JP2002241419A - オレフィン重合用触媒およびオレフィンの重合方法 - Google Patents

オレフィン重合用触媒およびオレフィンの重合方法

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JP2002241419A
JP2002241419A JP2001044053A JP2001044053A JP2002241419A JP 2002241419 A JP2002241419 A JP 2002241419A JP 2001044053 A JP2001044053 A JP 2001044053A JP 2001044053 A JP2001044053 A JP 2001044053A JP 2002241419 A JP2002241419 A JP 2002241419A
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和 彦 ▼高▲井
Kazuhiko Takai
Toshiyuki Oshiki
木 俊 之 押
Yoshihisa Inoue
上 佳 尚 井
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Mitsui Chemicals Inc
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Mitsui Chemicals Inc
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 本発明のオレフィン重合用触媒は、アミ
ン配位子を有する特定の遷移金属化合物を含むことを特
徴としている。また、本発明のオレフィンの重合方法
は、上記本発明のオレフィン重合用触媒の存在下に、オ
レフィンを重合または共重合させることを特徴としてい
る。 【効果】 本発明によれば、高い重合活性を有し、分子
量分布の狭いオレフィン(共)重合体を製造することが
でき、2種以上のオレフィンの共重合に用いると、組成
分布の狭いオレフィン共重合体を製造することとができ
る、オレフィン重合用触媒を提供することができる。ま
た、本発明のオレフィンの重合方法によれば、高い重合
活性で、分子量分布の狭いオレフィン(共)重合体を製
造することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は、遷移金属化合物からなる
オレフィン重合用触媒、ならびに該オレフィン重合用触
媒を用いたオレフィンの重合方法に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】オレフィン重合用触媒としては、
いわゆるカミンスキー触媒がよく知られている。この触
媒は非常に重合活性が高く、分子量分布が狭い重合体が
得られるという特徴がある。このようなカミンスキー触
媒に用いられる遷移金属化合物としては、たとえばビス
(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド(特
開昭58ー19309号公報参照)や、エチレンビス
(4,5,6,7-テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジク
ロリド(特開昭61−130314号公報参照)などが
知られている。
【0003】また重合に用いる遷移金属化合物が異なる
と、オレフィン重合活性や得られたポリオレフィンの性
状が大きく異なることも知られている。さらに最近新し
いオレフィン重合用触媒としてジイミン構造の配位子を
持った遷移金属化合物(国際公開特許第9623010
号参照)が提案されている。ところで一般にポリオレフ
ィンは、機械的特性などに優れているため、各種成形体
用など種々の分野に用いられているが、近年ポリオレフ
ィンに対する物性の要求が多様化しており、様々な性状
のポリオレフィンが望まれている。また生産性の向上も
課題である。
【0004】このような状況のもと、オレフィン重合活
性に優れ、しかも優れた性状を有するポリオレフィンを
製造しうるようなオレフィン重合用触媒の出現が望まれ
ていた。
【0005】
【発明の目的】本発明は、遷移金属化合物からなり、優
れた重合活性を示すオレフィン重合用触媒、および、該
触媒を用いたオレフィンの重合方法を提供することを目
的とする。
【0006】
〔式(II)中、R1、R2、R3、R4 は、それぞれ独立に、水素原子、炭化水素基またはケイ素含有基を示し、Qは、−CR56 −、−SiR78 −、−NR9 −、−O−および−S−よりなる群から選ばれる基であって、R5、R6、R7、R8、R9 は、それぞれ独立に、水素原子、炭化水素基またはケイ素含有基を表し、qは1ないし10の整数であって、qが2以上の場合、複数のQは同一であっても異なっていてもよい。〕
Bは、カルボニル化合物またはスルホキシド化合物であ
り、a,bは、それぞれ独立に、0ないし2であって、
かつ同時に0とはならない整数であり、Xは、水素原
子、ハロゲン原子、酸素原子、炭化水素基、酸素含有
基、イオウ含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミ
ニウム含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残
基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基およびスズ含有
基よりなる郡から選ばれる原子もしくは基を示し、n
は、1ないし4の整数である。)。
【0007】また、本発明のオレフィン重合用触媒は、
(A)上記式(I)で表される遷移金属化合物と、(B)
(B-1) 有機金属化合物、(B-2) 有機アルミニウムオキシ
化合物、および(B-3) 遷移金属化合物(A)と反応してイ
オン対を形成する化合物よりなる群から選ばれる少なく
とも1種の化合物とを含むことを特徴としている。
【0008】これらの本発明のオレフィン重合用触媒で
は、上記式(I)中、Mが第6族遷移金属であることも
好ましい。またこれらの本発明のオレフィン重合用触媒
は、有機ハロゲン化物を含むことも好ましく、また、担
体を含むことも好ましい。本発明のオレフィンの重合方
法は、上記本発明のオレフィン重合用触媒の存在下に、
オレフィンを重合または共重合させることを特徴として
いる。
【0009】
【発明の具体的説明】以下、本発明について具体的に説
明する。なお、本明細書において、重合という語は、単
独重合だけでなく共重合をも包含した意味で用いられる
ことがあり、また、重合体という語は、単独重合体だけ
でなく共重合体をも包含した意味で用いられることがあ
る。
【0010】<オレフィン重合用触媒>本発明のオレフ
ィン重合用触媒は、下記式(I)で表される遷移金属化
合物(A)を含む。 Aab MXn …(I) (式(I)中、Mは第3〜11族の遷移金属を示し、A
は、下記式(II)で表されるアミン配位子であり、 R12 N−(Q)q −NR34 …(II) 〔式(II)中、R1、R2、R3、R4 は、それぞれ独立
に、水素原子、炭化水素基またはケイ素含有基を示し、
Qは、−CR56 −、−SiR78 −、−NR9
−、−O−および−S−よりなる群から選ばれる基であ
って、R5、R6、R7、R8、R9 は、それぞれ独立に、
水素原子、炭化水素基またはケイ素含有基を表し、qは
1ないし10の整数であって、qが2以上の場合、複数
のQは同一であっても異なっていてもよい。〕 Bは、カルボニル化合物またはスルホキシド化合物であ
り、a,bは、それぞれ独立に、0ないし2であって、
かつ同時に0とはならない整数であり、Xは、水素原
子、ハロゲン原子、酸素原子、炭化水素基、酸素含有
基、イオウ含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミ
ニウム含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残
基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基およびスズ含有
基よりなる郡から選ばれる原子もしくは基を示し、n
は、1ないし4の整数である。) また、本発明のオレフィン重合用触媒は、(A)上記式
(I)で表される遷移金属化合物とともに、必要に応じ
て、(B)(B-1) 有機金属化合物、(B-2) 有機アルミニ
ウムオキシ化合物、および(B-3) 遷移金属化合物(A)と
反応してイオン対を形成する化合物よりなる群から選ば
れる少なくとも1種の化合物とを含み、また、必要に応
じて、有機ハロゲン化物および/または(C)担体を含
む。
【0011】以下、本発明のオレフィン重合用触媒を構
成する各成分について説明する。(A)遷移金属化合物 本発明のオレフィン重合用触媒を構成する遷移金属化合
物(A)は、下記式(I)で表される化合物である。 Aab MXn …(I) 上記式(I)中、Mは、周期表第3〜11族の遷移金属
原子(3族にはランタノイドも含まれる)を示し、好ま
しくは4〜6族および8〜10族の遷移金属原子であ
り、より好ましくは4〜6族の金属原子であり、特に好
ましくは6族の遷移金属原子である。具体的には、スカ
ンジウム、イットリウム、ランタノイド、チタン、ジル
コニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタ
ル、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、レ
ニウム、鉄、ルテニウム、コバルト、ロジウム、ニッケ
ル、パラジウムなどが挙げられ、好ましくは、チタン、
ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タン
タル、クロム、モリブデン、タングステン、鉄、コバル
ト、ロジウム、ニッケル、パラジウムなどが挙げられ、
より好ましくは、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、
バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、
タングステンなどが挙げられ、特に好ましくは、6族の
遷移金属原子であるクロム、モリブデン、タングステン
が挙げられる。
【0012】上記式(I)中、Aは、下式(II)で表さ
れる、少なくともアミン基を2つ有する、アミン配位子
である。 R12 N−(Q)q −NR34 …(II) 式(II)中、R1、R2、R3、R4 は、それぞれ独立
に、水素原子、炭化水素基またはケイ素含有基を示す。
【0013】炭化水素基としては、具体例には、メチ
ル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、オクチル、
ノニル、ドデシル、アイコシルなどのアルキル基;シク
ロペンチル、シクロヘキシル、ノルボルニル、アダマン
チルなどの炭素原子数が3〜30のシクロアルキル基;
ビニル、プロペニル、シクロヘキセニルなどのアルケニ
ル基;ベンジル、フェニルエチル、フェニルプロピルな
どのアリールアルキル基;フェニル、トリル、ジメチル
フェニル、トリメチルフェニル、エチルフェニル、プロ
ピルフェニル、ビフェニル、ナフチル、メチルナフチ
ル、アントリル、フェナントリルなどのアリール基など
が挙げられる。
【0014】ケイ素含有基としては、具体的には、フェ
ニルシリル、ジフェニルシリル、トリメチルシリル、ト
リエチルシリル、トリプロピルシリル、トリシクロヘキ
シルシリル、トリフェニルシリル、メチルジフェニルシ
リル、トリトリルシリル、トリナフチルシリルなどの炭
化水素置換シリル基;トリメチルシリルエーテルなどの
炭化水素置換シリルエーテル基;トリメチルシリルメチ
ルなどのケイ素置換アルキル基;トリメチルシリルフェ
ニルなどのケイ素置換アリール基などが挙げられる。
【0015】またこれらの炭化水素基およびケイ素含有
基には、これらの基の少なくとも一つの水素が、他の基
で置換されたものであってもよく、具体的には、たとえ
ば、塩素や臭素などのハロゲン原子により置換された
基;メトキシ、エトキシなどのアルコキシ基、フェノキ
シ、メチルフェノキシなどのアリーロキシ基、フェニル
メトキシなどのアリールアルコキシ基、カルボニル基、
ヒドロキシ基などの酸素含有基により置換された基;メ
チルスルフォネートなどのスルフォネート基、メチルス
ルフィネートなどのスルフィネート基、メチルチオなど
のアルキルチオ基、フェニルチオなどのアリールチオ
基、−SH基などのイオウ含有基により置換された基;
ジメチルアミノ、エチルアミノなどのアルキルアミノ
基、フェニルアミノ、ジフェニルアミノ、メチルフェニ
ルアミノなどのアリールアミノ基またはアルキルアリー
ルアミノ基などの窒素含有基により置換された基などで
あってもよい。これらの基により炭化水素基およびケイ
素含有基の少なくとも一つの水素が置換され、金属に配
位する能力のある官能基が増えた場合、この官能基は金
属に配位していてもよいし配位していなくてもよい。
【0016】このようなR1〜R4は互いに異なっていて
も同一であってもよい。これらの原子もしくは基のう
ち、R1〜R4としては、水素原子または炭素原子数が1
〜20の炭化水素基であるのが好ましい。上記式(II)
中、Qは、R12N−基およびR34N−基を連結する
基であって、一般式−CR56 −、−SiR78
−、−NR9 −、−O−および−S−よりなる群から選
ばれる基である。R5、R6、R7、R8、R9 は、それぞ
れ独立に、水素原子、炭化水素基またはケイ素含有基を
表し、具体的には、R1ないしR4で例示した基を挙げる
ことができる。
【0017】qは1ないし10の整数であって、qが2
以上の場合、複数のQは同一であっても異なっていても
よく、また複数のQの、R5ないしR9のいずれかが、結
合して環状構造を有していてもよい。このような上記式
(II)で表されるアミン配位子としては、具体的には、
たとば、エチレンジアミン、1,3-プロピレンジアミン、
1,2-プロピレンジアミン、N,N,N',N'-テトラメチルメタ
ンジアミン、N,N,-ジメチルエチレンジアミン、N,N'-ジ
メチルエチレンジアミン、N,N,N',N'-テトラメチルエチ
レンジアミン、N,N,N',N'-テトラメチル-1,3-プロパン
ジアミン、N,N'-ジ(トリメチルシリル)エチレンジア
ミン、N,N,2,2-テトラメチル-1,3-プロパンジアミン、
N,N,N',N'-テトラメチル-1,4-ブタンジアミン、N,N,N',
N'-テトラメチル-2-ブテン-1,4-ジアミン、N,N-ジエチ
ルエチレンジアミン、N,N'-ジエチルエチレンジアミ
ン、N,N,N',N'-テトラエチルエチレンジアミン、N,N,
N',N'-テトラエチル-1,3-プロパンジアミン、N,N,N',N'
-テトラフェニルエチレンジアミン、N,N,N',N'-テトラ
フェニル-1,3-プロパンジアミン、2-(2-アミノエチルア
ミノ)エタノール、1,2-シクロヘキサンジアミンなどの
飽和または不飽和アルキルジアミンおよびこれらジアミ
ンのN-炭化水素基またはケイ素含有基置換体;o-フェニ
レンジアミン、N,N'-ジエチル-o-フェニレンジアミン、
N,N,N',N'-テトラメチル-o-フェニレンジアミンなどの
フェニレンジアミン類;ジエチレントリアミン、トリエ
チレンテトラミン、テトラエチレンペンタミンなどのポ
リアミンおよびこれらポリアミンのN-炭化水素基または
ケイ素含有基置換体;2,2'-オキシビス(エチルアミ
ン)などのアミン基を連結する基の主鎖に酸素含有基を
有するアミンおよびそのN-炭化水素基またはケイ素含有
基置換体;2,2'-チオビス(エチルアミン)などのアミ
ン基を連結する基の主鎖にイオウ含有基を有するアミン
およびそのN-炭化水素基またはケイ素含有基置換体、な
どを例示することができる。
【0018】上記式(I)中、Bは、カルボニル化合物
またはスルホキシド化合物である。カルボニル化合物と
しては、具体的には、たとえば、ホルムアルデヒド、ア
セトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n−ブチルア
ルデヒド、ベンズアルデヒド、p−ニトロベンズアルデ
ヒド、p−トルアルデヒド、フェニルアセトアルデヒ
ド、α−メチルバレルアルデヒド、イソカプロアルデヒ
ド等の鎖状または環状の飽和または不飽和アルデヒド
類;アセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロ
ピルケトン、アセトフェノン、ベンゾフェノン、n−ブ
チロフェノン、ベンジルメチルケトン等の鎖状または環
状の飽和または不飽和ケトン類;ホルムアミド、アセト
アミド、ベンズアミド、n−バレルアミド、ステアリル
アミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセ
トアミド、N,N-ジエチルプロピオンアミド、N,N-ジメチ
ル-n-ブチルアミドなど鎖状または環状の飽和または不
飽和アミド類;無水酢酸、無水コハク酸、無水マレイン
酸などの鎖状または環状の飽和または不飽和酸無水物;
スクシンイミド、フタルイミドなどの鎖状または環状の
飽和または不飽和イミド化合物;酢酸メチル、酢酸エチ
ル、酢酸ベンジル、酢酸フェニル、ギ酸エチル、プロピ
オン酸エチル、ステアリン酸エチル、安息香酸エチルな
どの鎖状または環状の飽和または不飽和エステル類;酢
酸、プロピオン酸、安息香酸などの鎖状または環状の飽
和または不飽和カルボン酸などが挙げられる。
【0019】またスルホキシド化合物としては、たとえ
ば、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド、メ
チルエチルスルホキシド、ジフェニルスルホキシドなど
の鎖状または環状の飽和または不飽和スルホキシドなど
が挙げられる。さらに、上記式(I)中のBは、これら
の化合物の一部が例えばアルキル基、ハロゲン基、ニト
ロ基、カルボニル基、アミノ基等の置換基に置換された
化合物であってもよい。上記式(I)中のBとしては、
これらのうち、アルデヒド類、ケトン類、アミド類、エ
ステル類、スルホキシド類から選ばれる化合物が好まし
く、アミド類がより好ましい。
【0020】上記式(I)において、a,bは、それぞ
れ独立に、0ないし2であって、かつ同時に0とはなら
ない整数である。したがって、式(I)で表される遷移
金属化合物は、配位子として、Aおよび/またはBを少
なくとも1つ有する。また、上記式(I)において、X
は、水素原子、ハロゲン原子、酸素原子、炭化水素基、
酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、ホウ素含有
基、アルミニウム含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式
化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基および
スズ含有基よりなる郡から選ばれる原子もしくは基を示
す。
【0021】このうちハロゲン原子としては、フッ素、
塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。炭化水素基として
は、具体的には、たとえば、メチル、エチル、プロピ
ル、ブチル、ヘキシル、オクチル、ノニル、ドデシル、
アイコシルなどのアルキル基;シクロペンチル、シクロ
ヘキシル、ノルボルニル、アダマンチルなどの炭素原子
数が3〜30のシクロアルキル基;ビニル、プロペニ
ル、シクロヘキセニルなどのアルケニル基;ベンジル、
フェニルエチル、フェニルプロピルなどのアリールアル
キル基;フェニル、トリル、ジメチルフェニル、トリメ
チルフェニル、エチルフェニル、プロピルフェニル、ビ
フェニル、ナフチル、メチルナフチル、アントリル、フ
ェナントリルなどのアリール基などが挙げられる。
【0022】またこれらの炭化水素基には、ハロゲン化
炭化水素、具体的には炭素原子数1〜30の炭化水素基
であって、少なくとも一つの水素がハロゲン置換した基
も含まれる。炭化水素基としては、これらのうち、炭素
原子数が1〜20のものが好ましい。
【0023】酸素含有基としては、具体的には、たとえ
ば、オキシ基;ペルオキシ基;ヒドロキシ基;ヒドロペ
ルオキシ基;メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキ
シなどのアルコシキ基;フェノキシ、メチルフェノキ
シ、ジメチルフェノキシ、ナフトキシなどのアリーロキ
シ基;フェニルメトキシ、フェニルエトキシなどのアリ
ールアルコキシ基;アセトキシ基;カルボニル基;アセ
チルアセトナト基(acac);オキソ基などが挙げら
れる。
【0024】イオウ含有基としては、具体的には、たと
えば、メチルスルフォネート、トリフルオロメタンスル
フォネート、フェニルスルフォネート、ベンジルスルフ
ォネート、p-トルエンスルフォネート、トリメチルベン
ゼンスルフォネート、トリイソブチルベンゼンスルフォ
ネート、p-クロルベンゼンスルフォネート、ペンタフル
オロベンゼンスルフォネートなどのスルフォネート基;
メチルスルフィネート、フェニルスルフィネート、ベン
ジルスルフィネート、p-トルエンスルフィネート、トリ
メチルベンゼンスルフィネート、ペンタフルオロベンゼ
ンスルフィネートなどのスルフィネート基;アルキルチ
オ基;アリールチオ基;硫酸基;スルフィド基;ポリス
ルフィド基;チオラート基などが挙げられる。
【0025】窒素含有基としては、具体的には、アミノ
基;メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、
ジプロピルアミノ、ジブチルアミノ、ジシクロヘキシル
アミノなどのアルキルアミノ基;フェニルアミノ、ジフ
ェニルアミノ、ジトリルアミノ、ジナフチルアミノ、メ
チルフェニルアミノなどのアリールアミノ基またはアル
キルアリールアミノ基が挙げられる。
【0026】ホウ素含有基としては、具体的には、一般
式BR4(Rは水素、アルキル基、置換基を有してもよ
いアリール基、ハロゲン原子等を示す)で表される基が
挙げられる。アルミニウム含有基としては、具体的に
は、一般式AlR4(Rは水素、アルキル基、置換基を
有してもよいアリール基、ハロゲン原子等を示す)で表
される基が挙げられる。
【0027】ハロゲン含有基としては、具体的には、P
6、BF4などのフッ素含有基;ClO4、SbCl6
どの塩素含有基;IO4などのヨウ素含有基などが挙げ
られる。ヘテロ環式化合物残基としては、具体的には、
ピロール、ピリジン、ピリミジン、キノリン、トリアジ
ンなどの含窒素化合物;フラン、ピランなどの含酸素化
合物;チオフェンなどの含硫黄化合物などの残基;およ
びこれらのヘテロ環式化合物残基に炭素原子数が1〜3
0、好ましくは1〜20のアルキル基、アルコキシ基な
どの置換基がさらに置換した基などが挙げられる。
【0028】ケイ素含有基としては、具体的には、フェ
ニルシリル、ジフェニルシリル、トリメチルシリル、ト
リエチルシリル、トリプロピルシリル、トリシクロヘキ
シルシリル、トリフェニルシリル、メチルジフェニルシ
リル、トリトリルシリル、トリナフチルシリルなどの炭
化水素置換シリル基;トリメチルシリルエーテルなどの
炭化水素置換シリルエーテル基;トリメチルシリルメチ
ルなどのケイ素置換アルキル基;トリメチルシリルフェ
ニルなどのケイ素置換アリール基などが挙げられる。
【0029】ゲルマニウム含有基としては、具体的に
は、前記ケイ素含有基のケイ素をゲルマニウムに置換し
た基が挙げられる。スズ含有基としては、具体的には、
前記ケイ素含有基のケイ素をスズに置換した基が挙げら
れる。これらの原子もしくは基のうち、Xは、水素原
子、ハロゲン原子、炭化水素基から選ばれる基であるこ
とが好ましく、ハロゲン原子であることがより好まし
い。
【0030】また、上記式(I)において、nは、1な
いし4の整数を表し、通常、遷移金属Mの価数以内の数
である。nが2以上の場合、Xで表される複数の原子ま
たは基は、互いに同一であっても異なっていてもよく、
また、Xで示される複数の基は、互いに結合して環を形
成してもよい。上記式(I)で表される遷移金属化合物
(A)は、どのような方法で製造してもよく、その製造
方法を特に限定するものではないが、たとえば、金属ハ
ロゲン化合物と配位子となる化合物Aおよび/またはB
とを順次反応させることによって合成でき、得られた遷
移金属化合物は、たとえば再結晶などの、通常の錯体精
製の方法により精製単離することができる。また場合に
よっては、このようにして得られた遷移金属化合物を、
精製操作をせずにそのまま触媒成分として用いることも
できる。さらに、このようにして得られた遷移金属化合
物と、たとえばアルキルリチウムのようなアルキル化剤
などと反応させることにより、配位子Xがハロゲン原子
以外の基である遷移金属化合物を合成することもでき
る。
【0031】このような、上記式(I)で表される遷移
金属化合物(A)の具体的構造の例を以下に示す。ま
た、以下に例示する化合物の、中心となる遷移金属M
を、他の遷移金属に置き換えた化合物も同様に例示でき
る。なお、本明細書では、メチル基をMe、エチル基を
Et、フェニル基をPhとそれぞれ略記することがあ
る。
【0032】
【化1】
【0033】
【化2】
【0034】
【化3】
【0035】
【化4】
【0036】(B)成分 本発明のオレフィン重合用触媒には、必要に応じて、
(B-1)有機金属化合物、(B-2)有機アルミニウムオキ
シ化合物、および(B-3)遷移金属化合物(A)と反応して
イオン対を形成する化合物よりなる群から選ばれる少な
くとも1種の化合物である(B)成分を含有することが
でき、このような(B)成分を含有することが好まし
い。
【0037】以下、各成分について説明する。(B-1)有機金属化合物 有機金属化合物(B-1)としては、具体的には下記のよう
な周期表第1、2族および第12、13族の有機金属化
合物が挙げられる。 (B-1a) 一般式 Ra mAl(ORb)npq (式中、RaおよびRbは、互いに同一でも異なっていて
もよく、炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭
化水素基を示し、Xはハロゲン原子を示し、mは0<m
≦3、nは0≦n<3、pは0≦p<3、qは0≦q<
3の数であり、かつm+n+p+q=3である。)で表
される有機アルミニウム化合物。
【0038】(B-1b) 一般式 M2AlRa 4 (式中、M2はLi、NaまたはKを示し、Raは炭素原
子数1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示
す。)で表される1族金属とアルミニウムとの錯アルキ
ル化物。 (B-1c) 一般式 Rab3 (式中、RaおよびRbは、互いに同一でも異なっていて
もよく、炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭
化水素基を示し、M3はMg、ZnまたはCdであ
る。)で表される2族または12族金属のジアルキル化
合物。
【0039】前記の(B-1a)に属する有機アルミニウム化
合物としては、次のような化合物を例示できる。 一般式 Ra mAl(ORb)3-m (式中、RaおよびRbは、互いに同一でも異なっていて
もよく、炭素原子数1〜15、好ましくは1〜4の炭化
水素基を示し、mは、好ましくは1.5≦m≦3の数で
ある。)で表される有機アルミニウム化合物、 一般式 Ra mAlX3-m (式中、Raは炭素原子数1〜15、好ましくは1〜4
の炭化水素基を示し、Xはハロゲン原子を示し、mは好
ましくは0<m<3である。)で表される有機アルミニ
ウム化合物、 一般式 Ra mAlH3-m (式中、Raは炭素原子数1〜15、好ましくは1〜4
の炭化水素基を示し、mは好ましくは2≦m<3であ
る。)で表される有機アルミニウム化合物、 一般式 Ra mAl(ORb)nq (式中、RaおよびRbは、互いに同一でも異なっていて
もよく、炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭
化水素基を示し、Xはハロゲン原子を示し、mは0<m
≦3、nは0≦n<3、qは0≦q<3の数であり、か
つm+n+q=3である。)で表される有機アルミニウ
ム化合物。
【0040】(B-1a)に属する有機アルミニウム化合物と
して、より具体的には、トリメチルアルミニウム、トリ
エチルアルミニウム、トリn-ブチルアルミニウム、トリ
プロピルアルミニウム、トリペンチルアルミニウム、ト
リヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、
トリデシルアルミニウムなどのトリn-アルキルアルミニ
ウム;トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチル
アルミニウム、トリ-sec-ブチルアルミニウム、トリ-te
rt-ブチルアルミニウム、トリ-2-メチルブチルアルミニ
ウム、トリ-3-メチルブチルアルミニウム、トリ-2-メチ
ルペンチルアルミニウム、トリ-3-メチルペンチルアル
ミニウム、トリ-4-メチルペンチルアルミニウム、トリ-
2-メチルヘキシルアルミニウム、トリ-3-メチルヘキシ
ルアルミニウム、トリ-2-エチルヘキシルアルミニウム
などのトリ分岐鎖アルキルアルミニウム;トリシクロヘ
キシルアルミニウム、トリシクロオクチルアルミニウム
などのトリシクロアルキルアルミニウム;トリフェニル
アルミニウム、トリトリルアルミニウムなどのトリアリ
ールアルミニウム;ジエチルアルミニウムハイドライ
ド、ジイソブチルアルミニウムハイドライドなどのジア
ルキルアルミニウムハイドライド;(i-C49)xAl
y(C510)z(式中、x、y、zは正の数であり、z≧
2xである。)などで表されるトリイソプレニルアルミ
ニウムなどのトリアルケニルアルミニウム;イソブチル
アルミニウムメトキシド、イソブチルアルミニウムエト
キシド、イソブチルアルミニウムイソプロポキシドなど
のアルキルアルミニウムアルコキシド;ジメチルアルミ
ニウムメトキシド、ジエチルアルミニウムエトキシド、
ジブチルアルミニウムブトキシドなどのジアルキルアル
ミニウムアルコキシド;エチルアルミニウムセスキエト
キシド、ブチルアルミニウムセスキブトキシドなどのア
ルキルアルミニウムセスキアルコキシド;Ra 2.5Al
(ORb)0.5 などで表される平均組成を有する部分的に
アルコキシ化されたアルキルアルミニウム;ジエチルア
ルミニウムフェノキシド、ジエチルアルミニウム(2,6-
ジ-t-ブチル-4-メチルフェノキシド)、エチルアルミニ
ウムビス(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノキシド)、
ジイソブチルアルミニウム(2,6-ジ-t- ブチル-4-メチ
ルフェノキシド)、イソブチルアルミニウムビス(2,6-
ジ-t-ブチル-4-メチルフェノキシド)などのジアルキル
アルミニウムアリーロキシド;ジメチルアルミニウムク
ロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジブチルアル
ミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムブロミド、ジ
イソブチルアルミニウムクロリドなどのジアルキルアル
ミニウムハライド;エチルアルミニウムセスキクロリ
ド、ブチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミ
ニウムセスキブロミドなどのアルキルアルミニウムセス
キハライド;エチルアルミニウムジクロリド、プロピル
アルミニウムジクロリド、ブチルアルミニウムジブロミ
ドなどのアルキルアルミニウムジハライドなどの部分的
にハロゲン化されたアルキルアルミニウム;ジエチルア
ルミニウムヒドリド、ジブチルアルミニウムヒドリドな
どのジアルキルアルミニウムヒドリド;エチルアルミニ
ウムジヒドリド、プロピルアルミニウムジヒドリドなど
のアルキルアルミニウムジヒドリドなどその他の部分的
に水素化されたアルキルアルミニウム;エチルアルミニ
ウムエトキシクロリド、ブチルアルミニウムブトキシク
ロリド、エチルアルミニウムエトキシブロミドなどの部
分的にアルコキシ化およびハロゲン化されたアルキルア
ルミニウムなどが挙げられる。
【0041】また(B-1a)に類似する化合物も使用するこ
とができ、例えば窒素原子を介して2以上のアルミニウ
ム化合物が結合した有機アルミニウム化合物も挙げられ
る。このような化合物として、具体的には、(C25)2
AlN(C25)Al(C25)2などが挙げられる。前記
(B-1b)に属する化合物としては、LiAl(C25)4
LiAl(C715) 4などが挙げられる。
【0042】またその他にも、有機金属化合物(B-1)と
しては、メチルリチウム、エチルリチウム、プロピルリ
チウム、ブチルリチウム、メチルマグネシウムブロミ
ド、メチルマグネシウムクロリド、エチルマグネシウム
ブロミド、エチルマグネシウムクロリド、プロピルマグ
ネシウムブロミド、プロピルマグネシウムクロリド、ブ
チルマグネシウムブロミド、ブチルマグネシウムクロリ
ド、ジメチルマグネシウム、ジエチルマグネシウム、ジ
ブチルマグネシウム、ブチルエチルマグネシウムなどを
使用することもできる。
【0043】また重合系内で上記有機アルミニウム化合
物が形成されるような化合物、例えばハロゲン化アルミ
ニウムとアルキルリチウムとの組合せ、またはハロゲン
化アルミニウムとアルキルマグネシウムとの組合せなど
を使用することもできる。有機金属化合物(B-1)のなか
では、有機アルミニウム化合物が好ましい。上記のよう
な有機金属化合物(B-1)は、1種単独でまたは2種以上
組み合わせて用いられる。
【0044】(B-2)有機アルミニウムオキシ化合物 有機アルミニウムオキシ化合物(B-2)は、従来公知のア
ルミノキサンであってもよく、また特開平2−7868
7号公報に例示されているようなベンゼン不溶性の有機
アルミニウムオキシ化合物であってもよい。従来公知の
アルミノキサンは、例えば下記のような方法によって製
造することができ、通常、炭化水素溶媒の溶液として得
られる。 (1)吸着水を含有する化合物または結晶水を含有する
塩類、例えば塩化マグネシウム水和物、硫酸銅水和物、
硫酸アルミニウム水和物、硫酸ニッケル水和物、塩化第
1セリウム水和物などの炭化水素媒体懸濁液に、トリア
ルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物を添
加して、吸着水または結晶水と有機アルミニウム化合物
とを反応させる方法。 (2)ベンゼン、トルエン、エチルエーテル、テトラヒ
ドロフランなどの媒体中で、トリアルキルアルミニウム
などの有機アルミニウム化合物に直接水、氷または水蒸
気を作用させる方法。 (3)デカン、ベンゼン、トルエンなどの媒体中でトリ
アルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物
に、ジメチルスズオキシド、ジブチルスズオキシドなど
の有機スズ酸化物を反応させる方法。
【0045】なお該アルミノキサンは、少量の有機金属
成分を含有してもよい。また回収された上記のアルミノ
キサンの溶液から溶媒または未反応有機アルミニウム化
合物を蒸留して除去した後、溶媒に再溶解またはアルミ
ノキサンの貧溶媒に懸濁させてもよい。アルミノキサン
を調製する際に用いられる有機アルミニウム化合物とし
て具体的には、前記(B-1a)に属する有機アルミニウム化
合物として例示したものと同様の有機アルミニウム化合
物が挙げられる。これらのうち、トリアルキルアルミニ
ウム、トリシクロアルキルアルミニウムが好ましく、ト
リメチルアルミニウムが特に好ましい。上記のような有
機アルミニウム化合物は、1種単独でまたは2種以上組
み合せて用いられる。
【0046】アルミノキサンの調製に用いられる溶媒と
しては、ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン、シメ
ンなどの芳香族炭化水素;ペンタン、ヘキサン、ヘプタ
ン、オクタン、デカン、ドデカン、ヘキサデカン、オク
タデカンなどの脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シク
ロヘキサン、シクロオクタン、メチルシクロペンタンな
どの脂環族炭化水素、ガソリン、灯油、軽油などの石油
留分または上記芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、脂環
族炭化水素のハロゲン化物(例えば、塩素化物、臭素化
物など。)などの炭化水素溶媒が挙げられる。さらにエ
チルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類を
用いることもできる。これらの溶媒のうち特に芳香族炭
化水素または脂肪族炭化水素が好ましい。
【0047】またベンゼン不溶性の有機アルミニウムオ
キシ化合物は、60℃のベンゼンに溶解するAl成分が
Al原子換算で通常10%以下、好ましくは5%以下、
特に好ましくは2%以下であるもの、すなわちベンゼン
に対して不溶性または難溶性であるものが好ましい。有
機アルミニウムオキシ化合物の例としては、下記一般式
(i)で表されるボロンを含んだ有機アルミニウムオキ
シ化合物も挙げられる。
【0048】
【化5】
【0049】式中、R20は炭素原子数が1〜10の炭化
水素基を示す。R21は、互いに同一でも異なっていても
よい水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜10の炭
化水素基を示す。前記一般式(i)で表されるボロンを
含んだ有機アルミニウムオキシ化合物は、下記一般式
(ii)で表されるアルキルボロン酸と、 R20−B−(OH)2 ・・・ (ii) (式中、R20は上記と同じ基を示す。)有機アルミニウ
ム化合物とを、不活性ガス雰囲気下に不活性溶媒中で、
−80℃〜室温の温度で1分〜24時間反応させること
により製造できる。
【0050】前記一般式(ii)で表されるアルキルボロ
ン酸の具体的なものとしては、メチルボロン酸、エチル
ボロン酸、イソプロピルボロン酸、n-ブロピルボロン
酸、n-ブチルボロン酸、イソブチルボロン酸、n-ヘキシ
ルボロン酸、シクロヘキシルボロン酸、フェニルボロン
酸、3,5-ジフルオロフェニルボロン酸、ペンタフルオロ
フェニルボロン酸、3,5-ビス(トリフルオロメチル)フ
ェニルボロン酸などが挙げられる。これらの中では、メ
チルボロン酸、n-ブチルボロン酸、イソブチルボロン
酸、3,5-ジフルオロフェニルボロン酸、ペンタフルオロ
フェニルボロン酸が好ましい。これらは1種単独でまた
は2種以上組み合わせて用いられる。
【0051】このようなアルキルボロン酸と反応させる
有機アルミニウム化合物として具体的には、前記(B-1a)
に属する有機アルミニウム化合物として例示したものと
同様の有機アルミニウム化合物が挙げられる。これらの
うち、トリアルキルアルミニウム、トリシクロアルキル
アルミニウムが好ましく、特にトリメチルアルミニウ
ム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニ
ウムが好ましい。これらは1種単独でまたは2種以上組
み合わせて用いられる。
【0052】上記のような (B-2)有機アルミニウムオキ
シ化合物は、1種単独でまたは2種以上組み合せて用い
られる。(B-3)遷移金属化合物(A)と反応してイオン対を形成
する化合物 遷移金属化合物(A)と反応してイオン対を形成する化
合物(B-3)は、少なくとも上記遷移金属化合物(A)と
接触して、イオン対を形成しうる化合物である。
【0053】このような化合物としては、特開平1−5
01950号公報、特開平1−502036号公報、特
開平3−179005号公報、特開平3−179006
号公報、特開平3−207703号公報、特開平3−2
07704号公報、米国特許5321106号明細書な
どに記載されたルイス酸、イオン性化合物、ボラン化合
物およびカルボラン化合物などが挙げられる。さらに、
ヘテロポリ化合物およびイソポリ化合物もあげることが
できる。
【0054】具体的には、ルイス酸としては、BR
3(Rは、フッ素、メチル基、トリフルオロメチル基な
どの置換基を有していてもよいフェニル基またはフッ素
である。)で示される化合物が挙げられ、例えば、トリ
フルオロボロン、トリフェニルボロン、トリス(4-フル
オロフェニル)ボロン、トリス(3,5-ジフルオロフェニ
ル)ボロン、トリス(4-フルオロメチルフェニル)ボロ
ン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボロン、トリス
(p-トリル)ボロン、トリス(o-トリル)ボロン、トリ
ス(3,5-ジメチルフェニル)ボロンなどが挙げられる。
【0055】イオン性化合物としては、例えば下記一般
式(iii)で表される化合物が挙げられる。
【0056】
【化6】
【0057】式中、R22としては、H+、カルボニウム
カチオン、オキソニウムカチオン、アンモニウムカチオ
ン、ホスホニウムカチオン、シクロヘプチルトリエニル
カチオン、遷移金属を有するフェロセニウムカチオンな
どが挙げられる。R23〜R26は、互いに同一でも異なっ
ていてもよく、有機基、好ましくはアリール基または置
換アリール基を示す。
【0058】前記カルボニウムカチオンとして具体的に
は、トリフェニルカルボニウムカチオン、トリ(メチル
フェニル)カルボニウムカチオン、トリ(ジメチルフェ
ニル)カルボニウムカチオンなどの三置換カルボニウム
カチオンなどが挙げられる。前記アンモニウムカチオン
として具体的には、トリメチルアンモニウムカチオン、
トリエチルアンモニウムカチオン、トリプロピルアンモ
ニウムカチオン、トリブチルアンモニウムカチオン、ト
リ(n-ブチル)アンモニウムカチオンなどのトリアルキ
ルアンモニウムカチオン;N,N-ジメチルアニリニウムカ
チオン、N,N-ジエチルアニリニウムカチオン、N,N-2,4,
6-ペンタメチルアニリニウムカチオンなどのN,N-ジアル
キルアニリニウムカチオン;ジ(イソプロピル)アンモ
ニウムカチオン、ジシクロヘキシルアンモニウムカチオ
ンなどのジアルキルアンモニウムカチオンなどが挙げら
れる。
【0059】前記ホスホニウムカチオンとして具体的に
は、トリフェニルホスホニウムカチオン、トリ(メチル
フェニル)ホスホニウムカチオン、トリ(ジメチルフェ
ニル)ホスホニウムカチオンなどのトリアリールホスホ
ニウムカチオンなどが挙げられる。R22としては、カル
ボニウムカチオン、アンモニウムカチオンなどが好まし
く、特にトリフェニルカルボニウムカチオン、N,N-ジメ
チルアニリニウムカチオン、N,N-ジエチルアニリニウム
カチオンが好ましい。
【0060】またイオン性化合物として、トリアルキル
置換アンモニウム塩、N,N-ジアルキルアニリニウム塩、
ジアルキルアンモニウム塩、トリアリールホスフォニウ
ム塩なども挙げられる。トリアルキル置換アンモニウム
塩として具体的には、例えばトリエチルアンモニウムテ
トラ(フェニル)ホウ素、トリプロピルアンモニウムテ
トラ(フェニル)ホウ素、トリ(n-ブチル)アンモニウ
ムテトラ(フェニル)ホウ素、トリメチルアンモニウム
テトラ(p-トリル)ホウ素、トリメチルアンモニウムテ
トラ(o-トリル)ホウ素、トリ(n-ブチル)アンモニウ
ムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ素、トリプロ
ピルアンモニウムテトラ(o,p-ジメチルフェニル)ホウ
素、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラ(m,m-ジメチ
ルフェニル)ホウ素、トリ(n-ブチル)アンモニウムテ
トラ(p-トリフルオロメチルフェニル)ホウ素、トリ
(n-ブチル)アンモニウムテトラ(3,5-ジトリフルオロ
メチルフェニル)ホウ素、トリ(n-ブチル)アンモニウ
ムテトラ(o-トリル)ホウ素などが挙げられる。
【0061】N,N-ジアルキルアニリニウム塩として具体
的には、例えばN,N-ジメチルアニリニウムテトラ(フェ
ニル)ホウ素、N,N-ジエチルアニリニウムテトラ(フェ
ニル)ホウ素、N,N-2,4,6-ペンタメチルアニリニウムテ
トラ(フェニル)ホウ素などが挙げられる。ジアルキル
アンモニウム塩として具体的には、例えばジ(1-プロピ
ル)アンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ホ
ウ素、ジシクロヘキシルアンモニウムテトラ(フェニ
ル)ホウ素などが挙げられる。
【0062】さらにイオン性化合物として、トリフェニ
ルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)
ボレート、N,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(ペン
タフルオロフェニル)ボレート、フェロセニウムテトラ
(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカ
ルベニウムペンタフェニルシクロペンタジエニル錯体、
N,N-ジエチルアニリニウムペンタフェニルシクロペンタ
ジエニル錯体、下記式(iv)または(v)で表されるホ
ウ素化合物なども挙げられる。
【0063】
【化7】
【0064】(式中、Etはエチル基を示す。)
【0065】
【化8】
【0066】ボラン化合物として具体的には、例えばデ
カボラン;ビス〔トリ(n-ブチル)アンモニウム〕ノナ
ボレート、ビス〔トリ(n-ブチル)アンモニウム〕デカ
ボレート、ビス〔トリ(n-ブチル)アンモニウム〕ウン
デカボレート、ビス〔トリ(n-ブチル)アンモニウム〕
ドデカボレート、ビス〔トリ(n-ブチル)アンモニウ
ム〕デカクロロデカボレート、ビス〔トリ(n-ブチル)
アンモニウム〕ドデカクロロドデカボレートなどのアニ
オンの塩;トリ(n-ブチル)アンモニウムビス(ドデカ
ハイドライドドデカボレート)コバルト酸塩(III)、ビ
ス〔トリ(n-ブチル)アンモニウム〕ビス(ドデカハイ
ドライドドデカボレート)ニッケル酸塩(III)などの金
属ボランアニオンの塩などが挙げられる。
【0067】カルボラン化合物として具体的には、例え
ば4-カルバノナボラン、1,3-ジカルバノナボラン、6,9-
ジカルバデカボラン、ドデカハイドライド-1-フェニル-
1,3-ジカルバノナボラン、ドデカハイドライド-1-メチ
ル-1,3-ジカルバノナボラン、ウンデカハイドライド-1,
3-ジメチル-1,3-ジカルバノナボラン、7,8-ジカルバウ
ンデカボラン、2,7-ジカルバウンデカボラン、ウンデカ
ハイドライド-7,8-ジメチル-7,8-ジカルバウンデカボラ
ン、ドデカハイドライド-11-メチル-2,7-ジカルバウン
デカボラン、トリ(n-ブチル)アンモニウム1-カルバデ
カボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウム1-カルバウ
ンデカボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウム1-カル
バドデカボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウム1-ト
リメチルシリル-1-カルバデカボレート、トリ(n-ブチ
ル)アンモニウムブロモ-1-カルバドデカボレート、ト
リ(n-ブチル)アンモニウム6-カルバデカボレート、ト
リ(n-ブチル)アンモニウム6-カルバデカボレート、ト
リ(n-ブチル)アンモニウム7-カルバウンデカボレー
ト、トリ(n-ブチル)アンモニウム7,8-ジカルバウンデ
カボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウム2,9-ジカル
バウンデカボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウムド
デカハイドライド-8-メチル-7,9-ジカルバウンデカボレ
ート、トリ(n-ブチル)アンモニウムウンデカハイドラ
イド-8- エチル-7,9-ジカルバウンデカボレート、トリ
(n-ブチル)アンモニウムウンデカハイドライド-8-ブ
チル-7,9-ジカルバウンデカボレート、トリ(n-ブチ
ル)アンモニウムウンデカハイドライド-8- アリル-7,9
-ジカルバウンデカボレート、トリ(n-ブチル)アンモ
ニウムウンデカハイドライド-9-トリメチルシリル-7,8-
ジカルバウンデカボレート、トリ(n-ブチル)アンモニ
ウムウンデカハイドライド-4,6-ジブロモ-7-カルバウン
デカボレートなどのアニオンの塩;トリ(n-ブチル)ア
ンモニウムビス(ノナハイドライド-1,3-ジカルバノナ
ボレート)コバルト酸塩(III)、トリ(n-ブチル)アン
モニウムビス(ウンデカハイドライド-7,8-ジカルバウ
ンデカボレート)鉄酸塩(III)、トリ(n-ブチル)アン
モニウムビス(ウンデカハイドライド-7,8-ジカルバウ
ンデカボレート)コバルト酸塩(III)、トリ(n-ブチ
ル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド-7,8-ジ
カルバウンデカボレート)ニッケル酸塩(III)、トリ
(n-ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド
-7,8-ジカルバウンデカボレート)銅酸塩(III)、トリ
(n-ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド
-7,8-ジカルバウンデカボレート)金酸塩(III)、トリ
(n-ブチル)アンモニウムビス(ノナハイドライド-7,8
-ジメチル-7,8-ジカルバウンデカボレート)鉄酸塩(II
I)、トリ(n-ブチル)アンモニウムビス(ノナハイドラ
イド-7,8-ジメチル-7,8-ジカルバウンデカボレート)ク
ロム酸塩(III)、トリ(n-ブチル)アンモニウムビス
(トリブロモオクタハイドライド-7,8-ジカルバウンデ
カボレート)コバルト酸塩(III)、トリス〔トリ(n-ブ
チル)アンモニウム〕ビス(ウンデカハイドライド-7-
カルバウンデカボレート)クロム酸塩(III)、ビス〔ト
リ(n-ブチル)アンモニウム〕ビス(ウンデカハイドラ
イド-7-カルバウンデカボレート)マンガン酸塩(I
V)、ビス〔トリ(n-ブチル)アンモニウム〕ビス(ウ
ンデカハイドライド-7-カルバウンデカボレート)コバ
ルト酸塩(III)、ビス〔トリ(n-ブチル)アンモニウ
ム〕ビス(ウンデカハイドライド-7-カルバウンデカボ
レート)ニッケル酸塩(IV)などの金属カルボランアニ
オンの塩などが挙げられる。
【0068】ヘテロポリ化合物は、ケイ素、リン、チタ
ン、ゲルマニウム、ヒ素もしくは錫からなる原子と、バ
ナジウム、ニオブ、モリブデンおよびタングステンから
選ばれる1種または2種以上の原子からなっている。具
体的には、リンバナジン酸、ゲルマノバナジン酸、ヒ素
バナジン酸、リンニオブ酸、ゲルマノニオブ酸、シリコ
ノモリブデン酸、リンモリブデン酸、チタンモリブデン
酸、ゲルマノモリブデン酸、ヒ素モリブデン酸、錫モリ
ブデン酸、リンタングステン酸、ゲルマノタングステン
酸、錫タングステン酸、リンモリブドバナジン酸、リン
タングストバナジンン酸、ゲルマノタングストバナジン
ン酸、リンモリブドタングストバナジン酸、ゲルマノモ
リブドタングストバナジン酸、リンモリブドタングステ
ン酸、リンモリブドニオブ酸、これらの酸の塩、例えば
周期表第1族または2族の金属、具体的には、リチウ
ム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベ
リリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウ
ム、バリウム等との塩、およびトリフェニルエチル塩な
どの有機塩、およびイソポリ化合物などが挙げられる。
【0069】ヘテロポリ化合物およびイソポリ化合物と
しては、上記の化合物の中の1種に限らず、2種以上用
いることができる。上記のような、遷移金属化合物
(A)と反応してイオン対を形成する化合物(B-3)は、1
種単独でまたは2種以上組み合せて用いることができ
る。(C)担体 本発明のオレフィン重合用触媒は、必要に応じて、担体
(C)を含有することもできる。
【0070】すなわち、本発明では、上記遷移金属化合
物(A)、必要に応じて用いられる上記成分(B)、さら
に必要に応じて後述するその他の成分を、担体(C)に
担持して用いることができる。本発明で用いることので
きる担体(C)は、無機または有機の化合物であって、
顆粒状ないしは微粒子状の固体である。
【0071】このうち無機化合物担体としては、多孔質
酸化物、無機塩化物、粘土、粘土鉱物またはイオン交換
性層状化合物が好ましい。多孔質酸化物として、具体的
にはSiO2、Al23、MgO、ZrO、TiO2、B
23、CaO、ZnO、BaO、ThO2など、または
これらを含む複合物または混合物を使用、例えば天然ま
たは合成ゼオライト、SiO2-MgO、SiO2-Al2
3、SiO2-TiO2、SiO2-V25、SiO2-Cr
23、SiO2-TiO2-MgOなどを使用することがで
きる。これらのうち、SiO2および/またはAl23
を主成分とするものが好ましい。
【0072】なお、上記無機酸化物は、少量のNa2
3、K2CO3、CaCO3、MgCO3、Na2SO4
Al2(SO43、BaSO4、KNO3、Mg(NO3
2、Al(NO33、Na2O、K2O、Li2Oなどの炭
酸塩、硫酸塩、硝酸塩、酸化物成分を含有していても差
し支ない。このような多孔質酸化物は、種類および製法
によりその性状は異なるが、本発明に好ましく用いられ
る担体は、粒径が10〜300μm、好ましくは20〜
200μmであって、比表面積が50〜1000m2
g、好ましくは100〜700m2/gの範囲にあり、
細孔容積が0.3〜3.0cm3/gの範囲にあること
が望ましい。このような担体は、必要に応じて100〜
1000℃、好ましくは150〜700℃で焼成して使
用される。
【0073】無機塩化物としては、MgCl2、MgB
2、MnCl2、MnBr2等が用いられる。無機塩化
物は、そのまま用いてもよいし、ボールミル、振動ミル
により粉砕した後に用いてもよい。また、アルコールな
どの溶媒に無機塩化物を溶解させた後、析出剤によって
を微粒子状に析出させたものを用いることもできる。担
体として用いられる粘土は、通常粘土鉱物を主成分とし
て構成される。また、担体として用いられるイオン交換
性層状化合物は、イオン結合などによって構成される面
が互いに弱い結合力で平行に積み重なった結晶構造を有
する化合物であり、含有するイオンが交換可能なもので
ある。大部分の粘土鉱物はイオン交換性層状化合物であ
る。また、これらの粘土、粘土鉱物、イオン交換性層状
化合物としては、天然産のものに限らず、人工合成物を
使用することもできる。また、粘土、粘土鉱物またはイ
オン交換性層状化合物として、粘土、粘土鉱物、また、
六方細密パッキング型、アンチモン型、CdCl2 型、
CdI2型などの層状の結晶構造を有するイオン結晶性
化合物などを例示することができる。
【0074】このような粘土、粘土鉱物としては、カオ
リン、ベントナイト、木節粘土、ガイロメ粘土、アロフ
ェン、ヒシンゲル石、パイロフィライト、ウンモ群、モ
ンモリロナイト群、バーミキュライト、リョクデイ石
群、パリゴルスカイト、カオリナイト、ナクライト、デ
ィッカイト、ハロイサイトなどが挙げられ、イオン交換
性層状化合物としては、α-Zr(HAsO42・H
2O、α-Zr(HPO42、α−Zr(KPO42・3
2O、α-Ti(HPO42、α-Ti(HAsO42
・H2O、α-Sn(HPO42・H2O、γ-Zr(HP
42、γ-Ti(HPO42、γ-Ti(NH4PO4
2・H2Oなどの多価金属の結晶性酸性塩などが挙げられ
る。
【0075】このような粘土、粘土鉱物またはイオン交
換性層状化合物は、水銀圧入法で測定した半径20オン
グストローム以上の細孔容積が0.1cc/g以上のも
のが好ましく、0.3〜5cc/gのものが特に好まし
い。ここで、細孔容積は、水銀ポロシメーターを用いた
水銀圧入法により、細孔半径20〜3×104オングス
トロームの範囲について測定される。半径20オングス
トローム以上の細孔容積が0.1cc/gより小さいも
のを担体として用いた場合には、高い重合活性が得られ
にくい傾向がある。
【0076】また、粘土、粘土鉱物には、化学処理を施
すことも好ましい。化学処理としては、表面に付着して
いる不純物を除去する表面処理、粘土の結晶構造に影響
を与える処理など、いずれも使用できる。化学処理とし
て具体的には、酸処理、アルカリ処理、塩類処理、有機
物処理などが挙げられる。酸処理は、表面の不純物を取
り除くほか、結晶構造中のAl、Fe、Mgなどの陽イ
オンを溶出させることによって表面積を増大させる。ア
ルカリ処理では粘土の結晶構造が破壊され、粘土の構造
の変化をもたらす。また、塩類処理、有機物処理では、
イオン複合体、分子複合体、有機誘導体などを形成し、
表面積や層間距離を変えることができる。
【0077】イオン交換性層状化合物は、イオン交換性
を利用し、層間の交換性イオンを別の大きな嵩高いイオ
ンと交換することにより、層間が拡大した状態の層状化
合物であってもよい。このような嵩高いイオンは、層状
構造を支える支柱的な役割を担っており、通常、ピラー
と呼ばれる。また、このように層状化合物の層間に別の
物質を導入することをインターカレーションという。イ
ンターカレーションするゲスト化合物としては、TiC
4、ZrCl4などの陽イオン性無機化合物、Ti(O
R)4、Zr(OR)4、PO(OR)3、B(OR)3
どの金属アルコキシド(Rは炭化水素基など)、[Al
134(OH)247+、[Zr4(OH) 142+、[Fe
3O(OCOCH36+などの金属水酸化物イオンなど
が挙げられる。これらの化合物は単独でまたは2種以上
組み合わせて用いられる。
【0078】また、これらの化合物をインターカレーシ
ョンする際に、Si(OR)4、Al(OR)3、Ge
(OR)4などの金属アルコキシド(Rは炭化水素基な
ど)などを加水分解して得た重合物、SiO2などのコ
ロイド状無機化合物などを共存させることもできる。ま
た、ピラーとしては、上記金属水酸化物イオンを層間に
インターカレーションした後に加熱脱水することにより
生成する酸化物などが挙げられる。
【0079】粘土、粘土鉱物、イオン交換性層状化合物
は、そのまま用いてもよく、またボールミル、ふるい分
けなどの処理を行った後に用いてもよい。また、新たに
水を添加吸着させ、あるいは加熱脱水処理した後に用い
てもよい。さらに、単独で用いても、2種以上を組み合
わせて用いてもよい。これらのうち、好ましいものは粘
土または粘土鉱物であり、特に好ましいものはモンモリ
ロナイト、バーミキュライト、ヘクトライト、テニオラ
イトおよび合成雲母である。
【0080】有機化合物担体としては、粒径が10〜3
00μmの範囲にある顆粒状ないしは微粒子状固体を挙
げることができる。具体的には、エチレン、プロピレ
ン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテンなどの炭素原子数
が2〜14α-オレフィンを主成分として生成される
(共)重合体またはビニルシクロヘキサン、スチレンを
主成分として生成される(共)重合体、およびびそれら
の変成体を例示することができる。
【0081】その他の成分 本発明のオレフィン重合用触媒は、遷移金属化合物
(A)と、必要に応じて成分(B)および担体(C)との
他に、必要に応じて、特定の有機化合物(D)、上述し
た遷移金属化合物(A)以外の遷移金属化合物(E)など
の成分を含有してもよい。
【0082】(D)有機化合物 本発明のオレフィン重合用触媒は、必要に応じて、特定
の有機化合物(D)を含有してもよい。有機化合物成分
(D)は、必要に応じて、重合性能および生成ポリマー
の物性を向上させる目的で使用される。このような有機
化合物としては、アルコール類、フェノール性化合物、
カルボン酸、カルボン酸エステル、リン化合物、スルホ
ン酸塩、ハロゲン化炭化水素などが挙げられる。
【0083】アルコール類およびフェノール性化合物と
しては、通常、一般式R31−OHで表されるものが使用
され(ここで、R31は炭素原子数1〜50の炭化水素基
または炭素原子数1〜50のハロゲン化炭化水素基を示
す。)、アルコール類としては、R31がハロゲン化炭化
水素のものが好ましい。また、フェノール性化合物とし
ては、水酸基のα,α’-位が炭素数1〜20の炭化水
素で置換されたものが好ましい。
【0084】カルボン酸としては、通常、一般式R32
COOHで表されるものが使用される。R32は炭素原子
数1〜50の炭化水素基または炭素原子数1〜50のハ
ロゲン化炭化水素基を示し、特に炭素原子数1〜50の
ハロゲン化炭化水素基が好ましい。カルボン酸エステル
としては上記の一般式R32−COOHで表されるカルボ
ン酸のアルキルまたはアリールエステルが用いられ、中
でも例えばパークロロクロトン酸n−ブチルやトリクロ
ロ酢酸エチル等のハロゲン化炭化水素基を有するカルボ
ン酸のエステルが重合活性向上に望ましい。
【0085】リン化合物としては、P−O−H結合を有
するリン酸類、P−OR、P=O結合を有するホスフェ
ート、ホスフィンオキシド化合物が好ましく使用され
る。スルホン酸塩としては、下記一般式で表されるもの
が好ましく使用される。
【0086】
【化9】
【0087】式中、Mは周期表1〜14族の元素であ
る。R33は水素、炭素原子数1〜20の炭化水素基また
は炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基である。
Xは水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数が1〜20の
炭化水素基、炭素原子数が1〜20のハロゲン化炭化水
素基である。
【0088】mは1〜7の整数であり、nは1≦n≦7
である。ハロゲン化炭化水素としては例えばクロロホル
ムや四塩化炭素などを例示することができる。これらの
有機化合物(D)のうちでは、ハロゲン化炭化水素基を
有するカルボン酸のエステルや、ハロゲン化炭化水素な
どの有機ハロゲン化物が特に好ましく用いられる。本発
明のオレフィン重合用触媒が、有機ハロゲン化物を含有
する場合には、重合活性をより向上させることができる
ため好ましい。
【0089】(E)遷移金属化合物(A)以外の遷移金属
化合物 本発明のオレフィン重合用触媒が含有してもよい、上述
した遷移金属化合物(A)以外の遷移金属化合物(E)と
しては、特に限定されるものではないが、具体的には、
たとえば以下のような遷移金属化合物が挙げられる。 (a-1) 下記一般式で表される遷移金属イミド化合物:
【0090】
【化10】
【0091】式中、Mは、周期表第8〜10族から選ば
れる遷移金属原子を示し、好ましくはニッケル、パラジ
ウムまたは白金である。R31〜R34は、互いに同一でも
異なっていてもよく、炭素原子数1〜50の炭化水素
基、炭素原子数1〜50のハロゲン化炭化水素基、炭化
水素置換シリル基または、窒素、酸素、リン、イオウお
よびケイ素から選ばれる少なくとも1種の元素を含む置
換基で置換された炭化水素基を示す。
【0092】R31〜R34で表される基は、これらのうち
の2個以上、好ましくは隣接する基が互いに連結して環
を形成していてもよい。qは、0〜4の整数を示す。X
は、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭
化水素基、炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素
基、酸素含有基、イオウ含有基、ケイ素含有基または窒
素含有基を示し、qが2以上の場合には、Xで示される
複数の基は互いに同一であっても異なっていてもよい。
【0093】(a-2) 下記一般式で表される遷移金属アミ
ド化合物:
【0094】
【化11】
【0095】式中、Mは、周期表第3〜6族から選ばれ
る遷移金属原子を示し、チタン、ジルコニウムまたはハ
フニウムであることが好ましい。R’およびR”は、互
いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、炭素原子
数1〜50の炭化水素基、炭素原子数1〜50のハロゲ
ン化炭化水素基、炭化水素置換シリル基、または、窒
素、酸素、リン、硫黄およびケイ素から選ばれる少なく
とも1種の元素を有する置換基を示す。
【0096】mは、0〜2の整数である。nは、1〜5
の整数である。Aは、周期表第13〜16族から選ばれ
る原子を示し、具体的には、ホウ素、炭素、窒素、酸
素、ケイ素、リン、イオウ、ゲルマニウム、セレン、ス
ズなどが挙げられ、炭素またはケイ素であることが好ま
しい。nが2以上の場合には、複数のAは、互いに同一
でも異なっていてもよい。
【0097】Eは、炭素、水素、酸素、ハロゲン、窒
素、イオウ、リン、ホウ素およびケイ素から選ばれる少
なくとも1種の元素を有する置換基である。mが2の場
合、2個のEは、互いに同一でも異なっていてもよく、
あるいは互いに連結して環を形成していてもよい。p
は、0〜4の整数である。
【0098】Xは、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子
数1〜20の炭化水素基、炭素原子数1〜20のハロゲ
ン化炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、ケイ素含
有基または窒素含有基を示し、pが2以上の場合には、
Xで示される複数の基は互いに同一でも異なっていても
よい。これらのうち、Xはハロゲン原子、炭素原子数1
〜20の炭化水素基またはスルホネート基であることが
好ましい。
【0099】(a-3) 下記一般式で表される遷移金属ジフ
ェノキシ化合物:
【0100】
【化12】
【0101】式中、Mは周期表第3〜11族から選ばれ
る遷移金属原子を示し、lおよびmはそれぞれ0または
1の整数であり、AおよびA’は炭素原子数1〜50の
炭化水素基、炭素原子数1〜50のハロゲン化炭化水
素、または、酸素、イオウもしくはケイ素を含有する置
換基を持つ炭素原子数1〜50の炭化水素基、または炭
素原子数1〜50のハロゲン化炭化水素基であり、Aと
A’は同一でも異なっていてもよい。
【0102】Bは、炭素原子数1〜50の炭化水素基、
炭素原子数1〜50のハロゲン化炭化水素基、R12
で表される基、酸素またはイオウであり、ここで、R1
およびR2は炭素原子数1〜20の炭化水素基または少
なくとも1個のヘテロ原子を含む炭素原子数1〜20の
炭化水素基であり、Zは炭素、窒素、イオウ、リンまた
はケイ素を示す。
【0103】pは、Mの価数を満たす数である。Xは、
水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水
素基、炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基、酸
素含有基、イオウ含有基、ケイ素含有基または窒素含有
基を示し、pが2以上の場合は、Xで示される複数の基
は互いに同一でも異なっていてもよく、或いは互いに結
合して環を形成していてもよい。
【0104】(a-4) 下記一般式で表される少なくとも1
個のヘテロ原子を含むシクロペンタジエニル骨格を有す
る配位子を含む遷移金属化合物;
【0105】
【化13】
【0106】式中、Mは周期表3〜11族から選ばれる
遷移金属原子を示す。Xは、周期表第13、14および
15族から選ばれる原子を示し、Xのうちの少なくとも
1つは炭素以外の元素である。aは、0または1であ
る。Rは、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原
子、ハロゲン原子、炭化水素基、ハロゲン化炭化水素
基、炭化水素基置換シリル基を示すか、または窒素、酸
素、リン、イオウおよびケイ素から選ばれる少なくとも
1種の元素を含む置換基を有する炭化水素基を示し、2
個以上のRが互いに連結して環を形成していてもよい。
【0107】bは、1〜4の整数であり、bが2以上の
場合、各[((R)a)5−X5]基は同一でも異なっていて
もよく、さらにR同士が架橋していてもよい。cは、M
の価数を満たす数である。Yは、水素原子、ハロゲン原
子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数1〜
20のハロゲン化炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有
基、ケイ素含有基または窒素含有基を示す。cが2以上
の場合は、Yで示される複数の基は互いに同一でも異な
っていてもよく、また、Yで示される複数の基は互いに
結合して環を形成してもよい。
【0108】(a-5) 式RB(Pz)3MXn で表される遷
移金属化合物;式中、Mは周期表3〜11族から選ばれ
る遷移金属を示す。Rは水素原子、炭素原子数1〜20
の炭化水素基または炭素原子数1〜20のハロゲン化炭
化水素基を示す。Pzはピラゾリル基またはその誘導体
基を示す。
【0109】nは、Mの価数を満たす数である。Xは、
水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水
素基、炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基、酸
素含有基、イオウ含有基、ケイ素含有基または窒素含有
基を示し、nが2以上の場合は、Xで示される複数の基
は互いに同一でも異なっていてもよく、あるいは互いに
結合して環を形成してもよい。
【0110】(a-6) 下記一般式で表される遷移金属化合
物;
【0111】
【化14】
【0112】式中、Mは周期表3〜11族から選ばれる
遷移金属、好ましくはNiを示し、Y1およびY3は、互
いに同一であっても異なっていてもよく、周期表第15
族から選ばれる元素であり、Y2は周期表第16族から
選ばれる元素である。R41〜R48は、互いに同一でも異
なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子
数1〜20の炭化水素基、炭素原子数1〜20のハロゲ
ン化炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基またはケイ
素含有基を示し、これらのうち2個以上が互いに連結し
て環を形成していてもよい。
【0113】(a-7) 下記一般式で表される化合物と周期
表第8〜10族の遷移金属原子との化合物;
【0114】
【化15】
【0115】式中、R51〜R54は、互いに同一でも異な
っていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数
1〜20の炭化水素基または炭素原子数1〜20のハロ
ゲン化炭化水素基であり、これらのうち2個以上が互い
に連結して環を形成していてもよい。 (a-8) 下記一般式で示される遷移金属化合物;
【0116】
【化16】
【0117】式中、Mは、周期表第3〜11族の遷移金
属原子を示し、mは、0〜3の整数である。nは、0ま
たは1の整数である。pは、1〜3の整数である。q
は、Mの価数を満たす数である。
【0118】R61〜R68は、互いに同一でも異なってい
てもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜2
0の炭化水素基、炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化
水素基、酸素含有基、イオウ含有基、ケイ素含有基また
は窒素含有基を示し、これらのうちの2個以上が互いに
連結して環を形成していてもよい。Xは、水素原子、ハ
ロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原
子数1〜20のハロゲン化炭化水素基、酸素含有基、イ
オウ含有基、ケイ素含有基または窒素含有基を示し、q
が2以上の場合は、Xで示される複数の基は互いに同一
でも異なっていてもよく、またはXで示される複数の基
は互いに結合して環を形成してもよい。
【0119】Yは、ボラータベンゼン環を架橋する基で
あり、炭素、ケイ素またはゲルマニウムを示す。Aは、
周期表第14、15または16族から選ばれる元素を示
す。 (a-9) 前記(a-4)以外のシクロペンタジエニル骨格を有
する配位子を含む遷移金属化合物 (a-10) マグネシウム、チタン、ハロゲンを必須成分と
する化合物。
【0120】本発明のオレフィン重合用触媒は、上述し
た各成分から調製されるものであって、その調製法を特
に限定するものではなく、どのような方法で調製しても
よい。このような本発明のオレフィン重合用触媒は、高
い重合活性を示し、該触媒をオレフィンの重合に用いる
と、分子量分布の狭いオレフィン重合体を製造すること
ができる。また、本発明のオレフィン重合用触媒を、2
種以上のオレフィンの共重合に用いると、組成分布の狭
いオレフィン共重合体を製造することができる。
【0121】<オレフィン重合方法>本発明のオレフィ
ンの重合方法は、上述した本発明のオレフィン重合触媒
の存在下に、オレフィンを(共)重合させるものであ
る。本発明では、(共)重合原料であるオレフィンとし
て、非極性オレフィンおよび極性オレフィンのいずれも
用いることができる。
【0122】非極性オレフィンとは、炭素原子と水素原
子のみからなる不飽和炭化水素のことであり、本発明で
用いることのできる非極性オレフィンとしては、具体的
には、たとえばエチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペ
ンテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-
ペンテン、3-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセ
ン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-
オクタデセン、1-エイコセンなどの炭素原子数2〜20
のα-オレフィン;シクロペンテン、シクロヘプテン、
ノルボルネン、5-メチル-2-ノルボルネン、テトラシク
ロドデセンなどの炭素原子数3〜20の環状オレフィ
ン;ブタジエン、イソプレン、4-メチル-1,3-ペンタジ
エン、1,3-ペンタジエン、1,4-ペンタジエン、1,5-ヘキ
サジエン、1,4-ヘキサジエン、1,3-ヘキサジエン、1,3-
オクタジエン、1,4-オクタジエン、1,5-オクタジエン、
1,6-オクタジエン、1,7-オクタジエン、エチリデンノル
ボルネン、ビニルノルボルネン、ジシクロペンタジエ
ン;7-メチル-1,6-オクタジエン、4−エチリデン-8-メ
チル-1,7-ノナジエン、5,9-ジメチル-1,4,8-デカトリエ
ンなどの炭素原子数4〜30、好ましくは4〜20で二
個以上の二重結合を有する環状または鎖状のジエンまた
はポリエン;スチレン、o-メチルスチレン、m-メチルス
チレン、p-メチルスチレン、o,p-ジメチルスチレン、o-
エチルスチレン、m−エチルスチレン、p-エチルスチレ
ンなどの芳香族ビニル化合物;ビニルシクロヘキサンな
どが挙げられる。
【0123】また極性オレフィンとは、極性基を有する
不飽和炭化水素であり、本発明で用いることのできる極
性オレフィンとしては、具体的には、たとえばアクリル
酸、メタクリル酸、フマル酸、イタコン酸、ビシクロ
[2.2.1]-5-ヘプテン-2,3-ジカルボン酸などの不飽和
カルボン酸、およびこれらのナトリウム塩、カリウム
塩、リチウム塩、亜鉛塩、マグネシウム塩、カルシウム
塩などの不飽和カルボン酸金属塩;無水マレイン酸、無
水イタコン酸、ビシクロ[2.2.1]-5-ヘプテン-2,3-ジ
カルボン酸無水物などの不飽和カルボン酸無水物;アク
リル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n-ブロピ
ル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n-ブチル、ア
クリル酸イソブチル、アクリル酸 tert-ブチル、アクリ
ル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリ
ル酸エチル、メタクリル酸n-ブロピル、メタクリル酸イ
ソプロピル、メタクリル酸n-ブチル、メタクリル酸イソ
ブチルなどの不飽和カルボン酸エステル;酢酸ビニル、
プロピオン酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリン酸ビ
ニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、トリフ
ルオロ酢酸ビニルなどのビニルエステル類;アクリル酸
グリシジル、メタクリル酸グリシジル、イタコン酸モノ
グリシジルエステルなどの不飽和グリシジルエステル;
塩化ビニル、フッ化ビニル、フッ化アリルなどのハロゲ
ン化オレフィン;アクリロニトリル、2-シアノ-ビシク
ロ[2.2.1]-5-ヘプテンなどの不飽和シアノ化合物;メ
チルビニルエーテル、エチルビニルエーテルなどの不飽
和エーテル化合物;アクリルアミド、メタクリルアミ
ド、N,N-ジメチルアクリルアミド等の不飽和アミド;メ
トキシスチレン、エトキシスチレン、ビニル安息香酸、
ビニル安息香酸メチル、ビニルベンジルアセテート、ヒ
ドロキシスチレン、o-クロロスチレン、p-クロロスチレ
ン、ジビニルベンゼンなどの官能基含有スチレン誘導
体;N-ビニルピロリドンなどが挙げられる。
【0124】本発明のオレフィンの重合方法では、上述
した本発明のオレフィン重合用触媒の存在下にオレフィ
ンを(共)重合させることにより、高い重合活性でオレ
フィンの重合を行うことができ、分子量分布の狭い重合
体を製造することができる。本発明において、共重合を
行う場合には、組成分布の狭いオレフィン共重合体を製
造することができる。
【0125】本発明では、α−オレフィンの重合あるい
は共重合を、高活性で行うことができ、分子量分布の狭
いα−オレフィン(共)重合体を製造することができ
る。また、本発明のオレフィンの重合方法では、上述し
た非極性オレフィンおよび極性オレフィンの重合あるい
は共重合を行うことができ、α−オレフィンと共役ジエ
ンの共重合を行うこともできる。
【0126】ここで用いられるα−オレフィンとして
は、上記と同様の炭素原子数が2〜30、好ましくは2
〜20の直鎖状または分岐状のα−オレフィンが挙げら
れる。なかでもエチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペ
ンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテ
ンが好ましく、エチレン、プロピレンが特に好ましい。
これらのα−オレフィンは、1種単独でまたは2種以上
組合わせて用いることができる。
【0127】また共役ジエンとしては、たとえば1,3-ブ
タジエン、イソプレン、クロロプレン、1,3-シクロヘキ
サジエン、1,3-ペンタジエン、4-メチル-1,3-ペンタジ
エン、1,3-ヘキサジエン、1,3-オクタジエンなどの炭素
原子数が4〜30、好ましくは4〜20の脂肪族共役ジ
エンが挙げられる。これらの共役ジエンは、1種単独で
または2種以上組合わせて用いることができる。
【0128】また、本発明ではα−オレフィンと極性モ
ノマーを共重合させることもできる。用いられる極性モ
ノマーとしては、前記したものと同様のものが挙げられ
る。本発明では、さらに、α−オレフィンと非共役ジエ
ンまたはポリエンを共重合させることも出来る。用いら
れる非共役ジエンまたはポリエンとしては、1,4-ペン
タジエン、1,5-ヘキサジエン、1,4-ヘキサジエン、
1,4-オクタジエン、1,5-オクタジエン、1,6-オクタジ
エン、1,7-オクタジエン、エチリデンノルボルネン、ビ
ニルノルボルネン、ジシクロペンタジエン、7-メチル-
1,6-オクタジエン、4-エチリデン-8-メチル-1,7-ノナジ
エン、5,9-ジメチル-1,4,8-デカトリエン等を挙げるこ
とができる。
【0129】本発明では、重合に用いる触媒の調製方法
あるいは重合の際の添加方法は特に限定されるものでは
なく、触媒各成分の使用法、添加方法、添加順序は任意
に選ばれるが、たとえば、触媒として上述した遷移金属
化合物(A)(以下、成分(A)ともいう)と成分(B)
とからなる触媒を用いる場合には、以下のような方法が
例示される。 (1) 成分(A)と、成分(B)とを任意の順序で重合器に
添加する方法。 (2) 成分(A)と成分(B)とを予め接触させた触媒を重
合器に添加する方法。 (3) 成分(A)と成分(B)を予め接触させた触媒成分、
およぴ成分(B)を任意の順序で重合器に添加する方
法。この場合、成分(B)は、同一でも異なっていても
よい。
【0130】また、たとえば、触媒として上述した遷移
金属化合物(A)と成分(B)と担体(C)とからなる触
媒を用いる場合には、以下のような方法が例示される。 (4) 成分(A)を担体(C)に担持した触媒成分、および
成分(B)を任意の順序で重合器に添加する方法。 (5) 成分(A)と成分(B)とを担体(C)に担持した触
媒を重合器に添加する方法。 (6) 成分(A)と成分(B)とを担体(C)に担持した触
媒成分、および成分(B)を任意の順序で重合器に添加
する方法。この場合、成分(B)は、同一でも異なって
いてもよい。 (7)成分(B)を担体(C)に担持した触媒成分、および
成分(A)を任意の順序で重合器に添加する方法。 (8) 成分(B)を担体(C)に担持した触媒成分、成分
(A)、および成分(B)を任意の順序で重合器に添加す
る方法。この場合、成分(B)は、同一でも異なってい
てもよい。 (9) 成分(A)を担体(C)に担持した成分、および成分
(B)を担体(C)に担持した成分を任意の順序で重合器
に添加する方法。 (10) 成分(A)を担体(C)に担持した成分、成分(B)
を担体(C)に担持した成分、および成分(B)を任意の
順序で重合器に添加する方法。この場合、成分(B)
は、同一でも異なっていてもよい。
【0131】また、たとえば、触媒として上述した遷移
金属化合物(A)、成分(B)、担体(C)および有機化
合物成分(D)(以下、成分(D)ともいう)とからなる
触媒を用いる場合には、以下のような方法が例示され
る。 (11) 成分(A)、成分(B)、および成分(D)を任意の
順序で重合器に添加する方法。 (12) 成分(B)と成分(D)を予め接触させた成分、お
よぴ成分(A)を任意の順序で重合器に添加する方法。 (13) 成分(B)と成分(D)を担体(C)に担持した成
分、および成分(A)を任意の順序で重合器に添加する
方法。 (14) 成分(A)を担体(C)に担持した成分、成分
(B)、および成分(D)を任意の順序で重合器に添加す
る方法。 (15) 成分(A)を担体(C)に担持した成分、および成
分(B)と成分(D)を予め接触させた成分を任意の順序
で重合器に添加する方法。 (16) 成分(A)と成分(B)と成分(D)を担体(C)に
担持した触媒を重合器に添加する方法。 (17) 成分(A)と成分(B)と成分(D)を担体(C)に
担持した触媒成分、および成分(B)を任意の順序で重
合器に添加する方法。この場合、成分(B)は、同一で
も異なっていてもよい。
【0132】さらに、たとえば、触媒として上述した遷
移金属化合物(A)、成分(B)および有機化合物成分
(D)(以下、成分(D)ともいう)とからなる触媒を用
いる場合には、以下のような方法が例示される。 (18) 成分(A)と成分(B)を予め接触させた触媒成
分、および成分(D)を任意の順序で重合器に添加する
方法。 (19) 成分(A)と成分(B)を予め接触させた触媒成
分、および成分(B)、成分(D)を任意め順序で重合器
に添加する方法。 (20) 成分(A)と成分(B)を予め接触させた触媒成
分、およぴ成分(B)と成分(D)を予め接触させた成分
を任意の順序で重合器に添加する方法。 (21) 成分(A)と成分(B)と成分(D)を予め任意の順
序で接触させた触媒成分を重合器に添加する方法。 (22) 成分(A)と成分(B)と成分(D)を予め接触させ
た触媒成分、および成分(B)を任意の順序で重合器に
添加する方法。この場合、成分(B)は、同一でも異な
っていてもよい。
【0133】これらのうち、上記の担体(C)に成分
(A)、必要に応じて成分(B)および/または成分
(D)などが担持された固体触媒あるいは固体触媒成分
は、オレフィンが予備重合されていてもよい。重合は溶
解重合、懸濁重合などの液相重合法または気相重合法の
いずれにおいても実施できる。
【0134】液相重合法では、溶媒として不活性炭化水
素媒体を用いることができる。液相重合法において用い
られる不活性炭化水素媒体としては、具体的には、プロ
パン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、へプタン、オクタ
ン、デカン、ドデカン、灯油などの脂肪族炭化水素;シ
クロペンタン、シクロへキサン、メチルシクロペンタン
などの脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン
などの芳香族炭化水素;エチレンクロリド、クロルベン
ゼン、ジクロロメタンなどのハロゲン化炭化水素または
これらの混合物などを挙げることができる。また、
(共)重合の原料である非極性または極性オレフィン自
身を溶媒として用いることもできる。
【0135】上記のような触媒を用いて、オレフィンの
(共)重合を行うに際して、成分(A)は、反応容積1
リットル当り、通常10-12〜10-2モル、好ましくは
10-1 0〜10-3モルとなるような量で用いられる。本
発明では、成分(A)を、比較的薄い濃度で用いた場合
であっても、高い重合活性でオレフィンを重合すること
ができる。
【0136】触媒成分として、上述した成分(B-1)を用
いる場合には、成分(B-1)と、成分(A)中の遷移金属原
子(M)とのモル比〔(B-1)/M〕が、通常0.01〜
100000、好ましくは0.05〜50000となる
ような量で用いられる。また、触媒成分として、上述し
た成分(B-2)を用いる場合には、成分(B-2)は、成分(B-
2)中のアルミニウム原子と、成分(A)中の遷移金属原
子(M)とのモル比〔(B-2)/M〕が、通常10〜50
0,000、好ましくは20〜100,000となるよ
うな量で用いられる。
【0137】さらに、触媒成分として、上述した成分(B
-3)を用いる場合には、成分(B-3)は、成分(B-3)と、成
分(A)中の遷移金属原子(M)とのモル比〔(B-3)/
M〕が、通常1〜10、好ましくは1〜5となるような
量で用いられる。成分(D)と成分(B)とを併用する場
合は、成分(B)が成分(B-1)である場合には、モル比
〔(D)/(B-1)〕が通常0.01〜10、好ましくは
0.1〜5となるような量で、また成分(B)が成分(B-
2)である場合には、成分(D)と成分(B-2)中のアルミニ
ウム原子とのモル比〔(D)/(B-2)〕が通常0.001
〜2、好ましくは0.005〜1となるような量で、ま
た成分(B)が成分(B-3)である場合には、モル比
〔(D)/(B-3)〕が通常0.01〜10、好ましくは
0.1〜5となるような量で用いられる。
【0138】重合に供するオレフィンの量は特に制限は
なく、用いるオレフィンの種類や得ようとする共重合体
の共重合比などにより適宜選ばれる。また、このような
重合触媒を用いた重合温度は、通常、−50〜200
℃、好ましくは0〜170℃の範囲である。重合圧力
は、通常、常圧〜100kg/cm2、好ましくは常圧
〜50kg/cm2の条件であり、重合反応は、回分
式、半連続式、連続式のいずれの方法においても行うこ
とができる。さらに重合を反応条件の異なる2段以上に
分けて行うことも可能である。
【0139】得られる極性オレフィン共重合体の分子量
は、重合系に水素を存在させるか、または重合温度を変
化させることによって調節することができる。さらに、
使用する成分(B)の違いにより調節することもでき
る。
【0140】
【発明の効果】本発明によれば、高い重合活性を有し、
分子量分布の狭いオレフィン(共)重合体を製造するこ
とができ、2種以上のオレフィンの共重合に用いると、
組成分布の狭いオレフィン共重合体を製造することとが
できる、オレフィン重合用触媒を提供することができ
る。
【0141】また、本発明のオレフィンの重合方法によ
れば、高い重合活性で、分子量分布の狭いオレフィン
(共)重合体を製造することができる。
【0142】
【実施例】以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体
的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定される
ものではない。本実施例において、各種性状の測定およ
び評価は以下の方法により行った。 ・mp(融点); ・IR(nujol/CsI);nujol法により測
定した。 ・UV/vis;N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)
溶液またはN,N-ジメチルアセトアミド(DMA)溶液と
して測定した。 ・ポリマーの極限粘度[η];135℃デカリン中で測
定した。
【0143】なお、本実施例中では、N,N-ジメチルホル
ムアミドをDMF、N,N-ジメチルアセトアミドをDM
A、N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミンをTME
DAとそれぞれ略記する。
【0144】
【合成例1】(CrCl2(DMF)2 の合成)シュレ
ンク管を真空ラインでアルゴン置換し、塩化クロム(I
I)(1.0mmol,0.12g)を秤りとった。こ
れにN,N-ジメチルホルムアミド(3ml)を加えると、
塩化クロムはすぐに溶けて水色の溶液になった。25℃
で30分間攪拌したのち、トルエン(3ml)を加え、
さらに30分間撹拌した。撹拌を停止し、懸濁液を遠心
分離して緑色の固体を除去し、ヘキサン(6ml)をゆ
っくりと加え室温で一晩静置すると、薄い青色のブロッ
ク状結晶が析出して得られた。結晶の単離収量は0.1
7g(65%,0.65mmol)であった。
【0145】得られた結晶について、融点(mp)、I
RおよびUV/vis(DMF)を測定した。結果は以
下のとおりであった。 mp:127−130℃ IR(nujol/CsI,cm-1):1651,12
43,1157,1113,1057,1025,86
1,721,697,418,375,296UV/v
is(DMF):λmax(ε)456nm(7) また、得られた結晶について元素分析を行ったところ、
実測値がC:26.84,H:5.25,N:10.3
3であり、計算値(C614Cl2CrN22)である
C:26.78,H:5.24,N:10.41と一致
することより、得られた結晶がCrCl2(DMF)2
の結晶であることが確認された。
【0146】
【合成例2】(CrCl2(DMF)(TMEDA) の
合成)シュレンクを真空ラインでアルゴン置換し、Cr
Cl2(DMF)2 (1.0mmol,0.27g)を
秤りとった。これにN,N-ジメチルホルムアミド(5m
l)を加えると、水色の溶液になった。25 ℃で30
分間撹拌したのち、N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジ
アミン(0.12g、0.15ml)を加えると、濃い
青色の均一溶液に変化した。さらにトルエン(5ml)
を加え、30分間撹拌した。撹拌を停止し、懸濁液を遠
心分離して緑色の固体を除去し、ヘキサン(10ml)
をゆっくりと加えた。室温で一晩静置すると、濃い青色
のブロック状結晶が析出して得られた。結晶の単離収量
は0.22g(73%,0.73mmol)であった。
【0147】得られた結晶について、融点(mp)、I
RおよびUV/vis(DMF)を測定した。結果は以
下のとおりであった。 mp:97−98℃ IR(nujol/CsI,cm-1):1651,12
47,1126,1114,1059,1047,10
23,1003,952,803,771,722,6
95,595,504,418,444,399,38
2,301UV/vis(DMF):λmax(ε)44
3nm(11) また、得られた結晶について元素分析を行ったところ、
実測値がC:34.55,H:7.48,N:13.3
1であり、計算値(C923Cl2CrN3O)である
C:34.62,H:7.43,N:13.46と一致
することより、得られた結晶がCrCl2(DMF)
(TMEDA)の結晶であることが確認された。
【0148】
【合成例3】(CrCl2(DMA)(TMEDA)の
合成)シュレンクを真空ラインでアルゴン置換し、塩化
クロム(II)(1.0mmol,0.12g)を秤りと
った。これにN,N-ジメチルアセトアミド (5ml)を
加えると、水色の溶液になった。25 ℃で30分撹拌した
のち、N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミン
(0.12g,0.15ml)を加えると、濃い青色の
均一溶液に変化した。さらにトルエン(5ml)を加
え、30分撹拌した。撹拌を停止し、懸濁液を遠心分離
して緑色の固体を除去し、ヘキサン (10ml)をゆ
っくりと加えた。室温で一晩静置すると、青色のブロッ
ク状結晶が析出して得られた。結晶の単離収量は、0.
24g(75%,0.75mmol)であった。
【0149】得られた結晶について、融点(mp)、I
RおよびUV/vis(DMA)を測定した。結果は以
下のとおりであった。 mp:83−85℃ IR(nujol/CsI,cm-1):1608,12
64,1243,1172,1121,1023,10
00,950,803, 772, 722,600,
484, 449, 304 UV/vis(DMA):λmax(ε)473nm
(6) また、得られた結晶について元素分析を行ったところ、
実測値がC:36.48,H:7.59,N:12.5
2であり、計算値(C1025Cl2CrN3O)である
C:36.82,H:7.72,N:12.88とほぼ
一致することより、得られた結晶がCrCl2(DM
A)(TMEDA)の結晶であることが確認された。
【0150】
【合成例4】(CrCl2(TMEDA)の合成)アル
ゴン雰囲気下、シュレンク管に塩化クロム(II)(0.
14g,1.1mmol)をはかりとった。これにヘキ
サンを加えると、白色懸濁液になった。室温で30分間
攪拌した後、N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミン
(0.17ml,1.1mmol)を加え、室温で2日
間攪拌した。反応液は徐々に水色懸濁液になった。これ
を真空ポンプで乾固し、水色粉末を得た。次いで得られ
た粉末をアセトニトリル(7ml)に溶かし、不溶物を
遠心分離機で除去し、青色の溶液を得た。これにトルエ
ン(7ml)を静かに加え、室温で一晩静置すると青色
の結晶が析出して得られた。結晶の単離収量は、0.1
8g(70%,0.77mmol)であった。
【0151】得られた結晶について、融点(mp)およ
びIRを測定した。結果は以下のとおりであった。 mp:211℃ IR(nujol/CsI,cm-1):1238,11
20,1111,1060,1045,1017,99
8,952,802,771,722,595,49
9,448,411 また、得られた結晶について元素分析を行ったところ、
実測値がC:30.21,H:6.84,N:11.6
1であり、計算値(C616Cl12CrN2)であるC:
30.14,H:6.75,N:11.72と一致する
ことより、得られた結晶がCrCl2(TMEDA)の
結晶であることが確認された。
【0152】
【合成例5】(CrCl3(TMEDA)(DMF)の
合成)アルゴン雰囲気下、シュレンク管にCrCl
2(TMEDA)(DMF)(0.38g,1.2mm
ol)をはかりとった。これをDMF(5ml)に溶解
させ、つづいて室温でジクロロメタン (1ml)を加
えた。反応液の色は青色から緑色に変化した。室温で一
晩攪拌した後、溶媒を留去し、ジクロロメタン(3m
l)で抽出した。得られた緑色の溶液に、トルエン(3
ml)を静かに加え、室温で一晩静置すると緑色の針状
結晶が析出して得られた。結晶の単離収量は0.27g
(64%,0.78mmol)であった。
【0153】得られた錯体の構造を単結晶X線構造解析
にて決定したところ、CrCl3(TMEDA)(DM
F)であることが確認された。また、得られた結晶につ
いて、融点(mp)およびIRを測定した。結果は以下
のとおりであった。 mp:145℃ IR(nujol/CsI,cm-1): 1645,1
275,1115,1005,993,950,80
2,735,698,413,392,333
【0154】
【実施例1】充分に窒素置換した内容積500mlのガ
ラス製オートクレーブに、トルエン250mlを装入
し、液相および気相をエチレン100リットル/hrで
飽和させた。その後、メチルアルミノキサン(MAO)
をアルミニウム金属換算で2.0mmol加え、次い
で、合成例1で合成したCrCl2(DMF)2 の塩化
メチレン0.005mmol/ml溶液を1ml(Cr
として0.005mmol)加えて重合を開始した。常
圧のエチレンガス雰囲気下、25℃で30分反応させた
後、少量のイソブタノールを添加することにより重合を
停止した。
【0155】重合終了後、反応物を大量のメタノールに
投入してポリマーを全量析出させた後、塩酸を加えてグ
ラスフィルターで濾過した。濾取したポリマーを80
℃、10時間で減圧乾燥したところ、ポリマーとしてポ
リエチレン0.372gが得られた。クロム1molあ
たりの重合活性は149kg/mol・hrであり、得
られたポリエチレンの極限粘度[η]は、4.80dl/
gであった。
【0156】
【実施例2】実施例1において、CrCl2(DMF)2
の塩化メチレン溶液の代わりに、合成例2で合成した
CrCl2(DMF)(TMEDA)の塩化メチレン
0.005mmol/ml溶液を1ml(Crとして
0.005mmol)用いたこと以外は、すべて実施例
1と同様にして重合および後処理を行い、ポリエチレン
0.283gを得た。クロム1molあたりの重合活性
は、113kg/mol・hrであり、得られたポリエ
チレンの極限粘度[η]は2.26dl/gであった。
【0157】
【実施例3】実施例1において、CrCl2(DMF)2
の塩化メチレン溶液の代わりに、合成例3で合成した
CrCl2(DMA)(TMEDA)の塩化メチレン0.
005mmol/ml溶液を1ml(Crとして0.0
05mmol)用いたこと以外は、すべて実施例1と同
様に重合および後処理を行い、ポリエチレン0.186
gを得た。クロム1molあたりの重合活性は74.4
kg/mol・hrであり、得られたポリエチレンの極
限粘度[η]は2.39dl/gであった。
【0158】
【実施例4】実施例1において、CrCl2(DMF)2
の塩化メチレン溶液の代わりに、合成例4で合成した
CrCl2(TMEDA)の塩化メチレン0.005m
mol/ml溶液を1ml(Crとして0.005mm
ol)用いたこと以外は、すべて実施例1と同様に重合
および後処理を行い、ポリエチレン0.290gを得
た。クロム1molあたりの重合活性は116kg/m
ol・hrであり、得られたポリエチレンの極限粘度
[η]は2.29dl/gであった。
【0159】
【実施例5】実施例1において、CrCl2(DMF)2
の塩化メチレン溶液の代わりに、合成例5で合成した
CrCl3(TMEDA)(DMF)の塩化メチレン
0.005mmol/ml溶液を1ml(Crとして
0.005mmol)用いたこと以外は、すべて実施例
1と同様に重合および後処理を行い、ポリエチレン0.
255gを得た。クロム1molあたりの重合活性は1
02kg/mol・hrであり、得られたポリエチレン
の極限粘度[η]は2.27dl/gであった。
【0160】
【比較例1】実施例1において、CrCl2(DMF)2
の塩化メチレン溶液の代わりに、CrCl2の塩化メチ
レン懸濁液を用いた以外は、すべて実施例1と同様に重
合および後処理を行った。ポリエチレンはまったく得ら
れなかった。
【0161】
【比較例2】実施例1において、CrCl2(DMF)2
の塩化メチレン溶液の代わりに、CrCl3の塩化メチ
レン懸濁液を用いた以外はすべて実施例1と同様に重合
および後処理を行った。ポリエチレンはまったく得られ
なかった。
【0162】
【実施例6】実施例5において、重合時間を1時間に変
えたこと以外は、すべて実施例5と同様に重合および後
処理を行ったところ、ポリエチレン0.524gが得ら
れた。クロム1molあたりの重合活性は105kg/
mol・hrであり、得られたポリエチレンの極限粘度
[η]は2.33dl/gであった。
【0163】
【実施例7】実施例2において、重合温度を50℃に変
えたこと以外は、すべて実施例2と同様に重合および後
処理を行ったところ、ポリエチレン0.205gが得ら
れた。クロム1molあたりの重合活性は82kg/m
ol・hrであり、得られたポリエチレンの極限粘度
[η]は1.46dl/gであった。
【0164】
【実施例8】実施例2において、CrCl2(DMF)
(TMEDA)の塩化メチレン溶液の仕込量を、0.5
ml(Crとして0.0025mmol)に変えたこと
以外は、すべて実施例2と同様に重合および後処理を行
ったところ、ポリエチレン0.186gが得られた。ク
ロム1molあたりの重合活性は149kg/mol・
hrであり、得られたポリエチレンの極限粘度[η]は
2.92dl/gであった。
【0165】
【実施例9】実施例2において、CrCl2(DMF)
(TMEDA)の塩化メチレン溶液の代わりに、トルエ
ンスラリー液を用いたこと以外は、すべて実施例2と同
様に重合および後処理を行ったところ、ポリエチレン
0.021gが得られた。クロム1molあたりの重合
活性は8.4kg/mol・hrであり、得られたポリ
エチレンの極限粘度[η]は4.37dl/gであった。
【0166】
【実施例10】実施例9において触媒スラリー液を仕込
む直前に塩化メチレン1mlを仕込み、塩化メチレン存
在下で重合したこと以外は、すべて実施例9と同様に重
合および後処理を行ったところ、ポリエチレン0.11
7gが得られた。クロム1molあたりの重合活性は4
6.8kg/mol・hrであり、得られたポリエチレ
ンの極限粘度[η]は2.08dl/gであった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 井 上 佳 尚 千葉県袖ヶ浦市長浦580−32 三井化学株 式会社内 Fターム(参考) 4J028 AA01A AC41A AC42A AC44A BA00A BA01B BB00A BB01B BC01B BC04B BC14B BC15B BC16B BC25B BC27B EB02 EB03 EB04 EB05 EB06 EB07 EB08 EB09 EB10 EB12 EB13 EB14 4J128 AA01 AC41 AC42 AC44 BA00A BA01B BB00A BB01B BC01B BC04B BC14B BC15B BC16B BC25B BC27B EB02 EB03 EB04 EB05 EB06 EB07 EB08 EB09 EB10 EB12 EB13 EB14

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記式(I)で表される遷移金属化合物を
    含むことを特徴とするオレフィン重合用触媒; Aab MXn …(I) (式(I)中、Mは第3〜11族の遷移金属を示し、A
    は、下記式(II)で表されるアミン配位子であり、 R12 N−(Q)q −NR34 …(II) 〔式(II)中、R1、R2、R3、R4 は、それぞれ独立
    に、水素原子、炭化水素基またはケイ素含有基を示し、 Qは、−CR56 −、−SiR78 −、−NR9
    −、−O−および−S−よりなる群から選ばれる基であ
    って、R5、R6、R7、R8、R9 は、それぞれ独立に、
    水素原子、炭化水素基またはケイ素含有基を表し、 qは1ないし10の整数であって、qが2以上の場合、
    複数のQは同一であっても異なっていてもよい。〕 Bは、カルボニル化合物またはスルホキシド化合物であ
    り、 a,bは、それぞれ独立に、0ないし2であって、かつ
    同時に0とはならない整数であり、 Xは、水素原子、ハロゲン原子、酸素原子、炭化水素
    基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、ホウ素含
    有基、アルミニウム含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環
    式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基およ
    びスズ含有基よりなる郡から選ばれる原子もしくは基を
    示し、 nは、1ないし4の整数である。)。
  2. 【請求項2】(A)下記式(I)で表される遷移金属化合
    物と、 Aab MXn …(I) (式(I)中、Mは第3〜11族の遷移金属を示し、 Aは、下記式(II)で表されるアミン配位子であり、 R12 N−(Q)q −NR34 …(II) 〔式(II)中、R1、R2、R3、R4 は、それぞれ独立
    に、水素原子、炭化水素基またはケイ素含有基を示し、 Qは、−CR56 −、−SiR78 −、−NR9
    −、−O−および−S−よりなる群から選ばれる基であ
    って、R5、R6、R7、R8、R9 は、それぞれ独立に、
    水素原子、炭化水素基またはケイ素含有基を表し、 qは1ないし10の整数であって、qが2以上の場合、
    複数のQは同一であっても異なっていてもよい。〕 Bは、カルボニル化合物またはスルホキシド化合物であ
    り、 a,bは、それぞれ独立に、0ないし2であって、かつ
    同時に0とはならない整数であり、 Xは、水素原子、ハロゲン原子、酸素原子、炭化水素
    基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、ホウ素含
    有基、アルミニウム含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環
    式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基およ
    びスズ含有基よりなる郡から選ばれる原子もしくは基を
    示し、 nは、1ないし4の整数である。) (B)(B-1) 有機金属化合物、 (B-2) 有機アルミニウムオキシ化合物、および(B-3) 遷
    移金属化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物
    よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物とを含
    むことを特徴とするオレフィン重合用触媒。
  3. 【請求項3】上記式(I)中のMが、第6族遷移金属であ
    る、請求項1または2に記載のオレフィン重合用触媒。
  4. 【請求項4】有機ハロゲン化物を含むことを特徴とす
    る、請求項1〜3のいずれかに記載のオレフィン重合用
    触媒。
  5. 【請求項5】担体を含むことを特徴とする、請求項1〜
    4のいずれかに記載のオレフィン重合用触媒。
  6. 【請求項6】請求項1〜5のいずれかに記載のオレフィ
    ン重合用触媒の存在下に、オレフィンを重合または共重
    合させることを特徴とする、オレフィンの重合方法。
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