JP3455984B2 - 帯電走行体の除電方法 - Google Patents

帯電走行体の除電方法

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JP3455984B2 JP02534593A JP2534593A JP3455984B2 JP 3455984 B2 JP3455984 B2 JP 3455984B2 JP 02534593 A JP02534593 A JP 02534593A JP 2534593 A JP2534593 A JP 2534593A JP 3455984 B2 JP3455984 B2 JP 3455984B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、連続的に生産・加工さ
れるプラスチックフィルム、紙などのウェブ状走行体や
静電複写機に使用される複写紙などの帯電走行体の除電
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】プラスチックフィルムや紙などの絶縁物
は、搬送ロール等による搬送に伴う摩擦によって走行中
に帯電しやすく、帯電すると巻き取ったとき等にシワを
生じたり、放電したりして製品の品質を低下させると共
に安全上の問題もあった。また、帯電した状態で巻き取
られたロール状のフィルムや紙を、使用や加工のために
巻き戻すと、剥離の際に放電したり巻戻工程中にフィル
ムや紙が蛇行するなど種々の問題が発生する。
【0003】さらに、静電複写機においては、複写プロ
セスで紙が帯電し、帯電した紙の除電をうまく行わない
と、搬送ロールに紙が吸着したり紙相互が吸着したりす
るなどの問題が生じていた。これらの帯電に伴う問題を
解決するため、従来から、アースされた細いブラシ状の
導電物を除電対象である帯電体に接近させ、ブラシの先
端でコロナ放電を発生させて除電する自己放電式除電器
や、針状電極に高圧の商用周波数交流電圧や直流電圧を
印加してコロナ放電を発生させて除電する電圧印加式除
電器が使用されていた。
【0004】さらに、特開昭63−301495号公報に開示さ
れた高周波除電器では、高速で走行するウェブ状走行体
の除電のために、除電対象の走行体を挟む両側に針状電
極とアースロールを設け、針状電極に高周波電圧を印加
して走行体を除電していた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、コロナ放電
を利用した従来の除電器の除電原理は、前記した自己放
電式や電圧印加式にかかわらず、電極におけるコロナ放
電によって正,負のイオンを発生させ、帯電体が持つ静
電気の極性と逆極性のイオンを帯電体の電界で引き寄せ
て、帯電体の静電気を中和するものである。
【0006】しかし、帯電体に生ずる帯電むら、すなわ
ち、帯電体に細かいピッチで生ずる正,負の繰り返し両
極性パターンである両極性帯電や微小な放電痕において
は、帯電体の電界が非常に弱かったり、その電界が帯電
体の表面で閉じているため、必要なイオンを引き寄せる
ことができず、除電ができないという問題があった。一
方、前記特開昭63−301495号公報に開示された高周波除
電器では、上記微小帯電の一部は除電できるが、除電機
構が未解明のため、適切な除電条件が確立していない。
このため、帯電体の除電が不安定で、完全な除電が行え
なかったり、逆に新たな放電痕を発生してしまう等の問
題があった。
【0007】本発明の目的は、上記の問題点を解決し、
細かいピッチの両極性帯電や微小な放電痕までも除電で
きる帯電走行体の除電方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段及び作用】本発明者らは、
上記した帯電体の除電について鋭意検討を重ねた結果、
細かいピッチの両極性帯電や微小な放電痕に対する除電
機構を解明し、本発明をなすに到ったものである。すな
わち、本発明によれば上記目的を達成するため、ウェブ
状の帯電走行体の片側に非接触状態で設けた放電電極に
交流電圧を印加し、前記帯電走行体の反対側に設けた
属電極または表面に誘電体層を有する金属電極からなる
アース電極との間でコロナ放電を発生させて前記帯電走
行体を除電する帯電走行体の除電方法において、前記放
電電極と前記アース電極とを結ぶ最短経路上で測定した
ときの、該放電電極と前記帯電走行体との間の距離をd
1(mm)、該帯電走行体と前記アース電極との間に介在す
る空気層の厚さをd 2 (mm)、表面に誘電体層を有する金
属電極からなる前記アース電極を用いる場合の前記誘電
体層の厚さをd 3(mm)、該誘電体層の比誘電率をεとし
たときに、 8≦d1+d2+d3/ε≦25 1≦d2+d3/ε≦5 の範囲となるように、該放電電極,前記帯電走行体およ
び前記アース電極の位置関係ならびに前記誘電体層の厚
さおよび材質を調整するとともに、前記帯電走行体の走
行速度をV(m/min.)、交流電圧半周期の印加によっ
て静止物体を除電できる除電幅をW(mm)とするとき、 f0=(1000・V)/(60・W) で求められる周波数f0の1〜10倍の周波数の交流電圧
を前記放電電極に印加して除電する方法としたものであ
る。
【0009】ここで、アース電極を前記帯電走行体と直
接接触状態で設けるときは、放電電極はアース電極の直
上に配置しない(d 2 >0,d 3 =0)。放電電極をアー
ス電極の直上に配置すると、コロナ放電に伴って発生す
るイオンが激しく帯電走行体に衝突し、除電のために好
ましくない。一方、アース電極を誘電体層を介して接触
状態で設ける(d 2 =0)、あるいは、直接(d 3 =0)
または誘電体層を介したアース電極を帯電走行体と非接
触状態(d 2 >0)で設けるときは、放電電極はアース
電極の直上に配置してもよい。
【0010】また、本発明においては、放電電極は、前
記条件を満たすものであれば特に限定はないが、例え
ば、放電電極針を1〜20mmの一定ピッチで配列した針状
電極や直径0.1mm前後のコロナワイヤを張り渡したワイ
ヤ電極を用いることができる。本発明の帯電走行体の除
電方法は、除電対象である帯電走行体の片側に電圧印加
式放電電極を、反対側にアース電極を設け、コロナ放電
によって発生した正,負のイオンを、帯電走行体が発生
する電界ではなく、放電電極とアース電極を結ぶ電界に
よって強制的に帯電走行体に打ち込み、強制充電するこ
とにより微小なピッチを有する両極性帯電や微小な放電
痕を中和するものである。
【0011】したがって、本発明方法においては、好ま
しくは、放電電極は、交流電圧半周期を印加したときの
前記帯電走行体の表面における充電電荷密度を2〜20μ
C/m2とする。さらに好ましくは、前記帯電走行体に
対して前記放電電極と同一側に、該帯電走行体の走行方
向を基準として前記放電電極の上流または/および下流
5〜25mmの範囲に非接触状態でアース電極を増設して
除電する。好ましくは、前記アース電極を、接地された
金属ロールまたは表面を誘電体層で被覆した接地金属ロ
ールとする。
【0012】以下、本発明の除電方法により、除電対象
の帯電走行体を除電する方法を以下に説明する。図1
は、本発明方法に基づいて帯電走行体1を除電する場合
の装置配置を示す構成図で、所定の走行速度で走行する
帯電走行体1の下側にはアースロール2が、上側には放
電電極3が配置され、放電電極3は周波数可変高圧電源
(以下、「高圧電源」という)4に接続されている。
【0013】ここで、帯電走行体1は、図示しない搬送
ロールによって搬送されるプラスチックフィルムや紙な
どの絶縁物からなるウェブ状の走行体である。アースロ
ール2は、アース電極となる金属製のローラで、表面に
誘電体層2aが被覆され、帯電走行体1に対して接触状
(d 2 =0)で配置されている。このアースロール2
は、帯電走行体1に非接触状態(d 2 >0)で配置する
ときには誘電体層2aを使用することなく直接(d 3
0)あるいは誘電体層を介して、かつ、放電電極を直上
に配置して、一方、直接接触状態で配置するときには放
電電極を走行方向下流近傍に配置して(d 2 >0,d 3
0)、それぞれ配置される。
【0014】放電電極3は、帯電走行体1に対して非接
触状態で配置され、高圧電源4から印加される交流電圧
によってコロナ放電を発生し、コロナ放電で発生したイ
オンを放電電極3とアースロール2とを結ぶ電界によっ
て強制的に帯電走行体1に打ち込んで強制充電する。こ
れにより、帯電走行体1は、微小なピッチを有する両極
性帯電や微小な放電痕が中和されて除電される。
【0015】このような放電電極3の一例を、図2及び
図3を参照しつつ説明すると、放電電極3は、芯線30
aを絶縁材30bで被覆した高圧ケーブル30、外周に
電極針31aが突設され、高圧ケーブル30に一定の間
隔で嵌着される複数の導電性リング31、高圧ケーブル
30の外周を複数の導電性リング31とともに覆う絶縁
被覆32、絶縁被覆32の外側から高圧ケーブル30を
支持するホルダ33,33およびホルダ33,33の下
部両側に取り付けられる板状の接地電極34,34を備
えている。
【0016】ここで、各導電性リング31は、電極針3
1aが絶縁被覆32から突出し、接地電極34,34の
間に位置するように、電極針31aを下方に向けて高圧
ケーブル30に嵌着される。また、図示した接地電極3
4は板状であるが、棒状であってもよいことはいうまで
もない。また、高圧電源4は、発振周波数を制御可能な
発振器(図示せず)によって放電電極3に交流電圧を印
加する。
【0017】なお、帯電走行体1は、下流側に配置した
ガイドローラ5に走行が案内され、走行に伴う振動の発
生が抑制される。本発明方法は、高圧電源4から放電電
極3に交流電圧を印加し、コロナ放電で発生したイオン
を放電電極3とアースロール2とを結ぶ電界によって強
制的に帯電走行体1に打ち込んで強制充電する。これに
より、図示しない搬送ロールによって搬送されてくる帯
電走行体1は、微小なピッチを有する両極性帯電や微小
な放電痕が中和されて除電されるのである。
【0018】本発明方法において重要な要素は、放電電
極とアース電極との間の見掛け距離dADおよび帯電走行
体とアース電極との間の見掛け距離dASである。ここ
で、一般的に、誘電体層を介してアース電極を設けた場
合を考え、放電電極とアース電極とを結ぶ最短経路上で
測定したときの、放電電極と帯電走行体との間の距離を
1(mm)、帯電走行体と誘電体層表面との間に介在する
空気の厚さ、すなわち帯電走行体と誘電体層表面との間
の距離をd2(mm)、誘電体層の厚さをd3(mm)、誘電体層
の比誘電率をεとすると、放電電極とアース電極との間
の見掛け距離dAD(mm)は、帯電走行体の厚さをd1,d2,
3に比べて十分小さいとして省略すると、次式で定義
される。なお、誘電体層がない場合(d 3 =0)には、
前記d2は、帯電走行体とアース電極との間に介在する
空気の厚さ(mm) となる。
【0019】dAD=d1+d2+d3/ε この見掛け距離dADは、放電電極とアース電極との間の
放電状態を決める重要な要素で、距離dADが大きいと放
電が発生せず、一方、距離dADが小さいと火花放電を発
生し、安定した放電を行うためには、放電電極とアース
電極との間の見掛け距離dADに制限がある。
【0020】放電電極とアース電極との間の見掛け距離
ADは、放電電極の構造によって異なるが、放電電極に
交流電圧半周期を印加したときの帯電走行体表面におけ
る充電電荷密度を2〜20μC/m2 、好ましくは5〜15
μC/m2 としたときにおいては、8≦dAD≦25(mm)で
あり、さらに好ましくは、8≦dAD≦20(mm)である。一
方、帯電走行体とアース電極との間の見掛け距離d
ASは、前記と同様にして、次式で定義される。
【0021】dAS=d2+d3/ε 以上のように、放電電極に周波数f0 以上の交流電圧を
印加するとともに、放電電極とアース電極との間の見掛
け距離dADおよび帯電走行体とアース電極との間の見掛
け距離dASを定めると、放電電極におけるコロナ放電に
よって発生したイオンはアース電極に向かって移動し、
帯電走行体の表面に充電されて帯電むらを中和する。
【0022】このとき、帯電走行体とアース電極との間
の等価静電容量をC、充電中の帯電走行体の表面電荷を
Qとすると、帯電走行体の表面電位Eは、次式で表され
る。 E=Q/C…(1) ここで、等価静電容量Cは、帯電走行体とアース電極と
の間の見掛け距離dASとほぼ反比例の関係にある。
【0023】したがって、等価静電容量Cが小、すなわ
ち、見掛け距離dASが大で、帯電走行体表面の帯電むら
を十分中和していない状態の表面電荷Qであっても、帯
電走行体の表面電位Eが上昇し、アース電極へ向かって
いた電界が阻止される。この結果、放電電極において発
生したイオンが帯電走行体の表面に到達できず、帯電走
行体表面の帯電むらを完全に中和して除電することがで
きなくなる。
【0024】一方、等価静電容量Cが大、すなわち、見
掛け距離dASが小の場合には、帯電走行体の表面電位E
が上昇せず、過剰なイオンが帯電走行体表面に充電され
ることになる。この結果、帯電走行体が除電部から離
れ、アース電極から遠ざかると、帯電走行体は高電位に
帯電した状態となり、除電という本来の目的が達成され
ないばかりか、帯電走行体表面で放電が生じ、表面に放
電痕を残すことになる。
【0025】このようなことから、前記等価静電容量
C、すなわち、見掛け距離dASは、1≦dAS≦5(mm)で
あることが好ましく、より好ましくは、1≦dAS≦3(m
m)である。なお、帯電走行体は、片側が放電電極から離
れて非接触状態でなければならないが、反対側はアース
電極あるいは誘電体層と接触していても、非接触であっ
てもよい。ここで、帯電走行体とアース電極とを直接接
触させて配置するときは、放電電極はアース電極の直上
に配置しないようにする。
【0026】但し、帯電走行体をアース電極あるいは誘
電体層と非接触で走行させると、走行に伴う振動によっ
て、帯電走行体とアース電極との間の見掛け距離dAS
変化する。このため、前記(1) 式から明らかなように、
帯電走行体の表面電位E、すなわち等価静電容量Cが変
動する結果、帯電走行体の除電効果が変化してしまう。
したがって、見掛け距離dASの変化を抑えて一定に保持
するためには、帯電走行体をローラ等の支持手段を介し
て走行させ、その上方に除電器を設ける。
【0027】この場合、ローラ表面は、金属等の導体で
はなく、ゴム,セラミック等の誘電体で被覆する必要が
ある。このとき、誘電体は、見掛け距離dASが、1≦d
AS≦5(mm)の範囲となるように、材質及び厚さを、誘電
率,表面抵抗および構造から決定する必要がある。ここ
で、除電対象の帯電走行体は、正,負いずれに帯電して
いるか判らず、特に両極性帯電を除電するためには交流
電圧を放電電極に印加する必要がある。この場合、本発
明方法においては、印加する交流電圧の周波数が次に重
要な要素となる。
【0028】すなわち、帯電走行体の走行速度をV(m
/min.)、交流電圧の印加によって静止物体を除電でき
る除電幅をWとする。このとき、次式で求まる周波数f
0 よりも大きな周波数にしないと、帯電走行体の全面を
有効に除電できない。 f0 =(1000・V)/(60・W)…(2) つまり、放電電極に周波数f0 以上の交流電圧を印加す
ることによって、帯電走行体に生じた正,負の繰り返し
両極性パターンからなる両極性帯電や放電痕を中和する
ことができる。この交流電圧は、周波数がf0 以上であ
ればいくらでもよいが、周波数を上げると電源への負荷
が増えるので、通常は、f0 の1〜10倍とする。
【0029】なお、微小なピッチを有する両極性帯電や
微小な放電痕に対しては、放電電極からのイオンを複数
周期充電した方が効果的で、好ましくはf0 の2〜6倍
となるように電源周波数を調整する。ここで、放電電極
に交流電圧の半周期を印加したときに、静止物体を除電
できる除電幅Wは、除電対象の帯電走行体を静止させ、
発振周期を制御可能な発振器によって高圧電源を半周期
だけ作動させた後、帯電走行体の表面に静電複写機で使
用するトナーをふりかけて可視化すれば、容易に測定す
ることができる。除電幅Wは、用いた放電電極の構造や
設置位置によって異なるが、通常、5〜20mm程度であ
る。
【0030】また、本発明方法によって、帯電走行体の
微小帯電むらを除電した場合、帯電走行体に僅かな帯電
が残存することがあるが、この帯電は通常の商用周波数
を用いた交流除電器、あるいは直流除電器等で簡単に除
去することができるので、必要に応じて放電電極の下流
側に除電器等を設置する。さらに、本発明の帯電走行体
の除電方法においては、帯電走行体にイオンを充電する
と、帯電走行体の表面電位が上昇する結果、放電電極と
アース電極間の電界が乱れてコロナ放電が停止する。こ
のため、微小ピッチの帯電むらは除電できても、逆に帯
電走行体がゼロ電位にならず、帯電走行体の走行方向下
流側に従来型タイプの除電器を増設する必要が生じる。
【0031】これに対して、帯電走行体の走行方向を基
準とし、放電電極の少なくとも上流または下流の5〜2
5mmの範囲に、非接触状態でアース電極を増設すると、
コロナ放電が放電電極とアース電極との間に加えて、放
電電極と増設したアース電極との間でも発生する。この
ため、コロナ放電が安定する結果、アース電極を増設し
なかった場合に比べて、放電電極をやや低い電圧で作動
させることができる。
【0032】しかも、帯電走行体にイオンが充電されて
表面電位が上昇し、放電電極とアース電極との間のコロ
ナ放電が停止しても、放電電極と増設したアース電極と
の間のコロナ放電が継続する。このため、継続するコロ
ナ放電によって発生したイオンが帯電走行体の表面電位
に引き寄せられて表面の帯電を中和するので、帯電走行
体は表面電位がほぼゼロ電位となり、下流側に新たな除
電器を設ける必要がないので好ましい。
【0033】なお、放電電極に交流電圧半周期を印加し
たときの帯電走行体の表面における充電電荷密度Dは、
以下のようにして求める。先ず、帯電走行体を静止さ
せ、公知の表面電位計で帯電走行体の表面電位E1を測
定する。次に、発振周波数を制御可能な発振器によって
高圧電源を半周期だけ作動させ、放電電極でコロナ放電
を発生させて帯電走行体にイオンを充電した後、再度帯
電走行体の表面電位E2 を測定する。このとき、帯電走
行体とアース電極との間に介在する空気および誘電体層
の厚さd2,d3(mm) 並びに誘電体層の比誘電率εを併せ
て測定しておくと、充電電荷密度Dは次式で与えられ
る。
【0034】D=|E1−E2|/(d2+d3/ε)
【0035】
【実施例】
実施例1 図1において、帯電走行体1として厚さ7μm、幅200
mmのポリエステルフィルム(東レ(株)製、ルミラ
ー、品番:7YN394)を、アースロール2として表
面にクロムメッキを施した直径200 mmの金属ロール
を、また、放電電極3として、接地電極34,34を外
した図2および図3に示す放電電極3を、それぞれ用
い、帯電走行体1を90m/min.の速度で走行させた。
【0036】なお、除電処理に先立って、ポリエステル
フィルムに静電複写機のトナーをふりかけて帯電状態を
可視化したところ、このフィルム上には製造工程で発生
した約2mmピッチの微小な両極性帯電むらの存在が見
られた。このとき、放電電極3は、図1に示すようにア
ースロール2から僅かに下流側へ偏倚した位置に配置
し、放電電極3と帯電走行体1との間の距離d1を11m
m、放電電極3をアースロール2の直上から僅かに下流
側に偏倚した位置に設けたために生じた、放電電極3と
アースロール2とを結ぶ最短経路上での帯電走行体1と
アースロール2との間のギャップ距離d2 を1mmに設
定した。
【0037】この状態で帯電走行体1を静止させ、高圧
電源4から放電電極3に180 Hzの交流電圧を半周期印
加して除電幅Wを測定したところ17mmであった。した
がって、放電電極に印加すべき周波数を求める前記(2)
式より、 f0 =(1000・V)/(60・W)=(1000・90)/(60・17) =88.2(Hz) となった。
【0038】したがって、周波数f0 の約2倍の180 H
zを電源周波数として高圧電源4をセットし、高圧電源
4から放電電極3に10KVの0−Peak交流電圧を印加
し、帯電走行体1を90m/min.の速度で走行させて除電
処理を行い、除電後の帯電走行体1上に静電複写機のト
ナーをふりかけて可視化することにより除電効果を判定
した。
【0039】その結果、元々ポリエステルフィルム上に
存在した約2mmピッチの微小な両極性帯電むらやその
他の放電痕は見られず、8mmピッチの淡い正,負の帯
電模様が観察された。この淡い正,負の帯電模様は、放
電電極3に印加した交流電圧が180 Hzであり、除電対
象のポリエステルフィルムを90m/min.の速度で走行さ
せたことに起因して、1周期分の充電痕が残ったもので
ある。
【0040】なお、この淡い正,負の帯電模様は、帯電
レベルが低いことから、製品としてのポリエステルフィ
ルムの品質を低下させるものではない。 実施例2 実施例1の放電電極3に接地電極34,34を取り付
け、この放電電極3を実施例1と同じ位置に配置して、
前記ポリエステルフィルムを90m/min.の速度で走行さ
せるとともに、高圧電源4から放電電極3に180 Hz、
9KVの0−Peak交流電圧を印加して除電処理を行い、
前記と同様にして除電効果を判定した。
【0041】その結果、元々ポリエステルフィルム上に
存在した約2mmピッチの微小な両極性帯電むらは観察
されず、しかも、実施例1で発生した淡い正,負の帯電
模様も見られず、ポリエステルフィルムはほぼ完全に除
電されていると判定された。 実施例3 実施例1で使用した直径200 mmの金属ロールに代え、
直径70mmの芯金に厚さ15mm、比誘電率εが約5のN
BR(acrylonitrile-butadiene rubber)を被覆したアー
スロール2を帯電走行体1に接触させて配置するととも
に、接地電極34,34を取り付けた放電電極3を、ア
ースロール2の直上に放電電極3とアースロール2との
距離、すなわち放電電極3と帯電走行体1との間の距離
1 が11mmとなるように配置した。
【0042】このとき、放電電極3とアースロール2と
の間の見掛け距離dADおよび帯電走行体1とアースロー
ル2との間の見掛け距離dASは、それぞれdAD=14m
m、dAS=3(=15/5)mmであった。このような、条
件の下に、実施例1のポリエステルフィルムを60m/mi
n.の速度で走行させるとともに、高圧電源4から放電電
極3に120 Hz、9KVの0−Peak交流電圧を印加して
除電処理を行い、前記と同様にして除電効果を判定し
た。
【0043】その結果、ポリエステルフィルムは、実施
例2の場合と同様に、ほぼ完全に除電されていた。な
お、比較のため、図1において、接地電極34,34を
取り付けた放電電極3を、下流側に120 mm離れ、上記
実施例と同一のポリエステルフィルムからなる帯電走行
体1から20mm離れた点線で示す位置に移動し、帯電走
行体1を90m/min.の速度で走行させるとともに、高圧
電源4から放電電極3に60Hz、9KVの0−Peak交流
電圧を印加したが、帯電走行体1を除電することはでき
なかった。
【0044】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように、本発明の
帯電走行体の除電方法によれば、帯電走行体の除電、特
に、微小ピッチで正,負に帯電した両極性帯電や微小な
放電痕を実用レベルで除電することができるという優れ
た効果を奏する。また、放電電極の少なくとも上流また
は下流の5〜25mmの範囲に、非接触状態で第二アース
電極を設けると、放電電極とアース電極との間のコロナ
放電が停止しても、放電電極と増設した第二アース電極
との間のコロナ放電が継続するので、下流側に新たな除
電器を設けなくとも、除電対象の帯電走行体は表面電位
をほぼゼロ電位に容易に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の帯電走行体の除電方法を説明するもの
で、装置配置を示す構成図である。
【図2】本発明の除電方法に用いる放電電極の一例を一
部断面にして示した正面図である。
【図3】図2に示した放電電極の側面図である。
【符号の説明】
1 帯電走行体 2 アースロール(アース電極) 2a 誘電体層 3 放電電極 4 周波数可変高圧電源 5 ガイドローラ 30 高圧ケーブル 30a 芯線 30b 絶縁材 31 導電性リング 31a 電極針 32 絶縁被覆 33 ホルダ 34 接地電極 d1 放電電極と帯電走行体との間の距離 d2 空気の厚さ(帯電走行体とアース電極
との間に介在する)
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭54−152890(JP,A) 特開 昭60−235845(JP,A) 特開 昭63−301495(JP,A) 特開 昭57−205757(JP,A) 特公 昭39−22099(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H05F 3/04 H05F 3/02

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ウェブ状の帯電走行体の片側に非接触状
    態で設けた放電電極に交流電圧を印加し、前記帯電走行
    体の反対側に設けた金属電極または表面に誘電体層を有
    する金属電極からなるアース電極との間でコロナ放電を
    発生させて前記帯電走行体を除電する帯電走行体の除電
    方法において、 前記放電電極と前記アース電極とを結ぶ最短経路上で測
    定したときの、該放電電極と前記帯電走行体との間の距
    離をd1(mm)、該帯電走行体と前記アース電極との間に
    介在する空気層の厚さをd 2 (mm)、表面に誘電体層を有
    する金属電極からなる前記アース電極を用いる場合の
    記誘電体層の厚さをd 3(mm)、該誘電体層の比誘電率を
    εとしたときに、 8≦d1+d2+d3/ε≦25 1≦d2+d3/ε≦5 の範囲となるように、該放電電極,前記帯電走行体およ
    び前記アース電極の位置関係ならびに前記誘電体層の厚
    さおよび材質を調整するとともに、 前記帯電走行体の走行速度をV(m/min.)、交流電圧
    半周期の印加によって静止物体を除電できる除電幅をW
    (mm)とするとき、 f0=(1000・V)/(60・W) で求められる周波数f0の1〜10倍の周波数の交流電圧
    を前記放電電極に印加して除電することを特徴とする帯
    電走行体の除電方法。
  2. 【請求項2】 前記放電電極は、交流電圧半周期を印加
    したときの前記帯電走行体の表面における充電電荷密度
    を2〜20μC/m2とする、請求項1の帯電走行体の除
    電方法。
  3. 【請求項3】 前記帯電走行体に対して前記放電電極と
    同一側に、該帯電走行体の走行方向を基準として前記放
    電電極の上流または/および下流5〜25mmの範囲に非
    接触状態で第二アース電極を設けて除電する、請求項1
    または2の帯電走行体の除電方法。
  4. 【請求項4】 前記アース電極が、接地された金属ロー
    ルまたは表面を誘電体層で被覆した接地金属ロールであ
    る、請求項1、2または3の帯電走行体の除電方法。
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