JP4381882B2 - 固定具 - Google Patents

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本発明は、例えば、建築用のH形鋼とC形鋼等を固定するための固定金具に関する。
建築現場においては、H形鋼等により骨組を構築した後に、壁部材、天井部材等を骨組に接合させて構築する。そして、H形鋼による骨組みに沿って壁部材を設ける場合においては、一般に、H形鋼に短いリップ溝形鋼(C形鋼)等を溶接して取付けた後に、壁部材をC形鋼に沿って形成する。
高温のアーク等を用いる溶接加工においては、安全確保に注意が必要であり、また持ち込まれる工具等により、限られた作業現場のスペースを塞ぐ原因となる。さらに、溶接によるH形鋼、C形鋼等の建築部材の固定においては、固定具による機械的な固定に比べて取付け箇所の強度が低い場合や均等でない場合があり、また一度固定した後の設計変更が困難である。
本発明は、H形鋼とC形鋼等の形鋼同士を容易にかつ強固に固定し、作業の効率と安全性を高めるための固定具を提供することを目的とする。
本発明の固定具は、第1の平面に沿って延び、切欠を有する本体部と、本体部から第1の平面に垂直な第2の平面に沿って延びるフランジ部と、第1の平面に沿って、本体部から切欠に向かって膨出し、本体部との間に第1の溝を形成する第1膨出部と、第1の平面及び第2の平面に垂直に、本体部からフランジ部に対向する側に膨出し、第1膨出部との間に第2の溝を形成する第2膨出部と、フランジ部に螺合するボルトと、ボルトをフランジ部に対して固定するためにボルトに螺合された第1ナットとを備えている。
ボルトは、先端部に押圧部材を有することが好ましく、押圧部材は、例えば円板状の押圧面を有する。また、押圧部材は、ボルトに対して変位自在に連結されていることが好ましい。
フランジ部には、ボルトが螺合するための第2ナットが固着されることが望ましい。
本体部には、ビス穴が形成されていることが好ましい。ビス穴は、フランジ部を上側にした状態において、第1及び第2の溝と同じ高さ位置にあることがより好ましい。
第1及び第2膨出部の少なくとも一方は、フランジ部側の端部において面取りされていることが好ましい。
ボルトと第2膨出部とは、互いに対向する位置にあることが望ましい。
本体部とフランジ部と第1及び第2膨出部は、1枚の板を切断し、曲げ加工することにより成形されることが好ましい。
固定具は、例えば、第1の溝もしくは第2の溝に第1の形鋼の縁を係合させ、第1及び第2膨出部が、第1の形鋼を押圧し、ボルトが、第1及び第2膨出部とは反対の方向から第2の形鋼を押圧することにより、少なくとも一方が切欠を通るように配置された第1の形鋼と第2の形鋼とを連結して固定する。
本発明によれば、H形鋼とC形鋼等の形鋼同士を容易にかつ強固に固定し、作業の効率と安全性を高めるための固定具を実現できる。
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。図1は、固定具10を示す斜視図である。図2は、図1の背面側から見た固定具10の正面図である。図3は、図1の右側から見た固定具10の側面図である。
固定具10は、C形鋼とH形鋼等(図示せず)を連結し、固定するために用いられる金具である。固定具10は、切欠16を有する板状の本体部12と、本体部12の端部から、本体部12に垂直に延びるフランジ部14とを含む。そして、板状の第1膨出部18が、本体部12に沿って、本体部12から切欠16に向かって延びており、第1膨出部18と本体部12との間には、第1の溝20が形成されている。さらに、本体部12とフランジ部14のいずれにも垂直な方向に、フランジ部14に対向するように本体部12から膨出する板状の第2膨出部22が設けられており、第1膨出部18と第2膨出部22との間には、第2の溝24が形成されている。また、本体部12には、形鋼の固定のためのビス穴26が設けられている。ビス穴26は、フランジ部14を上側にした状態において、第1及び第2の溝20、24と同じ高さ位置にある。
第1膨出部18と第2膨出部22には、フランジ部14側の端部に、形鋼を保持するための第1及び第2上端面36、38がそれぞれ形成されている。第1及び第2上端面36、38は、いずれもフランジ部14に平行で、かつボルト28の回転軸に垂直である。そして、第1膨出部18は、第1上端面36を含む第1の溝20側の角部が面取りされている。同様に、第2膨出部22も、第2上端面38を含む第2の溝24側の角部が面取りされている。
固定具10は、フランジ部14に螺合するボルト28と、ボルト28をフランジ部14に対して固定するためにボルト28に螺合された第1ナット30とを有する。ボルト28は、先端部に、形鋼を押圧するためのパット32を有している。
パット32の先端部には、形鋼を押圧するための円板状の押圧面34が設けられている(図2参照)。パット32は、ボルト28に対して変位自在に連結されている。すなわち、パット32は、ボルト28の軸を中心とした首振りが可能である。また、フランジ部14には、ボルト28の先端側に、ボルト28が螺合するための第2ナット40が固着されている。第2ナット40は、フランジ部14に溶接されており、ボルト28は、フランジ部14のみに螺合する場合に比べて、より強固に形鋼を固定することができる。また、第2膨出部22の第2上端面38は、ボルト28の延長線上にあり、パット32の押圧面34と第2上端面38とは、互いに対向する。すなわち、ボルト28が、フランジ部14に垂直な方向(矢印A)に移動することにより、押圧する形鋼の厚さに応じて、押圧面34と第2上端面38との距離が調整される。
本体部12、フランジ部14、第1及び第2膨出部18、22は、単一の板状構造であるため、固定具10は、1枚の板を切断し、曲げ加工することにより成形される。
図4は、互いに直交する方向に固定されるC形鋼とH形鋼との配置を概略的に示す図である。図5、6は、C形鋼とH形鋼とが互いに直交するように固定する固定具10を示す側面図である。
図4に示すように、C形鋼50とH形鋼60が互いに垂直な方向を向くように固定する場合、固定具10は、以下に示す2通りの方法で、C形鋼50の上フランジ部52とH形鋼60のフランジ62とが接するように、2つの形鋼を連結、固定することができる。
図5を参照して、第1の固定方法を説明する。固定具10は、C形鋼50の上フランジ部52及びリップ54が切欠16を通るように、かつH形鋼60のフランジの端部が本体部12に接するように、そしてC形鋼50のリップ54を第1の溝20に係合させるように配置される(以下、第1の配置という)。固定具10は、第1膨出部18及び第2膨出部22が下側からC形鋼50の上フランジ部52を押圧し、パット32がH形鋼60のフランジ62を上側から押圧することにより、C形鋼50とH形鋼60とを連結させて固定する。この場合、固定具10は、本体部12と第2膨出部22が、いずれもリップ54に対して傾斜するように配置される。
パット32が押圧面34を有するために、H形鋼60のフランジ62との接触面積が、ボルトの先端面(図示せず)のみが接触する場合よりも大きくなることから、固定具10は、H形鋼60を強固に固定することが可能である。また、パット32が、ボルト28に対して変位自在に連結されているため、フランジ62表面の多少の凹凸に対応しながら効率的に押圧することが可能である。
第1の配置においては、図5と同様に配置されたC形鋼50とH形鋼60とを固定するために第2の溝24にリップ54を係合させた場合(以下、第2の配置という。図6参照)に比べて、固定具10は、C形鋼50とH形鋼60とをより強く連結させ、固定することができる。これは、第1の配置においては、第2の配置と異なり、第2膨出部22の第2上端面38のみならず、第1膨出部18の第1上端面36もC形鋼50の上フランジ部52を押圧しながらC形鋼50を保持するためである。ただし、第1の配置においては、ビス穴26はリップ54から離れるため、ビスを用いて、C形鋼50をより強く固定することはできない。
図6を参照して、第2の固定方法(第2の配置)を説明する。第2の配置において、固定具10は、第2膨出部22のみが下側からC形鋼50の上フランジ部52を押圧し、パット32がH形鋼60のフランジ62を上側から押圧する。この場合、固定具10は、本体部12がリップ54に重なるように配置される。そして、第1上端面36がC形鋼50の上フランジ部52に接することはないため、第1膨出部18は形鋼の固定に寄与しない。従って、第2の配置における固定具10による固定強度は、第1の配置における場合よりも低い。
しかしながら、第2の配置においては、本体部12がC形鋼50のリップ54に接するために、ビス穴26を介したビス(図示せず)によって、C形鋼50をより強く固定することができる。ビス穴26は、同一平面上にある第1上端面36と第2上端面38とを延長した延長面のわずかに下側に形成されており、ビス穴26を通ってリップ54に達するビスは、固定具10によるC形鋼50の固定を補助する。
図7は、C形鋼50とH形鋼60とが互いに直交する状態で連結する固定具10を示す斜視図である。図7において、右側の固定具10は第1の配置を示し、左側の固定具10は第2の配置を示す。
図8、9は、C形鋼50とH形鋼60が平行に配置される場合を概略的に示す図である。
固定具10は、C形鋼50とH形鋼60が平行な状態で固定する場合、以下に示すように配置されて、形鋼を連結、固定する。すなわち、固定具10は、C形鋼50の上フランジ部52及びリップ54と、H形鋼60のフランジ62とが、いずれも切欠16を通るように、かつH形鋼60の端部が本体部12に接するように、そしてC形鋼50のリップ54を第1の溝20に係合させるように配置される(以下、第3の配置という。図9参照)。
第3の配置においては、固定具10は、第1の配置と同様に、第1膨出部18及び第2膨出部22が下側からC形鋼50の上フランジ部52を押圧し、パット32がH形鋼60のフランジ62を上側から押圧することにより、C形鋼50とH形鋼60とを連結させて固定する。
なお、C形鋼50においては、上フランジ部52とリップ54とが厳密には直交しておらず、上フランジ部52とリップ54とが接する内側の領域に、肉厚なコーナー部56があるため、第1及び第2膨出部18、22は、第1及び第2の溝20、24側がそれぞれ面取りされている。
以上のように、本実施形態によれば、溶接作業などの特別な作業を必要とせず、C形鋼50とH形鋼60等の形鋼を強固に、かつ取り外し容易に固定する固定具が実現される。
パット32は、H形鋼60のフランジ62との接触面積を大きくし、H形鋼60を強固に固定することを可能にするが、ボルト28の先端面のみの接触で十分な固定強度が得られる場合、設けられなくても良い。また、ボルト28の先端は、形鋼表面との間のずれを防止するために、先細り形状に加工しても良い。
固定具を示す斜視図である。 固定具を示す正面図である。 固定具を示す側面図である。 互いに直交する状態で連結されるC形鋼とH形鋼との配置を概略的に示す図である。 C形鋼とH形鋼とが互いに直交するように固定する、第1の例における固定具を示す側面図である。 C形鋼とH形鋼とが互いに直交する状態で固定する、第2の例における固定具を示す側面図である。 C形鋼とH形鋼とが互いに直交する状態で固定する固定具を示す斜視図である。 平行に配置されて固定されるC形鋼とH形鋼を概略的に示す図である。 平行に配置されたC形鋼とH形鋼を固定する固定具を示す側面図である。
符号の説明
10 固定具
12 本体部
14 フランジ部
16 切欠
18 第1膨出部
20 第1の溝
22 第2膨出部
24 第2の溝
26 ビス穴
28 ボルト
30 第1ナット
32 パット(押圧部材)
34 押圧面
36 第1上端面
38 第2上端面
40 第2ナット
50 C形鋼(第1の形鋼)
54 リップ(縁)
60 H形鋼(第2の形鋼)

Claims (11)

  1. 第1の平面に沿って延び、切欠を有する本体部と、
    前記本体部から前記第1の平面に垂直な第2の平面に沿って延びるフランジ部と、
    前記第1の平面に沿って、前記本体部から前記切欠に向かって膨出し、前記本体部との間に第1の溝を形成する第1膨出部と、
    前記第1の平面及び前記第2の平面に垂直に、前記本体部から前記フランジ部に対向する側に膨出し、前記第1膨出部との間に第2の溝を形成する第2膨出部と、
    前記フランジ部に螺合するボルトと、
    前記ボルトを前記フランジ部に対して固定するために前記ボルトに螺合された第1ナットと
    を備えることを特徴とする固定具。
  2. 前記ボルトが、先端部に押圧部材を有することを特徴とする請求項1に記載の固定具。
  3. 前記押圧部材が、円板状の押圧面を有することを特徴とする請求項2に記載の固定具。
  4. 前記押圧部材が、前記ボルトに対して変位自在に連結されていることを特徴とする請求項2に記載の固定具。
  5. 前記フランジ部に、前記ボルトが螺合するための第2ナットが固着されることを特徴とする請求項1に記載の固定具。
  6. 前記本体部に、ビス穴が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の固定具。
  7. 前記ビス穴が、前記フランジ部を上側にした状態において、前記第1及び第2の溝と同じ高さ位置にあることを特徴とする請求項6に記載の固定具。
  8. 前記第1及び第2膨出部の少なくとも一方が、前記フランジ部側の端部において面取りされていることを特徴とする請求項1に記載の固定具。
  9. 前記ボルトと前記第2膨出部とが、互いに対向する位置にあることを特徴とする請求項1に記載の固定具。
  10. 前記本体部と前記フランジ部と前記第1及び第2膨出部が、1枚の板を切断し、曲げ加工することにより成形されることを特徴とする請求項1に記載の固定具。
  11. 前記第1の溝もしくは前記第2の溝に第1の形鋼の縁を係合させ、前記第1及び前記第2膨出部が、前記第1の形鋼を押圧し、前記ボルトが、前記第1及び前記第2膨出部とは反対の方向から第2の形鋼を押圧することにより、少なくとも一方が前記切欠を通るように配置された前記第1の形鋼と前記第2の形鋼とを連結して固定することを特徴とする請求項1に記載の固定具。

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