JP2006210159A - 電気絶縁性シートの除電装置および除電方法、ならびに、電気絶縁性シートの製造方法 - Google Patents

電気絶縁性シートの除電装置および除電方法、ならびに、電気絶縁性シートの製造方法 Download PDF

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聡子 森岡
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Abstract

【課題】幅広い速度領域においてその能力を低下させることなく、電気絶縁性シートの片面、あるいは、両面に、狭いピッチで混在する正極性と負極性の帯電領域を容易に除去することが出来る除電装置および除電方法を提案する。
【解決手段】フィルを挟んで対向し、相互に逆極性の交流電圧を印加されるイオン生成電極の対から構成される除電ユニットを、フィルムの移動方向に3ユニット以上配置し、その除電ユニット中心間隔および/または印加電圧位相をランダムにする。
【選択図】 図1A

Description

本発明は、電気絶縁性シートの除電装置および除電方法、ならびに、電気絶縁性シートの製造方法に関する。
プラスチックフィルム等の電気絶縁性シートにおける帯電は、シートを加工する工程において、所望の加工を阻害することがある。その結果、加工製品の品質が、期待通りのものとならない場合がある。例えば、静電気放電に起因するスタチックマークと呼ばれる局所的に強い帯電や放電痕が存在するシートに印刷や被膜剤塗布の加工を施した場合、得られた加工製品は、インクや被膜剤のムラを有するものとなる。コンデンサ用や包装用等の金属被覆フィルムの製造工程においては、真空蒸着やスパッタリング等の被膜加工後に、加工製品にスタチックマークが現れることがある。スタチックマークなどの強い帯電は、静電気力によるフィルムの他部材への密着をもたらし、搬送不良や位置あわせ、カットシートのつきそろえ不良など様々な問題を発生させる原因となる。
かかる問題を回避するために、従来、接地されたブラシ状の導電体を、帯電した電気絶縁性シートに接近させ、ブラシ先端でコロナ放電を発生させて除電する自己放電式除電器や、針状電極に商用周波数の高電圧や直流高電圧を印加してコロナ放電を発生させて除電する交流式や直流式の電圧印加式除電器が使用されている。これら自己放電式の除電器や、電圧印加式除電器においては、コロナ放電によるによるイオンを、電気絶縁性シートの帯電による電界によって引き寄せ、電気絶縁性シートの帯電を中和(除電)するものである。これにより、高い電位に帯電しているシートの電位を下げることが可能とされている。
しかし、電気絶縁性シートにおける帯電は、(シート上での静電気放電などにより)シートの片面、あるいは、両面に、狭いピッチで正極性と負極性の帯電領域が混在していることが多い(例えば、非特許文献1、参照。)。特に、非特許文献1に開示されたように、シートの両面が帯電している場合、各面が逆極性に帯電していることが多く、これを「両面両極性帯電」と呼ぶ。このような帯電をもつ電気絶縁性シートにおける電界は、シートの内部(厚み方向)や、シートの表面近傍のみに集中する。そのため、電気絶縁性シートから少し離れた位置にある除電器のイオン生成部分(ブラシ先端や針状電極の針先)から十分なイオンを引き寄せられず、このような細かな帯電模様を持つシートに対する除電効果はほとんど得られなかった。
これに対し、電気絶縁性シートを挟んで離間配置されたイオン生成電極とイオン吸引電極とに逆位相の電圧を印加することを特徴とする、図10および、図11に示す、シートの除電装置2および3が開示されている(例えば、特許文献1、および、特許文献2、参照。)。特許文献1や特許文献2の除電器によれば、電気絶縁性シートSの帯電による電界に依存せず、イオン生成電極2bとイオン吸引電極2dとの間の電界や、イオン生成電極3bとイオン加速用電極3dとの間の電界、イオン生成電極3fとイオン加速用電極3hとの間の電界によって強制的にシートSにイオンを照射ため、帯電模様を持つシートSにおいても除電効果が高いとされている。
しかし、特許文献1に開示された図10に示す除電器2のように、シートSの片側からイオンを強制的に照射した場合、以下の2つの問題を引き起こす。
・ 強制的に照射されたイオンの極性に、シートSが帯電する。シートSの帯電が、わずか1μC/mオーダーの電荷密度であっても、シートSが空中を搬送されている状態であるため、シートの接地構造物に対する電位は、数10kV以上に上昇する。これは、接地構造物との距離が大きいほど、シートSの静電容量が小さくなり、同じ電荷密度であっても、電位が高くなるためである(このように、シートSが空中を搬送されている状態において測定された電位を、以降「架空時電位」と呼ぶ)。架空時電位が高いため、イオンはシートSの帯電によってクーロン力による反発力をうけ、イオンのシートSへの到達が妨げられる。すなわち、イオン生成電極2bで多量のイオンを生成しても、シートSへ十分なイオンを照射することができない。照射できるイオンの量はたかだかわずか1μC/m程度である。
・ 交流電圧を使用しているため、シートSの移動方向に、強制的に照射されたイオンの極性に応じた正負の帯電のムラが生じる。このムラを除去するために、除電器の下流に、さらに直流および交流の除電器2eおよび2fが必要である場合が少なくない。
また、特許文献1の除電器2においては、イオンが照射されるのは、シートSの片面(図10の上面、除電面)のみである。そのため、シートSが両面両極性帯電している場合、除電面の逆面(図10の下面、非除電面)に存在する電荷を除電(中和)することができない。これは、絶縁性のシートSにおいて、その面内方向とともに、厚さ方向にも電荷が容易に移動できないためである。非除電面に電荷が存在していた部分については、非除電面の帯電は維持されたまま、非除電面の帯電と面内方向の位置が同じ部位の逆面(除電面)に、等量で逆極性のイオンが付着する。これは、照射されたイオンが、シートSの表裏(除電面と非除電面)の電荷を区別することなく、クーロン力によりひきよせられるためである。
特許文献1の除電器2による除電によって、最終的に(下流の直流および交流の除電器2eおよび2fを使用した後で)得られるシートSは、シートSの面内方向の位置が同じ部位の両面の局所的な電荷密度の和(これを、見かけ上の電荷密度という)が実質的にゼロとなっている状態のシートである。しかし、実際には、この状態は、電気絶縁性シートSの面内方向の位置が同じ部位の両面が等量で逆極性に帯電している状態である。このようなシートSの状態を「見かけ上の無帯電」状態と呼び、このような除電を「見かけ上の除電」と呼ぶこととする。
一方、特許文献2に開示された図11に示す除電器3においては、両面からイオンを照射している。しかし、特許文献2における除電器3では、両面から同時にでなく、交互にイオンを照射するため、一回毎のイオン照射の際には特許文献1に開示されたのと同様に、(1)や(2)の問題が生じる。また、(1)の問題により、イオン照射量が少ないため、各面の電荷を減少させる能力はほとんどない。そのため、特許文献1に開示された除電器2と同様に、「見かけ上の無帯電」状態以上に除電することはほとんどできない。
本発明者らは、このような見かけ上の無帯電(であるが、各面が帯電している)状態の電気絶縁性シートにおいては、その加工時に、シートに金属蒸着や塗布等を行うと、元の帯電模様が再度発現することを確認した(本出願人による特願2004−221441参照)。
例えば、このような見かけ上無帯電のフィルムに対して、導電性被覆加工である金属蒸着を行なうと、蒸着面の電荷に対し、フィルムとの界面である金属蒸着膜表面に逆極性の電荷が誘導され、界面における電位がゼロとなる。フィルムの非蒸着面には電荷が存在するため、フィルムの非蒸着面の外側近傍には、非蒸着面の電荷による電界が生じ、スタチックマークを発現させる。また、例えば、被膜剤の塗布の場合、導電性ロールである金属ロールをバックアップロールとして、このロール上で塗布を行うと、フィルムの金属ロールとの接触面の電荷に対し、金属ロール表面に逆極性の電荷が誘導され、接触面における電位がゼロとなる。フィルムの非接触面(塗布面)には電荷が存在するため、塗布面の外側近傍には塗布面の電荷による電界が生じ、塗布ムラをひきおこす。このように、従来技術は、いずれも電気絶縁性シートに「見かけ上の除電」を行なうだけであり、真空蒸着やスパッタリング等の被膜加工後のスタチックマークの発生、スベリ不良によるカットシートのつきそろえ不良、またインクや被膜剤のムラ等の問題を解消することができなかった。
これら「見かけ上の除電」によっておこる問題を解決するため、本発明者らは、電気絶縁性シートの両面に逆極性のイオンを照射し、その後、各面に前の照射とは逆極性のイオンを照射することによって、電気絶縁性シートの各面に存在する電荷をそれぞれ減ずることが可能であることを見いだし、本出願人による特願2004−221441においてこの知見に基づく除電装置および除電方法を提案した。
特願2004−221441に開示された除電の原理について図面を用いて説明を行う。
図12は、特願2004−221441における除電装置5の正面概略図である。
図12において、除電装置5は、左側にガイドロール5aを、右側にガイドロール5bを有する。ガイドロール5aとガイドロール5bとに、走行するフィルムSが掛け渡されている。ガイドロール5a、および、ガイドロール5bは、それぞれモータ−(図示せず)により、右廻りに回転される。フィルムSは、ガイドロール5a、5bの回転により、矢印5abの方向に、速度u[単位:mm/秒]で連続的に移動する。ガイドロール5aとガイドロール5bとの間には、n個(n≧2)の除電ユニットSU1、・・・、SUnが、フィルムSの移動方向(矢印5abの方向)に、除電ユニット中心間隔p[単位:mm]で等間隔に設けられている。
iを1からnまでの整数とするとき、i番目の除電ユニットSUiは、第1の電極ユニットEUd−iと第2の電極ユニットEUf−iとからなる。第1の電極ユニットEUd−iは、フィルムSの第1の面100に向かい、第1の面100に対し間隔をおいて設けられた第1のイオン生成電極5d−iを有している。第2の電極ユニットEUf−iは、フィルムSの第2の面200に向かい、第2の面200に対し間隔をおいて設けられた第2のイオン生成電極5f−iを有している。第1のイオン生成電極5d−iと第2のイオン生成電極5f−iとは、フィルムSを挟んで、互いに対向している。
各除電ユニットの第1のイオン生成電極5d−1〜5d−nは第1の交流電源5cに接続され、各除電ユニットの第2のイオン生成電極5f−1〜5f−nは、第2の交流電源5eに接続されている。第1の交流電源5cと第2の交流電源5eとは互いに逆極性の電圧を出力する。
まず、フィルム上のある部位が、第1のイオン生成電極5d−1と、第2のイオン生成電極5f−1との間を通過する時点について考える。この時、図13の様に、第1のイオン生成電極5d−1に正の電圧が、第2のイオン生成電極5f−1に負の電圧が印加されているとすると、フィルムSの第1の面100に正イオン301が、フィルムSの第2の面200に負イオン302が同時に強制的に照射され、付着する。
この、フィルムSの両面へのイオンの強制照射は、第1および第2のイオン生成電極5d−i、5f−iへの印加電圧の電位差の実効値V[単位:V]、第1および第2のイオン生成電極5d−i、5f−iの先端のシートの法線方向の距離d[単位:mm]の関係が、およそ次式を満足する場合に起こる。
180×d≦V かつ
>0.085×d xf
強制照射された正イオン301と負イオン302とは、フィルムS上に負の静電荷102や正の静電荷201があると、クーロン力700によって、負の静電荷102、および、正の静電荷201に、より多く、選択的に引き寄せられる。従って、フィルムSの第1の面の負の静電荷102と第2の面の正の静電荷201とを減ずることができる。フィルムSの第1の面と第2の面とに逆極性のイオンが同時に照射されるため、フィルムの電位(架空時電位)はほぼゼロとなり、見かけの無帯電状態も達成される(特許文献1や2に開示された、図10や図11の除電器のように、下流に別途帯電ムラを除電するための除電器は必要ない)。また、除電の最中に架空時電位が上昇することがないため、フィルムへのイオンの到達を妨げるはたらきが生じない。そのため、フィルムの各面に照射されるイオンの量は、絶対値で数〜30μC/m程度に達する。これにより、特願2004−221441に開示された技術では、特許文献1や2に開示された技術では達成することが出来なかったフィルムSの各面の電荷の大幅な低減が達成される。次いで、フィルムが移動して、先ほどの部位が、第2の除電ユニットSU2における、第1のイオン生成電極5d−2と、第2のイオン生成電極5f−2との間を通過する時点(p/u秒後)について考える。この時、図14の様に、第1のイオン生成電極5d−2負の電圧が、第2のイオン生成電極5f−2に正の電圧が印加されているとすると、フィルムSの第1の面100に負のイオン302が、第2の面200に正のイオン301が同時に照射され、付着する。先ほどの場合同様に、負イオン302と、正イオン301とは、フィルムSの近傍においてクーロン力700の影響をうけ、フィルムSの第1の面の正の静電荷101と第2の面の負の静電荷202が除電される。
これらの条件下において、フィルムの両面には同時に逆極性のイオンが照射されるため、大いに各面電荷の除電が進む。その反面、第1の面100に負の静電荷102、第2の面200に正の静電荷201があるフィルムS上の部位や、無帯電の部位にも、第1の面100側から負イオン302、第2の面200側から正イオン301が照射されると、フィルムSの第1の面100に、新たな負イオン302、第2の面200に、新たな正イオン301がある程度付着することが示されている。但し、第1の面100側から負イオン302を照射したとき、付着する負イオン302の量は、フィルムSの部位により異なり、最も多い部位は、第1の面100の正の静電荷101がある部位であり、次いで多い部位は、無帯電の部位であり、次いで多い部位は、負の静電荷102がある部位である。
従って、特願2004−221441に開示された除電方法において、図13および図14に示したように、等量の正イオンと負イオンとが逐次照射されたフィルム上の部位については、フィルムの第1の面の電荷を増加させる働きよりも、フィルムSの第1の面の電荷を減少させる働きの方が大きく、高い除電効果が得られる(第2の面の電荷についても同様である)。このようにして除電されたフィルムSの帯電状態が、図15に示される。図15は、フィルムSの正の静電荷101、201と負の静電荷102、202とが初期状態より大幅に減少している状態を示している。さらに、両面から逆極性イオンの照射を、極性を反転させて繰り返せば、原理的に、フィルムSを実質的に無帯電の状態まで除電することが可能である。
しかし、特願2004−221441に開示されたように、各除電ユニットの第1のイオン生成電極5d−1〜5d−nへの印加電圧が同位相で、各除電ユニット中心のフィルムの移動方向における間隔が一定である除電装置では、フィルムの移動速度に依存して、第1の面100に照射される正イオンと負イオンの比率が大きくかわることがある。
これは、特に、およそ以下の式が成り立つとき、イオンが各除電ユニットの直下に集中して照射されるために、顕著に現れる現象である。
>0.17×d ×f
例えば、図13に示したように、第1の除電ユニットSU1を通過する際に、第1の面100に正イオン301(第2の面200に負イオン302)が照射されたフィルム上の部位が、図16に示すように、第2の除電ユニットSU2を通過する際に、再び第1の面100に正イオン301(第2の面200に負イオン302)を照射される場合がある。
これは、印加電圧の周波数がf[単位:Hz]に対して、移動速度u[単位:mm/sec]が、au=p・f(但しaは自然数)を満たす速度において生じる現象である。この速度において、全ての除電ユニットから、それぞれの面ごとに同極性のイオンが照射されてしまうフィルム上の部位が生じる(第1の面に正イオンだけが照射される部位と、第1の面に負イオンだけが照射される部位とが、フィルムの移動方向に周期的に生じる。第2の面についても第1の面とは極性が反転するだけで、同様の部位が周期的に生じる)。このような状態を同期重畳状態と呼ぶ。なお、図17に、同期重畳状態によって、第1の面に正イオンだけ(第2の面に負イオンだけ)が照射されたフィルム上の部位の例を示している。
このような同期重畳状態では、以下の二つの問題が生じ、好ましくない。
(1)イオン照射がフィルム上の各部位において片極性に偏るため、該当部位における、照射イオンと同極性の電荷の除電が困難となる。
(2)除電ユニット一つ当たりから生じる正負イオンの過剰な付着ムラ(照射ムラ)が各除電ユニットごとに同極性で重ねあわせられるため、各面の帯電量を増加させてしまう(但し、図17に示すように、両面の帯電極性は逆極性であるため、フィルムは「見かけ上無帯電」の状態である)。
また、印加電圧極性が切り替わる時刻前後では、印加電圧がゼロまたはごく低いため、生成されるイオンの量はごく少ない。そのため、bu=2p・f(但しbは自然数)を満たす速度で使用すると、次の問題が生じる。
(3)全ての除電ユニットから照射されるイオンの量が少ない部位がフィルム上に周期的に生じる。
なお、bが偶数の場合は同期重畳を意味し、イオン照射量が多い部位では、上記の(1)および(2)の問題が、イオン照射量が少ない部位では(3)の問題が生じる。一方、bが奇数の場合は、反同期重畳といえる状態で、(1)(2)の問題は生じず、正イオン、負イオンとも照射量が多い部位と、正イオン、負イオンとも照射量が少ない部位とが、フィルム上にu/2f周期で生じることになる。正イオン、負イオンとも照射量が多いフィルム上の部位は、大幅に除電される部位であり問題はないが、正イオン、負イオンとも照射量が少ない部位はほとんど除電されない。このような除電状態では、u/2f周期で現れる除電能力の低い部位が律速となり、全体として低い除電効果しか得られない。
対象とする工程における、電気絶縁性シートの移動速度が一定もしくは狭い範囲に限られる場合の対策として、特願2004−221441には、使用する移動速度範囲内で、上記の問題が生じないように、除電ユニット中心間隔pや、印加電圧の周波数fを選定する方法が開示されている。しかし、除電ユニット中心間隔pには、電極設計上の制約がある。また、印加電圧の周波数fは高くしすぎると、1つのイオン生成電極から生成された正負のイオン同士がフィルムに到達する前に再結合してイオンのフィルムへの照射量が大幅に低下する。そのため、商用周波数程度以下の周波数での使用が好ましいという制約がある。従って、特に使用速度範囲が広い工程、例えば、停止状態から数100m/minまで大きく変化する様な工程(フィルムのスリット工程等)において、使用する全ての速度において「同期重畳」を回避するように、実用的な除電ユニット中心間隔pや印加電圧の周波数fの値を設定することは困難である。
特願2004−221441には、このように電気絶縁性シートの移動速度が大きく変化する工程において、イオン生成電極への印加電圧を変化させることで、「同期重畳」による照射ムラ重畳の影響を低減する方法が開示されている。すなわち、「同期重畳」となる速度が比較的低速域(電気絶縁性シートの加速または減速中の速度)となるように、除電ユニット中心間隔のpや、印加電圧の周波数fの値を選び、「同期重畳」となる速度を含む低速域では印加電圧を低く、高速の定速域では、印加電圧を高く設定する方法である。
これは、印加電圧を低く、特に、V<0.17×d ×fを満たすようにした場合には、イオンがより広い範囲に広がって照射されるため、1除電ユニットあたりからの過剰なイオン照射のムラ(照射ムラ)が小さく、「同期重畳」状態で使用しても、全体として、強い帯電のムラが比較的生じがたいことによる。
しかし、照射されるイオン量、ひいては除電の能力は、印加電圧に依存する(印加電圧が高い方が、照射されるイオン量も多い)。そのため、加減速中に印加電圧を切り替えると、その切り替え部分において除電能力の低い部分が生じてしまうことになり、特に強い帯電を持つ電気絶縁性シートにおいては好ましくない方法である。また、このように一つの製品中で速度に依存して印加電圧を変化させると、その制御も煩雑化し、装置、制御の複雑化を招くといった問題があった。
このような「同期重畳」の問題は「見かけ上の除電」を行なう除電器である特許文献1に開示された除電器においても発生していた(但し、各面の帯電ではなく、イオン照射面片面のみの帯電であり、この場合、電気絶縁性シートは見かけ上も帯電して見える)。特許文献1において、後段ほど印加電圧を下げていくことや、さらに後段に直流および交流の除電器を配置することによって、この同期重畳によるムラを低減する方法が開示されている。しかし、これらの方法は、照射ムラによる帯電を低減するのみであって、正or負イオンが照射されない部分(上記(3)の部分)が存在することへの対策とはならない。また、印加電圧を下げれば除電の能力はその分低下する。また、複数の除電器を後段に配置する場合、装置が複雑かつ大型になり、既設工程への導入が困難である等の問題があった。
特許第2651476号公報 特開2002−313596号公報 特開平9−119956号公報 特開2001−59033号公報 季ら、フィルムの両面両極性帯電による静電気現象、電学論A、112巻8号、電気学会、1992年8月、pp.735−740 静電気ハンドブック、静電気学会編、オーム社、1998年、p.1155
本発明の目的は、上述した従来の技術の上記問題点を解決し、幅広い速度領域においてその能力を低下させることなく、電気絶縁性シートの片面、あるいは、両面に、狭いピッチで混在する正極性と負極性の帯電領域を容易に除去することが出来る除電装置および除電方法および除電済み電気絶縁性シートの製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明によれば、電気絶縁性シートの移動経路に対し、該シートの移動方向に間隔をおいて設けられた、少なくとも3個の除電ユニットと、第1の交流電源および該第1の交流電源とは実質的に逆極性の第2の交流電源とを有し、
該各除電ユニットは、前記シートを挟んで対向配置された、第1のイオン生成電極と、少なくともイオンを加速吸引する機能を有する第2の電極とを備え、
前記第1のイオン生成電極には前記第1の交流電源が接続され、前記第2の電極には前記第2の交流電源が接続されている電気絶縁性シートの除電装置であって、
前記シートの移動方向において最上流から第k番目と第k+1番目の除電ユニットの、前記シートの移動方向における除電ユニット中心間隔をp[単位はmmとし、小数点下1桁目で四捨五入するものとする。(ただし、除電ユニットの全体の数をnとし、kは1からn−1までの整数とする)とするとき、
前記各除電ユニット中心間隔p,・・・,pn−1の各値と、前記各除電ユニットの第1の交流電源の出力位相の各値[単位はradとし、小数点下2桁目で四捨五入するものとする。]との少なくとも一方が、2以上の異なる値を有することを特徴とする、電気絶縁性シートの除電装置が提供される。
また、本発明の好ましい形態によれば、前記第1の交流電源と、前記第2の交流電源とは、それぞれ単一の電源、または、それぞれ実質的に位相差ゼロの複数の交流電源群であって、
集合P={p,p/2,p/3,p/4,・・・}[単位はmmとし、小数点下2桁目で四捨五入し、その結果0となる元以降の元はこの集合に含まないものとする。]で定義される全ての集合P,・・・,Pn−1に共通に含まれる元の集合R(=P∩P∩・・・∩Pn−1)の最大の元が12.5mm以下であることを特徴とする、請求項1に記載の電気絶縁性シートの除電装置が提供される。
また、本発明の好ましい形態によれば、前記各除電ユニットにおいて、前記シートの移動方向に隣接する除電ユニットの第1のイオン生成電極同士が、互いに逆極性の前記第1の交流電源に接続されていることを特徴とする、電気絶縁性シートの除電装置が提供される。
また、本発明の好ましい形態によれば、前記シートの移動方向最上流から第i番目(但しiは1からnまでの整数とする)の前記除電ユニットの第1のイオン生成電極に接続された前記第1の交流電源の出力の、第1番目の前記除電ユニットの第1のイオン生成電極に接続された前記第1の交流電源の出力に対する位相をα[単位:rad]とし、
前記第i番目の除電ユニットの前記シートの移動方向における除電ユニット中心位置をt[単位:mm](ただし、t=0とし、前記シートの移動方向を正とする)、法線方向電極間距離をd[単位:mm]、開口角をθ[単位:rad]とし、d〜dの最小値をd、θ〜θの最小値をθとするとき、距離λについて、
d/2≦λ≦40[mm]の全範囲(θ≧π/3の場合)
または、
0.29dtanθ≦λ≦40[mm]の全範囲(θ<π/3の場合)において、下記Xの値が、0.75以下であることを特徴とする、電気絶縁性シートの除電装置が提供される。
Figure 2006210159
また、本発明の好ましい形態によれば、前記シートの移動方向最上流から第i番目(但しiは1からnまでの整数とする)の前記除電ユニットの前記シートの移動方向における除電ユニット中心位置をt[単位:mm](ただし、t=0とし、前記シートの移動方向を正とする)、法線方向電極間距離をd[単位:mm]、開口角をθ[単位:rad]とし、d、d・・・dの最小値をd、θ、θ・・・θの最小値をθとするとき、
n個の元を持ち、その全ての元が−1または1のいずれかである少なくとも1つの集合L={l,l,・・・l}に対して、距離λについて、
d/2≦λ≦40[mm]の全範囲(θ≧π/3の場合)
または
0.29dtanθ≦λ≦40[mm]の全範囲(θ<π/3の場合)において、下記Xの値が0.75以下であることを特徴とする、電気絶縁性シートの除電装置が提供される。
Figure 2006210159
また、本発明の好ましい形態によれば、前記距離λについて、
λd/2≦λ≦200[mm](θ≧π/3の場合)の全範囲
または、
0.29dtanθ≦λ≦200[mm](θ<π/3の場合)の全範囲において、前記Xの値が0.75以下であることを特徴とする、電気絶縁性シートの除電装置が提供される。
また、本発明の好ましい形態によれば、前記Xの値が、0.5以下であることを特徴とする、電気絶縁性シートの除電装置が提供される。
また、本発明の好ましい形態によれば、前記各除電ユニット中心間隔pの値のうち最大の値が、前記各除電ユニット中心間隔pの値のうち最小の値の1.5倍以上2.5倍以下であることを特徴とする、電気絶縁性シートの除電装置が提供される。
また、本発明の好ましい形態によれば、前記第1のイオン生成電極が、前記シートの第1の面側に配置され、前記第2の電極が、イオン生成の機能を有する第2のイオン生成電極であって、前記シートの第2の面側に配置されることを特徴とする、電気絶縁性シートの除電装置が提供される。
また、本発明の別の形態によれば、上記の電気絶縁性シートの除電装置を用いた電気絶縁性シートの除電方法であって、
前記第1および第2の交流電源の周波数をf[単位:Hz]、
前記シートの移動方向最上流から第i番目(但しiは1からnまでの整数とする)の前記除電ユニットの第1のイオン生成電極への印加電圧の位相をα[単位:rad]、
前記第i番目の除電ユニットの前記シートの移動方向における除電ユニット中心位置をt[単位:mm](ただし、t=0とし、前記シートの移動方向を正とする)、法線方向電極間距離をd[単位:mm]、開口角をθ[単位:rad]、d〜dの最小値をd、θ〜θの最小値をθとし、
前記第i番目の除電ユニットの前記第1のイオン生成電極と前記第2の電極との前記印加電圧の電位差の実効値をVとするとき、
df/2および前記電気絶縁性シートの搬送速度u[単位:mm/sec]の最小値umin以上でありかつ最大値umax以下の速度の全範囲(θ≧π/3の場合)
または、
0.29dftanθおよび前記電気絶縁性シートの搬送速度u[単位:mm/sec]の最小値umin以上でありかつ最大値umax以下の速度の全範囲(θ<π/3の場合)において、下記Xの値が、0.75以下であることを特徴とする、電気絶縁性シートの除電方法が提供される。
Figure 2006210159
ただし y=2πf・t/u−α
また、本発明の好ましい形態によれば、前記第i番目の除電ユニットの第1のイオン生成電極と第2の電極との法線方向電極間距離をdとするとき、各除電ユニットにおいて
180×d≦V かつ
>0.085×d xf
が成立する条件を用いることを特徴とする電気絶縁性シートの除電方法が提供される。
また、本発明の好ましい形態によれば、V>0.17×d ×f
が成立する条件を用いることを特徴とする電気絶縁性シートの除電方法が提供される。
また、本発明の別の形態によれば、上記の電気絶縁性シートの除電方法により電気絶縁性シートを除電することにより、電気絶縁性シートを製造する除電済み電気絶縁性シートの製造方法が提供される。
本発明が適用される電気絶縁性シートの代表的なものは、プラスチックフィルム、布帛、紙である。シートの形態には、通常、ロール状に巻かれた状態で取り扱われる長尺シートと、通常、多数枚積層された状態で取り扱われる枚葉シートがある。プラスチックフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリイミドフィルム、ポリフェニレンサルファイドフィルム、ナイロンフィルム、アラミドフィルム、ポリエチレンフィルム等がある。一般に、プラスチックフィルムは、他の材料からなるシートに比べ、電気絶縁性が高い。本発明により提供される除電技術は、プラスチックフィルムの除電、特に、フィルム表面に狭いピッチで混在する正極性と負極性の帯電領域の消失に、有効に用いられる。
本発明において、「電気絶縁性シートの移動経路」とは、電気絶縁性シートが除電のために通過する空間をいう。
本発明において、「電気絶縁性シートの法線方向」とは、移動経路を移動中の電気絶縁性シートが重力等の外力の影響を受けなかった場合に幅方向のたるみがない平面に近似されるであろうその平面の法線方向をいう。
本発明において、「幅方向」とは、移動経路を上記のごとく移動中の電気絶縁性シートを幅方向のたるみがない平面とみたときのこの平面の面内の方向であって、電気絶縁性シートの移動方向に対して直交する方向をいう。
本発明において、「イオン生成電極の先端」とは、イオン生成電極の各部のうち、イオンを生成する電界を形成する部位であって、かつ、移動経路を移動中の電気絶縁性シートを幅方向のたるみがない平面とみたときのこの平面に最も近い部位をいう。イオン生成電極は、幅方向に延在している場合が多い。この場合、幅方向の各位置において、イオン生成電極の先端が定義される。
例えば、イオン生成電極がシートの幅方向に延在するワイヤで形成されたワイヤ電極の場合は、幅方向の各部における前記平面に一番近いワイヤの部位が該当する。イオン生成電極が、幅方向に所定間隔に設けられた電気絶縁性シートの法線方向に延在する針電極の列の場合は、各針の、前記平面に最も近い部位(針先)が、その幅方向位置における「イオン生成電極の先端」である。針先が存在しない幅方向の各位置においては、「イオン生成電極の先端」は、幅方向に所定間隔で設けられた針先同士を結ぶ折れ線上の位置により定義される。
一つのシールド電極があって、その開口部の中に、シートの移動方向に、2つ以上のイオン生成の機能を有する電極が存在する場合、例えば、ワイヤが2本はられている場合、幅方向各位置における2つ以上のイオン生成電極の先端の平均位置をその幅方向位置におけるイオン生成電極の先端とする。
本発明において、「第1のイオン生成電極と第2の電極とが対向配置される」とは、第2の電極が、イオンを加速吸引する機能を有するが、イオン生成の機能を有しない電極である場合、第1のイオン生成電極と第2の電極とがシート移動の経路を挟んで向かい合っていて、かつ、幅方向各位置において、第1のイオン生成電極の先端から、移動経路を移動中の電気絶縁性シートを幅方向のたるみがない平面とみたときのこの平面に平行な平面に降ろした垂線の足の鉛直上に、第2の電極が存在することをいう。
第2の電極が、イオンを加速吸引する機能とともに、イオン生成の機能を有する、イオン生成電極である場合には、「第1および第2のイオン生成電極が対向配置される」とは、第1および第2のイオン生成電極がシート移動の経路を挟んで向かい合っていて、かつ、幅方向各位置において、第1のイオン生成電極の先端から、第2のイオン生成電極の先端の位置を含み移動経路を移動中の電気絶縁性シートを幅方向のたるみがない平面とみたときのこの平面に平行な平面に降ろした垂線の足の位置と第2のイオン生成電極の先端の位置との間に、シールド電極などの導体が存在せず、かつ、第2のイオン生成電極の先端から、第1のイオン生成電極の先端の位置を含み、移動経路を移動中の電気絶縁性シートを幅方向のたるみがない平面とみたときのこの平面に平行な平面に降ろした垂線の足の位置と第1のイオン生成電極の先端の位置との間に、シールド電極などの導体が存在しないことをいう。
本発明において、「イオン」とは、電子、電子を授受した原子、電荷をもった分子、分子クラスター、浮遊粒子等、さまざまな形態の電荷担体をいう。
本発明において、「イオン生成電極」とは、高電圧の印加によるコロナ放電等によって、電極先端近傍の空気中において、イオンを生成する電極をいう。
本発明において、「シールド電極」とは、イオン生成電極近傍に配置され、イオン生成電極との間に適当な電位差を与えることで、イオン生成電極先端でのコロナ放電を補助する電極をいう。
本発明において、「イオンを加速吸引する機能を有する第2の電極」とは、この電極によって、第1のイオン生成電極により生成された正負のイオンを、この電極が存在しない場合に比べて、この電極の方向に集中させ、第1のイオン生成電極に流れる電流を増加させる電極のことをいう。
本発明において、「帯電模様」とは、電気絶縁性シートの少なくとも一部が、局所的に、正および/または負に帯電している状態をいう。その状況は、例えば、特許文献3や特許文献4に開示された方法により、微粉体(トナー)等により帯電状態に起因して描かれる模様である。
本発明において、「見かけ上の電荷密度」とは電気絶縁性シートの面内方向の位置が同じ部位の両面の局所的な電荷密度の和をいう。局所的な電荷密度とは、電気絶縁性シートの面上の、直径約6mm以下、好ましくは直径2mm以下の範囲における電荷密度をいう。
本発明において、「見かけ上の無帯電」とは、電気絶縁性シートの面内方向の各部において、見かけ上の電荷密度が実質的にゼロ(−2μC/m以上2μC/m以下)になっている状態をいう。
本発明において、「見かけ上の除電」とは、見かけ上の電荷密度が実質的に非ゼロ(−2μC/m未満、あるいは、+2μC/mを越える)であった部位を、除電により、見かけ上の無帯電の状態とすることをいう。
本発明において、電気絶縁性シートの第1の面の「背面平衡電位」とは、第2の面に接地導体を密着させて、電荷を接地導体に誘導させ、これによって、第2の面の電位を実質的に0電位とした状態において、表面電位計の測定プローブを、第1の面との間隔が0.5以上2mm以下程度となるように、第1の面に十分近接させた状態で、測定される第1の面の電位をいう。表面電位計の測定プローブとしては、測定開口部直径が、2mm以下の微小なものが用いられる。このようなプローブとして、例えば、モンロー社製プローブ、1017(開口部直径:1.75mm)や1017EH(開口部直径:0.5mm)がある。
本発明において、電気絶縁性シートの背面(第2の面)を接地導体に密着させるとは、絶縁シートと金属ロールの界面の間に明確な空気層がない状態にまで、両者をぴったりと接触させることをいう。この状態は、両者間に残存する空気層の厚さが、シートの厚さの20%以下、かつ、10μm以下となる状態である。
第1の面上の背面平衡電位の分布状態は、表面電位計のプローブ、または、背面(第2の面)に接地導体を密着させた状態のシートのいずれか一方を、XYステージなどの位置調整可能な移動手段を用いて、低速(5mm/秒程度)で移動させながら、背面平衡電位を順次測定し、得られたデータを、1次元もしくは2次元的にマッピングすることによって得られる。第2の面の背面平衡電位も、同様にして、測定される。 本発明において、電気絶縁性シートの「架空時電位」とは、電気絶縁性シートを空中に浮いた状態で測定した電位をいう。接地したアースとの距離に対して、シートの厚みが十分小さいため、電気絶縁性シートの第1の面の帯電と第2の面の帯電の総和における接地点からの電位となる。
本発明において、各電位は、特に断らない限り、接地点からの電位である。
本発明において、「同期重畳」とは、電気絶縁性シートのある部位が各電極の直下を通過するときに、一方の面側のすべてのイオン生成電極が同じ極性のイオンを発生し、当該部位に対して同極性の電荷が積み重ねられる状態をいう。
本発明において、「同期重畳強さ」とは、電気絶縁性シートのある部位に対して各除電ユニットから照射されるイオン正負の照射量の偏り度合いを、最も偏りが大きい場合を1とする相対的な強さで表したものである。
本発明において、第i番目の除電ユニットの「法線方向電極間距離d」とは、シートの移動方向において最上流からi番目の除電ユニットの第1のイオン生成電極の先端と第2の電極との間の電気絶縁性シートの法線方向における距離をいう。各除電ユニットにおいて、イオン生成の機能を有するのが第1のイオン生成電極のみである場合(第2の電極はイオンを加速吸引する機能を有するが、イオン生成の機能を有さない場合)においては、第1のイオン生成電極の先端と、第2の電極との間の法線方向における距離であり、一方、各除電ユニットにおいて、図1Bに示すように対向する2つのイオン生成電極(第1および第2のイオン生成電極)を有するものについては、第1のイオン生成電極1dの先端と第2のイオン生成電極1fの先端との間の法線方向における距離をいう。
本発明において、第i番目の除電ユニットの「除電ユニット中心位置t」とは、シートの移動方向において最上流からi番目の除電ユニットのイオン生成電極の先端の、シートの移動方向における位置をいう。各除電ユニットにおいて、イオン生成の機能を有するのが第1のイオン生成電極のみである場合(第2の電極はイオンを加速吸引する機能を有するが、イオン生成の機能を有さない場合)においては、第1のイオン生成電極のみの先端における、シートの移動方向における位置をさす。一方、図1Cに示すように、各除電ユニットにおいて、対向する2つのイオン生成電極(第1および第2のイオン生成電極)を有するものについては、第1のイオン生成電極1dの先端と第2のイオン生成電極1fの先端とを結ぶ線分の中点1xの、シートの移動方向における位置をさす。なお、シートの幅方向の各位置において、この中点の位置が異なる場合、中点の位置を、イオン生成可能な部位の幅において平均することとする。
本発明において、シートの移動方向の位置は、特に断らない限り、第1番目の除電ユニット中心位置tを基準位置(t=0)とし、シートの移動方向を正とする。
本発明において、「除電ユニット中心間隔p」とは、図1Cに示すように、シートの移動方向において最上流から第k番目と、第k+1番目の除電ユニットの除電ユニット中心位置の、シートの移動方向における間隔をいう。
本発明において、第i番目の除電ユニットの「開口角θ」とは、シートの移動方向において最上流からi番目の除電ユニットのイオン生成電極の先端と、i番目の除電ユニットのイオン生成電極先端を囲むシールド電極の開口部との間でつくられる角度の半分をいう。なお、イオン生成電極先端を囲むシールド電極がない場合や、先端がシールド電極よりもシートの移動経路に近い場合、開口角はπ/2radとする。各除電ユニットにおいて、イオン生成の機能を有するのが第1のイオン生成電極のみである場合(第2の電極はイオンを加速吸引する機能を有するが、イオン生成の機能を有さない場合)においては、第1のイオン生成電極における角度とする。一方、各除電ユニットにおいて、対向する2つのイオン生成電極(第1および第2のイオン生成電極)を有するものについては、第1のイオン生成電極における角度と、第2のイオン生成電極における角度のうち、小さい方の角度とする。
本発明によれば、以下に説明するとおり、幅広い速度領域においてその能力を低下させることなく、電気絶縁性シートの片面、あるいは、両面に、狭いピッチで混在する正極性と負極性の帯電領域を容易に除去することが出来る。これにより幅広い速度範囲で、帯電の少ない電気絶縁性シートを製造することが出来る。これにより、後加工工程における蒸着不良や被膜剤の不均質な分布等の不都合の発生を抑制可能である。
以下、図面を用いて、本発明の最良の実施形態の例を、電気絶縁性シートとしてプラスチックフィルム(以下、単に、フィルムという)を用いる場合を例にとって、説明する。本発明は、これらの例に限られるものではない。
本実施形態において除電の効果を判定するに当たっては、除電後のフィルムの各面(表面と裏面、あるいは、第1の面と第2の面)の電荷密度の絶対値が、除電を行う工程におけるフィルムの使用速度範囲の全てで150μC/m以下の場合、幅広い速度範囲において、帯電の少ない電気絶縁性シートを製造出来ると判定している。あるいは、除電を行う工程におけるフィルムの使用速度範囲における同期重畳強度Xの値が、0.75以下の場合、幅広い速度範囲において、帯電の少ない電気絶縁性シートを製造出来ると判定している。その理由は、従来の除電技術において、同期重畳に起因して、フィルム速度に依存して、フィルムが約150μC/m以上に帯電すると、当該速度で除電を行ったフィルムにおいて、後加工時に、スベリ不良などの問題の解消が困難となるためである。また、除電後のフィルムの各面の電荷密度が、それぞれ−30μC/m以上+30μC/m以下であれば、「見かけ上の無帯電」状態ではなく、「実質的な無帯電」状態と判定される。
フィルムの第1の面100の電荷の存在は、例えば、次の方法にて確認することが出来る。もちろん、第2の面200の電荷の存在も、同様にして、確認することことが出来る。
フィルムの第2の面200を接地導体に密着させた状態で、第1の面100の背面平衡電位Vを測定する。測定された背面平衡電位Vと電荷密度σの間には、σ=C×V、ここで、Cは単位面積当たりの静電容量、の関係が成り立つ。電位計センサをフィルムに2mm程度まで十分近接させることにより測定されるVの値は、第1の面100におけるセンサ直下の局所的電荷によりもたらされる。
フィルムの厚さが薄い場合には、単位面積当たりの静電容量Cは、平行平板の単位面積当たりの静電容量C=εε/d、ここで、εは真空中の誘電率:8.854×10−12F/m、εはフィルムの比誘電率、dはフィルムの厚さ、により求められる。これにより、第1の面におけるセンサ直下の局所的な電荷密度を求めることが出来る。この方法は、非破壊での帯電確認方法であるため、導体に密着させる面を反対にすることにより、フィルムの他の面の電荷密度も確認出来る。
このとき、導体に密着させたフィルムと電位計センサとを、その間隔を保ったまま、フィルムの面内方向に相対的に移動させれば、フィルムの第1の面100の電荷密度の分布を測定することが出来る。
次に、このような好適な帯電状態を有するフィルムを得るための除電方法、ならびに、除電装置を説明する。
図1Aは、本発明における除電装置の正面概略図である。
除電装置1は、左側にガイドロール1aを、右側にガイドロール1bを有する。ガイドロール1aとガイドロール1bとに、走行するフィルムSが掛け渡されている。ガイドロール1a、および、ガイドロール1bは、それぞれモータ−(図示せず)により、右廻りに回転される。フィルムSは、ガイドロール1a、1bの回転により、矢印1abの方向に、速度u[単位:mm/秒]で連続的に移動する。ガイドロール1aとガイドロール1bとの間には、n個(n≧2)の除電ユニットSU1、・・・、SUnが、フィルムSの移動方向(矢印1abの方向)に、離間して設けられている。図1Aにおいては除電ユニット数nが10である、10個の除電ユニットSU1〜SU10からなる除電装置1が示されている。その除電ユニット中心間隔p〜pの値は、表1に示す通り[単位:mm]である。図1Bに示すように、各除電ユニットSUi(ただし、iは1以上n以下の整数)において、フィルムの第1の面100側に配置される第1のイオン生成電極1dは第1の交流電源1cに接続され、フィルムの第2の面200側に配置される第2のイオン生成電極1fは、第1の交流電源1cと逆極性の第2の交流電源1eに接続されている。
Figure 2006210159
第1の交流電源1cと第2の交流電源1eとは単一の交流電源の、アースに接続された中性点をはさんだ一方の出力を第1の交流電源1cの出力、他方の出力を第2の交流電源1eの出力としてもよいし、図1Bの形態のように別個の交流電源でもよい。除電装置全体で一対の電源があるだけでもよいし、除電ユニットごとに一対でもよいし、複数対の第1および第2の交流電源を複数の除電ユニットで適宜配分して共有するのでもよい。このとき、一つの交流電源を、第1の除電ユニットSU1における第1のイオン生成電極1dと、第2の除電ユニットSU2における第1のイオン生成電極1dとに接続するほか、一つの交流電源を、第1の除電ユニットSU1における第1のイオン生成電極1dと、第2の除電ユニットSU2における第2のイオン生成電極1fとに接続するのでもよい。いずれの場合でも、それぞれの除電ユニットの第1のイオン生成電極に接続されている電源出力が第1の交流電源であり、第2のイオン生成電極に接続されている電源出力が第2の交流電源である。上記のように、電源装置としてみたときは単一であっても、たとえば、ある電極ユニットの第1の交流電源であり同時に別の電源ユニットの第2の交流電源であることもありうるのである。
この除電装置によって、除電前に無帯電であったフィルム上の部位に最終的に残る帯電のムラと、同期重畳強度について考える。
ここでは、フィルムに照射されるイオンは、フィルム面における広がりを無視し、除電ユニット中心位置に集中して付着するとみなして考える。
まず、1番目の除電ユニットからのイオンの照射によってフィルムに発生する帯電のムラは以下の様に考えられる。印加電圧の周波数をf[単位:Hz]とする。1番目の除電ユニットにおける第1のイオン生成電極への印加電圧の位相をα=0[単位:rad]、第1のイオン生成電極と第2のイオン生成電極との印加電位差の実効値をVとする。
イオン生成電極を出たイオンが、フィルム面に達する迄の時間を無視すれば、第1の除電ユニット中心位置から、フィルムの移動方向の位置x[単位:mm]における、1番目の除電ユニットSU1からの照射イオンによる帯電量は、およそ、
(x,u)=K(V)sin(2πx/λ)/u
ただし、λ=u/fとなる。
ここで、K(V)は、第1のイオン生成電極1dと第2のイオン生成電極1fとの電位差実効値がVの時のイオン照射量を、フィルム上の帯電量として表した値である。放電が(停止したり、火花放電に移行したりしない)安定な実効電圧の範囲においては、K(V)の値は、Vの値にほぼ比例する。また、右辺の1/uは、速度が増加するほど、速度にほぼ反比例して、単位面積あたりに照射されるイオン量が低下することをあらわす。
同様に、第i番目(ただし、ここでは、iは2からn(除電ユニットの数。図1の例ではn=10である)までの正の整数)の除電ユニットSUiにおける、第1のイオン生成電極1dへの印加電圧の位相をα[単位:rad]、除電ユニット中心位置をt、第1のイオン生成電極1dと第2のイオン生成電極1fとの印加電位差の実効値をVとすると、
第i番目の除電ユニットからの照射イオンによる帯電量は、同様に、速度u[単位:mm/秒]において、
(x,u)=K(V)sin{2π(x+t)/λ−α}/u
となる。
従って、α=0、t=0を含めることでiが1からnまでの全ての除電ユニットSUiにおける照射ムラを、
(x,u)=K(V)sin{2π(x+t)/λ−α}/u
で表せる。
これらn個の除電ユニットSU1〜SUnの全てからのイオンの照射により最終的にフィルムに残る帯電量は、このn個の各除電ユニットからの照射イオンによる帯電量を足しあわせたものである。
従って、
Figure 2006210159
となる。
ところで、調和振動x=Asin(ωt+φ)、x=Bsin(ωt+φ)について、和はx=x+x=Csin(ωt+φ
ただしC={A+B+2ABcos(φ−φ)}0.5
tanφ=(Asinφ+Bsinφ)/(Acosφ+Bcosφ
であることが知られている。すなわち、調和振動の和は同じ周波数の振動である。
したがって、n個の除電ユニットSU1〜SUnの全てからのイオン照射により最終的にフィルムに残る帯電は、n個の調和振動の和であり、
Figure 2006210159
ただし y=2πt/λ−α
となる。すなわち、周期λ(=u/f)、位相βの正弦波状の帯電である。
最終的にフィルム上に残る帯電のムラを考えるとき、帯電ムラのピーク位置(2πx/λ+β=π/2+mπを満たすxの値が示すフィルム上の位置)は問題でなく、上記式の振幅のみが問題となる。
同期重畳強さは、この振幅を、完全同期重畳の場合の振幅、すなわち、次の式
Figure 2006210159
で割ればよく、
Figure 2006210159
が、速度uにおける同期重畳強さとして求められる。
速度uの範囲が0〜5000mm/秒の範囲における、図1の装置での同期重畳強さの値を、f=60Hzの場合について求めたものが、図2である。なお、図1の除電装置においては、各除電ユニットは実質的に同じ構成であり、かつ、第1の交流電源を全除電ユニットにおいて共用しているため、
=V=V=・・・=V10=V
α=α=α=・・・=α10=α=0
であり、かつ、
(V)=K(V)=K(V)=・・・=K10(V10)=K(V)=K(一定値)とみなせる。
図2には、あわせて、図1の装置における除電ユニット中心間隔p〜pの平均値p(=25mm)で、等間隔に除電ユニットSU1〜SU10が並んだ同じ10対の除電器(図12における除電器5において、除電ユニット数nを10とした場合の除電器)における同期重畳強さが示されている。
図2に示されるとおり、等間隔pで除電ユニットが配された場合に、mu=p×f(ただしmは自然数)となる速度u[単位:mm/秒](p=25mm、f=60Hzの上記等間隔の場合、1500、750、500、375・・・mm/秒)で同期重畳状態(同期重畳強さX(u)の値が1)となっているのに対して、図1に示される除電器1においては、幅広い速度範囲において、X(u)の値が低い。特に、速度uが500mm/秒以上では、X(u)の値が0.5以下となっている。
すなわち、図1に示される除電器1は、除電ユニット中心間隔pが全てpで一定の除電器2と異なり、フィルムの加減速工程を含む、幅広い速度範囲において、フィルムの各面の各部に、正負イオンの大幅な偏りなく、イオンを照射することが可能である。
ここで、図1においては、第2の電極を第2のイオン生成電極であるとして、フィルムを挟んで両面に第1と第2のイオン生成電極が配置される除電器1について説明したが、、片面のみに第1のイオン生成電極が配置され、フィルムを挟んで反対面にはイオンを加速吸引する機能を有するが、イオンを生成する機能を有さない第2の電極が配置される除電器(特許文献1や2に開示された除電器2,3)の場合も同様である。但し、前者の場合は、フィルムが見かけ上の無帯電であって、各面の帯電のみに同期重畳の影響があらわれ、後者の場合は、フィルムの見かけ上の帯電に同期重畳の影響があらわれる。
このように、除電ユニットの配置を等間隔から、ランダムな間隔にかえることにより、幅広い速度において同期重畳の影響なく除電を行うことが可能となる。また、印加電圧の位相αを除電ユニットにより異ならせることによっても、同様の効果を得ることができる。
しかし、特許文献1や2に開示されたように、印加電圧の大きさのみを除電ユニットにより異ならせるだけで、除電ユニットの配置が等間隔で印加電圧位相が一定の場合には、同期重畳の影響を排除することはできない。
もし、全ての除電ユニット中心間隔がp[単位:mm]で一定、全ての除電ユニットSU1〜SUnの第1のイオン生成電極1d〜1dに同じ位相の交流電圧を印加する(α〜α=0)と、その同期重畳強度は
Figure 2006210159
ただし y=2πf・(i−1)p/u
となる。
mu=p×fとなる速度u[単位:mm/秒]において、
siny=sin{2m(i−1)π}=0
cosy=cos{2m(i−1)π}=1
である。従って、速度u[単位:mm/秒]において、
Figure 2006210159
となる。
すなわち、印加電圧の大きさのみを除電ユニットにより異ならせても、mu=p×fとなる速度u[単位:mm/秒]において同期重畳状態となることを完全に避けることはできない。
従って、幅広い速度において同期重畳を避けるためには、除電ユニット中心間隔p〜pn−1もしくは、印加電圧位相(電源出力位相)α〜αの少なくとも1つを、他の除電ユニット中心間隔もしくは印加電圧位相と異ならせることが必要である。
ここで、印加電圧位相が全て同じ、すなわちα〜α=0の場合、除電ユニット中心間隔p〜pn−1[単位:mm]が表2のように、整数倍の関係になっていると、除電ユニット中心間隔p〜pn−1が全て同じでなくても同期重畳の問題が発生することがある。また、表3のように、全ての除電ユニット中心間隔p〜pn−1[単位:mm]が、全て任意の数Dの整数倍である場合にもMu=D×f(ただし、Mは自然数とする)を満たす速度uにおいて、同期重畳状態が発生する。
Figure 2006210159
Figure 2006210159
すなわち、Mu=D×fとなる速度u[単位:mm/秒]においては、
siny=sin{2πMt/D}=0
cosy=cos{2πMt/D}=1
(∵pはDの整数倍であり、tもDの整数倍。従って、t/Dは整数)
となるため、
Mu=D×fとなる速度u[単位:mm/秒]において、最終的にフィルムに残る帯電の振幅が
Figure 2006210159
となり、同期重畳強度X(u)が1となる。すなわち、同期重畳状態となる。
従って、各除電ユニットピッチp〜pn−1をそれぞれ自然数で割った値同士が、等しくならない事が重要である。
除電ユニット中心間隔p〜pn−1や、印加電圧位相α〜αの値は、除電を行う工程における、フィルムの移動速度の最大値(umax)および最小値(umin)に応じて決定すればよい。但し、先に無視したイオンのフィルム面における広がりの影響があるため、フィルム移動開始直後や停止直前等で低速で移動している場合は、同期重畳の影響を除外できる。
これについて次に説明する。フィルム面におけるイオンの広がり、すなわち停止状態にあるフィルムに対して、単位インパルス電圧を第1番目の除電ユニットの第1のイオン生成電極と第2の電極とに印加した場合の、位置xにおけるフィルムの帯電量の相対値をf(x)(ただし、∫f(x)dx=1。但し積分範囲はxが−∞から∞)とする。
イオンのフィルム面における広がりの影響を考慮にいれると、1番目の除電ユニットからの照射イオンによる帯電量は、先のg(x,u)に、イオンの広がりf(x)を畳み込み積分した、G(x,u)=∫g(x−τ,u)・f(τ)dτ (但し積分範囲はτが−∞から∞)
となる。
ただし、g(x,u)=K(V)sin(2πx/λ)/uである。
ここで、フィルム面におけるイオンの広がりf(x)は、イオン生成電極の形状や、材質に依存して変化するため、その分布を完全に求めるのは容易ではない。
但し、第1のイオン生成電極が、加速機能を有する第2の電極と対向している場合、開口角θがπ/3以上であれば、イオンは第2の電極の方向(すなわちフィルムの方向)ψ=±π/3[単位:rad]の範囲に照射され、
その分布はf(x)=cosψで近似して問題ない(但し、ψ=arctan(x/d)、dは針電極先端とフィルムとの法線方向距離[単位:mm])。
これは、針対平板電極の系に置いて知られている照射イオンの分布関数である(例えば、非特許文献2、参照。)。
一方、針対針電極の系と、針対平板電極の系とにおける、その針電極側の空間の電界分布は等価である。従って、加速機能を有する第2の電極がイオン生成の機能を有する第2のイオン生成電極である針電極の場合も、加速機能を有する第2の電極がイオン生成の機能を有さない平板電極の場合と同様、f(x)=cosψ(但し、ψ=arctan(x/d)、dは針電極先端とフィルムとの法線方向距離[単位:mm])でイオンの広がりを近似できる。
そこで、第1の除電ユニットSU1において照射されるイオンの分布を、f(x)=cosψ
ただしψ=arctan(2x/d)(針電極先端とフィルムとの法線方向距離dを法線方向電極間距離dの半分として近似)とすると、1番目の除電ユニットSU1から照射されるイオンによる帯電量は
(x,u)=∫K(V)sin{2π(x−τ)/λ}・cos{arctan(2τ/d)}dτ/u(但し積分範囲はτが−∞から∞とする)
となる。
(x,u)の値も、g(x,u)同様、フィルムの移動方向の位置xに関し、周期λで変動する。すなわち、フィルム上に、移動方向に周期λで正弦波状に変化する帯電ムラが生じることを表している。速度uにおけるG(x,u)の最大値(周期λの正弦波の振幅に相当する)をH(u)とし、
u・H(u)/K(V)および、H(u)/K(V)(ここでK(V)は印加電位差で決まる定数)の値を図3および、図4に示す(すなわち、各速度uにおいて、フィルムの移動方向の位置xを変化させて求めた∫sin{2π(x−τ)/λ}・cos{arctan(2τ/d)}dτ(積分範囲はτが−∞から∞)の最大値と、∫sin{2π(x−τ)/λ}・cos{arctan(2τ/d)}dτ/u(積分範囲はτが−∞から∞)の最大値である)。
図3に示すとおり、u=dfにおいて、u・H(u)/K(V)の値は2/3となる。これはすなわち、第1の除電ユニットにおいて、最も照射イオンが正に偏っている部分において、負イオンの照射量がその1/3であることを意味する。すなわち、正極性のイオンの照射量の相対値を1とすると、全イオン照射量の相対値は4/3(=1+1/3)となり、その半分、すなわち相対値で2/3(=1/3×2)の正負イオンが、フィルムを帯電させるのでなく、フィルムを除電するために照射されている状態である。
これより、フィルム速度uがu<dfとなる領域においては、第1の除電ユニットにおいて照射される全イオンのうち、半数以上は除電に有効に寄与している事が判る。
一方、図4に示すとおり、H(u)/K(V)の値は、u=df付近でピークとなり、ピークの右側では1/uに漸近する。一方、ピークの左側(u<df)では急激に小さくなり、u<df/2では、十分小さいと見なせる。すなわち、u<df/2においては、印加電圧周波数fに対して、フィルム速度uが小さいため、正と負のイオンが広がりをもってフィルム上の各位置に次々に照射され、第1の除電ユニットSU1においてフィルム上に生じる帯電のムラがほとんどないことを意味する。
i番目の除電ユニットSUiについても同様に考えればよい。d、d・・・dの最小値をdとすると、u<df/2であれば、例え同期重畳状態であっても、(各除電ユニットにおいて生じる帯電のムラが小さいため)、フィルム上に残る帯電は小さく問題とならない。
これを、帯電ムラの周期λで表すと、周期λ(=u/f)<d/2となる帯電ムラの影響は、同期重畳の影響を考慮する際、除外して問題ないことになる。
すなわち、λ≧d/2を満たすλにおいて、同期重畳の影響を避けることを検討すればよい。
次に、i番目の除電ユニットの開口角θがπ/3以下の場合について考える。
第1の除電ユニットの開口角θがπ/3以下で、第1のイオン生成電極が加速機能を有する第2の電極(加速機能を有しイオン生成機能を有しない電極、または、加速機能とともにイオン生成機能を有する第2のイオン生成電極のいずれか)と対向している場合、イオンは第2の電極の方向(すなわちフィルムの方向)に開口角θの範囲にほぼ照射されると考えられる。
イオンの広がりが(開口角がπ/3以上の場合と比べて)、
tanθ/tan(π/3)倍となることから、同期重畳の影響を考慮する際、
第1の除電ユニットSU1からのイオン照射による帯電のムラを除外できる速度は、u<0.29dftanθとなり、
除外できる帯電ムラの周期は、λ<0.29dtanθとなる。
全ての除電ユニットに関し同様であるため、
、d・・・dの最小値をd、θ、θ・・・θの最小値をθとすれば、θ<π/3の場合、u<0.29dftanθにおいて、全ての除電ユニットSU1〜SUnにおいて生じる帯電のムラが小さく、フィルム上に残る帯電は小さく問題とならない。
帯電ムラの周期λで表すと、周期λ<0.29dtanθとなる帯電ムラの影響は、同期重畳の影響を考慮する際、除外して問題ないことになる。
すなわち、θ<π/3の場合、λ≧0.29dtanθにおいて、同期重畳の影響を避けることを検討すればよい。
実際に使用速度範囲が決まっている場合には、その速度範囲だけに相当する照射ムラ周期λ(=u/f)mmでの同期重畳強度を小さくするように設計すればよい。
例えば、比較的厚い(厚さ20〜200μm程度の)フィルムにコーティングを施す等の工程では、0〜120m/min程度の比較的低速が使用される。商用周波数(50/60Hz)を使用する場合、照射ムラの周期λはu/fより、40mm以下となる。
従って、照射ムラの周期λがd/2〜40mm(θ≧π/3の場合)または、0.29dtanθ〜40mm(θ<π/3の場合)となる速度範囲において、同期重畳強度が0.75以下であれば、使用速度範囲において、正負イオン照射バランスが大きく崩れる速度はないといえる。
また、比較的薄い(厚さ2〜16μm程度)のフィルムをスリットする等の工程では、0〜600m/min程度と大きく速度範囲がかわる。商用周波数を使用する場合、照射ムラの周期はu/fより、200mm以下となる。
従って、照射ムラがd/2〜200mm(θ≧π/3の場合)または、0.29dtanθ〜200mm(θ<π/3の場合)となる速度範囲において、同期重畳強度が0.75以下であれば、使用速度範囲において、正負イオン照射バランスが大きく崩れる速度はないといえる。
同期重畳強度Xの値は小さいほどよく、0.5以下であれば、除電に寄与するイオンの方が、フィルムの電位をシフトさせる(帯電ムラを生じさせる)イオンの量以上となり特に好ましい。ただし、幅広い速度範囲で使用する場合には、その全ての速度範囲において、X値を0.5以下にするのは、特に除電ユニット全体の数nが小さい場合には、困難である。この場合は、使用する速度範囲の全範囲で、X値0.75以下を目処とする。X値が0.75より大きい場合は、完全な同期重畳に近く、イオンのバランスが大きく崩れている状態といえるからである。
除電ユニット全体の数nが少ないほど、幅広い速度範囲で、使用するための設計がクリティカルになる。除電ユニット全体の数nが少ない除電器を幅広い速度範囲にする場合の指針として、除電ユニット中心間隔p〜pn−1の最大値を、最小値の1.5倍以上にするとよい。
例えば、除電ユニット全体の数nが6の場合を考える。全ての除電ユニットSU1〜SU6において、開口角θ〜θが55°となる第1および第2の電極ユニットを使用し、法線方向電極間距離d〜dを25mmとし、除電ユニット中心間隔p〜pの平均値を同じ(30mm)とした表4のA、B、C、D、Eの場合、除電ユニット中心間隔p〜pの最大値と最小値の比率が1.5以下の場合、この比率をを大きくするほど、λの値が12.5(=0.29・30・tan(55/180π))〜200の範囲でのX値の最大値(最も帯電ムラが大きくなる速度における同期重畳強度の値)を小さくできる。除電ユニット中心間隔p〜pの最大値と最小値の比率を1.5倍より大きくしていっても、以降のX値の最大値は大幅には低下しなくなる(表4のDとEではむしろ、X値の最大値は微増している)。従って、最大値と最小値の比率1.5倍を目安として、除電ユニット中心間隔p〜pをランダムにすればよい。除電ユニット中心間隔p〜pの最大値と最小値の比率について、特に理論的上限はないが、上記のように、最大値と最小値の比率を1.5倍より大きくしていっても大幅なX値の低下がみられないこと、除電ユニット中心間隔p〜pの最小値は電極構造上の制約があることから、最大値と最小値の比率を大きくすると、除電装置全体のサイズが大きくなることから、目安として、2.5倍以下とすればよい。
Figure 2006210159
このように、除電ユニット中心間隔p〜pn−1もしくは、印加電圧位相(電源出力位相)α〜αの値少なくとも1つを、他の除電ユニット中心間隔もしくは印加電圧位相の値と異ならせることにより、幅広い速度範囲において、同期重畳の影響なく効果的に除電を行うことが可能であるが、このうち、除電ユニット中心間隔p〜pn−1の、少なくとも1つの値を、他の除電ユニット中心間隔から異ならせる方法が、実際の装置設計上簡便である。これは、印加電圧位相をかえるためには、特に高価な電源を要することが多いためである。但し、印加電圧位相については、0radとπrad(反転位相)との2つの位相を組み合わせて使用すると、装置コストを抑えることが可能である。
例えば、除電ユニット中心間隔p〜pn−1の値が全て同じ値pであっても、フィルムの移動方向に隣接する除電ユニットの第1のイオン姿勢電極に逆極性の交流電圧を印加する(位相を反転させる)と、同期重畳となる速度を2倍にできる。例えば、全ての除電ユニットにおいて、開口角がπ/3radとなる電極を使用し、法線方向電極間距離d〜dを30mmとし、除電ユニット中心間隔p〜pの値が全て20mmである6個の除電ユニットからなる除電装置の場合、全ての除電ユニットの第1のイオン生成電極に周波数60Hzで同相の電圧を印加すると、速度72m/分において同期重畳となるが、(周波数はそのままで)2,4,6番目の除電ユニットの第1のイオン生成電極に、第1、3,5番目の除電ユニットの第1のイオン生成電極への印加電圧と逆相(πrad位相が異なる)の電圧を印加した場合、同期重畳速度は144m/分となる(48m/分においても、同期重畳状態であるが、λ=u/f=48000/60/60=13.3<15=30/2=d/2で、同期重畳状態でも強い帯電のムラは発生しにくい速度である)。例えば、比較的厚いフィルムにコーティングを施す等を目的として、0〜120m/分程度だけを使用する工程であれば、このように0radとπradの2つの位相を組み合わせるだけで同期重畳の影響をさけることが可能となる(この場合、u=df/2=54m/分から120m/分におけるX値の最大値は0.67である)
位相反転と、除電ユニット中心間隔p〜pn−1の値とを組合せれば、特に高価な電源を使用することなく、幅広い速度範囲において、同期重畳の影響なく除電を行える除電装置を製造しうる。
位相反転と、除電ユニット中心間隔p〜pn−1の値とを組み合わせて、本発明における除電装置1を構成する場合、その部品点数の削減、装置コスト削減、制御性向上などの観点から、各除電ユニットにおける第1および第2の電源を共用して使用する事が可能である。位相反転と、中心間隔p〜pn−1の値とを組み合わせる場合には、最低限、極性が反転した2台(1台の電源のアースに接続された中性点をはさんだ二つの出力を使用する場合を含む)の電源を使用すれば事足りる。
このように電源を共用するなどして、各除電ユニットの各イオン生成電極への印加電圧(の実効値)が等しい場合、(法線方向電極間距離や、開口角、イオン生成電極先端形状や絶縁部材の配置が)実質的に等しい構成を持つ除電ユニットを並べて除電装置を構成した場合には、各除電ユニットからのイオン照射量を表すK(V)の値もほぼ同じと考えられる。そのため、装置構成からXの値を求める際、簡便のために各除電ユニットからのイオン照射量を表すK(V)の値を省略して計算することも可能である。
また、K(V)の値は、いずれの除電ユニットにおいても、Vが8〜20kV程度で、放電が(停止したり、火花放電に移行したりしない)安定な実効電圧の範囲においては、Vの値を増加させると、Vの値に比例するように増加する。従って、安定な実効電圧の範囲において、実質的に等しい構成を持つ除電ユニットから構成される、本発明による除電装置を使用する場合、K(V)の値のかわりに、Vの値を使用して、同期重畳強度Xの値を計算しても問題ない。
この他、周波数の異なる複数台の電源を使用することによっても、幅広い速度範囲において同期重畳をさけながら除電を行うことが可能である。但し、その際、イオン強制的に十分照射するために、各除電ユニットにおいて、第1のイオン生成電極と、第2の電極とに接続される電源の周波数は同じで、逆極性の出力を行う必要がある。
また、除電中に、フィルムの速度に応じて、除電ユニット中心間隔のうち、少なくとも1つを可変とすることで、幅広い速度範囲において同期重畳をさけながら除電をおこなうことも可能である。除電ユニット中心間隔を可変にするには、各除電ユニットをリニアガイドにより、フィルムの速度に応じて、その速度における共振をさけながら移動させれば、これを実現できる。
以上の除電装置を用いて、フィルムの除電を行った結果を説明する。
実施例および比較例における除電の効果は、次の方法により評価された。
フィルムの被評価面とは逆の面を、直径10cmのハードクロムメッキロールからなる金属ロールに密着させ、電位を測定した。電位計として、モンロー社製モデル244を、そのセンサとして、開口部直径1.75mmを有するモンロー社製プローブ1017を用いた。電位計をフィルム上2mmの位置に置いた。この位置での視野は、モンロー社カタログより、直径約6mmの範囲である。金属ロールをリニアモータを使用し、約1m/分の低速で回転させながら、電位計で背面平衡電位V[単位:V]を測定した。
また、次の方法で、背面平衡電位の絶対値の面内の最大値を求めた。すなわち、フィルム幅方向に、電位計を20mm程度スキャンさせて、絶対値の最大値が得られる幅方向の位置を決める。次いで、幅方向の位置を固定して、電位計を、フィルムが除電処理されたときのフィルムの移動方向、すなわち、フィルムの長さ方向に、スキャンさせて電位を測定する。フィルム面内の背面平衡電位は、2次元的にすべてのポイントを測定するのが理想であるが、前述の方法で、フィルム面内の電位の分布を近似する。フィルム幅が1mを越す場合には、フィルムの幅方向のほぼ中央部と端部において、20mm程度を切り出し、スキャンさせ、最大値が得られる場所を探し、その後、フィルムが除電処理されたときのフィルムの移動方向に、スキャンさせて、電位を測定する。これにより、フィルム面内の絶対値の最大値を求めた。
この背面平衡電位V[単位:V]により、関係式σ=C×V(ただし、Cは、単位面積当たりの静電容量[単位:F/m])を用いて、フィルム被評価面の電荷密度σを算出した。フィルム厚さが、測定視野より十分小さいことから、単位面積当たりの静電容量Cは、平行平板の静電容量C=ε×ε/d(ただし、dは、フィルムの厚さ、εは真空中の誘電率8.854×10−12F/m、εはフィルムの比誘電率)で近似した。ポリエチレンテレフタレートの比誘電率εは、3とした。算出された電荷密度の絶対値の最大値により、次の3段階で評価した。
◎: 30μC/m未満
○: 30μC/m以上、150μC/m未満
×: 150μC/m以上
[実施例1および比較例1]
図1に示される除電装置において、電気絶縁性シートSとして、幅300mm、厚さ25μmの2軸延伸されたポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ株式会社製ルミラー25R75)を用い、速度45〜300m/分でフィルムSを移動させた。フィルムSは、除電前に、各面がほぼ無帯電であることを確認した。
全ての除電ユニットにおいて、第1および第2の電極ユニットとしては、図5に示される針電極列を備えたものを使用した。この針の幅方向の間隔zは、12.7mmであった。第1および第2の電極ユニットを、フィルムSの移動方向に対して直交するように、かつ、フィルムSの面と平行になるように、フィルムSを挟んで、上下に設置し、除電ユニットとした。第1および第2の電極ユニットにおいて、針の先端の、シート移動方向および幅方向位置はそれぞれ同じとした。除電ユニットの総数nは、10とした。
各針電極列の針の先端、すなわち各除電ユニットの各イオン生成電極の先端は、幅方向に直線状に並び、電極のたわみは、無視出来るほど小さかった。また、上述の通り、フィルムSの移動方向に直交するように、除電ユニットを並べたので、次のd〜d10、p〜p、θ〜θ10の値に、あきらかな幅方向の分布はないものと判断した。これらの値は、電極ユニット、ならびに、除電ユニットの幅方向端部において測定した値である。
各除電ユニットにおいて、法線方向電極間距離d〜d10は、全て25mmで一定とし、開口角θ〜θ10は、全てπ/2radであった。
除電ユニット中心間隔p〜pは、表5に示す値[単位:mm]とし、各除電ユニットにおける針先端の幅方向位置は、同じとした。各除電ユニットの第1の電源としては、イオン生成電極同士は全て同相とし、各除電ユニットの第2のイオン生成電極同士も全て同相とし、第1および第2のイオン生成電極1d〜1d10、1f〜1f10に接続する第1および第2の交流電源1c〜1c10、1e〜1e10には、実効電圧4kV、周波数60Hzの交流電源を用いた。i番目の除電ユニット(但し、iは1以上10以下の整数)の第1と第2の交流電源1cと1eとは、互いに位相が逆になるよう、電源内部の昇圧トランスの入力を切り替えた。シールド電極1g〜1g10、1h〜1h10は、全て接地した。フィルムSは、各除電ユニットにおける第1および第2のイオン生成電極間の略中央を通るようにした。
実施例1および比較例1において、除電されたフィルムSの帯電分布について、上記測定方法に基づいて第1の面の電荷密度を調べた。実施例1における電荷密度の値を図6に、比較例1における電荷密度の値を図7に、ともに、速度45〜300m/分において、同期重畳強度Xの式に基づいて計算されたXの値とともに示す。
図6、7において、横軸は、フィルムの移動速度u[単位:m/分]を示し、第2縦軸(右側軸)は,同期重畳強さXの値を示す。第1縦軸(左側軸)は、実施例1および、比較例1における各面の電荷密度の絶対値の最大値の値を示す。
Figure 2006210159
[実施例2]
図1に示される除電装置において、全ての除電ユニットにおいて、第1および第2の電極ユニットとして、図5に示される、針電極を備えた、開口角π/2radの電極を使用し、第1および第2の電極ユニットを、フィルムSの移動方向に対して直交するように、かつフィルムSの面と平行になるように、フィルムSを挟んで、上下に設置して除電ユニットとし、除電ユニットの総数nを10とし、全ての除電ユニットにおける法線方向電極間距離d〜d10を全て20mmで一定とし、除電ユニット中心間隔p〜pの値を表6に示す値[単位:mm]とし、各除電ユニットの電源の出力電圧の周波数を全て50Hz、位相を全て同じ(α〜α10=0)とした場合の、フィルムSの移動速度0〜300m/分において、同期重畳強度Xの式に基づいて計算された値を図8に示す。
Figure 2006210159
[比較例2]
除電ユニット中心間隔p〜pの値を全て25mmで一定とした以外は、実施例2と同じとした場合の、同期重畳強度Xの式に基づいて計算された値を図8に示す。
[実施例3〜6および比較例3]
図1に示される除電装置において、全ての除電ユニットにおいて、開口角が55°となる電極ユニットを使用し、第1および第2の電極ユニットを、フィルムSの移動方向に対して直交するように、かつフィルムSの面と平行になるように、フィルムSを挟んで、上下に設置して除電ユニットとし、除電ユニットの総数nを6とし、全ての除電ユニットにおける法線方向電極間距離d〜dを全て30mmで一定とし、除電ユニット中心間隔p〜pの値を表7に示す値[単位:mm]とし、各除電ユニットの電源の出力電圧の周波数を全て60Hz、位相を全て同じ(α〜α=0)とする。同期重畳強度Xの式に基づいて計算された値の、フィルムSの移動速度45〜300m/分における最大値(Xmax)の値は表7に示す通りとなる。
Figure 2006210159
[実施例7および比較例4]
図1に示される除電装置において、全ての除電ユニットにおいて、開口角がπ/3rad以上となる電極ユニットを使用し、第1および第2の電極ユニットを、フィルムSの移動方向に対して直交するように、かつフィルムSの面と平行になるように、フィルムSを挟んで、上下に設置して除電ユニットとし、除電ユニットの総数nを6とし、全ての除電ユニットにおける法線方向電極間距離d〜dを全て30mmで一定とし、除電ユニット中心間隔p〜pを全て20mmで一定とし、各除電ユニットの電源の出力電圧の周波数を全て60Hzとし、位相α〜αを表8に示す値[単位:rad]とする場合の、フィルムSの移動速度54〜120m/分において、同期重畳強度Xの式に基づいて計算された値を図9に示す。
Figure 2006210159
本発明は、除電装置に限らず、除塵装置などにも応用することができるが、その応用範囲が、これらに限られるものではない。
本発明における除電装置の概略断面図である。 本発明における除電装置の除電ユニットの構造を示す説明図である。 本発明における除電装置の除電ユニット配置を示す説明図である。 本発明における除電装置の除電の効果を示す説明図である。 本発明における第1の除電ユニットにおける、照射イオンの偏り度合いを説明する図である。 本発明における第1の除電ユニットにおける、照射イオンの偏り量を説明する図である。 本発明に使用される電極ユニットの概略図である。 実施例1におけるフィルム電荷密度と同期重畳強度Xの計算値を示す説明図である。 比較例1におけるフィルム電荷密度と同期重畳強度Xの計算値を示す説明図である。 実施例2、および比較例2、3における同期重畳強度Xの計算値を示す説明図である。 実施例5および比較例7における同期重畳強度Xの計算値を示す説明図である。 従来技術における除電装置の概略断面図である。 従来技術における除電装置の概略断面図である。 特願2004−221441における除電装置の概略断面図である。 特願2004−221441における除電の効果を示す説明図である。 特願2004−221441における除電の効果を示す説明図である。 特願2004−221441における除電の効果を示す説明図である。 特願2004−221441において生じる同期重畳現象を示す説明図である。 特願2004−221441において生じる同期重畳現象を示す説明図である。
符号の説明
1:除電器
1a:ガイドロール
1b:ガイドロール
1ab:シートの移動方向
SUi:i番目の除電ユニット
SUk:k番目の除電ユニット
SUk+1:k+1番目の除電ユニット
EUd―i:i番目の除電ユニットにおける第1の電極ユニット
EUd―k:k番目の除電ユニットにおける第1の電極ユニット
EUd―k+1:k+1番目の除電ユニットにおける第1の電極ユニット
EUf―i:i番目の除電ユニットにおける第2の電極ユニット
EUf―k:k番目の除電ユニットにおける第2の電極ユニット
EUf―k+1:k+1番目の除電ユニットにおける第2の電極ユニット
1c:i番目の除電ユニットにおける第1の電源
1c:k番目の除電ユニットにおける第1の電源
1cK+1:k+1番目の除電ユニットにおける第1の電源
1d:i番目の除電ユニットにおける第1のイオン生成電極
1d:k番目の除電ユニットにおける第1のイオン生成電極
1dK+1:k+1番目の除電ユニットにおける第1のイオン生成電極
1e:i番目の除電ユニットにおける第2の電源
1e:k番目の除電ユニットにおける第2の電源
1eK+1:k+1番目の除電ユニットにおける第2の電源
1f:i番目の除電ユニットにおける第2のイオン生成電極
1f:k番目の除電ユニットにおける第2のイオン生成電極
1fK+1:k+1番目の除電ユニットにおける第2のイオン生成電極
1g:i番目の除電ユニットにおける第1のシールド電極
1g:k番目の除電ユニットにおける第1のシールド電極
1gK+1:k+1番目の除電ユニットにおける第1のシールド電極
1h:i番目の除電ユニットにおける第2のシールド電極
1h:k番目の除電ユニットにおける第2のシールド電極
1hK+1:k+1番目の除電ユニットにおける第2のシールド電極
2:除電器
2a:交流電源
2b:正負イオン生成電極
2ab:フィルムの移動方向
2c:交流電源
2d:イオン吸引電極
2e:直流除電器
2f:交流除電器
3:除電器
3a:交流電源
3b:イオン生成用電極
3ab:フィルムの移動方向
3c:交流電源
3d:イオン加速用電極
3e:交流電源
3f:イオン生成用電極
3g:交流電源
3h:イオン加速用電極
5:除電器
5a:ガイドロール
5b:ガイドロール
5ab:シートの移動方向
5c:第1の交流電源
5d−1:1番目の除電ユニットにおける第1のイオン生成電極
5d−2:2番目の除電ユニットにおける第1のイオン生成電極
5e:第2の交流電源
5f−1:1番目の除電ユニットにおける第2のイオン生成電極
5f−2:2番目の除電ユニットにおける第2のイオン生成電極
5g−1:1番目の除電ユニットにおける第1のシールド電極
5g−2:2番目の除電ユニットにおける第1のシールド電極
5h−1:1番目の除電ユニットにおける第2のシールド電極
5h−2:2番目の除電ユニットにおける第2のシールド電極
SU1:1番目の除電ユニット
SU2:2番目の除電ユニット
SUn:n番目の除電ユニット
EUd−1:1番目の除電ユニットにおける第1の電極ユニット
EUd−2:2番目の除電ユニットにおける第1の電極ユニット
EUd−n:n番目の除電ユニットにおける第1の電極ユニット
EUf−1:1番目の除電ユニットにおける第2の電極ユニット
EUf−2:2番目の除電ユニットにおける第2の電極ユニット
EUf−n:n番目の除電ユニットにおける第2の電極ユニット
7:電極ユニット
7a:イオン生成電極(針電極列)
7b:シールド電極
7c:高圧芯線
7d:絶縁部材
100:シートの第1の面
200:シートの第2の面
101:(シートの第1の面の)正の静電荷
102:(シートの第1の面の)負の静電荷
201:(シートの第2の面の)正の静電荷
202:(シートの第2の面の)負の静電荷
301:正イオン
302:負イオン
500:電気力線
700:クーロン力
n:除電ユニット全体の数
k:1からn−1までの整数
:k番目の除電ユニットとk+1番目の除電ユニットとの除電ユニット中心間隔
i:1からnまでの整数
:i番目の除電ユニットにおける法線方向電極間距離
f:交流電源の出力周波数
θ:i番目の除電ユニットの開口角
u:電気絶縁性シートの搬送速度
(V):第i番目の除電ユニットの第1のイオン生成電極と第2の電極との電位差実効値がVの時のイオン照射量を、フィルム上の帯電量として表した値
(u):速度uにおけるG(x,u)の最大値
X(u):速度uにおける同期重畳強度
z:(電極ユニットの針電極列における)針の幅方向の間隔
S:シート

Claims (13)

  1. 電気絶縁性シートの移動経路に対し、該シートの移動方向に間隔をおいて設けられた、少なくとも3個の除電ユニットと、第1の交流電源および該第1の交流電源とは実質的に逆極性の第2の交流電源とを有し、
    該各除電ユニットは、前記シートを挟んで対向配置された、第1のイオン生成電極と、少なくともイオンを加速吸引する機能を有する第2の電極とを備え、
    前記第1のイオン生成電極には前記第1の交流電源が接続され、前記第2の電極には前記第2の交流電源が接続されている電気絶縁性シートの除電装置であって、
    前記シートの移動方向において最上流から第k番目と第k+1番目の除電ユニットの、前記シートの移動方向における除電ユニット中心間隔をp[単位はmmとし、小数点下1桁目で四捨五入するものとする。(ただし、除電ユニットの全体の数をnとし、kは1からn−1までの整数とする)とするとき、
    前記各除電ユニット中心間隔p,・・・,pn−1の各値と、前記各除電ユニットの第1の交流電源の出力位相の各値[単位はradとし、小数点下2桁目で四捨五入するものとする。]との少なくとも一方が、2以上の異なる値を有することを特徴とする、電気絶縁性シートの除電装置。
  2. 前記第1の交流電源と、前記第2の交流電源とは、それぞれ単一の電源、または、それぞれ実質的に位相差ゼロの複数の交流電源群であって、
    集合P={p,p/2,p/3,p/4,・・・}[単位はmmとし、小数点下2桁目で四捨五入し、その結果0となる元以降の元はこの集合に含まないものとする。]で定義される全ての集合P,・・・,Pn−1に共通に含まれる元の集合R(=P∩P∩・・・∩Pn−1)の最大の元が12.5mm以下であることを特徴とする、請求項1に記載の電気絶縁性シートの除電装置。
  3. 前記各除電ユニットにおいて、前記シートの移動方向に隣接する除電ユニットの第1のイオン生成電極同士が、互いに逆極性の前記第1の交流電源に接続されていることを特徴とする、請求項1に記載の電気絶縁性シートの除電装置。
  4. 前記シートの移動方向最上流から第i番目(但しiは1からnまでの整数とする)の前記除電ユニットの第1のイオン生成電極に接続された前記第1の交流電源の出力の、第1番目の前記除電ユニットの第1のイオン生成電極に接続された前記第1の交流電源の出力に対する位相をα[単位:rad]とし、
    前記第i番目の除電ユニットの前記シートの移動方向における除電ユニット中心位置をt[単位:mm](ただし、t=0とし、前記シートの移動方向を正とする)、法線方向電極間距離をd[単位:mm]、開口角をθ[単位:rad]とし、d〜dの最小値をd、θ〜θの最小値をθとするとき、距離λについて、
    d/2≦λ≦40[mm]の全範囲(θ≧π/3の場合)
    または、
    0.29dtanθ≦λ≦40[mm]の全範囲(θ<π/3の場合)において、下記Xの値が、0.75以下であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の電気絶縁性シートの除電装置。
    Figure 2006210159
  5. 前記シートの移動方向最上流から第i番目(但しiは1からnまでの整数とする)の前記除電ユニットの前記シートの移動方向における除電ユニット中心位置をt[単位:mm](ただし、t=0とし、前記シートの移動方向を正とする)、法線方向電極間距離をd[単位:mm]、開口角をθ[単位:rad]とし、d、d・・・dの最小値をd、θ、θ・・・θの最小値をθとするとき、
    n個の元を持ち、その全ての元が−1または1のいずれかである少なくとも1つの集合L={l,l,・・・l}に対して、距離λについて、
    d/2≦λ≦40[mm]の全範囲(θ≧π/3の場合)
    または
    0.29dtanθ≦λ≦40[mm]の全範囲(θ<π/3の場合)において、下記Xの値が0.75以下であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の電気絶縁性シートの除電装置。
    Figure 2006210159
  6. 前記距離λについて、
    λd/2≦λ≦200[mm](θ≧π/3の場合)の全範囲
    または、
    0.29dtanθ≦λ≦200[mm](θ<π/3の場合)の全範囲において、前記Xの値が0.75以下であることを特徴とする、請求項4または5に記載の電気絶縁性シートの除電装置。
  7. 前記Xの値が、0.5以下であることを特徴とする、請求項4〜6のいずれかに記載の電気絶縁性シートの除電装置。
  8. 前記各除電ユニット中心間隔pの値のうち最大の値が、前記各除電ユニット中心間隔pの値のうち最小の値の1.5倍以上2.5倍以下であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の電気絶縁性シートの除電装置。
  9. 前記第1のイオン生成電極が、前記シートの第1の面側に配置され、前記第2の電極が、イオン生成の機能を有する第2のイオン生成電極であって、前記シートの第2の面側に配置されることを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の電気絶縁性シートの除電装置。
  10. 請求項1に記載の電気絶縁性シートの除電装置を用いた電気絶縁性シートの除電方法であって、
    前記第1および第2の交流電源の周波数をf[単位:Hz]、
    前記シートの移動方向最上流から第i番目(但しiは1からnまでの整数とする)の前記除電ユニットの第1のイオン生成電極への印加電圧の位相をα[単位:rad]、
    前記第i番目の除電ユニットの前記シートの移動方向における除電ユニット中心位置をt[単位:mm](ただし、t=0とし、前記シートの移動方向を正とする)、法線方向電極間距離をd[単位:mm]、開口角をθ[単位:rad]、d〜dの最小値をd、θ〜θの最小値をθとし、
    前記第i番目の除電ユニットの前記第1のイオン生成電極と前記第2の電極との前記印加電圧の電位差の実効値をVとするとき、
    df/2および前記電気絶縁性シートの搬送速度u[単位:mm/sec]の最小値umin以上でありかつ最大値umax以下の速度の全範囲(θ≧π/3の場合)
    または、
    0.29dftanθおよび前記電気絶縁性シートの搬送速度u[単位:mm/sec]の最小値umin以上でありかつ最大値umax以下の速度の全範囲(θ<π/3の場合)において、下記Xの値が、0.75以下であることを特徴とする、電気絶縁性シートの除電方法
    Figure 2006210159
    ただし y=2πf・t/u−α
  11. 前記第i番目の除電ユニットの第1のイオン生成電極と第2の電極との法線方向電極間距離をdとするとき、各除電ユニットにおいて
    180×d≦V かつ
    >0.085×d xf
    が成立する条件を用いることを特徴とする請求項10に記載の電気絶縁性シートの除電方法。
  12. >0.17×d ×f
    が成立する条件を用いることを特徴とする請求項11に記載の電気絶縁性シートの除電方法。
  13. 請求項10〜12のいずれかに記載の電気絶縁性シートの除電方法により電気絶縁性シートを除電することにより、電気絶縁性シートを製造する除電済み電気絶縁性シートの製造方法。
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JP2018073553A (ja) * 2016-10-26 2018-05-10 春日電機株式会社 除電装置

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