JP2002240995A - 絶縁性シートロール体の製造方法及び巻取装置並びにその製品 - Google Patents

絶縁性シートロール体の製造方法及び巻取装置並びにその製品

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JP2002240995A
JP2002240995A JP2001036868A JP2001036868A JP2002240995A JP 2002240995 A JP2002240995 A JP 2002240995A JP 2001036868 A JP2001036868 A JP 2001036868A JP 2001036868 A JP2001036868 A JP 2001036868A JP 2002240995 A JP2002240995 A JP 2002240995A
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contact pressure
roll
pressure roll
voltage
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JP2001036868A
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Harumi Tanaka
治美 田中
Daisuke Masuwa
大介 増輪
Satoko Morioka
聡子 森岡
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Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】フィルム等の絶縁性シートを接圧ロールで押圧
して面圧を与えながら巻取コアにロール状に巻き取り絶
縁性シートロール体を製造する方法において、静電気力
によるゴミ吸着や溶剤の塗布ムラや、後加工の金属蒸着
膜の抜け等が発生しない方法を提供すること。 【解決手段】接圧ロールと巻取コアとの間に電界を形成
して、接圧ロールと絶縁性シートの摩擦帯電を抑制す
る。形成する電界の方向は、接圧ロールとの摩擦帯電に
おける絶縁性シートの摩擦帯電の極性から決定される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、フィルム等の絶縁
性シートの帯電を抑制する絶縁性シートロール体の製造
方法及び、巻取装置、並びに、これらを用いて製造した
絶縁性シートロール体に関する。
【0002】
【従来の技術】フィルム等の絶縁性シートの製造工程に
おいては、製造用具(たとえば、搬送用金属ロールやゴ
ムロール等)がフィルムに接触すると、フィルム表面に
帯電電荷が発生し、工程中で種々の障害を起こすことは
良く知られている。障害の1つとして、周囲のゴミが帯
電電荷のクーロン力により引き寄せられ、製品の品位を
落としたり、局所的な帯電部分が加工時の溶液の塗布ム
ラ原因となることもある。また、蒸着等の後加工工程で
は、ベースフィルムの静電気帯電によって蒸着の均一性
が損なわれたり、金属蒸着膜に抜けが生じたりする問題
がある。
【0003】また、フィルム等の絶縁性シートの帯電が
非常に強くなり、数10μC/m2以上になると、フィル
ムと搬送ロールあるいはその他の製造装置との間で容易
に放電が発生し、絶縁体であるフィルム表面にスタチッ
クマークと呼ばれる痕跡を残すという問題がある。
【0004】特性の異なる2つの物質を接触、あるい
は、摩擦させると、両者の間で電子の授受が発生した状
態となる。絶縁体の場合、表面抵抗が非常に高いため、
授受された電子が表面に孤立した状態になり、漏洩する
ことなく帯電した状態を維持する。電子の授受は、物質
の持つ仕事関数の大小により発生し、仕事関数の小さい
ものから大きいものへ電子が移動することが知られてい
る。そして、電子を受け入れ過剰になった物質が負極性
に帯電し、逆に電子が不足となった物質が正極性に帯電
する。仕事関数とは、真空中で物質から電子1個を取り
出すのに必要なエネルギーのことである。仕事関数が実
測された金属の場合、前述の電子の授受と帯電との関係
が明確になっており、フィルム等の絶縁性シートでも同
様のメカニズムで電子の授受が起こり、絶縁性シートが
帯電すると考えられている。
【0005】絶縁性シートに帯電が発生しないように、
たとえば比較的類似した帯電挙動を示す物質同士を選
び、帯電量を極力抑制する方法がある。これは「帯電
列」と呼ばれる指標を利用する方法である。帯電列は、
2つの物質を接触させたときに正に帯電する物質を負に
帯電する物質より正側に位置づけるものである。種々の
物質と接触させてその帯電極性を調べることで、経験的
に「帯電列」が作成できる。このようにして得られる帯
電列から、帯電の相性が良い物質を選定するのである。
【0006】一方、巻取装置に関しては、フィルムをロ
ール状に巻き取る場合、巻取コアに接圧ロールを密着さ
せ、接圧ロールの押圧力を調整することにより巻き込み
空気量をコントロールして、絶縁性シートロール体を得
る方法が知られている。ここで、絶縁性シートロール体
とは巻取コアに順次絶縁性シートが巻き上げられたもの
を指す。接圧ロールを用いずに絶縁性シートを巻き取る
と、空気を噛み込み巻姿が不良であるだけでなく、絶縁
性シートロール体にはシワが発生しやすくなり、商品価
値が著しく低下する。
【0007】しかし、接圧ロールを密着させて強く押圧
をかけニップしながら絶縁性シートを巻き取ると、接圧
ロールと絶縁性シートの間で強い摩擦帯電が発生してし
まう。ニップ点と呼ばれる押し圧をかける部分では、他
の製造具との摩擦帯電と比較して帯電量が非常に大きく
なる。つまり、従来の巻取装置においては、絶縁性シー
トの摩擦帯電を抑制することができないという問題点が
あった。
【0008】従来の巻取装置について図10に示す。絶
縁性シート1は接圧ロール2で巻取コア4に押圧されな
がら巻き取られ、絶縁性シートロール体3が得られる。
接圧ロール2は、通常、接地された状態で使用されてい
る。
【0009】このような従来の巻取方法の1つに、特開
平10−175756号公報に開示された方法がある。
接圧ロールを押圧して面圧を与えながらフィルムをロー
ル状に巻き取る巻取装置であり、フィルムの帯電圧と接
圧ロールの帯電圧との差の絶対値が5kV以下の条件で
巻き取る方法が開示されている。また、接圧ロールの少
なくともロール表面が金属または、導電性物質からなり
電気的に接地する方法も開示されている。しかし、静電
気力により接圧ロールにフィルムが密着しないようにす
る技術であるため、根本的なフィルムの摩擦帯電を抑制
することはできないでいた。たとえ、接圧ロールを電気
的に接地しても、接圧ロール自身の帯電を抑制する事は
できるが、フィルムの摩擦帯電は抑制できないと言う問
題点があった。
【0010】つまり、従来の技術では、抜本的に接圧ロ
ールと絶縁性シートの摩擦帯電を抑制することは不可能
であるし、接圧ロールとの摩擦帯電を適正にコントロー
ルすることは到底不可能であった。よって、接圧ロール
との摩擦帯電が抑制できず、絶縁性シートは帯電したま
ま巻取コアに巻き取られ、巻きあがった絶縁性シートロ
ール体の電位、絶縁性シート1枚あたりの電荷密度が高
くなってしまうという問題があった。
【0011】一方、従来からフィルム等の絶縁性シート
の帯電を除去するために、除電器と呼ばれる装置が利用
されている。このような除電器には、接地された細いブ
ラシ状の導電物を除電対象である帯電体に接近させ、ブ
ラシ先端でコロナ放電を発生させて除電する自己放電式
除電器や、針状電極に商用周波数の高電圧や直流高電圧
を印加してコロナ放電を発生させて除電する電圧印加式
除電器がある。コロナ放電を利用した従来の除電器の除
電原理は、電極におけるコロナ放電によって正、負のイ
オンを発生させ、帯電体が持つ電荷の極性と逆極性のイ
オンを帯電体の電界で引き寄せて、帯電体の静電気を中
和するものである。
【0012】接圧ロールと絶縁性シートの摩擦帯電で発
生した帯電電荷(電子、負イオン等)を除去する目的
で、除電器を絶縁性シートロール体に向けて配置し作動
させることがある。しかし、接圧ロールと絶縁性シート
の摩擦により発生する電荷Qとして、その時の絶縁性シ
ートロール体の電位Vは、V=Q/C(ここで、Cは絶
縁性シートロール体の対地静電容量)の関係式から得ら
れる。静電容量の大きい巻取コアに巻かれた絶縁性シー
トロール体の電位は低くなってしまうので、電界が弱ま
り、除電するための逆極性のイオンが絶縁性シートロー
ル体に引き寄せられず、充分な除電が実施できないでい
た。このため、絶縁性シートロール体の帯電が残存し、
ゴミの吸着や放電痕の発生、溶剤の塗布ムラや後加工で
の金属蒸着膜の抜け等の静電気問題解決をできないとい
う問題点があった。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
従来技術の問題点を解決することにある。すなわち巻取
コアに巻き取られる絶縁性シートと接圧ロールとの摩擦
帯電を抑制し、絶縁性シートロール体の電位を低くでき
る巻取装置および絶縁性シートロール体の製造方法、並
びに、その製品を提供することにある。
【0014】これにより、摩擦帯電の発生を抑制するこ
とで、絶縁性シートロール体上で十分に除電できないと
いう問題を根本的に解決し、また、相性の良い接圧ロー
ル材質を選定する手間や、品種毎に接圧ロールを切り替
える手間を省くことができる絶縁性シートロール体の製
造方法を提供する。
【0015】また、種々の障害の原因となる絶縁性シー
トの帯電を抑制し、ゴミの吸着や放電痕の発生、溶剤塗
布ムラや後加工での金属蒸着膜の抜けの生じにくい絶縁
性シートのロール体が提供される。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上述の従
来技術の問題点を解決し、簡便な設備によって、巻取コ
アに巻き取られる絶縁性シートと接圧ロールとの接触に
よる摩擦帯電を抑制する方法を見いだした。その方法と
は、絶縁性シートと接圧ロールとの間に摩擦帯電を抑制
するように電界をかける方法である。また、電界の形成
方法の好ましい例として、接圧ロールと巻取コアの何れ
かに電圧を印加して、もう一方を電気的に接地する方法
が簡便であることを見いだした。
【0017】すなわち、本発明は、絶縁性シートを接圧
ロールで押圧して面圧を与えながら巻取コアに巻き取
り、絶縁性シートロール体を得る絶縁性シートロール体
の製造方法であって、前記押圧に際し、前記絶縁性シー
トの両面の間に、摩擦帯電を抑制する方向の成分を含む
電界を与えることを特徴とする絶縁性シートロール体の
製造方法を提供する。摩擦帯電を抑制する電界とは、前
記絶縁性シートと前記接圧ロールとの接触による摩擦帯
電で、両者間を移動する電子あるいは負イオンの移動方
向と同一方向の電界である。または、正イオンが発生す
る場合は、その移動方向と逆方向となる。
【0018】具体的に、前記絶縁性シートと前記接圧ロ
ールとの接触で発生する絶縁性シートの帯電極性と同一
極性の電圧を前記巻取コアに印加するとともに前記接圧
ロールを0電位に維持しつつ絶縁性シートを巻取り絶縁
性シートロール体を製造すれば良い。また、逆極性の電
圧を前記接圧ロールに印加し、かつ、前記巻取コアを電
気的に接地しても良い。
【0019】本発明は、絶縁性シートを巻取る巻取コア
と、絶縁性シートを介して前記巻取コアに対して押圧す
る接圧ロールと前記巻取コアと前記接圧ロールとの間を
走行する前記絶縁性シートの両面の間に摩擦帯電を抑制
する方向の成分を含む電界を与える電界発生手段を有す
ることを特徴とする絶縁性シートロール体の巻取装置を
提供する。電界発生手段として、絶縁性シートと接圧ロ
ールとの接触で発生する絶縁性シートの帯電極性と同一
極性の電圧を前記巻取コアに印加する電圧印加手段を有
し、かつ、前記接圧ロールを電気的に接地する接地手段
を備えたものや逆極性の電圧を前記接圧ロールに印加す
る電圧印加手段を有し、かつ、巻取コアを電気的に接地
する接地手段を備えたものであってもよい。
【0020】また、絶縁性シートロール体の電位を測定
する手段と前記電圧印加手段に印加する電圧を制御する
印加電圧制御手段を有していてもよく、また、前記接圧
ロールに発生する電荷を検出する手段と前記電圧印加手
段が印加する電圧を制御する電圧制御手段とを備えてい
ても良い。
【0021】前記接圧ロールおよび/または巻取コア
は、金属、樹脂、合成ゴムおよび繊維強化プラスチック
スのうちいずれか1つ以上を含む積層構造体を表面に有
するものであって、前記積層構造体の少なくとも1層が
導電性物質から構成される。
【0022】以上の絶縁性シートロール体の製造方法、
または、巻取装置を用いて製造された、表面電位の絶対
値が2kV以内であることを特徴とする絶縁性シートロ
ール体を提供することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明について図を用いて
詳細に説明する。
【0024】図1は、本発明における巻取装置の一例を
示す概略構成図である。本実施態様では絶縁性シート1
として、合成樹脂からなるフィルムを用いている。絶縁
性シートとは、一般に絶縁性高分子からなり表面抵抗率
が1010Ω以上であり、電気を通さない材質からなるシ
ートである。このような絶縁性シートの体積抵抗率もお
おむね1010Ω・m以上である。このような性質をもつ
絶縁性シートの材質に特に制限はないが、たとえば、ポ
リエステル系、ポリアミド系、ポリオレフィン系などの
シートが挙げられる。また、これらのシート表面には放
電処理やコーティングなどが施されていてもよく、ま
た、シートの厚みについては特に制限はないが、おおむ
ね、0.5μmから数百μmである。
【0025】フィルム等の絶縁性シートの中には、あら
かじめ片面に金属などの導電薄膜が形成されたものがあ
る。このような場合にも本発明は有効に作用するが、次
の2つの場合には以下の注意が必要である。1つ目は、
接圧ロールや巻取コアの表面が絶縁性物質からなり、導
電薄膜が接圧ロール側に配置された状態で、接圧ロール
に電圧を印加する場合、2つ目は、導電薄膜が巻取コア
側に配置され、巻取コアに電圧を印加する場合である。
このような場合の注意点は、導電薄膜による静電遮蔽
(静電シールドとも言う)効果を考慮して、巻取コアあ
るいは接圧ロールのどちらに電圧を印加するか決める注
意が必要である。具体的に、1つ目の場合には巻取コア
に、2つ目の場合には接圧ロールに電圧を印可するよう
実施すれば、本発明を有効に作用されることができる。
このように、絶縁性シートの片面に導電性膜が形成され
ていても、他方の面の絶縁性が保たれておれば、本発明
における絶縁性シートたりうる。
【0026】合成樹脂からなるフィルムは、接圧ロール
2により押圧を加えながら巻取コア4に巻き取られ、絶
縁性シートロール体3が製造される。接圧ロールは、エ
アシリンダなどの押圧手段により巻取コアに押圧されて
いる(図示せず)。図1に示す巻取装置の前工程には、
フィルムを搬送する目的や張力を制御する目的で多数の
装置や他のロールが配置されている。図中では巻取部直
前のゴムロール5を図示したが、ゴムロール5から巻取
部の方向にフィルムが順次搬送されていく。図1では、
フィルムの移動に伴って接圧ロール2は時計回りに、巻
取コア4は反時計回りに回転する。巻取コア4には順次
フィルムが巻き取られていくため、絶縁性シートロール
体3は次第に巻き太り、直径が増大する。
【0027】図1において、絶縁性シート1が接圧ロー
ル2に抱きつきながらロール上を走行する部分(以下
「抱きつけ部」と言う)と、接圧ロールと巻取コアに挟
まれた部分「ニップ点」が存在する。ニップ点ではフィ
ルム等の絶縁性シートと接圧ロールは強く摩擦されるた
め、非常に強い帯電が発生する。
【0028】接圧ロール2は金属等からなる導電性軸2
3に導電性ゴム22、被覆層21を積層したもので、導
線24を通じて電気的に接地されている。巻取コア4は中
空構造で、金属等の導電性内層43と繊維強化プラスチ
ックからなる絶縁性樹脂層42、その保護層41から構
成される。そして、金属等の導電性内層43に直流電圧
Vaを供給する直流電源6が接続されている。直流電源
の接続には安全上、過大な電流が流れないように過電流
遮断器や保護抵抗を備えても良い(図示せず)。
【0029】接圧ロール、並びに巻取コアの構成は、金
属、樹脂、ゴムおよび繊維強化プラスチックスのいずれ
か1つ以上から構成される積層構造体で、積層構造体の
少なくとも1層が導電性物質から選ばれているのが好ま
しいが、特に構成を限定するものではない。導電性物質
からなる層や軸には所望の電圧をかけたり、あるいは、
電気的に接地することができる。絶縁性シートとできる
だけ近い層を導電性とし電圧を印加すると、絶縁性シー
トの表裏に電界を有効にかけることができるのでより好
ましいが、軸だけを導電性として電圧を印加してもかま
わない。
【0030】図1の実施態様では、巻取コア4の導電性
内壁43に直流電圧Vaが印加され、接圧ロール2が接
地されており、両者間に電位差が生じている。つまり、
接圧ロール2が巻取コア4や巻き取られた絶縁性シート
と接して押圧する部位(押圧部)の近傍に、絶縁性シー
トの接圧ロール側に配置された面と巻取コア側に配置さ
れた側の面との間に電界が形成されている。
【0031】フィルム等の絶縁性シート体と接圧ロール
との摩擦帯電でフィルムが負極性に帯電する場合、接圧
ロールからフィルムに電子、あるいは負イオンが移動し
電子が過剰な状態となっている。ここで、接圧ロール2
を電気的に接地し、巻取コア4に負の電圧を印加する
と、接圧ロール2から巻取コア4に向かう方向に電界が
形成される。通常、電子は電界の向きと反対方向に移動
する性質があるため、絶縁性シートから接圧ロールに電
子あるいは負イオンが移動しようする。接圧ロールと絶
縁性シートの摩擦帯電で発生する電荷量が、電界による
移動電荷量がちょうど釣り合ったとき、電荷の移動が相
殺され摩擦帯電が事実上なくなる。摩擦帯電を完全にゼ
ロに防止できなくても、製品上実害が無い程度に十分小
さくなる程度に摩擦帯電を抑制すればよい。
【0032】つまり、接圧ロールと巻取コアを用いて有
効な方向の電界を形成し、接圧ロールと絶縁性シートの
間での電子、あるいは負イオンの授受をコントロールす
るのである。電界をかける手段として接圧ロールや巻取
コアのような既存の製造具を使用することで、余分な製
造具を付与する必要もなく、部品点数を減らすことがで
きる。
【0033】上記はフィルムと接圧ロールとの摩擦帯電
でフィルムが負極性に帯電する場合を示したが、正に帯
電する場合には、巻取コアに印加する電圧を正とすれば
同様の効果が得られる。
【0034】図2の実施態様では、接圧ロール2に直流
電圧Vaを供給する直流電源6が接続され、巻取コア4
が接地された実施態様を示している。この態様には、さ
らに、絶縁性シートロール体3の表層に向けて近傍に除
電器が配置されている。除電器7は交流高電圧発生装置
9と針電極10、対向電極8から構成されている。この
ような巻取装置では、巻取コア、あるいは、絶縁性シー
トロール体に向けて、絶縁性シートの帯電を除去する目
的で除電器を配置してもかまわない。接圧ロールと絶縁
性シートの摩擦帯電で発生した帯電電荷(電子、負イオ
ン等)を絶縁性シートロール体上では充分に除電しきれ
ないが、一部は除電できる。ただし、巻取コアに電圧を
印加した状態で絶縁性シートロール体に向けて除電器を
配置し作動させると、巻取コアの電位に由来して電界が
形成され、除電イオンが引き寄せられるので、注意が必
要である。したがって、巻取コア4近傍に除電器を配す
るときは、巻取コア4は接地しておいたほうが良い。
【0035】図2の実施態様では、フィルム等の絶縁性
シートロール体と接圧ロールとの摩擦帯電で、フィルム
が負極性に帯電する場合には、巻取コアを接地し、接圧
ロールに正極性の電圧を印加する。そのように調整すれ
ば、電界の向きが接圧ロールから巻取コア方向になり、
フィルムから接圧ロールに向けて電子あるいは負イオン
が移動しやすくなるので、フィルムと接圧ロールの摩擦
帯電を抑制することできる。
【0036】摩擦帯電を抑制する有効な電界についてさ
らに説明する。問題となる摩擦帯電は接圧ロールと絶縁
性シートの界面で発生するものであり、この界面に有効
な電界を作用させるのが好ましい。有効な電界とは、接
圧ロールが絶縁性シートをニップするときのニップ部に
おいて絶縁性シートの法線方向の成分を含む電界であ
る。
【0037】電界は、巻取コアとの間に形成されるだけ
でなく、装置フレームや周囲の計測器との間でも形成さ
れる。巻取コアと接圧ロールが形成する電界が最も強い
が、周囲の影響はゼロではない。前述の接圧ロールが絶
縁性シートをニップする時の押圧方向に沿った成分を含
む電界であれば、電界の形成方法は特に限定されない。
このような実施態様を図3に示す。金属などの導電性の
装置フレーム13が巻取部近傍に配置されている。接圧
ロールと装置フレーム等が形成する電界でも、摩擦帯電
を抑制するに有効な方向であれば、好ましい効果があ
る。
【0038】これまで、ニップ点での摩擦帯電を抑制す
ることに主眼を置いていたが、接圧ロールに抱きつかせ
た「抱きつけ部」部分の摩擦帯電の抑制では、図3の実
施態様で示したように、接圧ロール2上の近傍に電気的
に接地されたアース板12を配置して、接圧ロールに電
圧をかければ、有効である。
【0039】フィルム等の絶縁性シートが巻き取られる
に従い、接圧ロールと巻取コアの距離は次第に遠くな
る。巻取初期と同じ電圧をかけていると、段々と形成さ
れる電界が弱くなってしまう。この場合、電界を維持す
るように印加する電圧を高くしても良いが、除電器によ
って帯電を除去しても良い。
【0040】従来技術の問題点として、巻取コアの静電
容量が大きく絶縁性シートロール体3の電位が低くなっ
て充分な除電ができないと記述したが、絶縁性シートロ
ール体が巻太り、コアからの距離が遠くなると静電容量
も小さくなり、絶縁性シートロール体の電位が高くな
る。すると、除電器で発生するイオンが引き寄せられ充
分な除電が可能となる。つまり、巻取コア、あるいは接
圧ロールに高電圧をかけなければならないほど、接圧ロ
ールと巻取コアの距離が離れてしまえば、除電器の効果
も期待できるようになるので、電界の効果と除電器での
除電を効果的に使い分ければ良い。このような実施態様
を図4に示す。ただし、巻始めにおいては、絶縁性シー
トに摩擦帯電が発生しないように、電界による抑制が必
要であることは言うまでもない。
【0041】接圧ロールに印加する電圧であるが、巻取
開始直後には接地した巻取コアに極近接しているので、
絶対値で高々数100Vの電圧をかければ良い。その
後、巻厚の増大に比例して電圧を高くする。巻厚とは巻
取コアに巻き取られた絶縁性シートの巻とり厚みのこと
である。巻厚が50、60mmから100mm程度になる
と、印加する電圧は数kVになる。数100mm以上に巻
太った後は除電器と併用するのが望ましいがこれに限定
するものではない。接圧ロールや巻取コアに印加する電
圧値も特に限定するものではなく、絶縁性シートロール
体の表面電位が問題のない程度に小さくできれば良い。
【0042】絶縁性シートロール体の表面電位の測定に
ついて説明する。表面電位計として、検出部を振動させ
て静電容量を変化させながら計測する振動容量方式表面
電位計を用いて測定するのか望ましい。表面電位の測定
では、測定物との距離が遠くなるほど電位が低くなるな
ど距離に依存するので、測定時の距離を適切に選ぶ必要
がある。また、巻取コアが金属等の導電性物質からなり
電気的に接地されていると、巻取コアとの距離によって
静電容量が左右されることになる。以上より、絶縁性シ
ートロール体の表面電位は、絶縁性シートロール体の最
表層からの距離が40mmの位置に表面電位計の検出部を
設置し、接地された巻取コアの中心に検出部を向けなが
ら測定を実施する。このとき、表面電位計の測定視野が
かなり広いので注意が必要である。
【0043】このような絶縁性シートロール体の除電装
置としては、交流式、直流式、交流高周波式、送風式な
どの電圧印可式静電気除去装置や、導電性繊維やカーボ
ンブラシを用いた自己放電式除電装置などを挙げること
ができる。
【0044】フィルム表面に帯電した電荷によってもい
くらかの電界が形成されるので、この電荷を利用して摩
擦帯電を抑制しても良いが、フィルムに付与する電荷量
の制御が難しく、強制的に電荷を加えた場合には、かえ
ってフィルムを帯電させてしまうことになるので注意が
必要である。
【0045】万が一、接圧ロールと絶縁性シートの摩擦
帯電帯電を抑制する電界の方向を誤って逆方向とする
と、摩擦帯電による電子、あるいは負イオンの移動方向
と、電界による電子の移動方向が同じ方向になり、電荷
の移動を相殺することができなくなるだけでなく、電荷
の移動が相乗されて絶縁性シートの帯電をより強くして
しまう。有効な電界の方向に特に注意する必要がある。
【0046】次に、従来技術の特開平10−17575
6号公報との相違点を示す。 (1)従来の技術は接圧ロールとフィルムとの帯電圧を
絶対値で5kV以下として、接圧ロール上でのフィルム
の密着を防止し、絶縁性シートロール体のしわ発生を防
止することを目的とするものであり、接圧ロールとフィ
ルムとの摩擦帯電を抑制する技術ではない。 (2)本発明では巻取コアと接圧ロールとが形成する電
界が重要な要素であり、さらに、その電界の方向と強さ
を適正にしなければ摩擦帯電を抑制できない。従来技術
では、電界による摩擦帯電の変化を考慮していない。 (3)仮に、接圧ロールを帯電器等を用いて帯電させ、
言及されていない巻取コアを電気的に接地していると仮
定する。通常、巻取り前の走行するフィルムの電位は通
常+10kV、あるいは−10kV程度に達している。
フィルムと接圧ロールの帯電位の絶対値の差を5kV以
下にすると、−10kVの場合には接圧ロールは−15
〜−5kVの範囲となる。つまり、負に帯電しやすいフ
ィルムに対して、接圧ロールにフィルムの帯電極性と同
極性の負の電圧を印加することになる。これは、摩擦帯
電を抑制する電界の向きとは反対の方向で、摩擦帯電を
より強くすることになる。
【0047】以上のように、本発明の電界の向きを規定
して摩擦帯電を抑制したり、コントロールすることは従
来技術では不可能である。
【0048】次に、接圧ロールや巻取コアに印加する電
圧を制御する手段を有する巻取装置について図5を用い
て説明する。本実施態様では接圧ロールを接地して巻取
コアに電圧を印加している場合を示している。ロール上
の電位を測定する手段として表面電位計15、印加電圧
制御装置19を配置している。たとえば、接圧ロールと
の摩擦帯電で負に帯電しやすい絶縁性シートの場合、絶
縁性シートロール体の測定電位が負極性であれば電界の
効果が摩擦帯電に比べて弱いので、巻取コアに印加する
負の電圧を高くする。反対に電位が正極性を示せば、電
界の効果が過剰であると判断出来、負の電圧を低くする
ように調整すれば良い。
【0049】また、図6には、摩擦帯電量を測定する目
的で、接圧ロール近傍に金属からなる誘導板16を配置
し電流測定器17を電気的に接続する。摩擦帯電によっ
て発生電荷量は数10μC/m2と微小なため、接圧ロ
ールの電位はそれほど高くならない。このため、周囲の
振動や電磁波ノイズとのSN比を上げるため、交流信号
を利用する方法が有効である。1つの実施態様として、
誘導板16と接圧ロールとの間に、シャッターを備えて
交流的に電流信号を検出しておけば、帯電による微小な
電流を精度良く測定することができる。
【0050】このような構成で、接圧ロールと絶縁性シ
ートとの摩擦帯電で発生した接圧ロールの電子、負イオ
ン等を電流として計測する。また、接圧ロール全体を導
電性として直接電流計を接続して電流を検出することも
できる。なお、接圧ロールの帯電極性はフィルムの帯電
極性と逆であるので巻取コアに印加する電圧の極性を決
定するときに注意が必要である。得られた電流測定結果
に応じて、巻取コアに印加する電圧を印加電圧制御装置
19から与えれば良い。
【0051】巻取コアに印加する電圧は、巻取開始直後
には接地した接圧ロールに接しているので電界が強いた
め、絶対値で高々数100Vの電圧をかければ良い。そ
の後、巻径の増大に比例して徐々に電圧を高くしてゆ
く。このとき、接圧ロールの帯電の状態を示す電流値が
問題のない程度に小さくなれば良いが、接圧ロールの電
流値が大きくなる傾向があれば、巻取コアに印加する電
圧値の絶対値を大きくする必要がある。
【0052】直流電源の接続方法は、図1から図4のい
ずれの実施態様によってもよく、接圧ロールと巻取コア
に所定の直流電圧を印加できれば、特に構成を限定する
ものではない。直流電源の台数であるが、一方を接地す
ると直流電源を1つにできるメリットがあるが、接圧ロ
ールと巻取コアの2つにそれぞれを直流電源に接続して
電界を制御しても問題がない。また、中空の巻取コアの
内部に金属などの導電性を有する柱状物を別途配置し
て、直流電源と接続してもかまわない。
【0053】接圧ロールの表面材質としては、フィルム
に対する摩擦帯電が少ない材質を用いても良く、金属製
ロールや表面が金属又は導電性物質で被覆されたものを
用いることができる。接圧ロールとフィルム等の絶縁性
シート体を接触させたときに帯電が低くなるように相性
の良い接圧ロールを使用しても良い。
【0054】以下、本発明の摩擦帯電抑制を見いだした
モデル実験を図を用いて簡潔に説明する。実際の巻取装
置を簡略化した図7に示す摩擦帯電評価用モデル試験装
置で検討した結果、電界によって摩擦帯電が抑制される
ことを見いだした。
【0055】図7では、金属製の敷板33上に、フィル
ム10枚を積層した積層フィルム体35、評価用フィル
ム34を順に重ねた。積層フィルム体35と評価用フィ
ルム34は同種のフィルムで、ポリエステル系、ポリア
ラミド系、ポリオレフィン系のいずれかの材質からなる
フィルムA、フィルムB、フィルムCを用いた。金属製
の敷板33は巻取コアに相当し、ゴムロール32が接圧
ロールに相当する。ゴムロールは鉄製の芯がねにクロロ
プレン系の絶縁ゴムを巻き付けたものを用いた。金属製
の敷板33に高電圧(絶対値が1kVの範囲)を印加し
ながら、ゴムロール32を転がすとフィルム34との間
で摩擦帯電された。その後、電圧をかけずにフィルムを
1枚づつ剥がして、フィルム1枚の電位を空中で測定し
た。こうして得られたフィルムの電位を図8に示す。図
8では、横軸に金属製の敷板33に印加した電圧、横軸
にフィルムの帯電状態を示す。
【0056】図8は、金属製の敷板33に電圧をかけな
がら摩擦するとフィルムの摩擦帯電が変化することを示
している。たとえば、負帯電しやすいフィルムCの場
合、通常電圧を印加しないと負に帯電するが、敷板33
に−数100Vの電圧を加えた時にほとんど帯電がゼロ
となり、さらに電圧を下げると正に帯電した。反対に、
金属製の敷板33に正の電圧を印加すると帯電がさらに
強くなった。フィルムが正に帯電しやすい場合には、前
述した印加電圧の極性が逆の場合に効果が見られた。電
界の向きによってフィルムの摩擦帯電が抑制できるかが
決まり、電界の強さを選ばなければならない。つまり、
摩擦帯電を抑制する電界は、摩擦帯電によって電子ある
いは、負のイオンが移動する方向と同じ向きに適切な強
さに調整する必要がある。
【0057】実際に、フィルムを接圧ロールで押圧しな
がら巻き取った実施態様による結果を図9に示す。な
お、巻取は図1の実施態様で実施した。負帯電しやすい
フィルムを巻取コアに電圧を印加して、かつ、接圧ロー
ルを接地して巻き取った。図9では横軸にフィルムの巻
厚(mm)を取り、縦軸に絶縁性シートロール体の電位
を示す。絶縁性シートロール体の電位は、巻取を一旦停
止し巻取コアの電圧を取り去った後計測し、再び、巻取
コアを所定の電圧を印加して巻取を再開することを繰り
返した。フィルムにはポリアラミド系で、厚さ7μm、
幅250mmを用いた。また、接圧ロールの材質は、鉄製
の芯がねにクロロプレン系の絶縁ゴムを巻きつけたもの
を用いた。
【0058】通常、巻厚(mm)が厚くなるに従って、
絶縁性シートロール体の電位は高くなっていく。たとえ
ば巻厚が30mmの時点で巻取コアに−1kVを印加する
と、接圧ロールから巻取コアの向きに電界が形成され、
摩擦帯電量が減少し絶縁性シートロール体の表面電位が
ほぼ0Vに近い値に落ち着いた。さらに電圧を下げて、
巻取コアを−3kVとすると正極性に電位が上昇した。
これは、電界による効果が強すぎることを示す。一方、
巻取コアを+1kVとして、巻取コアから接圧ロールの
向きに電界を形成すると、摩擦帯電量が増加し絶縁性シ
ートロール体の表面電位が急上昇した。接圧ロールとフ
ィルムの摩擦帯電が抑制できるため、絶縁性シートロー
ル体の電位を低く押さえることができる。
【0059】本発明により製造された絶縁性シートロー
ル体は、絶縁シートロール体の軸方向中央部の最表層か
ら表面電位計の検出部までの距離が40mmの位置で測定
した場合の表面電位の絶対値が2kV以内の範囲、より
好ましくは1kVの範囲以内である。また、本発明によ
り製造される絶縁性シートは、表面電位の絶対値が1μ
C/m2以内の範囲、より好ましくは0.5μC/m2
内の範囲、より好ましくは0.1μC/m2以内の範囲
の低い電荷密度の絶縁性シートを得ることができる。
【0060】
【実施例】次に、実施例によって本発明を具体的に説明
する。
【0061】接圧ロールとして、カーボンブラックを含
有する導電性のクロロプレンゴムを鉄製の芯がねに厚さ
15mm巻いたものを用いた。巻取コアとして、炭素繊維
強化プラスチック(CFRP)ロールの表面に保護層を
積層した中空状の円筒を用いた。所望の電界を形成する
ために、図4の構成で、接圧ロールを電気的に接地し
て、巻取コアに直流高電圧電源を接続した。
【0062】厚み12μm、巾1000mmのポリエチ
レンテレフタレートフィルムを巻取速度250m/分の
条件で走行し、接圧ロールに120度抱きつかせてか
ら、巻取コアに長さ12000m巻き取った。
【0063】使用したポリエチレンテレフタレートフィ
ルムは負に帯電しやすい性質であったため、巻きはじめ
は巻取コアに−120Vの電圧を印加し、摩擦帯電を抑
制した。このとき、表面電位計で絶縁性シートロール体
3を計測したところ、巻取開始直後にはほぼ電位は0V
であった。表面電位計として、model523、ElectroSt
atic VoltMeter(米国Trek社製)を用いて、絶縁
性シートロール体の最表層から40mmの距離で測定を
行った。巻き長増加に伴って印加電圧を上昇させ、絶縁
性シートロール体の表面電位の絶対値がおおむね1kV
以内の範囲になるように印加電圧を調整した。その結
果、表面電位は巻き長が増加するほど徐々に上昇する傾
向があったが、6000mで−0.4kV、12000
mで−0.9kVであった。−0.9kVは製品の品質
上問題のないレベルの帯電である。また、巻きあがった
絶縁性シートロール体の巻き姿も、シワ等の発生がなく
良好であった。
【0064】
【比較例】接圧ロールと巻取コアを共に接地して、電界
をかけずに絶縁性シートロール体を巻き取った以外は実
施例と同様にフィルムを巻取った。接圧ロールとフィル
ムとの摩擦帯電が発生し、その電荷を除去することがで
きないため、絶縁性シートロール体の電位は巻き長が増
加するほど急上昇し、100m巻き取った地点で電位は
−1.2kV、6000mで−6.8kV、12000
mで−12.5kVとなった。
【0065】
【発明の効果】本発明によれば、接圧ロールで面圧をか
けながら巻取コアに絶縁性シートを巻取り絶縁性シート
ロール体を製造するに際して、絶縁性シートと接圧ロー
ルとの摩擦帯電が抑制され、巻きあがった絶縁性シート
ロール体の電位を低くできる効果がある。このようにし
て巻き取られた絶縁性シートは、摩擦帯電による帯電が
なく良好な品質である。
【0066】巻き取り時に簡便な方法で、絶縁性シート
の摩擦帯電を抑制できるため、充分な除電が期待できな
い絶縁性シートロール体上の除電に頼る必要がない。さ
らに、絶縁性シートの帯電を抑制することで、摩擦帯電
による電荷が起因で発生する静電気力によるゴミ吸着や
溶剤の塗布ムラや、後加工の金属蒸着膜の抜け等を生じ
させない良質な絶縁性シートを簡易な構成で提供するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の絶縁性シートの巻取装置の1例を示す
概略構成図である。
【図2】本発明の絶縁性シートの巻取装置の1例で、除
電器を配置した場合を示す巻取装置の概略構成図であ
る。
【図3】本発明の絶縁性シートの巻取装置の1例を示す
概略構成図である。
【図4】本発明の絶縁性シートの巻取装置の1例を示す
概略構成図である。
【図5】本発明の絶縁性シートの巻取装置の1例で、巻
取コアの印可電圧を調整する手段を有する巻取装置の概
略構成図である。
【図6】本発明の絶縁性シートの巻き取り装置の1例
で、巻取コアの印可電圧を調整する手段を有する巻取装
置の他の概略構成図である。
【図7】摩擦帯電評価用モデル試験器の概略構成図であ
る。
【図8】図7のモデル評価装置を用いて得られた電界に
よる摩擦帯電の変化の一例を示す特性図である。
【図9】実施態様の1つに対応する巻取長さと絶縁性シ
ートロール体の表面電位との関係を示す特性図である。
【図10】従来の巻取装置の1例を示す概略構成図であ
る。
【符号の説明】
1 絶縁性シート 2 接圧ロール 3 絶縁性シートロール体 4 巻取コア 5 ゴムロール 6 直流高電圧電源(電界発生手段) 7 除電器 8 対向電極 9 交流式高電圧電源 10 針電極 11 他の直流高電圧電源(電界発生手段) 12 接圧ロール上のアース電極 13 他のアース電極(電界発生手段) 15 表面電位計(電位測定手段) 16 導電性を有する板 17 微小電流測定器(電荷検出手段) 19 印加電圧制御装置(電圧制御手段) 21 接圧ロールを構成する被覆層 22 接圧ロールを構成する導電性ゴム層 23 接圧ロールを構成する金属等からなる導電性軸 24 導線(接地手段) 31 テフロン(登録商標)板 32 ゴムロール 33 金属製の敷板 34 評価フィルム 35 絶縁性シートを10枚積層したフィルム体 41 巻取コアを構成する保護層 42 巻取コアを構成する絶縁性樹脂 43 巻取コアを構成する導電性内層

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】絶縁性シートを接圧ロールで押圧して面圧
    を与えながら巻取コアに巻き取り、絶縁性シートロール
    体を得る絶縁性シートロール体の製造方法であって、前
    記押圧に際し、前記絶縁性シートの両面の間に、摩擦帯
    電を抑制する方向の成分を含む電界を与えることを特徴
    とする絶縁性シートロール体の製造方法。
  2. 【請求項2】前記絶縁性シートと前記接圧ロールとの接
    触で発生する絶縁性シートの摩擦帯電の極性と同一極性
    の電圧を前記巻取コアに印加するとともに前記接圧ロー
    ルを0電位に維持することを特徴とする請求項1記載の
    絶縁性シートロール体の製造方法。
  3. 【請求項3】前記絶縁性シートと前記接圧ロールとの接
    触で発生する絶縁性シートの摩擦帯電の極性と逆極性の
    電圧を前記接圧ロールに印加するとともに前記巻取コア
    を0電位に維持することを特徴とする請求項1記載の絶
    縁性シートロール体の製造方法。
  4. 【請求項4】絶縁性シートを巻取る巻取コアと、絶縁性
    シートを介して前記巻取コアに対して押圧する接圧ロー
    ルと、前記巻取コアと前記接圧ロールとの間を走行する
    前記絶縁性シートの両面の間に摩擦帯電を抑制する方向
    の成分を含む電界を与える電界発生手段を有することを
    特徴とする絶縁性シートロール体の巻取装置。
  5. 【請求項5】前記電界発生手段は、前記絶縁性シートと
    前記接圧ロールとの接触で発生する絶縁性シートの帯電
    極性と同一極性の電圧を前記巻取コアに印加する電圧印
    加手段と、前記接圧ロールを電気的に接地する接地手段
    とを備えたものであることを特徴とする請求項4記載の
    絶縁性シートロール体の巻取装置。
  6. 【請求項6】前記電界発生手段は、前記絶縁性シートと
    前記接圧ロールとの接触で発生する絶縁性シートの帯電
    極性と逆極性の電圧を前記接圧ロールに印加する電圧印
    加手段と、前記巻取コアを電気的に接地する接地手段と
    を備えたものであることを特徴とする請求項4記載の絶
    縁性シートロール体の巻取装置。
  7. 【請求項7】前記電界発生手段は、絶縁性シートロール
    体の表面電位を測定する電位測定手段と、前記電圧印加
    手段が印加する電圧を制御する電圧制御手段とを備えた
    ものであることを特徴とする請求項4から6のいずれか
    に記載の絶縁性シートロール体の巻取装置。
  8. 【請求項8】前記電界発生手段は、前記接圧ロールに発
    生する電荷を検出する電荷検出手段と、前記電圧印加手
    段が印加する電圧を制御する電圧制御手段とを備えたも
    のであることを特徴とする請求項4から6のいずれかに
    記載の絶縁性シートロール体の巻取装置。
  9. 【請求項9】前記接圧ロールおよび/または巻取コア
    は、金属、樹脂、合成ゴムおよび繊維強化プラスチック
    スのうちいずれか1つ以上を含む積層構造体を表面に有
    するものであって、前記積層構造体の少なくとも1層が
    導電性物質からなることを特徴とする請求項4から8の
    いずれかに記載の絶縁性シートロール体の巻取装置。
  10. 【請求項10】請求項1から3のいずれかに記載の絶縁
    性シートロール体の製造方法により製造された、表面電
    位の絶対値が2kV以内であることを特徴とする絶縁性
    シートロール体。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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