JP2010174442A - 建物の外装部及びその施工方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】パネルの施工の手間の軽減、固定強度の向上を、容易に実現でき、しかも高い断熱性能の確保も容易に実現できる、建物の外装部及びその施工方法の提供。
【解決手段】本発明に係る建物の外装部1は、建物躯体に複数固定された長尺の固定部材3と、この固定部材3に嵌合溝41によって嵌合したパネル4をピン状締結具9を用いて固定し複数配列してなるパネル連設体7と、このパネル連設体7の外面側を覆う外面覆工層8とを具備する。また、この外装部1の施工方法は、建物躯体に固定した固定部材3に嵌合したパネル4をピン状締結具9を用いて固定する。パネル4には、嵌合溝41が複数並列に形成されているので、固定部材3の位置を嵌合溝41単位で把握できる。
【選択図】図2

Description

本発明は、建物の屋根あるいは外壁として機能する外装部及びその施工方法に関する。
建物の屋根や外壁といった外殻躯体の改修、補強、断熱の工法として、屋根、外壁の外面側(室外側)にパネルを取り付けて、新規の屋根、外壁を構築する工法が従来から多く提案されている。この工法は、屋根、外壁のそれぞれについて、種々の提案が存在する。
例えば、ビル等のコンクリート造建物の陸屋根(既設屋根)の外張り断熱工法として、陸屋根の面積を細分化したサイズのパネル(防水性の表面材を有する断熱複合パネル)を陸屋根上に多数敷き並べ、このパネルをドリル刃付きのタッピングねじ、金属拡張アンカー等の固定ピンを用いて陸屋根に固定し、コーキング材等を用いて隣り合うパネル間の目地の防水処理を行う断熱防水工法が知られている(例えば、特許文献1)。
また、折板屋根の改修や補強の工法として、既設の折板屋根上に新設の折板屋根を施工する工法が知られている(例えば特許文献2)。
建物外壁の改修工事にあっては、外壁の外面側(室外側)にパネルを取り付け、このパネルが複数連設されてなる壁体の外面側にサイディング材等の仕上げ材を施工する工法が広く採用されている。
また、パネルとして断熱パネルを用いる外張り断熱も広く普及している。
特開平3−87467号公報 特開平10−205074号公報
ところで、上述の特許文献2に例示したような折板屋根の改修、補強の工法は、既設屋根を構成する折板金属屋根材と同様に、山部と谷部とを多数有する、かなり大型の折板状部材(特許文献2の上葺屋根3)を、既設の折板屋根上に固定するものであり、折板状部材の既設屋根に対する固定作業(固定用部品のセット、固定用部品の設置する際の位置確認、固定用部品をセットするための既設屋根の加工等を含む)に手間が掛かる、固定のための位置合わせが容易でないといった問題がある。
これに鑑みて、本発明者等は、上述の断熱防水工法のように、平板状のパネルを多数施工し目地処理を行う工法(以下、パネル防水工法とも言う)を、折板屋根の改修に適用することを検討した。
しかしながら、上述のパネル防水工法を、折板屋根のように凹凸が多数存在する複雑形状の既設屋根の改修、補強に適用する場合、既設屋根の凹凸によって、パネルの設置位置(がたつかないように安定設置を実現できる設置位置)や、使用可能なパネルのサイズの制約が大きいといった問題がある。既設屋根の凹凸によって、既設屋根に対してパネルを固定するための固定ピンの施工可能位置の制約も大きいため、パネルの施工位置の調整とも関係して、パネルに対する固定ピンの施工位置の決定に手間が掛かるといった問題もある。
建物外壁の改修、外張り断熱にあっては、外壁の外面側に固定した胴縁等のパネル固定用部材に、固定ピンを用いてパネルを固定する工法が広く採用されており、この場合、固定ピンの施工位置が制約されることとなる。
また、パネルの施工においては、パネル固定用部材が、これに重ね合わせたパネルによって隠されて目視できなくなるため、特にパネルの中央部を固定ピンでパネル固定用部材に固定する場合は、固定ピンの施工位置の確認に手間を要するといった不満があった。
上述のように、屋根、外壁のいずれについても、パネルの施工にあたって、固定ピンによる固定作業に掛かる手間の問題がある。
実際の現場施工においては、既設屋根の損傷箇所を回避して固定ピンを施工する必要があったり、外壁の突起物の回避のためにパネル固定用部材の位置を調整する場合があり、固定ピンの施工位置の確認に手間が掛かるケースが多々発生する。
また、防水性能の確保、断熱パネルの使用による断熱性能の確保の点では、パネル同士の接合状態を確保したいという要求があるが、上述のように固定ピンの施工位置の制約が大きい状況において、接合状態の確保のためにパネルの位置調整をも勘案するとなると、手間が一層増大することとなる。
なお、上述の固定ピンの施工の手間の問題は、既設の屋根、外壁にパネルを施工する場合に限定されず、例えば、新築の建物の建設における屋根、外壁の構築作業におけるパネルの施工についても共通する。
本発明は、前記課題に鑑みて、パネルの施工の手間の軽減、固定強度の向上を、容易に実現でき、しかも高い断熱性能の確保も容易に実現できる、建物の外装部及びその施工方法の提供を目的としている。
上記課題を解決するために、本発明では以下の構成を提供する。
第1の発明は、建物躯体に複数固定された長尺の固定部材と、この固定部材に固定して複数配列したパネルによって構成されたパネル連設体と、このパネル連設体の外面側に設けられた外面覆工層とを具備し、前記パネルには、前記固定部材に嵌合するための嵌合溝が複数本並列に形成され、前記パネルが、前記嵌合溝によって前記固定部材に嵌合され、しかも、該パネルを貫通するピン状締結具によって前記固定部材に固定されていることを特徴とする建物の外装部を提供する。
第2の発明は、前記パネルの前記嵌合溝が形成されている底面とは反対側の覆工材施工面に、前記嵌合溝の位置を示す目印が、複数本の前記嵌合溝にそれぞれ対応させて設けられていることを特徴とする第1の発明の建物の外装部を提供する。
第3の発明は、前記パネル連設体において隣り合う一対のパネルが、一方のパネルの端面に突設された凸部を、他方のパネルの端面に形成された凹部に挿入して、互いに接合されていることを特徴とする第1又は第2の発明の建物の外装部を提供する。
第4の発明は、前記パネルが断熱層を具備することを特徴とする第1〜3のいずれかの発明の建物の外装部を提供する。
第6の発明は、前記固定部材は、前記パネルの前記嵌合溝に嵌合される断面コ字形の嵌合チャンネル部と、この嵌合チャンネル部の一対の側壁の先端から突出して前記チャンネル部の両側に張り出され前記建物躯体に固定された固定片部とを具備していることを特徴とする第1〜4のいずれかの発明の建物の外装部を提供する。
第6の発明は、前記固定部材の前記嵌合チャンネル部の内側空間に断熱材が収納されていることを特徴とする第5の発明の建物の外装部を提供する。
第7の発明は、前記外面覆工層が、パネル連設体の外面側の防水層を形成する防水シートによって構成されており、前記防水シート同士の接合部が、前記固定部材が嵌合されている嵌合溝に対応する位置に設けられていることを特徴とする第1〜6のいずれかの発明の建物の外装部を提供する。
第8の発明は、前記固定部材が、建物の屋根上に固定されていることを特徴とする第1〜7のいずれかの発明の建物の外装部を提供する。
第9の発明は、前記固定部材が、建物の外壁に固定されていることを特徴とする第1〜7のいずれかの発明の建物の外装部を提供する。
第10の発明は、第1〜9のいずれかの発明の建物の外装部の施工方法であって、建物躯体に前記固定部材を複数並列に固定する固定部材施工工程の後、前記パネルを前記嵌合溝に前記固定部材を収納して前記固定部材に嵌合するパネル嵌合工程を行い、次いで、前記パネルに貫通させたピン状締結具によって前記パネルを前記固定部材に固定するパネル固定工程、及び、前記外面覆工層を形成する覆工工程を実施することを特徴とする外装部の施工方法を提供する。
第11の発明は、第2の発明の建物の外装部を施工する第10の発明の外装部の施工方法であって、前記パネル固定工程において、前記ピン状締結具を、前記固定部材が嵌合された前記嵌合溝に対応する目印に応じて、この目印に対応する前記嵌合溝の存在範囲にて前記パネルに貫通させ、前記パネルを前記固定部材に固定することを特徴とする外装部の施工方法を提供する。
本発明によれば、固定部材をパネルの嵌合溝に嵌合するので、パネルと固定部材との相対的な位置関係が、パネルの嵌合溝単位で決定される。このため、固定部材が、これに重ね合わせたパネルによって隠された状態であっても、固定部材の位置を容易に把握でき、パネルにその外面側(パネルを介して固定部材とは反対の側)から貫通させるピン状締結具によってパネルを固定部材に固定する作業を、短時間で効率良く行える。その結果、外装部全体の施工効率を向上できる。
また、パネルが嵌合溝によって固定部材に嵌合させて固定される構造により、風害に対する耐久力を向上できる。
また、固定部材自体がパネルの位置決め用の部材(位置決め部材)として機能するため、パネル連設体において隣り合うパネル同士の接合状態を容易に確保できる。これにより、パネル連設体、外装部の断熱性能の確保を確実に行える。
本発明の1実施形態を示す図であって、本発明を建物の既設屋根上への新設屋根(改修屋根。建物の外装部)の構築に適用した実施形態を示す斜視図である。 図1の新設屋根と既設屋根とからなる二重屋根の構造を示す正断面図である。 (a)〜(c)は、図2の二重屋根におけるシート固定部の構造を示す図である。 外装部のパネル連設体の外面側に外面覆工層として防水塗膜を形成した場合を示す断面図である。 (a)、(b)は外装部に適用されるパネルの一例を示す斜視図である。 外装部に適用されるパネルの覆工材施工面に形成される目印の例を示す斜視図である。 図2の二重屋根を構築した建物を示す全体図である。 建物の梁上に、直接、本発明に係る外装部としての屋根を構築した例を示す図である。 建物の外壁に、本発明に係る外装部としての外壁外装部を構築した例を示す図であり、(a)は断面斜視図、(b)は平断面図である。 嵌合チャンネル部の内側空間に断熱材を充填してなる固定部材を使用した例を示す断面図である。
以下、本発明を実施した建物の外装部、外装部の施工方法について、図面を参照して説明する。
まず、本発明を既設屋根の改修に適用した実施形態を説明する。
図1〜図7は本発明にかかる建物の外装部1(以下、単に、外装部とも言う)の構造を示す図であって、図1は分解斜視図、図2は断面図、図3はピン状締結具2及び固定部材3付近を示す拡大断面図、図4は外装部1の外面覆工層8が防水塗膜83である場合を示す断面図、図5(a)、(b)は図1の外装部1に適用されるパネル4の一例を示す斜視図、図6はパネル4の覆工材施工面4bに形成される目印47の例を示す斜視図、図7は外装部1を施工した建物5の一例を示す断面図である。
また、図中、符号51は既設屋根であり、ここでは折板屋根を例示している。
なお、図1〜図7において、上側を上、下側を下として説明する。
図1〜図3において、前記外装部1は、ここでは建物5の既設屋根51上に施工した新設屋根(改修屋根)である。以下、外装部1を、新設屋根と称して説明する場合がある。
この外装部1である新設屋根は、既設屋根51上に複数固定された長尺の固定部材3と、この固定部材3に固定した複数のパネル4が既設屋根51上に敷き並べるように配列されてなる陸屋根状のパネル連設体7と、このパネル連設体7の外面側(建物躯体(ここでは具体的には既設屋根51)とは反対の側)に設けられた外面覆工層8とを具備して構成されている。
固定部材3は、ここでは、既設屋根51上にパネル4を支持するための母屋として機能する部材であり、既設屋根51上に、複数本が互いに並行に固定されている。
詳細には、固定部材3は、折板屋根である既設屋根51の突条状の山部51aの延在方向に直交する向きで、既設屋根51の多数の前記山部51aによって支持されるようにして既設屋根51上に設置して固定されている。
図1〜図3に示すように、この固定部材3は、断面コ字形の嵌合チャンネル部31と、この嵌合チャンネル部31の一対の側壁31aから、それぞれ前記嵌合チャンネル部31の内側空間31bとは反対の側に突出された固定片部32とを具備する。嵌合チャンネル部31は、一対の側壁31aが、背板部31cで連結された、断面コ字形に形成されている。一対の側壁31aは、長尺帯状の背板部31cの幅方向両端に、背板部31cに対して垂直に突設されている。固定片部32は、側壁31aの前記背板部31cからの突出先端から、嵌合チャンネル部31の両側に張り出すように突出されている板状片である。
この固定部材3は、両側の固定片部32を建物躯体(ここでは具体的には既設屋根51)上に載置し、嵌合チャンネル部31が両固定片部32上に突出する向きで、建物躯体上に設置されている。また、この固定部材3は、ビス33等の固定部材用ピン状締結具を用いて、各固定片部32を建物躯体(既設屋根51)に固定して、建物躯体に固設されている。図示例では、具体的には、固定片部32に貫設された貫通孔32aに固定片部32上から貫通させたビス33を、既設屋根51である折板屋根の山部51aにタッピングドリル等を用いて形成したねじ孔51b(雌ねじ孔)にねじ込んで固定部材3を既設屋根51に固定している。
なお、固定部材用ピン状締結具としては、ビスに限定されず、例えば、ドリル刃付きのタッピングねじや、これに類似の構成のファスナー(例えば特開平8−284932号公報の取付ファスナー)等も採用可能である。
また、特開2001−336255号公報に示されるルーフボルトのように、ボルト先端に設けた拡張部の拡張、及び、ボルトに螺着されたナットと拡張させた拡張部との間での部材の締結固定を、ボルト後端側での操作のみよって実現できる構成のファスニング部品(母屋固定用部品。以下、ワンサイド施工形ファスナーとも言う)等を採用することも可能である。このワンサイド施工形ファスナーを採用する場合は、このファスナーを、固定部材3の固定片部32と折板屋根の山部51aとに貫設した貫通孔(ねじ孔31dである必要はない)に貫通させ、山部51aよりも下側にて拡張させて折板屋根に係合させた拡張部と、パネル4上に配置したナットとの間で、固定部材3と折板屋根とを締結固定する。
また、既設屋根51が、例えば、コンクリート造陸屋根等のコンクリート造の屋根である場合は、固定部材3を既設屋根51に固定するための固定部材用ピン状締結具として、金属拡張アンカー等を採用することも可能である。
図5(a)、(b)に示すように、パネル4は、概略四角板状に形成されている。
このパネル4の片面(底面4a。図3(a)等参照)には、前記固定部材3に嵌合するための嵌合溝41が複数本並列に形成されている。パネル4の、嵌合溝41が形成されている底面4aとは反対側の面は、防水材等の覆工用材料が施工される覆工材施工面4bとなっている。パネル4は、防水材等の覆工用材料を用いて外面覆工層8を施工するための野地板としての機能も果たす。
図1、図2等に示すように、このパネル4は、前記嵌合溝41によって前記固定部材3に嵌合され、しかも、該パネル4を貫通するピン状締結具9(ここではビス)によって前記固定部材3に固定されている。
図5(a)は、パネル4として、全体がスチレン発泡材等の、断熱性に優れた樹脂発泡材(断熱層)で形成されているものを例示している。パネル4は、断熱パネルとしても機能する。
但し、断熱パネルとして機能するパネル4としては、例えば、図5(b)に示すように、スチレン発泡材等の樹脂発泡材からなる断熱層42に、嵌合溝41が形成された裏打ち層43を被着したもの等であっても良い。区別のため、図5(a)のパネル4に符号4A、図5(b)のパネル4に符号4Bを付す。
図5(b)のパネル4Bは、覆工材施工面4bが断熱層42によって形成され、底面4aが裏打ち層43によって形成されている。裏打ち層43には、必ずしも、断熱性は要求されない。また、裏打ち層43を、例えば、硬質樹脂、軽量発泡コンクリート等の、断熱層42よりも硬質の材料で形成することで、固定部材3との嵌合部分の強度を高めて、耐久性を向上できる。
また、パネル4としては、図5(a)、(b)のパネル4の覆工材施工面4b側に、木板、金属板、硬質樹脂板等の表面材を被着したもの等も採用可能である。
図1、図2に示すように、このパネル4が既設屋根51上に複数敷き並べるようにして施工されてなるパネル連設体7は、例えば図5(a)、(b)のように断熱層を具備するパネル4(断熱パネル)を使用して、隣り合うパネル4の端面同士を互いに接合させることで、連続する断熱層を形成している。
パネル連設体7において隣り合う一対のパネル4は、一方のパネル4の端面に突設された凸部44を、他方のパネル4の端面に形成された凹部45に挿入して、互いに接合されている。
図5(a)等に示すように、パネル4は、該パネル4の外周の4辺に対応して4つの端面46を有しており、各端面46は、該パネル4の外周に沿って細長く延在している。前記凸部44は、具体的には、パネル4の4端面の内の一つに、該端面の延在方向に沿って延在する突条であり、前記凹部45は、具体的には、パネル4の4端面の内の一つに、該端面の延在方向に沿って延在する溝条である。パネル4は、該パネル4の中央部を介して両側に位置する組をなす2つの端面46の一方に凸部44(突条)が形成され、他方に凹部45(溝条)が形成されている。パネル4は、凸部44を、別のパネル4の凹部45に嵌合させて、別のパネル4に接合される。
なお、パネル4の嵌合溝41は、凸部44が設けられている端面46a、及び、凹部45が設けられている端面46bの延在方向に平行に形成されている。
パネル連設体7を構成する複数のパネル4は、嵌合溝41が互いに並行になるように、向きが揃えられている。
図示例のパネル4は、凸部44(突条)が形成されている端面46(区別のため図中符号46aを付す)と、凹部45(溝条)が形成されている端面(区別のため図中符号46bを付す)との組を1組のみ有するものである。凸部44、凹部45が形成されている一対の端面46a、46b以外の1組の端面461は平坦面になっているが、パネルとしては、この端面461にも凸部44、凹部45を形成して、凸部44、凹部45が形成されている端面の組を2組有する構成とすることも可能である。
凸部44と凹部45とを噛み合わせるようにしてパネル4同士を接合する接合構造であれば、パネル4間に隙間が存在しにくく、パネル4同士の接合によって連続する断熱層を確実に形成することに有利である。したがって、パネル4同士を接合して形成される断熱層によって断熱性能を確保する点では、嵌合溝41に平行な端面46a、46b同士の接合によってパネル4同士を接合してなる接合部71(図1参照。以下、横接合部とも言う)のみならず、嵌合溝41及び端面46a、46bの延在方向に直交する端面46c、46d同士の接合によってパネル4同士を接合してなる接合部72(図1参照。以下、縦接合部とも言う)についても、凸部44と凹部45とを噛み合わせるようにしてパネル4同士を接合する接合構造を採用することが好ましい。
図1、図2においては、パネル4は、パネル4同士の横接合部71を避けた所に位置する嵌合溝41を固定部材3に嵌合させて、固定部材3に固定されている。
また、パネル連設体7においては、縦接合部72にて互いに接合されたパネル4の嵌合溝41が、縦接合部72を介して互いに連通されている。そして、固定部材3は、縦接合部72にて互いに接合されたパネル4の互いに連通された嵌合溝41に嵌合されている。固定部材3は、縦接合部72にて互いに接合されたパネル4相互の位置決め用部材としての機能も果たしている。
また、一枚のパネル4は、複数本(図1では2本)の固定部材3に嵌合されている。
パネル連設体7において、固定部材3を嵌合可能な嵌合溝は、前記横接合部71にも存在する。
横接合部71に存在する嵌合溝73は、横接合部71にて互いに接合されたパネル4の端部(つまり、端面46a、46bが形成されている端部)の底面4a側に形成されている嵌合溝形成用凹溝49によって構成されている。図示例のパネル4の嵌合溝形成用凹溝49は、横接合部71に存在する嵌合溝73を分割した形状になっており、パネル4の、端面46a、46bに対応する両端部に形成されている。端面46a、46b同士の接合によってパネル4同士を接合することで、各パネル4の嵌合溝形成用凹溝49同士が一体化されて、嵌合溝73が形成される。
なお、嵌合溝73と一致する形状の嵌合溝形成用凹溝49を、パネル4の、端面46a、46bに対応する両端部の内の片方のみに形成した構成も採用可能である。この場合は、端面46a、46b同士の接合によってパネル4同士を接合することで、横接合部71に、嵌合溝形成用凹溝49の形状に対応する嵌合溝73が形成される。
固定部材3は、嵌合溝73に嵌合しても良い。
パネル4の嵌合溝41は角溝になっており、嵌合溝形成用凹溝49によって構成される嵌合溝73も、嵌合溝41と同様の角溝である。
本明細書にあっては、嵌合溝形成用凹溝49も、パネル4の嵌合溝に含まれるものとして扱う。
図5(a)等に示すように、パネル4の覆工材施工面4bには、前記嵌合溝41の位置を示す目印47が設けられている。
図示例では、目印47は、覆工材施工面4bにおける前記嵌合溝41に対応する位置に、嵌合溝41の長手方向に沿って延在する線状に形成された溝である。但し、この溝は、パネル4の強度に影響を与えない非常に浅い溝である。
また、図示例の線状の目印47は、嵌合溝41の溝幅(図5(a)、(b)においては左右方向の寸法が嵌合溝41の溝幅)の中央に合わせて形成されている。このパネル4については、覆工材施工面4b上からでも、この目印47を基準に、嵌合溝41の存在範囲を簡単に把握できる。
目印47としては、溝に限定されず、例えば、着色塗料等によって着色して形成されたものなどであっても良い。また、目印47は、嵌合溝41に沿って延在する細い線状のものに限定されず、例えば、図6(a)に示すように、嵌合溝41の存在範囲の全体にわたって覆工材施工面4bに形成した着色部(符号47a)等であっても良い。また、図6(b)に示すように、覆工材施工面4bにおける嵌合溝41の存在範囲以外の部分を着色し(着色部47c)、覆工材施工面4bにおいて着色していない無着色部(符号47b)を目印47として機能させる構成等も採用可能である。
また、図1に示すように、図示例の外装部1にあっては、パネル連設体7を構成するパネル4同士の横接合部71におけるパネル4同士の合わせ目74(接合境界)も目印として機能するようになっている。この合わせ目74は、パネル連設体7の外面において、パネル4同士の接合によって横接合部71に形成される嵌合溝73の溝幅の中央(換言すれば嵌合溝73の中心軸線)を示す。
目印47は、例えば、パネル4を固定部材3に固定するためのピン状締結具9の施工時の、施工位置の決定等に利用できる。目印47は、パネル4上からの作業で、ピン状締結具9を、固定部材3が嵌合されている嵌合溝41に対応する位置(嵌合溝41、固定部材3の存在範囲)に施工することを容易にする。
また、例えば、外面覆工層8を防水シート81を用いて構成する場合(後述)に、防水シート81の施工位置の決定に利用できる。
図3(a)〜(c)に示すように、パネル4を固定部材3に固定するためのピン状締結具9は、ここではビスであり(以下、ビス9とも言う)、ねじ山が形成されている軸部9bを、パネル4上に設置した円板状のディスク91の中央部に開口されている貫通孔91aと、パネル4に貫設された貫通孔48とに貫通させて、固定部材3の背板部31cに貫設されたねじ孔31d(雌ねじ孔)にねじ込んで固定部材3に螺着されている。前記ビス9は、軸部9bの片端にディスク91との係合用の頭部9aを具備し、ディスク91上に設置された前記頭部9aによってディスク91に係合されており、締結力をディスク91を介してパネル4に伝達させて、パネル4を固定部材3の背板部31cに締結固定している。ディスク91も、パネル4とともに、ピン状締結具9の締結力によって固定部材3に固定されている。
なお、ピン状締結具9としては、ビスに限定されず、例えばドリル刃付きのタッピングねじや、これに類似の構成のファスナー(例えば特開平8−284932号公報の取付ファスナー)、既述のワンサイド施工形ファスナー等を採用することも可能である。
図1、図2では、外面覆工層8を構成する覆工用材料として、防水シート81を例示している。図示例の外面覆工層8は、防水シート81によって構成された防水層である。
外面覆工層8は、パネル連設体7の外面側(既設屋根51とは反対の側)に、長尺帯状の防水シート81を複数枚並列に施工して構成されている。外面覆工層8において隣り合う防水シート81は、端部同士を重ね合わせて、接着剤を用いた接着等によって水密に接合されている。
防水シート81は、その長手方向を、パネル連設体7のパネル4の嵌合溝41の長手方向に揃えた向きで、複数枚並列に設けられている。また、図1、図2中、符号82は、隣り合う防水シート81の幅方向Wの端部同士を重ね合わせて接着して接合した接合部82(以下、シート接合部とも言う)である。
図1、図2は、パネル連設体7の外面側(上面側)にて、固定部材3が嵌合されている嵌合溝41に対応する位置にシート接合部82を形成した場合を示す。
シート接合部82の形成位置は、固定部材3にパネル4を固定するピン状締結具9の施工位置にも対応している。そして、図3(a)〜(c)に示すように、シート接合部82は、ピン状締結具9に外挿した状態でパネル4上に設けられたディスク91を利用して、固定部材3に対して固定されている。
図3(a)〜(c)は、外装部1におけるピン状締結具9の施工位置付近を示す図であって、シート接合部82をディスク91を利用して固定する態様(シート固定部11A、11B、11C)を示す。
図3(a)に例示したシート固定部11Aでは、シート接合部82上にディスク91を設置している。ピン状締結具9はシート接合部82に貫通されており、シート接合部82は、ピン状締結具9の締結力で、ディスク91によってパネル4に押さえ込むようにして固定されている。
図3(a)中、符号92は、ビス9の頭部9a及びディスク91を覆うカバー部材である。このカバー部材92は、ビス9の頭部9a及びディスク91を覆うことができる大きさのシート状の小片であり、ディスク91及びディスク91の周囲の防水シート81に接着されて、外面覆工層8におけるビス9及びディスク91の施工位置を水密に封止し、防水性を確保する。
図3(b)に例示するシート固定部11Bは、ディスク91とパネル4との間に、シート接合部82を構成する一対の防水シート81の一方(一方の防水シート81)の端部81aを配置し、他方の防水シート81の端部81bを、ディスク91上に設けて、ディスク91に接着剤等を用いて固定した構成を示す。
ディスク91とパネル4との間に配置された防水シート81の端部81aは、ピン状締結具9の締結力によってパネル4に固定される。ディスク91上に接着した防水シート81の端部81bは、ディスク91が無い所では、ディスク91とパネル4との間に配置された防水シート81の端部81a上に重ね合わせて接着固定される。
ディスク91は、該ディスク91に設けられた防水シート81の端部81bに覆われ、露出しない。
図3(c)に例示するシート固定部11Cは、シート接合部82を構成する一対の防水シート81の端部81a、81bをディスク91上にて重ね合わせた構成を示す。この場合、一方の防水シート81の端部81aをディスク91に直接接着固定し、この防水シート81の端部81a上に、他方の防水シート81の端部81bを接着固定しており、シート接合部82全体がディスク91に固定されている。
ディスク91は、接合部82を構成する一対の防水シート81の端部81a、81bによって覆われ、露出しない。
上述の図3(a)〜(c)の構成では、防水シート81は、パネル4を固定部材3に固定するためのピン状締結具9及びディスク91によって、固定部材3に対して、パネル4とともに一括固定されている。ピン状締結具9及びディスク91は、防水シート81を固定部材3に固定するための、シート固定用部品としても機能する。
なお、図示例では、ピン状締結具9は、パネル4同士を接合した接合部71からずれた位置に設けられているため、防水シート81同士の接合部82も、パネル4同士の接合部71に対して位置がずらされている。
なお、外面覆工層8として機能する防水層としては、上述のようにピン状締結具9及びディスク91を利用して防水シート81をパネル連設体7に固定してなる防水層の他、アスファルトシートをパネル4の覆工材施工面4bに被着(例えばトーチ工法による被着)してなるアスファルト防水層、ウレタン樹脂等の樹脂塗膜からなる塗膜防水層等も採用可能である。
また、水勾配を持つ屋根として機能する外装部1については、例えば、横葺き金属屋根パネル等の、パネル状の覆工用材料(ここでは屋根材)を用いて構成された外面覆工層8の採用も可能である。
次に、前記外装部1の施工方法の一例を説明する。
ここでは、図7に示すように、建物5の既設屋根51上に、前記外装部1を構築する場合を説明する。
まず、図1に示すように、既設屋根51上に、複数本の固定部材3を並列に固定する(固定部材施工工程)。
固定部材3は、折板屋根である既設屋根51の突条状の山部51aの延在方向に直交する向きで、既設屋根51の多数の前記山部51aによって支持されるようにして既設屋根51上に設置して固定する。
このとき、建物躯体(建物5の躯体。詳細には既設屋根51。以下も同じ)に対する固定部材3の固定位置の決定を、例えば、パネル4を嵌合した固定部材3を既設屋根51上で移動するなど、現場に搬入したパネル4を利用して行う。これにより、建物躯体に固定済みの固定部材3にパネル4を嵌合してパネル連設体7を構築する際に、パネル4同士の接合状態の確保を容易に実現できる。
パネル4を嵌合した固定部材3を既設屋根51上で移動することで、建物躯体に対する固定部材3の固定位置を決める手法の場合、パネル4の嵌合溝41の中から選択した複数本に固定部材3を嵌め込み、パネル4が、互いに離隔させて平行に設けられた複数本の固定部材3に嵌合された状態にして、固定部材3の固定位置を決める作業を行うことが好ましい。また、固定部材3を嵌合溝41に嵌合することに限定されず、固定部材3を嵌合溝形成用凹溝49に収納した状態で、固定部材3の固定位置を決める作業を行うことも可能である。
上述の手法であれば、建物躯体に対するパネル4の施工位置(施工予定位置)と固定部材3の施工位置とを同時に決めることができる。建物躯体に対するパネル4の施工位置(施工予定位置)を、パネル連設体7の構築におけるパネル4同士の接合状態を確保できる位置に決定することで、固定部材3の固定位置も、パネル連設体7におけるパネル4同士の接合状態を確保できる位置に決めることができる。
また、建物躯体に対する固定部材3の固定位置の決定にあたっては、固定部材3を嵌合する、パネル4の嵌合溝41、嵌合溝形成用凹溝49の選択によって、建物躯体外面側(ここでは、既設屋根51上側)に存在する、例えば配管、天窓、換気口といった障害物を回避できる位置に、固定部材3の位置を調整することができる。
固定部材3は、嵌合溝41、73単位で、固定位置を調整する。
固定部材3の固定位置を決定したら、ビス33(図2、図3参照)等の固定部材用ピン状締結具を用いて固定部材3の固定片部32を建物躯体に固定する。
例えば、固定部材3の固定位置を決定した後、固定部材3の固定片部32上から、タッピングドリル等の工具を用いて、固定片部32の貫通孔32aと、折板屋根の山部51aを貫通するねじ孔51bとを互いに連通するように形成し、固定片部32の貫通孔32aに固定片部32上から貫通させたビス33を、既設屋根51である折板屋根の山部51aに形成されたねじ孔51b(雌ねじ孔)にねじ込んで固定部材3を既設屋根51に固定する。
固定部材施工工程が完了したら、パネル4を、固定部材3に上から押し付けるようにして嵌合溝41に固定部材3を収納して、固定部材3に嵌合する(パネル嵌合工程)。
このパネル嵌合工程では、複数のパネル4を既設屋根51上に敷き並べるように設置して、パネル連設体7を構築する。また、パネル連設体7において隣り合うパネル4同士が互いに接合されるようにする。
なお、図3(a)〜(c)において、符号4cはパネル4の底面4aに形成された締結具収納溝であり、固定部材用ピン状締結具35の、固定部材3の固定片部32上に突出した部分を収納して、パネル4との接触を回避する機能を果たす。この締結具収納溝4cは、隣り合う嵌合溝41、49間に位置するパネル底面4aに形成されており、嵌合溝41よりもサイズが小さい小溝となっている。また、パネル4と建物躯体との間の隙間12が大きい場合(例えば図10(a)、(b)参照)は、この締結具収納溝を形成しなくても、固定部材用ピン状締結具35とパネル4との接触を回避できる。
さらに、パネル4の底面4aを形成する部分の材質が、例えばスチレン発泡材等の柔らかいものである場合は、締結具収納溝4cを設けずに、パネル4の押し付けによって、固定部材用ピン状締結具35の、固定部材3の固定片部32上に突出した部分をパネル4に埋め込むことで、パネル4の安定設置を実現することも可能である。
次いで、ピン状締結具9を用いてパネル4を固定部材3に固定するパネル固定工程、及び、外面覆工層8を構築する覆工工程を行う。
但し、図3(a)〜(c)に例示したシート固定部11A、11B、11Cの構造に応じて、具体的な施工手順に違いがある。
図3(a)の場合について説明すると、まず、パネル嵌合工程にて構築したパネル連設体7上に防水シート81を敷設して外面覆工層8を構築する(覆工工程)。隣り合う防水シート81の端部81a、81b同士の重ね合わせによって、シート接合部82も形成する。次いで、ピン状締結具9を用いてシート接合部82とパネル4とを固定部材3に固定する(パネル固定工程)。パネル固定工程では、シート接合部82上にディスク91を設置し、ピン状締結具9を、防水シート81上から、ディスク91、シート接合部82、パネル4に貫通させて、固定部材3の背板部31cに到達させ、そして、背板部31cに係合(ピン状締結具がビス、タッピングねじの場合は螺着)させたピン状締結具9の締結力によって、シート接合部82及びパネル4を、ディスク91と固定部材3(詳細には背板部31c)との間に挟み込むようにして固定する。
パネル固定工程が完了したら、ディスク91上を覆うようにカバー部材92を施工してシート固定部11Aを防水処理する。これにより、外装部1が完成する。
シート接合部82は、目印47を利用して、固定部材3が嵌合されている嵌合溝41の位置(嵌合溝41の存在範囲)に対応させて、パネル4外面側(覆工材施工面4b側。ここでは、固定部材3に嵌合したパネル4の上面側)に形成する。
防水シート81の敷設後であっても、シート接合部82によって固定位置3の位置を容易に把握できるため、ピン状締結具9を固定部材3に対応する位置(換言すれば、嵌合溝41、固定部材3の存在範囲)に施工することは容易であり、防水シート81及びパネル4をピン状締結具9によって固定部材3に固定する作業を効率良く行える。つまり、シート接合部82自体が固定部材3の位置を示す位置表示として機能する。
ピン状締結具9がビス9の場合は、孔開けドリルやタッピングドリル等の工具を用いて、防水シート81上から、シート接合部82及びパネル4にピン状締結具9を通すための貫通孔を形成するとともに、この貫通孔と連通するように、固定部材3の背板部31cにねじ孔31dを形成する。そして、ビス9の軸部9bを、シート接合部82上に設置したディスク91の貫通孔91a、シート接合部82及びパネル4の貫通孔に通し、固定部材3の背板部31cのねじ孔31dにねじ込んで、ビス9を締め付けることで、ディスク91、シート接合部82、パネル4を、固定部材3に対して締結して固定する。
ピン状締結具9が、ドリル刃付きのタッピングねじや、これに類似の構成のファスナー(例えば特開平8−284932号公報の取付ファスナー)である場合は、シート接合部82、パネル4、固定部材3の背板部31cに、ピン状締結具9を通すための貫通孔を予め穿孔しておく必要が無い。タッピングねじや、これに類似の構成のファスナーとしては、このピン状締結具9自体の回転操作によって、防水シート81、パネル4、固定部材3の背板部31cへ切り込ませて貫通させることができ、しかも、金属製の固定部材3の背板部31cに対する雌ねじのタッピング及び螺着が可能なものを採用することは言うまでも無い。
図3(b)のシート固定部11Bの場合は、シート接合部82の一方の防水シート81の端部81a(以下、下地側シート端部とも言う)を、パネル連設体7のパネル4の目印47を利用して、パネル4の嵌合溝41(符号73の嵌合溝であっても良い)に嵌合されている固定部材3の位置(換言すれば、嵌合溝41の存在範囲)に対応させて、パネル4上に設置した後、この下地側シート端部81a上にディスク91を設置し、ピン状締結具9を施工して、ディスク91、下地側シート端部81a、パネル4、固定部材3の背板部31cを締結固定する(パネル固定工程)。ピン状締結具9は、上から、ディスク91、下地側シート端部81a、パネル4に貫通させ、固定部材3の背板部31cに係合(ピン状締結具がビス、タッピングねじの場合は螺着)させ、下地側シート端部81a及びパネル4を、ディスク91と固定部材3(詳細には背板部31c)との間に挟み込むようにして固定する。
次いで、シート接合部82の他方の防水シート81の端部81b(以下、外面側シート端部とも言う)を、下地側シート端部81a及びディスク91を覆うように設けて、下地側シート端部81a及びディスク91に接着固定して水密に接合する。これにより、シート接合部82が完成する。
ピン状締結具9の施工の際には、下地側シート端部81a自体を固定部材3の位置を示す位置表示として利用できるため、下地側シート端部81aによって固定位置3の位置を容易に把握できる。このため、ピン状締結具9を固定部材3に対応する位置に施工することは容易であり、防水シート81及びパネル4をピン状締結具9によって固定部材3に固定する作業を効率良く行える。
図3(b)の場合は、防水シート81の敷設と、ピン状締結具9の施工及びシート接合部82の形成とを、交互に繰り返し実施して、複数の防水シート81を順次、並列に施工していくことで、外面覆工層8を構築する(覆工工程)ことができる。
図3(c)のシート固定部11Cの場合は、まず、ディスク91を、パネル連設体7のパネル4の目印47を利用して、パネル4の嵌合溝41(符号73の嵌合溝であっても良い)に嵌合されている固定部材3の位置に対応させて、パネル4上に設置し、ピン状締結具9を施工して、ディスク91、パネル4、固定部材3の背板部31cを締結固定する(パネル固定工程)。ピン状締結具9は、上から、ディスク91、パネル4に貫通させ、固定部材3の背板部31cに係合(ピン状締結具がビス、タッピングねじの場合は螺着)させ、パネル4を、ディスク91と固定部材3(詳細には背板部31c)との間に挟み込むようにして固定する(パネル固定工程)。
次いで、パネル連設体7上に防水シート81を敷設して外面覆工層8を構築する(覆工工程)。このとき、目印47及びディスク91を利用して、シート接合部82を、固定部材3の位置に対応する位置(固定部材3の上方)に形成する。シート接合部82は、下側シート端部81aをディスク91に接着固定し、この下側シート端部81a上に外側シート端部81bを接着固定して水密に接合することで構築される。シート接合部82を形成する作業においては、パネル4の目印47や、固定部材3に対して固定済みのディスク91を、固定部材3の位置を示す位置表示として利用でき、防水シート81の位置合わせを容易に行える。
上述のように、図3(a)、(b)、(c)の構成を持つ外装部の施工方法は、いずれも、パネル連設体7の構築後に、パネル4の嵌合溝41(符号73の嵌合溝であっても良い)に嵌合されている固定部材3に対応する目印47を、パネル4下側の固定部材3の位置を把握するための表示として利用することで、ピン状締結具9及びシート接合部82を、固定部材3に対応する位置に容易に設けることができる。パネル4の中央部(平面視中央部)についても、目印47によって、固定部材3の位置を簡単に把握できるため、ピン状締結具9及びシート接合部82を固定部材3に対応する位置に容易に設けることができる。
これにより、ピン状締結具9を用いてパネル4を固定部材3に固定する作業、シート固定部11A、11B、11Cの構築作業を、効率良く行うことができる。
例えば、図4に示すように、外面覆工層8が防水塗膜83である場合は、図3(c)の場合と同様にピン状締結具9を用いて固定部材3にパネル4を固定した後、パネル連設体7上に外面覆工層8を形成、つまり、防水塗膜83を形成する。防水塗膜83は、ディスク91やピン状締結具9の頭部9aが露出しないように、パネル連設体7上面全体を覆うように形成する。
この場合も、目印47によってパネル4下側の固定部材3の位置を把握することで、ピン状締結具9によるパネル4の固定作業を効率良く行える、といった効果が得られることは言うまでも無い。
また、上述の外装部の施工方法(具体的には、既設屋根51上に新設屋根を設けて、既設屋根51と新設屋根とからなる二重屋根を構築する施工方法)によれば、固定部材3は、既設屋根51の凹凸の凹部(例えば、折板屋根の谷部)や損傷箇所等の、ピン状締結具9の施工が不可能な箇所を跨ぐようにして施工することが可能であり、この固定部材3上に設置したパネル4を該パネル4に貫通させたピン状締結具9によって固定部材3に対して締結固定する構成であるため、既述のパネル防水工法のように、凹凸が存在する既設屋根上にパネルを直接設置(固定部材3が介在しない)して固定ピンで固定し、陸屋根状のパネル連設体を構築する場合に比べて、パネル4の設置位置やピン状締結具9の施工位置の制約が少ない。その結果、パネル4の設置位置やピン状締結具9の施工位置の決定や確認に要する手間が軽減して、施工能率を向上できる。
(別実施形態1:屋根に適用した別態様)
図8は、建物の外壁53上端間に架設された梁54(建物躯体の一部)上に固定部材3を固定して、本発明に係る外装部である屋根1Aを構築した態様を示す。
固定部材3は、梁54に対して直交する向きで、複数並列に設けられている。屋根1Aは、複数の前記固定部材3と、嵌合溝41(あるいは嵌合溝形成用凹溝49)によって固定部材3に嵌合したパネル4が複数配列されてなる陸屋根状のパネル連設体7と、このパネル連設体7の外面側(上面側)を覆うように設けられた外面覆工層8とを具備して構成されている。
この屋根1Aも、上述の図1〜図5を参照して説明した屋根(新設屋根)である外装部1と同様の手順で施工できる。
(別実施形態2:外壁に適用した態様)
図9(a)、(b)は、本発明を、建物の外壁に適用した例を示す。
なお、図9(a)において上側を「上」、下側を「下」、図9(b)において紙面奥側を「下」、紙面手前側を「上」として説明する。
図9(a)、(b)において、符号1Bは外装部付き外壁であり、建物の外壁53の外面側に、本発明に係る外装部として機能する外壁外装部1Cが設けられた構成になっている。また、外壁53を含む外装部付き外壁1B全体も、本発明に係る外装部として機能する。
外壁外装部1Cは、前記外壁53に固定して設けられた複数の固定部材3(胴縁)と、複数並列に設けられた前記固定部材3に嵌合溝41(あるいは嵌合溝形成用凹溝49)によって嵌合したパネル4が複数配列されてなる壁状のパネル連設体7と、このパネル連設体7の外面側を覆うように設けられた外面覆工層8とを具備して構成されている。
固定部材3は上下方向に延在するようにして外壁53に固定している。また、外壁53に対する固定部材3の固定は、既設屋根51に対する固定部材3の固定と同様に、固定部材3の固定片部32に貫通させた固定部材用ピン状締結具35によって、固定片部32を外壁53に締結固定することで実現している。固定部材用ピン状締結具35としては、例えば、金属拡張アンカー、ビス、タッピングねじ等であるが、外壁53の構成に応じて適宜選択使用することは言うまでも無い。
パネル連設体7のパネル4は、該パネル4を貫通させたピン状締結具9によって固定部材3に締結固定している。
外面覆工層8としては、例えば、パネル連設体7の外面側を覆うようにサイディング材を複数固定してなる構成のもの等を採用できる。また、例えば、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等の防水塗膜も採用可能である。外面覆工層8は、ディスク91及びピン状締結具9のパネル連設体7の外面側に露出する部分を含む、パネル連設体7の外面側全体を覆っている。
外面覆工層8が、サイディング材又は防水塗膜である場合は、ディスク91及びピン状締結具9を用いて外壁53にパネル4を固定した後、ディスク91及びピン状締結具9のパネル連設体7の外面側に露出する部分を含む、パネル連設体7の外面側全体を覆うように外面覆工層8を構築する工法(施工方法)を採用する。
本発明によれば、パネル連設体7の構築後であっても、固定部材3が嵌合された嵌合溝41、73に対応する目印47によって、パネル4側の嵌合溝41、73単位で、固定部材3の位置を簡単に把握することができ、ピン状締結具9によるパネル4の固定作業を効率良く行える。
建物躯体に対する固定部材3の固定位置の決定にあたって、現場において、例えば既設屋根51や外壁53の外面側に存在する配管、換気口といった障害物の回避等のために、建物躯体に対する固定部材3の固定位置を調整しても、目印47によって、固定部材3が嵌合されている嵌合溝41、73の位置、つまり、固定部材3の位置を簡単に把握できるため、ピン状締結具9によるパネル4の固定作業を効率良く行える。
本発明では、例えば、パネル連設体7の外面側に、幅寸法が同じに揃えられている長尺帯状の防水シート81を複数敷き並べて、防水層、外面覆工層8を構築することも可能であることは言うまでも無い。この場合も、目印47によって、ピン状締結具9によるパネル4の固定作業、ディスク91を利用して防水シート81を固定する作業を効率良く行える。
また、本発明によれば、建物躯体に固定した固定部材3にパネル4を嵌合することで、固定部材3自体が、パネル4を位置決めする位置決め部材として機能する。このため、パネル4同士の接合状態を確保するべく、建物躯体に対する固定部材3の固定位置を決定することで、パネル連設体7におけるパネル4同士の接合状態を簡単に確保することができる。
パネル連設体7におけるパネル4同士の接合状態の確保は、外装部1の、高い防水性能、断熱性能の確保に有効に寄与する。
特に、断熱性能については、図5(a)、(b)に例示したような、断熱パネルとして機能するパネル4同士の接合状態を確保することで、互いに接合されたパネル4の断熱層同士が連続することになり、断熱層の不連続部分をなくすことができるため、高い断熱性能の確保に有効である。
本発明では、パネル4側の嵌合溝41、73によって、パネル4を固定部材3に嵌合した状態で、パネル4をピン状締結具9を用いて固定部材3に固定する構造であるため、例えば図5(a)に例示したパネル4Aのように全体が断熱材料で形成された構成のパネル4など、断熱層として機能する部分に嵌合溝41、嵌合溝形成用凹溝49が形成されている構成のパネル4を採用した場合は、固定部材3に固定されたパネル4の断熱層が、固定部材3の背板部31cに当接されたパネル4の当接面(嵌合溝41(あるいは嵌合溝形成用凹溝49)の溝奥の底面)よりも建物躯体側に張り出した状態となる。このため、例えば、嵌合溝41、嵌合溝形成用凹溝49を形成していない平板状のパネルを使用した場合に比べて、実質的に、断熱層の厚さが大きい状態となり、断熱性能の向上に寄与する。
図2、図7、図9(a)、(b)の場合は、断熱パネルであるパネル4を用いた外張り断熱を実現できる。
また、図2、図7、図9(a)、(b)の場合は、建物躯体(詳細には、図2、図7の場合は既設屋根51、図9(a)、(b)の場合は外壁53)とパネル連設体7との間に隙間12を確保しており、この隙間12を通気路として機能させることができる。
また、パネル連設体7の嵌合溝41、73も通気路して機能させることができる。
また、固定部材3を嵌合する嵌合溝41(あるいは嵌合溝形成用凹溝49)を決定した後、固定部材3を嵌合しない嵌合溝41(あるいは嵌合溝形成用凹溝49)に、例えばグラスウール、ウレタン発泡材等の樹脂発泡材といった断熱材を充填してから、パネル4を固定部材3に嵌合、固定するといったことも可能である。この場合、断熱性能を一層向上させることができる。
図10は、固定部材として、既述の固定部材3の嵌合チャンネル部31の内側空間31bに断熱材34が充填されてなる構成のもの(固定部材3A)を採用した例を示す。
断熱材34としては、例えば、グラスウール、ウレタン発泡材等の樹脂発泡材などを採用できる。
この場合、パネル連設体7、外装部1の断熱性能を一層向上できることは言うまでも無い。
また、本発明によれば、パネルの嵌合溝と固定部材との嵌合によって、外装部の風害に対する耐久力の向上を実現できる。
折板屋根の強風による捲れ等の風害は、強風による力が、折板屋根を建物の梁等に固定している固定ピンに該固定ピンの軸心方向に作用する場合よりも、固定ピンの軸心方向からずれた方向に作用して、固定ピンに曲げ変形を与えることにより発生することが多い。固定ピンの曲げ変形により、固定ピンが折損することなどにより、折板屋根の捲れが生じる。
本発明では、パネル側の嵌合溝に固定部材が嵌合されている構造であり、この嵌合構造によって、パネル4の固定部材3に対する横方向(固定部材3断面において、一対の側壁31aの一方から他方に向かう方向。図2、図9(b)の左右方向)の変位が規制される。このため、パネル4の固定部材3に対する横方向の変位力によるピン状締結具9の曲げ変形が防止され、この結果、外装部の風害に対する耐久力を向上できる。
また、本発明では、既述のように、目印47によって、ピン状締結具9によるパネル4の固定作業を効率良く行えるため、1枚のパネル4を固定するための固定部材3の本数を増加させるといったことも容易に実現できる。固定部材3の本数の増加によって、建物躯体に対するパネル4の固定力の向上を実現でき、風害に対する耐久力を一層高めることができる。
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されず、その主旨を逸脱しない範囲で、適宜変更が可能であることは言うまでもない。
外面覆工層8には、必要に応じて、表面保護材として、外装部1外面(建物躯体とは反対の側の面。室外側の面)全体を覆う保護用の樹脂塗膜であるトップコート層を形成しても良い。この場合、トップコート層も、本発明にかかる外面覆工層の一部であるものとする。本発明にかかる外面覆工層8としては、防水性能の要求がある場合は、防水シート、アスファルト防水層、塗膜防水層といった防水層を具備するものを採用する。また、外面覆工層8としては、防水層の外面側に、例えば、押さえコンクリート、化粧パネル等を表面材として設けてなる表面材層とを具備する複合構造としても良い。
また、本発明は、建物の屋根、外壁以外、例えば、バルコニー、人工地盤の構築等にも好適に適用できる。
1…外装部、1A…外装部(屋根)、1B…外装部(外装部付き外壁)、1C…外装部(外壁外装部)、3、3A…固定部材、31…嵌合チャンネル部、31a…側壁、31b…内側空間、31c…背板部、32…固定片部、34…断熱材、4、4A、4B…パネル、4a…底面、4b…覆工材施工面、41…嵌合溝、46…端面、46a…凸部、46b…凹部、47…目印、49…嵌合溝(嵌合溝形成用凹溝)、5…建物、51…建物躯体(既設屋根)、53…建物躯体(外壁)、7…パネル連設体、8…外面覆工層、81…防水シート、82…シート接合部、83…防水塗膜、9…ピン状締結具。

Claims (11)

  1. 建物(5)の屋根あるいは外壁として機能する外装部であって、
    建物躯体に複数固定された長尺の固定部材(3、3A)と、この固定部材に固定して複数配列したパネル(4、4A、4B)によって構成されたパネル連設体(7)と、このパネル連設体の外面側を覆う外面覆工層(8)とを具備し、
    前記パネルには、前記固定部材に嵌合するための嵌合溝(41、49)が複数本並列に形成され、
    前記パネルが、前記嵌合溝によって前記固定部材に嵌合され、しかも、該パネルを貫通するピン状締結具(9)によって前記固定部材に固定されていることを特徴とする建物の外装部(1、1A、1B、1C)。
  2. 前記パネルの前記嵌合溝が形成されている底面(4a)とは反対側の覆工材施工面(4b)に、前記嵌合溝の位置を示す目印(47)が、複数本の前記嵌合溝にそれぞれ対応させて設けられていることを特徴とする請求項1記載の建物の外装部。
  3. 前記パネル連設体において隣り合う一対のパネルが、一方のパネルの端面(46)に突設された凸部(46a)を、他方のパネルの端面(46)に形成された凹部(46b)に挿入して、互いに接合されていることを特徴とする請求項1又は2記載の建物の外装部。
  4. 前記パネルが断熱層を具備することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の建物の外装部。
  5. 前記固定部材は、前記パネルの前記嵌合溝に嵌合される断面コ字形の嵌合チャンネル部(31)と、この嵌合チャンネル部の一対の側壁(31a)の先端から突出して前記チャンネル部の両側に張り出され前記建物躯体に固定された固定片部(32)とを具備していることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の建物の外装部。
  6. 前記固定部材の前記嵌合チャンネル部の内側空間(31b)に断熱材(34)が収納されていることを特徴とする請求項5記載の建物の外装部。
  7. 前記外面覆工層が、パネル連設体の外面側の防水層を形成する防水シート(81)によって構成されており、前記防水シート同士の接合部(82)が、前記固定部材が嵌合されている嵌合溝に対応する位置に設けられていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の建物の外装部。
  8. 前記固定部材が、建物の屋根(51)上に固定されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の建物の外装部。
  9. 前記固定部材が、建物の外壁(53)に固定されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の建物の外装部。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載の建物の外装部(1、1A、1B、1C)の施工方法であって、
    建物躯体に前記固定部材(3)を複数並列に固定する固定部材施工工程の後、前記パネル(4)を前記嵌合溝(41、49)に前記固定部材を収納して前記固定部材に嵌合するパネル嵌合工程を行い、次いで、前記パネルに貫通させたピン状締結具(9)によって前記パネルを前記固定部材に固定するパネル固定工程、及び、前記外面覆工層(8)を形成する覆工工程を実施することを特徴とする外装部の施工方法。
  11. 請求項2記載の建物の外装部を施工する請求項10記載の外装部の施工方法であって、
    前記パネル固定工程において、前記ピン状締結具を、前記固定部材が嵌合された前記嵌合溝に対応する目印(47)に応じて、この目印に対応する前記嵌合溝の存在範囲にて前記パネルに貫通させ、前記パネルを前記固定部材に固定することを特徴とする外装部の施工方法。
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