JP2024041598A - 壁パネルの取付部材、壁パネルの取付構造体、建物および壁パネルの取付工法 - Google Patents

壁パネルの取付部材、壁パネルの取付構造体、建物および壁パネルの取付工法 Download PDF

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Abstract

【課題】パネルと取付金具で下地金物を確実に挟み込むことができ、下地金物の厚さが異なる場合でも、十分な挟み込みが可能であり、パネルを建て込む際の衝撃による位置ずれを防止して施工性を向上させた取付部材を提供すること。【解決手段】建築物の建物躯体に固定された下地金物に壁パネルを取り付けるための壁パネルの取付部材であって、取付金具と、取付金具と壁パネルとの間に配される座金とを有し、座金は、略平坦な座金本体と、座金本体に形成された孔部と、座金本体の取付金具と当接する面に設けられた1つ以上の凸部とを有し、凸部は、孔部の中心を通る中心線に対し下地金物から遠い側に設けられている。【選択図】図3

Description

本発明は、建築物の壁において、建物躯体に固定された下地金物に壁パネルを取り付けるための取付部材、壁パネルの取付構造体、建物および壁パネルの取付工法に関する。
ALCパネルの取付構造として、図24に示すような取付構造(軽量気泡コンクリートパネルの取付構造(従来構造)50)が、広く採用されている。この取付構造においては、ALCパネル51の内部に埋設されている埋込みアンカー52と、取付金具として用いられるイナズマプレート53のパネル接合面とが、アンカーボルト54によって接合されている。そして、一方で、イナズマプレート53の上記のパネル接合面と2段の折曲げ加工によって段差が生じるように形成されている他の面と、ALCパネルの背面との間に、建物躯体55に接合されている断面がL字形状である下地金物56(アングル)が挟持される態様で固定されている(特許文献1)。
このようなイナズマプレートの段差の寸法(高さ)は、下地金物の厚みより1~2mm程度狭くなされており、先端の方が狭く、段差に近い方が広くなっている(例えば、アングルの厚さが6mmのとき、段差の寸法は、先端側が5mmで、折り曲げ部付近が6mmなど)。これにより、イナズマプレートの先端で下地金物を挟み込むことができる。
特開2015-232219号公報
しかしながら、従来のイナズマプレートでは、ボルトをきつく締めると、金物がパネルにめり込んでしまい、下地金物(アングル)を十分に挟み込めなくなるという問題があった。
また、下地金物の厚みが現場によって異なると、ボルトを締めても挟み込みが十分ではない場合がある。パネルを建て込む際には衝撃が発生するため、挟み込みが十分ではないと、衝撃によりパネルの位置がずれてしまう場合があった。
本発明は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、本発明の目的は、パネルと取付金具で下地金物を確実に挟み込むことができ、下地金物の厚さが異なる場合でも、十分な挟み込みが可能であり、パネルを建て込む際の衝撃による位置ずれを防止して施工性を向上させた取付部材、および該取付部材を用いた壁パネルの取付構造体、建物および壁パネルの取付工法を提供することにある。
[1]
建築物の建物躯体に固定された下地金物に壁パネルを取り付けるための壁パネルの取付部材であって、
取付金具と、該取付金具と前記壁パネルとの間に配される座金とを有し、
前記取付金具は、金属板からなる略平坦な本体部と、
前記本体部の略中央部に形成され該取付金具を前記壁パネルに固定するためのボルトが挿通される長孔と、を有し、
前記座金は、略平坦な座金本体と、 前記座金本体に形成された前記取付金具を該座金を介して前記壁パネルに固定するためのボルトが挿通される孔部と、
前記座金本体の前記取付金具と当接する面に設けられた1つ以上の凸部と、を有し、
前記凸部は、前記座金本体の前記下地金物と対向する1辺に略平行な第1の方向で前記孔部の中心を通る中心線に対し、前記下地金物から遠くなる側に設けられている、壁パネルの取付部材。
[2]
建築物の建物躯体に固定された下地金物に壁パネルを取り付けるための壁パネルの取付部材であって、
取付金具と、該取付金具と前記壁パネルとの間に配される座金とを有し、
前記取付金具は、金属板からなる略平坦な本体部と、
前記本体部の略中央部に形成され該取付金具を前記壁パネルに固定するためのボルトが挿通される長孔と、
前記本体部の前記壁パネルと対向する側の面に設けられた1つ以上の凸部と、を有し、
前記凸部は、前記長孔に対し、前記下地金物から遠くなる側に設けられており、
前記座金は、略平坦な座金本体と、
前記座金本体に形成された前記取付金具を該座金を介して前記壁パネルに固定するためのボルトが挿通される孔部と、を有する、壁パネルの取付部材。
[3]
前記取付金具は、金属板が曲げ加工されてなり、
前記金属板の1辺に略平行な第1の方向の両端部において、該第1の方向と直交する第2の方向の少なくとも一部が、該金属板の一主面に対し同じ側で略垂直にそれぞれ曲げ加工されてなる一対の第1突出片と、
一対の前記第1突出片の間に配された略平坦な前記本体部とを有する、[1]または[2]に記載の壁パネルの取付部材。
[4]
前記座金は、金属板が曲げ加工されてなり、
前記金属板の前記1辺に略平行な前記第1の方向の両端部において、該金属板の一主面に対し同じ側で略垂直にそれぞれ曲げ加工されてなる一対の第3突出片と、
一対の前記第3突出片の間に配された略平坦な前記座金本体と、を有し、
該座金の一対の前記第3突出片が、前記取付金具の一対の前記第1突出片の外側にそれぞれ重なるように配される、[3]に記載の壁パネルの取付部材。
[5]
前記取付金具は、前記金属板の一部が舌状に切りかかれて、該舌状部分が前記第1突出片の曲げ方向とは反対側に曲げ加工されてなる、一対の第2突出片を有し、
一対の前記第2突出片は、前記本体部の前記第2の方向の前記下地金物に接触する側の端部からの距離が略同じ位置にある、[3]に記載の壁パネルの取付部材。
[6]
前記取付金具は、前記本体部の前記下地金物に接触する側の端部に形成されたスリットを有し、
該取付金具は、前記スリットの部分で前記下地金物に溶接により固定される、[1]~[5]のいずれかに記載の壁パネルの取付部材。
[7]
建築物の建物躯体に固定された下地金物に、[1]~[6]のいずれかに記載の取付部材を用いて壁パネルが取り付けられてなり、
前記取付金具は、前記下地金物に取り付けられる側が前記壁パネル側に近接するように、前記壁パネルの表面に対して傾斜した状態で、前記壁パネルに取り付けられる、壁パネルの取付構造体。
[8]
前記壁パネルは、該壁パネルの長辺方向が略鉛直となるように配置された縦壁パネル、または略水平となるように配置された横壁パネルである、[7]に記載の壁パネルの取付構造体。
[9]
[7]または[8]に記載の壁パネルの取付構造体を備えた建物。
[10]
[1]~[6]のいずれかに記載の取付部材を用いる、壁パネルの取付工法。
本発明によれば、パネルと取付金具で下地金物を確実に挟み込むことができ、下地金物の厚さが異なる場合でも、十分な挟み込みが可能であり、パネルを建て込む際の衝撃による位置ずれを防止して施工性を向上させた取付部材、および該取付部材を用いた壁パネルの取付構造体、建物および壁パネルの取付工法を提供することができる。
本発明の壁パネルの取付部材に係る取付金具の一構成例を示す斜視図である。 取付金具の製造方法を説明する図である。 本発明の壁パネルの取付部材に係る座金の一構成例を示す図である。 座金と取付金具とを組み合わせた取付金物を下地金物に突き合わせる様子を説明する図である。 壁パネルの一構成例を示す部分断面図である。 係止用金具の一構成例を示す斜視図である。 本発明の壁パネルの取付構造体(縦壁構法)の一構成例を示す斜視図である。 本発明の壁パネルの取付構造体(縦壁構法)の一構成例を示す断面図である。 取付金具および座金をパネル上に配した状態を示す図である。 取付金具および座金をパネル上に固定した状態を示す図である。 パネル上に固定された取付金具および座金と下地金物とを組み合わせた状態を示す図である。 本発明の壁パネルの取付構造体(横壁構法)の一構成例を示す斜視図である。 座金の他の一構成例を示す図である。 座金の他の一構成例を示す図である。 本発明の他の実施形態に係る取付部材に係る取付金具の一構成例を示す図である。 本発明の他の実施形態に係る取付部材に係る座金の一構成例を示す図である。 取付金具および座金をパネル上に配した状態を示す図である。 取付金具の他の実施形態を示す図である。 取付金具の他の実施形態を示す図である。 取付金具の他の実施形態を示す図である。 取付金具の他の実施形態を示す図である。 取付金具の他の実施形態を示す図である。 壁パネルの取付構造体の他の一構成例を示す図である。 従来の取付金具を用いた軽量気泡コンクリートパネルの取付構造(従来構造)の側面図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
[取付部材]
図1は、本発明の壁パネルの取付部材に係る取付金具の一構成例を示す斜視図であり、(a)は斜視図、(b)は側面図である。図2は、取付金具の製造方法を説明する図である。図3は、本実施形態の壁パネルの取付部材に係る座金の一構成例を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は上面図、(c)は前面図である。図4は、座金と取付金具とを組み合わせた取付金物を下地金物に突き合わせる様子を説明する図である。
本発明の取付部材は、建築物の建物躯体に固定された下地金物32に壁パネル20を取り付けるための壁パネルの取付部材であって、取付金具1と、該取付金具1と前記壁パネル20との間に配される座金10とを有する。
<取付金具>
取付金具1は、建築物の壁、特に外壁において、建物躯体に固定された下地金物32に壁パネル(パネル20)を取り付けるための取付金具であって、矩形状(図2に示す例では略長方形状)の金属板が曲げ加工されてなる。
図1に示すように、取付金具1は、金属板の1辺に略平行な第1の方向(図では短辺方向)の両端部において、第1の方向と直交する第2の方向(図では長辺方向)の少なくとも一部が金属板の一主面に対し同じ側で略垂直にそれぞれ曲げ加工されてなる一対の第1突出片3と、一対の第1突出片3の間に配された略平坦な本体部2と、本体部2から第1突出片3の曲げ方向とは反対側に突出する突出部と、を有する。そして、突出部は、下地金物32に対して取付金具1を略直角に取り付けられるようにする係止手段を備える。
図1に示す例では、突出部として、金属板の一部が舌状に切りかかれて、舌状部分が第1突出片3の曲げ方向とは反対側に曲げ加工されてなる、一対の第2突出片4を有する。
なお、図2に示す例では、略長方形状の金属板を用いているが、略正方形状の金属板であってもよい。また、以下の説明では、第1の方向を「短辺方向」、第2の方向を「長辺方向」として説明する。しかし、これに限定されず、第1の方向が金属板の長辺方向であり、第2の方向が金属板の短辺方向であってもよい。
そして、図1,図2および図4に示す例では、金属板の「長辺方向」と取付金具の「長手方向」とは一致するが、これに限定されない。
一対の第1突出片3は、金属板の短辺方向の両端部において、長辺方向の少なくとも一部が、金属板の一主面に対し同じ側で略垂直にそれぞれ曲げ加工されてなる。
取付金具1は、両側に曲げ加工された第1突出片3を有することで、金属板の厚さが比較的薄いものであっても、十分な強度を確保することができる。
なお、図1に示す例では、一対の第1突出片3は、それぞれ、金属板の長辺方向の全長に亘って曲げ加工されているが、これに限定されず、金属板の長辺方向の一部のみが曲げ加工されたものであってもよい。また、第1突出片3は、1か所のみならず、金属板の長辺方向に沿って複数か所に形成されていてもよい。
第1突出片3の高さ(t1)としては、特に限定されるものではないが、強度、製造時の加工容易性の観点から、例えば10mm~15mmである。
一対の第2突出片4は、金属板の一部が舌状に切りかかれて、舌状部分が金属板の一主面に対し、第1突出片3の曲げ方向とは反対側に曲げ加工されてなる。
そして、図1に示す取付金具1では、金属板の短辺方向で同じ側に配された第1突出片3と第2突出片4とは略同一平面上にある。第1突出片3と第2突出片4とが略同一平面上にあることで、金属板の曲げ加工による製造が容易であるとともに、十分な強度を確保することができる。
また、図1に示す取付金具1では、一対の第2突出片4は、本体部2の長手方向において、下地金物32に接触する側の端部からの距離が略同じ位置にある。一対の第2突出片4が、本体部2の長手方向端部からの距離が略同じ位置にあることで、図4に示すように、断面L字形状の下地金物32に取付金具1を取り付ける際に、一対の第2突出片4の側面部を下地金物32の端部に当接させることで、容易にかつ確実に、下地金物32に対して取付金具1が略直角に位置決めされるとともに、下地金物32へのかかり代として一定の長さを確保できる(図7参照)。
第2突出片4の、本体部2の長手方向端部からの距離(l)は、下地金物32とのかかり代に依存する(図4、図7参照)。
第2突出片4の高さ(t2)としては、下地金物32の厚さを超えない程度にされている。
第2突出片4の幅(w)としては、上記機能を確保できれば特に限定されるものではないが、強度、製造時の加工容易性の観点から、例えば5mm~10mmである。
このように、本実施形態の取付金具1では、壁パネルの取付工法において、容易かつ確実に、下地金物32に対して取付金具1を略直角に取り付けられるとともに、下地金物32への取付金具1のかかり代を一定に確保でき、施工性を向上することができる。
曲げ加工された金属板のうち、一対の第1突出片3の間は略平坦な本体部2とされており、取付金具1は、本体部2の略中央部に設けられ、取付金具1をパネル20に固定するためのボルト26が挿通される長孔5を有する。
後掲する図7、図12に示すように、長孔5は、パネル20のアンカーナット(Oナット25)に螺合するボルト部材(ボルト26)の太さよりも十分に大きく、且つ、ボルト部材の頭部の径よりも小さい幅と、予め設計段階で設定された長さを持って形成されている。孔を真円ではなく長円状の孔(長孔5)とすることで、パネル20のアンカーナットの位置ズレを吸収することができる。
取付金具1はまた、本体部2の長手方向の一端側に設けられたスリット6を有していてもよい。このスリット6は、取付金具1を下地金物32に溶接する際の溶接片となる。
取付金具1の一端側にスリット6を設けることにより、一定の品質を確保しつつ、取付金具1を一方向から溶接施工することが可能となる。これにより、例えば横壁構法の場合には、溶接姿勢を変えることなく施工することができ、縦壁構法の場合には柱裏であっても、溶接棒が届かないといった問題も解消され、柱を回り込んだりすることなく施工することが可能となる。
スリット6の幅は、溶接棒が挿入できる幅以上を有するものとし、例えば15mm以上とすることが好ましい。
スリット6の長さは、下地金物32とのかかり代に依存する(図7、図8参照)。スリット6が下地金物32を越えた場合、断面欠損となり強度が低下するため、スリット6が下地金物32を越えることがないようにする。本実施形態の下地金物32において、下地金物32とのかかり代は、第2突出片4の本体部2の長手方向端部からの距離(l)と実質的に等しくなる。すなわち、スリット6の本体部2の長手方向端部からの深さが、第2突出片4の本体部2の長手方向端部からの距離(l)を超えない。
このような取付金具1は、金属板(板金)に切り込み加工、曲げ加工することにより製造することができる。
例えば、まず図2に示すように、平坦な金属板を用意する。そして、図中影をつけた部分を切り欠き、長孔5およびスリット6を形成するとともに、点線部分で曲げ加工することで、第1突出片3と第2突出片4とが形成される。金属板の一部を図2に示すように舌状に切り欠くことで、第1突出片3と第2突出片4とを1回の折り曲げ作業で形成することができる。このような方法によれば加工が容易であり、コストも削減することができる。もちろん、第1突出片3と第2突出片4をそれぞれ別の作業で形成しても構わない。
取付金具1を構成する金属板の厚さとしては、加工のしやすさとともに十分な強度を確保する観点から、3.0mm以上であることが好ましい。しかしこの値に限定されるものではない。
なお、上述した説明では、取付金具1の一端側にスリット6(切り欠き)が形成されている場合を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、スリット6が無くてもよい。
また、上述した説明では、スリット6が1つのみ形成されている場合を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えばスリット6を2つ以上形成してもよい。
なお、上述した実施形態では、取付金具1が金属板からなる場合を例に挙げて説明したが、本発明に係る取付金具1は、金属板からなるものに限定されず、それ以外にも、例えば、硬質ゴム、プラスチック等を用いて構成されたものであってもよい。また、これらの材料の組み合わせであってもよい。
<座金>
座金10は、図3に示す例では略長方形状の金属板が曲げ加工されてなり、金属板の1辺に平行な方向(図では長辺方向)の両端部において、該金属板の一主面に対し同じ側で略垂直にそれぞれ曲げ加工されてなる一対の第3突出片12と、一対の第3突出片12の間に配された略平坦な座金本体11と、を有する。また、図3に示す例では、座金本体11の短辺方向の一端側に一対の切り欠き部13が形成されている。
座金10は、取付金具1の一対の第2突出片4に対し、スリット6が形成された側ではなく、長孔5が形成された側に沿って配される。
そして、座金10は、一対の第3突出片12が、取付金具1の一対の第1突出片3の外側にそれぞれ重なるように配される。これにより、座金10は、取付金具1に対して曲がったりズレたりすることなく配置されることができる。
なお、上記目的を達成できれば、座金10の第3突出片12の内側は、取付金具1の第1突出片3の外側に当接していても、近接していれば当接していなくても構わない。
なお、座金本体11に切り欠き部13が形成されている場合には、一対の切り欠き部13が取付金具1の一対の第2突出片4とそれぞれ対向するように配される。
また、座金10が、取付金具1に対して最も端部側(第2突出片4に近づく側)に配される際には、取付金具1の一対の第2突出片4と、座金10の一対の切り欠き部13とが、それぞれ係合する。これにより、座金10を取付金具1に対して曲がったりズレたりすることなく配置することができる。
なお、座金10が第2突出片4と当接していればよく、座金本体11に切り欠き部13が形成されていなくても構わない。
これにより、取付金具1(本体部2)とパネル20との間隔を一定に、すなわち取付金具1(本体部2)がパネル20に対して略平行となるように、取付金具1を下地金物32に固定することができる。
そして特に、本発明の座金10では、座金本体11の取付金具と当接する面に、1つ以上の凸部15が設けられている。
特に、本実施形形態において、凸部15は、金属板の1辺、図3では、下地金物32と対向する、座金本体11の長辺に平行な方向(第1の方向)で、孔部14の中心を通る中心線CLに対し、下地金物32に対向する側とは反対側、すなわち下地金物32から遠くなる側に設けられている。
ここで、「凸部15が、孔部14の中心線CLに対し、下地金物32に対向する側とは反対側に設けられている」とは、凸部15の全体が、前記孔部14に対し前記反対側にある必要はなく、少なくとも凸部15の中心が、前記中心線CLに対し前記反対側にあればよいものとする。
図3に示す例では、切り欠き部13が設けられた側、図3(b)の上側が下地金物32に対向する側であるので、凸部15は、孔部14の中心線CLに対し、反対側である下側に設けられている。凸部15の大きさや数、配置は特に限定されるものではなく、1つであっても、2つ以上であってもよい。図3に示す例では、円形状の凸部15が孔部14の両側に1個ずつ配されている。
これらの凸部15は、例えば、半抜き加工により形成される。座金本体11の厚さと凸部15の高さの和(t3)は、下地金物32の厚さ以上となることが好ましい。凸部15が半抜き加工により形成される場合、t3の上限としては、座金本体11の厚さの1.5倍程度となる。
取付金具1は、本体部2の略中央部に設けられた長孔5を有しており、座金10は、座金本体11に設けられた孔部14を有している。そして、取付金具1の長孔5と座金10の孔部14とが重なるように配される。
そして、ボルト26の先端を、取付金具1の長孔5、および座金10の孔部14に挿通するとともに、パネル20に取り付けられたOナット25に螺嵌することによって、パネル20に取付金具1を、座金10を介して取り付ける。
また、パネル20と取付金具1との間に座金10が配されることで、取付金具1をパネル20に取り付けた状態において、埋込みアンカー(Oナット25)およびその埋設孔(座掘孔22)が、ボルト挿通孔(長孔5および孔部14)から見えにくいものとなり、美観性を損なわないものとなる。
なお、上述した実施形態では、座金10が金属板からなる場合を例に挙げて説明したが、本発明に係る座金10(スペーサー)は、金属板からなるものに限定されず、それ以外にも、例えば、硬質ゴム、プラスチック等を用いて構成されたものであってもよい。また、これらの材料の組み合わせであってもよい。
[壁パネルの取付工法および取付構造体]
つぎに、上述したような本発明の取付部材を用いた、壁パネルの取付工法および取付構造体について説明する。壁パネル(パネル20)は、例えば外壁パネルであるが、本発明はこれに限定されない。
なお、以下の説明では、壁パネルとして軽量気泡コンクリートパネルを用いた場合を例として挙げて説明しているが、本発明はこれに限定されるものではない。
本発明の壁パネルの取付工法は、本発明の取付部材を用いて、基本的には従来の壁パネルの取付工法と同様にして行うことができる。
壁パネルは、壁パネルの長辺方向が略鉛直となるように配置された縦壁パネルであってもよいし、または長辺方向が略水平となるように配置された横壁パネルであってもよい。
基本的には、取付金具1の長手方向と、パネル20の長辺方向とが一致するように、取付金具1はパネルに対して取り付けられる。
まず、本発明の取付部材によって建物躯体に取り付けられる壁パネル(パネル20)について説明する。
図5は、壁パネルの一構成例を示す部分断面図である。図6は、係止用金具の一構成例を示す斜視図である。
パネル20は特に限定されるものではなく、ここでは軽量気泡コンクリートパネルを例として示すが、一般に建築用パネルとして使用されている無機質系パネル、例えばセメント系の押出成形パネル等にも適用できる。またパネル表面は素地でも塗装を施してあってもよい。
パネル20の小口面から小口面に略垂直方向に長孔21が穿設され、パネル20の表面と長孔21とを連通するように、表面から略垂直に座掘孔22が穿設されている(図5参照)。
パネル20の小口面から長孔21に棒状あるいは管状の鋼材23が挿入され、パネル20の表面から座掘孔22に係止用金具24が挿入されている。パネル20内部において、鋼材23と係止用金具24が係合している。
この係止用金具24は、図6に示すように係合孔25aを有するOナット25、ボルト26及び座金27から構成されている。鋼材23はOナット25の係合孔25aに、パネル20の内部で係合されている。
パネル20の小口面にその面に略垂直方向に長孔21をあけ、パネル20表面からこの面と直角に達する座掘孔22をあけて連通する。長孔21と座掘孔22は、施工現場で汎用されている手持ちの電気ドリルで容易に穿設することができるが、パネル製造工程で予め穿設しておくことも可能である。次いで座掘孔22より係止用金具24のOナット25の係合孔25aを先にして長孔21に挿入し、鋼材23を長孔21から挿入して係合孔25aを貫通するように取り付ける。Oナット25は座掘孔22の外側に到達しない長さとする。
このOナット25の係合孔25aの径は鋼材23の外径とほぼ等しく、鋼材23が係合孔25aを貫通することにより、Oナット25と鋼材23は係合し、一体化される。鋼材23は1つのパネル20に、例えば上下複数の位置でそれぞれ水平に通し、係止用金具24を縦方向(パネル長手方向)に並べて取り付けて下地金物32を固定することができ、必要に応じて増やすことができる。
またOナット25は、パネル20内部の補強筋に溶接する等の方法で配置・固定してもよい。その場合、鋼材23や係合孔25aは省略することもできる。
<縦壁構法>
図7は、本発明の壁パネルの取付構造体(縦壁構法)の一構成例を示す斜視図であり、図8は断面図である。
壁パネルは、壁パネルの長辺方向が略垂直となるように配置された縦壁パネルである。
壁パネルの取付構造体は、上述した取付金具1を用いた壁パネルの取付構造体であって、本体部2の一端側において、第2突出片4が突出した側の面が下地金物32に接触し、一対の第2突出片4は、それぞれ側面部が下地金物32に当接するように、取付金具1が配されている。
取付金具1の一対の第2突出片4が、本体部2の長手方向端部からの距離が略同じ位置にあることで、下地金物32に取付部材を取り付ける際に、一対の第2突出片4の側面部を下地金物32の端部に突き当てることで、例えば金具を直接目視しにくい場所であっても、容易にかつ確実に、下地金物32に対して取付金具1を略直角に位置決めすることができる。また、一対の第2突出片4の側面部を下地金物32の端部に当接させることで、下地金物32へのかかり代が大きくなったり小さくなったりすることなく、一定の長さを確保できる。また、取付作業中の取付金具1のズレも防止される。
そして、本発明の壁パネルの取付構造体では、壁パネル(パネル20)と取付金具1との間に座金10が配されている。
上述したように、座金10の一対の第3突出片12が、取付金具1の一対の第1突出片3の外側にそれぞれ重なるように配される。
なお、座金本体11に切り欠き部13が形成されている場合には、一対の切り欠き部13が取付金具1の一対の第2突出片4とそれぞれ対向するように配される。
また、座金10が、取付金具1に対して最も端部側(第2突出片4に近づく側)に配される際には、取付金具1の一対の第2突出片4と、座金10の一対の切り欠き部13とが、それぞれ係合する。これにより、座金10を取付金具1に対して曲がったりズレたりすることなく配置することができる。
なお、座金10が第2突出片4と当接していればよく、座金本体11に切り欠き部13が形成されていなくても構わない。
取付金具1は、本体部2の略中央部に設けられた長孔5を有しており、座金10は、座金本体11に設けられた孔部14を有している。そして、取付金具1の長孔5と座金10の孔部14とが重なるように配される。
ここで、図9は、取付金具1および座金10をパネル20上に配した状態を示す図である。図10は、取付金具1および座金10をパネル20上に固定した状態を示す図である。そして、図11は、パネル20上に固定された取付金具1および座金10と下地金物32とを組み合わせた状態を示す図である。なお、図9~10では、取付金具1と座金10の凸部15との関係をわかりやすくするために、座金10の第3突出片12の図示は省略している。
本発明では、座金10の座金本体11において、凸部15が、孔部14の中心線CLに対し、下地金物32に対向する側とは反対側になるように設けられているため、座金10と取付金具1とを組み合わせたときに、座金10と取付金具1(本体部2)との接触面がアンバランスとなり、取付金具1のスリット6が設けられた側の端部が図9中下側に傾く。すなわち、座金本体11に設けられた凸部15を支点として、取付金具1(本体部2)がパネル20に対して非平行となる。
そして、ボルト26の先端を、取付金具1の長孔5、および座金10の孔部14に挿通するとともに、パネル20に取り付けられたOナット25に螺嵌することによって、パネル20に取付金具1を、座金10を介して取り付ける。取付金具1は、下地金物32に取り付けられる側がパネル20側に近接するように、パネル20の表面に対して傾斜した状態でパネル20に取り付けられる。これにより、取付金具1とパネル20との間隔は、下地金物32に固定される先端側の方が狭くなる。
また、パネル20と取付金具1との間に座金10が配されることで、取付金具1をパネル20に取り付けた状態において、埋込みアンカー(Oナット25)およびその埋設孔(座掘孔22)が、ボルト挿通孔(長孔5および孔部14)から見えにくいものとなり、美観性を損なわないものとなる。
そして、上記のように予めパネル20に取り付けられた取付金具1を下地金物32に当接させて、その取付金具1を下地金物32に溶接固定する。
図7、図8に示す例では、取付金具1は、本体部2の長手方向の一端側に形成されたスリット6を有し、取付金具1は、スリット6が形成された側において下地金物32に接触しており、スリット6の部分で下地金物32に溶接により固定される。
このとき、取付金具1の一対の第2突出片4が、本体部2の長手方向端部からの距離が略同じ位置にあることで、下地金物32に取付部材を取り付ける際に、一対の第2突出片4の側面部を下地金物32の端部に突き当てることで、例えば金具を直接目視しにくい場所であっても、容易にかつ確実に、下地金物32に対して取付金具1を略直角に位置決めすることができる(図4参照)。また、一対の第2突出片4の側面部を下地金物32の端部に当接させることで、下地金物32へのかかり代が大きくなったり小さくなったりすることなく、一定の長さを確保できる。また、取付作業中の取付金具1のズレも防止される。これによって、パネル20を建物躯体に取り付ける。
特に、本発明では、座金10の凸部15によって、取付金具1は、スリット6が形成された側の端部がパネル20側に近接するように、傾いた状態でパネル20に取り付けられており、取付金具1の先端とパネル20との間隔が狭くなっている(図10参照)。図11に示すように、この状態で取付金具1を下地金物32に当接させることで、取付金具1の先端とパネル20との間に、従来より強い力で挟み込むことができる。また、座金10と下地金物32との2点で取付金具1が接することで、取付金具1は安定した状態となる。
そして、この状態でボルト26で留め付けることで、取付金具1とパネル20とで下地金物32を挟み込んで十分に強い力で締め付けることができる。
これにより、パネル20を建て込む際に発生する衝撃によってパネル20の位置がずれてしまうことを防止することができ、施工性を向上することができる。
また、下地金物32の厚みが現場によって異なる場合であっても、取付金具1とパネル20とで下地金物32を挟み込んで十分に強い力で締め付けることができる。
<横壁構法>
図12は、本発明の壁パネルの取付構造体(横壁構法)の一構成例を示す斜視図である。
壁パネルは、壁パネルの長辺方向が略水平となるように配置された横壁パネルである。
まず、ボルト26の先端を、取付金具1の長孔5、および座金10の孔部14に挿通するとともに、パネル20に取り付けられたOナット25に螺嵌することによって、パネル20に取付金具1を座金10を介して取り付ける。このとき、座金10の凸部15によって、取付金具1は、スリット6が形成された側の端部がパネル20側に傾いた状態でパネルに取り付けられる。
図12は、取付金具1を用いて、パネル20を建物の構造躯体である柱30に取り付けた例を示す図である。
垂直方向に起立された構造躯体となる柱30の両側に、ピースアングル31を介して、断面L型の下地金物32を溶着して取り付ける。そして、上記のように予めパネル20に取り付けられた取付金具1を下地金物32に当接させて、その取付金具1をスリット6の部分で下地金物32に溶接固定する。
このとき、取付金具1の一対の第2突出片4が、本体部2の長手方向端部からの距離が略同じ位置にあることで、下地金物32に取付金具1を取り付ける際に、一対の第2突出片4の側面部を下地金物32の端部に突き当てることで、例えば金具を直接目視しにくい場所であっても、容易にかつ確実に、下地金物32に対して取付金具1を略直角に位置決めすることができる。また、一対の第2突出片4の側面部を下地金物32の端部に当接させることで、下地金物32へのかかり代が大きくなったり小さくなったりすることなく、一定の長さを確保できる。また、取付作業中の取付金具1のズレも防止される。取付金具1は、座金10の凸部15によって、スリット6が形成された側の端部がパネル20側に近接するように傾斜した状態でパネル20に取り付けられることで、取付金具1とパネル20とで下地金物32を挟み込んで十分に強い力で締め付けることができる。これによって、パネル20を柱30に取り付ける。
上述したような壁パネルの取付工法および取付構造体によれば、取付金具1の一対の第1突出片3により十分な強度を確保できる。また、一対の第2突出片4を下地金物32に当接させることにより、容易かつ確実に、下地金物32に対して取付金具1が略直角に取り付けられるとともに、下地金物32への取付金具1のかかり代を一定に確保することができ、施工性が向上する。
そして特に、本発明では、パネル20と取付金具1で下地金物32を確実に挟み込むことができ、パネル20を建て込む際に、発生する衝撃によってパネル20の位置がずれてしまうことを防止することができ、施工性を向上することができる。また、下地金物32の厚みが現場によって異なる場合であっても、取付金具1とパネル20とで下地金物32を挟み込んで十分に強い力で締め付けることができる。
図13及び図14は、座金の他の一構成例を示す図である。
上述した実施形態では、座金10として、図3に示したように、円形状の凸部15が孔部14の両側に1個ずつ配されている場合を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、図13に示すように、孔部14の中心線に対し、下地金物32に対向する側とは反対側(図(b)中下側)に、長形状の凸部15を1つ設けたものであってもよい。
また、上述した実施形態では、座金10として、図3に示したような、座金本体11が長方形状の場合を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、図14に示すように、座金本体11が略半円形状の座金10も用いることができる。もちろん、座金本体11の形状は、これ以外にも円形状、多角形状、それらを組み合わせた形状であってもよい。
[他の実施形態]
本発明に係る取付金具、座金および取付構造体は、以下に示すような実施形態とすることができる。
図15は、本発明の他の実施形態に係る取付部材に係る取付金具の一構成例を示す図であり、図16は、座金の一構成例を示す図である。
上述した実施形態では、座金10に凸部15を設けていたが、本実施形態では、取付金具1側に凸部9を設けている。
この場合、凸部9は、本体部2の壁パネル20と対向する側の面に設けられており、さらに、本体部2の略中央部に形成された長孔5に対し、下地金物32に対向する、スリット6が形成された側とは反対側、すなわち下地金物32から遠くなる側に設けられている。この凸部9は、後述する凸部8とは区別されるものである。
ここで、凸部9の位置について「長孔5に対し、下地金物32に対向する側とは反対側に設けられている」とは、(1)長孔5の先端部に挿入されるOナットの径の中心から、取付金具1の先端部との間、あるいは、(2)長孔5の先端部から、取付金具1の先端部との間、に凸部9が設けられていればよい。なお、「取付金具1、長孔5の先端部」とは、下地金物32に対向する側とは反対側の端部である。
これらの凸部9は、例えば、半抜き加工により形成される。座金本体11の厚さと凸部9の高さの和は、下地金物32の厚さ以上となることが好ましい。
図では、円形状の凸部9が長孔5の両側に1個ずつ配されている場合を示しているが、凸部9の形状はこれに限定されず、例えば、長形状の凸部9を1つ設けたものであってもよい。
取付金具1側に凸部9を設けた場合、座金10としては、図16に示すように、上述したような凸部15を有しないものを用いることができる。座金本体11の形状は、略長方形状のものに限定されず、円形状、多角形状、それらを組み合わせた形状であってもよい。
ここで、図17は、取付金具1および座金10をパネル20上に配した状態を示す図である。なお、図17では、取付金具1の凸部9と座金10との関係をわかりやすくするために、座金10の第3突出片12の図示は省略している。
本実施形態では、座金10の座金本体11において、凸部9が、長孔5に対し、下地金物32に対向する側とは反対側になるように設けられているため、座金10と取付金具1とを組み合わせたときに、座金10と取付金具1(本体部2)との接触面がアンバランスとなり、取付金具1のスリット6が形成された側の端部が図15中下側に傾く。すなわち、座金本体11に設けられた凸部15を支点として、取付金具1(本体部2)がパネル20に対して非平行となる。
そして、この状態でボルト(図示略)で留め付けることで、取付金具1は、凸部9によって、スリット6が形成された側の端部がパネル20側に近接するように、傾いた状態でパネル20に取り付けられる。
これにより、取付金具1とパネル20とで下地金物32を挟み込んで十分に強い力で締め付けることができる。
これにより、パネル20を建て込む際に発生する衝撃によってパネル20の位置がずれてしまうことを防止することができ、施工性を向上することができる。
また、下地金物32の厚みが現場によって異なる場合であっても、取付金具1とパネル20とで下地金物32を挟み込んで十分に強い力で締め付けることができる。
図18は、取付金具の他の実施形態を示す図である。
図1に示した取付金具1では、一対の第1突出片3は、それぞれ、金属板の長辺方向の全長に亘って曲げ加工されていたが、図18に示す取付金具1A(1)では、一対の第1突出片3は、金属板の長辺方向の一部のみが曲げ加工されたものである。第1突出片3の端部は、下地金物32に接触する側からの距離が、長孔5の長手方向中央と略同じ距離にある。
第1突出片3の、下地金物32に接触する側とは反対側の端部において、第1突出片3による立ち上がり部分を無くしたことで、取付金具1A(1)を下地金物32に取り付けるときに、取付金具1B(1)を側面側から見た場合に、Oナットが見やすくなる。これにより梁中など狭い空間でも施工しやすくなり、作業性が向上する。
図19は、取付金具の他の実施形態を示す図である。
この取付金具1B(1)は、突出部として、金属板の一部が舌状に切りかかれて、舌状部分が第1突出片3の曲げ方向とは反対側に曲げ加工されてなる、一対の第2突出片7を備えている。一対の第2突出片7は、本体部2の第2の方向の下地金物32に接触する側の端部からの距離が略同じ位置にある。
図1に示した取付金具1では、第2突出片4は金属板の外側部分において切り欠かれており、第1突出片3と第2突出片4とは略同一平面上にあるが、図19に示す取付金具1B(1)では、第2突出片7は金属板の内側部分において切り欠かれており、第1突出片3と第2突出片7とは略同一平面上にはない。
この取付金具1B(1)では、取付金具1B(1)を回転させて下地金物32に取り付けるとき、下地金物32と第2突出片7とが干渉しにくくなり、作業性を向上することができる。
また、一対の第2突出片7が、本体部2の長手方向端部からの距離が略同じ位置にあることで、下地金物32へのかかり代として一定の長さを確保できる。
図20は、取付金具の他の実施形態を示す図である。
図1に示した取付金具1では、突出部として、金属板の一部が舌状に切りかかれて、舌状部分が第1突出片3の曲げ方向とは反対側に曲げ加工されてなる、一対の第2突出片4を備えていたが、図20に示す取付金具1C(1)では、突出部は、本体部の内側部分で、第1突出片3の曲げ方向とは反対側に凸になるように、リブ加工又は半抜き加工により設けられた凸部8である。
突出部として、リブ加工又は半抜き加工により設けられた凸部8を有することで、取付金具1C(1)を回転させて下地金物32に取り付けるとき、下地金物32と凸部8とが干渉しにくくなり、作業性を向上することができる。
図20に示す例では、リブ加工により2つの凸部8を設けている。2つの凸部8は、本体部2の第2の方向の下地金物32に接触する側の端部からの距離が略同じ位置にある。これにより、下地金物32へのかかり代として一定の長さを確保できる。
なお、突出部として、図21(a)に示すように、長めの1つの凸部8を設けてもよいし、図21(b)に示すように、ドット状の凸部8を複数、設けてもよい。
また、図20~図21に示したように、取付金具が、突出部としてリブ加工又は半抜き加工により設けられた凸部8を有する場合、凸部8の高さが、下地金物32の厚さに足らない場合であっても、壁パネル(パネル20)と取付金具1との間に、座金10を配することで、取付金具1を下地金物32に固定することができる(後述する図20参照)。
本発明に係る取付部材において、取付金具は、金属板からなる略平坦な本体部と、本体部の略中央部に形成された長孔とを有していればよく、また、座金は、金属板からなる略平坦な座金本体と、座金本体に形成された孔部と、凸部とを有していればよい。
図22は、取付金具の他の実施形態を示す図である。
例えば、上述した実施形態では、取付金具は、金属板の一主面に対し同じ側で略垂直にそれぞれ曲げ加工されてなる一対の第1突出片3と、一対の第1突出片3の間に配された略平坦な本体部2とを有していたが、第1突出片3を有しないものであってもよい。
すなわち、取付金具は、矩形状の金属板としての本体部2を有し、本体部2の一主面から略垂直に突出する突出部を有するものであってもよい。突出部として、ここでは、リブ加工又は半抜き加工により設けられた凸部8を有する場合を例として示している。凸部8の形状は、図20に示したものと同様の形状とした場合を示しているが、図21(a)に示すような長形の凸部8であってもよいし、図21(b)に示すようなドット状の凸部8であってもよい。
また、上述した実施形態では、座金は、金属板の一主面に対し同じ側で略垂直にそれぞれ曲げ加工されてなる一対の第3突出片12と、一対の第3突出片12の間に配された略平坦な座金本体11とを有していたが、第3突出片12を有しないものであってもよい。
図23は、壁パネルの取付構造体の他の一構成例を示す図である。
取付金具が、突出部としてリブ加工又は半抜き加工により設けられた凸部8を有する場合、凸部8の高さが、下地金物32の厚さに足らない場合であっても、壁パネル(パネル20)と取付金具1との間に、第3突出片12を有しない座金本体11からなる座金(平座金)を配することで、取付金具1を下地金物32に固定することができる。
なお、本発明の範囲は、上述したような壁パネルの取付工法を備えた建物の建築工法にも及ぶものとする。
また、本発明の範囲は、上述したような壁パネルの取付構造体を備えた建物にも及ぶものとする。
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明はこれに限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上述した実施形態では、取付金具1の本体部2として、図1に示したような、下地金物に突き合わされる側と反対側の端部の形状は略矩形状である場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、本体部において下地金物に突き合わされる側と反対側の端部は、湾曲した形状であったり、角が大きく面取りされた形状であってもよい。
本発明による取付金具を用いることで、加工が容易であるとともに、下地金物に対して取付金具を略直角に取り付けられるとともに、下地金物への取付金具のかかり代を一定に確保でき、施工性が向上したものとなり、壁パネルを取り付けるための取付金具、壁パネルの取付構造体、建物および壁パネルの取付工法として広く利用することができる。
1:取付金具
2:本体部
3:第1突出片
4:第2突出片(突出部)
5:長孔
6:スリット
7:第2突出片(突出部)
8:凸部(突出部)
9:凸部
10:座金
11:座金本体
12:第3突出片
13:切り欠き部
14:孔部
15:凸部
20:パネル
21:長孔
22:座掘孔
23:鋼材
24:係止用金具
25:Oナット
25a:係合孔
26:ボルト
27:座金
30:柱
31:ピースアングル
32:下地金物

Claims (10)

  1. 建築物の建物躯体に固定された下地金物に壁パネルを取り付けるための壁パネルの取付部材であって、
    取付金具と、該取付金具と前記壁パネルとの間に配される座金とを有し、
    前記取付金具は、金属板からなる略平坦な本体部と、
    前記本体部の略中央部に形成され該取付金具を前記壁パネルに固定するためのボルトが挿通される長孔と、を有し、
    前記座金は、略平坦な座金本体と、
    前記座金本体に形成された前記取付金具を該座金を介して前記壁パネルに固定するためのボルトが挿通される孔部と、
    前記座金本体の前記取付金具と当接する面に設けられた1つ以上の凸部と、を有し、
    前記凸部は、前記座金本体の前記下地金物と対向する1辺に略平行な第1の方向で前記孔部の中心を通る中心線に対し、前記下地金物から遠くなる側に設けられている、壁パネルの取付部材。
  2. 建築物の建物躯体に固定された下地金物に壁パネルを取り付けるための壁パネルの取付部材であって、
    取付金具と、該取付金具と前記壁パネルとの間に配される座金とを有し、
    前記取付金具は、金属板からなる略平坦な本体部と、
    前記本体部の略中央部に形成され該取付金具を前記壁パネルに固定するためのボルトが挿通される長孔と、
    前記本体部の前記壁パネルと対向する側の面に設けられた1つ以上の凸部と、を有し、
    前記凸部は、前記長孔に対し、前記下地金物から遠くなる側に設けられており、
    前記座金は、略平坦な座金本体と、
    前記座金本体に形成された前記取付金具を該座金を介して前記壁パネルに固定するためのボルトが挿通される孔部と、を有する、壁パネルの取付部材。
  3. 前記取付金具は、金属板が曲げ加工されてなり、
    前記金属板の1辺に略平行な第1の方向の両端部において、該第1の方向と直交する第2の方向の少なくとも一部が、該金属板の一主面に対し同じ側で略垂直にそれぞれ曲げ加工されてなる一対の第1突出片と、
    一対の前記第1突出片の間に配された略平坦な前記本体部とを有する、請求項1または2に記載の壁パネルの取付部材。
  4. 前記座金は、金属板が曲げ加工されてなり、
    前記金属板の前記1辺に略平行な前記第1の方向の両端部において、該金属板の一主面に対し同じ側で略垂直にそれぞれ曲げ加工されてなる一対の第3突出片と、
    一対の前記第3突出片の間に配された略平坦な前記座金本体と、を有し、
    該座金の一対の前記第3突出片が、前記取付金具の一対の前記第1突出片の外側にそれぞれ重なるように配される、請求項3に記載の壁パネルの取付部材。
  5. 前記取付金具は、前記金属板の一部が舌状に切りかかれて、該舌状部分が前記第1突出片の曲げ方向とは反対側に曲げ加工されてなる、一対の第2突出片を有し、
    一対の前記第2突出片は、前記本体部の前記第2の方向の前記下地金物に接触する側の端部からの距離が略同じ位置にある、請求項3に記載の壁パネルの取付部材。
  6. 前記取付金具は、前記本体部の前記下地金物に接触する側の端部に形成されたスリットを有し、
    該取付金具は、前記スリットの部分で前記下地金物に溶接により固定される、請求項1または2に記載の壁パネルの取付部材。
  7. 建築物の建物躯体に固定された下地金物に、請求項1または2に記載の取付部材を用いて壁パネルが取り付けられてなり、
    前記取付金具は、前記下地金物に取り付けられる側が前記壁パネル側に近接するように、前記壁パネルの表面に対して傾斜した状態で、前記壁パネルに取り付けられる、壁パネルの取付構造体。
  8. 前記壁パネルは、該壁パネルの長辺方向が略鉛直となるように配置された縦壁パネル、または略水平となるように配置された横壁パネルである、請求項7に記載の壁パネルの取付構造体。
  9. 請求項7に記載の壁パネルの取付構造体を備えた建物。
  10. 請求項1または2に記載の取付部材を用いる、壁パネルの取付工法。
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