JPH0864384A - 絶縁性ウエブの除電方法およびウエブの製造方法 - Google Patents

絶縁性ウエブの除電方法およびウエブの製造方法

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JPH0864384A
JPH0864384A JP19438194A JP19438194A JPH0864384A JP H0864384 A JPH0864384 A JP H0864384A JP 19438194 A JP19438194 A JP 19438194A JP 19438194 A JP19438194 A JP 19438194A JP H0864384 A JPH0864384 A JP H0864384A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 細かいピッチの両極性帯電や微小な放電痕ま
で除電できる絶縁性ウエブの除電方法および均一な品質
を有するウエブの製造方法を提供する。 【構成】 本発明の絶縁性ウエブの除電方法によれば、
絶縁性ウエブの被除電部位を充電電極3と対向する接地
導電性ローラ2の部位に密着させ、この充電電極3に直
流電圧を印加して被除電部位表面に電荷を供給し、接地
導電性ローラ2を回転させながら被除電部位を接地導電
性ローラ面より剥離せしめ、絶縁性ウエブ1面に対して
充電電極3と同一の側に設けた除電電極4により被除電
部位の電荷を除去する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、プラスチックフィルム
や織物の絶縁性ウエブの除電方法およびこの除電方法を
用いる絶縁性ウエブの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ウエブ上の静電荷はウエブの被膜を破損
させるという製品の品質に係わる問題を生じる。たとえ
ば写真産業では写真被膜材を任意帯電ウエブに施した場
合著しく非均質な被膜分布を生じる。また、コンデンサ
用および包装用蒸着フィルムの生産工程では、ベースフ
ィルムの静電気帯電によって蒸着不良や膜ぬけなどが生
じる場合がある。
【0003】そこで、ウエブの帯電に伴う問題を解決す
るため、従来から、アースされた細いブラシ状の導電物
を除電対象である絶縁性ウエブに接近させ、ブラシ先端
でコロナ放電を発生させて除電する自己放電式除電器
や、針状電極に商用周波数の高電圧や直流高電圧を印加
してコロナ放電を発生させて除電する電圧印加式除電器
が使用されていた。
【0004】コロナ放電を利用した従来の除電器の除電
原理は、電極におけるコロナ放電によって正、負のイオ
ンを発生させ、帯電体が持つ静電荷の極性と逆極性のイ
オンを帯電体の電界で引き寄せて、帯電体の静電気を中
和するというものである。
【0005】しかし、写真フィルムやコンデンサ用フィ
ルムに使用されるポリエステルベース材、ポリプロピレ
ンベース材等は、表面固有抵抗が高いため強度及び極性
が異なる比較的高い電荷密度の表面帯電電荷が互いに接
近するウエブ領域(たとえば、細かいピッチで生じる
正、負の繰り返し両極性パターン)を有する場合があ
る。このような場合、電気力線が上記の極性の異なる表
面帯電部位のなかで閉じてしまうため、帯電体から少し
離れた位置では電界が非常に弱く、必要なイオンを引き
寄せることができない。また、絶縁性ウエブの走行中に
おいて絶縁性ウエブの表面では細かい正負の帯電痕によ
る強い交番電界が存在するため、イオン粒子は強制振動
をさせられウエブ表面に達することができず、上記帯電
部位の電荷を中和することができない。
【0006】このような細かい帯電パターンに対する除
電技術として、米国特許第3,730,753号明細書
に記載された方法が知られている。
【0007】図2はこの除電方法に用いられる装置構成
を示す図である。この除電方法では、まず1つの接地導
電性ローラ21に密着している絶縁性ウエブ20に対し
て、負(または正)の直流電圧24が印加されている第
1組の電極22と23とにより負(または正)電荷を供
給する。次に、絶縁性ウエブ20を接地導電性ローラ2
1に密着させたまま第1組と逆極性の直流電圧が印加さ
れている第2組の電極25と26とにより第1組の場合
と逆極性の電荷を絶縁性ウエブに供給し、第1組の電極
22、23による電荷をほぼ中和する。ただし、残余の
電荷を除去する必要からさらに第3の接地電極28が設
けられている。
【0008】ところが、この除電方法では、さらに除電
後の絶縁性ウエブ20の均一な帯電を除去するために対
向ローラ31、電位プローブ32および静電電位計33
を用いて絶縁性ウエブ表面の電位を測定し、その結果が
0Vとなるように上記2組の電極への印加電圧を調整し
なければならなかった。
【0009】これは、第2組の電極25、26が絶縁性
ウエブ20が接地導電性ローラ21に密着した状態で電
荷を供給するためである。この状態では絶縁性ウエブ2
0の表面と接地導電性ローラ21との間の静電容量が大
きいため、第2組の電極25、26から供給される電荷
に過不足があると、この過不足分がそのまま絶縁性ウエ
ブ20の表面に残ってしまうからである。したがって、
第2組の電極25、25から供給される電荷の量は、除
電後の電位を確認しながら厳密に調整しなければならな
かった。
【0010】また、絶縁性ウエブが第1組の電極により
電荷を与えられる前の帯電量によっても、第2組の電極
に印加すべき電圧が異なるという問題もあった。
【0011】このように、上記の従来の絶縁性ウエブの
除電方法は、本質的に、第2組の電極に印加すべき電圧
を調整しなければならない除電原理によっており、除電
後に絶縁性ウエブの帯電状況を測定しなければならなか
った。しかも、さらに接地された第3の電極が必要であ
り、非常に複雑な構成の設備を必要とした。
【0012】また、多数の電極を用いるために、除電の
空間的な不均一性が発生しやすいという問題点も避けら
れなかった。
【0013】また、同様の除電方法として、特開昭60
−95899号公報に開示されている方法が知られてい
るが、上記の従来の技術と同様の問題点を有していた。
【0014】これらの除電方法では、絶縁性ウエブ表面
の細かいピッチの両極性帯電や微小な放電痕を効率良
く、安価な設備で除去することは困難であった。
【0015】また、かかる除電方法で除電されて製造さ
れた絶縁性ウエブは、除電が必ずしも完全に行なわれて
いないため不均一な帯電が残っていたり、不適切な除電
により発生した放電痕が残っている場合が少なくなかっ
た。したがって、かかる絶縁性ウエブを加工して製造さ
れた各種製品は品質が不均一になりがちであった。ま
た、上記のような複雑な設備を要する除電方法を用いる
ため、ウエブの製造コストが高かった。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】本発明の第1の目的
は、上記の問題を解決し、絶縁性ウエブ表面の細かいピ
ッチの両極性帯電や微小な放電痕までも効果的に、電極
電圧の厳密な制御などを必要とせず、安価な設備で除去
できる絶縁性ウエブの除電方法を提供することにある。
【0017】また、本発明の第2の目的は、絶縁性ウエ
ブ表面の細かいピッチの両極性帯電や微小な放電痕を有
しない無帯電のウエブを、効率良く、安価な設備で製造
する方法を提供することにある。
【0018】また、本発明の第3の目的は、絶縁性ウエ
ブ表面の細かいピッチの両極性帯電や微小な放電痕を有
しない無帯電の絶縁性ウエブを加工し、均一な品質のウ
エブを安価に製造する方法を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めの本発明の骨子は以下の通りである。
【0020】本発明の絶縁性ウエブの除電方法は、絶縁
性ウエブの被除電部位を充電電極と対向する接地導電性
ローラの部位に密着させ、該充電電極に直流電圧を印加
して該被除電部位表面に電荷を供給し、前記接地導電性
ローラを回転させながら該被除電部位を前記接地導電性
ローラ面より剥離せしめ、前記絶縁性ウエブ面に対して
前記充電電極と同一の側に設けた除電電極により前記被
除電部位の電荷を除去し、前記被除電部位を無帯電にす
ることを特徴としている。
【0021】また、本発明の絶縁性ウエブの除電方法の
好ましい態様は、前記充電電極により前記絶縁性ウエブ
の前記被除電部位表面に供給される電荷の電荷密度σ
(μC/m2 )が、 3≦σ<50 の関係を満たすように前記充電電極に直流電圧を印加す
るとともに、前記除電電極と前記接地導電性ローラ面と
を結ぶ最短経路上で測定したときの前記絶縁性ウエブと
前記接地導電性ローラ面との距離d3 (mm)および前
記電荷密度σ(μC/m2 )が、 25/σ≦d3 <100.05×(50-σ)+0.0006×(50-σ)
×(50-σ) の関係を満たすように前記除電電極を配置することを特
徴としている。
【0022】また、本発明の絶縁性ウエブの除電方法の
好ましい態様は、前記除電電極に前記充電電極と反対の
極性の直流電圧を印加することを特徴としている。
【0023】また、本発明の絶縁性ウエブの除電方法の
好ましい態様は、前記除電電極の前記充電電極の側また
はその反対側に前記除電電極から前記絶縁性ウエブの移
動方向に10mm以上かつ15mm以下だけ離れた位置
に陪設電極を設け、該陪設電極を接地することを特徴と
している。
【0024】また、本発明の絶縁性ウエブの除電方法の
好ましい態様は、前記除電電極を接地することを特徴と
している。
【0025】また、本発明の絶縁性ウエブの除電方法の
好ましい態様は、前記除電電極として除電ブラシを使用
し、前記除電電極と前記絶縁性ウエブとの最短距離d2
を0.1mm以上かつ15mm以下とすることを特徴と
している。
【0026】また、本発明の絶縁性ウエブの除電方法の
好ましい態様は、前記充電電極と前記絶縁性ウエブとの
最短距離d1 を10mm以上かつ25mm以下とするこ
とを特徴としている。
【0027】また、本発明の絶縁性ウエブの除電方法の
好ましい態様は、前記充電電極として針電極列またはワ
イヤ電極を使用することを特徴としている。
【0028】また、本発明の絶縁性ウエブの製造方法
は、上記の絶縁性ウエブの除電方法により絶縁性ウエブ
を除電し、無帯電のウエブを得ることを特徴としてい
る。
【0029】また、本発明の絶縁性ウエブの製造方法の
別の態様は、上記の絶縁性ウエブの除電方法により絶縁
性ウエブを除電する工程と、除電後の該絶縁性ウエブを
加工してウエブを得る工程とからなることを特徴として
いる。
【0030】
【作用】以下、図面を参照しながら本発明の絶縁性ウエ
ブの除電方法の一実施態様について詳細に説明する。
【0031】図1は、本発明の絶縁性ウエブの除電方法
の一実施態様に用いる装置の構成を模式的に示したもの
である。図1において、正極性の直流電圧源5に接続さ
れた充電電極3が接地導電性ローラ2に対向して配置さ
れている。絶縁性ウエブ1が接地導電性ローラ2に充電
電極3と対向する部位でいったん密着し、すぐにこの部
位から剥離されて図示しない多数のローラにより図の左
方より右方に搬送されている。接地導電性ローラ2はこ
の絶縁性ウエブ1の移動にしたがって、図において時計
回りに回転している。絶縁性ウエブ1が接地導電性ロー
ラ2から剥離させられる部位から絶縁性ウエブ1の移動
方向に距離Lだけ離れ、絶縁性ウエブ1の面から距離d
2 だけ離れた位置に除電電極4が設けられている。この
除電電極4にはスイッチ7が接続されており、除電電極
4を接地したり、負極性の直流電圧源6に接続したりで
きるようになっている。また、除電電極4の充電電極3
側とその反対側に陪設電極8および9が設けられてい
る。
【0032】次に、この装置により絶縁性ウエブ1の表
面を除電する手順について説明する。いま、図の左方に
おいて絶縁性ウエブ1の表面には、図示しない前工程の
加工の結果細かいピッチの両極性帯電や多数の微小な放
電痕による帯電が生じている。こうした帯電の発生した
絶縁性ウエブ1のある部位(被除電部位)が上述の搬送
により接地導電性ローラ2の表面に密着し、さらに接地
導電性ローラ2の回転にともなって充電電極3と対向す
る部位に至る。このときの、絶縁性ウエブ1表面と充電
電極3との距離はd1 である。充電電極3には数KVの
直流電圧源5が接続されており、接地導電性ローラ2と
の間の電位差により充電電極3の近傍に強い電界を発生
させる。そのためコロナ放電が充電電極3の近傍で発生
し、正の電荷が絶縁性ウエブ1の被除電部位に供給され
る。
【0033】絶縁性ウエブ1は接地導電性ローラ2に密
着しているため、その表面と接地導電性ローラ2との間
の静電容量Cは非常に大きい。したがって、充電電極3
の近傍で発生した大量の正の電荷が絶縁性ウエブ1の表
面に堆積しても、この表面の電位Vはたとえば数10V
程度にしか上昇しない。これは、被除電部位の電荷量を
Qとすると、電位VがV=Q/Cで与えられるためであ
る。充電電極3の電位は数KVであるから、絶縁性ウエ
ブ1の厚さにほとんど関係なく、その表面の電位は無視
できる程度である。したがって、充電電極3の近傍で発
生した電荷はほとんどすべて絶縁性ウエブ1に充電され
る。このように充電電極により絶縁性ウエブ1の被除電
部位に供給される電荷を充電電荷と呼ぶ。
【0034】このようにして、絶縁性ウエブ1の被除電
部位の表面は大量の正の充電電荷により満たされる。と
ころで、前工程で発生した細かいピッチの両極性帯電や
多数の微小な放電痕による帯電電荷は、充電電極3によ
り与えられた大量の充電電荷よりも少ない。したがっ
て、この段階でこれらの微細な帯電は消滅し、結果とし
て被除電部位の表面はほぼ均一に正の充電電荷のみに満
たされた状態となる。
【0035】したがって、除電を完了するためには、こ
の均一に充電された正の電荷を除去すればよい。本発明
者らの知見によれば、このような電荷を効果的に除去す
るためには、接地導電性ローラ2に密着した状態よりも
このローラから剥離した状態で除電するのがよい。
【0036】そのために、つづいて接地導電性ローラ2
を図の時計回り方向に回転させ、絶縁性ウエブ1を接地
導電性ローラ2の表面から剥離させる。このように剥離
すると、絶縁性ウエブ1の被除電部位の表面は接地導電
性ローラ2の表面から離れるために、この表面と接地導
電性ローラ2の間の静電容量は急速に減少する。これ
は、静電容量Cが接地導電性ローラ2と被除電部位の表
面との間の距離に反比例するためである。ところが、充
電電極3によって与えられた正の電荷は依然として被除
電部位に残っている。同じ量の電荷が、より小さい静電
容量を接地導電性ローラ2すなわちアースとの間にもつ
部位に存在しているのであるから、接地導電性ローラ2
の表面から離れるにつれて、絶縁性ウエブ1の被除電部
位の電位は急速に上昇し、簡単に数KVに達する。
【0037】このように表面電位が数KVに達した状態
で絶縁性ウエブ1の被除電部位は除電電極4に接近す
る。除電電極4は接地されまたは負極性の直流電圧源6
に接続されているため、絶縁性ウエブ1の被除電部位と
除電電極4との間の電位差は非常に大きい。この大きな
電位差により除電電極4の近傍に強い電界が発生してコ
ロナ放電が生じ、ここで負の電荷が大量に発生する。発
生した負の電荷はさきに正に充電された絶縁性ウエブ1
の被除電部位に引き寄せられる。被除電部位の正の電荷
はこの負の電荷により中和され、被除電部位は除電され
る。このように、除電電極の近傍で発生する充電電荷と
逆極性の電荷を除電電荷と呼ぶ。なお、このように被除
電部位に除電電荷が到達するのは、除電電極4と絶縁性
ウエブ1との距離が最短になる位置よりもやや充電電極
3に近い位置からである。
【0038】このとき、被除電部位には充電前に存在し
た細かいピッチの両極性帯電はもはや存在せず、被除電
部位の近傍では閉じた電気力線は存在しない。したがっ
て、被除電部位に充電されていた正の充電電荷はほとん
どすべて中和される。すなわち、絶縁性ウエブ1が接地
導電性ローラ2から剥離した状態では、上述の通り静電
容量が非常に小さいため、わずかの正の電荷が残ってい
ても高い電位となる。したがって、除電電極4から供給
される負の電荷を強く引き寄せるため、正の電荷は絶縁
性ウエブ1の被除電部位の表面にほとんど残されない。
逆にわずかでも過剰な負の電荷が供給されれば、被除電
部位の表面電位は負の高い電位となりうる。そうなれ
ば、負の電荷のさらなる供給はたちまち停止されるので
ある。
【0039】すなわち、原理的に被除電部位の表面電荷
は0の近傍になるまで負の電荷が供給され、それ以上は
供給されることがない。言い換えると、被除電部位が前
工程でどのような帯電を与えられていても、また充電電
極3によりどのような量の正の電荷を充電されていて
も、最終的に帯電量が0の近傍となるように除電電極か
ら負の電荷が供給されるのである。したがって、本発明
の絶縁性ウエブの除電方法によれば、基本的に除電電極
の印加電圧や電流を制御したり調整したりする必要がな
い。
【0040】したがって、本発明において、絶縁性ウエ
ブ1が接地導電性ローラ2から剥離させられた位置にお
いて除電を行なわなければならない。もし、絶縁性ウエ
ブ1の被除電部位が接地導電性ローラ2に密着した状態
で除電すると、被除電部位と接地導電性ローラ2との間
の静電容量が大きいために、除電電極から供給される電
荷量を厳密に調整しなければならない。これは、除電電
極4から供給される負の電荷量がどのような量でも被除
電部位の電位があまり変化しないため、この負の電荷に
過不足があっても被除電部位がその電荷を受け入れてし
まうからである。これはちょうどはじめに被除電部位が
充電電極3により充電されるのに似ている。
【0041】なお、上記の説明では充電電極を正極性の
直流電圧源に、接地しない場合の除電電極を負極性の直
流電圧源に接続したが、それぞれ逆の極性の電圧源に接
続してもまったく同様の作用を果たす。
【0042】また、上述のように除電電極4は接地され
ていてもよく、充電電極3と逆極性の直流電圧源6に接
続されていてもよい。除電電極4が接地されている場合
は、除電電極4の近傍で電荷を発生させる源となる電界
は、絶縁性ウエブ1の被除電部位の充電電荷と除電電極
4との間の電位差のみによって発生する。したがって、
絶縁性ウエブ1の充電電荷密度が著しく不安定な場合
は、上記電界の強さも不安定となり、そのために除電電
荷の供給量が不安定となる場合もある。これに対し、除
電電極4に充電電極3と逆極性の直流電圧源6に接続す
ると、直流電圧源6の電圧が十分高ければ上記電界の最
低強度が保証され、除電電荷の供給が安定する。さら
に、陪設電極8、9を除電電極の前後に設け陪設電極
8、9を接地すると、除電電荷を発生させる源となる電
界は除電電極4と陪設電極8、9との間の電位差によっ
ても発生する。したがって、この場合は、除電電荷の供
給は絶縁性ウエブ1の被除電部位の充電状況にほとんど
影響されなくなる。また、陪設電極8、9の形状等によ
って除電電荷発生のために必要な除電電極4への印加電
圧を低減することもできる。したがって、除電の効果の
点では、除電電極には充電電極と逆極性の直流電圧源を
接続するのが好ましく、さらに陪設電極を設けてこれを
接地するのがさらに好ましい。ただし、絶縁性ウエブ1
の充電状況が安定しており除電電荷を十分発生させられ
る場合は、除電電極を接地するのが構造が簡単であり、
しかも追加の電源を要しないため好ましい。
【0043】以下に、効果的に絶縁性ウエブの除電を行
なうための好ましい条件について詳述する。
【0044】本発明の絶縁性ウエブの除電方法の好まし
い態様においては、充電電極により絶縁性ウエブの被除
電部位表面に供給される電荷の充電電荷密度σ(μC/
2)が、 3≦σ<50 (式1) の関係を満たすように充電電極に直流電圧を印加する。
この場合、除電電極と接地導電性ローラ面とを結ぶ最短
経路上で測定したときの絶縁性ウエブと接地導電性ロー
ラ面との距離d3 (mm)および充電電荷密度σ(C/
2 )が、 25/σ≦d3 <100.05×(50-σ)+0.0006×(50-σ) ×(50-σ) (式2) の関係を満たすように除電電極を配置する。この条件を
満たせば効果的に除電できる理由は以下のとおりであ
る。
【0045】上述のように充電電極の近傍で発生する充
電電荷はほとんどすべて絶縁性ウエブの被除電部位に供
給される。また、被除電部位における充電電荷密度σは
充電電流密度I0 と絶縁性ウエブ1の移動速度vの関数
としてσ=I0 /vと表わすことができる。したがっ
て、充電電荷密度σが上述の条件を満たすようにする
と、充電電極の接地導電性ローラの軸方向の単位長さ当
たりの充電電流密度I0 (μA/m)と絶縁性ウエブ1
の移動速度v(m/sec)とは、 3≦I0 /v<50(μC/m2 ) (式3) の関係を満たすこととなる。本発明において充電電荷密
度σは、 σ=I0 /v (式4) に基づいて定めるものとする。
【0046】本発明者らの知見によると、本発明の絶縁
性ウエブの除電方法により効果的に除電するためには、
充電電荷密度σは基本的に高い方が除電効果が大きい。
すなわち、絶縁性ウエブの被除電部位における前工程に
よる帯電強度が高い場合にも、均一な除電を行なうこと
ができる。一方で、充電電荷密度σが高過ぎると、絶縁
性ウエブを接地導電性ローラから剥離することによる剥
離放電が発生して除電の効果が損なわれる恐れがある。
また、この剥離放電の発生は、充電電荷密度σととも
に、除電電極の位置によっても影響を受ける。したがっ
て、充電電荷密度σと除電電極の位置のパラメータ(上
述の距離d3 )の関係には好適な範囲が存在する。
【0047】まず、充電電極密度σの好ましい範囲の下
限は、3(μC/m2 )である。すなわち、充電電荷密
度σとして3(μC/m2 )以上を与えれば、細かいピ
ッチの両極性帯電や放電痕による帯電の影響を十分低減
できる程度に均一に絶縁性ウエブの被除電部位表面を充
電できるため好ましい。
【0048】一方、与える充電電荷密度σが50(μC
/m2 )を超えなければ、除電電極を適切な位置に配置
することにより、絶縁性ウエブと接地導電性ローラの間
の剥離放電の発生を防止することができるため好まし
い。この剥離放電は、絶縁性ウエブの被除電部位と接地
導電性ローラとの間の電界に起因する放電現象であり、
このような剥離放電は除電電極により除電される前に被
除電部位の充電電荷を喪失し、しかも空間的に不均一に
発生するために除電電極による除電の効果を損なう。し
たがって、この剥離放電は回避するのが好ましい。
【0049】つぎに、剥離放電を防止し得る除電電極の
配置と充電電荷密度σとの関係について説明する。
【0050】除電電極による除電電荷の供給は、除電電
極4と絶縁性ウエブ1との距離が最短になる位置から除
電電極と接地導電性ローラ面とを結ぶ最短経路および絶
縁性ウエブが交差する位置までの間で主として行なわれ
る。この除電電極と接地導電性ローラ面とを結ぶ最短経
路および絶縁性ウエブが交差する位置での電位Vは、こ
の位置に至った被除電部位と接地導電性ローラの表面と
の間の静電容量Cおよび充電電荷量QからV=Q/Cに
より与えられる。ここで充電電荷量Qは充電電荷密度σ
に比例する量であり、静電容量Cはこの位置の被除電部
位と接地導電性ローラ表面との間との距離に反比例する
量である。この距離は言い換えると、除電電極と接地導
電性ローラ面とを結ぶ最短経路上で測定したときの絶縁
性ウエブと接地導電性ローラ面との距離d3 である。
【0051】剥離放電の原因となる電界の源は、絶縁性
ウエブが接地導電性ローラから剥離させられる位置から
除電電極によって除電電荷が絶縁性ウエブに供給されて
充電電荷が中和され始める部位までの充電電荷である。
したがって、除電電極の位置はこの距離d3 によって規
定することができる。
【0052】本発明者らの知見によると、上記距離d3
(mm)および充電電荷密度σ(C/m2 )が、 d3 <100.05×(50-σ)+0.0006×(50-σ) ×(50-σ) (式5) の関係を満たすように除電電極を配置すると、剥離放電
に寄与する充電電荷が剥離放電を発生させる前に除電電
極近傍で発生する除電電荷により中和される。したがっ
て、式5の条件を満たすと、剥離放電はほとんど発生す
ることがない。
【0053】ところが、上記距離d3 を極端に小さく
し、除電電極を接地導電性ローラに近接した位置に配置
すると、絶縁性ウエブの被除電部位と接地導電性ローラ
表面との間の静電容量Cが十分小さくならないため、上
述したような本発明の除電方法の作用が十分得られなく
なる可能性がある。このような本発明の除電方法の作用
を損なわず、十分に除電の効果が得られる上記距離d3
の範囲は、 25/σ≦d3 (式6) の範囲である。すなわち、充電電荷密度σが大きい程、
上記距離d3 が小さくても十分な除電効果が得られる。
【0054】この条件は絶縁性ウエブの種類、厚さ、接
地導電性ローラの半径にほとんど影響されない。
【0055】以上をまとめると、充電電極により絶縁性
ウエブの被除電部位表面に供給される電荷の充電電荷密
度σ(μC/m2 )が、 3≦σ<50 の関係を満たすように充電電極に直流電圧を印加し、除
電電極と接地導電性ローラ面とを結ぶ最短経路上で測定
したときの絶縁性ウエブと接地導電性ローラ面との距離
3 (mm)および充電電荷密度σ(C/m2 )が、 25/σ≦d3 <100.05×(50-σ)+0.0006×(50-σ)
×(50-σ) の関係を満たすように除電電極を配置することにより、
本発明の絶縁性ウエブの除電方法の作用を生かし、か
つ、剥離放電をほとんど発生させずに絶縁性ウエブを無
帯電にすることができ、好ましい。なお、上記距離d3
の好ましい範囲は、充電電荷密度σが3(μC/m2
のとき8.3〜4740mm、σが25(μC/m2
のとき、上記距離d3 の好ましい範囲は1〜42mm、
σが50(μC/m2 )のとき、上記距離d3 の好まし
い範囲は0.5〜1mm程度となる。したがって、充電
電荷密度σが高い程除電効果は大きいが、上記距離d3
の好ましい範囲は狭くなる。σが50(μC/m2 )を
超えると、上記距離d3 の条件が厳しくなり、剥離放電
が発生する可能性が高まる。したがって、剥離放電を発
生させずに、安定して除電するためには、充電電荷密度
σは50(μC/m2 )を超えないのが好ましい。
【0056】また、除電電極に直流電圧源を接続する場
合に陪設電極を充電電極側またはその反対側に設けると
きは、陪設電極と除電電極の絶縁性ウエブの移動方向の
間隔を10mm以上かつ15mm以下とするのが好まし
い。本発明者らの知見によれば、この範囲において陪設
電極の除電電極近傍における放電の安定化効果が最も高
い。また、陪設電極は上記の一方の側に設けるだけでも
効果があるが、両方に設けるのがさらに好ましい。
【0057】また、除電電極を接地する場合は、除電電
極を自己放電式除電器として動作させる。この場合は、
除電電極として細い導電性繊維を用いた除電ブラシを使
用し、除電電極と絶縁性ウエブとの最短距離d2 を0.
1mm以上かつ4mm以下とするのが好ましい。除電ブ
ラシとしては、たとえば、直径7〜15μm程度の炭素
繊維、金属繊維またはプラスチックの繊維に導電性物質
をコーティングしたものなどを100本以上束ねて1束
にして作られたブラシ等が好ましく用いられる。
【0058】除電電極を接地する場合は、除電電極近傍
の電界の源となる電位差は絶縁性ウエブの被除電部位の
充電電荷とアースとの電位差である。上述したように、
この充電電荷の密度は不安定な場合もあり、除電電極に
充電電極と逆極性の直流電圧源を接続する場合に比べて
電位差が小さくなる場合が多い。したがって、確実に除
電電極近傍で除電電荷を発生させるためには除電電極と
絶縁性ウエブの被除電部位との最短距離d2 を15mm
以下とするのが好ましい。特に、充電電荷密度σを25
(μC/m2 )以上とする場合は、剥離放電を起こさな
いための上記距離d3 の好ましい上限値は42mm以下
となるが、この領域においては除電電極の近傍での絶縁
性ウエブの被除電部位の電位が比較的低くなる場合があ
り、除電を確実に行なうためには、上記距離d2 を4m
m以下とするのが好ましい。一方で、あまり両者を接近
させると、ウエブ走行の不安定さによって、除電電極と
絶縁性ウエブが接触する可能性が発生する。除電電極が
絶縁性ウエブに接触すると、除電の効果が絶縁性ウエブ
の被除電部位の内部で不均一になる場合がある。したが
って、好ましくは除電電極は絶縁性ウエブに接触しない
ように配置する。
【0059】また、充電電極の位置は絶縁性ウエブとの
最短距離d1 を10mm以上かつ25mm以下とするの
が好ましい。これにより、充電電極の近傍でコロナ放電
を確実に発生させ、かつ、この放電による電荷の発生の
空間的な不均一が絶縁性ウエブの被除電領域への充電に
影響を与えにくくすることができる。すなわち、直流コ
ロナにおいて、コロナ電流密度は、イオン移動度、およ
び電極間の電位差の二乗に比例し、コロナ放電電極との
距離に反比例している。絶縁性ウエブの被除電部位に大
量の充電電荷を与えるために、充電電極は絶縁性ウエブ
の近くに設置した方がよい。しかし、充電電極と絶縁性
ウエブとの距離が短い場合、コロナ放電の空間分布不均
一性の影響が大きくなりやすい。また充電電極と絶縁性
ウエブとの距離が短過ぎると、充電電極から絶縁性ウエ
ブ表面へのストリーマ放電が発生しやすくなる。ストリ
ーマ放電は間欠的な強い放電であり、その進展に伴って
mAオーダのパルス電流が流れ、絶縁性ウエブ表面に樹
枝状または羽状の電荷パターンを与える場合がある。か
かるストリーマ放電は絶縁性ウエブの被除電領域への充
電に好ましくない影響を与える。したがって、実用上十
分に空間的に均一な充電電極近傍のコロナ放電を安定に
発生させるためには、上記条件を満たすのが好ましい。
【0060】また、充電電極としては、針電極列または
ワイヤ電極を使用するのが好ましい。これは、上述の通
り充電電極近傍のコロナ放電が空間的に均一であるのが
好ましく、上記のような電極が均一なコロナ放電を発生
させるのに好適なためである。また、本発明者らの知見
によれば、充電電極として針電極列を用いる場合は放電
電極針を1〜10mmの一定ピッチで配列した針状電極
列が好ましく、ワイヤ電極を用いる場合は、直径0.0
5〜0.2mmのコロナワイヤを張り渡したワイヤ電極
を用いるのが好ましい。また、充電電極として細い導電
性繊維を有する除電ブラシを使用すると、ウエブへの充
電電荷の不均一性をもたらす場合がある。
【0061】次に、上記のような本発明の絶縁性ウエブ
の除電方法を用いて、絶縁性ウエブを製造する方法につ
いて説明する。
【0062】上述のように、本発明の絶縁性ウエブの除
電方法を用いて無帯電の絶縁性ウエブを製造する場合
は、たとえば、絶縁性ウエブの製造工程中のウエブの搬
送ローラに導電性のものを用い、これを接地し、この近
傍に上述のような充電電極や除電電極を設けることが好
ましく行なわれる。この場合は、絶縁性ウエブの製造工
程の設備を、除電と兼用するため安価な設備で除電が実
現する。ウエブを巻き取る前に除電するのが特に効果的
である。また、前工程において、絶縁性ウエブにコロナ
放電活性化処理などの放電処理を施す場合は、絶縁性ウ
エブの処理面に対向して充電電極および除電電極を設置
するのが好ましい。これにより放電処理に伴う絶縁性ウ
エブの様々な帯電を効果的に除去し、細かいピッチの両
極性帯電や微小な放電痕を有しない無帯電のウエブを製
造することができる。
【0063】また、このようにして製造したウエブは表
面に帯電がほとんどないため、これに種々の加工をさら
に施す場合に、均一で安定した品質のウエブを製造する
ことができる。このような効果を得られる絶縁性ウエブ
の除電後に施す加工処理としては、スリット、各種絶縁
性もしくは導電性コーティング、金属もしくは誘電体の
蒸着、印刷、積層等の加工が好ましく用いられる。これ
らの加工処理は、いずれも処理の前のウエブが帯電して
いると(特に帯電が不均一であると)上記処理の結果
(品質)が大きな影響を受ける場合が多い。そのため、
上述したような除電方法で効果的に除電されていること
により、完成した製品は均一な品質を有するものとな
る。本発明によれば除電を安価な設備で効果的に行なう
ので、製造コストが低くかつ品質の高いウエブを得るこ
とができる。
【0064】本発明において、直流電圧とは、正または
負の電位が保たれており、動作中に正から負または負か
ら正へと極性が時間的に入れ替わることのない電圧を指
し、交流成分が含まれているとしても、その交流成分が
周波数0の成分に対して十分小さく、交流成分が放電状
態に影響を及ぼすことのない程度であるものを指す。ま
た、本発明の除電方法において直流電圧の代わりに周波
数が10Hz以下の略矩形波交流電圧を使用しても原理
的に問題はなく、本発明においては直流電圧の一種とし
て扱う。
【0065】本発明において、絶縁性ウエブとは、表面
抵抗率が1013Ω/スクエアに等しいかそれよりも大き
い表面抵抗率を有する材料を意味する。ウエブとしては
プラスチックフィルムや織物、紙などの繊維状物からな
るウエブ、紙など上記条件を満たすあらゆるウエブ状物
が好ましく用いられる。
【0066】本発明において、接地するとは、大地に接
地する場合に限らず、除電に使用する電極系の共通の電
位に導電性物体を電気的に接続することを指す。また、
充電や除電の放電過程に影響のない程度の直流あるいは
交流のオフセット電圧を有する物体に接続する場合も、
本発明においては接地するものとして扱う。
【0067】本発明において、無帯電にするとは、絶縁
性ウエブの帯電電荷密度を実用上無視できる程度に低下
させることを指す。
【0068】
【実施例】
実施例1 図1に示す構成の電極系を有する除電装置を製造し、こ
れを用いて絶縁性ウエブを除電した。
【0069】絶縁性ウエブ1としては、厚さ7μm、幅
200mmのポリプロピレンフィルムを使用した。この
フィルムはコロナ放電処理されており、図3に示す細か
い帯電電荷パターンを持っていた。
【0070】図1の電極系において、接地導電性ローラ
2として表面にクロムメッキを施した半径100mm、
軸方向の幅220mmの金属ローラを用いた。充電電極
3としては直径0.1mm、長さ240mmのタングス
テンワイヤを使用し、除電電極4として直径7μmの炭
素繊維を100本以上束ねた除電ブラシを使用した。充
電電極3への印加電圧は正極性であり、除電電極4を接
地した。上記定義に基づく距離のパラメータをd1 =1
8mm、d2 =15mm、d3 =41mmとし、ウエブ
の移動速度vを1m/secとした。
【0071】充電電極3に表1に示した4通りの直流電
圧を印加した場合について、除電の効果を被除電部位に
トナーを振り掛けてその付着の様子により調べた。これ
らの直流電圧と充電電極の充電電流および絶縁性ウエブ
の充電電荷密度の関係は表1の通りである。ここで、放
電は絶縁性ウエブの幅200mm全幅のみで発生してお
り、充電電流I1 と充電電流密度I0 との関係はI0
1 /0.2(μA/m)で求められる。また、充電電
荷密度σは式4により求められる。
【0072】
【表1】 この結果、上記の4通りの場合のすべてにおいて、除電
前に見られた初期の帯電パターンはまったく認められな
くなり、直径0.5mm程度の小さな帯電痕のみが残っ
た。また、ストリーマ放電も剥離放電も発生しなかっ
た。図4は、このような帯電痕の単位面積当たりの平均
残留数を充電電荷密度σの関数としてプロットしたもの
である。図より明らかなとおり、充電電荷密度が高いほ
ど、除電の効果が大きかった。また、図5は上記の4通
りの場合における充電電極の充電電流と除電電極の電流
との関係を示す。図より明らかな通り、両者は常にほぼ
同じ値であり、これは充電電荷が除電電荷によってほと
んど中和されたことを示す。このようにして除電した絶
縁性ウエブに絵柄を印刷し、積層した。完成した製品は
均質に印刷され積層されており、良好な品質であった。
【0073】実施例2 充電電極3への印加電圧を正の6.6KVとし、除電電
極4を距離d2 =3mm、距離d3 =2mmとなるよう
に配置した他は実施例1と同じ条件で絶縁性ウエブの除
電を行なった。
【0074】この条件では充電電極3への充電電流I1
は8.8μAとなり、充電電流密度I0 は44μA/m
で充電電荷密度σは44μC/m2 となった。
【0075】この場合も実施例1と同様にトナーを用い
て除電効果を調べた。除電後の絶縁性ウエブの被除電部
位にはトナーがほとんど付着しなかった。すなわち、こ
の実施例においては実施例1の場合よりもさらに効果的
に除電できた。また実施例1と同様に剥離放電やストリ
ーマ放電の発生は認められなかった。
【0076】このようにして除電した絶縁性ウエブに亜
鉛を蒸着した。完成した製品は均質に蒸着され、良好な
品質であった。
【0077】実施例3 除電電極4および陪設電極8、9として針電極除電器
(陪設電極8、9と除電電極4の絶縁性ウエブの移動方
向に沿う方向の間隔は10mm)を使用し、距離d2
16mm、d3 =0.6mmとなるようにこれらを設置
し、除電電極4への印加電圧を負の5.0〜5.5KV
(電圧安定化をせず)とし、充電電極への印加電圧を正
の6.55KVとしたことの他は実施例1の条件で絶縁
性ウエブの除電を行なった。
【0078】この条件では充電電極3への充電電流I1
は8.1μAとなり、充電電流密度I0 は40.5μA
/mで充電電荷密度σは40.5μC/m2 となった。
【0079】この場合も実施例1と同様にトナーを用い
て除電効果を調べた。除電後の絶縁性ウエブの被除電部
位にはトナーがまったく付着せず、この方法では検出で
きないほど帯電量が小さくなっていた。すなわち、この
実施例においては実施例2の場合よりもさらに効果的に
除電できた。また実施例1と同様に剥離放電やストリー
マ放電の発生は認められなかった。
【0080】このようにして除電した絶縁性ウエブにア
ルミニウムを蒸着した。完成した製品はアルミニウムが
均質にコーティングされ、良好な品質であった。
【0081】
【発明の効果】本発明の絶縁性ウエブの除電方法によれ
ば、絶縁性ウエブの被除電部位を充電電極と対向する接
地導電性ローラの部位に密着させ、この充電電極に直流
電圧を印加して被除電部位表面に電荷を供給し、接地導
電性ローラを回転させながら被除電部位を接地導電性ロ
ーラ面より剥離せしめ、絶縁性ウエブ面に対して充電電
極と同一の側に設けた除電電極により被除電部位の電荷
を除去することにより、絶縁性ウエブ表面の細かいピッ
チの両極性帯電や微小な放電痕までも効率良く、安価な
設備で除去できる。
【0082】また、本発明の絶縁性ウエブの除電方法の
好ましい態様によれば、充電電極により絶縁性ウエブの
被除電部位表面に供給される電荷の充電電荷密度σに対
して、剥離放電が発生することがなく、しかも除電のた
めに十分な電位を得られる適切な位置に除電電極を設け
て除電するため、剥離放電を発生することなくより強い
帯電を除去することができる。
【0083】また、本発明の絶縁性ウエブの除電方法の
好ましい態様によれば、除電電極に充電電極と反対の極
性の直流電圧を印加するため、除電の効果が安定化され
る。また、本発明の絶縁性ウエブの除電方法の好ましい
態様によれば、除電電極の前後に10mm以上かつ15
mm以下だけ離れた位置に陪設電極を設け、この陪設電
極を接地するため、除電電荷をより安定に発生させ、除
電の効果をより安定にすることができる。
【0084】また、本発明の絶縁性ウエブの除電方法の
好ましい態様によれば、除電電極を接地するため、高電
圧電源の数を最小限とし、安価な設備で確実に除電する
ことができる。
【0085】また、本発明の絶縁性ウエブの除電方法の
好ましい態様によれば、除電電極として除電ブラシを使
用し、除電電極と絶縁性ウエブとの最短距離を1mm以
上かつ4mm以下とするため、除電電極に確実に自己放
電を発生させ、除電の効果を安定にすることができる。
【0086】また、本発明の絶縁性ウエブの除電方法の
好ましい態様によれば、充電電極と絶縁性ウエブとの最
短距離を10mm以上かつ25mm以下とするため、充
電電極の近傍でストリーマ放電を起こすことなく、除電
の効果を安定にすることができる。
【0087】また、本発明の絶縁性ウエブの除電方法の
好ましい態様によれば、充電電極として針電極列または
ワイヤ電極を使用するため、充電電極の近傍のコロナ放
電を均一なものとし、除電の効果を安定にすることがで
きる。
【0088】また、本発明の絶縁性ウエブの製造方法に
よれば、上記の絶縁性ウエブの除電方法により絶縁性ウ
エブを除電するため、細かいピッチの両極性帯電や微小
な放電痕を有しない無帯電のウエブを製造することがで
きる。
【0089】また、本発明の絶縁性ウエブの製造方法の
別の態様によれば、上記の絶縁性ウエブの除電方法によ
り絶縁性ウエブを除電し、除電後の絶縁性ウエブを加工
してウエブを得るため、コーティングや印刷などの結果
が均質で、良好な品質のウエブ製品を得ることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の絶縁性ウエブの除電方法およびウエブ
の製造方法の一実施態様に用いる装置の電極系などの構
成を模式的に示す図である。
【図2】従来の絶縁性ウエブの除電方法に用いる装置の
電極系などの構成を模式的に示す図である。
【図3】本発明の絶縁性ウエブの除電方法の一実施例に
おいて除電対象とした絶縁性ウエブの表面の帯電電荷分
布を模式的に示す図である。
【図4】本発明の絶縁性ウエブの除電方法の一実施例に
おける除電の効果を示すグラフである。
【図5】本発明の絶縁性ウエブの除電方法の一実施例に
おける除電の効果を示すグラフである。
【符号の説明】
1:絶縁性ウエブ 2:接地導電性ローラ 3:充電電極 4:除電電極 5:直流電圧源 6:直流電圧源 7:スイッチ 8:陪設電極 9:陪設電極 20:絶縁性ウエブ 21:接地導電性ローラ 22:放電電極 23:放電電極 24:負の直流電圧源 25:放電電極 26:放電電極 27:正の直流電圧源 28:第3の放電電極 31:対向ローラ 32:電位プローブ 33:静電電位計

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】絶縁性ウエブの被除電部位を充電電極と対
    向する接地導電性ローラの部位に密着させ、該充電電極
    に直流電圧を印加して該被除電部位表面に電荷を供給
    し、前記接地導電性ローラを回転させながら該被除電部
    位を前記接地導電性ローラ面より剥離せしめ、前記絶縁
    性ウエブ面に対して前記充電電極と同一の側に設けた除
    電電極により前記被除電部位の電荷を除去し、前記被除
    電部位を無帯電にすることを特徴とする絶縁性ウエブの
    除電方法。
  2. 【請求項2】前記充電電極により前記絶縁性ウエブの前
    記被除電部位表面に供給される電荷の電荷密度σ(μC
    /m2 )が、 3≦σ<50 の関係を満たすように前記充電電極に直流電圧を印加す
    るとともに、前記除電電極と前記接地導電性ローラ面と
    を結ぶ最短経路上で測定したときの前記絶縁性ウエブと
    前記接地導電性ローラ面との距離d3 (mm)および前
    記電荷密度σ(μC/m2 )が、 25/σ≦d3 <100.05×(50-σ)+0.0006×(50-σ)
    ×(50-σ) の関係を満たすように前記除電電極を配置することを特
    徴とする請求項1に記載の絶縁性ウエブの除電方法。
  3. 【請求項3】前記除電電極に前記充電電極と反対の極性
    の直流電圧を印加することを特徴とする請求項1または
    2に記載の絶縁性ウエブの除電方法。
  4. 【請求項4】前記除電電極の前記充電電極側またはその
    反対側に前記除電電極から前記絶縁性ウエブの移動方向
    に10mm以上かつ15mm以下だけ離れた位置に陪設
    電極を設け、該陪設電極を接地することを特徴とする請
    求項3に記載の絶縁性ウエブの除電方法。
  5. 【請求項5】前記除電電極を接地することを特徴とする
    請求項1または2のいずれかに記載の絶縁性ウエブの除
    電方法。
  6. 【請求項6】前記除電電極として除電ブラシを使用し、
    前記除電電極と前記絶縁性ウエブとの最短距離d2
    0.1mm以上かつ15mm以下とすることを特徴とす
    る請求項5に記載の絶縁性ウエブの除電方法。
  7. 【請求項7】前記充電電極と前記絶縁性ウエブとの最短
    距離d1 を10mm以上かつ25mm以下とすることを
    特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の絶縁性ウエ
    ブの除電方法。
  8. 【請求項8】前記充電電極として針電極列またはワイヤ
    電極を使用することを特徴とする請求項1〜7のいずれ
    かに記載の絶縁性ウエブの除電方法。
  9. 【請求項9】請求項1〜8のいずれかに記載の絶縁性ウ
    エブの除電方法により絶縁性ウエブを除電し、無帯電の
    ウエブを得ることを特徴とするウエブの製造方法。
  10. 【請求項10】請求項1〜8のいずれかに記載の絶縁性
    ウエブの除電方法により絶縁性ウエブを除電する工程
    と、除電後の該絶縁性ウエブを加工してウエブを得る工
    程とからなることを特徴とするウエブの製造方法。
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