JP4904786B2 - 電気絶縁性シートの除電装置、除電方法および製造方法。 - Google Patents

電気絶縁性シートの除電装置、除電方法および製造方法。 Download PDF

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Description

本発明は、電気絶縁性シートの除電装置、除電方法および製造方法に関する。
プラスチックフィルム等の電気絶縁性シートにおける帯電は、シートを加工する工程において所望の加工を阻害することがある。その結果、加工製品の品質が期待通りのものとならない場合がある。例えば、静電気放電に起因するスタチックマークと呼ばれる局所的に強い帯電や放電痕が存在するシートに印刷や被膜剤塗布の加工を施した場合、得られた加工製品は、インクや被膜剤のムラを有するものとなる。コンデンサ用や包装用等の金属被覆フィルムの製造工程においては、真空蒸着やスパッタリング等の被膜加工後に、加工製品にスタチックマークが現れることがある。スタチックマークなどの強い帯電は、静電気力によるフィルムの他部材への密着をもたらし、搬送不良や位置あわせ、カットシートのつきそろえ不良など様々な問題を発生させる原因となる。
かかる問題を回避するために、従来、接地されたブラシ状の導電体を、帯電した電気絶縁性シートに接近させ、ブラシ先端でコロナ放電を発生させて除電する自己放電式除電器や、針状電極に商用周波数の高電圧や直流高電圧を印加してコロナ放電を発生させて除電する交流式や直流式の電圧印加式除電器が使用されている。これら自己放電式の除電器や、電圧印加式除電器においては、コロナ放電によるによるイオンを、電気絶縁性シートの帯電による電界によって引き寄せ、電気絶縁性シートの帯電を中和(除電)するものである。これにより、高い電位に帯電しているシートの電位を下げることが可能とされている。
しかし、電気絶縁性シートにおける帯電は、(シート上での静電気放電などにより)シートの片面、あるいは、両面に、狭いピッチで正極性と負極性の帯電領域が混在していることが多い。特に、シートの両面が帯電している場合、各面が逆極性に帯電していることが多く、これを「両面両極性帯電」と呼ぶ。このような帯電をもつ電気絶縁性シートにおける電界は、シートの内部(厚み方向)や、シートの表面近傍のみに集中する。そのため、電気絶縁性シートから少し離れた位置にある除電器のイオン生成部分(ブラシ先端や針状電極の針先)から十分なイオンを引き寄せられず、このような細かな帯電模様を持つシートに対する除電効果はほとんど得られなかった。
これに対し、電気絶縁性シートを挟んで離間配置されたイオン生成電極とイオン吸引電極とに逆位相の交流電圧を印加することを特徴とする、図1および、図2に示すシートの除電装置1および2が知られている(例えば、特許文献1、および、特許文献2、参照。)。特許文献1や特許文献2の除電装置によれば、電気絶縁性シートSの帯電による電界に依存せず、イオン生成電極1bとイオン吸引電極1dとの間の電界や、イオン生成用電極2bとイオン加速用電極2dとの間の電界、イオン生成用電極2fとイオン加速用電極2hとの電界によって強制的にシートSにイオンを照射するため、帯電模様を持つシートにおいても除電効果が高いとされている。
しかし、特許文献1に開示された図1に示す除電装置1のように、強制的に、シートの片側からイオンを強制的に照射した場合、強制的に照射されたイオンの極性に、シートが帯電し、以下の2つの問題を引き起こす。
(1)強制的に照射されたイオンの極性に、シート電位が上昇する。シートの帯電が、わずか1μC/mオーダーの電荷密度であっても、シートが空中を搬送されている状態であり、シートの片面から一方の極性のイオンを照射するため、シートの接地構造物に対する電位は、数10kV以上に上昇する。これは、接地構造物との距離が大きいほど、シートの静電容量が小さくなり、同じ電荷密度であっても、電位が高くなるためである。このように、シートが空中を搬送されている状態において測定された電位を、以後、架空時電位と呼ぶ。このように、架空時電位が上昇すると、イオンはシートの帯電によってクーロン力による反発力をうけ、イオンのシートへの到達が妨げられる。言い換えると、強制照射によって最初にわずかなイオンがシート上に達しただけで電位(絶対値)が高くなるので、続けて同じ極性のイオンが強制的に照射されてもそれ以上シートが受け止められなくなるのである。すなわち、イオン生成電極で多量のイオンを生成しても、シートへ十分なイオンを照射することができない。照射できるイオンの量はたかだかわずか1μC/m程度である。この値は、一般的に、放電痕などによって両面両極正帯電しているシートにおける、各面の電荷密度よりはるかに小さい。本発明者らの調査では、放電痕などの部位におけるシートの各面の電荷密度は、数10〜数100μC/m程度である。
(2)交流電圧を使用しているため、シートの移動方向に、強制的に照射されたイオンの極性に応じた正負の帯電のムラが生じる。このムラを除去するために、除電装置の下流に、さらに直流および交流の除電器1eおよび1fが必要である場合が少なくない。
また、特許文献1の除電装置においては、イオンが照射されるのは、シートの片面(除電面)のみである。そのため、シートが両面両極性帯電している場合、除電面の逆面(非除電面)に存在する電荷を除電(中和)することができない。これは、絶縁性のシートにおいて、その厚さ方向に(面内方向にもであるが)電荷が容易に移動できないためである。非除電面に電荷が存在していたシート上の部分については、非除電面の帯電は維持されたまま、非除電面の帯電と面内方向の位置が同じ部位の逆面(除電面)に、等量で逆極性のイオンが付着する。これは、照射されたイオンが、シートの表裏(除電面と非除電面)の電荷を区別することなく、クーロン力により引き寄せられるためである。
特許文献1の除電装置による除電によって、最終的に(下流の直流および交流の除電器1eおよび1fを使用した後で)得られるシートは、シートの面内方向の位置が同じ部位の両面の局所的な電荷密度の和(見かけ上の電荷密度)が実質的にゼロとなっている状態のシートである。しかし、実際には、この状態は、電気絶縁性シートの面内方向の位置が同じ部位の両面が等量で逆極性に帯電している状態である。このようなシートの状態を「見かけ上の無帯電」状態と呼び、このような除電を「見かけ上の除電」と呼ぶこととする。
一方、特許文献2に開示された図2に示すような除電装置2においては、両面からイオンを照射している。しかし、特許文献2における除電装置では、両面から同時にではなく、交互にイオンを照射するため、一回毎のイオン照射の際には特許文献1に開示されたものと同様に、(1)や(2)の問題が生じる。また、(1)の問題により、イオン照射量が少ないため両面両極性帯電しているフィルムにおいて、各面の電荷を減少させる能力はほとんどない。そのため、特許文献1に開示された除電装置と同様に、「見かけ上の無帯電」状態以上に除電することはほとんどできない。
一方、正極性の直流電圧を印加した第1のイオン生成電極3aをシートSの片面にシートSから間隔をおいて配置し、負極性の直流電圧を印加した第2のイオン生成電極3cをシートSの反対面にシートSから間隔をおいて配置し、シートの両面に、同時に、逆極性のイオンを照射する図3に示すような除電装置3が知られている(例えば、特許文献3、参照。)。
特許文献3には記載されていないが、本発明者らの知見によると、この除電装置3では、特許文献2に開示された除電装置と異なり、両面から同時に逆極性のイオンを照射するため、上記(1)(2)の問題は生じにくい。すなわち、特許文献3における除電装置では、シートの「架空時電位」は上昇せず、シートへ十分イオンを照射することが出来る。しかし、特許文献3に開示された除電装置3においては、シートSの片面には正イオンのみ、反対面には負イオンのみが照射されるため、例えば、第1の面100が負、第2の面200が正に帯電しているシート上の部位だけに対しては、除電効果が得られても、第1の面100が正、第2の面200が負に帯電しているシート上の部位に対しては除電効果が得られない。また、むしろ、シートSの各面の帯電の極性と、各面に照射されるイオンの極性が同じ場合には、各面の電荷を増加させることもあった。
また、逆極性の交流電圧を印加した一組のイオン生成電極4aおよび4cを、シートSの両面に、シートSから間隔をおいて配置し、シートの両面に、同時に、経時的に極性が変化する逆極性のイオンを照射する、図4に示すような除電装置4が知られている(例えば、特許文献3、特許文献4、参照。)。交流電圧を使用した場合、シートの第1の面100、第2の面200のそれぞれに、一見、正負両極性のイオンが照射されているようであるが、移動するシートの各部を見ると、第1の面100に正イオンが照射され(第2の面200に負イオンが照射され)ている部位と、第1の面100に負イオンが照射され(第2の面200に正イオンが照射され)ている部位とがシートの移動方向に周期的に繰り返されているだけとなる。すなわち、理想的な場合であっても、フィルムの各部位においては、各面から片極性ずつのイオンが照射されているのみである。フィルムの移動方向の各部位で見ると、任意の位置のフィルム表裏の帯電はその極性が逆極性であり、「架空時電位」はほぼゼロであるが、フィルム表裏の各面の付着イオン量を見ると周期的に正負交互に付着、つまり、フィルムの移動方向の各部位で付着イオンの極性も含めてイオンの付着ムラが発生している。これだけでは、各面に正負の帯電が混在しているフィルムを十分除電することはできず、せいぜい「見かけ上の無帯電」にすることしかできなかった。
本発明者らの知見によると、特許文献3においては、シートの各面に配置するイオン生成電極の形態として、同極性の直流電圧を印加される3本のワイヤ電極をシートの移動方向に平行して配置する形態や、交流電圧を印加される1本のワイヤ電極があげられているが、これらはいずれも、フィルムの各部位に、各面から片極性ずつのイオンの照射を行なうにすぎないものであった。
また、特許文献3や特許文献4に開示されたような、逆極性の交流電圧を印加した一組のイオン生成電極をシートSから間隔をおいて配置し、シートの両面に、同時に、経時的に極性が変化する逆極性のイオンを照射する除電装置をシートSの移動方向に複数並設した場合、各除電装置において、フィルムの移動方向の各部位で付着イオンの極性も含めてイオンの付着ムラが発生する。そのため、シートの移動速度、交流電圧の大きさや周波数、各除電装置のシートの移動方向の並設間隔などの条件によっては、シートの各面の各部位におけるイオンの付着ムラが増長されることがあった。一方、逆極性の直流電圧を印加した一組のイオン生成電極を、2枚の重ねられたシートを挟んで配置し、シートの両面に、同時に逆極性のイオンを照射し、シートの貼りあわせを行なう装置が知られている(例えば、特許文献5、参照。)。しかし、このようなシートの貼りあわせ装置においては、それぞれのシートを逆極性に帯電させることを目的としているのみであって、それぞれの面(それぞれのシート)の除電については何ら検討されていなかった。
本発明者らは、このような見かけ上無帯電であるが、各面が帯電している状態の電気絶縁性シートにおいては、その加工時に、シートに金属蒸着や塗布等を行うと、元の帯電模様が再度発現することを確認した(本出願人による特願2004−221441参照)。
例えば、このような見かけ上の無帯電のフィルムに対して、導電性被覆加工である金属蒸着を行なうと、フィルムの蒸着面の電荷に対し、フィルムとの界面である金属蒸着膜表面に、逆極性の電荷が誘導され、界面における電位がゼロとなる。フィルムの非蒸着面には電荷が存在するため、フィルムの非蒸着面の外側近傍には、非蒸着面の電荷による電界が生じ、スタチックマークを発現させる。また、例えば、被膜剤の塗布の場合、導電性ロールである金属ロールをバックアップロールとしてこのロール上で塗布を行うと、フィルムの金属ロールとの接触面の電荷に対し、金属ロール表面に逆極性の電荷が誘導され、接触面における電位がゼロとなる。フィルムの非接触面(塗布面)には電荷が存在するため、塗布面の外側近傍には塗布面の電荷による電界が生じ、塗布ムラをひきおこす。このように、従来技術は、いずれもせいぜい電気絶縁性シートに「見かけ上の除電」を行なうだけであり、真空蒸着やスパッタリング等の被膜加工後のスタチックマークの発生、スベリ不良によるカットシートのつきそろえ不良、またインクや被膜剤のムラ等の問題を解消することができなかった。
特許第2651476号公報 特開2002−313596号公報 特開2004−039421号公報 米国特許第3475652号明細書 米国特許第3892614号明細書 静電気ハンドブック、静電気学会編、オーム社、1998年、p.46
本発明の目的は、上述した従来の技術の上記問題点を解決し、電気絶縁性シートの片面、あるいは、両面に、狭いピッチで混在する正極性と負極性の帯電領域を容易に除去することが出来る除電装置および除電方法を提供することにある。特に、幅広い速度領域において使用できる除電装置及び除電方法を提供する。

上記目的を達成するため、本発明の電気絶縁性シートの除電装置は下記の構成を有する。
すなわち、電気絶縁性シートの移動経路に対し、該シートの移動方向に間隔をおいて設けられた少なくとも個の除電ユニットを有し、該各除電ユニットは、前記シートの第1の面側に配置された第1の電極ユニットと、前記シートの第2の面側に配置された第2の電極ユニットを有し、前記第1の電極ユニットは、第1のイオン生成電極を有し、前記第2の電極ユニットは、前記第1のイオン生成電極と対向して配置された第2のイオン生成電極を有する電気絶縁性シートの除電装置であり、前記各除電ユニットにおいて、前記第1のイオン生成電極と前記第2のイオン生成電極との間に直流のイオン生成電極間電位差が付与されており、すべての前記除電ユニットにおいて、前記シートの移動方向に隣接する前記除電ユニット同士の前記イオン生成電極間電位差が、互いに逆極性であって、前記少なくとも1組の前記除電ユニットの除電ユニット間隔が、前記少なくとも1組の前記除電ユニットのそれぞれの法線方向電極間距離の値の最大値の0.8倍以上、2.0倍以下であることを特徴とする、電気絶縁性シートの除電装置が提供される。
また、本発明の好ましい形態によれば、電気絶縁性シートの移動経路に対し、該シートの移動方向に間隔をおいて設けられた少なくとも個の除電ユニットを有し、該各除電ユニットは、前記シートの第1の面側に配置された第1の電極ユニットと、前記シートの第2の面側に配置された第2の電極ユニットを有し、前記第1の電極ユニットは、第1のイオン生成電極を有し、前記第2の電極ユニットは、前記第1のイオン生成電極と対向して配置された第2のイオン生成電極を有する電気絶縁性シートの除電装置であり、前記各除電ユニットにおいて、前記第1のイオン生成電極と前記第2のイオン生成電極とには、互いに逆極性の直流電圧が印加されることによって直流のイオン生成電極間電位差が付与されており、すべての前記除電ユニットにおいて、前記シートの移動方向に隣接する前記除電ユニット同士の前記イオン生成電極間電位差が、互いに逆極性であって、前記少なくとも1組の前記除電ユニットの除電ユニット間隔が、前記少なくとも1組の前記除電ユニットのそれぞれの法線方向電極間距離の値の最大値の0.8倍以上、2.0倍以下であることを特徴とする、電気絶縁性シートの除電装置が提供される。
また、本発明の好ましい形態によれば、電気絶縁性シートの移動経路に対し、該シートの移動方向に間隔をおいて設けられた少なくとも個の除電ユニットを有し、該各除電ユニットは、前記シートの第1の面側に配置された第1の電極ユニットと、前記シートの第2の面側に配置された第2の電極ユニットを有し、前記第1の電極ユニットは、第1のイオン生成電極を有し、前記第2の電極ユニットは、前記第1のイオン生成電極と対向して配置された第2のイオン生成電極を有する電気絶縁性シートの除電装置であり、前記各除電ユニットにおいて、前記第1のイオン生成電極と前記第2のイオン生成電極とには、いずれか片方に接地電位、他方に直流電圧が印加されること、または、互いに接地電位に対して逆極性の直流電圧が印加されることによって直流のイオン生成電極間電位差が付与されており、すべての前記除電ユニットにおいて、前記シートの移動方向に隣接する前記除電ユニット同士の前記イオン生成電極間電位差が、互いに逆極性であって、前記少なくとも1組の前記除電ユニットの除電ユニット間隔が、前記少なくとも1組の前記除電ユニットのそれぞれの法線方向電極間距離の値の最大値の0.8倍以上、2.0倍以下であることを特徴とする、電気絶縁性シートの除電装置が提供される。
また、本発明の好ましい形態によれば、電気絶縁性シートの移動経路に対し、該シートの移動方向に間隔をおいて設けられた少なくとも個の除電ユニットを有し、該各除電ユニットは、前記シートの第1の面側に配置された第1の電極ユニットと、前記シートの第2の面側に配置された第2の電極ユニットを有し、前記第1の電極ユニットは、第1のイオン生成電極を有し、前記第2の電極ユニットは、前記第1のイオン生成電極と対向して配置された第2のイオン生成電極を有する電気絶縁性シートの除電装置であり、前記各除電ユニットにおいて、所定の共通電位に対し、前記第1のイオン生成電極と前記第2のイオン生成電極には、逆極性の電位が付与されることによって、直流のイオン生成電極間電位差が付与されており、すべての前記除電ユニットにおいて、前記シートの移動方向に隣接する前記除電ユニット同士の前記イオン生成電極間電位差が、互いに逆極性であって、前記少なくとも1組の前記除電ユニットの除電ユニット間隔が、前記少なくとも1組の前記除電ユニットのそれぞれの法線方向電極間距離の値の最大値の0.8倍以上、2.0倍以下であることを特徴とする、電気絶縁性シートの除電装置が提供される。
また、本発明の好ましい形態によれば、電気絶縁性シートの移動経路に対し、該シートの移動方向に間隔をおいて設けられた少なくとも4個の除電ユニットを有し、該各除電ユニットは、前記シートの第1の面側に配置された第1の電極ユニットと、前記シートの第2の面側に配置された第2の電極ユニットを有し、前記第1の電極ユニットは、第1のイオン生成電極を有し、前記第2の電極ユニットは、前記第1のイオン生成電極と対向して配置された第2のイオン生成電極を有する電気絶縁性シートの除電装置であり、前記各除電ユニットにおいて、前記第1のイオン生成電極と前記第2のイオン生成電極とには、互いに逆極性の直流電圧が印加されることによって直流のイオン生成電極間電位差が付与されており、すべての前記除電ユニットにおいて、前記シートの移動方向に隣接する前記除電ユニット同士の前記イオン生成電極間電位差が、互いに逆極性であって、前記シートの移動方向に隣接するイオン生成電極同士によって、針先近傍の電界を相互に強め合うように、前記シートの移動方向に隣接するイオン生成電極を設けたことを特徴とする電気絶縁性シートの除電装置が提供される。
また、本発明の好ましい形態によれば、前記少なくとも1組の前記除電ユニットの除電ユニット間隔が、前記少なくとも1組の前記除電ユニットのそれぞれの法線方向電極間距離の値の最大値の0.8倍以上、2.0倍以下となるように構成されていることを特徴とする電気絶縁性シートの除電装置が提供される。
また、本発明の好ましい形態によれば、前記少なくとも1組の前記除電ユニットの除電ユニット間隔が、前記少なくとも1組の前記除電ユニットのそれぞれの幅寸法の値の平均値の1.0倍以上、1.5倍以下となるように構成されていることを特徴とする電気絶縁性シートの除電装置が提供される。
また、本発明の好ましい形態によれば、前記各除電ユニットの前記イオン生成電極間電位差を付与する電源として、脈動率が5%以下の直流電源を備えていることを特徴とする電気絶縁性シートの除電装置が提供される。
また、本発明の好ましい形態によれば、前記各除電ユニットよりも、前記シートの移動方向の下流側に配置され、接地導電性部材に前記電気絶縁性シートを接触させながら該電気絶縁性シートの前記接地導電性部材とは反対側の表面電位を測定する電位測定手段と、前記電位の測定値に基づいて前記各除電ユニットのうち少なくとも1つにおける前記イオン生成電極間電位差を制御可能な制御手段とを有することを特徴とする電気絶縁性シートの除電装置が提供される。
また、本発明の好ましい形態によれば、前記各除電ユニットのうち、少なくとも前記シートの移動方向の最下流における除電ユニットの前記イオン生成電極間電位差の絶対値が、他の前記除電ユニットの前記イオン生成電極間電位差より小さいことを特徴とする電気絶縁性シートの除電装置が提供される。
また、本発明の好ましい形態によれば、前記各除電ユニットのうち、少なくとも前記シートの移動方向の最下流における除電ユニットの法線方向電極間距離が、他の前記除電ユニットの法線方向電極間距離より大きいことを特徴とする電気絶縁性シートの除電装置が提供される。
また、本発明の好ましい形態によれば、前記各除電ユニットのうち、少なくとも前記シートの移動方向の最下流における除電ユニットの電極ずれ量が、他の除電ユニットの電極ずれ量より大きいことを特徴とする電気絶縁性シートの除電装置が提供される。
また、本発明の好ましい形態によれば、前記各除電ユニットよりも前記シートの移動方向の下流側に、前記シートを挟んで対向して配置された第1の交流イオン生成電極と第2の交流イオン生成電極とを有する交流除電ユニットを、少なくとも一つ有し、前記第1の交流イオン生成電極と、前記第2の交流イオン生成電極との間に交流電位差が付与されていることを特徴とする電気絶縁性シートの除電装置が提供される。
また、本発明の好ましい形態によれば、少なくとも一つの単一の電源から、前記n個の除電ユニットのうち、少なくとも1つの前記除電ユニットの前記第1のイオン生成電極と、前記少なくとも1つの前記除電ユニットと同数の、前記少なくとも1つの前記除電ユニットと異なる前記除電ユニットの前記第2のイオン生成電極とに、正または負の直流電圧が印加されることを特徴とする電気絶縁性シートの除電装置が提供される。
また、本発明の好ましい形態によれば、前記シートの移動方向に対し、m番目(mは、1以上n以下の整数)の前記除電ユニットにおける前記イオン生成電極間電位差の時間的平均値をV[kV]、前記m番目の除電ユニットの法線方向電極間距離をd1-m[mm]、前記m番目の除電ユニットにおける、前記イオン生成電極間電位差の脈動率をy[%]とした場合、
前記各除電ユニットにおいて、|V|/d1-m>0.26であり、かつ、
・ y≦5、および、
(B)|V|<16、かつ、|V|/d1-m<0.35、
で示される(A)、(B)、の少なくとも1つの条件を満たすように、除電装置を動作させて電気絶縁性シートを除電する電気絶縁性シートの除電方法が提供される。
また、本発明の好ましい形態によれば、前記各除電ユニットにおいて、前記第1のイオン生成電極と前記第2のイオン生成電極とには、互いに逆極性の直流電圧が印加されることによって直流のイオン生成電極間電位差が付与されており、前記シートの移動方向に対し、m番目(mは、1以上n以下の整数)の前記除電ユニットにおける前記第1のイオン生成電極と前記第2のイオン生成電極に印加する前記直流電圧の時間的平均値をそれぞれV1−m[kV]、V2−m[kV]、前記m番目の除電ユニットの法線方向電極間距離をd1-m[mm]、前記m番目の除電ユニットにおける前記第1のイオン生成電極に印加する前記直流電圧の脈動率と、前記第2のイオン生成電極に印加する前記直流電圧の脈動率との平均脈動率をx[%]とした場合、
各除電ユニットにおいて、|V1−m−V2−m|/d1-m>0.26であり、かつ、
(A)x≦5、および、
(B)|V1−m|<8、かつ|V2−m|<8、かつ、|V1−m−V2−m|/d1-m<0.35、
で示される(A)、(B)、の少なくとも1つの条件を満たすように、除電装置を動作させて電気絶縁性シートを除電する電気絶縁性シートの除電方法が提供される。
また、本発明の好ましい形態によれば、前記シートの移動方向に対し、m番目(mは、1以上n以下の整数)の前記除電ユニットにおける前記イオン生成電極間電位差の時間的平均値をV[kV]、前記m番目の除電ユニットの法線方向電極間距離をd1-m[mm]、前記m番目の除電ユニットにおける、前記イオン生成電極間電位差の脈動率をy[%]とした場合、
前記各除電ユニットにおいて、|V|/d1-m>0.26であり、かつ、
(A)y≦5、および、
(B)|V|<16、かつ、|V|/d1-m<0.35、
で示される(A)、(B)、の少なくとも1つの条件を満たすように、除電装置を動作させることにより、電気絶縁性シートを製造する除電済み電気絶縁性シートの製造方法が提供される。
また、本発明の好ましい形態によれば、前記m番目の除電ユニットにおける、前記第1のイオン生成電極に印加する電圧と前記第2のイオン生成電極に印加する電圧との和の振れ幅が、前記m番目の除電ユニットにおける、前記イオン生成電極間電位差の時間的平均値の絶対値の0.05倍以上、0.975倍以下であることを特徴とする除電済み電気絶縁性シートの製造方法が提供される。
また、本発明の好ましい形態によれば、前記各除電ユニットにおいて、前記第1のイオン生成電極と前記第2のイオン生成電極とには、互いに逆極性の直流電圧が印加されることによって直流のイオン生成電極間電位差が付与されており、前記シートの移動方向に対し、m番目(mは、1以上n以下の整数)の除電ユニットにおける前記第1のイオン生成電極と前記第2のイオン生成電極に印加する前記直流電圧の時間的平均値をそれぞれV1−m[kV]、V2−m[kV]、前記m番目の除電ユニットの法線方向電極間距離をd1-m[mm]、前記m番目の除電ユニットにおける前記第1のイオン生成電極に印加する前記直流電圧の脈動率と、前記第2のイオン生成電極に印加する前記直流電圧の脈動率との平均脈動率をx[%]とした場合、
各除電ユニットにおいて|V1−m−V2−m|/d1-m>0.26であり、かつ、
(A)x≦5、および、
(B)|V1−m|<8、かつ|V2−m|<8、かつ、|V1−m−V2−m|/d1-m<0.35、
で示される(A)、(B)、の少なくとも1つの条件を満たすように、除電装置を動作させることにより、電気絶縁性シートを製造する除電済み電気絶縁性シートの製造方法が提供される。
本発明が適用される電気絶縁性シートの代表的なものは、プラスチックフィルム、布帛、紙である。シートの形態には、通常、ロール状に巻かれた状態で取り扱われる長尺シートと、通常、多数枚積層された状態で取り扱われる枚葉シートがある。プラスチックフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリイミドフィルム、ポリフェニレンサルファイドフィルム、ナイロンフィルム、アラミドフィルム、ポリエチレンフィルム等がある。一般に、プラスチックフィルムは、他の材料からなるシートに比べ、電気絶縁性が高い。本発明により提供される除電技術は、プラスチックフィルムの除電、特に、フィルム表面に狭いピッチで混在する正極性と負極性の帯電領域の消失に、有効に用いられる。
本発明において、「電気絶縁性シートの移動経路」とは、電気絶縁性シートが除電のために通過する空間をいう。
本発明において、「電気絶縁性シートの法線方向」とは、移動経路を移動中の電気絶縁性シートを重力等の外力の影響を受けなかったものとして幅方向のたるみがない平面とみなし、かつ、電気絶縁性シートの移動に伴うシートの法線方向におけるシートの位置の変動がある場合には、時間的に平均した位置にシートがあるものとしたときの上記平面(以下、仮想平均面という)の法線方向をいう。
本発明において、「幅方向」とは、仮想平均面の面内の方向であって、電気絶縁性シートの移動方向に対して直交する方向をいう。また、「幅方向の各位置」という場合は、除電に実際に寄与する範囲内の各位置を意味することはいうまでもない。
本発明において、「イオン生成電極の先端」とは、イオン生成電極の各部のうち、イオンを生成する電界を形成する部位であって、かつ、上記仮想平均面に最も近い部位をいう。イオン生成電極は、幅方向に延在している場合が多い。この場合、幅方向の各位置において、イオン生成電極の先端が定義される。
例えば、イオン生成電極がシートの幅方向に延在するワイヤで形成されたワイヤ電極の場合は、幅方向の各部における仮想平均面に一番近いワイヤの部位が該当する。イオン生成電極が、幅方向に所定間隔に設けられた電気絶縁性シートの法線方向に延在する針電極の列の場合は、各針の、前記平面に最も近い部位(針先)が、その幅方向位置における「イオン生成電極の先端」である。針先が存在しない幅方向の各位置においては、「イオン生成電極の先端」は、図6Eに示すように、幅方向に所定間隔で設けられた針先同士を結ぶ折れ線8aL上の位置により定義される。折れ線8aLを、イオン生成電極の先端の仮想線と呼ぶ。針先が存在する幅方向の位置においては、イオン生成電極の先端の仮想線上の位置と、針先とは一致する。
本発明において、「第1および第2のイオン生成電極が対向配置される」とは、第1および第2のイオン生成電極がシート移動の経路を挟んで向かい合っていて、かつ、幅方向各位置において、第1のイオン生成電極の先端から、第2のイオン生成電極の先端の位置を含み、仮想平均面に平行な平面に降ろした垂線の足の位置と第2のイオン生成電極の先端の位置との間に、シールド電極などの導体が存在せず、かつ、第2のイオン生成電極の先端から、第1のイオン生成電極の先端の位置を含み、仮想平均面に平行な平面に降ろした垂線の足の位置と第1のイオン生成電極の先端の位置との間に、シールド電極などの導体が存在せず、第1のイオン生成電極の先端と、第2のイオン生成電極の先端との間のシート移動方向における間隔が、法線方向電極間距離の10%以内であることをいう。
本発明において、「イオン」とは、電子、電子を授受した原子、電荷をもった分子、分子クラスター、浮遊粒子等、さまざまな形態の電荷担体をいう。
本発明において、「イオン雲」とは、イオン生成電極で生成されたイオンの集団であって、特定の場所に留まることなく、雲のように、ある空間に広がりながら浮遊するイオンの集団をいう。
本発明において、「イオン生成電極」とは、高電圧の印加によるコロナ放電等によって、電極先端近傍の空間において、イオンを生成する電極をいう。
本発明において、「シールド電極」とは、イオン生成電極近傍に配置され、イオン生成電極との間に適当な電位差を与えることで、イオン生成電極先端でのコロナ放電を補助する電極をいう。
本発明において、「イオン生成電極間電位差」とは、第1のイオン生成電極の電位から第2のイオン生成電極の電位を引いたものとする。また、「直流のイオン生成電極間電位差」とは、イオン生成電極間電位の極性が反転することなく1秒以上継続して同一の極性を維持する、脈動率20%以下の電位差をいう。好ましくは、20秒以上、あるいは、さらに好ましくは、1つのシートの1回の除電操作(たとえば、1巻のシートロールの搬送の最初から最後までを1回の除電操作と考える)の間反転しないように構成する。ただし、ホワイトノイズ等の非周期的なノイズ成分による極性の反転はここでは極性の反転とはしない。イオン生成電極間電位差のある瞬間の直流成分は、その瞬間からみて過去1秒間の電位差の平均値をもって定義する。
m番目の除電ユニットにおけるイオン生成電極間電位差の脈動率yとは、図17Aに示す第1のイオン生成電極への印加電圧波形V1−mと第2のイオン生成電極への印加電圧波形V2−mに対し、図17Bに示すような印加電圧の差分量ΔV[kV]の絶対値の波形における直流成分をP[kV]、周期的な変動成分の振れ幅をPr[kV]とすると、Pr/P=y/100で定義される。
本発明において、「ある除電ユニットにおける「イオン生成電極間電位差」と他の除電ユニットにおける「イオン生成電極間電位差」が逆極性」とは、ある除電ユニットにおける「イオン生成電極間電位差」の極性と、他の除電ユニットにおける「イオン生成電極間電位差」の極性が逆極性であることをいう。
本発明において、「所定の共通電位」とは、高圧電源から各イオン生成電極に接続された電源線の電位の基準となる電位であって、各除電ユニットに共通に定義される電位をいう。一般的には、除電装置近傍の大地やシート製造設備などのフレームの電位を接地点としてこの電位を0[V]とし、所定の共通電位とするが、基準電位が0[V]以外の電位を有する場合は、この電位を「所定の共通電位」という。
本発明において、「帯電模様」とは、電気絶縁性シートの少なくとも一部が、局所的に、正および/または負に帯電している状態をいう。
本発明において、「見かけ上の電荷密度」とは電気絶縁性シートの面内方向の位置が同じ部位の両面の局所的な電荷密度の和をいう。局所的な電荷密度とは、電気絶縁性シートの面上の、直径約6mm以下、より正確には直径2mm以下の範囲で測定した電荷密度をいう。
本発明において、「見かけ上の無帯電」とは、電気絶縁性シートの面内方向の各部において、見かけ上の電荷密度が実質的にゼロ(−2μC/m以上2μC/m以下)になっている状態をいう。
本発明において、電気絶縁性シートの第1の面の「背面平衡電位」とは、第2の面に接地導体を密着させて、電荷を接地導体に誘導させ、これによって、第2の面の電位を実質的にゼロ電位とした状態において、表面電位計の測定プローブを、第1の面との間隔が0.5mm以上2mm以下程度となるように、第1の面に十分近接させた状態で、測定される第1の面の電位をいう。表面電位計の測定プローブとしては、測定開口部直径が、2mm以下の微小なものが用いられる。このようなプローブとして、例えば、モンロー社製プローブ、1017(開口部直径:1.75mm)や1017EH(開口部直径:0.5mm)がある。
本発明において、「電気絶縁性シートの背面(第2の面)を接地導体に密着させる」とは、絶縁シートと金属ロールの界面の間に明確な空気層がない状態にまで、両者をぴったりと接触させることをいう。この状態は、通常、両者間に残存する空気層の平均的な厚さが、シートの厚さの20%以下、かつ、10μm以下となる状態である。
第1の面上の背面平衡電位の分布状態は、表面電位計のプローブ、または、背面(第2の面)に接地導体を密着させた状態のシートのいずれか一方を、XYステージなどの位置調整可能な移動手段を用いて、低速(5mm/秒程度)で移動させながら、背面平衡電位を順次測定し、得られたデータを、1次元もしくは2次元的にマッピングすることによって得られる。第2の面の背面平衡電位も、同様にして、測定される。
本発明において、電気絶縁性シートの「架空時電位」とは、電気絶縁性シートを空中に浮いた状態で測定した電位をいう。接地したアースとの距離に対して、シートの厚みが十分小さいため、電気絶縁性シートの第1の面の帯電と第2の面の帯電の総和における接地点からの電位となる。なお、本発明において、各電位は、特に断らない限り、所定の共通電位は接地点、つまり0[V]とする。
本発明において、m番目の除電ユニットの「法線方向電極間距離d1−m」とは、図6Aに示すように、シートの移動方向の上流からm番目の除電ユニットSUの第1のイオン生成電極5dの先端と第2のイオン生成電極5fの先端との間の、シートの法線方向における距離をいう。なお、以下単に「m番目の除電ユニット」という表現を使う場合、シートの移動方向の上流から数えてm番目(m=1,2,・・・,n)の除電ユニットのことをいう。
本発明において、p番目(p=1,2,・・・,n−1)の除電ユニットとp+1番目の除電ユニットとの「除電ユニット間隔d2−p」とは、図6Bに示す、p番目の除電ユニットSUの、第1のイオン生成電極5dの先端と第2のイオン生成電極5fの先端とを結ぶ線分の中点5xと、p+1番目の除電ユニットSUp+1の、第1のイオン生成電極5dp+1の先端と第2のイオン生成電極5fp+1の先端とを結ぶ線分の中点5xp+1との間のシートの移動方向における間隔をいう。
本発明において、m番目の除電ユニットの「幅寸法W」とは、m番目の除電ユニットの第1の電極ユニットEUdが第1のシールド電極5gを有し、第2の電極ユニットEUfが第2のシールド電極5hを有する場合において、図6Cに示すように、m番目の除電ユニットSUの第1の電極ユニットEUdと第2の電極ユニットEUfを形成する、第1および第2のイオン生成電極5d、5fと、第1および第2のシールド電極5g、5hとの各部を、仮想平均面に垂直に投影した射影図形の、シートの移動方向における最上流の点と、最下流の点との間の、シートの移動方向における距離をいう。
本発明において、除電ユニットの「電極ずれ量d0−m」とは、図6Dに示すように、第m番目の除電ユニットにおける第1のイオン生成電極5dの先端とこれに対向する第2のイオン生成電極5fの先端との間のシートの移動方向における間隔をいう。
本発明において、「直流電源」とは、出力電圧が接地点に対して極性が反転することなく1秒以上継続して同一の極性を維持する、脈動率20%以下の電源をいう。好ましくは、20秒以上、あるいは、さらに好ましくは、1つのシートの1回の除電操作(たとえば、1巻のシートロールの搬送の最初から最後までを1回の除電操作と考える)の間反転しないように構成する。ただし、ホワイトノイズ等の非周期的なノイズ成分による極性の反転はここでは極性の反転とはしない。かかる直流電源のある瞬間の直流成分は、その瞬間からみて過去1秒間の電圧の平均値をもって定義する。なお、一般の化学電池では、イオン生成に充分な電圧を長期的に安定して供給できないので、通常本発明に用いる直流電位差(電圧)の発生源たる直流電源は、例えば、50〜60Hzの周波数の商用電源を整流し、平滑化したものが好ましく用いられる。このような整流化直流電源の場合、出力電圧には電力の供給源である商用電源が交流であることに起因する脈動が大なり小なり含まれている。
「脈動率」がx%の直流電圧とは、電圧の直流成分をV[kV]、周期的な変動成分の振れ幅をVr[kV]とすると、Vr/V=x/100である直流電圧をいう。
また、「実質的に互いに逆極性の、それぞれ時間的に極性が変化しないイオン雲」とは、極性が反転することなく1秒以上継続して同一の極性を維持するイオン雲をいう。直流的イオン雲ともいう。なお、通常、イオン雲の極性は、好ましくは、20秒以上、さらに好ましくは、1回の除電操作(たとえば、1巻のシートロールの搬送の最初から最後までを1回の除電操作と考える)の間反転しないようにする。
本発明において、「単一の電源から電圧を供給する」とは、電源装置の単一の出力端子からイオン生成電極から発生するイオン量に実質的に影響しない程度の電位降下を伴う導電線でイオン生成電極等に電圧を供給することをいう。
本発明によれば、後述の通り、実施例と比較例の対比からも明らかなように、帯電模様やシート表裏に正負の帯電が混在している電気絶縁性シートの帯電を、幅広いシート移動速度範囲において、「見かけ上無帯電」の状態で、かつ、シートの各面の帯電をシートの移動方向に対してムラが少なく、均一に低減することができる。これにより後加工工程における蒸着不良や被膜剤の不均質な分布等の不都合の発生を抑制することが可能である。
以下、本発明の電気絶縁性シートの除電装置の好ましい実施形態例を図面を参照しながら説明する。電気絶縁性シートとしてプラスチックフィルム(以下、単に、フィルムという)を用いる場合を例にとって、説明する。本発明は、これらの例に限られるものではない。
図5は、本発明における除電装置の実施形態例の正面概略図である。この除電装置5はプラスチックフィルムの除電に好ましく用いられる。図5において、ガイドロール5aとガイドロール5bとに、走行するフィルムSが掛け渡されている。ガイドロール5a、および、ガイドロール5bは、それぞれモータ−(図示せず)により、右廻りに回転される。フィルムSは、ガイドロール5a、5bの回転により、矢印5abの方向に、速度u[単位:mm/秒]で連続的に移動する。ガイドロール5aとガイドロール5bとの間には、n個(ただし、nは2以上の整数)の除電ユニットSU、・・・、SUがフィルムSの移動方向(矢印5abの方向)に間隔をおいて設けられ、これらの除電ユニットSU、・・・、SUにより、除電装置5が構成されている。
1番目の除電ユニットSUは、第1の電極ユニットEUdと第2の電極ユニットEUfとからなる。第1の電極ユニットEUdは、フィルムSの第1の面100に向かい、第1の面100に対し間隔をおいて設けられている。第2の電極ユニットEUfは、フィルムSの第2の面200に向かい、第2の面200に対し間隔をおいて設けられている。第1の電極ユニットEUdと第2の電極ユニットEUfとは、フィルムSを挟んで、互いに対向している。
1番目の除電ユニットSUにおいて、第1のイオン生成電極5dと第2のイオン生成電極5fとは、それぞれ互いに逆極性の第1の直流電源5cと第2の直流電源5eに接続されている。また、2番目の除電ユニットSUにおける第1のイオン生成電極5dは、1番目の除電ユニットSUにおける第1のイオン生成電極5dとは逆極性の第2の直流電源5eに接続され、2番目の除電ユニットSUにおける第2のイオン生成電極5fは、2番目の除電ユニットSUにおける第1のイオン生成電極5dとは逆極性の第1の直流電源5cに接続されている。従って、1番目の除電ユニットSUにおける第2のイオン生成電極5fと、2番目の除電ユニットSUにおける第2のイオン生成電極5fとは、互いに逆極性の直流電源(5eおよび5c)に接続され、イオン生成電極間電位差を有している。
mを1以上n以下の整数とするとき、m番目の除電ユニットSUは、1番目の除電ユニットSUと同様に、第1のイオン生成電極5dを有しフィルムSの第1の面100に向かう第1の電極ユニットEUdと、第2のイオン生成電極5fを有しフィルムSの第2の面200に向かう第2の電極ユニットEUfとからなる。第1の電極ユニットEUdと、第2の電極ユニットEUfとは、それぞれフィルムSに対し間隔をおいて設けられ、フィルムSを挟んで互いに対向している。
各除電ユニットSUにおいて、第1のイオン生成電極5dと第2のイオン生成電極5fとは互いに逆極性の直流電源に接続され、隣接するp番目とp+1番目の除電ユニット(但しpは1以上n−1以下の整数とする)において、p番目の除電ユニットSUにおける第1のイオン生成電極5dと、p+1番目の除電ユニットSUp+1における第1のイオン生成電極5dp+1とは互いに逆極性の直流電源に接続され、p番目の除電ユニットSUにおける第2のイオン生成電極5fと、p+1番目の除電ユニットSUp+1における第2のイオン生成電極5fp+1とは互いに逆極性の直流電源に接続されている。
次に、除電装置5における除電ユニットSU(但し、mは1以上n以下の整数)の構成が、図6Aに基づき説明される。
第1の電極ユニットEUdは、図6Aに示すように、第1のイオン生成電極5dと、第1のイオン生成電極に対する開口部SOgを有する第1のシールド電極5gとを有している。第2の電極ユニットEUfは、第2のイオン生成電極5fと、第2のイオン生成電極に対する開口部SOhを有する第2のシールド電極5hとを有している。第1のシールド電極5gの開口部SOgは、第1のイオン生成電極5dの先端部近傍にフィルムSに向かって開口し、第2のシールド電極5hの開口部SOhは、第2のイオン生成電極5fの先端部近傍にフィルムSに向かって開口している。従って、第1および第2のシールド電極5g、5hは、第1および第2のイオン生成電極5d、5fとの間に適切な電位差が与えられたときに、それぞれのイオン生成電極5d、5fにおける放電を助ける機能を有する。第1のイオン生成電極5dと第2のイオン生成電極5fとは、フィルムSを挟んで、互いに対向している。
次に、除電装置5における除電ユニットSUの動作を図7、8に基づき説明する。この説明は、1番目の除電ユニットSUと、2番目の除電ユニットSUとを代表させて行なわれる。図7、8は、本発明の一実施形態の除電ユニットの機能に関する概略説明図である。図7では、注目しているフィルムの移動方向におけるフィルム面上の部位が1番目の除電ユニットSU1の各イオン生成電極5dおよび5fの間にある状況を示しており、図8は、この注目しているフィルム面上の部位が移動し、2番目の除電ユニットSUの各イオン生成電極5dおよび5fの間にきた状況を示している。
図7の様に、フィルム上の注目している部位が、正電圧を印加された第1のイオン生成電極5dと、負電圧を印加された第2のイオン生成電極5fとの間を通過する時点について考える。第1のイオン生成電極5dによってフィルムSの第1の面100に正のイオン301が、第2のイオン生成電極5fによって第2の面200に負のイオン302が同時に、強制的に照射されると、フィルムSの第1の面100には正イオン301が、第2の面200には負イオン302が付着する。このとき、フィルムSの近傍において、正イオン301と負イオン302とは、フィルムS上に負の静電荷102や正の静電荷201があると、クーロン力700によって、負の静電荷102、および、正の静電荷201に、より多く、選択的に引き寄せられる。従って、フィルムSの第1の面の負の静電荷102と第2の面の正の静電荷201を減ずることができる。フィルムSの第1の面と第2の面とに逆極性のイオンが同時に、強制的に、照射されるため、フィルムの電位(架空時電位)はほぼゼロとなり、見かけ上の無帯電状態も達成される(背景技術の欄で述べた、特許文献1や特許文献2の除電装置のように、下流に別途帯電のムラを除電するための除電器は多くの場合、必要ない)。
このように、フィルムの両面に、正負のイオンを同時に、強制的に照射するために、第1および第2のイオン生成電極間の平均電界強度|V|/d1−1が0.26より大きくなるように、第1および第2のイオン生成電極間に電位差を付与することが好ましい。(ただし、法線方向電極間距離をd1-1[mm]、イオン生成電極間電位差の時間的平均値をV[kV]とする)。これは、第1および第2のイオン生成電極間の平均電界強度がこれ以上であれば、フィルムSに強制的な照射がおこるためである。このことを、本発明者らは、放電電流の増加によって確認した。すなわち、第1および第2のイオン生成電極間の平均電界強度が0.26以上の時、2つのイオン生成電極5d、5fを対向させず、それぞれを単独で使用した場合に比べて、放電電流が増加することを発見し、この電流の増加が、フィルムSへのイオンの強制照射の目安となることを見出したのである(本出願人による特願2004−221441参照)。
ここで、第1のイオン生成電極5dによって生成される正イオン301の量と、第2のイオン生成電極5fによって生成される負イオン302の量とは必ずしも等量である必要はない。これは、例えば正イオン301の生成量が多い場合、フィルムに正イオンが多く付着して、一旦フィルム電位が(正極性に)上昇しても、この上昇した電位によって、負イオン302の付着が促進され、同時に、さらなる正イオン301の付着が抑制されるためである。したがって、第1のイオン生成電極と第2のイオン生成電極とにより生成されるイオンの量に50〜200%程度の差があっても、正および負イオンが安定に生成されていれば、フィルムの第1の面と第2の面とに付着するイオンの量はほぼ等しくなり、見かけ上の無帯電状態となるのである。
また、このように、除電の最中に架空時電位が上昇することがないため、フィルムへのイオンの到達を妨げるはたらきが生じない。そのため、フィルムの各面に照射できるイオンの量は、絶対値で30〜100μC/m程度に達する。これにより、特許文献1や2に開示された技術では達成することが出来なかったフィルムSの各面の電荷の大幅な低減が可能である。
次いで、図8の様に、フィルムが移動して、フィルム上の注目している部位が負電圧を印加された第1のイオン生成電極5dと、正電圧を印加された第2のイオン生成電極5fとの間を通過する時点について考える。第1のイオン生成電極5dによってフィルムSの第1の面100に負イオン302が、正電圧を印加された第2のイオン生成電極5fによって第2の面200に正イオン301が同時に照射されると、フィルムSの第1の面100には負イオン302が、第2の面200には正イオン301が付着する。先ほどの場合同様に、負イオン302と、正イオン301とは、フィルムSの近傍においてクーロン力700の影響をうけ、フィルムSの第1の面の正の静電荷101と第2の面の負の静電荷202にひきよせられ、これらを除電する。
このように、フィルムSの各面から、互いに正負逆極性のイオンを同時に強制的に照射し、その後、先の照射とは極性が反転したイオンを同時に強制的に照射することにより、特許文献3に開示された技術では達成することができなかった、フィルムSの各面における、正負両極性の電荷の低減が可能である。フィルムSの各面における、正負両極性の電荷を、効率よく除電するためには、各面に照射される、正負それぞれの極性のイオンの量を実質的に等しくすることが重要である。ここで、各面に照射される、正負それぞれの極性のイオンの量が等しいことが最も好ましいが、少なくとも、各面に照射される、正負それぞれの極性のイオンの量が、各面に照射される、全照射イオンの量の1/4以上であれば、各面に照射される、全照射イオンの半分以上のイオンが正負両極性の電荷の低減に寄与することになるので、実質的に等しいといえる。
本発明者らは、本出願人による特願2004−221441において、このようにイオンを照射する方法として、上記にあげた直流電圧を印加することによって、第1と第2のイオン生成電極間に直流のイオン生成電極間電位差を付与する方法の他に、各除電ユニットの第1のイオン生成電極5d〜5dと、各除電ユニットの第2のイオン生成電極5f〜5fとに逆極性の交流電圧を印加し、いうなれば、各除電ユニットにおいて、第1と第2のイオン生成電極間に交流のイオン生成電極間電位差を付与することで、時系列的に変化する正負イオン301、302の雲対を、フィルムに照射する方法を提案した。なお、交流電圧を印加する場合も、除電ユニット一つだけでは、特許文献3、および、特許文献4について述べたのと同様に、高速で移動するシートの各部について、各面に、片極性ずつのイオンがシートの移動方向に周期的に照射されるだけであり、正負が混在した帯電を除電することはできない。従って、交流電圧を印加する場合においても、2以上の除電ユニットが必要となる。しかし、除電ユニット数が2の場合と、3以上の除電ユニットを等しい除電ユニット間隔で配置した場合、以下に説明するとおり、特定の移動速度において、除電能力が低下する現象が生じる。
すなわち、各除電ユニットの第1のイオン生成電極5d〜5dへ印加する交流電圧の位相が同じ場合、特定の速度において、全ての除電ユニットからフィルムの第1の面に正極性のイオンが照射され(フィルムの第2の面に負極性のイオンが照射され)る部位と、全ての除電ユニットからフィルムの第1の面に負極性のイオンが照射され(フィルムの第2の面に正極性のイオンが照射され)る部位とがフィルム上に、フィルムの移動方向に対して周期的に生じる状態が発生する。この状態を同期重畳状態と呼ぶ。これは、印加する交流電圧の周波数をf[Hz]、全ての除電ユニット間隔d2−1〜d2−(n−1)をd20[mm]とすると、移動速度u[mm/sec]が、au=d20・f(但しaは自然数)を満たす速度u[mm/sec]でおこる。
同期重畳状態では、以下の二つの問題が生じる場合がある。
(1)イオン照射がフィルム上の各部位において片極性に偏るため、その極性の電荷の除電が困難
(2)除電ユニット一つ当たりから生じる正負イオンの付着ムラが各除電ユニットごとに同極性で重ねあわせられるため、各面の帯電量を増加させてしまう(但し、両面の帯電極性は逆極性であるため、フィルムは「見かけ上無帯電」の状態である)。
また、交流電圧を印加した場合、電圧がゼロとなる時刻(消弧点)前後では生成されるイオンの量は、ゼロまたはごく少ない。従って、bu=2d20・f(但しbは自然数)を満たす速度u[mm/sec]においては、次の問題が生じる。
(3)フィルム上に、いずれの除電ユニットからも照射されるイオンの量が少ない部位が生じる。
なお、bが偶数の場合は同期重畳を意味し、イオン照射量が多い部分では上記の(1)および(2)の問題が、イオン照射量が少ない部分では(3)の問題が、生じる。一方、bが奇数の場合は、反同期重畳といえる状態で、(1)(2)の問題は生じず、正イオン、負イオンとも照射量が多い部分と、(3)の正イオン、負イオンとも照射量が少ない部分とが、フィルム上に、フィルムの移動方向に対してu/2f[mm]周期で生じることになる。正イオン、負イオンとも照射量が多い部分は除電能力が高く問題はないが、正イオン、負イオンとも照射量が少ない部分は除電能力が低い。このような除電装置で除電を行った場合、装置全体の除電能力は、フィルム上にu/2f[mm]周期で現れる、除電能力の低い部分が律速となり、低いものとなってしまう。
対象とする工程における、フィルムの移動速度が一定もしくは狭い範囲に限られる場合、使用する移動速度範囲内に、上記の問題(同期重畳および反同期重畳)が発生する速度が含まれないように、除電ユニット間隔d20や、印加電圧の周波数fを選ぶことが可能である。しかし、フィルムのスリットなど、巻き返しを含むような工程では、フィルムの移動速度がゼロから高速、例えば数100m/分程度まで大きく変化する。このような工程において、使用する全ての速度において特異点となる速度を含まないように、除電ユニット間隔d20や、印加電圧の周波数fを選ぶのは、実用的な範囲の寸法においては非常に困難な場合がある。
本出願人が特願2005−20933号で提案したように、各除電ユニットごとに印加する交流電圧の位相や周波数をかえたり、除電ユニット間隔d2−1〜d2−(n−1)をかえる等により、完全な同期重畳を避けることは可能である。しかし、本発明者らの知見によると、完全な同期重畳状態をさけたとしても、使用する速度に依存することなく、正負のイオン照射量(回数)を完全にバランスさせることは、これらを行っても容易ではない(速度に依存して、正負のイオン照射量(回数)バランスの悪い状態が生じる)。使用する速度範囲が広くなるほど、使用する速度範囲の全てで正負のイオン照射量バランスを良好に保つことは、困難である。
このように、フィルムの移動速度が大きく変化する系において、各除電ユニットの第1と第2のイオン生成電極に逆極性の交流電圧を印加することで、第1と第2のイオン生成電極間に交流のイオン生成電極間電位差を付与した場合には除電の能力や、各面の帯電のムラ(但し見かけ上は無帯電で帯電のムラはない)等の問題を完全に解消することはできず好ましくない。
従って、特にフィルムの移動速度が大きく変化する系においては、各除電ユニットの第1のイオン生成電極と第2のイオン生成電極との間に直流のイオン生成電極間電位差を付与することが重要である。また、直流のイオン生成電極間電位差を付与すると、交流のイオン生成電極間電位差を付与する場合においてフィルムの移動速度に応じて必要となる、除電ユニット間隔d2−1〜d2−(n−1)等の設計変更は不要であって、汎用速度で簡便に使用できる除電装置を容易に構成でき、特に好ましい。
ここで、イオン生成電極間電位差は脈動率が5%以下の直流電位差となるように付与することが好ましい。これは、イオン生成電極間電位差にある程度以上の脈動があると、その部分でイオン生成量、及び、フィルムに照射されるイオン量に時間的にムラが生じるためである。この場合、交流のイオン生成電極間電位差を付与した場合と同様の問題、すなわちイオンの過剰な付着ムラによる帯電や、正イオン、負イオンとも付着量が少ない部分の発生等が、フィルム速度に依存して、フィルムの移動方向に生じる。この問題に関し、本発明者らは、フィルムを挟んで対向するイオン生成電極間に強い電界をかけてイオンを強制照射する本発明の構成においては、対向するイオン生成電極間の電界がわずかに変化すると、フィルムに照射されるイオン量に大きな変化が生じることを見いだした。これは、以下が原因と考えられる。
(1)イオン生成量が、先行するイオンの影響をうける。すなわち、イオン生成電極間電位差の絶対値がわずかに低下し、対向するイオン生成電極間の電界がわずかに弱まると、電極先端近傍に存在する、先行のイオンがつくる空間電界の影響によって、大幅にイオン生成量が低下する。
(2)フィルムを挟んで対向するイオン生成電極間に強い電界をかけてイオンを強制的に照射するため、イオンがあまり拡散せず、イオン生成電極間の電界によるドリフトによって、イオンがフィルムに照射される。従って、イオンの生成量の変動が、ほぼそのままイオンのフィルムへの照射量の変動となる。
本発明者らは、各除電ユニットにおいて、イオン生成電極間の電位差の時間的平均値の絶対値に対して、脈動率が5%以上になると、イオンの生成量の時間的変動に起因する、フィルムの移動方向における帯電量のムラが、脈動率の値以上の大きなものとなってしまうことを見いだした。従って、イオン生成電極間の電位差の時間的平均値の絶対値に対して、脈動率が5%以下で使用するのが好ましい。特に、脈動率が1%以下の場合には、移動するシートの位置によるイオンの付着量のムラが実質的にゼロとみなせ、特に好ましい。
また、法線方向電極間距離をd1-m[mm]とするとき、イオン生成電極間電位差の時間的平均値V[kV]の絶対値が16kVより小さく、かつ、第1のイオン生成電極の先端と第2のイオン生成電極の先端の間の平均電界強度|V|/d1-mが0.35[kV/mm]より小さい場合は、イオン生成電極間電位差の脈動率yが20%以下であれば、イオンの付着ムラは小さい。これは、第1および第2のイオン生成電極間の平均電界強度|V|/d1-mが、0.35より小さい場合、平均電界強度に依存したイオンのドリフトが十分大きくないため、イオンの拡散の影響が相対的に大きく、脈動率yの変動によりイオンの生成量に多少の変動があっても、イオンの付着ムラが相対的に小さくなるためと考えられる。ただし、イオン生成電極間電位差の時間的平均値の絶対値が16kV以上となると、イオン生成電極先端近傍の空間イオンの影響が顕著にあらわれるため好ましくない。脈動率yが20%以上では、イオンの付着ムラはyの2倍程度以上にもなるため、好ましくない。
ただし、イオン生成電極間の電界を小さくする方法や、イオン生成電極間電位差の時間平均値の絶対値を小さくする方法では、イオン照射ムラを小さくすることは可能だが、同時に、イオンの照射量自体も少なくなってしまう。従って、|V|/d1-m≧0.35において、脈動率5%以下の直流電位差を付与することが好ましい。
ここで、第1および第2のイオン生成電極間の電界強度|V|/d1-mの上限は、火花放電への移行により決まる(例えば、非特許文献1、参照)。非特許文献1によれば、負コロナの火花電圧、すなわち、負直流電圧印加時の負コロナ放電が火花放電に移行する電圧の絶対値V[単位:kV]は、電極間距離d[単位:mm]に比例し、約1.5dである。一方、正コロナ火花電圧、すなわち、正直流電圧印加時の正コロナ放電が火花放電に移行する電圧は、Vの約1/2、すなわち0.75dである。これらより、|V|/d1-m≧1.5であれば、正負いずれの印加電圧においても、イオン生成電極同士の間での火花放電を抑制することができる。イオン生成電極近傍にシールド電極が配置される構成の場合は、イオン生成電極とシールド電極との間でも火花放電が発生しない範囲で電圧を選べばよい。
このように、第1のイオン生成電極と第2のイオン生成電極との間に直流のイオン生成電極間電位差を付与する方法としては、本実施の形態のように、第1と第2のイオン生成電極に接地電位に対して逆極性の直流電圧を印加する方法の他に、第1と第2のイオン生成電極に、接地電位に対して同極性の異なる値の直流電圧を印加する方法や、第1または第2のいずれか一方のイオン生成電極の電位を接地電位として、他方のイオン生成電極にのみ直流電圧を印加する方法があげられる。また、これらの直流電圧に、同位相の交流電圧を重畳した電圧を印加する方法があげられる。
ただし、第1と第2のイオン生成電極とに接地電位に対して同極性の直流電圧を印加する場合、印加電圧の絶対値が小さい側の電極においては、イオン生成電極において、印加電圧と逆極性のイオンを生成することとなる。すなわち、イオン生成電極にかかる電圧の極性とイオン生成電極に流れる電流の方向が不一致となるため、四象限型電源または吸い込み型電源(例えば、TRek株式会社製交直両用高圧アンプリファイアMODEL20/20Bなど)と呼ばれる電源を使用する必要が生じる。第1と第2のイオン生成電極に同位相の交流電圧を重畳した直流電圧を印加する場合にも同様の問題が起こり得るため、この場合も電源を選ぶ必要がある。
また、イオン生成電極の近傍に、イオン生成電極との間に適当な電位差を与えることで、イオン生成電極先端でのコロナ放電を補助するためのシールド電極を配設する場合、イオン生成電極の、対向するイオン生成電極に対する電位差の極性と、シールド電極に対する電位差の極性とが逆極性になると、イオン生成が促進されると同時にイオン生成が抑制されることとなる。これは例えば、第1のイオン生成電極5dの電位が+10kV、第2のイオン生成電極5fの電位が+20kV、第1と第2のシールド電極5g、5hの電位が0kVの場合などである。この場合、第2のイオン生成電極については、対向する(第1の)イオン生成電極に対する電位差が+10kV、(第2の)シールド電極に対する電位差が+20kVで極性が一致するが、第1のイオン生成電極については、対向する(第2の)イオン生成電極に対する電位差が−10kV、(第1の)シールド電極に対する電位差が+10kVで極性が不一致となり、第1のイオン生成電極におけるイオンの生成が抑制される。この場合、ごくわずかではあるが、第1のイオン生成電極から照射される正イオンの方が、第2のイオン生成電極から照射される負イオンより多く、フィルム全体として正に帯電することがある。
このように、第1および/または第2のイオン生成電極の近傍にシールド電極を配設する場合には、シールド電極の電位は、第1と第2のイオン生成電極の電位の中間の電位となるようにするのが好ましい。特に、イオン生成電極とシールド電極との間での火花放電を避けるために、シールド電極の電位は、第1と第2のイオン生成電極電位の平均(上記例では+15kV)とするのが好ましい。
一方、シールド電極を使用する場合には、装置の簡便化や、搬送ロールなどの周辺の接地構造物との間の電界発生をさける(放電を防止する)ためや、近傍での作業者の安全などの観点から、シールド電極は接地電位とすることが好ましい。従って、接地電位に対する絶対値がほぼ等しい逆極性の直流電圧を第1および第2のイオン生成電極に印加し、シールド電極を接地電位とする構成が、シールド電極を使用する場合の好ましい構成である。この構成においては、イオン生成電極にかかる電圧の極性とイオン生成電極に流れる電流の方向も一致するので、先に挙げた四象限型電源などの特別な電源は必要でなくなり、一般的な高圧電源を使用できるため、この点からも好ましい。
このように、第1および第2のイオン生成電極に接地電位に対して逆極性の直流電圧を印加する場合、使用する直流電源は最大定格出力電圧に対して、脈動率5%以下であることが好ましい。より好ましくは1%以下である。または、直流電源自体の電圧出力仕様が最大定格出力電圧に対して、脈動率5%を超えていたとしても、使用する電圧に対する脈動率が5%以下になるような電圧設定で使用することが好ましく、より好ましくは、1%以下である。
これは、第1のイオン生成電極に印加する直流電圧の脈動率x1−mと、第2のイオン生成電極に印加する直流電圧の脈動率x2−mの平均脈動率x(=(x1−m+x2−m)/2)が5%以下であれば、例え脈動分(交流成分)の位相が逆位相であっても、イオン生成電極間の電位差の脈動率yを5%以下にできるからである。従って、直流電圧に、積極的に同位相の交流成分を重畳する場合を別とすれば、第1と第2のイオン生成電極に印加する直流電圧直流電圧の脈動率の平均脈動率を5%以下としておけば、位相を気にすることなく簡便に利用可能であり、好ましい。電位差の脈動率yを1%以下にするためには、第1と第2のイオン生成電極に印加する直流電圧直流電圧の脈動率の平均脈動率が1%以下となる直流電圧を印加すれば、同様に、脈動の位相を気にすることなく使用できる。
なお、イオンの付着ムラへの影響の観点からは、電圧脈動率の下限は特に考慮しなくてよいが、実用上、0.01%以上とするとよい。これは、これ以上の高精度の直流電圧を印加しても、イオンの付着ムラへの影響はほとんどなく、かえって電源が高価なものになるばかりだからである。
これらの条件を満たす脈動部の波形は、三角波であっても、また、正弦波、矩形波、のこぎり波であっても構わない。図9はかかる三角波の変動がある直流電圧の波形の例である。
逆に、交流成分の位相を制御可能であって、第1のイオン生成電極に印加される電圧と、第2のイオン生成電極に印加される電圧とにおける交流成分の位相を同位相とする場合には、個々のイオン生成電極への印加電圧の脈動が5%以上であっても、イオン生成電極間電位差の脈動が5%以下であればよい。ただし、イオン生成電極間電位差の脈動率yが5%以下であっても、第1および第2のイオン生成電極への印加電圧の平均電圧の極性が反転するほどの脈動は好ましくない。これは、先に述べたように、第1および第2のイオン生成電極に、接地電位に対して同極性の電圧を印加する場合には、フィルムがごくわずかに印加電圧の極性に帯電することがあるためである。シールド電極や、接地構造物を完全にイオン生成電極近傍から離せば、理論上フィルム全体の帯電はなくなる(完全に見かけ上無帯電となる)と見られるが、実用上の電極構造では(仮にシールド電極がなくても)接地構造物を完全になくすことは困難であり、このような帯電がごくわずかに発生することがある。このような場合に、第1および第2のイオン生成電極への印加電圧の平均電圧の極性が反転すると、ごく弱いものではあるが、フィルム全体の帯電の極性が変化してしまうことになり、好ましくない。したがって、第1のイオン生成電極に印加する電圧と、第2のイオン生成電極に印加する電圧の和の振れ幅が、第1のイオン生成電極に印加する電圧と、第2のイオン生成電極に印加する電圧の電位差の時間的平均値(すなわちV)の絶対値の0.975倍以下であることが好ましい。
以上の説明では、2個の除電ユニットSU、SUを使用し、1番目の除電ユニットSUにおけるイオン生成電極間電位差を正、2番目の除電ユニットSUにおけるイオン生成電極間電位差を負としたが、電位差の極性がこの逆であっても、問題ない。
除電ユニットの総数nは、除電したい帯電量(電荷密度)やフィルムの速度等により、2以上の任意の値をとりうる。ただし、その際、イオン生成電極間電位差が正である除電ユニットの数と、イオン生成電極間電位差が負である除電ユニットの数は、概ね等しいことが好ましい。これは、例えば、イオン生成電極間電位差が正である除電ユニットの数が、イオン生成電極間電位差が負である除電ユニットの数よりも多いと、この差分の数の除電ユニットは、除電に寄与するよりもむしろ、フィルムの第1の面を正(第2の面を負)にシフトさせる、帯電の働きが大きくなるためである(但し、この場合も、各面の帯電は全体にシフトするが、細かな帯電の模様を有する部分には選択的に多くのイオンが付着するため、細かな帯電の模様を低減する効果がある点については変わりない。また、見かけ上無帯電の状態も保たれる)。ここで、イオン生成電極間電位差が正である除電ユニットの数と、イオン生成電極間電位差が負である除電ユニットの数が、概ね等しいとは、イオン生成電極間電位差が正である除電ユニットの数を、n個の除電ユニットのうち、n/4<k<3n/4を満たす整数、k個とすることをいう。これは、たとえ各面の帯電をシフトさせる除電ユニットがあっても、全体の半数以上の除電ユニットは、各面の帯電をシフトさせず、バランスよく正負両極性のイオンを照射するからである。
最もバランスよく正負両極性のイオンを照射するためには、全ての除電ユニットの約半数のn/2個以上(小数点以下切り捨て)の除電ユニットにおけるイオン生成電極間電位差の極性を、他の除電ユニットにおけるイオン生成電極間電位差の極性と逆にする構成があげられる。すなわち、nが偶数であれば、全除電ユニットの半数の除電ユニットのイオン生成電極間電位差の極性を正とし、残りの除電ユニットにおいて、イオン生成電極間電位差の極性を負とする構成となる。nが奇数の場合は、イオン生成電極間電位差が正である除電ユニットの数と、イオン生成電極間電位差が負である除電ユニットの数が1つ違いとなる構成である。
ここで、隣接する除電ユニット同士の、イオン生成電極間電位差は、本実施の形態に示すように、互いに逆極性とするのが好ましい。これは、例えば、同じ10ユニットからなる除電装置において、上流5つの除電ユニットのイオン生成電極間電位差を正とし、下流5つの除電ユニットのイオン生成電極間電位差を負電圧とした場合、全ての除電ユニットを通過した後のフィルムの第1の面が負(第2の面が正)に帯電しやすくなるためである。この帯電の原因は、イオンの付着量が、フィルムの帯電量による影響をうけるためで、第1の面が強く正に帯電したフィルムに、負イオンを照射すると、第1の面が無帯電のフィルムに負イオンを照射する場合よりも、負イオンの付着量が多い傾向があるためである(逆の場合も同じ傾向がある)。このように、上流と下流とで、それぞれ複数ユニットずつをまとめて、同極性のイオン生成電極間電位差を付与する場合には、下流にまとめる除電ユニットの数を、上流にまとめる除電ユニットの数より少なく配置する等の工夫をすることもできる。ただし、この場でも、正の帯電部分と負の帯電部分とで除電の効果が異ならないよう、イオン生成電極間電位差を正とする除電ユニットの数も、イオン生成電極間電位差を負とする除電ユニットの数も、除電ユニットの総数nの1/4以上にするのがよい。最も好ましいのは、このように、上流と下流とで、それぞれ複数ユニットずつをまとめてイオン生成電極間電位差を同極性とするかわりに、正負のイオンを交互に照射できるよう、本実施の形態に示すように、隣接する除電ユニット同士の、イオン生成電極間電位差を、互いに逆極性とする配置である。
ここで、隣接するp番目とp+1番目(但し、pは1からn−1までの整数とする)の除電ユニット同士の、イオン生成電極間電位差を、互いに逆極性とする場合、隣接するp番目とp+1番目の除電ユニットの除電ユニット間隔d2−p[mm]は、隣接するp番目とp+1番目の除電ユニットの法線方向電極間距離の最大値の0.8倍以上2.0倍以下が好ましい。隣接する、イオン生成電極間電位差が逆極性である除電ユニットの距離が、法線方向電極間距離の値の最大値の2.0倍以下であれば、隣接する除電ユニットのイオン生成電極によって、針先近傍電界が強められ、イオンの生成量が増加するからである。ただし、隣接する、イオン生成電極間電位差が逆極性である除電ユニットの距離が、法線方向電極間距離の値の最大値より小さくなると、イオン生成量自体は増加しても、イオンが隣接するイオン生成電極に向かって流れ、フィルム面に到達する前に再結合してしまう。そのため、除電ユニット間隔が法線方向電極間距離の値の最大値の0.8倍以下に近づくと、イオン生成量の増加分以上に、イオンの再結合がすすみ、フィルムに到達するイオンが減ってしまい好ましくない。
ここで、隣接する除電ユニット同士の、イオン生成電極間電位差を互いに逆極性とする場合、その各イオン生成電極への印加電圧の時間的平均値V1−p、V2−p、V1−(p+1)、V2−(p+1)として、表1のような例1〜4が考えられる。例1、例2では、p番目の除電ユニットにおいても、p+1番目の除電ユニットにおいても第1および第2のイオン生成電極先端近傍の電界が強められる。例3では、p番目の除電ユニットにおいても、p+1番目の除電ユニットにおいても、第1のイオン生成電極先端近傍の電界は強められない(むしろ、後述の通り弱められる)が、第2のイオン生成電極先端近傍の電界が大幅に強められる。例4では、p番目の除電ユニットにおいても、p+1番目の除電ユニットにおいても、第2のイオン生成電極先端近傍の電界は強められない(むしろ、後述の通り弱められる)が、第1のイオン生成電極先端近傍の電界が大幅に強められる。従って、これらのいずれにおいても、トータルではイオンの生成量が増加し、除電に寄与するイオンの量を増やすことが出来る。
Figure 0004904786
また、各除電ユニットの第1の電極ユニットが第1のシールド電極を有し、かつ第2の電極ユニットが第2のシールド電極を有し、隣接するp番目とp+1番目(但し、pは1からn−1までの整数とする)の除電ユニット同士の、イオン生成電極間電位差を、互いに逆極性とする場合、隣接するp番目とp+1番目の除電ユニット間隔d2−p[mm]は、隣接するp番目とp+1番目の除電ユニットの幅寸法WとWp+1の平均値(W+Wp+1)/2[mm]の1.0倍以上1.5倍以下が好ましい。隣接する、イオン生成電極間電位差が逆極性である除電ユニットの距離が近いと、隣接するイオン生成電極の間で針先近傍電界を相互に強め合うため、それぞれのイオン生成電極において、イオンの生成量が増加する。このため、隣接するp番目とp+1番目の除電ユニット間隔d2−p[mm]は、隣接するp番目とp+1番目の除電ユニットの幅寸法の平均値(W+Wp+1)/2[mm]の1.5倍以下が好ましい。ただし、隣接する、イオン生成電極間電位差が逆極性である除電ユニットの距離が近すぎると、逆極性のイオン同士が、フィルム面に到達する前に再結合してしまう。ここで、各除電ユニットにおける各電極ユニットがシールド電極を有する場合には、イオンは第1と第2のイオン生成電極を結ぶ線分の部分だけに集中するのでなく、各除電ユニットの幅寸法にほぼ匹敵する広がりをもってフィルムに照射される。これは、シールド電極によって、第1と第2のイオン生成電極を結ぶ線分の周囲の法線方向電界が弱められるためである。このイオンの広がりから、隣接するp番目とp+1番目の除電ユニット間隔d2−p[mm]は、隣接するp番目とp+1番目の除電ユニットの幅寸法の平均値(W+Wp+1)/2[mm]の1.0倍以上が好ましい。
また、このように、隣接するイオン生成電極同士によって、針先近傍の電界を相互に強め合う系では、隣接するイオン生成電極同士から照射される、逆極性のイオンの量が相互にバランスする傾向にあり、各除電ユニット毎の能力差を小さくすることとなり、特に好ましい。
一方、隣接する除電ユニット同士のイオン生成電極間電位差の極性が同じとなっている部分については、以下のように考えられる(但し、全体としては、n/4以上、好ましくはn/2個の除電ユニットにおいて、イオン生成電極間電位差の極性が逆である必要がある)。隣接するp番目とp+1番目(但し、pは1からn−1までの整数とする)の除電ユニット同士の、イオン生成電極間電位差を、同極性とする場合、隣接するp番目とp+1番目の除電ユニットの除電ユニット間隔d2−p[mm]は、隣接するp番目とp+1番目の除電ユニットの法線方向電極間距離の最大値の2.0倍以上が好ましい。これは、イオン生成電極間電位差が互いに逆極性である除電ユニット同士の場合と逆に、イオン生成電極間電位差が同極性である除電ユニットの距離が法線方向電極間距離の値の最大値の2.0倍より小さいと、隣接する除電ユニットのイオン生成電極の間で針先近傍の電界が相互に弱まり、イオンの生成量が減少するためである。除電ユニットの距離が法線方向電極間距離の値の最大値の2.0倍以上であれば、隣接する除電ユニットのイオン生成電極間電位差がともに同極性であっていても、それぞれのイオン生成電極の針先近傍の電界にはほぼ影響なく、イオンの生成量はほとんど減少しない。
ここで、隣接する除電ユニット同士の、イオン生成電極間電位差を互いに同極性とする場合、その各イオン生成電極への印加電圧の時間的平均値V1−p、V2−p、V1−(p+1)、V2−(p+1)として、表2のような例5〜8が考えられる。例5、例6では、p番目の除電ユニットにおいても、p+1番目の除電ユニットにおいても第1および第2のイオン生成電極先端近傍の電界が弱められる。例7では、p番目の除電ユニットにおける第2のイオン生成電極と、p+1番目の除電ユニットにおける第1のイオン生成電極先端近傍の電界は強められるが、p番目の除電ユニットにおける第1のイオン生成電極と、p+1番目の除電ユニットにおける第2のイオン生成電極先端近傍の電界が大幅に弱められる。例8では、p番目の除電ユニットにおける第1のイオン生成電極と、p+1番目の除電ユニットにおける第2のイオン生成電極先端近傍の電界は強められるが、p番目の除電ユニットにおける第2のイオン生成電極と、p+1番目の除電ユニットにおける第1のイオン生成電極先端近傍の電界が大幅に弱められる。従って、これらの場合は、除電ユニット間隔が狭いと、トータルでイオンの生成量が減少してしまうため、除電ユニット間隔を、法線方向電極間距離の最大値の2.0倍以上にするのが好ましい。
Figure 0004904786
また、各除電ユニットの第1の電極ユニットが第1のシールド電極を有し、かつ第2の電極ユニットが第2のシールド電極を有し、隣接するp番目とp+1番目(但し、pは1からn−1までの整数とする)の除電ユニット同士の、イオン生成電極間電位差を、同極性とする場合、隣接するp番目とp+1番目の除電ユニット間隔d2−p[mm]は、隣接するp番目とp+1番目の除電ユニットの幅寸法の平均値(W+Wp+1)/2[mm]の1.5倍以上が好ましい。これは、イオン生成電極間電位差が互いに逆極性である除電ユニット同士の場合と逆に、イオン生成電極間電位差が同極性である除電ユニットの距離が近いと、隣接するイオン生成電極の間で針先近傍の電界を相互に弱めてしまい、イオンの生成量が減少するためである。各除電ユニットにおける各電極ユニットがシールド電極を有する場合には、イオン生成電極とシールド電極の間の電界が放電に支配的であることが多いが、隣接するp番目とp+1番目の除電ユニット間隔d2−p[mm]が、隣接するp番目とp+1番目の除電ユニットの幅寸法の平均値(W+Wp+1)/2[mm]の1.5倍以下になると、隣接する除電ユニットのイオン生成電極間電位差の影響を無視できなくなる。すなわち、隣接する除電ユニットのイオン生成電極間電位差が同極性の場合には、イオンの生成量が減少するのである。したがって、隣接するp番目とp+1番目の除電ユニット間隔d2−p[mm]は、隣接するp番目とp+1番目の除電ユニットの幅寸法の平均値(W+Wp+1)/2[mm]の1.5倍以上とすればよい。これ以上であればどれだけ大きくても、1.5倍の場合とイオン生成量はほとんど変わらない。
ここで、これらの構成によって、イオン生成電極間電位差を正とする除電ユニットの数と、イオン生成電極間電位差を負とする除電ユニットの数とをほぼ同数とし、正負イオンの照射量のバランスをとっていても、全ての除電ユニットを通過した後のフィルムの各面が正または負のいずれかの極性にやや強く帯電することがある。原因としては、以下の3点が考えられる。
(1)前述の理由により、フィルムSの移動方向の最下流の除電ユニットからの照射によって、フィルムSの各面に付着するイオンの量が多くなりやすく、フィルムSの各面がこの極性に帯電する
(2)除電ユニット相互にイオン生成能力の差(例えば、1番目の除電ユニットにおけるイオンの生成量が少なく、2番目の除電ユニットにおけるイオンの生成量が多い場合、フィルムが、2番目の除電ユニットから照射され、フィルムSの各面に付着するイオンの極性に帯電する)
(3)電源故障などによる個々の除電ユニットの機能停止(機能停止した除電ユニットから、各面に照射されるはずであったイオンの極性と、逆極性に帯電する。なお、正直流電源または負直流電源の片側のみが故障した場合も、フィルムの片面側からのイオン照射によるフィルムの片面へのイオンの付着が止まると、あわせて、フィルムの逆面へのイオン付着も抑制されるため、その電源を使用している除電ユニットが機能停止するため、フィルムが見かけ上帯電することはほとんどない)
このような場合においても、(除電ユニットのほとんどが機能停止とならない限り)フィルムは見かけ上の無帯電状態である。また、フィルムの各面には細かな帯電のムラや、周期的な帯電がほとんどなく、フィルムSの各面が直流的に逆極性に帯電している状態である。
このような帯電状態を持つフィルムであっても、この帯電自体が問題となることは比較的少ない。これは、背景技術で述べたように、塗布ムラや蒸着後のスタチックマークの発現などは、帯電模様等が示すフィルムの局所的な帯電が問題となることが多いためである。
フィルムSの各面の帯電量をより低くしたい場合には、図10に示すように、除電後(全除電ユニットを通過後)のフィルムSの第1の面100の電位を、フィルムSの第2の面200が導電性部材(図ではガイドロール5b)と接触している状態で、電位計などの電位測定手段5mにより測定し、この電位の絶対値が小さくなるように1以上の除電ユニットにおけるイオン生成電極間電位差を、イオン生成電極間電位差制御手段5nにより制御すればよい。例えば、測定された第1の面100の電位(第1の面100の背面平衡電位)が正であれば、第1のイオン生成電極に印加する電圧が正である除電ユニットにおいて正の印加電圧を下げて正のイオン生成電極間電位差を小さくする、(および/または第1のイオン生成電極に印加する電圧が負である除電ユニットにおいて、負の印加電圧の絶対値を大きくして負のイオン生成電極間電位差を大きくする)等、フィルムの第1の面100の電位がゼロに近くなるように制御をすればよい。なお、上記ではフィルムの第1の面100の電位が正である場合の例を挙げたが、電位が負であれば逆の制御をすればよく、また測定する電位はフィルムの第2の面200でも(第1の面100が導電性部材と接触している状態で測定すれば)同様に制御可能である。
また、全ての除電ユニットを通過した後のフィルムの各面が、フィルムSの移動方向の最下流の除電ユニットにおけるイオン生成電極間電位差の極性に依存して帯電しやすい場合には、あらかじめ、最下流、すなわち、n番目の除電ユニットにおけるイオン生成電極間電位差の絶対値を、他の除電ユニットにおけるイオン生成電極間電位差の絶対値より小さくする、最下流の除電ユニットSUの法線方向電極間距離d1−nを、他の除電ユニットの法線方向電極間距離d1−1〜d1−(n−1)よりも大きくする、最下流の第n番目における除電ユニットの電極ずれ量d0−nを、他の除電ユニットのそれより大きくするなどして、最下流の除電ユニットにおけるイオンの照射量を少なくしておくことも可能である。
これらは、最下流の除電ユニットのみに対して行ってもよいし、除電ユニットの上流から下流にかけて、徐々に行ってもよい。
直流電圧を印加される、2以上の除電ユニットの下流に、さらに、図11に示すように、シートを挟んで対向して配置され、互いに逆極性の交流電圧を交流電源5k、5lより印加されることで、交流のイオン生成電極間電位差を付与される第1の交流イオン生成電極5iと第2の交流イオン生成電極5jとを有する交流除電ユニットを一つ以上配置し、あえて、フィルムの各面に正負の弱い帯電ムラをつくることにより、フィルムの各面の帯電が片極性に偏らないようにする(フィルムの移動方向に平均すると、各面とも正負バランスがとれた状態にする)ことも可能である。
特に、フィルムの移動開始直後や、停止直前など、速度の変化率が大きい場合には、積極的に交流除電ユニットを使用するのが好ましい。図5に示す本実施例の形態においては、フィルム速度が一定であれば、フィルム速度が低速であるか、高速であるかによって、各面の各部への正負イオン照射のバランスが大きく崩れることはない。しかし、加速開始や、停止直前など、フィルムの速度変化の割合が大きい部分では、フィルムが、1番目の除電ユニットの直下を通る時の速度と、2番目の除電ユニットの直下を通る時の速度とが大きく異なることになる。これによって、1番目の除電ユニットからフィルムの単位面積あたりに照射されるイオン量と、2番目の除電ユニットからフィルムの単位面積あたりに照射されるイオン量とに大きな差が生じる。
この大きな差が生じるのは、加速開始、減速直前のごくわずかの時間(数秒程度)であるため、この間だけ、印加電圧を遮断するか低減するように制御することも可能である。
また、電源の故障などにより、フィルムの各面が逆極性に帯電するのを避けるために、一つの除電ユニットの第1のイオン生成電極と、別の一つの除電ユニットの第2のイオン生成電極とを単一の電源に接続しておくのが好ましい。このような接続を行う除電ユニットの数は、単一の電源に、第1のイオン生成電極が接続される除電ユニットの数と第2のイオン生成電極が接続される除電ユニットの数が同じであれば、特に数にこだわりはない。このようにしておけば、例えば、一つの直流電源が故障した場合、トータルでのイオン照射量は減少するが、両面に照射される両極性のイオンがともに減少するため、フィルム各面の過剰な帯電を回避することが可能で、故障の場合にも、フィルムの各面を過剰に帯電させることが少ない除電装置が得られる。
なお、本発明における除電装置に印加する直流電圧は、大気圧中においては、絶対値で、3kV以上15kV以下程度、法線方向電極間距離は、10mm以上50mm以下が好ましく、各除電ユニットのイオン生成電極の先端は、完全対向、すなわち、シートの移動方向にずれなく対向していることが最も好ましい。但し、前述のように、フィルムSの移動方向に配置した全ての直流除電ユニットを通過後のフィルムSの各面において、正負どちらか片極性に帯電する場合は、最下流n番目の直流除電ユニットの電極ずれ量d0−nを調整し、フィルムSの各面の正負の帯電をバランスさせてもよい。
以上の除電装置を用いて、フィルムの除電評価を行った結果を説明する。
実施例および比較例における除電の効果は、次の方法により評価された。
[フィルムの各面の背面平衡電位、および、電荷密度の測定方法]
フィルムの被評価面とは逆の面を、直径10cmのハードクロムメッキロールからなる金属ロールに密着させ、電位を測定した。電位計として、モンロー社製モデル244を、そのセンサとして、開口部直径1.75mmを有するモンロー社製プローブ1017EHを用いた。電位計をフィルム上0.5mmの位置に置いた。この位置での視野は、モンロー社カタログより、直径約1mmの範囲である。金属ロールをリニアモータを使用し、約1m/分の低速で回転させながら、電位計で背面平衡電位V[単位:V]を測定した。
背面平衡電位分布は以下により求めた。すなわち、フィルム幅方向に、電位計を電極ユニットの構造に応じた適当な距離(たとえば針の幅方向の間隔の2倍程度。20mm程度)スキャンさせて、絶対値の最大値が得られる幅方向の位置を決める。次いで、幅方向の位置を固定して、電位計をフィルムが除電処理されたときのフィルムの移動方向、すなわち、フィルムの長さ方向にスキャンさせて電位を測定する。フィルム面内の背面平衡電位は、2次元的にすべてのポイントを測定するのが理想であるが、前述のフィルムの長さ方向の電位の分布により、フィルム面内の電位の分布を近似する。フィルム幅が1mを越す場合には、フィルムの幅方向のほぼ中央部と端部において、20mm程度を切り出し、スキャンさせ、最大値が得られる場所を探し、その後、フィルムが除電処理されたときのフィルムの移動方向に、スキャンさせて、電位を測定する。また、除電前のフィルムの幅方向の特定位置に、局所的に強い帯電箇所が見られた場合、除電前、後のフィルムに対し、その幅方向の位置において、フィルムの移動方向に、スキャンさせて、電位を測定する。
背面平衡電位V[単位:V]により、センサ直下のフィルム被評価面の電荷密度σ[単位:C/m]を、関係式σ=C×V(ただし、Cは、単位面積当たりの静電容量[単位:F/m])により求めた。フィルム厚さが、測定視野より十分小さいことから、単位面積当たりの静電容量Cは、平行平板の静電容量C=ε×ε/d(ただし、dは、フィルムの厚さ、εは真空中の誘電率8.854×10−12F/m、εはフィルムの比誘電率)で近似した。ポリエチレンテレフタレートの比誘電率εは、3とした。
本発明において除電の効果を判定するに当たっては、以下の2つの観点から判定を行っている。
(1)除電前に、フィルムの各面(表面と裏面、あるいは、第1の面と第2の面)が、ともに正負に強く(かつ、両面が逆極性に)帯電していたフィルムにおいて、除電後の電荷密度の振れ幅を、大幅に低減できるか。
本判定には、除電前にフィルムの各面が振れ幅150μC/m以上の電荷密度で逆極性に帯電していたものを使用し、以下の3段階で判定を行う。
◎:除電後の電荷密度の振れ幅が30μC/m以下のもの。
○:除電後の電荷密度の振れ幅が30μC/m以上であるが、振れ幅が除電前後で30μC/m以上低下しているもの。
×:除電前後での電荷密度の振れ幅の低下が30μC/mより小さいもの。
電荷密度の振れ幅の基準を30μC/mとしたのは、従来の除電技術による除電である「見かけ上の除電」においては、両面両極性帯電の電荷密度の低下が、ゼロ、もしくは、高々絶対値で1μC/mであり、これよりも大きな量の電荷を除電できることが明確であることによる。
(2)除電前に、フィルムの各面が実質的に無帯電であったフィルムにおいて、除電後のフィルムに過剰な帯電を発生させないか。
本判定には、除電前に、フィルムの各面の電荷密度の絶対値が30μC/m以下であったものを使用し、以下の4段階で判定を行う。
◎:除電後の電荷密度の絶対値の最大値が30μC/m以下で、電荷密度の振れ幅が60μC/m以下のもの。
○:除電後の電荷密度の絶対値の最大値が100μC/m以下で、電荷密度の振れ幅が60μC/m以下のもの。
△:除電後の電荷密度の絶対値の最大値が100μC/m以下で、電荷密度の絶対値の振れ幅が60μC/mより大きく、90μC/m以下のもの。
×:除電後の電荷密度の絶対値の最大値が100μC/mより大きく、および/または、電荷密度の絶対値の振れ幅が90μC/mより大きいもの。
<実験1:電極ユニット8を用い、隣接するイオン生成電極間電位差が逆極性の直流電位差である除電装置と、電極ユニット7を用い、イオン生成電極間電位差が交流電位差である除電装置との、原反Aを用いた比較実験>
[実施例1]
図5に示される除電装置において、電気絶縁性シートSとして、幅300mm、厚さ38μmの2軸延伸されたポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ株式会社製ルミラー38S28 以下、原反Aという)を用い、表3に示される速度u[単位:m/分]でフィルムSを移動させた。原反Aには、除電前に、図12に示すように、シートの幅方向10mmの範囲に、シートの移動方向に1.1〜1.2mm周期の周期的な帯電を施した。図12の矢印TDがシートの幅方向、矢印MDがシートの移動方向を示す。周期的帯電部(図12のA−A’の部分)の第1の面の背面平衡電位の分布は、図13に示すとおり、シートの移動方向に0Vを中心にピークピーク270V(各面の電荷密度の振れ幅は190μC/m)の略正弦波状で、第2の面の背面平衡電位の分布は、第1面の背面平衡電位と逆極性で、絶対値はほぼ同じであった。また、帯電部分(幅10mmの部分)以外のフィルムSの部分の背面平衡電位は、各面、絶対値で15V以下(各面の電荷密度は−10〜+10μC/mの範囲内)であり、ほぼ無帯電であることを確認した。
第1および第2の電極ユニットとしては、図14に示される、イオン生成電極5d〜5d、イオン生成電極5f〜5fが針電極列8aである電極ユニット8を使用した。この針の幅方向の間隔dは、10mmであった。針電極列8aとシールド電極8bは絶縁材料(塩化ビニル)8d、8eで互いに絶縁されている。第1および第2の電極ユニットを、フィルムSの移動方向に対して直交するように、かつ、フィルムSの面と平行になるように、フィルムSを挟んで、上下に、針電極列同士が対向するように設置し、除電ユニットとした。第1および第2の電極ユニットにおいて、針の先端のフィルム移動方向および幅方向位置はそれぞれ同じとした。除電ユニットの総数nは、8とした。各除電ユニットの幅寸法W〜Wは全て40mmであった。
各針電極列の針の先端、すなわち各除電ユニットの各イオン生成電極の先端は、幅方向に直線状に並び、法線方向およびシートの移動方向に対する電極のたわみは、無視出来るほど小さかった。
法線方向電極間距離d1−1〜d1−8は、全て40mmとし、除電ユニット間隔d2−1〜d2−7は、全て55mmとし、全除電ユニットにおける針先端の幅方向位置は、同じとした。各電極ユニットのシールド電極の開口幅SOg〜SOg、及び、SOh〜SOhは全て18mmであった。シールド電極8bは、全て接地した。
各除電ユニットにおいて、対向する第1のイオン生成電極と第2のイオン生成電極には、互いに逆極性の絶対値の等しい直流電圧を印加した。シートの移動方向最上流から奇数(1,3,5、7)番目の除電ユニットの第1のイオン生成電極に正の直流電圧を印加し、シートの移動方向最上流から偶数(2,4,6、8)番目の除電ユニットの第1のイオン生成電極に負の直流電圧を印加して、奇数番目の除電ユニットにおいては、そのイオン生成電極間電位差が正に、偶数番目の除電ユニットにおいては、そのイオン生成電極間電位差が負になるようにした。印加電圧の時間的平均値の絶対値は、全て同じ電圧Vとし、8kV、各除電ユニットにおけるイオン生成電極間電位差の絶対値は16kVになるようにした。直流電圧の印加には、2台(正電圧印加用、負電圧印加用各1台)のファンクションジェネレータ(ともにNF株式会社製ファンクションシンセサイザ1915)からの直流電圧出力を、2台(正電圧増幅用、負電圧増幅用各1台)の高圧電源(ともにTRek株式会社製MODEL20/20B)で増幅したものを使用した。また、直流印加電圧の脈動率は、電圧増幅前の波形をオシロスコープ(日本ヒューレットパッカード株式会社54540C)確認し、0.1%以下であった。高圧電源の増幅率は、2000倍であり、精度は0.1%である。各除電ユニットにおける、第1と第2のイオン生成電極へ印加する直流電圧の脈動率の平均脈動率は全て同じ脈動率xで、0.1%であった。脈動成分は、脈動率が正の直流電圧、負の直流電圧ともに0.1%以下であった。シールド電極5g〜5g、5h〜5hは、全て接地した。フィルムSは、各除電ユニットにおける第1および第2のイオン生成電極間の略中央を通るようにした。
除電されたフィルムSの帯電分布について、上記測定方法に基づいて第1の面の背面平衡電位の分布を調べ、電荷密度を求めた。周期的帯電部分の電荷密度の振れ幅、および、無帯電部分(帯電部分以外の部分)の電荷密度の範囲[単位:μC/m]、とそれぞれの判定結果を表3に示す。
[比較例1]
図15に示される除電装置6において、電気絶縁性シートSとして、実施例1と同じ帯電を施した原反Aを用い、表3に示される速度u[単位:m/分]でフィルムSを移動させた。
第1および第2の電極ユニットとしては、図16に示される針電極列7aがイオン生成電極である電極ユニット7を使用した。この針の幅方向の間隔dは、12.7mmであった。針電極列7aとシールド電極7bは絶縁材料(テフロン(登録商標))7dで互いに絶縁されている。この第1および第2の電極ユニットを、フィルムSの移動方向に対して直交するように、かつ、フィルムSの面と平行になるように、フィルムSを挟んで、上下に、針電極列同士が対向するように設置し、除電ユニットとした。第1および第2の電極ユニットにおいて、針の先端のフィルム移動方向および幅方向位置はそれぞれ同じとした。除電ユニットの総数nは、8とした。
各針電極列の針の先端、すなわち各電極ユニットの各イオン生成電極の先端は、幅方向に直線状に並び、電極のたわみは、無視出来るほど小さかった。
法線方向電極間距離d1−1〜d1−8は、全て25mmとし、除電ユニット間隔d2−1〜d2−7は、全て30mmとし、全除電ユニットにおける針先端の幅方向位置は、同じとした。
全除電ユニットの、第1のイオン生成電極同士は全て同相とし、全除電ユニットの第2のイオン生成電極同士も全て同相とし、第1および第2のイオン生成電極に接続する電源6c、6eには、実効電圧4kV、周波数60Hzの交流電源を用い、互いに位相が逆になるよう、電源内部の昇圧トランスの入力を切り替えた。全除電ユニットの第1および第2の電極ユニットにおけるシールド電極7bは、全て接地した。フィルムSは、各除電ユニットにおける第1および第2のイオン生成電極間のおおよそ中央を通るようにした。
除電されたフィルムSの帯電分布について、上記測定方法に基づいて第1の面の背面平衡電位の分布を調べ、電荷密度を求めた。周期的帯電部分の電荷密度の振れ幅、および、無帯電部分(帯電部以外の部分)の電荷密度の範囲[単位:μC/m]、とそれぞれの判定結果を表3に示す。
[実験1のまとめ]
表3の通り、実施例1においては、どの速度においても、帯電部の各面の電荷密度の振れ幅は(速度上昇とともに若干その低減量が減少するが)大幅に低減しており、無帯電部の新たな帯電もごくわずかである。一方、比較例1においては、帯電部の電荷密度の振れ幅を大きく低減させ、無帯電部の新たな帯電も抑制できる速度条件はあるが、速度によっては、帯電部の電荷密度の振れ幅の低減が少ない部分が見られたり、大幅に無帯電部を帯電させることがある。このため、比較例1においては、幅広い速度範囲において、帯電部の電荷密度の振れ幅の低減と、無帯電部の新たな帯電抑制を両立することはできなかった。
Figure 0004904786
※1 帯電部電位の振れ幅には、無帯電部の帯電によるオフセット分は含まない。
※2 比較例1、速度220m/分において、帯電部分の電荷密度は振れ幅が大きい部位と、小さい部位とが約60mm周期であらわれたため、振れ幅の大きい部位における振れ幅と、振れ幅の小さい部位における振れ幅との両方の値を示す。
<実験2:電極ユニット8を用い、イオン生成電極間電位差を直流電位差とした場合、隣接するイオン生成電極間電位差の極性の影響について、原反B、Cを用いた比較実験>
[実施例2−1]
図5の構成の除電装置を用いて、電気絶縁性シートSとして、幅300mm、厚さ75μmの2軸延伸されたポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ株式会社製ルミラー75T10 以下、原反B、Cという)を用い、300m/分で移動させた。
原反Bには、あらかじめ、フィルムの第1の面においてフィルムの移動方向に5mm周期で正負の帯電が交互に配列され、背面平衡電位の正負各ピーク値の絶対値が最大560V(480〜560V)すなわち、電荷密度の振れ幅が最大396μC/m(340〜396μC/m)で、面内方向の位置が同じ部位において、フィルムの第1の面の帯電極性と第2の面の帯電極性とが逆極性で、かつ、第1の面の背面平衡電位と第2の面の背面平衡電位との絶対値が等しくなるよう帯電処理を施してあるものを用いた。
原反Cには、各面の背面平衡電位の絶対値が30V(電荷密度が10μC/m)以下であって、事実上、全面無帯電であるものを用いた。
法線方向電極間距離d1−1〜d1−8は、全て同じ距離d10とし、30mmとし、除電ユニット間隔d2−1〜d2−7は、全て距離d20とし、40mmとした。それ以外は実施例1と同じ条件とした。
原反B、Cの除電評価結果を表4に示す。
表4の「原反B」欄には、除電前の電荷密度の振れ幅がどの程度小さくなったかを調べるため、「原反B」を除電したフィルムの電荷密度の振れ幅を記す。
また、表4の「イオン生成電極間電位差の極性」の箇所には、フィルムSの移動方向の上流から順に、表記の左側から右側に示したものである。例えば、「++++――――」という表記は、フィルムSの移動方向の最上流から第4番目の除電ユニットまでは、イオン生成電極間電位差が正極性であり、以降(第5番目から第8番目)の4本の除電ユニットは、イオン生成電極間電位差が負極性であることを意味する。
[比較例2]
全ての除電ユニットの第1のイオン生成電極には正電圧(第2のイオン生成電極には負電圧)を印加し、全ての除電ユニットにおいて、イオン生成電極間電位差が正になるようにした以外は、実施例2−1と同じとした。原反B、Cの除電評価結果を表4に示す。
[実施例2−2]
シート移動方向の最上流(1番目)から6番目の除電ユニットの第1のイオン生成電極には正電圧(第2のイオン生成電極には負電圧)を印加して、イオン生成電極間電位差が正になるようにし、7番目と8番目の除電ユニットの第1のイオン生成電極には負電圧(第2のイオン生成電極には正電圧)を印加して、イオン生成電極間電位差が負になるようにした以外は、実施例2と同じとした。原反B、Cの除電評価結果を表4に示す。
[実施例2−3]
シート移動方向の最上流(1番目)から4番目の除電ユニットの第1のイオン生成電極には正電圧(第2のイオン生成電極には負電圧)を印加して、イオン生成電極間電位差が正になるようにし、5番目から8番目のイオン生成電極には負電圧(第2のイオン生成電極には正電圧)を印加して、イオン生成電極間電位差が負になるようにした以外は実施例2−1と同じとした。原反B、Cの除電評価結果を表4に示す。
[実施例2−4]
シート移動方向の上流から1,2,5,6番目の除電ユニットの第1のイオン生成電極に正電圧(第2のイオン生成電極には負電圧)を印加して、イオン生成電極間電位差が正になるようにし、3,4,7,8番目の除電ユニットの第1のイオン生成電極に負電圧(第2のイオン生成電極には正電圧)を印加して、イオン生成電極間電位差が負になるようにした以外は実施例2−1と同じとした。原反B、Cの除電評価結果を表4に示す。
[実験2のまとめ]
実施例2−1〜2−4および比較例2から、除電ユニットの総数n(本例ではn=8)の1/4以上(本実施例では、2以上)の除電ユニットにおいて、イオン生成電極間電位差の極性が同極性、つまり、シートの同一面に逆極性電圧を印加されるイオン生成電極が存在する除電装置については除電効果が高い。特に、除電ユニット数nの1/2個(本実施例では4個)の除電ユニットにおいて、隣接する除電ユニットにおいて、イオン生成電極間電位差が互いに逆極性、つまり、シートの同一面に同極性電圧を印加されたイオン生成電極が配置され、かつ、隣接する除電ユニット同士の、シートの同一面に配置されたイオン生成電極に印加される電圧を逆極性とした実施例2−1の除電装置が最も除電効果が高い。
<実験3:電極ユニット8を用い、隣接する除電ユニット間隔と、隣接するイオン生成電極間直流電位差の極性による影響の確認実験>
[実施例3−1]
全ての除電ユニット間隔の値d20を70mmとした以外は実施例2−1と同じとした。原反B、原反Cの除電評価結果を表4に示す。
[実施例3−2]
各除電ユニット間隔d2−1〜d2−7について、奇数番目の除電ユニット間隔d2−1、d2−3、d2−5、d2−7を70mm、偶数番目の除電ユニット間隔d2−2、d2−4、d2−6を40mmとした以外は実施例2−4と同じとした。原反B、原反Cの除電評価結果を表4に示す。
[実験3のまとめ]
実施例2−1、2−4、3−1、3−2から、隣接する除電ユニットにおける、イオン生成電極間電位差が逆極性の場合は、隣接距離が、ある程度小さい方がよく、隣接する除電ユニットにおける、イオン生成電極間電位差が同極性の場合は、隣接距離が、ある程度大きい方がよいことが確認される。
<実験4:電極ユニット8を用い、隣接するイオン生成電極間電位差を逆極性の直流電位差、及び、逆極性の交流電位差にした場合の比較実験>
[比較例3]
各除電ユニットにおいて、第1のイオン生成電極と第2のイオン生成電極に、互いに逆極性のゼロピーク値8kV、周波数60Hzの交流電圧を印加し、かつ、隣接する各除電ユニットの第1のイオン生成電極同士への印加電圧を、互いに逆位相となるようにした以外は、実施例2−1と同じとした。原反B、原反Cの除電評価結果を表4に示す。
[実験4のまとめ]
実施例2−1と比較例3との比較より、交流印加による交流電位差を付与時は、シート移動方向に±45μC/mのムラが発生し、無帯電のフィルムを帯電させやすいため、直流電圧印加による直流電位差を付与する方がよいことがわかる。
Figure 0004904786
<実験5:電極ユニット8を用い、イオン生成電極間平均電界強度2V/d10(イオン生成電極間直流電位差/法線方向電極間距離)と脈動率x(%)による影響の確認実験>
[実施例5−1〜5−19]
法線方向電極間距離d10、直流電圧の時間的平均値の絶対値V、及び、脈動率xを表5の通りとした以外は実施例2−1と同じとした。ここで、脈動率は、ファンクションジェネレータにて設定し、ファンクションジェネレータの出力波形(電圧増幅前の波形)をオシロスコープで確認した。直流電圧の脈動分の位相は、図9のように、逆位相になるようにした。原反B、Cの評価結果を表5に示す。
[実験5のまとめ]
実施例5−1〜5−19の結果から、2V/d10が小さくなると、原反Bにおける除電能力が低下するが、原反Cにおいて、脈動率の影響は殆ど受けない。一方、2V/d10が大きくなると、原反Bにおける除電能力が増加するが、原反Cにおいて、脈動率が大きくなるとイオン付着の振れ幅が大きくなり、脈動率の影響を受けやすい。よって、除電能力とイオン付着の振れ幅低減の2つの観点から、2V/d10の大きさに関わらず、脈動率は5%以下が好ましく、脈動率が5%を超える場合は、2V/d10の大きさを0.35より小さくするのが好ましいことが確認される。
Figure 0004904786
<実験6:電極ユニット8を用い、最下流のイオン生成電極間直流電位差、及び、最下流の除電ユニットの法線方向電極間距離を変更した場合の、比較実験>
[実施例6−1]
シート移動方向の最下流(8番目)の除電ユニットSUの第1のイオン生成電極5dと第2のイオン生成電極5fに印加する直流電圧の時間的平均値の絶対値を5kV、つまり、イオン生成電極間電位差の絶対値を10kVとした以外は、実施例2−1と同じとした。原反B、Cの除電評価結果を表6に示す。
[実施例6−2]
シート移動方向の最下流(8番目)の除電ユニットSUの法線方向電極間距離d1−8のみ50mmとした以外は、実施例2−1と同じとした。原反B、Cの除電評価結果を表6に示す。
[実験6のまとめ]
実施例2−1と、実施例6−1、6−2の結果を比較すると、原反Cを用いた評価では、電荷密度の絶対値が低下、つまり無帯電であったフィルムを帯電させる量が少なくなっている事が判る。原反Bを用いた除電評価では、実施例2−1の結果より除電能力が少し劣るが、問題ないレベルである。
Figure 0004904786
<実験7:電極ユニット8を用い、最下流にイオン生成電極間交流電位差を有する除電ユニットを追加した場合の、比較実験>
[実施例7]
実施例2−1の除電装置のさらにシート移動方向の下流に、交流電圧を印加した第1、及び、第2のイオン生成電極を持つ、交流除電ユニットを追加した。交流除電ユニットの、電極ユニットは実施例2−1で使用したものと同じとし、交流除電ユニットの法線方向電極間距離は、実施例2の法線方向電極間距離d10と同じ、実施例2−1の除電装置のシート移動方向の最下流の除電ユニットSUと、交流除電ユニットとのユニット間隔も、実施例2−1のユニット間隔d20と同じとし、交流除電ユニットの第1および第2のイオン生成電極には互いに逆極性で4kV(ゼロ−ピーク値)、周波数60Hzの交流電圧を印加した。原反B、Cの除電評価結果を表7に示す。
[実験7のまとめ]
実施例2−1と実施例7の結果を比較すると、原反Cを用いた評価では、電荷密度の絶対値が低下、つまり無帯電であったフィルムの帯電量が少なくなっている事が判る。よって、最下流に交流電位差を有する除電ユニットを設けることにより、上流でフィルム表面に付着したイオンを除電して、フィルム表面の帯電を減らす効果があることが確認される。
Figure 0004904786
<実験8:実験6の補足実験>
[実施例8−1]
シート移動方向の最下流(8番目)の除電ユニットSUの第1のイオン生成電極5dと第2のイオン生成電極5fに印加する直流電圧の時間的平均値の絶対値を5kV、つまり、イオン生成電極間電位差の絶対値を10kVとした以外は、実施例2−3と同じとした。原反B、Cの除電評価結果を表8に示す。
[実施例8−2]
シート移動方向の最下流(8番目)の除電ユニットSUの法線方向電極間距離d1−8のみ50mmとした以外は、実施例2−3と同じとした。原反B、Cの除電評価結果を表8に示す。
[実験8のまとめ]
原反Cにおいて、実施例2−1に比べて、除電後の電荷密度の絶対値が大きい実施例2−3の場合と、実施例8−1、8−2の結果を比べると、原反Bを用いた除電評価においては、除電能力が多少劣るが、原反Cを用いた評価では、電荷密度の絶対値が大幅に減少していことから、最下流の除電ユニットのイオン生成電極からフィルムに付着するイオン量を減らす構成にすることで、もともと無帯電であったフィルムを帯電させにくいことが判る。
Figure 0004904786
<実験9:イオン生成電極間直流電位差の脈動率と除電能力との関係の検証実験>
[実施例9−1〜9−3]
法線方向電極間距離d10、直流印加電圧の時間的平均値の絶対値V、及び、脈動率xを表9の通りとした以外は実施例2−1と同じとした。ここで、脈動率は、ファンクションジェネレータにて設定し、ファンクションジェネレータの出力波形(電圧増幅前の波形)をオシロスコープで確認した。直流電圧の脈動分の位相は、図17Aのように、同位相になるようにした。原反B、Cの評価結果を表9に示す。
[実験9のまとめ]
実施例9−1〜9−3の結果を実施例5−3〜5−5と比べると、原反Bを用いた除電評価においては、除電能力に差はなく、原反Cを用いた評価では、電荷密度の振れ幅が大幅に低減されていることが判る。直流電圧の脈動率が5%以上であっても、脈動成分が同位相であれば、もともと無帯電であったフィルムに周期的な帯電を発生させにくいことが判る。
Figure 0004904786
本発明は、除電装置に限らず、対象物を狭い間隙で挟んだ状態で、対象物の表裏、及び全面に等量の帯電を付与することが必要な装置に応用できる。また、本発明は、電気絶縁性シートの除電装置として、プラスチックフィルムや紙などの長尺物の除電に用いられるほか、シリコンウエハやガラス基板等の枚葉物の除電装置として用いることが出来る。また、除電装置に限らず、除塵を目的とした除電、すなわち、除塵装置や除塵方法としても応用できるが、その応用範囲がこれらに限られるものではない。
従来の技術による除電装置の概略説明図である。 従来の技術による除電装置の概略説明図である。 従来の技術による除電装置の概略説明図である。 従来の技術による除電装置の概略説明図である。 本発明の一実施形態に係る装置の正面概略図である。 本発明の一実施形態の除電ユニットの構成に関する概略説明図である。 本発明の一実施形態の除電ユニット相互の配置に関する概略説明図である。 本発明の一実施形態の除電ユニットの構成に関する概略説明図である。 本発明の一実施形態の除電ユニットの構成に関する概略説明図である。 本発明の一実施形態の除電ユニットの構成に関する概略説明図である。 本発明の一実施形態の除電ユニットの機能に関する概略説明図である。 本発明の一実施形態の除電ユニットの機能に関する概略説明図である。 本発明の一実施形態のイオン生成電極への印加電圧に関する概略説明図である。 本発明の他の実施形態に係る装置の概略説明図である。 本発明の他の実施形態に係る装置の概略説明図である。 実施例1の除電に使用した原反(原反A)の帯電の様子を示す概略説明図である。 実施例1の除電に使用した原反(原反A)の背面平衡電位の分布を示す図である。 本発明の一実施形態の除電ユニットの構造を示す概略説明図である。 従来の技術による除電装置の概略説明図である。 図15の除電装置の除電ユニットの構造を示す概略説明図である。 本発明の一実施形態のイオン生成電極への印加電圧に関する概略説明図である。 本発明の一実施形態の対向配置されたイオン生成電極間電位差に関する概略説明図である。
符号の説明
1 除電装置
1a 交流電源
1b イオン生成電極
1c 交流電源
1d イオン吸引電極
1e 直流除電器
1f 交流除電器
S 電気絶縁性シート
2 除電装置
2a 交流電源
2b イオン生成用電極
2c 交流電源(2aと逆位相)
2d イオン加速用電極
2e 交流電源
2f イオン生成電極
2g 交流電源(2eと逆位相)
2h イオン加速用電極
100 電気絶縁性シートの第1の面
200 電気絶縁性シートの第2の面
3 除電装置
3a イオン生成電極
3b 直流電源
3c イオン生成電極
3d 直流電源(3bと逆極性)
3e ガイドロール
4 除電装置
4a イオン生成電極
4b 交流電源
4c イオン生成電極
4d 交流電源(4bと逆位相)
4e ガイドロール
5 除電装置
5a ガイドロール
5b ガイドロール
5ab シート移動方向
5c 直流電源
5e 直流電源(5cと逆極性)
5d シート移動方向1番目の除電ユニットの第1のイオン生成電極
5f シート移動方向1番目の除電ユニットの第2のイオン生成電極
5d シート移動方向2番目の除電ユニットの第1のイオン生成電極
5f シート移動方向2番目の除電ユニットの第2のイオン生成電極
5d シート移動方向m番目の除電ユニットの第1のイオン生成電極
5f シート移動方向m番目の除電ユニットの第2のイオン生成電極
5g シート移動方向m番目の除電ユニットの第1のシールド電極
5h シート移動方向m番目の除電ユニットの第2のシールド電極
5d シート移動方向p番目の除電ユニットの第1のイオン生成電極
5f シート移動方向p番目の除電ユニットの第2のイオン生成電極
5g シート移動方向p番目の除電ユニットの第1のシールド電極
5h シート移動方向p番目の除電ユニットの第2のシールド電極
5i 第1の交流イオン生成電極
5j 第2の交流イオン生成電極
5k 交流電源
5l 交流電源(5kと逆位相)
5m 電位測定手段(電位計)
5n イオン生成電極間電位差制御手段
5x シートの移動方向の第p番目の除電ユニットの第1のイオン生成電極の先端と第2のイオン生成電極の先端とを結ぶ線分の中点
5xp+1 シートの移動方向の第p+1番目の除電ユニットの第1のイオン生成電極の先端と第2のイオン生成電極の先端とを結ぶ線分の中点
6 除電装置
6a ガイドロール
6b ガイドロール
6ab シート移動方向
6c 交流電源
6e 交流電源(6cと逆位相)
7 電極ユニット
7a 針電極列
7b シールド電極
7d 絶縁材料
8 電極ユニット
8a 針電極列
8a 針電極列を構成する部分電極の1つ
8a 針電極列を構成する部分電極の1つ
8b シールド電極
8d 絶縁材料
8e 絶縁材料
8aL シート幅方向に所定間隔で設けられた針先同士を結ぶ折れ線
針の幅方向の間隔
シート移動方向m番目の除電ユニットの幅寸法
SOg シート移動方向m番目の除電ユニットの第1のシールド電極開口幅
SOh シート移動方向m番目の除電ユニットの第2のシールド電極開口幅
0−m シート移動方向m番目の除電ユニットにおける電極ずれ量
1−m シート移動方向m番目の除電ユニットの法線方向電極間距離
2−p シート移動方向p番目の除電ユニットとp+1番目の除電ユニットの除電ユニット間隔
SU シートの移動方向1番目の除電ユニット
SU シートの移動方向2番目の除電ユニット
SU シートの移動方向p番目の除電ユニット
SUp+1 シートの移動方向p+1番目の除電ユニット
SU シートの移動方向n番目(最下流)の除電ユニット
EUd シートの移動方向1番目の第1の電極ユニット
EUd シートの移動方向2番目の第1の電極ユニット
EUd シートの移動方向p番目の除電ユニットの第1の電極ユニット
EUdp+1 シートの移動方向p+1番目の除電ユニットの第1の電極ユニット
EUd シートの移動方向n番目(最下流)の除電ユニットの第1の電極ユニット
EUf シートの移動方向1番目の除電ユニットの第2の電極ユニット
EUf シートの移動方向2番目の除電ユニットの第2の電極ユニット
EUf シートの移動方向p番目の除電ユニットの第2の電極ユニット
EUfp+1 シートの移動方向p+1番目の除電ユニットの第2の電極ユニット
EUf シートの移動方向n番目(最下流)の除電ユニットの第2の電極ユニット
101 (シートの第1の面の)正の静電荷
102 (シートの第1の面の)負の静電荷
201 (シートの第2の面の)正の静電荷
202 (シートの第2の面の)負の静電荷
301 正イオン
302 負イオン
500 電気力線
700 クーロン力
1−m m番目の除電ユニットにおける第1のイオン生成電極に印加する直流電圧の時間的平均値
2−m m番目の除電ユニットにおける第2のイオン生成電極に印加する直流電圧の時間的平均値
m番目の除電ユニットにおける第1のイオン生成電極に印加する直流電圧の脈動率x1−mと第2のイオン生成電極に印加する直流電圧の脈動率x2−mとの平均脈動率
m番目の除電ユニットにおけるイオン生成電極間電位差の脈動率
A−A’ 周期的帯電部の矢視
V(kV) イオン生成電極への直流印加電圧(単位:kV)
ΔV(kV) 第1のイオン生成電極電位と第2のイオン生成電極電位の差(単位:kV)
t(s):時間(単位:sec)
MD シート移動方向
TD シート幅方向
背面平衡電位波形

Claims (18)

  1. 電気絶縁性シートの移動経路に対し、該シートの移動方向に間隔をおいて設けられた少なくとも個の除電ユニットを有し、該各除電ユニットは、前記シートの第1の面側に配置された第1の電極ユニットと、前記シートの第2の面側に配置された第2の電極ユニットを有し、前記第1の電極ユニットは、第1のイオン生成電極を有し、前記第2の電極ユニットは、前記第1のイオン生成電極と対向して配置された第2のイオン生成電極を有する電気絶縁性シートの除電装置であり、前記各除電ユニットにおいて、前記第1のイオン生成電極と前記第2のイオン生成電極との間に直流のイオン生成電極間電位差が付与されており、すべての前記除電ユニットにおいて、前記シートの移動方向に隣接する前記除電ユニット同士の前記イオン生成電極間電位差が、互いに逆極性であって、前記少なくとも1組の前記除電ユニットの除電ユニット間隔が、前記少なくとも1組の前記除電ユニットのそれぞれの法線方向電極間距離の値の最大値の0.8倍以上、2.0倍以下であることを特徴とする、電気絶縁性シートの除電装置。
  2. 電気絶縁性シートの移動経路に対し、該シートの移動方向に間隔をおいて設けられた少なくとも個の除電ユニットを有し、該各除電ユニットは、前記シートの第1の面側に配置された第1の電極ユニットと、前記シートの第2の面側に配置された第2の電極ユニットを有し、前記第1の電極ユニットは、第1のイオン生成電極を有し、前記第2の電極ユニットは、前記第1のイオン生成電極と対向して配置された第2のイオン生成電極を有する電気絶縁性シートの除電装置であり、前記各除電ユニットにおいて、前記第1のイオン生成電極と前記第2のイオン生成電極とには、互いに逆極性の直流電圧が印加されることによって直流のイオン生成電極間電位差が付与されており、すべての前記除電ユニットにおいて、前記シートの移動方向に隣接する前記除電ユニット同士の前記イオン生成電極間電位差が、互いに逆極性であって、前記少なくとも1組の前記除電ユニットの除電ユニット間隔が、前記少なくとも1組の前記除電ユニットのそれぞれの法線方向電極間距離の値の最大値の0.8倍以上、2.0倍以下であることを特徴とする、電気絶縁性シートの除電装置。
  3. 電気絶縁性シートの移動経路に対し、該シートの移動方向に間隔をおいて設けられた少なくとも個の除電ユニットを有し、該各除電ユニットは、前記シートの第1の面側に配置された第1の電極ユニットと、前記シートの第2の面側に配置された第2の電極ユニットを有し、前記第1の電極ユニットは、第1のイオン生成電極を有し、前記第2の電極ユニットは、前記第1のイオン生成電極と対向して配置された第2のイオン生成電極を有する電気絶縁性シートの除電装置であり、前記各除電ユニットにおいて、前記第1のイオン生成電極と前記第2のイオン生成電極とには、いずれか片方に接地電位、他方に直流電圧が印加されること、または、互いに接地電位に対して逆極性の直流電圧が印加されることによって直流のイオン生成電極間電位差が付与されており、すべての前記除電ユニットにおいて、前記シートの移動方向に隣接する前記除電ユニット同士の前記イオン生成電極間電位差が、互いに逆極性であって、前記少なくとも1組の前記除電ユニットの除電ユニット間隔が、前記少なくとも1組の前記除電ユニットのそれぞれの法線方向電極間距離の値の最大値の0.8倍以上、2.0倍以下であることを特徴とする、電気絶縁性シートの除電装置。
  4. 電気絶縁性シートの移動経路に対し、該シートの移動方向に間隔をおいて設けられた少なくとも個の除電ユニットを有し、該各除電ユニットは、前記シートの第1の面側に配置された第1の電極ユニットと、前記シートの第2の面側に配置された第2の電極ユニットを有し、前記第1の電極ユニットは、第1のイオン生成電極を有し、前記第2の電極ユニットは、前記第1のイオン生成電極と対向して配置された第2のイオン生成電極を有する電気絶縁性シートの除電装置であり、前記各除電ユニットにおいて、所定の共通電位に対し、前記第1のイオン生成電極と前記第2のイオン生成電極には、逆極性の電位が付与されることによって、直流のイオン生成電極間電位差が付与されており、すべての前記除電ユニットにおいて、前記シートの移動方向に隣接する前記除電ユニット同士の前記イオン生成電極間電位差が、互いに逆極性であって、前記少なくとも1組の前記除電ユニットの除電ユニット間隔が、前記少なくとも1組の前記除電ユニットのそれぞれの法線方向電極間距離の値の最大値の0.8倍以上、2.0倍以下であることを特徴とする、電気絶縁性シートの除電装置。
  5. 電気絶縁性シートの移動経路に対し、該シートの移動方向に間隔をおいて設けられた少なくとも4個の除電ユニットを有し、該各除電ユニットは、前記シートの第1の面側に配置された第1の電極ユニットと、前記シートの第2の面側に配置された第2の電極ユニットを有し、前記第1の電極ユニットは、第1のイオン生成電極を有し、前記第2の電極ユニットは、前記第1のイオン生成電極と対向して配置された第2のイオン生成電極を有する電気絶縁性シートの除電装置であり、前記各除電ユニットにおいて、前記第1のイオン生成電極と前記第2のイオン生成電極とには、互いに逆極性の直流電圧が印加されることによって直流のイオン生成電極間電位差が付与されており、すべての前記除電ユニットにおいて、前記シートの移動方向に隣接する前記除電ユニット同士の前記イオン生成電極間電位差が、互いに逆極性であって、前記シートの移動方向に隣接するイオン生成電極同士によって、針先近傍の電界を相互に強め合うように、前記シートの移動方向に隣接するイオン生成電極を設けたことを特徴とする、電気絶縁性シートの除電装置。
  6. 記少なくとも1組の前記除電ユニットの除電ユニット間隔が、前記少なくとも1組の前記除電ユニットのそれぞれの法線方向電極間距離の値の最大値の0.8倍以上、2.0倍以下となるように構成されていることを特徴とする請求項に記載の電気絶縁性シートの除電装置。
  7. 記少なくとも1組の前記除電ユニットの除電ユニット間隔が、前記少なくとも1組の前記除電ユニットのそれぞれの幅寸法の値の平均値の1.0倍以上、1.5倍以下となるように構成されていることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の電気絶縁性シートの除電装置。
  8. 前記各除電ユニットの前記イオン生成電極間電位差を付与する電源として、脈動率が5%以下の直流電源を備えていることを特徴とする、請求項1〜のいずれかに記載の電気絶縁性シートの除電装置。
  9. 前記各除電ユニットよりも、前記シートの移動方向の下流側に配置され、接地導電性部材に前記電気絶縁性シートを接触させながら該電気絶縁性シートの前記接地導電性部材とは反対側の表面電位を測定する電位測定手段と、前記電位の測定値に基づいて前記各除電ユニットのうち少なくとも1つにおける前記イオン生成電極間電位差を制御可能な制御手段とを有することを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の電気絶縁性シートの除電装置。
  10. 前記各除電ユニットのうち、少なくとも前記シートの移動方向の最下流における除電ユニットの前記イオン生成電極間電位差の絶対値が、他の前記除電ユニットの前記イオン生成電極間電位差より小さいことを特徴とする、請求項1〜のいずれかに記載の電気絶縁性シートの除電装置。
  11. 前記各除電ユニットのうち、少なくとも前記シートの移動方向の最下流における除電ユニットの法線方向電極間距離が、他の前記除電ユニットの法線方向電極間距離より大きいことを特徴とする、請求項1〜10のいずれかに記載の電気絶縁性シートの除電装置。
  12. 前記各除電ユニットのうち、少なくとも前記シートの移動方向の最下流における除電ユニットの電極ずれ量が、他の除電ユニットの電極ずれ量より大きいことを特徴とする、請求項1〜11のいずれかに記載の電気絶縁性シートの除電装置。
  13. 少なくとも一つの単一の電源から、前記少なくとも4個の除電ユニットのうち、少なくとも1つの前記除電ユニットの前記第1のイオン生成電極と、前記少なくとも1つの前記除電ユニットと同数の、前記少なくとも1つの前記除電ユニットと異なる前記除電ユニットの前記第2のイオン生成電極とに、正または負の直流電圧が印加されることを特徴とする、請求項1〜12のいずれかに記載の電気絶縁性シートの除電装置。
  14. 前記シートの移動方向に対し、m番目(mは、1以上n以下の整数)の前記除電ユニットにおける前記イオン生成電極間電位差の時間的平均値をV[kV]、前記m番目の除電ユニットの法線方向電極間距離をd1-m[mm]、前記m番目の除電ユニットにおける、前記イオン生成電極間電位差の脈動率をy[%]とした場合、
    前記各除電ユニットにおいて、|V|/d1-m>0.26であり、かつ、
    ・ y≦5、および、
    (B)|V|<16、かつ、|V|/d1-m<0.35、
    で示される(A)、(B)、の少なくとも1つの条件を満たすように、請求項1〜13のいずれかに記載の除電装置を動作させて電気絶縁性シートを除電する電気絶縁性シートの除電方法。
  15. 前記各除電ユニットにおいて、前記第1のイオン生成電極と前記第2のイオン生成電極とには、互いに逆極性の直流電圧が印加されることによって直流のイオン生成電極間電位差が付与されており、前記シートの移動方向に対し、m番目(mは、1以上n以下の整数)の前記除電ユニットにおける前記第1のイオン生成電極と前記第2のイオン生成電極に印加する前記直流電圧の時間的平均値をそれぞれV1−m[kV]、V2−m[kV]、前記m番目の除電ユニットの法線方向電極間距離をd1-m[mm]、前記m番目の除電ユニットにおける前記第1のイオン生成電極に印加する前記直流電圧の脈動率と、前記第2のイオン生成電極に印加する前記直流電圧の脈動率との平均脈動率をx[%]とした場合、
    各除電ユニットにおいて、|V1−m−V2−m|/d1-m>0.26であり、かつ、
    (A)x≦5、および、
    (B)|V1−m|<8、かつ|V2−m|<8、かつ、|V1−m−V2−m|/d1-m<0.35、
    で示される(A)、(B)、の少なくとも1つの条件を満たすように、請求項1〜13のいずれかに記載の除電装置を動作させて電気絶縁性シートを除電する電気絶縁性シートの除電方法。
  16. 前記シートの移動方向に対し、m番目(mは、1以上n以下の整数)の前記除電ユニットにおける前記イオン生成電極間電位差の時間的平均値をV[kV]、前記m番目の除電ユニットの法線方向電極間距離をd1-m[mm]、前記m番目の除電ユニットにおける、前記イオン生成電極間電位差の脈動率をy[%]とした場合、
    前記各除電ユニットにおいて、|V|/d1-m>0.26であり、かつ、
    (A)y≦5、および、
    (B)|V|<16、かつ、|V|/d1-m<0.35、
    で示される(A)、(B)、の少なくとも1つの条件を満たすように、請求項1〜13のいずれかに記載の除電装置を動作させることにより、電気絶縁性シートを製造する除電済み電気絶縁性シートの製造方法。
  17. 前記m番目の除電ユニットにおける、前記第1のイオン生成電極に印加する電圧と前記第2のイオン生成電極に印加する電圧との和の振れ幅が、前記m番目の除電ユニットにおける、前記イオン生成電極間電位差の時間的平均値の絶対値の0.05倍以上、0.975倍以下であることを特徴とする、請求項16に記載の除電済み電気絶縁性シートの製造方法。
  18. 前記各除電ユニットにおいて、前記第1のイオン生成電極と前記第2のイオン生成電極とには、互いに逆極性の直流電圧が印加されることによって直流のイオン生成電極間電位差が付与されており、前記シートの移動方向に対し、m番目(mは、1以上n以下の整数)の除電ユニットにおける前記第1のイオン生成電極と前記第2のイオン生成電極に印加する前記直流電圧の時間的平均値をそれぞれV1−m[kV]、V2−m[kV]、前記m番目の除電ユニットの法線方向電極間距離をd1-m[mm]、前記m番目の除電ユニットにおける前記第1のイオン生成電極に印加する前記直流電圧の脈動率と、前記第2のイオン生成電極に印加する前記直流電圧の脈動率との平均脈動率をx[%]とした場合、
    各除電ユニットにおいて|V1−m−V2−m|/d1-m>0.26であり、かつ、
    (A)x≦5、および、
    (B)|V1−m|<8、かつ|V2−m|<8、かつ、|V1−m−V2−m|/d1-m<0.35、
    で示される(A)、(B)、の少なくとも1つの条件を満たすように、請求項1〜13のいずれかに記載の除電装置を動作させることにより、電気絶縁性シートを製造する除電済み電気絶縁性シートの製造方法。
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