JPH0922792A - 片面導電層付きフィルムの帯電制御方法および帯電制御装置ならびに片面導電層付きフィルムの製造方法 - Google Patents
片面導電層付きフィルムの帯電制御方法および帯電制御装置ならびに片面導電層付きフィルムの製造方法Info
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- JPH0922792A JPH0922792A JP16752095A JP16752095A JPH0922792A JP H0922792 A JPH0922792 A JP H0922792A JP 16752095 A JP16752095 A JP 16752095A JP 16752095 A JP16752095 A JP 16752095A JP H0922792 A JPH0922792 A JP H0922792A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 片面導電層付きフィルムの絶縁面側の帯電制
御を均一に、効率良く行なう方法および装置を提供する
こと。 【構成】 走行中の片面導電層付きフィルムの絶縁面側
に、前記導電層に対して直流電圧を印加された放電電極
を接触または接近させることにより片面導電層付きフィ
ルムの帯電制御を行なう。
御を均一に、効率良く行なう方法および装置を提供する
こと。 【構成】 走行中の片面導電層付きフィルムの絶縁面側
に、前記導電層に対して直流電圧を印加された放電電極
を接触または接近させることにより片面導電層付きフィ
ルムの帯電制御を行なう。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、絶縁性のフィルムに片
面に導電層を形成した片面導電層付きフィルムの帯電制
御方法および帯電制御装置ならびに片面導電層付きフィ
ルムの製造方法に関する。
面に導電層を形成した片面導電層付きフィルムの帯電制
御方法および帯電制御装置ならびに片面導電層付きフィ
ルムの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】片面導電層付きフィルムの生産および加
工工程においては、工程中に接触するローラ等のさまざ
まな物体との接触、摩擦により、フィルムの絶縁面側
(導電層が形成されていない側)に好ましくない帯電が
しばしば発生する。
工工程においては、工程中に接触するローラ等のさまざ
まな物体との接触、摩擦により、フィルムの絶縁面側
(導電層が形成されていない側)に好ましくない帯電が
しばしば発生する。
【0003】このような場合に、片面導電層付きフィル
ムを密着して重ねたときに、2枚のフィルム間の静電気
付着力は次のように近似的に計算できる。
ムを密着して重ねたときに、2枚のフィルム間の静電気
付着力は次のように近似的に計算できる。
【0004】
【数1】 ここで、、σは表面電荷密度、ε0 は真空中の誘電率で
ある。
ある。
【0005】式(1) から、静電気力の理論値は表面電荷
密度σの自乗に比例することがわかる。たとえば、σ=
50μC/m 2 の場合静電気付着力は約1g/cm2 である
が、σ=400 μC/ m2 の場合静電気付着力は100 g/
cm2 となる。100 g/cm2 のような大きい付着力に
よってフィルムが密着している場合は、フィルム同士の
滑り性が低すぎるために、加工工程において種々のトラ
ブル(たとえば巻き姿不良、加工する際の位置ズレ)が
発生しやすい。
密度σの自乗に比例することがわかる。たとえば、σ=
50μC/m 2 の場合静電気付着力は約1g/cm2 である
が、σ=400 μC/ m2 の場合静電気付着力は100 g/
cm2 となる。100 g/cm2 のような大きい付着力に
よってフィルムが密着している場合は、フィルム同士の
滑り性が低すぎるために、加工工程において種々のトラ
ブル(たとえば巻き姿不良、加工する際の位置ズレ)が
発生しやすい。
【0006】一方、フィルムが全く帯電していない場合
は、滑り性が高すぎるために、巻取り横ズレや輸送中の
フィルム同士の滑りなどの品質問題が発生する。
は、滑り性が高すぎるために、巻取り横ズレや輸送中の
フィルム同士の滑りなどの品質問題が発生する。
【0007】適度な滑り性を得るために、静電気帯電レ
ベルを制御することは重要であるが、これまでに片面に
導電層を有する絶縁性フィルムの帯電を制御する有効な
手段はほとんどなかった。
ベルを制御することは重要であるが、これまでに片面に
導電層を有する絶縁性フィルムの帯電を制御する有効な
手段はほとんどなかった。
【0008】従来のフィルム帯電制御方法としてコロナ
放電式除電法が知られている。その原理は以下のとおり
である。すなわち、帯電物体の近傍においてコロナ除電
器によって正と負のイオンを発生させると、これらイオ
ンのうち帯電物体と逆極性のイオンのみが帯電物体のほ
うへ移動して帯電物体の表面に付着し、帯電物体は電気
的に中和されるというものである。
放電式除電法が知られている。その原理は以下のとおり
である。すなわち、帯電物体の近傍においてコロナ除電
器によって正と負のイオンを発生させると、これらイオ
ンのうち帯電物体と逆極性のイオンのみが帯電物体のほ
うへ移動して帯電物体の表面に付着し、帯電物体は電気
的に中和されるというものである。
【0009】しかし、この従来の除電方法では片面導電
層付きフィルムの帯電制御が困難であった。その理由は
次のように考えられる。片面導電層付きフィルムでは絶
縁面側と導電層側との間の静電容量は通常100pF/
cm2 のオーダであり、非常に大きい。このため、帯電
電荷密度が高くても発生する電位差は非常に小さい(た
とえば、厚さ20μmの金属蒸着PETフィルム、σ=40
0 μC/ m2 の場合電位は約300 Vであり、無蒸着フィ
ルムの数KV〜数10KVよりはるかに小さい)。した
がって、帯電物体の電荷による電気的吸引作用がほとん
ど発生せず、帯電物体の帯電制御は困難であった。
層付きフィルムの帯電制御が困難であった。その理由は
次のように考えられる。片面導電層付きフィルムでは絶
縁面側と導電層側との間の静電容量は通常100pF/
cm2 のオーダであり、非常に大きい。このため、帯電
電荷密度が高くても発生する電位差は非常に小さい(た
とえば、厚さ20μmの金属蒸着PETフィルム、σ=40
0 μC/ m2 の場合電位は約300 Vであり、無蒸着フィ
ルムの数KV〜数10KVよりはるかに小さい)。した
がって、帯電物体の電荷による電気的吸引作用がほとん
ど発生せず、帯電物体の帯電制御は困難であった。
【0010】一方、コロナ放電式以外の帯電制御方法と
して、特開昭63−149669号公報、特公平5−1
6033号公報および特開昭63−208878号公報
等に開示された接触方式がある。これは、電子写真分野
装置の感光体の帯電を、交流および直流成分を有する電
源が接続されたローラなどの電極によって行なうもので
ある。ローラ電極により感光体表面に対して数100V
の以上の電圧を印加すると、ローラ電極に印加した電圧
に比例した電位が感光体表面に付与される。
して、特開昭63−149669号公報、特公平5−1
6033号公報および特開昭63−208878号公報
等に開示された接触方式がある。これは、電子写真分野
装置の感光体の帯電を、交流および直流成分を有する電
源が接続されたローラなどの電極によって行なうもので
ある。ローラ電極により感光体表面に対して数100V
の以上の電圧を印加すると、ローラ電極に印加した電圧
に比例した電位が感光体表面に付与される。
【0011】ところが、上記電子写真プロセスの接触帯
電法を片面導電層付きフィルムの帯電制御に応用するこ
とは、以下の理由により困難であった。すなわち、片面
導電層付きフィルムに限らず、一般にプラスティックフ
ィルムの製造プロセスは電子写真プロセスよりも速度が
数倍〜20倍程度速い。したがって、上記従来の技術で
用いられる「交流+直流」の脈動電圧を印加すると極端
に高い周波数の高電圧を印加しなければ帯電むらが発生
する。しかも、前述のように絶縁面側と導電層側との静
電容量が大きいために、高周波電源に対してはインピー
ダンスが低くなり非常に大きい電流が必要となる。
電法を片面導電層付きフィルムの帯電制御に応用するこ
とは、以下の理由により困難であった。すなわち、片面
導電層付きフィルムに限らず、一般にプラスティックフ
ィルムの製造プロセスは電子写真プロセスよりも速度が
数倍〜20倍程度速い。したがって、上記従来の技術で
用いられる「交流+直流」の脈動電圧を印加すると極端
に高い周波数の高電圧を印加しなければ帯電むらが発生
する。しかも、前述のように絶縁面側と導電層側との静
電容量が大きいために、高周波電源に対してはインピー
ダンスが低くなり非常に大きい電流が必要となる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明の第1の目的
は、上記の問題を解決し、容易に片面導電層付きフィル
ムの帯電量を効率良く均一に制御できる片面導電層付き
フィルムの帯電制御方法および帯電制御装置を提供する
ことにある。
は、上記の問題を解決し、容易に片面導電層付きフィル
ムの帯電量を効率良く均一に制御できる片面導電層付き
フィルムの帯電制御方法および帯電制御装置を提供する
ことにある。
【0013】本発明の第2の目的は、両極性帯電の発生
した片面導電層付きフィルムの帯電制御を効率的に行な
う方法を提供することにある。
した片面導電層付きフィルムの帯電制御を効率的に行な
う方法を提供することにある。
【0014】本発明の第3の目的は、帯電レベルを制御
することにより、フィルムの加工工程に適している滑り
性をもつ片面導電層付きフィルムの製造方法を提供する
ことにある。
することにより、フィルムの加工工程に適している滑り
性をもつ片面導電層付きフィルムの製造方法を提供する
ことにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めの本発明の骨子は以下の通りである。
めの本発明の骨子は以下の通りである。
【0016】本発明の片面導電層付きフィルムの帯電制
御方法は、走行中の片面導電層付きフィルムの絶縁面側
に、前記導電層に対して直流電圧を印加された放電電極
を接触または接近させることを特徴としている。
御方法は、走行中の片面導電層付きフィルムの絶縁面側
に、前記導電層に対して直流電圧を印加された放電電極
を接触または接近させることを特徴としている。
【0017】また、本発明の片面導電層付きフィルムの
帯電制御方法の別の態様は、走行中の片面導電層付きフ
ィルムの絶縁面側に、前記導電層に対して異なる極性の
直流電圧を印加された複数の放電電極を接触または接近
させることを特徴としている。
帯電制御方法の別の態様は、走行中の片面導電層付きフ
ィルムの絶縁面側に、前記導電層に対して異なる極性の
直流電圧を印加された複数の放電電極を接触または接近
させることを特徴としている。
【0018】また、本発明の片面導電層付きフィルムの
帯電制御方法の好ましい態様は、前記放電電極として表
面に抵抗率106 Ωcm以上107 Ωcm以下の導電性
ゴム層を有するローラを用いることを特徴としている。
帯電制御方法の好ましい態様は、前記放電電極として表
面に抵抗率106 Ωcm以上107 Ωcm以下の導電性
ゴム層を有するローラを用いることを特徴としている。
【0019】また、本発明の片面導電層付きフィルムの
帯電制御方法の好ましい態様は、前記フィルムとして導
電面側の両側端部に幅1mm以上の非導電性マージン部
を有するものを用い、かつ、前記放電電極として表面に
抵抗率105 Ωcm以上107 Ωcm以下の導電性ゴム
層を有するローラを用いることを特徴としている。
帯電制御方法の好ましい態様は、前記フィルムとして導
電面側の両側端部に幅1mm以上の非導電性マージン部
を有するものを用い、かつ、前記放電電極として表面に
抵抗率105 Ωcm以上107 Ωcm以下の導電性ゴム
層を有するローラを用いることを特徴としている。
【0020】また、本発明の片面導電層付きフィルムの
帯電制御装置は、片面導電層付きフィルムの搬送手段
と、該搬送手段により搬送されるべき片面導電層付きフ
ィルムの絶縁面側に接触または接近可能な放電電極と、
該放電電極と前記導電層との間に直流電圧を印加可能な
直流電圧源とを備えてなることを特徴としている。
帯電制御装置は、片面導電層付きフィルムの搬送手段
と、該搬送手段により搬送されるべき片面導電層付きフ
ィルムの絶縁面側に接触または接近可能な放電電極と、
該放電電極と前記導電層との間に直流電圧を印加可能な
直流電圧源とを備えてなることを特徴としている。
【0021】また、本発明の片面導電層付きフィルムの
製造方法は、絶縁性フィルムを走行させながら該絶縁性
フィルムの片面に導電層を形成し、該絶縁性フィルムの
絶縁面側に前記導電層に対して直流電圧を印加された放
電電極を接触または接近させながら前記絶縁性フィルム
の絶縁面側の帯電量を制御することを特徴としている。
製造方法は、絶縁性フィルムを走行させながら該絶縁性
フィルムの片面に導電層を形成し、該絶縁性フィルムの
絶縁面側に前記導電層に対して直流電圧を印加された放
電電極を接触または接近させながら前記絶縁性フィルム
の絶縁面側の帯電量を制御することを特徴としている。
【0022】
【作用】以下、図面を参照しながら本発明を金属蒸着絶
縁性フィルムの電荷制御および滑り制御に適用した場合
の一実施様態について詳細に説明する。
縁性フィルムの電荷制御および滑り制御に適用した場合
の一実施様態について詳細に説明する。
【0023】本発明の一実施様態に用いる装置の構成図
を図1に示す。プラスチックフィルム10の表面に接触
するように帯電制御用ローラ12をガイドローラの一つ
として配置しており、フィルム10上に形成された導電
層たる金属蒸着層11には金属ガイドローラ14を接触
させている。金属蒸着プラスチックフィルム10は図示
しない多数のローラにより左方向から右方向へ搬送され
ている。蒸着フィルムの移動に伴って帯電制御用ローラ
12は反時計回り、金属ガイドローラ14は時計回りに
回転する。帯電制御用ローラ12は金属軸に導電性ゴム
を被覆したものであり、正極性の直流電圧Va を供給す
る直流電源13に接続されている。また、金属ガイドロ
ーラ14は接地されている。フィルムの金属蒸着層11
は金属ガイドローラ14に接触しており、電気的には接
地されている。したがって、フィルム10上の金属蒸着
層11に対してフィルム10の絶縁面側は帯電制御ロー
ラ12に接触する部位近傍において直流電圧Va が印加
された状態となる。
を図1に示す。プラスチックフィルム10の表面に接触
するように帯電制御用ローラ12をガイドローラの一つ
として配置しており、フィルム10上に形成された導電
層たる金属蒸着層11には金属ガイドローラ14を接触
させている。金属蒸着プラスチックフィルム10は図示
しない多数のローラにより左方向から右方向へ搬送され
ている。蒸着フィルムの移動に伴って帯電制御用ローラ
12は反時計回り、金属ガイドローラ14は時計回りに
回転する。帯電制御用ローラ12は金属軸に導電性ゴム
を被覆したものであり、正極性の直流電圧Va を供給す
る直流電源13に接続されている。また、金属ガイドロ
ーラ14は接地されている。フィルムの金属蒸着層11
は金属ガイドローラ14に接触しており、電気的には接
地されている。したがって、フィルム10上の金属蒸着
層11に対してフィルム10の絶縁面側は帯電制御ロー
ラ12に接触する部位近傍において直流電圧Va が印加
された状態となる。
【0024】また、本発明の別の実施態様に用いる装置
の構成図を図3に示す。この態様においては、帯電制御
用ローラ12は、巻取ロール15に当接したニップロー
ラとして配置されている。この態様においては帯電制御
用ローラ12は接地されており、一方金属ガイドローラ
14には直流電源13が負極性の直流電圧−Va を印加
するように接続されている。したがって、図1の態様と
同様にフィルム10上の金属蒸着層11に対してフィル
ム10の絶縁面側は帯電制御ローラ12に接触する部位
近傍において直流電圧Va が印加された状態となる。
の構成図を図3に示す。この態様においては、帯電制御
用ローラ12は、巻取ロール15に当接したニップロー
ラとして配置されている。この態様においては帯電制御
用ローラ12は接地されており、一方金属ガイドローラ
14には直流電源13が負極性の直流電圧−Va を印加
するように接続されている。したがって、図1の態様と
同様にフィルム10上の金属蒸着層11に対してフィル
ム10の絶縁面側は帯電制御ローラ12に接触する部位
近傍において直流電圧Va が印加された状態となる。
【0025】また、本発明の別の実施態様に用いる装置
の構成図を図4に示す。この態様においては、帯電制御
用ローラ12は、金属ガイドローラ14に当接したニッ
プローラとして配置されている。この態様においては帯
電制御用ローラ12と金属ガイドローラ14との間には
直流電源13が接続されており、フィルム10上の金属
蒸着層11に対してフィルム10の絶縁面側は帯電制御
用ローラ12に接触する部位近傍において直流電圧Va
が印加されるようになっている。
の構成図を図4に示す。この態様においては、帯電制御
用ローラ12は、金属ガイドローラ14に当接したニッ
プローラとして配置されている。この態様においては帯
電制御用ローラ12と金属ガイドローラ14との間には
直流電源13が接続されており、フィルム10上の金属
蒸着層11に対してフィルム10の絶縁面側は帯電制御
用ローラ12に接触する部位近傍において直流電圧Va
が印加されるようになっている。
【0026】上記のように、蒸着フィルムのプロセスに
おいて、帯電制御用ローラの設置位置は特別な制限がな
い。また、直流電源の接続方法も図1、図3および図4
のいずれのような態様によってよく、フィルム上の導電
層に対してフィルムの絶縁面側に一定の直流電圧を印加
できればよい。また、上記の各実施態様においては放電
電極として導電性ゴムの被覆を有するローラをフィルム
に接触する形で用いたが、導電性ブラシ等を電極として
用い、フィルムに接触または接近させることによっても
同様の作用を実現することができる。ただし、ガイドロ
ーラやニップローラを兼用することにより部材の数を減
じることができるほか、フィルム面との放電のために適
切なギャップが自動的に得られるという点が導電ブラシ
等を用いる場合に比べて優れている。
おいて、帯電制御用ローラの設置位置は特別な制限がな
い。また、直流電源の接続方法も図1、図3および図4
のいずれのような態様によってよく、フィルム上の導電
層に対してフィルムの絶縁面側に一定の直流電圧を印加
できればよい。また、上記の各実施態様においては放電
電極として導電性ゴムの被覆を有するローラをフィルム
に接触する形で用いたが、導電性ブラシ等を電極として
用い、フィルムに接触または接近させることによっても
同様の作用を実現することができる。ただし、ガイドロ
ーラやニップローラを兼用することにより部材の数を減
じることができるほか、フィルム面との放電のために適
切なギャップが自動的に得られるという点が導電ブラシ
等を用いる場合に比べて優れている。
【0027】次に、この装置により蒸着フィルムの電荷
を制御する動作を説明する。負に帯電したフィルムがゴ
ム被覆ガイドに接近する際に両者の間に存在する微小な
空隙において放電が起き、フィルム表面へ正の電荷が移
動する。フィルムへ移動する正電荷の量(あるいは電
流)は印加電圧の値に依存している。印加電圧に応じて
フィルムの負の初期帯電は正の電荷により中和(除電)
され、または所定の帯電レベルに制御される。そして、
フィルムの滑り抵抗力も所定のレベルに制御される。
を制御する動作を説明する。負に帯電したフィルムがゴ
ム被覆ガイドに接近する際に両者の間に存在する微小な
空隙において放電が起き、フィルム表面へ正の電荷が移
動する。フィルムへ移動する正電荷の量(あるいは電
流)は印加電圧の値に依存している。印加電圧に応じて
フィルムの負の初期帯電は正の電荷により中和(除電)
され、または所定の帯電レベルに制御される。そして、
フィルムの滑り抵抗力も所定のレベルに制御される。
【0028】なお、フィルムの滑り抵抗力は図7に示す
方法により測定する。巻きとられたフィルムロールから
フィルム20を巻きほどき、約20cmたるんだ状態で
再びフィルムロールの図の左肩部に約1/4周密着した
状態をつくる。フィルム20の端部を治具21によりプ
ッシュプルゲージ22に固定する(図7(b) )。この状
態でおよそ100cm/minの速度で水平に引っ張
り、フィルム20がロールの左肩からすべり始めるとき
の最大張力を滑り抵抗力とする。
方法により測定する。巻きとられたフィルムロールから
フィルム20を巻きほどき、約20cmたるんだ状態で
再びフィルムロールの図の左肩部に約1/4周密着した
状態をつくる。フィルム20の端部を治具21によりプ
ッシュプルゲージ22に固定する(図7(b) )。この状
態でおよそ100cm/minの速度で水平に引っ張
り、フィルム20がロールの左肩からすべり始めるとき
の最大張力を滑り抵抗力とする。
【0029】フィルムが正の初期帯電している場合に
は、前述した印加電圧の極性を逆にすればよい。
は、前述した印加電圧の極性を逆にすればよい。
【0030】この帯電制御方法は、いわゆる「接触帯電
方法」であり、数10μmの空隙中の放電現象が帯電に
寄与しているので数100Vという低い印加電圧を用い
て帯電制御ができる。空隙における放電破壊電圧はパッ
シェンの法則により計算される。したがって、帯電・除
電の原理から言えば放電電極をフィルム面に接触させる
必要はない。ただし、ローラによる方法では、フィルム
面と放電部位との距離が0mmの状態(ローラがフィル
ムに接触)からローラの半径に匹敵する距離までの状態
を滑らかに連続的につくることができる。したがって、
放電が起こる数10μmの間隔の場合が上記連続的な状
態のいずれかに該当するため、この間隔を意識的に高精
度に保つ必要がない。すなわち、ローラなどの電極をフ
ィルム面に接触させることにより、ローラの一部分とフ
ィルムの間に数十μmの空隙は容易に形成される。ロー
ラのこの部分のみでパッシェンの法則にしたがって放電
が起き、ローラの他の部分では電荷の移動が起こらない
ために、一定な間隔を保つことと同じ効果が得られる。
方法」であり、数10μmの空隙中の放電現象が帯電に
寄与しているので数100Vという低い印加電圧を用い
て帯電制御ができる。空隙における放電破壊電圧はパッ
シェンの法則により計算される。したがって、帯電・除
電の原理から言えば放電電極をフィルム面に接触させる
必要はない。ただし、ローラによる方法では、フィルム
面と放電部位との距離が0mmの状態(ローラがフィル
ムに接触)からローラの半径に匹敵する距離までの状態
を滑らかに連続的につくることができる。したがって、
放電が起こる数10μmの間隔の場合が上記連続的な状
態のいずれかに該当するため、この間隔を意識的に高精
度に保つ必要がない。すなわち、ローラなどの電極をフ
ィルム面に接触させることにより、ローラの一部分とフ
ィルムの間に数十μmの空隙は容易に形成される。ロー
ラのこの部分のみでパッシェンの法則にしたがって放電
が起き、ローラの他の部分では電荷の移動が起こらない
ために、一定な間隔を保つことと同じ効果が得られる。
【0031】直流電圧を使用する理由は次の通りであ
る。第1に、蒸着フィルムの接触、摩擦帯電では、フィ
ルム面が単一極性に帯電している場合が少なくない。し
たがって、このような場合、帯電の極性と逆極性の直流
電圧を印加することにより除電処理ができる。第2に、
前述したように、蒸着フィルムプロセスの速度や電極系
(静電容量が大きい)の制限により交流電圧の使用はで
きない。一方で、帯電または除電の均一性の要求は電子
写真のような画像形成技術に比べて、蒸着フィルムの場
合それほど厳しくない。ここでは、重要なことは高速で
蒸着フィルムの電荷制御を行なうことである。直流電圧
を使用することにより、安価な設備で確実に電荷の制御
ができる。
る。第1に、蒸着フィルムの接触、摩擦帯電では、フィ
ルム面が単一極性に帯電している場合が少なくない。し
たがって、このような場合、帯電の極性と逆極性の直流
電圧を印加することにより除電処理ができる。第2に、
前述したように、蒸着フィルムプロセスの速度や電極系
(静電容量が大きい)の制限により交流電圧の使用はで
きない。一方で、帯電または除電の均一性の要求は電子
写真のような画像形成技術に比べて、蒸着フィルムの場
合それほど厳しくない。ここでは、重要なことは高速で
蒸着フィルムの電荷制御を行なうことである。直流電圧
を使用することにより、安価な設備で確実に電荷の制御
ができる。
【0032】導電ゴム層の被覆された金属ローラのよう
な導電性曲面表面を有する部材を放電電極とする場合の
放電の様子は次のように説明される。
な導電性曲面表面を有する部材を放電電極とする場合の
放電の様子は次のように説明される。
【0033】放電による電荷移動が起きる電極部分の拡
大図を図2に示す。
大図を図2に示す。
【0034】除電用ローラと蒸着フィルム間の空隙(放
電ギャップ)にかかる電圧Vg は、
電ギャップ)にかかる電圧Vg は、
【数2】 で表される。ここでVa は印加電圧、Vc は蒸着フィル
ムの帯電電位、Zは放電ギャップ、Ls は蒸着フィルム
誘電体層厚み、Ks は蒸着フィルム誘電体層の比誘電率
を表す。後に図5に示すように、Zのオーダは数10μ
mであるためにローラの半径よりもはるかに小さい。
ムの帯電電位、Zは放電ギャップ、Ls は蒸着フィルム
誘電体層厚み、Ks は蒸着フィルム誘電体層の比誘電率
を表す。後に図5に示すように、Zのオーダは数10μ
mであるためにローラの半径よりもはるかに小さい。
【0035】空隙における放電破壊電圧Vb はパッシェ
ンの法則により次の一次式で近似される。
ンの法則により次の一次式で近似される。
【0036】
【数3】 Vg 、Vb をZの関数としてプロットした曲線の一例を
図5に示す。図5に示すように、Va −Vc がある値を
超えるとVg >Vb となり、ローラとフィルム間の空隙
で放電が起きる。放電が起きるVa −Vc の最小値を放
電開始印加電圧Vthと呼ぶ。Vthは、Vg =Vb とおい
たZの2次式で、判別式が0になる条件で求められる。
次に、Vthのいくつかの例を表1と表2に示す。
図5に示す。図5に示すように、Va −Vc がある値を
超えるとVg >Vb となり、ローラとフィルム間の空隙
で放電が起きる。放電が起きるVa −Vc の最小値を放
電開始印加電圧Vthと呼ぶ。Vthは、Vg =Vb とおい
たZの2次式で、判別式が0になる条件で求められる。
次に、Vthのいくつかの例を表1と表2に示す。
【0037】
【表1】
【表2】 片面導電層付きフィルムの絶縁面側が正と負の電荷の両
方をもっている場合、1つの極性の印加電圧では完全な
電荷制御ができない。フィルムの製造工程においては、
往々にして正負の極性が短い周期で交互に繰り返すよう
な帯電パターンが発生する場合がある。この場合、正負
の極性のイオンを発生するコロナ放電などにより上記帯
電を中和することが試みられてきたが、前述のようにフ
ィルムの絶縁面側と導電層側との間の静電容量が大きい
ためにフィルムの表面電位の絶対値が大きくならず、ま
た、電気力線が上記正負の帯電パターン内で閉じてしま
うために外部からのイオンを引き付けることがより困難
となる。
方をもっている場合、1つの極性の印加電圧では完全な
電荷制御ができない。フィルムの製造工程においては、
往々にして正負の極性が短い周期で交互に繰り返すよう
な帯電パターンが発生する場合がある。この場合、正負
の極性のイオンを発生するコロナ放電などにより上記帯
電を中和することが試みられてきたが、前述のようにフ
ィルムの絶縁面側と導電層側との間の静電容量が大きい
ためにフィルムの表面電位の絶対値が大きくならず、ま
た、電気力線が上記正負の帯電パターン内で閉じてしま
うために外部からのイオンを引き付けることがより困難
となる。
【0038】このような場合、図8に示すように放電電
極(図では帯電制御用ローラ12および16)を複数設
け、それぞれにフィルム上の導電層に対して正および負
の極性を有する直流電圧を印加するように構成する。こ
の構成によれば、フィルムの絶縁面側は導電層に対して
正及び負の両方の直流電圧を印加され、上記のような正
負の極性を交互に繰り返すような帯電パターンに対して
も有効な帯電制御を行なうことができる。図8の態様に
おいても、個々の帯電制御用ローラ(電極)は図1、3
および4の態様のようにガイドローラ、ニップローラ等
のいずれのローラと兼用しても良く、別途設けてもよ
い。また、直流電圧の印加方法も、上記各態様に示され
た方法のいずれを用いても良く、他の態様を用いてもよ
い。
極(図では帯電制御用ローラ12および16)を複数設
け、それぞれにフィルム上の導電層に対して正および負
の極性を有する直流電圧を印加するように構成する。こ
の構成によれば、フィルムの絶縁面側は導電層に対して
正及び負の両方の直流電圧を印加され、上記のような正
負の極性を交互に繰り返すような帯電パターンに対して
も有効な帯電制御を行なうことができる。図8の態様に
おいても、個々の帯電制御用ローラ(電極)は図1、3
および4の態様のようにガイドローラ、ニップローラ等
のいずれのローラと兼用しても良く、別途設けてもよ
い。また、直流電圧の印加方法も、上記各態様に示され
た方法のいずれを用いても良く、他の態様を用いてもよ
い。
【0039】フィルムエッジでの異常放電が起こらずに
かつ高速で帯電・除電ができる適正な電極条件(主に電
気抵抗)は次のように考えられる。フィルムエッジでの
異常放電を防止するため、すなわちフィルムのエッジで
放電電極が導電層に通ずる導電路が形成しても大きな電
流が流れないために、放電電極の電気抵抗がある値以上
であるのが好ましい。一方、帯電・除電効果の要求か
ら、放電電極の電気抵抗が小さい方がよい。
かつ高速で帯電・除電ができる適正な電極条件(主に電
気抵抗)は次のように考えられる。フィルムエッジでの
異常放電を防止するため、すなわちフィルムのエッジで
放電電極が導電層に通ずる導電路が形成しても大きな電
流が流れないために、放電電極の電気抵抗がある値以上
であるのが好ましい。一方、帯電・除電効果の要求か
ら、放電電極の電気抵抗が小さい方がよい。
【0040】本発明の好ましい態様においては、放電電
極として抵抗率106 〜107 Ωcmの導電性ゴムを表面層
として有するローラ(ゴム被覆ローラ)を使用する。ま
た、フィルムの両側端部に幅1mm以上のマージン部
(非導電性の表面を有する部位であり、導電層が初めか
ら形成されないものや、導電層に重ねて絶縁層を形成し
たものがある。)が存在する場合には抵抗率105 〜107
Ωcmのゴム被覆ローラを使用してもよい。導電性ゴム
とは、EPDM(エチレンプロピレンゴム)、CR(ク
ロロプレンゴム)等の弾性ゴムにカーボンを分散させた
ものなどであるが、上記のような導電性と適当な弾性を
有する素材ならばなんでもよい。このような複合体は、
一般に非オーム伝導を示している。すなわち、電流−電
圧関係は直線ではない。本発明で言う「ゴム被覆ローラ
の電気抵抗」は次のような方法で測定する。アルミニウ
ム蒸着層付きフィルムのアルミニウム層をローラの表面
に接触させ、アルミニウム層とローラ軸(表面の導電性
ゴム層と電気的に接続されておればどこでもよい)との
間に電圧を印加して電流を測定する。アルミニウム層と
ローラの接触面積は20mm×5mmとする。
極として抵抗率106 〜107 Ωcmの導電性ゴムを表面層
として有するローラ(ゴム被覆ローラ)を使用する。ま
た、フィルムの両側端部に幅1mm以上のマージン部
(非導電性の表面を有する部位であり、導電層が初めか
ら形成されないものや、導電層に重ねて絶縁層を形成し
たものがある。)が存在する場合には抵抗率105 〜107
Ωcmのゴム被覆ローラを使用してもよい。導電性ゴム
とは、EPDM(エチレンプロピレンゴム)、CR(ク
ロロプレンゴム)等の弾性ゴムにカーボンを分散させた
ものなどであるが、上記のような導電性と適当な弾性を
有する素材ならばなんでもよい。このような複合体は、
一般に非オーム伝導を示している。すなわち、電流−電
圧関係は直線ではない。本発明で言う「ゴム被覆ローラ
の電気抵抗」は次のような方法で測定する。アルミニウ
ム蒸着層付きフィルムのアルミニウム層をローラの表面
に接触させ、アルミニウム層とローラ軸(表面の導電性
ゴム層と電気的に接続されておればどこでもよい)との
間に電圧を印加して電流を測定する。アルミニウム層と
ローラの接触面積は20mm×5mmとする。
【0041】上記の方法で得られたゴム被覆ローラの電
流−電圧関係の例を図6に示す。電流−電圧関係は直線
ではないので、ローラの電気抵抗は一定な値をもたな
い。印加電圧の増加に伴って抵抗値が大幅に減少する。
本発明でいう導電ゴム層の抵抗率は印加電圧が100V
の条件で測定した平均抵抗値(印加電圧を電流で除した
もの)から求められたものである。
流−電圧関係の例を図6に示す。電流−電圧関係は直線
ではないので、ローラの電気抵抗は一定な値をもたな
い。印加電圧の増加に伴って抵抗値が大幅に減少する。
本発明でいう導電ゴム層の抵抗率は印加電圧が100V
の条件で測定した平均抵抗値(印加電圧を電流で除した
もの)から求められたものである。
【0042】実施例に示すように、金属ローラや、電気
抵抗値が小さいゴム層を被覆したローラを放電電極とし
て使用すると、フィルムエッジでの異常放電が起き、異
常放電によってフィルムエッジでの蒸着膜の一部分が抜
ける(蒸着層の一部分がなくなる)ことがある。一方、
ゴム被覆層の電気抵抗値が大きすぎると、電流が流れず
蒸着フィルムの電荷制御が困難となる場合がある。
抵抗値が小さいゴム層を被覆したローラを放電電極とし
て使用すると、フィルムエッジでの異常放電が起き、異
常放電によってフィルムエッジでの蒸着膜の一部分が抜
ける(蒸着層の一部分がなくなる)ことがある。一方、
ゴム被覆層の電気抵抗値が大きすぎると、電流が流れず
蒸着フィルムの電荷制御が困難となる場合がある。
【0043】また、フィルムの両側端部にマージン部が
設けられている場合に電気抵抗の小さなゴム被覆ローラ
を用いると、導電層の破損は発生しにくくなるが、フィ
ルムの絶縁面側に過剰な電荷が供給されて強い帯電が生
じることがある。これは次のような原因によると考えら
れる。図5に示すように、初期帯電レベルが高いときに
はVa −Vc は放電開始電圧よりも高くなることがある
(たとえば、Va −Vc =700Vの場合)。このとき
に、パッシェンの条件を満たす放電電極部位とフィルム
面との距離(放電ギャップ)の範囲が広くなり、比較的
長い放電ギャップ(たとえば、60μm)で放電が発生
する場合がある。放電ギャップが短い場合は一度の放電
による電荷移動は少なく、放電が微弱なものとなるため
放電停止電圧と開始電圧がほぼ一致する。一方、放電ギ
ャップが長いときは放電が停止するまでに比較的大量の
電荷がフィルム面に供給されるのである。
設けられている場合に電気抵抗の小さなゴム被覆ローラ
を用いると、導電層の破損は発生しにくくなるが、フィ
ルムの絶縁面側に過剰な電荷が供給されて強い帯電が生
じることがある。これは次のような原因によると考えら
れる。図5に示すように、初期帯電レベルが高いときに
はVa −Vc は放電開始電圧よりも高くなることがある
(たとえば、Va −Vc =700Vの場合)。このとき
に、パッシェンの条件を満たす放電電極部位とフィルム
面との距離(放電ギャップ)の範囲が広くなり、比較的
長い放電ギャップ(たとえば、60μm)で放電が発生
する場合がある。放電ギャップが短い場合は一度の放電
による電荷移動は少なく、放電が微弱なものとなるため
放電停止電圧と開始電圧がほぼ一致する。一方、放電ギ
ャップが長いときは放電が停止するまでに比較的大量の
電荷がフィルム面に供給されるのである。
【0044】
実施例1 片面導電層付きフィルムとして実測厚さ19μmのAl
蒸着PETフィルムを用いてこのフィルムの帯電制御を
行なった。フィルムの幅は200mmであり、初期帯電
レベルは最大約−400V(帯電電荷−560μC/m
2 )である。
蒸着PETフィルムを用いてこのフィルムの帯電制御を
行なった。フィルムの幅は200mmであり、初期帯電
レベルは最大約−400V(帯電電荷−560μC/m
2 )である。
【0045】図3に示す電極配置において、蒸着面に−
580Vの直流電圧を印加して、巻取ロール上にて接地
されているゴムニップローラによって除電した。使用し
たニップローラは、直径100mm、ゴム層抵抗率10
6 Ωcm、ゴム層厚さ15mmの導電性CRゴム被覆ロ
ーラである。フィルムの移動速度が18m/min、3
0m/minおよび60m/minの三条件で帯電制御
テストを行なった。
580Vの直流電圧を印加して、巻取ロール上にて接地
されているゴムニップローラによって除電した。使用し
たニップローラは、直径100mm、ゴム層抵抗率10
6 Ωcm、ゴム層厚さ15mmの導電性CRゴム被覆ロ
ーラである。フィルムの移動速度が18m/min、3
0m/minおよび60m/minの三条件で帯電制御
テストを行なった。
【0046】このニップローラでは、フィルムエッジで
の異常放電と膜抜けが起こらずに蒸着フィルムの除電が
できた。帯電制御後のフィルム電位は0V〜+100V
であり、粒状の帯電痕は全く見られなかった。また、帯
電制御効果がフィルムの移動速度にほとんど依存してい
ない。
の異常放電と膜抜けが起こらずに蒸着フィルムの除電が
できた。帯電制御後のフィルム電位は0V〜+100V
であり、粒状の帯電痕は全く見られなかった。また、帯
電制御効果がフィルムの移動速度にほとんど依存してい
ない。
【0047】上記につき、帯電蒸着PETフィルムを帯
電制御してから巻取り、帯電制御前後におけるフィルム
どうしの滑り抵抗力(摩擦力)およびフィルムロールの
巻き姿を調べた。
電制御してから巻取り、帯電制御前後におけるフィルム
どうしの滑り抵抗力(摩擦力)およびフィルムロールの
巻き姿を調べた。
【0048】帯電制御前のフィルムの平均電荷密度はお
よそ−400μC/m2 であり、幅200mm、約1/
4リールあたりの滑り抵抗力は13kg〜16kgの範
囲であった。また、巻き取ったフィルムロールに多数の
シワが発生していた。一方、帯電制御後のフィルムの電
荷密度は100μC/m2 以下となり、幅200mm、
約1/4リールあたりの滑り抵抗力は100gのオーダ
となり、巻き取ったフィルムロールにはシワが発生しな
かった。この例では、蒸着フィルムの帯電レベルをその
初期レベルの1/4に下げた結果、滑り不良および巻き
姿不良問題は発生しなかった。このように、加工工程に
応じて適度の滑り性をもつ蒸着フィルムを得ることがで
きた。
よそ−400μC/m2 であり、幅200mm、約1/
4リールあたりの滑り抵抗力は13kg〜16kgの範
囲であった。また、巻き取ったフィルムロールに多数の
シワが発生していた。一方、帯電制御後のフィルムの電
荷密度は100μC/m2 以下となり、幅200mm、
約1/4リールあたりの滑り抵抗力は100gのオーダ
となり、巻き取ったフィルムロールにはシワが発生しな
かった。この例では、蒸着フィルムの帯電レベルをその
初期レベルの1/4に下げた結果、滑り不良および巻き
姿不良問題は発生しなかった。このように、加工工程に
応じて適度の滑り性をもつ蒸着フィルムを得ることがで
きた。
【0049】実施例2 フィルムの両側端部に1mmのマージン部を有するほか
は上記と同様のフィルムの帯電制御を行なった。図1に
示す電極配置を用い、帯電制御用ローラとして直径60
mm、ゴム層抵抗率105 Ωcm、ゴム層厚さ10mm
のEPDMゴムを表面に被覆したゴム被覆ローラを用い
た。帯電制御用ローラへの直溜飲か電圧は+580Vと
し、フィルムの移動速度は30m/minおよび60m
/minとした。
は上記と同様のフィルムの帯電制御を行なった。図1に
示す電極配置を用い、帯電制御用ローラとして直径60
mm、ゴム層抵抗率105 Ωcm、ゴム層厚さ10mm
のEPDMゴムを表面に被覆したゴム被覆ローラを用い
た。帯電制御用ローラへの直溜飲か電圧は+580Vと
し、フィルムの移動速度は30m/minおよび60m
/minとした。
【0050】帯電制御後のフィルムの絶縁面の電位は−
10〜+50Vであり、上記と同様の良好な帯電特性が
得られた。
10〜+50Vであり、上記と同様の良好な帯電特性が
得られた。
【0051】実施例3 実施例1と同様のフィルムが正負の極性が交互に繰り返
される帯電パターンを付与されたものの帯電制御を行な
った。図8に示す電極配置を用い、帯電制御ローラの導
電面に対する電圧を−580Vおよび+580Vとして
除電した。使用したローラは、直径100mm、ゴム層
抵抗率107 Ωcm、ゴム層厚さ15mmの導電性CRゴ
ム被覆ローラである。フィルムの移動速度が18m/m
in、30m/minおよび60m/minの三条件で
帯電制御テストを行なった。
される帯電パターンを付与されたものの帯電制御を行な
った。図8に示す電極配置を用い、帯電制御ローラの導
電面に対する電圧を−580Vおよび+580Vとして
除電した。使用したローラは、直径100mm、ゴム層
抵抗率107 Ωcm、ゴム層厚さ15mmの導電性CRゴ
ム被覆ローラである。フィルムの移動速度が18m/m
in、30m/minおよび60m/minの三条件で
帯電制御テストを行なった。
【0052】帯電制御前の帯電パターンは消滅し、除電
後のフィルム電位は0V〜+100Vであり、粒状の帯
電痕は全く見られなかった。
後のフィルム電位は0V〜+100Vであり、粒状の帯
電痕は全く見られなかった。
【0053】実施例4 図1に示す電極配置において、帯電制御用ローラ12と
して直径60mm、ゴム層抵抗率104 Ωcm、ゴム層
厚さ2mmのEPDMゴム被覆ローラ、および直径58
mmのクロムメッキ鉄ローラを使用した。フィルムの移
動速度は30m/minである。
して直径60mm、ゴム層抵抗率104 Ωcm、ゴム層
厚さ2mmのEPDMゴム被覆ローラ、および直径58
mmのクロムメッキ鉄ローラを使用した。フィルムの移
動速度は30m/minである。
【0054】上記の何れのローラを使用した場合も次の
結果となった。
結果となった。
【0055】+580Vの印加電圧で除電したところ、
大半の領域で電位が+40V〜+130Vで電荷分布が
均一な領域となった。ただ、ごく一部に+300V〜+
500Vで粒状の電荷パターンをもつ強い帯電領域が現
れることがあった。また、フィルムエッジで異常放電が
起き、それによる蒸着膜抜けも発生した場合もあった。
大半の領域で電位が+40V〜+130Vで電荷分布が
均一な領域となった。ただ、ごく一部に+300V〜+
500Vで粒状の電荷パターンをもつ強い帯電領域が現
れることがあった。また、フィルムエッジで異常放電が
起き、それによる蒸着膜抜けも発生した場合もあった。
【0056】実施例5 図3に示す電極配置において、蒸着面に−580Vの直
流電圧を印加して、巻取ロール上にて接地されているゴ
ムニップローラによって除電した。使用したニップロー
ラは、直径100mm、ゴム層抵抗値108 Ω、ゴム層
厚さ15mmのNBR(ニトリルゴム)ゴム被覆ローラ
である。フィルムの移動速度は15m/minおよび3
0m/minである。
流電圧を印加して、巻取ロール上にて接地されているゴ
ムニップローラによって除電した。使用したニップロー
ラは、直径100mm、ゴム層抵抗値108 Ω、ゴム層
厚さ15mmのNBR(ニトリルゴム)ゴム被覆ローラ
である。フィルムの移動速度は15m/minおよび3
0m/minである。
【0057】帯電制御の後にフィルムの電位等を測定し
た。フィルムの移動速度が15m/minの場合には帯
電制御の効果が表れた。一方、フィルムの移動速度が3
0m/min場合には十分に帯電制御できない場合もあ
った。
た。フィルムの移動速度が15m/minの場合には帯
電制御の効果が表れた。一方、フィルムの移動速度が3
0m/min場合には十分に帯電制御できない場合もあ
った。
【0058】比較例 春日電機製KER除電器(コロナ放電除電器)を使用し
たほかは実施例1と同一の条件で帯電制御した。印加電
源は周波数60Hz、電圧7kV(rms)であり、設
置距離は25mmである。フィルムの移動速度60m/
minである。
たほかは実施例1と同一の条件で帯電制御した。印加電
源は周波数60Hz、電圧7kV(rms)であり、設
置距離は25mmである。フィルムの移動速度60m/
minである。
【0059】静電電位計で測定した結果、除電後の電位
は除電前と同じであった。これにより、従来のコロナ放
電式除電方法では蒸着フィルムの電荷中和ができなかっ
た。
は除電前と同じであった。これにより、従来のコロナ放
電式除電方法では蒸着フィルムの電荷中和ができなかっ
た。
【0060】
【発明の効果】以上のように本発明によれは、蒸着フィ
ルムに代表される片面導電層付きフィルムに導電層に対
して直流電圧を印加された放電電極を接触または接近さ
せることにより、高速で走行する片面導電層付きフィル
ムの絶縁面側を効率良く均一に帯電制御することができ
る。また、フィルムエッジでの異常放電による膜抜けを
生じることが少なく、各部所定電位で帯電処理されるこ
とができた。また、片面導電層付きフィルムの帯電制御
ができない従来のコロナ放電式除電器に代えて、導電性
ゴムを被覆した金属ローラに数百Vという低い直流電圧
を印加する安価な帯電制御装置を実用化することが可能
となった。また、フィルムの加工工程に応じて適度の滑
り性をもつ蒸着フィルムを得ることができた。
ルムに代表される片面導電層付きフィルムに導電層に対
して直流電圧を印加された放電電極を接触または接近さ
せることにより、高速で走行する片面導電層付きフィル
ムの絶縁面側を効率良く均一に帯電制御することができ
る。また、フィルムエッジでの異常放電による膜抜けを
生じることが少なく、各部所定電位で帯電処理されるこ
とができた。また、片面導電層付きフィルムの帯電制御
ができない従来のコロナ放電式除電器に代えて、導電性
ゴムを被覆した金属ローラに数百Vという低い直流電圧
を印加する安価な帯電制御装置を実用化することが可能
となった。また、フィルムの加工工程に応じて適度の滑
り性をもつ蒸着フィルムを得ることができた。
【図1】本発明の一実施様態例に用いる装置の構成図で
ある。
ある。
【図2】放電による電荷移動が起きる電極部分の拡大図
である。
である。
【図3】本発明の別の一実施様態例に用いる装置の構成
図である。
図である。
【図4】本発明の別の一実施様態に用いる装置の構成図
である。
である。
【図5】放電開始電圧と放電ギャップとの関係を示す図
である。
である。
【図6】ゴム被覆ローラの電流−電圧関係測定結果の例
を示す図である。
を示す図である。
【図7】蒸着フィルムの滑り抵抗力の測定方法を説明す
る図である。
る図である。
【図8】本発明の別の一実施様態に用いる装置の構成図
である。
である。
10:プラスチックフィルム 11:金属蒸着層 12:ゴム被覆ローラ 13:直流電源 14:金属ローラ 15:巻取りロール 20:片面導電層付きフィルム 21:フィルム固定治具 22:プッシュプルゲージ Va :ゴム被覆ローラの印加電圧 Vc :蒸着フィルムの帯電電位 Z:ゴム被覆ローラとフィルム間の空隙距離(放電ギャ
ップ) Vg :放電ギャップにかかる電圧 Ls :蒸着フィルム誘電体層厚み Ks :蒸着フィルム誘電体層の比誘電率 Vb :空隙における放電破壊電圧
ップ) Vg :放電ギャップにかかる電圧 Ls :蒸着フィルム誘電体層厚み Ks :蒸着フィルム誘電体層の比誘電率 Vb :空隙における放電破壊電圧
Claims (6)
- 【請求項1】 走行中の片面導電層付きフィルムの絶縁
面側に、前記導電層に対して直流電圧を印加された放電
電極を接触または接近させることを特徴とする片面導電
層付きフィルムの帯電制御方法。 - 【請求項2】 走行中の片面導電層付きフィルムの絶縁
面側に、前記導電層に対して異なる極性の直流電圧を印
加された複数の放電電極を接触または接近させることを
特徴とする片面導電層付きフィルムの帯電制御方法。 - 【請求項3】 前記放電電極として表面に抵抗率106
Ωcm以上107 Ωcm以下の導電性ゴム層を有するロ
ーラを用いることを特徴とする請求項1または2に記載
の片面導電層付きフィルムの帯電制御方法。 - 【請求項4】 前記フィルムとして導電面側の両側端部
に幅1mm以上の非導電性マージン部を有するものを用
い、かつ、前記放電電極として表面に抵抗率105 Ωc
m以上107 Ωcm以下の導電性ゴム層を有するローラ
を用いることを特徴とする請求項1または2に記載の片
面導電層付きフィルムの帯電制御方法。 - 【請求項5】 片面導電層付きフィルムの搬送手段と、
該搬送手段により搬送されるべき片面導電層付きフィル
ムの絶縁面側に接触または接近可能な放電電極と、該放
電電極と前記導電層との間に直流電圧を印加可能な直流
電圧源とを備えてなることを特徴とする片面導電層付き
フィルムの帯電制御装置。 - 【請求項6】 絶縁性フィルムを走行させながら該絶縁
性フィルムの片面に導電層を形成し、該絶縁性フィルム
の絶縁面側に前記導電層に対して直流電圧を印加された
放電電極を接触または接近させながら前記絶縁性フィル
ムの絶縁面側の帯電量を制御することを特徴とする片面
導電層付きフィルムの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP16752095A JPH0922792A (ja) | 1995-07-03 | 1995-07-03 | 片面導電層付きフィルムの帯電制御方法および帯電制御装置ならびに片面導電層付きフィルムの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP16752095A JPH0922792A (ja) | 1995-07-03 | 1995-07-03 | 片面導電層付きフィルムの帯電制御方法および帯電制御装置ならびに片面導電層付きフィルムの製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0922792A true JPH0922792A (ja) | 1997-01-21 |
Family
ID=15851222
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP16752095A Pending JPH0922792A (ja) | 1995-07-03 | 1995-07-03 | 片面導電層付きフィルムの帯電制御方法および帯電制御装置ならびに片面導電層付きフィルムの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0922792A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011247821A (ja) * | 2010-05-28 | 2011-12-08 | Mitsubishi Electric Corp | 除電ブラシの除電性能評価装置およびそれを用いた除電性能評価方法 |
JP2020064732A (ja) * | 2018-10-16 | 2020-04-23 | 東洋製罐グループホールディングス株式会社 | 除電方法及び装置 |
-
1995
- 1995-07-03 JP JP16752095A patent/JPH0922792A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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