転する現 象を利用して減速した。第 5実施例では、内歯歯車の自転を拘束しておく。自転が拘 束された内歯歯車内で外歯歯車が公転すると、外歯歯車が自転する現象が得られる 。第 5実施例では、その現象を利用して減速する。第 5実施例では、公転しながら自 転する外歯歯車の動きから、固定点の周りに自転する動きを得るために、キャリアを 利用する。第 5実施例では、キャリアが出力軸となる。なお、本実施例では、内歯歯 車 252が第 2台座となる。
[0043] 図 8は、第 5実施例の減速ユニット 210の要部断面図を示している。ここでは第 1実 施例と相違する部分のみを説明する。第 1実施例と同様な部材には同じ参照番号又 は下 2桁に同じ参照番号を付することによって、重複説明を省略する。
第 1台座 212に対して、内歯歯車 252が固定されており、内歯歯車 252の自転が拘
束されている。代わりに、第 1台座 212と内歯歯車 252に対して、キャリア 259が軸受 256a, 256b【こよって自転可會 【こ支持されて!ヽる。キャリア 259ίま、筒 263を固定し ており、内歯歯車 252の中心軸 CLの周りに自転可能となっている。
キャリア 259に 3本のクランク軸 260が自転可能に支持されている。 3本のクランク軸 260は、周方向に 120度離れた位置に存在しており、図 8では 1本しか図示されてい ない。
クランク軸 260自体は第 2実施例のものと同じであり、外歯歯車 254a、 254bとの関 係も第 2実施例の場合と同じである。
[0044] 各々のクランク軸 260の下端部には、平歯車 268が固定されている。平歯車 268は 歯車 270の上側の小径の歯部に嚙み合っている。筒 263の外周に、筒 263とは分離 されており、筒 263と軸 CLの周りに自転する歯車 270が配置されている。歯車 270 は、一対の軸受 299a, 299bによって、第 1台座 212とキャリア 259の間に自転可會 に支持されている。歯車 270の下側には歯車 274が固定されており、中継軸 266に 固定されて 、る第 3歯車 272に嚙み合って!/、る。
モータ 42が回転すると、入力軸 235と第 1歯車 234が自転し、第 2歯車 244と中継 軸 266と第 3歯車 272力 S自転し、歯車 270が自転し、 3枚の平歯車 268の各々が自 転し、 3本のクランク軸 260の各々が自転し、外歯歯車 254a, 254b力公転し、その 結果外歯車 254a, 254b力 S自転し、 3本のクランク軸 260の各々が公転し、キャリア 2 59が軸 CLの周りに自転する。
[0045] この減速装置 210は、第 1台座 212に、入力軸 235、第 1歯車 234、第 2歯車 244、 中継軸 266、第 3歯車 272が位置決めされており、それらによって回転方向変換ュ- ット 217が構成されている。また、内歯歯車 252と一体の第 2台座 258に、歯車 270、 3枚の平歯車 268、 3本のクランク軸 260、キャリア 259、外歯歯車 254a、 254b等力 S 位置決めされており、それらによって減速ユニット 218が構成されている。回転方向 変換ユニット 217と減速ユニット 218は、ボルト 251等によって固定されている。
[0046] 減速装置 210の動作を説明する。第 2歯車 244に伝達された回転は、第 2歯車に 連結している第 3歯車 272に伝達される。第 3歯車 272に伝えられた回転は、歯車 27 4によって歯車 270に伝達される。歯車 270に伝達された回転は、 3枚の歯車 268に
よって 3本のクランク軸 260に伝達される。クランク軸 260の回転は外歯歯車 254a, 2 54bに伝達され、外歯歯車 254a, 254bを揺動(公転)させる。内歯歯車 252がボル ト 251によって第 1台座 212に固定されているため、内歯歯車 252は回転しない。よ つてクランク軸 260から外歯歯車 254a, 254bに伝達された揺動運動は、キャリア 25 9を軸 CLの周りに回転させる。
[0047] 減速装置 210の製造方法を説明する。
第 1台座 212と、入力軸ユニット 214と、中継軸ユニット 216と、減速ユニット 218を 別々に形成する。それぞれの製造方法は、第 1実施例と実質的に同様のため省略す る。次いで、第 1台座 212の第 1孔 220に入力軸ユニット 214を挿入し、第 1台座 212 の第 2孔 222に中継軸ユニット 216を挿入する。第 1歯車 234と第 2歯車 244の嚙み 合わせを調節して、入力軸ユニット 214と中継軸ユニット 216のそれぞれを、第 1台座 212に固定する。
次いで、減速ユニット 218を第 1台座 212に挿入する。すると、大歯車 274が第 3歯 車 272に嚙み合う。その状態で、減速ユニット 218を第 1台座 212に固定する。
[0048] 中継軸 266とクランク軸 260を連結する歯車 270,歯車 274は、回転方向変換ュ- ットと減速ユニットの間に確保される空間に収容される。中継軸 266とクランク軸 260 は、平歯車群 270, 274、 268によって連結される。平歯車群 270, 274、 268の軸 方向の位置関係には高い精度が要求されない。また、平歯車群 270, 274、 268は 、中継軸 266とクランク軸 260の間で軸方向の力を作用させない。
[0049] 以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の 範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した 具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
上記第 4実施例では、第 1実施例の減速装置の第 1歯車がユニット化されていない 。し力しながら、第 2歯車がユニットィ匕されてなくてもよいし、第 1歯車と第 2歯車の両 方ともユニット化されていなくてもよい。また、第 2実施例の減速装置においても第 1 歯車及び Z又は第 2歯車がユニット化されていなくてもよい。また、第 3実施例の減速 装置においても第 1歯車及び Z又は第 2歯車がユニット化されていなくてもよい。 上記第 5実施例では、第 1実施例の減速装置の上に治具を固定しているが、第 2実
施例又は第 3実施例又は第 4実施例の減速装置の上に治具を固定してもよい。 例えば、上記実施例では出力軸の上にワークを保持する治具を固定しているが、 治具が備えられて 、る回転盤を出力軸の上に固定してもよ 、。
また、減速装置の支持部材を覆うように、内歯歯車又は外歯歯車の上に平坦なプ レートを固定してもよい。さらに、その平坦なプレートの上にワークを保持する治具又 は、治具が備えられている回転盤を固定してもよい。
上記実施例では、減速装置をロボット旋回装置に利用することができる。その場合 は、第 1台座をロボットの基台として、減速装置の出力軸にロボット旋回アームを取り 付ける。ロボット旋回アームを回転させることが可能となり、ロボットアームの回転速度 を任意に調整することができる。
また、上記実施例で説明した減速装置を、ポジショナの回転装置として利用するこ とができる。この場合、第 1台座を床面への据付台として利用することができる。 また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せ によって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定さ れるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数の目的を同時 に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性 を持つものである。