JP2002239671A - 熱間鍛造方法 - Google Patents
熱間鍛造方法Info
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Abstract
チの寿命を向上して、加工精度を上げる。 【解決手段】 パンチの表層部に酸素を含む硫化鉄粒子
と窒化鉄粒子からなる化合物層を有する表面処理を施し
た鍛造用パンチを用いて、1000〜1200℃の被鍛
造材を、水溶性高分子系潤滑剤を使用してパンチの温度
が250〜350℃になるように冷却・潤滑しながら前
方押出しまたは後方押出し鍛造する。
Description
熱間で成形する際の熱間鍛造方法およびそれに使用する
鍛造用パンチに関するものである。
JISに規定されるSKD61,SKT4などの熱間工
具鋼、あるいはさらに熱間強度の高いSKD7,SKD
8や一層強度の高い高速度鋼またはその改良鋼が用いら
れている。
上の要求から、鍛造成形技術の動向として、ニヤネット
鍛造に移行しており、熱間鍛造の加工形状が一層複雑に
なっている。このため、成形時に被加工材の塑性流動が
大きくなり、金型表面の摩擦熱による温度上昇により、
前記工具鋼の変態点を越えて工具寿命が大幅に低下する
という問題点が生じている。
深い孔部など有する部品を鍛造パンチにより押し込み成
形する場合には、鍛造パンチの温度が上がりやすいので
パンチの摩耗が多く、その寿命が低下し、かつ鍛造成品
の加工精度が低下し易い。
に、前記工具鋼の表面に表面処理を施して潤滑性と耐摩
耗性を増し、パンチ寿命を増すとともに被加工品の加工
精度を向上させることが行われている。
ば特開平10−204610号公報、特開平10−21
9421〜219423号公報など多くの発明が開示さ
れている。
面処理した鍛造パンチであっても、鍛造方法によって工
具寿命が異なり、工具寿命をあまり延ばせない場合もあ
る。とくに前述した深孔の部品を熱間押し込み成形する
鍛造パンチなどでは、工具寿命は鍛造方法により大きく
左右される。
間鍛造用パンチの寿命を向上し、加工精度を上げる熱間
鍛造方法を提供することを目的とする。
めに、本発明の熱間鍛造方法は、パンチの表層部に酸素
を含む硫化鉄粒子と窒化鉄粒子からなる化合物層を有す
る表面処理を施した鍛造用パンチを用いて、1000〜
1200℃の被鍛造材を、パンチの温度が金型表面から
3mmの位置で350℃以下になるように水冷しながら
前方押出しまたは後方押出し鍛造することを特徴とする
ものである。
の工具表面の潤滑性と耐摩耗性を増した表面処理とし
て、表層部に酸素を含む硫化鉄粒子と窒化鉄粒子からな
る化合物層を有する表面処理を施したパンチを使用す
る。これにより、硫化鉄粒子が潤滑性を与え、窒化鉄粒
子が硬さを与えてパンチの寿命を向上させる。水冷の場
合、この寿命向上の効果は、金型表面から3mmの位置
で熱電対で測定されるパンチの温度が350℃を超える
と低下するので、このパンチの温度を350℃以下にな
るように水冷しながら鍛造することが望ましい。
に酸素を含む硫化鉄粒子と窒化鉄粒子からなる化合物層
を有する表面処理を施した鍛造用パンチを用いて、10
00〜1200℃の被鍛造材を、パンチの温度が金型表
面から3mmの位置で250〜350℃になるように水
溶性高分子系潤滑剤を使用して冷却・潤滑しながら前方
押出しまたは後方押出し鍛造することを特徴とするもの
である。
を使用した場合に、水溶性高分子系潤滑剤を使用するこ
とにより一層の工具寿命の向上を図ることができる。こ
の場合金型表面から3mmの位置で熱電対で測定される
パンチの温度を、水溶性高分子系潤滑剤の潤滑効果が最
も発揮される250〜350℃になるようにして冷却し
ながら鍛造を行うことにより、パンチの表面処理の効果
を一層発揮させ、鍛造加工精度を上げパンチの寿命を向
上させることができる。
温度が250〜350℃のパンチ表面に噴霧または塗布
することにより、該パンチ表面に被膜厚さ35μm以上
付着させて鍛造することが、潤滑効果をあげてパンチ寿
命を向上するために望ましい。
とするのは、250℃以下とすると水溶性高分子系潤滑
剤が乾燥被膜として堆積せず、洗い流されてしまうため
にパンチ表面の付着が不十分になり、潤滑剤の吹付量を
多くしても被膜厚さが薄くなり潤滑効果が発揮できない
からである。また、350℃以上では水溶性高分子系潤
滑剤の被膜が炭化及び酸化してしまうために、有効な形
成されないためである。このようにパンチ表面温度を2
50〜350℃に維持して、高分子系潤滑剤をパンチ表
面に噴霧または塗布すれば、該潤滑剤の被膜厚さを35
μm以上にすることが容易で、これにより工具寿命と加
工精度の向上が図れる。
さ/孔径)が0.3〜2.0である前方押出しまたは後
方押出し鍛造に最も適する。ここで押込み形状比とは、
図4に示すパンチ形状の場合の押込み長さLと孔径Dの
比、L/Dをいうものである。すなわち、押込み形状比
が0.3以下の浅い孔の押し込みでは、工具の摩耗が少
ないので本発明の効果が少く、また、押込み形状比2.
0以上の深い孔では、パンチ温度の上昇が大きく、工具
本体の強度が十分でないための損傷が多くなり、本発明
の効果はあっても十分にその効果が発揮できないからで
ある。
施形態について具体的に説明する。
具鋼を図1に示す形状に加工した後、48HRCの硬さ
に調質し、下記する条件で浸硫窒化処理を行った。
にして行った。まずガス発生容器内に無色硫化アンモニ
ウム溶液と黄色硫化アンモニウム溶液を6:1ないし
1:1の割合で供給し、発生する液面上ガスとアルゴン
または窒素ガスからなる搬送用ガスとの混合ガス中の硫
化水素ガス濃度を100〜600ppm、アンモニアガ
ス濃度を0.1〜1.0%に調整して、熱間鍛造用パン
チを装入し600℃に加熱された反応炉に導入するとと
もに、別容器から供給するアルゴンまたは窒素ガスとア
ンモニアガスにより前記反応炉内のアンモニア濃度を2
0〜70%に調整し、600℃保持後の冷却速度を10
0℃/hにして徐冷してガス浸硫窒化処理を行った。
造は、(混合物層+中間層+白層+窒素拡散層)からな
り、混合物層のS/Nは6.0、混合物層中のS%は2
8.4であった。
する潤滑剤の付着試験を行った。潤滑剤としては、20
%に調整した水溶性高分子系潤滑剤溶液を使用した。こ
のパンチを150〜500℃の範囲で温度を変えて加熱
し、その表面に前記潤滑剤を噴霧により塗布し、付着す
る潤滑剤の膜厚を測定した。
度が180℃では膜厚は25μmであるが、約350℃
までは温度の上昇とともに付着する膜厚が厚くなり、2
80℃近辺で約35μmを超える厚さになる。350℃
を超えると急激に膜厚が減少して約20μmに低下す
る。これは、潤滑剤が温度上昇により炭化、酸化するた
めである。
チ温度を250〜350℃で塗布することにより、35
μm以上の膜厚がえられることが分かった、この温度は
望ましくは250〜330℃である。
潤滑剤を噴霧して冷却しながらパンチの温度範囲を変え
て鍛造試験を行った。パンチの温度は表面から3mmの
深さに穿孔した孔に熱電対を挿入して測定した。鍛造パ
ンチとしては、前記の浸硫窒化処理を行った図1のパン
チを使用して深さ70mmの押し込みを行った。押し込
み形状比L/Dは約0.67である。 鍛造条件:被加工材:材質: SCM420 鍛造温度:1100℃ 鍛造サイクル:20ショット/毎分
命との関係を表3および図3に示す。なお、パンチの温
度は、パンチ表面から3mmの点まで孔を開けて、この
孔に熱電対を装入して温度を測定した。表3および図3
中、記号Sはパンチ表面に生じたえぐれなどのシビアー
な摩耗を示し、Mはすじ、コーナー摩耗などのマイルド
な摩耗を示す。
℃および325℃の試料No.1−3および1−4は、
パンチ寿命が9000ショット以上であり、パンチ温度
が260℃の試料No.1−2は5200ショットであ
った。とくに試料No.1−4は摩耗もマイルドなコー
ナー摩耗のみであった。一方、パンチ温度が低い225
℃の試料No.1−1では2200ショットにしか達し
なかった。また、パンチ温度が高い365℃の試料N
o.1−5は3400ショット、パンチ温度が380℃
の試料No.1−6では4300ショット、パンチ温度
が385℃の試料No.1−7では1100ショットに
しか達しなかった。ただしパンチ温度が365℃の試料
No.1−5は、摩耗はマイルドなコーナー摩耗のみで
あった。
たは350℃を超えるとパンチ寿命が大幅に低下するこ
とが分かった。そこで本発明のパンチ温度範囲は250
〜350℃としたものである。
ンチ寿命 実施例2により、パンチの温度と潤滑剤の使用に関する
知見を得たので、実施例3ではパンチ温度と潤滑剤を同
一条件にして、1100℃の熱間鍛造における表面処理
の効果と押し込み形状比L/Dの影響を調査した。パン
チは、前記表1に示す鋼種の工具鋼を48HRCの硬さ
に調質し、図4の形状に加工したものを使用した。パン
チの寸法は表4に示す。
るため、表面処理を行わない試料No.2−1とイオン
窒化処理を行った試料No.2−2、および本浸硫窒化
処理を行ったNo.2−3〜2−5を作製し鍛造試験を
行った。本浸硫窒化処理は実施例1と同条件で行った。
造試験を行った。前記実施例2の知見に基づき、実施例
2の水溶性高分子系潤滑剤を用い、潤滑剤を噴霧してパ
ンチ温度が300℃になるように冷却しながら行った。
その鍛造試験結果を併せて表4に示す。
=0.4の試料No.2−1〜2−3について比較する
と、表面処理をしない試料No.2−1は500ショッ
トであったが、イオン窒化に試料No.2−2では40
00ショットに伸びた。本浸硫窒化処理試料No.2−
3では、さらに10000ショットまで寿命が延び、本
浸硫窒化処理の効果が認められた。
No.2−3〜2−5について見ると、L/D=0.4
の試料No.2−3の10000ショットに対し、当然
L/Dが大きくなると寿命が落ち、L/D=1.8の試
料No.2−4では6000ショットになったが、なお
本発明鍛造方法の効果が認められる。しかし、L/D=
3.0の試料No.2−5では1300ショットにな
り、本発明の鍛造方法によっても、なおあまり寿命の向
上は図かれなかった。
に小さい浅い押し込みでは、表面処理しないでも相当の
寿命が得られることが認められているので、以上の結果
から本発明の鍛造方法の効果の範囲をL/D=0.3〜
2.0とした。
金型表面から3mmの位置で350℃以下に外冷しなが
ら熱間鍛造を行った事例を示す。単純形状の部品を鍛造
する場合は、通常は高速多段式熱間鍛造機が使用され
る。そこで、本発明の表面処理パンチを使用して80シ
ョット/毎分のサイクルで高速鍛造したパンチ寿命の結
果を表5に示す。
と、本発明の表面処理パンチは無処理及びイオン窒化処
理のパンチに比してパンチ寿命が著しく向上している。
一方、本発明の表面処理パンチで見ると、L/Dが増加
するとパンチ寿命が低下し、L/D=3.0では800
ショットに低下する。これらから、本発明の表面処理パ
ンチにおいてもL/Dは2.0以下が望ましいことが分
かった。
または後方押出しの熱間鍛造方法は、パンチの表層部に
酸素を含む硫化鉄粒子と窒化鉄粒子からなる化合物層を
有する表面処理を施した鍛造用パンチを用いて、100
0〜1200℃の被鍛造材を、水冷または水溶性高分子
系潤滑剤を使用してパンチの温度が金型表面から3mm
の位置で250〜350℃になるように冷却・潤滑しな
がら鍛造するので、パンチ表面の硫化鉄粒子が潤滑性を
与え、窒化鉄粒子が硬さを与えてパンチの寿命を向上さ
せる。また、鍛造パンチの温度を250〜350℃にな
るように水溶性高分子系潤滑剤を用いて、その被膜厚さ
35μm以上を付着させて、冷却しながら鍛造を行うの
で水溶性高分子系潤滑剤の潤滑効果が最も発揮され、表
面処理の効果とあいまってパンチの寿命が向上し、鍛造
の加工精度が向上する。
(押込み長さ/孔径)が0.3〜2.0である前方押出
しまたは後方押出し鍛造に最も適する。押込み形状比が
0.3以下の浅い孔の押し込みでは、工具の摩耗が少な
いので本発明の効果が少く、また、押込み形状比2.0
以上の深い孔では、パンチ温度の上昇が大きく、工具本
体の強度が十分でないための損傷が多くなり、本発明の
効果はあっても十分にその効果が発揮できないからであ
る。
によれば、前方押出しまたは後方押出し鍛造において、
鍛造パンチの摩耗が減少してその寿命が増すとともに、
パンチの変形が減少するので、深い孔の押し込み鍛造な
どにおいても、加工精度の高い鍛造部品が得られる。こ
れにより、工具コストが低減でき、鍛造部品の原価低減
に貢献できる。
す図である。
量を示す図である。
関係を示す図である。
を示す図である。
Claims (4)
- 【請求項1】 パンチの表層部に酸素を含む硫化鉄粒子
と窒化鉄粒子からなる化合物層を有する表面処理を施し
た鍛造用パンチを用いて、1000〜1200℃の被鍛
造材を、パンチの温度が金型表面から3mmの位置で3
50℃以下になるように水冷しながら前方押出しまたは
後方押出し鍛造することを特徴とする温・熱間鍛造方
法。 - 【請求項2】 パンチの表層部に酸素を含む硫化鉄粒子
と窒化鉄粒子からなる化合物層を有する表面処理を施し
た鍛造用パンチを用いて、1000〜1200℃の被鍛
造材を、パンチの温度が金型表面から3mmの位置で2
50〜350℃になるように水溶性高分子系潤滑剤を使
用して冷却・潤滑しながら前方押出しまたは後方押出し
鍛造することを特徴とする熱間鍛造方法。 - 【請求項3】 前記高分子系潤滑剤を、表面温度が25
0〜350℃のパンチ表面に噴霧または塗布することに
より、該パンチ表面に被膜厚さ35μm以上付着させて
鍛造することを特徴とする請求項2に記載の熱間鍛造方
法。 - 【請求項4】 前記熱間鍛造は、押込み形状比(最大押
込み長さ/孔径)が0.3〜2.0である前方押出しま
たは後方押出し鍛造であることを特徴とする請求項1か
ら3のいずれかに記載の熱間鍛造方法。
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- 2001-02-16 JP JP2001039697A patent/JP4224219B2/ja not_active Expired - Fee Related
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