JP6950915B2 - 外装パネルの取付構造、及び取付方法 - Google Patents
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Description
特許文献2は、外壁構造の施工方法に関し、ALCパネル等の下地の表面に仕上げ材として外装材を敷設することが記載されている。
加えて構造材の開口部を基準とし、後述する図2(b)や図2(d)〜(g)のように開口部を上にして配置した場合に、その右方向を内側(内方)とし、その左方向を外側(外方)とする。
但し、これらの表記は、前述のように説明の簡易化を目的としたものであって、実際の配設状態における位置関係を限定するものではない。
そして、前記外装パネルは、最表側に外装材が、その内側に少なくとも一層の下地層が積層されてなり、前記外装材には、裏面側に、前記下地層を貫通する連結部材の頭部を保持する、又は連結部材の先端を接続するナットを収容する定着部が形成され、前記連結部材は、その基端に外側へ拡幅するフランジ部が設けられ、前記構造材に取り付けた前記取付具の両立面部に、前記固定ボルトを貫通させると共に、該固定ボルトを前記連結部材に接続させて締め付け固定できる。
本発明に用いる構造材は、前述のように内側フランジから内側延設片が、外側フランジから外側延設片がそれぞれ開口部に臨む部位を備える形鋼であり、後述する図示実施例に用いたリップ溝形鋼(C型鋼)でも、リップH形鋼でもよい。このうち、リップ溝形鋼は、主に母屋、梁等に用いられている軽量形鋼であり、C型鋼又はシーチャンネルとも呼称され、横片状のウエブ部の内外にそれぞれフランジが直交状に形成され、内方に位置する内側フランジの先端には外向き片(内側延設片)が形成され、外方に位置する外側フランジの先端には内向き片(外側延設片)が形成されている。なお、前述のように、これらの部位の内外は、説明の簡易化を目的としたものであって、実際の配設状態における内外関係を限定するものではない。
本発明に用いる取付具は、前述のように組付状態において構造材の開口部から構造材の内側延設片、外側延設片のそれぞれに係合する内方係合溝、外方係合溝と、開口部の上方に配設されて固定ボルトを貫通させる内方立面部、外方立面部と、該両立面部を連結する連結部とを備える。
前記構成の構造材に対し、この取付具を取り付けるには、後述する図示実施例(図3)に示すように、まず、何れか一方の端部のみが構造材の開口部内に位置するように傾斜状に臨ませ、その一方の端部に形成した係合溝を係合させ、次に係合溝を次第に深く係合させつつ、他方の端部を開口部に押し込むように取り付けるようにしてもよい。
この態様において、何れか一方の係合溝を他方より深く形成しておくことが望ましく、例えば内方係合溝を外方係合溝よりも深く形成した場合には、まず内方係合溝が構造材の内側延設片に係合するように傾斜状に臨ませ、外方端部を開口部に押し込むようにすると、容易に施工することができる。また、この場合、固定ボルトの締め込みにより、外方係合溝が外側延設片に押し付けられるように配置することが望ましい。
即ち構造材に対して取付具を傾倒状に臨ませ、内外の端部を構造材の開口部内に没入状に位置させ、次に例えば外方係合溝のうち、左側又は右側を構造材の外側延設片にあてがい、回転の支点とする。そして、取付具を略水平状に保ちつつ回転(回動)させ、構造材の内側延設片に取付具の左右の内方係止溝を係合させると共に、外側延設片に左右の外方係止溝を係合させて取り付けるようにしてもよい。
この取付具が金属板材等の材料にて構成されるケースについて説明すると、例えば側面部の構造材側の端部を突出させて係合溝の外方部分を形成し、立面部の下端を折曲した折曲片が内方部分を形成する態様でもよい。
また、外方係合溝は、組付状態において取付具の側面部の端縁に切り込みを入れて係合溝を形成する態様でもよい。この態様は、係合溝が側面部に対して直交状に形成され、強度が高いものなる。
さらに、両係合溝は、組付状態において取付具の立面部の下端を高さを変えて折曲した二つの折曲片間が係合溝を形成する態様でもよい。この態様は、容易に加工でき、使用する材料が少なくてよい。
本発明に用いる固定ボルトは、前記取付具の両立面部を貫通すると共に外装パネルの下地層を貫通する連結部材に接続させて締め付け固定する棒状部材である。この固定ボルトとしては、一方端に頭部が形成され、他方側に雄螺子部が形成される一般的なボルトを用い、他方側の雄螺子部を連結部材に締め付けるようにしてもよいし、或いは両端が雄螺子部で形成されるスタッドボルトを用い、何れか一方の端部にナットを締め付けるようにしてもよい。
本発明に用いる外装パネルは、最表側に外装材が、その内側に少なくとも一層の下地層が積層されてなり、該下地層には、連結部材が貫通する貫通孔が形成される。
外装表面、即ち最表側に配される外装材は、金属板材等からなり、下地層を貫通する連結部材の頭部を保持可能な、又は先端を接続可能な定着部を有するものであればよい。前記定着部は、後述する図示実施例に示すように、側方が開放する空間を形成する略コ字状に形成されることが望ましく、例えばナット等の連結部材の先端を接続可能な部材を保持するものもよい。
この外装材としては、面板部の左右の側縁のうち、一方の側縁に定着部と接続部とを設け、他方の側縁に接続受部を設け、接続部と接続受部は定着部の内部空間にて接続可能であり、隣接する外装材の接続部と接続受部を接続すると共に定着部表面を塞ぐ構成が挙げられ、一種の外装材を用いる構成でもよいし、後述する図示実施例のように定着部を備える外装材と定着部を備えない外装材との二種以上を併用するようにしてもよい。
また、前記面板部は、略平坦状であっても、表面側或いは裏面側等に凹凸を形成した波状であってもよい。
外装材の裏面側、即ち下地層側に定着部を設けるので、実質的に定着部内に連結部材の先端(頭部)や取り付けたナット等を締め付けに要する工具等を挿入できないため、連結部材の先端(頭部)又は取り付けたナットの共周りを防止するように形状構成を備えることが望ましい。
前記外装材の内側(裏面側)に積層される下地層は、断熱性能や防火性能等を有する少なくとも一層からなり、連絡部材が貫通する貫通孔を備えている。このような下地層を構成する下地材としては、所定の肉厚を必要とする各種の合成樹脂発泡体でもよいし、石膏ボード、或いはPCパネルやALCパネル、それ以外の防火材や耐火材等の無機材料でもよいし、前記外装材の一面(片面)に予め一体化された構成でもよいし、或いは別体で準備されるものでもよい。また、後述する図示実施例のように複数の性能を有するもの、異なる性能のボード等を併用(積層)したもの、あるいは複数の性能を有する積層板であってもよいでもよい。
更に、この下地層に設けられる貫通孔は、前記外装材の定着部に至る(連通する)ものである。
なお、この下地層は、敷設状態で前記外装材本体と一体化されるものであればよく、例えば接着剤等を用いて外装材と予め或いは施工時に接着されていてもよいし、係合等により物理的に離反しないように固定されていてもよいし、特にこれらに限定するものではなく、配設以前には別体であって施工時に単に重ね合わせて積層状態とするものでもよい。
本発明に用いる連結部材は、前記外装パネルの下地層を貫通するものであって、前記外装材の定着部に至る一方端には、定着部に保持される頭部を備えるか、定着部に保持されるナットに螺合する雄螺子部が形成されるか、定着部に保持される小ボルトに螺合する雌螺子部が形成されるかの何れかを備え、前記下地層側に位置する他方端には前記固定ボルトが螺合する雌螺子部が形成される部材である。このような連結部材としては、後述する図示実施例では既に市場に供されている特殊高ナットを用いている。
この特殊高ナットは、その雄螺子部を定着部に形成した雌螺子部に螺合させることができ、その雌螺子部を前記固定ボルトの先端を螺合させることができるものであって、外装材側に比べて下地層側を太く形成しているため、その雄螺子部を定着部に形成した雌螺子部に螺合させた状態で太径部分が抜けを防止するため、外装パネルの安定な一体化が図れる。
なお、連結部材としては、前記特殊高ナットのような一部材に限定されるものではなく、例えば両端が雄螺子部で形成されるスタッドボルトの一端に高ナットを取り付けた(固定した)複数部材を組み合わせて用いる構成でもよい。また、この連結部材は、前記下地層の厚みに応じて長さを変更すればよく、使用する下地材の厚みに応じて適宜に変更すればよい。
そのため、本発明では、構造材への溶接作業もボルトを挿通させるための穿孔作業も不要であり、構造材に簡易かつ確実に取付具及び外装材を取り付けることができる。
また、取り付ける前記外装パネルは、最表側に外装材が、その内側に下地層が積層されてなり、前記外装材には、裏面側に、前記下地層を貫通する連結部材の頭部を保持する、又は連結部材の先端を接続するナットを収容する定着部が形成されているので、例えば外装パネルの外面側からの締め込み作業等を必要としないので、外装パネルの外面側に立設させる足場等も不要となる。また、前記連結部材は、その基端に外側へ拡幅するフランジ部が設けられているため、このフランジ部は、下地層の内側への脱離を防止する役割を果たし、外装材と下地層とは一体的に接続され、その間に挟まれる状態で外装パネルは一体化される。
しかも、本発明に使用する取付具は、構造材への取付作業において、工具の使用を最小限とし、叩き込み等の作業も必要ないため、「音」の発生が極めて少なく、近隣への配慮がなされた工法を実施できる。
これらの前記第1、第2、前記第3の工程は、何れも前述のように極めて容易に行うことができ、全ての作業は外装内面側からの作業にて行われるので、外装表面側に足場を立てる必要がなく、そのためのスペースやコストを抑えることができる。
前記外装パネル5は、最表側に外装材6が、その内側に少なくとも一層の下地層7が積層されてなり、前記構造材2に取り付けた前記取付具1の両立面部12,13に、固定ボルト4を貫通させると共に、該固定ボルト4を前記外装パネル5の下地層7を貫通する連結部材8に接続させて締め付け固定してなる。
この第1実施例では、前記外装材6として、下地層7を貫通する連結部材8の先端を定着(保持)させる定着部62を有する外装材6Aと、有しない外装材6Bとの二種を用いている。
また、前記下地層7として、前記外装材6と接する外側に位置して合成樹脂発泡体からなる断熱材7Aと、内側に位置するALCパネル7Bとからなる。
前記外装材6Bは、同図に示すように面板部61の構成については前記外装材6Aとほぼ同様で、同一符号を付して説明を省略するが、対向する端縁には接続部63c,63dが設けられるアルミの押出型材である。
なお、接続部63a〜63dについては詳述しないが、外装材6Aの接続部63bと隣接する外装材6Bの接続部63cが係合して接続し、外装材6Bの接続部63dと隣接する外装材6Aの接続部63aとが係合して接続する。
この断熱材7Aは、隣り合う定着部62,62間に相当する幅寸法を有するものであって、前記外装材6Aの接続部63aと前記外装材6Bの接続部63dとの間に嵌合状に装着することにより外装材6A,6Bと一体的に取り扱うことができ、定着部62からのナット6cの脱落を防止する役割も果たす。
このように断熱材7Aは、定着部62,62間に配設されているので、定着部62の内面側にはこの断熱材7Aは存在せず、図1(a)に示すように連結部材8を避けるように配設されているとも見なすことができ、貫通孔等の形成を必要としない。
そのため、この連結部材8の雄螺子部83は、定着部62に保持されたナット6cに螺合させることができ、その雌螺子部84は、固定ボルト4に螺合させることができる。また、前記フランジ部85は、このALCパネル7Bの内側への脱離を防止する役割を果たすので、この連結部材8の雄螺子部83を前記定着部62に保持されたナット6cに取り付けた時点で前記外装材6Aと前記ALCパネル7Bとは一体的に接続され、その間に挟まれる状態で前記断熱材7Aも含めて外装パネル5は一体化されるものとなる。
前述のように取付具1は、構造材2の延設片221,231に係合する内方係合溝15、外方係合溝16と、構造材2の開口部20の上方に立設されて固定ボルト4を貫通させる内方立面部12、外方立面部13と、該両立面部12,13を連結する連結部11とを備える部材である。
図示実施例の取付具1は金属板材等の材料にて構成され、略矩形状の連結部11の左右側縁から構造材2側へ延在する側面部14,14が形成され、連結部11の内外方向にはそれぞれ略正方形状の内方立面部12、外方立面部13が形成されている。これらの連結部11と側面部14,14は、略コ字状を形成する枠体であり、両立面部12,13の略中央には、固定ボルト4が貫通する通孔121,131を有する。
前記内方係合溝15は、側面部14の構造材2側の端部を突出(突出片141)させて係合溝15の外方部分を形成し、立面部12の下端を折曲した折曲片122が内方部分を形成した態様である。即ちこの第1実施例の内方係合溝15は、折曲片122と突出片141との間に形成される。
前記外方係合溝16は、側面部14の端縁に(図では手前側から)切り込みを形成して係合溝16を形成した態様である。
まず、図3(e)に示すように構造材2の内側フランジ22に対し、取付具1の内方立面部12側を近付け、この内方係合溝15を構造材2の内側延設片221の先端にあてがうように配設する。
次に、図3(f)に示すように、取付具1の内方係合溝15を構造材2の内側延設片221に対して深く係合されるように内方から押し込む。
そして、図3(g)に示すように、取付具1の内方係合溝15と構造材2の内側延設片221と十分に深く係合すると、外方立面部13が構造材1の外側フランジ23に近づくので、これを押し込むように内方から押圧し、図3(d)の状態を得ることができる。なお、この図3(d)の状態は、固定ボルト4の頭部41を締め付け固定した状態の取付具1を示している。
なお、この取付具1は、構造材2への取付作業において、工具の使用を最小限とし、叩き込み等の作業も必要ないため、「音」の発生が極めて少なく、近隣への配慮がなされた工法を実施できる。
図2(a)及び(b)に示すように一枚の断熱材7Aに対して二枚の外装材(6A,6B)が沿うように外装材6A,6Bを交互に接続するが、図中に点線で示すように外装材6Aの配設に際しては、接続部63bを左下方に、接続部63aを右上方になるように傾斜させた状態で矢印にて示すように斜め上方から既に取り付けた外装材6Bに連結(接続)する。また、外装材6Bの配設に際しては、接続部63dが左方に、接続部63cが右方になるように略水平状に保持した状態で矢印にて示すように斜め下方から既に取り付けた外装材6Aに連結(接続)すればよい。
なお、断熱材7Aは、前述のように隣り合う定着部62,62間に相当する幅寸法を有するので、前記外装材6Aの接続部63aと前記外装材6Bの接続部63dとの間に嵌合状に装着することができるが、接着剤等を併用するようにしてもよい。
そして、前記断熱材7Aの内側に前記ALCパネル7Bを沿わせた状態で連結部材8を貫通させて定着部62に保持されたナット6cに固定する。前述のようにこの連結部材8の取付により、この外装パネル5は一体化されるので、前記断熱材7Aと前記ALCパネル7Bとの接合又は接着は特に必要ではない。
このように操作自体は極めて容易であるが、実際のところ、施工した外装パネル5を動かすのは困難であるし、また建築物の梁や母屋に用いられている形鋼等の構造材2についてもそれ自体を動かすのは困難である。したがって、前記第1の工程にて構造材2に取付具1を取り付けた後、その近傍にて外装パネル3の形成や第2の工程を行うことにより、第3の工程を極めて容易に行うことができる。
11 連結部
12 内方立面部
121 通孔
13 外方立面部
131 通孔
14 側面部
15 内方係合溝
16 外方係合溝
2 構造材(リップ溝形鋼)
20 開口部
21 ウエブ部
22 内側フランジ
221 内側延設片
23 外側フランジ
231 外側延設片
4 固定ボルト
4b ナット
41 頭部
42 雄螺子部
5 外装パネル
6A,6B 外装板
61 面板部
611 突条
62 定着部
63a〜63d 接続部
7 下地層
7A 断熱材
7B ALCパネル
71,71' 貫通孔
8 連結部材
81 細径部分
82 太径部分
83 雄螺子部
84 雌螺子部
85 フランジ部
Claims (4)
- 内側フランジから内側延設片が、外側フランジから外側延設片がそれぞれ開口部に臨む形鋼である構造材に、それぞれの前記延設片に係合する内方係合溝、外方係合溝と、開口部の上方に立設されて固定ボルトを貫通させる内方立面部、外方立面部と、該両立面部を連結する連結部とを備える取付具を取り付けて外装パネルを敷設する外装パネルの取付構造であって、
前記外装パネルは、最表側に外装材が、その内側に少なくとも一層の下地層が積層されてなり、前記外装材には、裏面側に、前記下地層を貫通する連結部材の頭部を保持する、又は連結部材の先端を接続するナットを収容する定着部が形成され、前記連結部材は、その基端に外側へ拡幅するフランジ部が設けられ、
前記構造材に取り付けた前記取付具の両立面部に、前記固定ボルトを貫通させると共に、該固定ボルトを前記連結部材に接続させて締め付け固定してなることを特徴とする外装パネルの取付構造。 - 外装パネルは、下地層としてALCパネルを含むことを特徴とする請求項1に記載の外装パネルの取付構造。
- 取付具の連結部は、構造材側へ延在する側面部を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の外装パネルの取付構造。
- 請求項1〜3に記載の外装パネルの取付構造を施工する方法であって、
構造材に取付具を取り付ける第1の工程と、
外装パネルの下地層に連結部材を貫通させる第2の工程と、
前記取付具に、固定ボルトを貫通させると共に、該固定ボルトを前記外装パネルの連結部材に接続させて締め付け固定する第3の工程と、
からなることを特徴とする外装パネルの取付方法。
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