JPH1015812A - 帯電抑制方法ならびにこの方法を用いた物体の製造方法および装置 - Google Patents

帯電抑制方法ならびにこの方法を用いた物体の製造方法および装置

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JPH1015812A
JPH1015812A JP19548296A JP19548296A JPH1015812A JP H1015812 A JPH1015812 A JP H1015812A JP 19548296 A JP19548296 A JP 19548296A JP 19548296 A JP19548296 A JP 19548296A JP H1015812 A JPH1015812 A JP H1015812A
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charge
polarity
charging
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JP19548296A
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Satoko Obara
聡子 小原
Kazuhiro Fukushima
和宏 福島
Jun Torikai
潤 鳥飼
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Original Assignee
Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 他物体との接触時に効果的に帯電抑制し、他
物体との剥離放電や放電に伴う不都合の発生を防止す
る。 【解決手段】 少なくとも表面の一部が絶縁体からなる
物体の該絶縁体を他の物体と接触させることによって帯
電する極性を予め調べ、両物体が接触する前に前記絶縁
体を前記帯電極性とは逆極性に帯電させることを特徴と
する帯電抑制方法、それを用いた物体の製造方法および
製造装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば、プラスチ
ックフィルム、ガラス基板、不織布等の物体の帯電抑制
方法およびその帯電抑制方法を用いた物体の製造方法な
らびにその製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】プラスチックシート等のように、少なく
とも表面の一部が絶縁体からなる物体の製造工程におい
て、この絶縁体部分に製造具が接触すると、絶縁体表面
に帯電電荷が生じ、工程中で種々の障害を起こすことは
よく知られている。この発生した帯電電荷量が増大して
ある一定値を超えると、絶縁体と搬送ロールあるいはそ
の他の物体との間で火花放電が起こることがある。この
ような放電現象は種々の大きなトラブルの原因となるお
それがあり、大きな問題となっていた。
【0003】また、放電の熱によってプラスチックシー
ト等の一部が変質したり、放電による帯電が加工時の溶
剤の塗布むら等の原因となることもある。また研削工程
を有する場合には、研削によってできた研削粉が帯電し
ているために研削加工具などに吸着され、加工効率を低
下させるといった問題も生じる。さらに、帯電はあらゆ
る工程での異物付着の原因にもなっている。
【0004】このような帯電による問題を抑制するため
に、従来、絶縁体上に発生した帯電電荷を中和するよう
にイオンを供給して除電を行っている。この原理につい
て図2、図3を用いて説明する。
【0005】図2は、少なくとも一部が絶縁体である物
体1の絶縁体2が製造具3との接触によって帯電する現
象を示している。製造具3との接触によって、絶縁体2
上には帯電電荷81が生じる。また、電荷81が多量で
ある場合、絶縁体2を製造具3から剥離する際に剥離放
電85が起こったり、近傍の導体31や導体32などと
の間で放電86、87が起こり、絶縁体2の一部に放電
による帯電電荷82が生じる。
【0006】図3は、一般に用いられている放電式除電
器による除電の原理を示したものである。除電器4は、
たとえば針先でコロナ放電によって気体を電離させるこ
とにより、イオン9を生成するもので、帯電電荷81の
電界によって絶縁体2に逆極性のイオン91が引き寄せ
られ、帯電電荷81は電気的に中和される。これによ
り、除電器4よりも物体1の進行方向Aの下流にある導
体32との間の放電87を抑制することができる。しか
し、製造具3からの剥離放電85や、除電器4よりも物
体1の進行方向上流にある導体31との間の放電86等
は抑制することができない。
【0007】放電による帯電電荷82は周囲の帯電電荷
81と逆極性であるため、この付近は見かけ上電位が低
くなり、帯電電荷82と逆極性のイオン92は引き寄せ
られにくく、帯電電荷82とその周りの電荷はあまり中
和されず、放電パターンがそのまま残ってしまう。
【0008】このように、剥離放電85や、放電86が
起こった後で除電を行っても、帯電電荷82を中和する
ことは困難であり、絶縁体2の帯電を抑制する効果は少
ない。
【0009】また、放電式除電器よりも効率的にイオン
を供給する方法として、軟X線によって気体をイオン化
する方法や、絶縁体表面に直接導電性液体を塗布する方
法などがある。しかし、軟X線を用いる方法は放射線を
用いるために、取り扱いが面倒であるばかりか付帯設備
に多額の費用がかかる。導電性液体を塗布する方法は、
乾燥負荷の増大を招くだけでなく乾燥むらが生じやすい
といった新たな問題を発生させる。
【0010】絶縁体が帯電した後で除電を行う以外に、
特開昭62−131500号公報においては、絶縁体シ
ート状物を搬送する搬送具として、被搬送シート状物が
摩擦帯電により正電荷を帯びるよう選ばれた材料と、負
電荷を帯びるよう選ばれた材料とを該シート状物の搬送
方向に交互に組み合わせてなる搬送具を用いることによ
って、搬送具との接触帯電を抑制する方法が示されてい
る。
【0011】しかしこの方法は、搬送具とシート状物と
の帯電を抑制することのみを目的としたものであり、他
の製造具、例えば加工具などとの接触によって発生した
帯電電荷を中和する効果はない。また、搬送具との接触
による帯電についても、十分な帯電抑制効果を得るため
には、シート状物に接触する搬送具全てを上記公報記載
の搬送具に変更する必要があり、設備的な負担は膨大な
ものとなる。しかも、帯電特性の異なったシート状物の
除電を十分に行うためには、異なった帯電特性を持つ材
料からなる搬送具が必要となり、設備的負担が大きいば
かりか品種切替の手間なども膨大なものとなる。さら
に、ポリエチレンやナイロンなどのように帯電列上で端
の方に位置する物質については、帯電抑制の効果と耐摩
耗性やシート状物の滑り等の条件を同時に満たした材料
を選定するのが困難であり、効果的な除電が行えなかっ
た。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、これ
ら従来技術の欠点を補い、簡便な設備によって接触時に
効果的に接触による帯電電荷を中和することで、剥離放
電ならびにその他の静電気問題を抑制することのできる
帯電抑制方法およびこの帯電抑制方法を用いた物体の製
造方法ならびにその製造装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明の帯電抑制方法は、少なくとも表面の一部が
絶縁体からなる物体の該絶縁体を他の物体と接触させる
ことによって帯電する極性を予め調べ、両物体が接触す
る前に前記絶縁体を前記帯電極性とは逆極性に帯電させ
ることを特徴とする方法からなる。
【0014】また、本発明に係る帯電抑制方法は、少な
くとも表面の一部が絶縁体からなる物体の該絶縁体を他
の物体と接触させるステップを有する工程において、前
記物体の絶縁体を前記他の物体と接触させることによっ
て帯電する極性を予め調べ、両物体を接触させる前に前
記絶縁体を前記帯電極性とは逆極性に帯電させ、両物体
が接触した後の帯電量を検出して該検出帯電量に基づい
て前記逆極性への帯電量を制御することを特徴とする方
法からなる。
【0015】本発明に係る物体の製造方法は、少なくと
も表面の一部が絶縁体からなる物体の該絶縁体を製造具
と接触させることによって帯電する極性を予め調べ、該
絶縁体を製造具と接触させる前に、該絶縁体を前記帯電
極性とは逆極性に帯電させることによって該絶縁体の帯
電を抑制することを特徴とする方法からなる。
【0016】この製造方法においては、予め絶縁体を製
造具と接触させ、接触後の該絶縁体の帯電電位を測定す
ることによって、該絶縁体が製造具との接触によって帯
電する極性を調べることができる。また、たとえば、放
電により生成したイオンを絶縁体に供給することにより
該絶縁体を前記逆極性に帯電させることができる。さら
に、製造具と接触させた後の絶縁体の帯電電位を検出
し、該検出帯電電位に基づいて、接触前に与える逆極性
の帯電量を制御することが好ましい。
【0017】また、本発明に係る物体の製造装置は、少
なくとも表面の一部が絶縁体からなる物体の製造装置で
あって、該絶縁体に製造具を接触させる手段と、その接
触部より物体の進行方向下流において前記絶縁体の帯電
電位を検出する手段と、前記接触部より物体の進行方向
上流において前記絶縁体を帯電させる手段と、該帯電手
段の電位を前記検出電位と逆極性に制御する帯電制御手
段とを有することを特徴とするものからなる。
【0018】本発明において絶縁体とは、抵抗率108
Ω・cm以上の物体を指し、導体とは抵抗率108 Ω・
cm未満の物体を指す。
【0019】また、本発明でいう製造には、成形、加工
の他、搬送、検査などの工程を含み、製造具とは、製造
を目的として用いられる成形具、加工具、搬送具、ステ
ージ等の器具のほか、研磨剤や薬液などのような液状物
や、研磨粒子のような微粒子などを含む。
【0020】また製造具との接触とは、これらの製造具
と10nsにわたって1回以上、1.5nm以内の距離
に近づくことを指し、単純に接触するだけでなく、摩擦
などを含み、接触帯電には、接触分離帯電だけでなく摩
擦帯電をも含む。
【0021】
【発明の実施の形態】次に、本発明の原理とともに実施
の形態を、図面を参照して説明する。図1に示すよう
に、まず、物体1の少なくとも表面の一部を構成する絶
縁体2が製造具3と接触することによって、絶縁体2に
生じる帯電電荷81(つまり、図2や図3に示した帯電
電荷)の極性を調べる。ここで、帯電極性を調べるため
には、予め帯電付与手段7を動作させない状態で絶縁体
2を製造具3と接触させて絶縁体2に帯電電荷81を発
生させ、製造具3よりも物体1の搬送方向下流においた
電位計5を用いて絶縁体2の帯電電位51を測定すれば
よい。また、この帯電極性の測定は、例えば物体1の製
造開始時における条件設定などの際に、一度以上測定す
ればよく、必ずしも条件変更などの都度、測定を行う必
要はない。また、条件変更がされた場合などにおいて
は、接触後の電位の変動に応じて、接触前に与える逆極
性の帯電量を制御すればよい。
【0022】電位計5としては、振動容量方式や、回転
羽根式、真空管、集電式などの方式があるが、好ましく
は感度と安定性の良い振動容量方式の電位計を用いる。
【0023】また、このほかに帯電極性を調べる方法と
しては、極性が既知の物体との間に生じる吸引・反発力
を調べる方法として、帯電電荷81が生じた絶縁体2
に、プラスまたはマイナス電位を印加した金属箔を近づ
けて、引き寄せられれば金属箔の電位と逆極性、反発す
れば同極性であると判断する方法や、帯電列を調べる方
法などが挙げられる。
【0024】そして、製造具3より物体1の進行方向上
流において、つまり物体1と製造具3との接触前に、帯
電付与手段7によって絶縁体2に帯電電荷81と逆極性
の帯電電荷83を与える。
【0025】ここで、絶縁体2に帯電電荷83を与える
方法としては、絶縁体2を別の物体と摩擦して帯電させ
る方法や、放電によって生成したイオンを供給して絶縁
体2を帯電させる方法、複写機などに用いられる導電性
ゴムローラに電圧を印加したものを接触させることによ
って接触面から電荷を注入する方法などを使用できる。
【0026】特に、絶縁体2に非接触で帯電電荷83を
与えれば、絶縁体2が工程中でペースト状態である場合
や、加工上接触を避けたい場合について有効である。ま
た、絶縁体2に非接触で帯電を行えば、材料依存性は少
なく、加工される材料の種類が異なっても、接触前に行
う帯電の電極とその強弱を変えるだけで対応できるし、
この帯電を行う部分以外は従来の製造工程をそのまま用
いることができる。
【0027】この帯電付与には、放電によって生成した
イオンを絶縁体2に供給して帯電させる方法が好ましく
用いられる。図1に示したものは、放電によって生成し
たイオン93を供給して絶縁体2を帯電させる方法の一
例である。電位計5によって測定された電位51と逆極
性の電圧61を、印加電圧制御手段6によって、帯電付
与手段7である放電装置71に印加し、放電によってイ
オン93を生成して、絶縁体2に供給する。この場合、
放電装置71として、針状電極を持つコロナ放電器を用
いたり、コロナ放電ワイヤ、放電ブラシなどを用いれ
ば、簡便にイオンを生成することができる。
【0028】また、絶縁体2の近傍にイオンを引き寄せ
るための電極33を設けておけば、より効果的に絶縁体
2を帯電させることができる。この場合、電極33はア
ースしても、電圧61と逆極性の電圧64を印加しても
よい。また、電極33の位置は絶縁体2と放電装置71
の間であってもよいし、絶縁体2を挟んで放電装置71
と逆側に設けてもよい。
【0029】このように、放電によって生成したイオン
93によって絶縁体2を帯電させれば、放電装置に印加
する電圧を変えるだけで、簡便に帯電電荷83の極性、
強弱を変えることができる。また、従来の工程中に放電
装置を付加するだけなので、設備的な負担も小さくする
ことができる。
【0030】このようにして絶縁体2に与えられた帯電
電荷83の密度は、絶縁体の静電容量に依存し、最大電
荷密度は絶縁破壊強度によって決まる。例えば、空気の
絶縁破壊強度は約30kV/cmであるので、最大電荷
密度は広い平面において、2.5×10-9C/cm2
度であり、固体表面の原子の104 〜105 個あたりに
1個の電子の過剰または不足に相当するといわれてい
る。したがって、製造具3との接触部分を分子レベルで
見た場合、絶縁体2のほとんどの接触部分に帯電電荷8
3は存在していないといえる。したがって、製造具3と
の接触によって絶縁体2に生じる帯電電荷84は帯電電
荷83が存在しない場合に生じる帯電電荷81と同じ極
性で、ほぼ同じ発生量となる。
【0031】接触後の絶縁体2の表面では、逆極性の帯
電電荷83と帯電電荷84がミクロにかつランダムに分
布して相殺しあうので、帯電電荷84は実質上中和さ
れ、帯電が抑制される。
【0032】また、帯電電荷83を絶縁体2が製造具3
と接触するまで十分保持するには、帯電電荷83が漏れ
電流となって消滅したり、雰囲気中のイオンによって逆
極性の帯電電荷83が中和されたりすることが少ないよ
うに、絶縁性の気体中で絶縁体2に帯電電荷83を付与
するのが有効である。ここで絶縁性の気体とは、イオン
密度が104 個/cm3 以下の気体を指す。
【0033】このように、本発明の帯電抑制方法によれ
ば、接触によって発生する帯電電荷84を、その発生と
実質的に同時に中和することができる。従って、従来の
ように絶縁体2が製造具3から剥離された後で除電する
のと異なって、製造具3からの剥離放電を抑制すること
ができる。
【0034】また、接触後の絶縁体の電位によって、接
触前に与える帯電電荷83の極性ならびに強弱を制御す
ることにより、接触後の絶縁体の電位をより低く抑える
ことができる。
【0035】具体的な方法としては、例えば、接触後の
絶縁体の電位52を検出し、電位52と逆極性の電圧6
2を電圧61に重畳させた電圧63を印加電圧制御手段
からの出力とし、放電装置71への印加電圧とすればよ
い。このように、接触後の絶縁体の検出電位に基づいた
制御を行えば、製造時の品種切替にも対応できるし、取
り扱い速度の変化や温度、湿度の変化などによって帯電
特性が変化して一定でない場合にも、それに対応して帯
電を抑制できる。
【0036】ここで特に、接触前に行う帯電の強さを、
+30kVから−30kVの範囲にすれば、この帯電に
よる放電を抑制することができる。更に、放電を抑制
し、かつ埃の吸着などを避ける点からすれば、+10k
Vから−10kVの範囲が好ましく、さらに好ましくは
+1kVから−1kVの範囲に制御することが望まし
い。
【0037】さらに、搬送具などの製造具3との接触に
よって発生する帯電電荷量84が極めて大きく、製造具
3からの剥離によって強い剥離放電が連続して起こるよ
うな場合には、接触前に逆極性の帯電電荷83を与える
ことで、製造具3との接触によって生じる帯電電荷84
をある程度まで中和し、製造具3からの剥離放電を抑制
し、この後さらに除電を行って残った帯電電荷をさらに
中和して電位を下げ、異物の吸着を抑制することもでき
る。
【0038】また、絶縁体2の製造具3との接触面21
に逆極性の帯電電荷83を与えれば、逆極性の帯電電荷
83と接触による帯電電荷84が同一面内で相殺される
ので、製造具3からの剥離放電の抑制に、より効果的で
ある。
【0039】また、製造具3との接触面21が研削され
る研削加工などのように、接触前に接触面21に帯電を
行っても表面が物理的に除去される場合や、加工上、ス
ペース上の制約などによって接触面から帯電させること
ができない場合などにおいても、製造具3との接触面2
1と反対側の面22を帯電させることによって、帯電電
荷83と接触帯電による電荷84とが表裏で相殺される
ので、電位の上昇を抑制することができる。
【0040】また、本発明の方法は、プラスチックフィ
ルムやガラス基板、紙、織布、不織布等の帯状物または
枚葉物等のシート状物の広い面に帯電を行える。したが
って、物体がシート状物であって、製造具との接触面積
が大きくて発生する帯電電荷量が多く、物体の重量に対
して静電気力の影響や問題が大きくなる場合において、
容易かつ効率的に接触による帯電電荷を発生と同時に中
和することができる。
【0041】また、物体が液晶ディスプレー用ガラス基
板や蒸着フィルム、半導体ウエハなどのように、少なく
とも1層以上の絶縁体層と少なくとも1層以上の導体層
からなる物体である場合には、接触によって絶縁体上に
発生する帯電電荷量が多くても導体層があるために電位
が高くならず、除電を行っても、導体層が存在しない場
合と比較してイオンが引き寄せられにくくなるため、効
果が少なくなる。しかしこのような場合においても、本
発明では導体層が存在しない場合と同様に逆極性の帯電
を行うことができるので、導体層が存在しない場合と同
様に帯電抑制を行える。
【0042】本発明は、たとえば、以下のような製造工
程に適用することができる。摩擦研磨や研削加工を行う
場合、摩擦研磨具、摩擦研磨剤や摩擦研磨粒子などとの
繰り返し接触や、摩擦熱によって強く帯電しやすいた
め、従来法では除電を行う前に、摩擦研磨や研削加工の
時点で放電が起こる可能性が高い。このような場合にお
いても、摩擦研磨や研削加工の前に逆極性の帯電電荷を
与えることによって、接触による帯電電荷をその発生時
に中和し、摩擦研磨や研削加工の際の放電を抑制するこ
とができる。
【0043】また、研削加工時の研削粉の帯電による問
題についても、研削される面に逆極性の帯電電荷を与え
れば、研削粉の帯電を低く抑えることができるので、吸
着などの問題を抑制することができる。
【0044】また、絶縁体に加熱媒体を接触させて加熱
する場合、絶縁体は加熱媒体と接触した状態で膨張して
摩擦が生じるため強く帯電しやすいが、このような場合
にも接触前に逆極性の帯電電荷を与えることによって接
触による帯電電荷を発生時に中和することができる。
【0045】特に、加熱温度100℃以上となる場合、
接触面に液体水分がなくなるため、付着水分による電荷
漏洩がなくなり、強く帯電する。この場合においても接
触前に逆極性の帯電電荷を与えることによって接触によ
る帯電電荷を発生時に中和することができる。
【0046】また、絶縁体に冷却媒体を接触させて冷却
する場合、絶縁体は冷却媒体と接触した状態で収縮して
摩擦が生じるため強く帯電しやすいが、このような場合
にも接触前に逆極性の帯電電荷を与えることによって接
触による帯電電荷を発生時に中和することができる。
【0047】また、搬送を行う場合、絶縁体が搬送具と
接触することによって帯電するが、これも接触の前に逆
極性の帯電電荷を与えることによって接触による帯電電
荷を発生時に中和することができる。特に、シート状物
などをローラなどを用いて搬送する場合には、搬送具に
触れた状態で絶縁体が移動するため広い範囲にわたって
帯電する。したがって、剥離放電が起こりやすいし、一
旦放電が起こると大きな放電痕が発生することが多い。
このように絶縁体が広い範囲にわたって帯電する場合に
も、接触の前に逆極性の帯電電荷を与えることによっ
て、接触による帯電電荷を発生と同時に中和することが
できるため、剥離放電を抑制することができる。
【0048】また、枚葉物の絶縁体部分をメカニカルチ
ャック、静電チャック、真空チャックなどで保持して搬
送する場合、絶縁体のチャックされた部分はチャック器
具と密着するため強く帯電しやすい。このような場合に
も、搬送前に逆極性の帯電電荷を与えることによって接
触による帯電電荷を発生時に中和することができる。
【0049】またこの他にも、絶縁性液体を用いて洗浄
を行ったり、絶縁体の表面に付着した絶縁性液体をエア
ブローやスピナー等で除去したりする場合などにおいて
も、絶縁性液体との接触によって帯電する絶縁体に予め
電荷電荷を与えることによって、接触時に発生する帯電
電荷を発生と同時に中和することができる。
【0050】また変形加工を行う場合、変形治具を絶縁
体に押しつけることによって絶縁体が強く帯電するが、
この場合にも変形の前に逆極性の帯電電荷を与えること
によって接触による帯電電荷を発生時に中和することが
できる。
【0051】
【実施例】次に、本発明を実施例に基づいて説明する。 実施例1 絶縁体2である厚さ7μm、幅250mmのポリエチレ
ンテレフタレートフィルムを製造具3であるクロロプレ
ンゴムローラと接触させて200m/分の搬送速度で搬
送し、電位計5である振動容量式電位計を用いて接触後
のポリエチレンテレフタレートの電位を調べたところ−
5kVであった。このポリエチレンテレフタレートフィ
ルムをクロロプレンゴムローラと接触させて搬送する前
に、空気中で帯電付与手段7である針状コロナ放電器に
よって+5kVに帯電させることによって、200m/
分で搬送した後の電位が−1kV以下に帯電抑制された
フィルムを製造することができた。
【0052】実施例2 実施例1と同様に、厚さ7μm、幅250mmのポリエ
チレンテレフタレートフィルムを、製造具3としてのク
ロロプレンゴムローラに接触させて200m/分で搬送
した。帯電電位を測定する手段である電位計5としての
振動容量方式電位計をクロロプレンゴムローラよりもポ
リエチレンテレフタレートフィルムの搬送方向下流10
0mm、ポリエチレンテレフタレートフィルムとの距離
15mmに固定してポリエチレンテレフタレートフィル
ムの電位を測定した。
【0053】帯電付与手段7として針先間隔10mm、
針数25本の針状コロナ放電器をクロロプレンゴムロー
ラよりもポリエチレンテレフタレートフィルムの搬送方
向上流50mm、ポリエチレンテレフタレートフィルム
との距離9mmに設け、ポリエチレンテレフタレートフ
ィルムに帯電を行った。
【0054】印加電圧制御手段6として高電圧増幅器に
よって電位計出力を反転増幅して針状コロナ放電器に入
力し、ポリエチレンテレフタレートフィルムに行う帯電
の強さを制御した。以上の構成からなる製造装置によっ
て、接触後の帯電電位を−1kV以下に帯電抑制された
フィルムを200m/分で製造することができた。
【0055】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、以
下に述べるような効果を奏する。少なくとも表面の一部
が絶縁体からなる物体の該絶縁体が他の物体と接触する
極性を調べ、接触の前に該絶縁体を、前記極性とは逆極
性に帯電させるので、接触による帯電電荷を発生と同時
に中和することができ、接触帯電や剥離放電、その他の
静電気問題を効果的に抑制することができる。また、絶
縁体と接触する製造具やその他の製造具との間の放電を
抑制することができるので、放電に伴う不都合の発生を
防止することができる。
【0056】放電を抑制することによって、例えばプラ
スチックフィルムの加工工程では、放電パターンの発生
を防ぐことによって溶剤の塗布むら等を抑制できるな
ど、製造物の収率向上をはかることができる。また、異
物付着による絶縁製品の絶縁耐圧低下を防いだり、汚れ
を防止したり、ウエブ状物の巻じわなどを防いで巻姿を
改善するなど、製造物の品質の向上、安定化をはかるこ
とができる。
【0057】また、例えば研削工程において研削粉の帯
電を抑制して研削粉の付着による加工効率の低下を抑制
したり、紙やプラスチック等の製造の工程での巻付き、
からみ等を抑制したりすることができるので、製造物の
生産性を向上させることができる。さらに、異物付着を
抑制することによって、収率向上や設備稼働率向上をは
かることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る帯電抑制方法および物体の製造方
法の一実施態様を示す、物体の製造装置の概略構成図で
ある。
【図2】絶縁体が製造具との接触によって帯電する現象
を示した、従来装置の概略構成図である。
【図3】従来の電圧印加式除電器による除電方法を示
す、従来装置の概略構成図である。
【符号の説明】
1 物体 2 絶縁体 3 製造具 4 除電器 5 電位計 6 印加電圧制御手段 7 帯電付与手段 9 イオン 21 製造具3との接触面 22 21と反対の面 31、32 絶縁体2近傍の物体 33 電極 34 搬送具 51 絶縁体2の帯電電位 52 絶縁体2の帯電電位 61 帯電電位51と逆極性の電圧 62 帯電電位52と逆極性の電圧 63 電圧62を電圧61に重畳させた電圧 64 61と逆極性の電圧 71 放電装置 81 製造具3との接触によって絶縁体2上に発生する
帯電電荷 82 放電による帯電電荷 83 81と逆極性の帯電電荷 84 製造具3との接触によって絶縁体2上に発生する
帯電電荷 85 製造具3からの剥離放電 86 近傍の物体31との間の放電 87 近傍の物体32との間の放電 91 帯電電荷81と逆極性のイオン 92 帯電電荷82と逆極性のイオン 93 放電によって発生させたイオン A 物体の進行方向

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも表面の一部が絶縁体からなる
    物体の該絶縁体を他の物体と接触させることによって帯
    電する極性を予め調べ、両物体が接触する前に前記絶縁
    体を前記帯電極性とは逆極性に帯電させることを特徴と
    する帯電抑制方法。
  2. 【請求項2】 少なくとも表面の一部が絶縁体からなる
    物体の該絶縁体を他の物体と接触させるステップを有す
    る工程において、前記物体の絶縁体を前記他の物体と接
    触させることによって帯電する極性を予め調べ、両物体
    を接触させる前に前記絶縁体を前記帯電極性とは逆極性
    に帯電させ、両物体が接触した後の帯電量を検出して該
    検出帯電量に基づいて前記逆極性への帯電量を制御する
    ことを特徴とする帯電抑制方法。
  3. 【請求項3】 少なくとも表面の一部が絶縁体からなる
    物体の該絶縁体を製造具と接触させることによって帯電
    する極性を予め調べ、該絶縁体を製造具と接触させる前
    に、該絶縁体を前記帯電極性とは逆極性に帯電させるこ
    とによって該絶縁体の帯電を抑制することを特徴とす
    る、物体の製造方法。
  4. 【請求項4】 予め絶縁体を製造具と接触させ、接触後
    の該絶縁体の帯電電位を測定することによって、該絶縁
    体が製造具との接触によって帯電する極性を調べる、請
    求項3の物体の製造方法。
  5. 【請求項5】 放電により生成したイオンを絶縁体に供
    給することにより絶縁体を前記逆極性に帯電させる、請
    求項3または4の物体の製造方法。
  6. 【請求項6】 製造具と接触させた後の絶縁体の帯電電
    位を検出し、該検出帯電電位に基づいて、接触前に与え
    る逆極性の帯電量を制御する、請求項3ないし5のいず
    れかに記載の物体の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記逆極性への帯電を+30kV〜−3
    0kVの電位範囲で行う、請求項3ないし6のいずれか
    に記載の物体の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記帯電抑制後にさらに除電する、請求
    項3ないし7のいずれかに記載の物体の製造方法。
  9. 【請求項9】 少なくとも表面の一部が絶縁体からなる
    物体の該絶縁体に、摩擦研磨具、摩擦研磨剤および摩擦
    研磨粒子のうちの少なくとも1つを1回以上接触させる
    工程を含む、請求項3ないし8のいずれかに記載の物体
    の製造方法。
  10. 【請求項10】 少なくとも表面の一部が絶縁体からな
    る物体の該絶縁体に加熱媒体を接触させて加熱する工程
    および該絶縁体に冷却媒体を接触させて冷却する工程の
    うちの少なくとも1つの工程を含む、請求項3ないし9
    のいずれかに記載の物体の製造方法。
  11. 【請求項11】 少なくとも表面の一部が絶縁体からな
    る物体の該絶縁体を搬送具に少なくとも1回接触させて
    搬送する工程を含む、請求項3ないし10のいずれかに
    記載の物体の製造方法。
  12. 【請求項12】 少なくとも表面の一部が絶縁体からな
    る物体の製造装置であって、該絶縁体に製造具を接触さ
    せる手段と、その接触部より物体の進行方向下流におい
    て前記絶縁体の帯電電位を検出する手段と、前記接触部
    より物体の進行方向上流において前記絶縁体を帯電させ
    る手段と、該帯電手段の電位を前記検出電位と逆極性に
    制御する帯電制御手段とを有することを特徴とする、物
    体の製造装置。
  13. 【請求項13】 少なくとも表面の一部が絶縁体からな
    る物体の該絶縁体に、摩擦研磨具、摩擦研磨剤および摩
    擦研磨粒子のうちの少なくとも1つを1回以上接触させ
    る手段を有する、請求項12の物体の製造装置。
  14. 【請求項14】 少なくとも表面の一部が絶縁体からな
    る物体の該絶縁体に加熱媒体および冷却媒体のうちの少
    なくとも1つを1回以上接触させる手段を有する、請求
    項12または13の物体の製造装置。
  15. 【請求項15】 少なくとも表面の一部が絶縁体からな
    る物体の該絶縁体に少なくとも1回接触する搬送具を有
    する、請求項12ないし14のいずれかに記載の物体の
    製造装置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006016593A (ja) * 2004-05-31 2006-01-19 Toray Ind Inc 電気絶縁性シート、電気絶縁性シートの除電方法、除電装置および製造方法
JP2016124983A (ja) * 2014-12-29 2016-07-11 東レバッテリーセパレータフィルム株式会社 ポリオレフィン微多孔フィルムの表面処理方法、表面帯電装置及びポリオレフィン微多孔フィルム
WO2019088052A1 (ja) 2017-10-30 2019-05-09 東レ株式会社 ウェブの製造方法、帯電制御方法及び帯電制御装置

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