JP2002242347A - Ａｌｃパネルの取付金具及びａｌｃパネルの取付構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【課題】 製作が容易で、ＡＬＣパネルの取付けが容易
且つ安全にでき、更に上下パネル間の目地部にすき間が
生じ難いＡＬＣパネル取付け金具を提供する。 【解決手段】 躯体に固定される基部Ａ１１と、この基
部からパネル方向に向けて延設され、隣接するパネルの
小口面間に介在される腕部Ａ１２と、この腕部から隣接
する一方のパネルの小口面方向に向けて延設され、前記
隣接する一方のパネルの小口面に打ち込まれる爪部Ａ１
３とを有する取付金具Ａ１０と、前記隣接するパネルの
躯体側板面に当接される基部Ｂ１１と、この基部からパ
ネル方向に向けて延設され、前記隣接するパネルの小口
面間に介在される腕部Ｂ１２と、この腕部から隣接する
他方のパネルの小口面方向に向けて延設され、前記隣接
する他方のパネルの小口面に打ち込まれる爪部Ｂ１３と
を有する取付金具Ｂ１０とからなるＡＬＣパネルの取付
け金具。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、ベランダ、バルコ
ニー、パラペット、廊下、階段などの立ち上がり壁や、
窓用開口付き外壁などの木造又は軽量鉄骨構造の建築物
の壁用途に使用されるＡＬＣパネル（軽量気泡コンクリ
ート壁パネル）の取付金具、及びこの取付金具を好適に
用いたＡＬＣパネルの取付構造に関するものである。更
に詳しくは、本発明は、目地部となるＡＬＣパネルの小
口面に溝がなくても取付けが可能であり、且つその製作
が容易なＡＬＣパネルの取付金具である。また、本発明
は、取付けるＡＬＣパネルの位置調整が容易であると共
に安全にＡＬＣパネルの取付けを行うことができ、更に
は隣接するＡＬＣパネル間の目地部にすき間が生じ難い
ＡＬＣパネルの取付金具、及びこの取付金具を好適に用
いたＡＬＣパネルの取付構造に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】ＡＬＣパネルは、コンクリートに比べて
多孔質であるため、軽量性及び断熱性に優れており、こ
れらの特性を生かして建築材料、例えば建物の内外壁用
パネルとして広く使用されている。

【０００３】そして、このＡＬＣパネルを建物壁とし
て、柱や間柱などの躯体に取付けるために使用される取
付金具も、従来から種々の構造のものが提案されてい
る。例えば、特開２０００−３４７９５号公報には、建
築物の躯体に固定するための孔付き基部と、この基部に
一体に形成され、ＡＬＣパネルの小口面に沿って延びる
腕部と、この腕部に一体に形成され、小口面に形成され
た目地溝内に係合する係合部とを有する取付金具が提案
されている。

【０００４】すなわち、この特開２０００−３４７９５
号公報に記載の取付金具は、ＡＬＣパネルの小口面に形
成された目地溝部を利用し、この目地溝部を、躯体に固
定された上記取付金具の基部と係合部との間で挟持する
ことにより、ＡＬＣパネルを躯体に取付固定するもので
ある。そして、この取付金具を用いることによって、Ａ
ＬＣパネルの壁表面にねじ止め又は釘止め部の補修跡が
残らないようにする点に特徴を置くものである。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
た特開２０００−３４７９５号公報に記載された取付金
具は、その係合部を、ＡＬＣパネルの小口面に形成され
た目地溝内に係合する構造のものであるため、小口面に
目地溝が設けられたＡＬＣパネルにしか使用することが
できない。そして、この取付金具を用いたＡＬＣパネル
には目地溝が存在するために、施工後にこの目地溝にシ
ーリング材（充填材）を塗布又は充填することにより、
外観の維持及び防火・耐火性能の確保を図ることが必須
となり、工程的及び経済的な効率に劣るという課題が生
じていた。

【０００６】また、上記特開２０００−３４７９５号公
報に記載の取付金具は、ＡＬＣパネルの小口面に形成さ
れた目地溝部を、躯体に固定された取付金具の基部と係
合部との間で挟持するものである。そのため、この取付
金具を用いてガタ付きなくパネルを取付けるためには、
取付金具の基部と係合部との間に高い寸法精度が要求さ
れ、その製作が困難なものとなる。また、パネルの目地
溝部をこの取付金具の基部と係合部との間に挟持させた
後は、パネルを移動させることは困難となる。そのた
め、例えばこの取付金具を用いてＡＬＣパネルを横壁取
付構造において上下パネルの縦目地部を揃えるために
は、パネルの目地溝部をこの取付金具の基部と係合部と
の間に挟持させる作業自体を慎重に位置合わせしながら
行う必要があり、取付け作業性が非常に悪いと言う課題
があった。

【０００７】また、ＡＬＣパネルの小口面に形成された
目地溝部の寸法精度が良くない場合、及び目地溝部に欠
け等が生じている場合を考慮し、上記特開２０００−３
４７９５号公報には、上記係合部に基部側に突出したリ
ブを形成すること、或いは上記腕部が基部に対して弾性
的に押圧可能であるように構成することも開示されてい
る。しかし、このような構成の取付金具とすることは、
その形状が複雑となり、やはり製作が困難なものとな
る。

【０００８】更に、上記特開２０００−３４７９５号公
報には、パネルの取付強度を向上させるために、上記係
合部の先端に目地溝内に打ち込まれる尖頭部を設けるこ
とが記載されている。しかし、目地溝深さが浅い場合に
は、この尖頭部が打ち込まれる位置はパネル板面に接近
した位置となり、パネル板面に欠け或いは亀裂が生じ、
壁表面の外観を損ねる憂いがある。また、このような尖
頭部を係合部の先端に設けたものにあっては、パネルの
目地溝部を取付金具の基部と係合部との間に挟持させる
際にこの尖頭部がパネルの目地溝内に食い込み、更にパ
ネルを移動させることが困難となる。そのため、パネル
の目地溝部をこの取付金具の基部と係合部との間に挟持
させる際の作業により慎重さを要求され、取付け作業性
は悪化する。

【０００９】本発明は、上述した従来技術が有する課題
に鑑み成されたものであって、その目的は、目地部とな
るＡＬＣパネルの小口面に溝がなくても取付けが可能で
あり、且つその製作が容易であり、しかも取付けるＡＬ
Ｃパネルの位置調整が容易であると共に安全にＡＬＣパ
ネルの取付けを行うことができ、更には隣接するパネル
間の目地部にすき間が生じ難いＡＬＣパネルの取付金
具、及びこの取付金具を好適に用いたＡＬＣパネルの取
付構造を提供することにある。

【００１０】

【課題を解決するための手段】本発明は、上記した目的
を達成するため、躯体に上下方向及び／又は左右方向に
連設されるＡＬＣパネルを、それらの各パネルの小口面
で躯体に取付固定するために使用されるＡＬＣパネルの
取付金具であって、前記躯体に直接的或いは間接的に固
定される基部と、この基部からパネル方向に向けて延設
され、前記隣接するパネルの小口面間に介在される腕部
と、この腕部から隣接する一方のパネルの小口面方向に
向けて延設され、前記隣接する一方のパネルの小口面に
打ち込まれる爪部とを有する取付金具Ａと、前記隣接す
るパネルの躯体側板面に当接される基部と、この基部か
らパネル方向に向けて延設され、前記隣接するパネルの
小口面間に介在される腕部と、この腕部から隣接する他
方のパネルの小口面方向に向けて延設され、前記隣接す
る他方のパネルの小口面に打ち込まれる爪部とを有する
取付金具Ｂとからなり、これらの取付金具Ａ及び取付金
具Ｂは、板状の材料によりそれぞれが一体に構成されて
いるＡＬＣパネルの取付金具とした。

【００１１】また、本発明は、上記本発明のＡＬＣパネ
ルの取付金具を使用して、躯体に上下方向及び／又は左
右方向に連設されるＡＬＣパネルを、それらの各パネル
の小口面で躯体に取付固定する構造であって、隣接する
一方のパネルの小口面の適所に取付金具Ａの爪部が食い
込んでいると共に、この取付金具Ａの基部が直接的或い
は間接的に躯体に固定されており、更に、この隣接する
一方のパネルの躯体側板面に少なくとも基部が当接して
いる取付金具Ｂの爪部が隣接する他方のパネルの小口面
の適所に食い込んでいるＡＬＣパネルの取付構造とし
た。

【００１２】ここで、上記本発明のＡＬＣパネルの取付
金具、或いは取付構造においては、前記取付金具Ａ及び
／又は取付金具Ｂの爪部が、パネルの躯体側板面から板
厚方向３０〜８０％の位置、更には５０〜７０％の位置
の小口面に打ち込まれるように構成することが好まし
い。これは、この範囲を逸脱する位置の小口面に爪部を
打ち込むこととすると、その打ち込み時にパネルに欠
け、或いは亀裂が生じ易く、取付け耐力不足、及び壁表
面の外観を損ねる憂いがあるためである。

【００１３】また、上記本発明においては、前記取付金
具Ａの基部の板面、或いは前記基部から更に躯体方向に
向けて延設された板状の固定部の板面に、釘又はビスに
より躯体へ取付固定するための取付穴を形成し、この取
付穴を介して基部を直接的或いは間接的に躯体に取付固
定することが好ましい。これは、このような取付穴が形
成されていれば、躯体への取付金具Ａの取付固定が容易
となる。また、特に基部から更に躯体方向に向けて板状
の固定部を延設したものにあっては、躯体側から取付金
具Ａの取付け作業を行うことが可能となり、例えば隣接
する構造物との間が狭く、作業者が構造物の間に入り込
めないような場所でも取付け作業が可能となる。

【００１４】更に、上記本発明においては、前記取付金
具Ａ及び／又は取付金具Ｂの腕部の板面が、基部からパ
ネルの小口面と平行になるように延設され、隣接するパ
ネルの小口面間に水平に介在されるように構成すること
が好ましい。これは、このような構造の腕部とすれば、
この腕部からパネルの小口面方向に向けて延設された上
記爪部を、この腕部を利用して容易にパネルの小口面に
打ち込むことができる。

【００１５】また、本発明においては、前記取付金具Ａ
及び／又は取付金具Ｂの腕部の板面が、基部からパネル
の小口面と垂直になるように延設され、隣接するパネル
の小口面に食い込む状態で小口面間に介在されるように
構成することも好ましい。これは、このように腕部自体
もパネルの小口面に食い込ませるものとすれば、パネル
の取付強度を更に高めることができると共に、取付ける
パネル間のすき間を最小限にすることができ、充填材の
使用を省略又は少量とすることが可能となる。

【００１６】更にまた、上記本発明においては、前記取
付金具Ａ及び／又は取付金具Ｂの爪部の板面が、パネル
の板面と平行になるように延設され、パネルの小口面に
打ち込まれるように構成することが好ましい。これは、
このような爪部とすれば、取付けたパネル板面に作用す
る風圧などの正負方向（前後方向）の力に対しての取付
強度が高いものとなり、例えばパネルが外壁などの構造
に使用される場合の取付けに好適に用いることができ
る。

【００１７】また、上記本発明においては、前記取付金
具Ａ及び／又は取付金具Ｂの爪部の板面が、腕部からパ
ネルの板面と垂直になるように延設され、パネルの小口
面に打ち込まれるように構成しても良い。この場合に
は、取付金具の形状が更に単純なものとなり、その製作
が容易なものとなる。

【００１８】

【発明の実施の形態】以下に、図面を参照しつつ、本発
明のＡＬＣパネルの取付金具及び取付構造について詳述
するが、本発明は、何ら下記の実施の形態に限定される
ものではなく、本発明の技術的思想の範囲内において、
種々の変形及び変更が可能である。

【００１９】図１は、本発明のＡＬＣパネルの取付金具
の第１実施例を示す斜視図、図２は、同じく第２実施例
を示す斜視図、図３は、更に本発明のＡＬＣパネルの取
付金具の第３実施例を示す斜視図である。

【００２０】図１に示した第１実施例において、本発明
の取付金具１０は、取付金具Ａ１０と取付金具Ｂ１０と
から構成されている。

【００２１】そして、上記した取付金具Ａ１０は、躯体
に固定される基部Ａ１１と、この基部Ａ１１から板面が
取付けるＡＬＣパネルの小口面と平行になるように折り
曲げられ、隣接させて取付けるＡＬＣパネルの小口面間
に水平に介在される腕部Ａ１２とを有している。さら
に、この腕部Ａ１２から板面が取付けるＡＬＣパネルの
板面と平行で、且つ隣接させて取付ける一方のＡＬＣパ
ネルの小口面方向に向くように折り曲げられ、隣接させ
て取付ける一方のＡＬＣパネルの小口面に打ち込まれる
爪部Ａ１３を有している。そして、これらの各部は、１
枚の板状材料、本実施例ではステンレス板を切削折り曲
げ加工することにより一体に構成されている。

【００２２】なお、この第１実施例の取付金具Ａ１０に
は、基部Ａ１１の板面の適所に、釘又はビスにより躯体
へ取付固定するための取付穴Ａ１４が設けられている。
また、図面に二点鎖線で示したように、更に基部Ａ１１
から躯体方向へ折り曲げられ、躯体の側壁に板面が当接
される固定部Ａ１５を形成し、この固定部Ａ１５の板面
の適所に、釘又はビスにより躯体へ取付固定するための
取付穴Ａ１６を設けても良い。この場合には、躯体のコ
ーナー部分にこの取付金具Ａ１０を取付固定することが
可能となり、例えば隣接する構造物との間が狭く、作業
者が構造物の間に入り込めないような場所でも躯体側か
らの取付け作業が可能となる。

【００２３】一方、上記した取付金具Ｂ１０は、隣接さ
せて取付けるパネルの躯体側板面に当接される基部Ｂ１
１と、この基部Ｂ１１から板面が取付けるＡＬＣパネル
の小口面と平行になるように折り曲げられ、隣接させて
取付けるＡＬＣパネルの小口面間に水平に介在される腕
部Ｂ１２とを有している。さらに、この腕部Ｂ１２から
板面が取付けるＡＬＣパネルの板面と平行で、且つ隣接
させて取付ける他方のＡＬＣパネルの小口面方向に向く
ように折り曲げられ、隣接させて取付ける他方のＡＬＣ
パネルの小口面に打ち込まれる爪部Ｂ１３を有してい
る。そして、これらの各部は、上記取付金具Ａ１０と同
様に１枚の板状材料、本実施例ではステンレス板を切削
折り曲げ加工することにより一体に構成されている。

【００２４】なお、この取付金具Ｂ１０は、上記した取
付金具Ａ１０とは異なり、必ずしも躯体に固定する必要
はないが、所望に応じて躯体に固定することができる。
この場合には、上記した取付金具Ａ１０の場合と同様
に、基部Ｂ１１の板面の適所、或いは基部Ｂ１１から躯
体方向へ折り曲げられた固定部の板面の適所に、取付穴
を設けたものとしても良い。

【００２５】次に、この第１実施例の取付金具１０を使
用して、ＡＬＣパネルを横壁取付構造で躯体に取付固定
する方法について、図４及び図５に従って説明する。

【００２６】図４に示したように、上下方向に積み重ね
られたＡＬＣパネルＰ_１〜Ｐ_３を、それらの各パネルＰ
_１〜Ｐ_３の上・下部の小口面で垂直方向に配置された躯
体Ｋ_１、Ｋ_２に取付固定する。この場合には、まず下方
パネルＰ_１の上部小口面の適所、具体的には躯体Ｋ_１及
びＫ_２に隣接する箇所に、各々取付金具Ａ１０の基部Ａ
１１が躯体Ｋ_１及びＫ_２側となる状態で、その腕部Ａ１
２を載置する。そして、これらの取付金具Ａ１０の爪部
Ａ１３を、打ち付けなどの手段により下方パネルＰ_１の
上部小口面に食い込ませる。

【００２７】この場合、図５に示したように、取付金具
Ａ１０の腕部Ａ１２の厚み分をも下方パネルＰ_１の上部
小口面に食い込ませることによって、上下パネル間の目
地部のすき間を最小限にすることができ、充填材の使用
を省略又は少量とすることが可能となる。また、取付金
具Ａ１０の爪部Ａ１３を食い込ませる位置（図５中、ａ
の位置）は、パネルの躯体側板面から板厚方向３０〜８
０％の位置、更には５０〜７０％の位置の小口面とする
ことが、爪部Ａ１３の打ち込み時などにパネルに欠け、
或いは亀裂が生じ難く、取付強度を維持できるために好
ましい。

【００２８】次に、各取付金具Ａ１０の基部Ａ１１、或
いは基部Ａ１１から延設された固定部Ａ１５に形成され
た取付穴Ａ１４或いはＡ１６を介して、躯体Ｋ_１、Ｋ_２
に釘Ｔなどにより各取付金具Ａ１０を固定する。

【００２９】続いて、上記下方パネルＰ_１の上方に建て
込むパネル（上方パネル）の下部小口面の適所に、取付
金具Ｂ１０の基部Ｂ１１が躯体Ｋ_１及びＫ_２側となる状
態で、その腕部Ｂ１２及び爪部Ｂ１３を、上記取付金具
Ａ１０の場合と同様に打ち付けなどの手段によりに食い
込ませる。

【００３０】なお、この作業は、現場において行っても
良いが、上記取付金具Ｂ１０のパネルへの取付け位置
は、取付金具Ａ１０のように躯体（柱）の位置に制約さ
せることはなく、任意の位置に取付けることが可能であ
る。そのため、施工現場とは別の場所、例えばＡＬＣパ
ネルの製造工場でこの取付金具Ｂ１０を予めパネルの下
部小口面の適所に取付けておくこととしても良い。

【００３１】次に、図５に示したように、取付金具Ｂ１
０が取付けられた上方パネルＰ_２の下部小口面と前記下
方パネルＰ_１の上部小口面とを平行に突き合わせると共
に、取付金具Ｂ１０の基部Ｂ１１を前記下方パネルＰ_１
の躯体側板面に当接させ、上方パネルＰ_２を下方パネル
Ｐ_１の上方に建て込む。そして、上方パネルＰ_２を左右
方向にスライドさせることにより縦目地部を下方パネル
Ｐ_１と揃えるなどの位置調整を行う。続いて、この上方
パネルＰ_２の上部小口面を、前記下方パネルＰ_１の上部
小口面の場合と同様に、取付金具Ａ１０を用いて躯体Ｋ
_１、Ｋ_２に取付ける。これらの作業を更に上方のパネル
Ｐ_３についても同様に行い、これを任意の回数繰り返す
ことによって、所望の段数のＡＬＣパネルを躯体に取付
ける作業を、従来とは異なり多数の釘止めやビス止めを
行うことなく効率的に達成することができる。

【００３２】なお、上記の第１実施例においては、ＡＬ
Ｃパネルとして寸法３５×６０６×１８２０ｍｍを使用
し、これを１０５×１０５ｍｍの木柱Ｋ_１及び３０×１
０５ｍｍの間柱Ｋ_２に取付けた。

【００３３】また、取付金具Ａ１０としては、厚み１．
０ｍｍのステンレス板を切削・折り曲げ加工してなり、
基部Ａ１１の寸法を４０×５０ｍｍ（マイナス２５×２
５ｍｍ）、腕部Ａ１２の寸法を１８×２５ｍｍ、爪部Ａ
１３の飛びだし寸法を１５ｍｍ（先鋭状）、固定部Ａ１
５の寸法を２５×２５ｍｍとし、固定部Ａ１５の板面に
直径６．５ｍｍの取付穴Ａ１６及び直径１０ｍｍのネジ
頭座ぐりを２ケ所形成したものを用いた。また、取付金
具Ｂ１０としては、上記した取付金具Ａ１０の寸法に準
じたものを用いた。なお、上記取付金具Ａ１０及びＢ１
０を構成する板材の厚みは、０．８〜２．３ｍｍとする
ことが、強度及び爪部の打ち込み易さの点などから好ま
しい。

【００３４】かくして構成されたＡＬＣパネルの取付構
造においては、図４に示したように、上下方向に隣接さ
せて取付けられるパネルＰ_１、Ｐ_２（或いはパネル
Ｐ_２、Ｐ_３）の躯体側板面と各躯体Ｋ_１、Ｋ_２との間に
基部Ａ１１が挟持されている取付金具Ａ１０の下方を向
いた爪部Ａ１３が、下方パネルＰ_１（或いは上方パネル
Ｐ_２）の上部小口面に食い込んでいる。また、この取付
金具Ａ１０の基部Ａ１１、或いは固定部Ａ１５が、躯体
Ｋ_１、Ｋ_２に各々釘Ｔなどにより固定されている。これ
により、下方パネルＰ_１（或いは上方パネルＰ_２）は、
その上部小口面において取付金具Ａ１０により躯体
Ｋ_１、Ｋ_２に固定されている。

【００３５】また、この取付金具Ａ１０により躯体
Ｋ_１、Ｋ_２に固定された下方パネルＰ_１（或いは上方パ
ネルＰ_２）の躯体側板面に基部Ｂ１１が当接している取
付金具Ｂ１０の上方を向いた爪部Ｂ１３が、上方パネル
Ｐ_２（或いは更にその上方のパネルＰ_３）の下部小口面
の適所に食い込んでいる。これにより、上方パネルＰ_２
（或いは更にその上方のパネルＰ_３）は、その下部小口
面において取付金具Ｂ１０により下方パネルＰ_１（或い
は上方パネルＰ_２）上に支持されている。

【００３６】そのため、各パネルＰ_１、Ｐ_２（或いはパ
ネルＰ_２、Ｐ_３）の目地部となる小口面に溝がなくて
も、各パネルをその小口面において躯体Ｋ_１、Ｋ_２に取
付金具Ａ１０及びＢ１０を用いて取付けることが可能と
なる。また、各パネルＰ_１、Ｐ_２（或いはパネルＰ_２、
Ｐ_３）間の目地部のすき間を、取付金具Ａ１０及びＢ１
０の各々の腕部Ａ１２，Ｂ１２をも小口面に食い込ませ
ることにより、最小限とすることができ、充填材の使用
量を少量に抑えることが可能となる。また、本発明の取
付金具Ａ１０及びＢ１０を使用することにより、多数の
くぎ止めやビス止めを行うことなく、ＡＬＣパネルを左
右方向の位置調整を行いながら効率的に取付けることが
可能となる。

【００３７】次に、図２に示した第２実施例の取付金具
２０は、取付金具Ａ２０の腕部Ａ２２及び爪部Ａ２３の
構成、及び取付金具Ｂ２０の腕部Ｂ２２及び爪部Ｂ２３
の構成を、上記第１実施例の取付金具１０と変更した点
が相違している。

【００３８】即ち、この第２実施例の取付金具２０の一
方の取付金具Ａ２０は、躯体に固定される基部Ａ２１
と、この基部Ａ２１から板面が取付けるＡＬＣパネルの
小口面と垂直になるように折り曲げられ、隣接させて取
付けるＡＬＣパネルの小口面に食い込む状態で小口面間
に介在される腕部Ａ２２とを有している。さらに、この
腕部Ａ２２から隣接させて取付ける一方のＡＬＣパネル
の小口面方向に向けて延設され、且つその板面が取付け
るＡＬＣパネルの板面と平行になるように折り曲げら
れ、隣接させて取付ける一方のＡＬＣパネルの小口面に
打ち込まれる爪部Ａ２３を有している。そして、これら
の各部は、１枚の板状材料、本実施例ではステンレス板
を切削折り曲げ加工することにより一体に構成されてい
る。

【００３９】なお、この第２実施例の取付金具Ａ２０に
は、基部Ａ２１の板面の適所に、釘又はビスにより躯体
へ取付固定するための取付穴Ａ２４が設けられている。
また、図面に二点鎖線で示したように、基部Ａ２１から
躯体方向へ折り曲げられ、躯体の側壁に板面が当接され
る固定部Ａ２５を形成し、この固定部Ａ２５の板面の適
所に、釘又はビスにより躯体へ取付固定するための取付
穴Ａ２６を設けることもできる。この場合には、上記第
１実施例の取付金具Ａ１０において記載したのと同様の
効果が得られる。

【００４０】一方、第２実施例における他方の取付金具
Ｂ２０は、隣接させて取付けるパネルの躯体側板面に当
接される基部Ｂ２１と、この基部Ｂ２１から板面が取付
けるＡＬＣパネルの小口面と垂直になるように折り曲げ
られ、隣接させて取付けるＡＬＣパネルの小口面に食い
込む状態で小口面間に介在される腕部Ｂ２２とを有して
いる。さらに、この腕部Ｂ２２から隣接させて取付ける
他方のＡＬＣパネルの小口面方向に向けて延設され、且
つその板面が取付けるＡＬＣパネルの板面と平行になる
ように折り曲げられ、隣接させて取付ける他方のＡＬＣ
パネルの小口面に打ち込まれる爪部Ｂ２３を有してい
る。そして、これらの各部は、上記取付金具Ａ２０と同
様に１枚の板状材料、本実施例ではステンレス板を切削
折り曲げ加工することにより一体に構成されている。

【００４１】なお、この第２実施例における取付金具Ｂ
２０においても、上記した第１実施例における取付金具
Ｂ１０と同様に、所望に応じて固定部や取付穴を設ける
ことができる。

【００４２】上記第２実施例の取付金具Ａ２０及びＢ２
０においては、各取付金具の爪部Ａ２３、Ｂ２３の板面
が、各々取付けるＡＬＣパネルの板面と平行になるよう
に腕部Ａ２２、或いはＢ２２の先端を折り曲げて形成し
ている。そのため、これらの爪部Ａ２３、或いはＢ２３
を隣接させて取付けるＡＬＣパネルの各小口面に各々打
ち込む（食い込ます）ことによって、例えばパネルが外
壁などの構造の場合に、パネル板面に作用する風圧など
の正負方向の力に対しての取付強度を大きくすることが
できる。

【００４３】しかし、パネルを室内壁などの構造に用
い、パネル板面に作用する風圧などの正負方向に対して
の取付強度を大きくする考慮を特に必要としない場合に
は、図３に示した第３実施例のように構成しても良い。
即ち、この第３実施例に示した取付金具３０は、各取付
金具Ａ３０及びＢ３０の各々の爪部Ａ３３、Ｂ３３を、
各々の腕部Ａ３２、Ｂ３２から直接的に隣接させて取付
けるＡＬＣパネルの各小口面方向に向けて延設したもの
である。そして、この各爪部Ａ３３、Ｂ３３の板面は、
取付けるＡＬＣパネルの板面と垂直になっている。この
場合には、取付金具の形状が更に単純なものとなり、そ
の製作が容易なものとなる。なお、第３実施例を示した
図３中、Ａ３１、Ｂ３１は共に基部、Ａ３４は取付穴、
Ａ３５は固定部、Ａ３６は取付穴である。

【００４４】次に、上記第２実施例の取付金具、或いは
第３実施例の取付金具を使用して、ＡＬＣパネルを横壁
取付構造において躯体に取付固定する方法について、図
６及び図７に従って説明する。

【００４５】図６に示したように、上下方向に積み重ね
られたＡＬＣパネルＰ_１〜Ｐ_３を、それらの各パネルＰ
_１〜Ｐ_３の上・下部の小口面で垂直方向に配置された躯
体Ｋ_１、Ｋ_２に取付固定する。この場合には、まず下方
パネルＰ_１の上部小口面の適所、具体的には躯体Ｋ_１及
びＫ_２に隣接する箇所に、各々取付金具Ａ２０の基部Ａ
２１が躯体Ｋ_１及びＫ_２側となる状態で腕部Ａ２２を載
置する。そして、これらの取付金具Ａ２０の腕部Ａ２２
及び爪部Ａ２３を、図７に示したように打ち付けなどの
手段により下方パネルＰ_１の上部小口面に食い込ませ
る。なお、図６は、第２実施例の取付金具２０を使用し
た場合を示し、図７は、第３実施例の取付金具３０を使
用した場合を示した。また、図７においては、取付金具
Ａ３０の腕部Ａ３２を、完全にパネルＰ_１の上部小口面
に食い込ませた状態を示したが、必ずしも完全に食い込
ませなくても使用できる。

【００４６】次に、各取付金具Ａ２０の基部Ａ２１、或
いは基部Ａ２１から延設された固定部Ａ２５に形成され
た取付穴Ａ２４或いはＡ２６を介して、躯体Ｋ_１、Ｋ_２
に釘Ｔなどにより各取付金具Ａ２０を固定する。そし
て、上方パネルＰ_２の下部小口面の適所に、取付金具Ｂ
２０の基部Ｂ２１が躯体側となる状態で、その腕部Ｂ２
２及び爪部Ｂ２３を、上記取付金具Ａ２０の場合と同様
に打ち付けなどの手段によりに食い込ませる。その後、
図７に示したように、この取付金具Ｂ２０が取付けられ
た上方パネルＰ_２の下部小口面と前記下方パネルＰ_１の
上部小口面とを平行に突き合わせると共に、前記取付金
具Ｂ２０の基部Ｂ２１を前記下方パネルＰ_１の躯体側板
面に当接させる。これにより、上方パネルＰ_２を下方パ
ネルＰ_１の上方に建て込む。これらの作業を、更に上方
のパネルＰ_３についても同様に行い、これらの作業を任
意の回数繰り返すことによって、所望の段数のＡＬＣパ
ネルを躯体に取付ける作業を、従来とは異なり多数の釘
止めやビス止めを行うことなく効率的に達成することが
できる。

【００４７】なお、上記の第２実施例或いは第３実施例
においては、上記第１実施例と同様のＡＬＣパネル及び
躯体を使用し、取付金具２０或いは取付金具３０の材
質、寸法は、上記第１実施例にほぼ準じたものとした。

【００４８】かくして構成されたＡＬＣパネルの取付構
造においては、図６に示したように、上下方向に隣接さ
せて取付けられるパネルＰ_１、Ｐ_２（或いはパネル
Ｐ_２、Ｐ_３）の躯体側板面と各躯体Ｋ_１、Ｋ_２との間に
基部Ａ２１が挟持されている取付金具Ａ２０の腕部Ａ２
２及び下方を向いた爪部Ａ２３が、下方パネルＰ_１（或
いは上方パネルＰ_２）の上部小口面に食い込んでいる。
また、この取付金具Ａ２０の基部Ａ２１、或いは固定部
Ａ２５が躯体Ｋ_１、Ｋ_２に各々釘Ｔなどにより固定され
ている。これにより、下方パネルＰ_１（或いは上方パネ
ルＰ_２）は、その上部小口面において取付金具Ａ２０に
より躯体Ｋ_１、Ｋ_２に固定されている。

【００４９】また、この取付金具Ａ２０により躯体
Ｋ_１、Ｋ_２に固定された下方パネルＰ_１（或いは上方パ
ネルＰ_２）の躯体側板面に基部Ｂ２１が当接している取
付金具Ｂ２０の腕部Ｂ２２及び上方を向いた爪部Ｂ２３
が、上方パネルＰ_２（或いは更にその上方のパネル
Ｐ_３）の下部小口面の適所に食い込んでいる。これによ
り、上方パネルＰ_２（或いは更にその上方のパネル
Ｐ_３）は、その下部小口面において取付金具Ｂ２０によ
り下方パネルＰ_１（或いは上方パネルＰ_２）上に支持さ
れている。

【００５０】そのため、各パネルＰ_１、Ｐ_２（或いはパ
ネルＰ_２、Ｐ_３）の目地部となる小口面に溝がなくて
も、各パネルをその小口面において躯体Ｋ_１、Ｋ_２に取
付金具Ａ２０及びＢ２０を用いて取付けることが可能と
なる。また、各パネルＰ_１、Ｐ_２（或いはパネルＰ_２、
Ｐ_３）間の目地部のすき間を、取付金具Ａ２０及びＢ２
０の各々の腕部Ａ２２、Ｂ２２を各小口面に完全に食い
込ませることにより無くすことができ、これにより充填
材の使用が不要となり、施工コストを著しく低減するこ
とができる。また、本発明の取付金具Ａ２０及びＢ２０
を使用することにより、多数のくぎ止めやビス止めを行
うことなく、ＡＬＣパネルを左右方向の位置調整を行い
ながら効率的に取付けることができる。

【００５１】なお、上記においては、本発明にかかる取
付金具の一方である取付金具Ａを、パネルの上部を取付
ける所謂上部取付金具とし、他方である取付金具Ｂを、
パネルの下部を取付ける所謂下部取付金具として使用
し、ＡＬＣパネルを上下方向に連設する横壁として取付
ける方法につき説明した。しかし、本発明のＡＬＣパネ
ルの取付金具によれば、ＡＬＣパネルを左右方向に連設
させて、縦壁として取付けることも勿論可能である。こ
の場合には、本発明にかかる取付金具の一方をパネルの
右部を取付ける所謂右部取付金具とし、他方をパネルの
左部を取付ける所謂左部取付金具としてＡＬＣパネルの
左右の小口面において使用し、横方向の胴縁などに取付
けていけば良い。この場合にも、上記した横壁の場合と
同様に効率的にＡＬＣパネルを取付けることが可能であ
る。また、本発明は、上記した第１実施例乃至第３実施
例において示した各種の構成の取付金具Ａ及び取付金具
Ｂを、適宜その組み合わせを変更して使用することも勿
論可能である。

【００５２】このように、本発明のＡＬＣパネルの取付
金具及び取付構造によれば、施工が容易で経済的である
という効果を得ることができ、ベランダ、バルコニー、
パラペット、廊下、階段などの立ち上がり壁や、窓用開
口付き外壁などの建物の壁用途にとって好適に使用する
ことができる。

【００５３】

【発明の効果】以上、説明した本発明にかかるＡＬＣパ
ネルの取付金具によれば、目地部となるＡＬＣパネルの
小口面に溝がなくても取付けが可能である。また、その
製作が容易であり、しかも取付けるＡＬＣパネルの位置
調整が容易であると共に安全にＡＬＣパネルの取付けを
行うことができる。更に、隣接するパネル間の目地部に
すき間が生じ難い取付けを実現できる効果がある。

【００５４】また、本発明にかかるＡＬＣパネルの取付
構造によれば、上記した効果を有する本発明にかかるＡ
ＬＣパネルの取付金具を有効に用いることができ、目地
溝の有無に関係なくＡＬＣパネルを効率的且つ安全に取
付けることができる効果がある。特に、本発明にかかる
ＡＬＣパネルの取付金具及び取付構造は、木造構造躯体
の建築物に対して薄型ＡＬＣパネル（厚さ３０〜８０ｍ
ｍ）を取付ける際に、その簡易な施工性故に好適に用い
ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は本発明のＡＬＣパネルの取付金具の第１
実施例を示す斜視図である。

【図２】図２は本発明のＡＬＣパネルの取付金具の第２
実施例を示す斜視図である。

【図３】図３は本発明のＡＬＣパネルの取付金具の第３
実施例を示す斜視図である。

【図４】図４は第１実施例の取付金具を使用してＡＬＣ
パネルを躯体に取付ける状態を示す概念的な斜視図であ
る。

【図５】図５は第１実施例の取付金具を使用してＡＬＣ
パネルを躯体に取付ける状態を示す概念的な側面図であ
る。

【図６】図６は第２実施例の取付金具を使用してＡＬＣ
パネルを躯体に取付ける状態を示す概念的な斜視図であ
る。

【図７】図７は第３実施例の取付金具を使用してＡＬＣ
パネルを躯体に取付ける状態を示す概念的な側面図であ
る。

【符号の説明】

１０、Ａ１０、Ｂ１０ 取付金具 Ａ１１、Ｂ１１ 基部 Ａ１２、Ｂ１２ 腕部 Ａ１３、Ｂ１４ 爪部 Ａ１４ 取付穴 Ａ１５ 固定部 Ａ１６ 取付穴 ２０、Ａ２０、Ｂ２０ 取付金具 Ａ２１、Ｂ２１ 基部 Ａ２２、Ｂ２２ 腕部 Ａ２３、Ｂ２３ 爪部 Ａ２４ 取付穴 Ａ２５ 固定部 Ａ２６ 取付穴 ３０、Ａ３０、Ｂ３０ 取付金具 Ａ３１、Ｂ３１ 基部 Ａ３２、Ｂ３２ 腕部 Ａ３３、Ｂ３４ 爪部 Ａ３４ 取付穴 Ａ３５ 固定部 Ａ３６ 取付穴 Ｐ ＡＬＣパネル Ｋ 躯体 Ｔ 釘

フロントページの続き Ｆターム(参考） 2E002 NA01 NB06 PA04 RA03 RB03 XA03 2E125 AA53 AE02 AG09 BB16 BB36 BC02 BC06 BD01 BE04 BE06 BE08 BF06 CA77 CA78 EA01 EA33 EB03

Claims (9)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 躯体に上下方向及び／又は左右方向に連
   設されるＡＬＣパネルを、それらの各パネルの小口面で
   躯体に取付固定するために使用されるＡＬＣパネルの取
   付金具であって、 前記躯体に直接的或いは間接的に固定される基部と、こ
   の基部からパネル方向に向けて延設され、前記隣接する
   パネルの小口面間に介在される腕部と、この腕部から隣
   接する一方のパネルの小口面方向に向けて延設され、前
   記隣接する一方のパネルの小口面に打ち込まれる爪部と
   を有する取付金具Ａと、 前記隣接するパネルの躯体側板面に当接される基部と、
   この基部からパネル方向に向けて延設され、前記隣接す
   るパネルの小口面間に介在される腕部と、この腕部から
   隣接する他方のパネルの小口面方向に向けて延設され、
   前記隣接する他方のパネルの小口面に打ち込まれる爪部
   とを有する取付金具Ｂとからなり、 これらの取付金具Ａ及び取付金具Ｂは、板状の材料によ
   りそれぞれが一体に構成されていることを特徴とする、
   ＡＬＣパネルの取付金具。
2. 【請求項２】 前記取付金具Ａ及び／又は取付金具Ｂの
   爪部が、パネルの躯体側板面から板厚方向３０〜８０％
   の位置の小口面に打ち込まれるように構成されているこ
   とを特徴とする、請求項１記載のＡＬＣパネルの取付金
   具。
3. 【請求項３】 前記取付金具Ａの基部の板面に、釘又は
   ビスにより躯体へ取付固定するための取付穴が形成さ
   れ、この取付穴を介して基部が直接的に躯体に取付固定
   されるように構成されていることを特徴とする、請求項
   １又は２記載のＡＬＣパネルの取付金具。
4. 【請求項４】 前記取付金具Ａの基部には、更に躯体方
   向に向けて板状の固定部が延設され、この固定部の板面
   に、釘又はビスにより躯体へ取付固定するための取付穴
   が形成され、この取付穴を介して基部が間接的に躯体に
   取付固定されるように構成されていることを特徴とす
   る、請求項１又は２記載のＡＬＣパネルの取付金具。
5. 【請求項５】 前記取付金具Ａ及び／又は取付金具Ｂの
   腕部の板面が、基部からパネルの小口面と平行になるよ
   うに延設され、隣接するパネルの小口面間に水平に介在
   されるように構成されていることを特徴とする、請求項
   １、２、３又は４記載のＡＬＣパネルの取付金具。
6. 【請求項６】 前記取付金具Ａ及び／又は取付金具Ｂの
   腕部の板面が、基部からパネルの小口面と垂直になるよ
   うに延設され、隣接するパネルの小口面に食い込む状態
   で小口面間に介在されるように構成されていることを特
   徴とする、請求項１、２、３又は４記載のＡＬＣパネル
   の取付金具。
7. 【請求項７】 前記取付金具Ａ及び／又は取付金具Ｂの
   爪部の板面が、腕部からパネルの板面と平行になるよう
   に延設され、パネルの小口面に打ち込まれるように構成
   されていることを特徴とする、請求項１、２、３、４、
   ５又は６記載のＡＬＣパネルの取付金具。
8. 【請求項８】 前記取付金具Ａ及び／又は取付金具Ｂの
   爪部の板面が、腕部からパネルの板面と垂直になるよう
   に延設され、パネルの小口面に打ち込まれるように構成
   されていることを特徴とする、請求項１、２、３、４、
   ５又は６記載のＡＬＣパネルの取付金具。
9. 【請求項９】 前記請求項１〜８のいずれか１項に記載
   のＡＬＣパネルの取付金具を使用して、躯体に上下方向
   及び／又は左右方向に連設されるＡＬＣパネルを、それ
   らの各パネルの小口面で躯体に取付固定する構造であっ
   て、隣接する一方のパネルの小口面の適所に取付金具Ａ
   の爪部が食い込んでいると共に、この取付金具Ａの基部
   が直接的或いは間接的に躯体に固定されており、更に、
   この隣接する一方のパネルの躯体側板面に少なくとも基
   部が当接している取付金具Ｂの爪部が隣接する他方のパ
   ネルの小口面の適所に食い込んでいることを特徴とす
   る、ＡＬＣパネルの取付構造。