JP3658828B2 - 重合体フィルムの帯電処理方法と装置および重合体フィルムロールの製造方法 - Google Patents

重合体フィルムの帯電処理方法と装置および重合体フィルムロールの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は重合体フィルムの帯電処理、特に、巻取時または巻取後の重合体フィルムロールの端面ずれ、巻き崩れ、巻出時の重合体フィルムの蛇行を防止する重合体フィルムの帯電処理方法と装置および重合体フィルムロールの製造に関する。
【0002】
【従来の技術】
重合体フィルムロールの端面ずれ、蛇行を防止するために、従来より、重合体フィルムの耳部など幅方向の一部に表面処理を施すことが知られている。この表面処理は、エンボス加工、縞状の凸部形成などをフィルムに施し、フィルム同士間の摩擦係数を増大せしめ、フィルム同士間の密着性を高めるものである。
【0003】
しかし、これらの表面処理では、充分な滑り止め効果が得られず、フィルムの端面ずれが発生することが多い。また、フィルムへの圧力の調整が難しく、製膜条件、フィルム厚みなどによって変更する必要がある。さらに、同一条件下でも部品の経時変化などで圧力が変わり、フィルムに穴を開けコンタミの問題を生じることがある。
【0004】
上記の機械的処理による不具合を改善するための処理方法として、特開昭51−46354号公報、特開昭51−71351号公報、特開昭51−71352号公報に開示された帯電処理方法がある。これらの方法は、フィルムの片側の耳部または両側の耳部の一部分に静電気を印加し、ロール状に巻かれたフィルムと新たに巻き付けるべきフィルムとが静電気の作用により密着するように滑り止め処理を施すものである。
【0005】
しかし、これらの公知の帯電処理方法は次の問題がある。すなわち、
(A)特開昭51−71351号公報などに開示された方法では、フィルムの片面しか帯電していないために、静電気力が弱く十分な滑り止め効果が得られない。
【0006】
フィルム同士の間に十分な静電気付着力を与えるためには、フィルムの1つの面に正または負の電荷を与え、もう1つの面にそれと逆極性の電荷を与える必要がある。以降、フィルムのこのような帯電状態を両面両極性帯電と呼ぶ。
【0007】
(B)特開昭51−46354号公報、特開昭51−71351号公報および特開昭51−71352号公報に開示された方法では、針電極に高電圧を印加しコロナ放電をさせ、コロナ放電で作られたイオンを利用してフィルムの帯電処理を施している。針電極を用いる方法は、次のような問題点がある。
【0008】
a.針電極の先端が劣化してコロナ放電が不安定であり、帯電効果に経時変化が起きる。
【0009】
b.印加電圧が高すぎると異常放電が起こるために、印加電圧の制限で帯電レベルの限界がある。
【0010】
c.帯電レベルはフィルムの移動速度によって変化する。
【0011】
d.印加電圧は通常3〜20KVであるので、取扱いの際、高電圧に対する安全上の対策が不可欠である。
【0012】
上記(A)の問題を解決するための帯電処理方法として、特開昭57−57152号公報に開示された帯電処理方法がある。この方法は、巻き取られる絶縁性フィルム状体を介して互いに所定の間隔をおいて対向した正電極と負電極とを備え、両電極に電界が形成され、その電界によってフィルム状体の上面と下面とが互いに異極に帯電されることを特徴としている。しかし、このような帯電方法には次の問題がある。印加電圧は約1〜10KVであり、上記(B)の問題は解決されていない。
【0013】
一方、コロナ放電式以外の帯電方法として、特開昭63−149669号公報、特公平5−16033号公報および特開昭63−208878号公報などに開示された接触方式がある。これは、電子写真分野装置の感光体の帯電を、交流および直流成分を有する電源が接続されたローラなどの電極によって行なうものである。ローラ電極により感光体表面に対して数100V以上の電圧を印加すると、ローラ電極に印加した電圧に比例した電位が感光体表面に付与される。しかし、感光体表面の帯電は片面の帯電であり、この帯電方法だけでは重合体フィルムの両面に異極性の電荷を与えることができない。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の第1の目的は、上記の問題を解決し、重合体フィルムに充分な両面両極性電荷を与える処理を効率的でかつ安定に施す重合体フイルムの帯電処理方法および装置を提供する。
【0015】
本発明の第2の目的は、上記の問題を解決し、重合体フィルムをロール状に巻き取るに際し、フィルム端部の滑りを防止するために充分な静電気帯電を安定に行なってから巻き取る重合体フイルムの巻取方法および装置を提供する。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するための本発明の構成は以下の通りである。
【0017】
(1)重合体フィルムの面に対して電圧を印加された放電電極により前記電圧と同極性に帯電処理を施した後、該面の帯電電荷により該重合体フィルムの面に、前記面の帯電電荷とは逆極性の電荷を与えることを特徴とする重合体フィルムの帯電処理方法。
【0018】
(2)重合体フィルムの面を接地導電性ローラの部位に密着させ、面を電圧を印加された放電電極により前記電圧と同極性に帯電させた後、前記重合体フィルムを前記接地導電性ローラ面より剥離させることにより、該重合体フィルムの面に、面の帯電電荷とは逆極性の電荷を与えることを特徴とする重合体フィルムの帯電処理方法。
【0019】
(3)重合体フィルムの面を接地導電性ローラの部位に密着させ、面に電圧を印加された放電電極を接触または近接させて前記電圧と同極性に30μC/m2 以上の表面電荷密度に帯電させた後、前記重合体フィルムを前記接地導電性ローラ面より剥離させることにより、該重合体フィルムの面に面の帯電と逆極性の電荷を与えることを特徴とする重合体フィルムの帯電処理方法。
【0020】
(4)前記放電電極として、前記重合体フィルムの上面に接触する帯電用ローラを用いることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の重合体フィルムの帯電処理方法。
【0021】
(5)前記放電電極に、400V〜2,500Vの範囲の直流電圧、実効値400V〜2,500Vの範囲の交流電圧、または400V〜2,500Vの範囲の直流電圧に400V〜2,500Vの範囲の交流電圧を加えた脈動電圧のいずれかを印加することを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の重合体フィルムの帯電処理方法。
【0022】
(6)重合体フィルムの片側端部または両端部に対して帯電処理を行うことを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載の重合体フィルムの帯電処理方法。
【0023】
(7)(1)〜(6)のいずれかに記載の重合体フィルムの帯電処理後の重合体フィルムを巻き取ることを特徴とする重合体フィルムロールの製造方法。
【0024】
(8)重合体フィルムの下面と接触しながら前記重合体フィルムを搬送する導電性搬送手段と、電圧印加手段と、該導電性搬送手段と接触し前記重合体フィルムの上面を前記電圧印加手段の電圧と同極性に帯電処理する放電電極とを設けたことを特徴とする重合体フィルムの帯電処理装置。
【0025】
(9)重合体フィルムの下面と接触しながら前記重合体フィルムを搬送する搬送手段としての導電性のガイドローラと、該ガイドローラに密着している重合体フィルムの上面に接触または近接して設けた放電電極と、該放電電極と前記ガイドローラとの間に直流電圧または交流電圧を印加可能な直流電圧源または交流電圧源とを備えてなる重合体フィルムの帯電処理装置であって、前記放電電極は、前記直流電圧源または交流電圧源と同極性に前記重合体フィルムの上面を帯電可能に構成されていることを特徴とする重合体フィルムの帯電処理装置。
【0026】
(10)前記放電電極として表面に抵抗率10 4 Ωcm以上10 8 Ωcm以下の導電性ゴム層を有するローラを用いることを特徴とする(8)または(9)に記載の重合体フィルムの帯電処理装置。
【0027】
(11)放電電極が、重合体フィルムの片側端部または両端部に対して帯電処理するものであることを特徴とする(8)〜(10)のいずれかに記載の重合体フィルムの帯電処理装置。
【0028】
(12)(8)〜(11)のいずれかの重合体フィルムの帯電処理装置に、巻取り手段を備えたことを特徴とする重合体フィルムの巻取装置。
【0029】
【発明の実施の形態】
本発明における重合体フィルムは、付与される電荷が短時間(電荷が付与されてより巻き取られる間での時間)の内に散逸してしまわない限り、全ての重合体フィルムに適用できる。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレートなどに代表されるポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレンなどに代表されるポリオレフイン、ポリ塩化ビニール、ポリ塩化ビニリデンなどに代表されるポリビニール、ポリアミド、芳香族ポリアミド、ポリフェニレンサルファイドなどからなるフィルムが適用できる。
【0030】
さらに、磁性塗料などの塗料の塗布、あるいは印刷加工、蒸着加工、他種フィルムとのラミネート加工などの2次加工が施されたシート状のフィルムに対しても少なくともその片面において電荷が短時間に散逸してしまわない限り適用できる。
【0031】
以下、図面を参照しながら本発明の一実施様態について詳細に説明する。
【0032】
本発明の一実施様態に用いる装置の構成図を図1に示す。
【0033】
重合体(ポリエチレンテレフタレート)フィルム1は、接地された金属製のガイドローラ2を含む多数のローラにより左方向から右方向へ搬送され、最終的にフィルムロール6に巻き取られる。フィルムロール6は反時計回り、ガイドローラ2は時計回りに回転する。ここでは、放電電極として帯電用ローラ3を用い、金属ガイドローラ2に当接した(フィルムを挟んで)ニップローラとして配置されている。
【0034】
帯電用ローラ3は金属軸に導電性ゴムを被覆したものであり、負極性の直流電圧−Va を供給する直流電源4に接続されており、また、ガイドローラ2は接地されている。なお、フィルムの全幅に対して帯電処理を行う必要はなく、フィルム幅方向において数mm〜数十mmの範囲での帯電で充分な密着効果をもたらす。図1に示す実施様態では、帯電用ローラ3の幅は10mmである。
【0035】
重合体フィルムのプロセスにおいて、本発明の放電電極の設置位置は特別な制限がない。例えば、図1のように接地されたガイドローラ2および放電電極である帯電用ローラ3を用いる場合、これらのローラの直径や、重合体フィルム1の巻き付け角度は特別な制限がない。また、帯電の原理からガイドローラ2および帯電用ローラ3が回転しなくても重合体フィルムが移動すれば帯電させることができる。
【0036】
さらに、負の直流電圧以外に、正の直流電圧もしくは交流電圧を用いることもできる。また、上記の実施態様においては放電電極として導電性ゴムの被覆を有するローラをフィルムに接触する形で用いたが、金属ローラや導電性ブラシなどを電極として用い、フィルムに接触または接近させることによっても同様の作用を実現することができる。ただし、ローラ電極を用いた場合、フィルム面との放電のために適切なギャップが自動的に得られるという点が導電ブラシなどを用いる場合に比べて優れている。
【0037】
次に、図2を用いてこの装置によりフィルムを帯電させる動作を説明する。
【0038】
図2は、図1における帯電処理部の拡大図である。
【0039】
フィルムを帯電させる動作は、帯電用ローラ3によるフィルム上面の帯電と、フィルムがガイドローラ2から剥離される際に起きるフィルム下面の帯電の2段階である。図2に示す例では、負の直流電圧4に接続されている帯電用ローラ3とフィルムの間で微小放電が起き、フィルムの上面が負に帯電し、さらに、フィルムがガイドローラ2から剥離された際に両者の間に放電(以降、剥離放電と呼ぶ)が起き、フィルムの下面が正に帯電する。すなわち、フィルムが両面両極性帯電となる。
フィルムが両面両極性帯電しているために、上下に重なったときにフィルムどうしの間に静電気付着力が生じる。
【0040】
フィルムの下面が導電性を有する場合、フィルムがガイドローラ2から剥離された際に両者の間に放電が起きない。しかし、フィルムの下面に上面電荷と同量の逆極性誘導電荷が生じるために、上下に重なったときにフィルムどうしの間に静電気付着力が生じる。
【0041】
以上のように、重合体フィルムの片面(上面)に対して電圧を印加された放電電極を接触または近接させて帯電処理を施した後、上面の帯電電荷による放電または誘導電荷を利用して該重合体フィルムの下面に上面帯電と逆極性の電荷を与えることができる。
【0042】
両面両極性帯電フィルム間の静電気付着力fは、次式によって近似的に計算できる。
【0043】
f=σ2 /2ε0 [N/m2 ] ……▲1▼
ただし、2枚のフィルム間の距離をゼロとし、σは表面電荷密度、ε0 は真空中の誘電率である。静電気付着力は表面電荷密度の2乗に比例することから、重合体フィルムの両面に適度な電荷密度の両極性電荷を与えれば充分な密着効果および端面ずれ防止効果が得られる。
【0044】
帯電用ローラ3による重合体フィルム1の上面帯電と剥離放電による下面帯電は同じ原理によるものであり、ともに数10μm〜数100μmの空隙中の放電現象が帯電に寄与している。空隙における絶縁破壊電圧はパッシェンの法則により計算できる。また、これまでの研究から重合体フィルムの表面電荷密度が30μC/m2 以上になると剥離放電が発生することがわかる。
【0045】
ここではローラ3による帯電について詳しく説明する。
【0046】
空隙における絶縁破壊電圧はパッシェンの法則により計算される。大気圧中では空隙にかかる電圧がある値(400V程度)を越えると、フィルムの帯電電位は印加電圧の増加に比例して増加する。従って、数10μmの空隙中の放電現象による帯電では、数100Vという低い印加電圧を用いて帯電の制御ができる。また、帯電の原理から言えば、放電電極をフィルム面に接触させる必要はない。ただし、ローラによる方法では、フィルム面と放電部位との距離が0mmの状態(ローラがフィルムに接触)からローラの半径に匹敵する距離までの状態を滑らかに連続的につくることができる。したがって、放電が起こる数10μmの間隔が上記連続的な距離変化の中で形成されるため、この間隔を意識的に高精度に保つ必要がない。すなわち、ローラなどの電極をフィルム面に接触させることにより、ローラの一部分とフィルムの間に数十μmの空隙は容易に形成される。ローラのこの部分のみでパッシェンの法則にしたがって放電が起き、ローラの他の部分では電荷の移動が起こらないために、一定な間隔を保つことと同じ効果が得られる。
【0047】
導電ゴム層の被覆された金属ローラのような導電性曲面表面を有する部材を放電電極とする場合の放電の様子は次のように説明される。
【0048】
放電による電荷移動が起きる電極部分の拡大図を図3に示す。
【0049】
帯電用ローラ3とフィルム1間の空隙(放電ギャップ)にかかる電圧Vg は、
g =(Va −Vc )Z/(Ls /Ks +Z) ……▲2▼
で表される。ここでVa は印加電圧、Vc はフィルム表面の帯電電位、Zは放電ギャップ、Ls はフィルムの厚み、Ks はフィルムの比誘電率を表す。後に図4に示すように、Zのオーダは数10μmであるためにローラ3の半径よりもはるかに小さい。
【0050】
空隙における放電破壊電圧Vb はパッシェンの法則により次の一次式で近似される。
【0051】
b =312+6.2Z ……▲3▼
g 、Vb をZの関数としてプロットした曲線の一例を図4に示す。
【0052】
図4に示すように、Va −Vc がある値を超えるとVg >Vb となり、ローラとフィルム間の空隙で放電が起きる。放電が起きるVa −Vc の最小値を放電開始印加電圧Vthと呼ぶ。Vthは、Vg =Vb とおいたZの2次式で、判別式が0になる条件で求められる。次に、Vthのいくつかの例を表1と表2に示す。
【0053】
表1はPETフィルム(比誘電率3)の場合の放電開始印加電圧Vthを示し、表2はPPフィルム(比誘電率2.2)の場合の放電開始印加電圧Vthを示す。
【表1】
Figure 0003658828
【表2】
Figure 0003658828
表1および表2に示すような種々のフィルムに対して、放電電極への印加電圧がそれぞれのVthよりも高ければフィルムの表面を帯電させることができる。
【0054】
本発明の帯電方法において、重合体フィルムを帯電できる最低印加電圧は約400Vである。一方の最大印加電圧は、重合体フィルム自身の絶縁破壊強さに依存している。重合体フィルムの絶縁破壊強さは重合体フィルムの材質や、環境の温度によって異なるが、数100V/μmのオーダである。本発明の帯電方法および巻取り方法において、重合体フィルムの厚さや、移動速度によって印加電圧を厳密に調整する必要はない。実用的な帯電レベルを得るために、400V〜2,500Vの印加電圧範囲が好ましい。
【0055】
次に、導電性ゴムのような電気抵抗をもつ電極を用いる効果を説明する。
【0056】
フィルムにピンホールがあるとき、ピンホールの部分で空気の絶縁破壊が起き帯電用ローラ3からガイドローラに通ずる導電路が形成される。これを異常放電と呼ぶ。また、フィルムが破れた時、帯電用ローラ3がガイドローラ2と直接に導通する、いわゆる短絡である。このような場合、帯電用ローラ3およびガイドローラ2の表面は局部への集中電流によって破損する。
【0057】
ピンホールでの異常放電またはフィルムが破れた時の短絡が起こらずにかつ高速で帯電ができる適正な電極条件(主に電気抵抗)は次のように考えられる。
【0058】
ピンホールでの異常放電等を防止するため、すなわちピンホールで帯電用ローラ3からガイドローラ2に通ずる導電路が形成しても大きな電流が流れないために、放電電極の電気抵抗がある値以上であるのが好ましい。一方、帯電効果の要求から、正常の状態で電極での電圧降下が小さい方がよい。電極での電圧降下が電極の電気抵抗値に比例するので、放電電極の電気抵抗が小さい方がよい。
【0059】
本発明の好ましい態様においては、放電電極である帯電用ローラとして抵抗率104 〜108 Ωcmの導電性ゴムを表面層として有するローラ(ゴム被覆ローラ)を使用する。導電性ゴムは、EPDM(エチレンプロピレンゴム)、CR(クロロプレンゴム)などの弾性ゴムにカーボンを分散させたものなどであるが、上記のような導電性と適当な弾性を有する素材ならばなんでもよい。このような複合体は、一般に非オーム伝導を示している。すなわち、電流−電圧関係は直線ではない。
【0060】
本発明におけるゴム被覆ローラの電気抵抗は次のような方法で測定する。
【0061】
アルミニウムシートをローラの表面に接触させ、アルミニウムシートとローラ軸(表面の導電性ゴム層と電気的に接続されておればどこでもよい)との間に電圧を印加して電流を測定する。アルミニウムシートとローラの接触面積は10mm×5mmとする。
【0062】
上記の方法で得られたゴム被覆ローラの電流−電圧関係の例を図5に示す。
【0063】
電流−電圧関係は直線ではないので、ローラの電気抵抗は一定な値をもたない。印加電圧の増加に伴って抵抗値が大幅に減少する。本発明における導電ゴム層の抵抗率は印加電圧が100Vの条件で測定した平均抵抗値(印加電圧を電流で除したもの)から求められたものである。
【0064】
【実施例】
実施例1
図1に示す装置において、幅3.5mの数種類の二軸延伸されたポリエチレンテレフタレートフィルムを巻取った。帯電用ローラ3は、直径100mm、幅10mmであり、厚さ3mm、電気抵抗率2×106 Ωcmの導電性ネオプレン、ハイパロン、EPDMなどのゴム層を表層としたものである。帯電用ローラ3への印加電圧は−1.3KV〜−1.9KVの範囲である。ガイドローラ2は、直径350mmで、表面にハードクロムメッキされたスチール製ローラである。フィルムの移動速度は200m/分〜300m/分である。
【0065】
印加電圧、電流の測定値および端面ズレ等の結果を表3に示す。
【0066】
【表3】
Figure 0003658828
表3に示すように、本発明の帯電方法で重合体フィルムを帯電させることにより充分な密着効果および端面ずれ防止効果が得られた。
【0067】
比較例1
機械ナール
(1) 条件
フィルム端部の表面処理:溝状に、温度90℃にてエンボス加工
フィルムの厚さ(タイプ)、製膜速度は実施例1と同一である。
【0068】
(2) 巻きズレの結果
巻替え時、フィルムロール表層約50mの長さにおいて、幅方向最大5cmのズレが発生した。
【0069】
比較例2
針電極タイプ静電ナール
(1) 条件
電極の形:針電極3本、フィルムとの間隔:5mm
印加電圧:3〜20KV、電流:0.1〜0.5mA
フィルムの厚さ(タイプ)、製膜速度は実施例1と同一である。
【0070】
(2) 結果
5KVの印加電圧では十分な効果が得られなかった。
【0071】
15KVの印加電圧では電極から火花放電が発生した。
【0072】
実施例1と同じ効果を出すのに、電極掃除が1回/5日必要であり、電極が消耗して3ヶ月で交換が必要であった。
【0073】
【発明の効果】
以上のように本発明は、上記の構成とすることにより、
イ)重合体フィルムの両面に適度な電荷密度の両極性電荷を与えることができ、これにより充分な密着効果および端面ずれ防止効果が得られる。
【0074】
ロ)また、2,500V以下という比較的に低い印加電圧(従来は3KV〜20KV)で、従来の技術よりも安定に重合体フィルムを帯電させることができる。 ハ)さらに、比較的に簡易で安価な設備で確実に帯電することができる。
【0075】
ニ)さらにまた、重合体フィルムのピンホールでの異常放電またはフィルムが破れた時の短絡が起こらずにかつ高速で帯電させることがができる。
【0076】
ホ)また、フィルムを巻き取る際の端面ずれや巻き換えの際の端面ずれが発生しない重合体フィルムの巻取り方法、装置とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施様態例に用いる装置の構成図である。
【図2】帯電が起きる電極部分の拡大図である。
【図3】重合体の上面を帯電させる電極部分の拡大図である
【図4】放電開始電圧と放電ギャップとの関係を示す図である。
【図5】ゴム被覆ローラの電流−電圧関係測定結果の例を示す図である。
【符号の説明】
1:重合体フィルム
2:ガイドローラ( 接地導電性ローラ、搬送手段 )
3:帯電用ローラ(放電電極
3a:帯電用ローラの芯金
3b:帯電用ローラの表面層
4:直流電圧源
5:コンタクトローラ
6:巻取りロール

Claims (12)

  1. 重合体フィルムの面に対して電圧を印加された放電電極により前記電圧と同極性に帯電処理を施した後、該面の帯電電荷により該重合体フィルムの面に、前記面の帯電電荷とは逆極性の電荷を与えることを特徴とする重合体フィルムの帯電処理方法。
  2. 重合体フィルムの面を接地導電性ローラの部位に密着させ、面を電圧を印加された放電電極により前記電圧と同極性に帯電させた後、前記重合体フィルムを前記接地導電性ローラ面より剥離させることにより、該重合体フィルムの面に、面の帯電電荷とは逆極性の電荷を与えることを特徴とする重合体フィルムの帯電処理方法。
  3. 重合体フィルムの面を接地導電性ローラの部位に密着させ、面に電圧を印加された放電電極を接触または近接させて前記電圧と同極性に30μC/m2 以上の表面電荷密度に帯電させた後、前記重合体フィルムを前記接地導電性ローラ面より剥離させることにより、該重合体フィルムの面に面の帯電と逆極性の電荷を与えることを特徴とする重合体フィルムの帯電処理方法。
  4. 前記放電電極として、前記重合体フィルムの上面に接触する帯電用ローラを用いることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の重合体フィルムの帯電処理方法。
  5. 前記放電電極に、400V〜2,500Vの範囲の直流電圧、実効値400V〜2,500Vの範囲の交流電圧、または400V〜2,500Vの範囲の直流電圧に400V〜2,500Vの範囲の交流電圧を加えた脈動電圧のいずれかを印加することを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の重合体フィルムの帯電処理方法。
  6. 重合体フィルムの片側端部または両端部に対して帯電処理を行うことを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の重合体フィルムの帯電処理方法。
  7. 請求項1〜のいずれかに記載の重合体フィルムの帯電処理後の重合体フィルムを巻き取ることを特徴とする重合体フィルムロール製造方法。
  8. 重合体フィルムの下面と接触しながら前記重合体フィルムを搬送する導電性搬送手段と、電圧印加手段と、該導電性搬送手段と接触している前記重合体フィルムの上面前記電圧印加手段の電圧と同極性に帯電処理する放電電極とを設けたことを特徴とする重合体フィルムの帯電処理装置。
  9. 重合体フィルムの下面と接触しながら前記重合体フィルムを搬送する搬送手段としての導電性のガイドローラ、該ガイドローラに密着している重合体フィルムの上面に接触または近接して設けた放電電極と、該放電電極と前記ガイドローラとの間に直流電圧または交流電圧を印加可能な直流電圧源または交流電圧源とを備えてなる重合体フィルムの帯電処理装置であって、前記放電電極は、前記直流電圧源または交流電圧源と同極性に前記重合体フィルムの上面を帯電可能に構成されていることを特徴とする重合体フィルムの帯電処理装置。
  10. 前記放電電極として表面に抵抗率104 Ωcm以上108 Ωcm以下の導電性ゴム層を有するローラを用いることを特徴とする請求項またはに記載の重合体フィルムの帯電処理装置。
  11. 放電電極が、重合体フィルムの片側端部または両端部に対して帯電処理するものであることを特徴とする請求項10のいずれかに記載の重合体フィルムの帯電処理装置。
  12. 請求項11のいずれかの重合体フィルムの帯電処理装置に、巻取り手段を備えたことを特徴とする重合体フィルムの巻取装置。
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