JP3305972B2 - 温熱間用金型およびその製造方法 - Google Patents

温熱間用金型およびその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、温間ないし熱間で
使用される温熱間用金型およびその製造方法に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】従来、例えば温熱間鍛造用金型(以下、
金型と記す)には、主にJISに規定されるSKD6
1,SKT4に代表される熱間工具鋼が用いられてお
り、特に耐久性を要求される用途には、これらよりも高
温強度の高いSKD7,SKD8,高速度鋼あるいはこ
れらの改良鋼が用いられている。近年、被加工製品の高
精度化や加工能率の向上の要求に呼応して、金型の靭性
を保持するとともに、金型表面に耐摩耗性、耐焼付性を
付与する目的から、一般に表面処理が施されるようにな
ってきた。このような金型に対して実施される表面処理
方法としては、イオン法、塩浴法、ガス法等による単一
窒化処理が主流である。
【0003】例えば、特開平7−138733号には、
金型の耐ヒートクラック性および塑性流動を軽減するた
めに、イオン窒化処理後に950℃まで昇温させて高周
波加熱により最表面の脆弱な、白層と呼ばれている高濃
度窒素化合物の低減と、窒素拡散層を3.0mmまで深
くする方法が提案されている。また、特開昭57−54
551号には金型芯部の靭性を保持しながら、同時に焼
付き防止を目的として、低温(350〜450℃)でイ
オン窒化する熱間加工用金型を提案しているが、これら
の効果は従来手法の窒化処理材と比較して金型寿命は2
〜3割程度の金型寿命の向上であり、飛躍的な金型寿命
改善の手法とは必ずしも言えない面があった。
【0004】近年のニアネットシェイプ化は、製品の形
状が複雑で、加工時に被加工材の肉流れが大きくなり、
金型作業面との摩擦が過大となり、摩擦熱による金型表
面部の軟化がより進行し、金型自身の変態点(700〜
900℃)を越えてしまうほど高温になる場合がある。
その結果、金型自身が本来持つべき特性を失わせ、高温
特性が著しく低下し、金型の損耗現象が加速されて短寿
命となる。また現在、表面処理の主流として実施されて
いるイオン窒化など、単一の窒化処理を施した金型で
は、形成させた窒化物の一部が過熱のため分解してしま
い、その効果が十分に発揮できなくなるという問題があ
った。
【0005】単一窒化処理以外の手法としては、特開平
4−228557号には、建設機械の油圧ポンプおよび
モータなどに使用されるピストン、シリンダ等の潤滑油
保有性向上を目的として、油中で使用される冷間摺動部
材に対してガス浸硫窒化方法および装置が提案されてい
る。また、特開昭60−39155号の提案では、硫化
アンモニウムの分解ガスとアンモニアガスを導入し、鉄
系製品の表面に主に硫化第2鉄(FeS)からなる第
一層を形成させ、第二層としてFeNの窒化鉄を形成
させた構造としている。
【0006】また片桐等(日本金属学会第51巻、第1
0号(1987),P.930〜934)は、無色硫化
アンモニウム溶液を用い、硫化水素濃度150ppm、
アンモニア濃度75%、処理温度580℃、処理時間1
〜6時間の条件で鉄鋼材料に浸硫窒化処理を施すことに
より、最表面に多孔質の硫化第1鉄(FeS)層が形成
され、これに酸化鉄(Fe)が共存した表面層を
得たことが報告されている。
【0007】さらに、椛澤(熱処理 36巻 6号(1
996),P.383〜387)は、Nで希釈させた
Sボンベ、純Nボンベ,および純NHボンベを
使用した数種の処理サイクルで前記3種のボンベにCO
ボンベを用いたガス軟窒化対応サイクルを示し、得ら
れた表面組織は、窒素化合物層の上に固体潤滑性のある
黒い浸硫層を形成させ、その浸硫層のFeS,Fe
1−xSは、硫黄が窒素と異なり、α−Feに対し、ほ
とんど固溶限をもたないので、FeS,Fe1−xSの
浸硫層は鋼の表面に限定され、内部に拡散しないことを
報告されている。その他、特公平7−42566号で
は、軟鋼、鋳鉄からなるボルト、ナットなど地下埋設下
での防食、または地上部の防錆や美観向上を目的として
四酸化三鉄(Fe)を母材に形成させる酸化鉄形
成方法などが提案されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】一般に、高温の被加工
材を塑性加工する際の金型の損耗は、下記に示す経過に
より進行する。金型表面部は、次のような被加工材との
接触により熱的衝撃を受ける。すなわち、高温の被加工
材の表面は、金型作業面上に強く押し付けられ、型彫面
に沿って流動し、摩擦熱の発生と塑性変形による発熱を
伴いながら塑性加工を受ける。この作業中に金型表面部
は、急激に昇温して膨張する。作業が終了すると被加工
材は、素早く金型から離型される。金型表面部は、被加
工材が離型するのと同時に冷却し始め、収縮が起る。
【0009】上記のような被加工材の塑性加工が繰り返
される結果、金型表面部には膨張と収縮による熱疲労を
受けるだけでなく、熱影響により軟化した金型表面部
は、加工応力や膨張・収縮に伴って発生する応力に対す
る抵抗力が低下しており、金型表層部でヒートクララッ
クや塑性流動が生じ易くなり、摩耗などの損耗が進行す
る。この際、特に金型表面と被加工材が直接接触すると
焼付現象が発生し易くなる。焼付が発生すると被加工材
から金型表面部への熱伝達が容易となり、金型の損耗が
より急速に進行する。
【0010】このため、通常の作業では、1サイクル毎
に金型表面に潤滑剤あるいは離型剤が塗布され、これら
が金型表面と被加工材との間に、フィルム状に介在し、
金型作業面と被加工材が直接接触しない利点がある。反
面、昇温した金型表面部は、上記の冷剤が塗布されるた
め冷却速度が大きくなり、単位時間内の収縮量が大きく
なる弊害を伴う。前述したように通常の熱間鍛造用金型
には、単一窒化処理されたものが使用されている他、従
来から室温付近の比較的低温側で使用される摺動部を有
する機械部品等に浸硫窒化処理が施されている。特開平
4−228557号に開示された内容は、潤滑油保有性
の高いFeSを200〜350℃で二次加熱処理を行
なって、鉄鋼部材の最表面に硫化第2鉄(FeS)を
形成させて潤滑効果を高めたものである。
【0011】さらに椛澤(熱処理 36巻 6号(19
96),P.383〜387)に開示された内容は、固
体潤滑性のある浸硫層を3〜5μmに形成させて、室温
(20℃)での耐焼付性や耐摩耗性の向上に効果をもた
せたものである。ところが、例えばこのような処理を施
した金型を本発明が対象とする高温に加熱された被加工
材を高圧のもとで成形すると、硫化第2鉄や硫化第1鉄
(FeS,Fe1−xS)は接合する窒化層との熱膨張
係数の違いにより容易に剥離や脱落が起り、温熱間用金
型としては使用に耐えないものである。
【0012】また、特開昭60−39155号に提案さ
れた各層は多孔質であるため、金型に適用した場合に
は、高温、例えば600℃以上の被加工材を高圧のもと
で成形すると、ヒートクラックの起点または伝搬通路と
なり易く使用に適さない。さらに片桐等によって提案さ
れた方法は、供給原料として無色硫化アンモニウム溶液
を用いているため、得られた表層部の硫黄と酸素の重量
濃度比(S/O)が0.5未満となり、金型表面と被加
工材との摩擦係数を十分下げることができず、また上述
したように多孔質層に起因するヒートクラックの起点ま
たは伝播の通路となり易く、高温の被加工材を高圧下で
塑性加工する金型の用途には必ずしも適したものとは言
えない。
【0013】これら従来の浸硫窒化法によって鉄鋼材料
の表面に形成される層は、本発明が対象の一つとする金
型のように高温に加熱された被加工材を塑性加工する場
合には、多孔質層に起因するヒートクラックの起点や伝
播の通路となり易く、あるいは硫化第2鉄(FeS
や硫化第1鉄(FeS,Fe1−xS)は接合する窒化
鉄との熱膨張係数の違いにより、容易に剥離や脱落が起
り易く、十分機能できなかったのである。
【0014】
【課題を解決するための手段】発明者は、金型として使
用する場合、高温に加熱された被加工材の熱や塑性変形
による発熱等の熱をどうすれば直接金型表面に伝達され
ずに遮断でき、金型の寿命を大幅に向上することができ
るかについて検討した。その結果、金型自身の表面を改
質して、金型表面と被加工材との間に焼付が起こりにく
く、かつ潤滑効果と断熱効果とを兼備できる緻密な表面
処理皮膜を形成することができれば、摩擦熱の発生を抑
制し、さらに熱伝達による金型表面部の軟化防止とな
り、ひいては金型の寿命向上が可能となることがわかっ
た。発明者が部材の表層部に形成される各種皮膜につい
て、実験を重ねた結果、硫化鉄粒子と窒化鉄粒子からな
り酸素を含む混合物層を形成させ、特に前記混合物層中
の硫黄と窒素の重量濃度比(S/N)を特定範囲内に限
定すると、非常に効果が高くなることを見出した。
【0015】すなわち、本発明の第1発明は、温熱間用
金型の表層部に、酸素を含む硫化鉄粒子と窒化鉄粒子か
らなる混合物層を有し、前記混合物層中の硫黄と窒素の
重量濃度比(S/N)が0.5<S/N<10の式を満
足する領域が存在することを特徴とする温熱間用金型
あり、第2発明は、温熱間用金型の表層部に、酸素を含
む硫化鉄粒子と窒化鉄粒子からなる混合物層を有し、前
記混合物層中の硫黄と窒素の重量濃度比(S/N)が
0.5<S/N<10の式を満足する領域が存在し、か
つ前記混合物層の温熱間用金型本体側に少なくとも窒化
層が形成されていることを特徴とする温熱間用金型であ
る。
【0016】また第3発明は、温熱間用金型の表層部
に、酸素を含む硫化鉄粒子と窒化鉄粒子からなる混合物
層を有し、前記混合物層中の硫黄と窒素の重量濃度比
(S/N)が0.5<S/N<10の式を満足する領域
を有し、かつ前記混合物層の温熱間用金型本体側に硫化
鉄と窒化鉄および酸化鉄からなる中間層を有することを
特徴とする温熱間用金型であり、第4発明は、温熱間用
金型の表層部に、酸素を含む硫化鉄粒子と窒化鉄粒子か
らなる混合物層を有し、前記混合物層中の硫黄と窒素の
重量濃度比(S/N)が0.5<S/N<10の式を満
足する領域を有し、かつ前記混合物層の温熱間用金型
体側に硫化鉄と窒化鉄および酸化鉄からなる中間層を有
し、さらに前記中間層の温熱間用金型本体側に少なくと
も窒化層が形成されていることを特徴とする温熱間用金
である。
【0017】さらに第5発明は、温熱間用金型の表層部
に、酸素を含む硫化鉄粒子と窒化鉄粒子からなる混合物
層を有し、前記混合物層中の硫黄と窒素の重量濃度比
(S/N)が0.5<S/N<10の式を満足する領域
が存在し、かつ前記混合物層と温熱間用金型本体側に形
成される窒化層との間に硫化鉄と窒化鉄および酸化鉄か
らなる中間層が形成され、前記窒化層は白層と窒素拡散
層からなることを特徴とする温熱間用金型であり、第6
発明は、温熱間用金型の表層部に、酸素を含む硫化鉄粒
子と窒化鉄粒子からなる混合物層を有し、前記混合物層
中の硫黄と窒素の重量濃度比(S/N)が0.5<S/
N<10の式を満足する領域が存在し、かつ前記混合物
層と温熱間用金型本体側に形成される窒化層との間に硫
化鉄と窒化鉄および酸化鉄からなる中間層が形成され、
前記窒化層は窒素拡散層からなることを特徴とする温熱
間用金型である。
【0018】上記混合物層中のSの濃度は、重量%で5
〜35、中間層中のSの濃度は重量%で1〜10とする
のが好ましい。また、上記混合物層および中間層の厚さ
は0.1〜20μmの緻密な層であることが望ましく、
さらに上記窒化層の最高硬さは900HV以上とするの
がよい。
【0019】上記温熱間用金型を製造する第7発明は、
ガス発生容器内に無色硫化アンモニウム溶液と黄色硫化
アンモニウム溶液を6:1ないし1:1の割合で供給
し、発生する液面上ガスと窒素ガスからなる搬送用ガス
との混合ガス中の硫化水素ガス濃度を100〜600p
pm、アンモニアガス濃度を0.1〜1.0%に調整し
て、温熱間用金型となる被処理材を配置して460〜6
00℃に加熱された反応炉に導入するとともに、別容器
から供給する窒素ガスとアンモニアガスにより前記反応
炉内のアンモニア濃度を10〜70%に調整し、460
〜600℃保持後の冷却速度を30〜250℃/Hrに
徐冷してガス浸硫窒化処理することを特徴とする温熱間
用金型の製造方法である。
【0020】なお、少なくとも温熱間用金型本体側に形
成させる窒化層に、白層と窒素拡散層とを含有させるに
は、第7発明の反応炉の加熱温度を高めの500〜60
0℃とし、かつ前記反応炉内のアンモニア濃度を高めの
20〜70%に調整し、500〜600℃保持後の冷却
速度を30〜250℃/Hrに徐冷するのがよい。さら
に、少なくとも温熱間用金型本体側に形成させる窒化層
に窒素拡散層のみ含有させるには、第4発明の反応炉の
加熱温度を低めの460〜550℃とし、かつ前記反応
炉内のアンモニア濃度を低めの10〜40%に調整し、
460〜550℃保持後の冷却速度を30〜250℃/
Hrに徐冷するのがよい
【0021】
【発明の実施の形態】本発明の温熱間用金型の特徴の第
1は、温熱間用金型の表層部に硫化鉄粒子と窒化鉄粒子
からなり、酸素を含む混合物層を有し、該混合物層中の
硫黄と窒素の重量濃度比(S/N)を0.5<S/
10に限定した点にある。前記混合物層中の硫黄と窒素
の濃度比(S/N)が0.5以下では、金型作業面と被
加工材との摩擦係数を十分低減することができず、逆に
10以上の場合には、金型本体または前記混合物層の金
型本体側に形成される中間層との密着性が不十分とな
り、剥離や脱落が容易となり、長期使用に耐えられなく
なるため10未満とする。
【0022】また、本発明の温熱間用金型の特徴の第2
は、前記混合物層と温熱間用金型本体側に存在する窒化
層との間に硫化鉄と窒化鉄および酸化鉄からなる中間層
を有する点にある。中間層は、構造的には温熱間用金型
表層部の混合物層と窒化層との間にあって、それぞれの
密着性を向上させる効果がある。また、従来技術である
表層部の硫化鉄(FeS,FeS,Fe1−xS)層
と窒化層で構成される構造とする場合には、ガス浸硫窒
化処理の冷却速度を250℃/Hr以上にして冷却する
と硫化鉄層が剥離したり、高温の被加工材を高圧下で塑
性加工すると容易に剥離し脱落することがあり、表層部
硫化鉄を3〜5μm程度に抑える必要があった。
【0023】また他の特徴は、上記混合物層の金型本体
側に少なくとも窒化層が形成されていることである。こ
の場合、前記混合物層と窒化層だけの構造でもよい。ま
た望ましくは、前記混合物層と窒化層との間に上記の構
造からなる中間層を介在させるのがよく、さらに前記混
合物層と窒化層との密着性が保たれれば、他の構造から
なる中間層が介在しても差し支えない。なお窒化層は、
より詳細には、白層と窒素拡散層からなるか、または窒
素拡散層からなる。前記窒化層は、被加工材が高圧下で
塑性加工される金型の場合、金型本体の表面部の強度不
足を補う効果を有する他、長期使用後に上記混合物層が
部分的に磨滅した際、耐焼付性が短時間に低下するのを
防止する効果を有する。なお上記窒化層は、例えば金型
の型彫面が比較的起伏の少ない形状か、または塑性加工
が容易な被加工材の場合には白層と称されるε−Fe
2〜3Nおよび窒素拡散層と呼ばれるγ′−FeNか
らなる白層と窒素拡散層とを形成させるのがよい。
【0024】また、型彫面の起伏が大きく、鋭角状の突
起や谷部を施した金型、または起伏が小さくても被加工
材が難加工性の場合には、上記の硬質の白層が存在する
とクラックの発生起点となり易いため、白層のない窒素
拡散層だけの窒化層とするのがよい。上述した本発明の
第1発明ないし第6発明の構成要件を満足する混合物層
中のSの濃度は、同じ理由から重量%で5〜35とする
のが良く、また混合物層の厚さは上記効果を発揮させる
ために0.1μmが必要であり、逆に20μmを越える
と剥離しやすくなるため0.1〜20μmの緻密な層と
することが望ましい。
【0025】また、本発明の第3発明ないし第6発明の
構成要件を満足する中間層は、硫化鉄と窒化鉄および酸
化鉄からなる混合層であればよいが、望ましくはそれぞ
れの混合比は硫化鉄:窒化鉄:酸化鉄で20〜40:2
0〜40:20〜40が望ましい。中間層のSの濃度
は、同じ理由から重量%で1〜10とするのが良く、ま
た中間層の厚さは上記効果を発揮させるためには、0.
1μmが必要であり、逆に20μmを越えると剥離しや
すくなるため、0.1〜20μmの緻密な層とすること
が望ましい。さらに望ましくは、上記窒化層の硬さを
型本体の強度を補うために900HV以上とするのが
良い。
【0026】本発明が対象とする温熱間用金型は、例え
ばギア、バルブ成形用型、鍛造またはプレス成形用型の
温熱間用金型などであり、被加工材や相手材が400℃
以上の温度に晒される雰囲気で使用する温熱間用金型
600℃以上、特に800℃以上の温度で使用する温熱
間用金型として好適である。
【0027】上記構成要件を満足させる本発明の温熱間
用金型を製造するには、例えば浸硫と酸化および窒化の
供給源に硫化アンモニウム溶液を用いる方法がある。こ
の方法では、温熱間用金型表層部に硫化鉄粒子と窒化鉄
粒子からなり、酸素を含む緻密な混合物層中の硫黄と窒
素の重量濃度比(S/N)を0.5より多く形成させる
のに好都合である。
【0028】すなわち、予めガス発生容器内に硫化水素
濃度が低く水分の多い無色硫化アンモニウム溶液(JI
S K8943)と、硫化水素濃度が高く水分の少ない
黄色硫化アンモニウム溶液(JIS K8942)とを
加えて混合溶液とし、発生する液面上ガスを搬送用ガス
である窒素ガスと混合した状態で硫化水素ガス濃度を1
00〜600ppm、アンモニアガス濃度を0.1〜
1.0%に調整して、温熱間用金型となる被処理材を配
置して460〜600℃に加熱された反応炉に導入する
とともに、例えばボンベ等の別容器から供給する窒素ガ
スとアンモニアガスにより、反応炉内のアンモニア濃度
を10〜70%に調整して所定時間の浸硫窒化を行な
い、460〜600℃保持後の冷却速度を30〜250
℃/Hrに徐冷して処理を行なえばよい。
【0029】ここで無色硫化アンモニウム溶液の液面上
ガス(ヘッドガス)中のH2Sの濃度は25℃において
30ppm、黄色硫化アンモニウム溶液の液面上ガス中
のH2S濃度は1250ppmであるので、上記温熱間
用金型表層部に形成する構成要件を満足させるために
は、無色硫化アンモニウム溶液と黄色硫化アンモニウム
溶液の割合を6:1ないし1:1の範囲とし、液面上ガ
ス中のH2S濃度を100ppmないし600ppmの
範囲とする。
【0030】上記浸硫窒化処理のうち、少なくとも温熱
間用金型本体側に形成させる窒化層に、白層と窒素拡散
とを含有させるには、反応炉の加熱温度を高めにして窒
素の拡散効率を高めるとともに、窒化の供給源となる前
記反応炉内のアンモニア濃度を高めるのが望ましい。そ
のために反応炉の加熱温度を500〜600℃、反応炉
内のアンモニア濃度を20〜70%にするのがよい。ま
た、少なくとも温熱間用金型本体側に形成させる窒化層
が窒素拡散層のみ含有させるには、反応炉の加熱温度を
低めにして窒素の拡散を抑制するとともに、窒化の供給
源となる前記反応炉内のアンモニア濃度を低めとするの
が望ましい。そのためには、反応炉の加熱温度を460
〜550℃、反応炉内のアンモニア濃度を10〜40%
にするのがよい。
【0031】また、460〜600℃保持後の冷却速度
を250℃/Hrより大きい速度にすると、温熱間用金
表層部の混合層が剥離するので250℃/Hrより小
さい方がよく、また30℃/Hr以下にすると、例えば
540℃より250℃に冷却する冷却作業に要する時間
が9.7時間と長くなり経済的でないので、保持後の冷
却速度は30〜250℃/Hrの範囲とする。なお、硫
化アンモニウム溶液以外に、浸硫と酸化の供給源とし
て、亜硫酸アンモニウム−水和物、亜硫酸アンモニウム
溶液などを用いることもできる。温間ないし熱間で使用
される金型の表層部は、形態上は多孔質でなく緻密であ
ること、構成上は摩擦係数が小さく、かつ断熱効果が高
く、特に温熱間用金型の場合には耐焼付性の向上に寄与
する硫化鉄を多めに存在させることが重要である。
【0032】一方、本発明の温熱間用金型に用いられる
金型母材は、JIS規格に規定されるSKD61,SK
T4に代表される高温強度と靭性を有する熱間工具鋼が
好適であり、これらよりも高温強度の高いSKD7,S
KD8,高速度鋼あるいはこれらの改良鋼に対しても必
要に応じて適用することができる。
【0033】
【実施例】以下に実施例に基づいて詳細に説明する。 (実施例1) 表1に示す組成の鋼を準備し、焼入れ焼戻しにより鋼1
は48HRCおよび鋼2は53HRCに調質した。その
後、直径5mm、長さ20mmの形状を持つ丸棒試験片
を作製し、その端面は砥石で仕上げた。これらの試験片
に表2に示す種々の表面処理を施したものを用いて熱間
焼付試験を行なった。熱間焼付試験は、試験片の一端部
をボール盤のチャックに取付け1540rpmで回転さ
せ、600℃に加熱したSNCM439製のブロックに
試験片の他端を押し付け、30秒間摩擦摺動させるもの
で、押し付け荷重は0.31〜2.78KNとし、焼付
が発生した押し付け荷重を断面積で除した値を焼付限界
面圧(MPa)として耐焼付性を評価した。
【0034】
【表1】
【0035】
【表2】
【0036】表3に、各種表面処理後の表面構造と試験
結果を示す。本発明温熱間用金型の焼付限界面圧は11
8.1〜141.4MPaの範囲にあり、イオン窒化と
比較して3.8〜4.5倍、塩浴浸硫窒化Aと比較して
2.0〜2.4倍、塩浴浸硫窒化Bと比較して3.1〜
3.7倍、ボンベガスによるガス浸硫窒化と比較して
1.5〜1.8倍である。このように本発明温熱間用金
は、比較部材と比較して焼付限界面圧が大幅に改善さ
れていることがわかる。なお、焼付限界面圧に至った後
の試験片端部を切り出してミクロ組織観察したところ、
これらはいずれも再焼入れ組織を呈しており、鋼のAC
変態点を越える温度に昇温していることが認められ、
大きな摩擦発熱があったことが認められた。これによ
り、本発明温熱間用金型は摩擦発熱を著しく抑制できる
ことがわかる。
【0037】
【表3】
【0038】なお、表3のうち試料No.5と試料N
o.9(いずれも比較部材に相当)、試料No.11と
試料No.13(いずれも本発明温熱間用金型に相当)
と同じ処理を行なった試験片表面部の断面組織観察およ
びEPMA(微少部X線分析装置)による線分析を行な
い、その結果を図1、図2、図3および図4にそれぞれ
示す。図1は、本発明温熱間用金型の対象外である塩浴
浸硫窒化Aのもので、表面処理層の最上部の混合物層中
のSの最大濃度が2.2wt%、混合物層中の硫黄と窒
素の濃度比(S/N)が0.4で、混合物層の厚さは2
9μmであった。図2も本発明温熱間用金型の対象外で
あるボンベガスによるガス浸硫窒化のもので、混合物中
のSの最大濃度が32.4wt%、混合物層中の硫黄と
窒素の濃度比(S/N)が10.8で、混合物層の厚さ
は1.2μmであった。
【0039】これに対して、本発明温熱間用金型に相当
する表面処理層の混合物層のSの最大濃度は、図3に示
すように27.4wt%で硫黄と窒素の濃度比(S/
N)が5.6で、混合物層の厚さは2.2μm、また図
4ではSの最大濃度が25.2wt%、硫黄と窒素の濃
度比(S/N)が5.3で、混合物層の厚さは7.0μ
mであった。このように本発明温熱間用金型の試料N
o.11(図3)および試料No.13(図4)の酸素
を含む硫化鉄粒子と窒化鉄粒子からなる混合物は高濃度
のS濃度を有し、混合物層中のS/Nが0.5<S/N
<10の範囲にあり、従来部材と比較して混合物層の構
造、構成が異なることがわかる。
【0040】次に前述の混合物層および温熱間用金型
体側の窒化層の構造を光学顕微鏡組織で説明する。本発
温熱間用金型の試料No.11および試料No.13
を図3および図4に示す。図3は前述の2.2μm厚さ
を有する混合物層と2.8μmの厚さを有する中間層お
よび温熱間用金型本体側に窒化層を有し、窒化層は白層
と窒素拡散層で形成され、その厚さは0.23mmであ
った。図4は前述の7μm厚さを有する混合物層と、
9.5μm厚さを有する中間層および温熱間用金型本体
側に窒化層を有し、窒化層は窒素拡散層単独で形成さ
れ、その厚さは0.17mmであった。なお、混合物層
と中間層および窒化層の構成物質については実施例3の
X線解析で詳しく述べる。
【0041】(実施例2) 表2に示した処理5と処理6について、540℃で20
時間保持後、250℃までの冷却速度を35〜870℃
/Hrに変えて処理後の混合物層の膜はがれについて検
討した結果を表4に示す。処理5は、冷却速度が大きい
と膜はがれを生じるのに対し、本発明の処理6は870
℃/Hrでは膜はがれが生じるが、220℃/Hrより
小さい冷却速度の場合は、膜はがれがなく健全であっ
た。
【0042】
【表4】
【0043】(実施例3) 表3に示した試料No.5から試料No.10(比較部
材に相当)、試料No.11から試料No.14(本発
温熱間用金型に相当)と同じ処理を行なった試験片表
面部の断面について表面より25μm毎に荷重100g
を付加して硬さを測定し、それぞれの最高硬さを測定し
た結果を表5に示す。本発明温熱間用金型の試料No.
11より試料No.14の最高硬さは900HV以上で
あった。
【0044】
【表5】
【0045】(実施例4) 表3に示した試料No.5および試料No.9(比較部
材に相当)、試料No.11および試料No.13(本
発明温熱間用金型に相当)と同じ処理を行なった試験片
表面部について、最表面よりX線回折装置を用いてX線
解析を行なった結果を図5に示す。X線回折条件は、C
oターゲットを用いて印加電圧40KV、印加電流20
0mAの条件で回折角(2θ)は30°より120°ま
で測定した。
【0046】図5の試料No.5の定性分析結果は酸化
鉄がFeおよび窒化鉄はFeNおよびFe
であり、硫化鉄は検出されなかった。図5の試料No.
9の定性分析結果は、硫化鉄はFeS、窒化鉄はFe
NおよびFeNであり、酸化鉄は検出されなかった。
図5の試料No.11の定性分析結果は、硫化鉄がFe
S、酸化鉄がFeおよび窒化鉄はFeNとFe
Nであった。図5の試料No.13の定性分析結果は
硫化鉄がFeS、酸化鉄がFeおよび窒化鉄はF
NとFeNであった。
【0047】以上のことから実施例1で示した混合物層
のEPMAの結果と総合的に考えると、試料No.5の
混合物層は、少量のSを2.2wt%含んではいるが、
実質的にはFeとFeNより形成されることが
確認された。また、混合物層の温熱間用金型本体側の窒
化層は、光学顕微鏡の結果と総合的に考えるとFe
(白層)およびFeN(窒素拡散層)であることが確
認された。次に試料No.9の混合物層は、Sを32.
4wt%含み、実質的にはFeS単層である。また、中
間層は実質的にFeSとFeNを含み、温熱間用金型
本体側の窒化層はFeN(窒素拡散層)であることが
確認された。次に試料No.11および試料No.13
の混合物層は、実質的にはFeSとFeNからなりF
を含むことが確認された。また、温熱間用金型
本体側の窒化層は試料No.11ではFeN(白層)
およびFeN(窒素拡散層)が形成され、試料No.
13ではFeN(窒素拡散層)のみ形成されることが
確認された。
【0048】(実施例5) 表3に示した試料No.5と試料No.7および試料N
o.9(比較部材に相当)、試料No.11および試料
No.13(本発明温熱間用金型に相当)と同じ処理を
行なった試験片表面部について表面より連続加重式表面
性測定機にて混合物層と窒化層界面での密着性を評価す
るため、引っ掻き抵抗力を測定した結果を表6に示す。
連続加重式表面性測定機の測定条件は、30μのダイヤ
モンド引掻針を用い、移動速度 0.2mm/sec、
垂直荷重のフルスケールが500gを用いた。
【0049】
【表6】
【0050】本発明温熱間用金型の試料No.11およ
び試料No.13の引っ掻き抵抗力は、比較部材と比べ
て引っ掻き抵抗力が大きいことが確認された。このこと
より、本発明の混合物層の密着性は比較部材と比べて密
着性が良好であると言える。さらに表層部の形態より試
料No.5および試料No.7の混合物層は多孔質形態
であるのに対し、本発明温熱間用金型の試料No.11
および試料No.13の混合物層は緻密な形態であり
温鍛造作業で金型に負荷される熱応力に対して、多孔
質で密着性が乏しい比較部材は、多孔質に起因するヒー
トクラックの起点または伝播の通路となり易いのに対し
て本発明温熱間用金型は密着性の改善と緻密な形態を有
しているので、温熱間用金型として使用した場合に寿命
向上が予想できる。
【0051】(実施例6) 表3の試料No.2,4,8,10,12,14の表層
部の構造を有するギア成形に使用する熱間鍛造金型を用
意した。金型の寸法は直径176mm、高さ84mmで
ある。鋼2の鋼を金型近似寸法に荒加工し、焼入れ、焼
戻しにより53HRCに調質し、上記の寸法に仕上げ加
工後、所定の表層部の構造が得られるようにそれぞれ表
面処理を行なった。鍛造は1000tonの鍛造プレス
を用い、1200℃に高周波加熱したSCMワークをア
ップセット加工後10秒おきに鍛造した。表7に金型の
寿命を示す。
【0052】
【表7】
【0053】金型はいずれも摩耗による損傷で寿命とな
った。本発明金型は従来の金型である比較金型に比べ
て、いずれも金型寿命が比較金型に比べて約2倍向上
し、耐摩耗性に優れた金型であることがわかる。
【0054】
【発明の効果】以上に述べたように、本発明の表層部の
構造を有する温熱間用金型は、主として硫化鉄が摩擦熱
による熱負荷の抑制効果と断熱効果により、また窒化鉄
が表面の耐摩耗性保持効果により、金型の寿命を向上さ
せることが可能となった。混合物層の形態が緻密であ
り、混合物層と窒化層との間にある中間層の密着性が向
上していることから、使用中の混合物層の剥離やクラッ
クの起点または伝播の通路になりにくくなる利点があ
り、長期使用に効果の高いものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】比較部材の試料No.5の混合物層の構造を示
す電子顕微鏡写真とEPMAによる線分析チャートおよ
び混合物層の温熱間用金型本体側の窒化層の構造を示す
光学顕微鏡写真である。
【図2】比較部材の試料No.9の混合物層の構造を示
す電子顕微鏡写真とEPMAによる線分析チャートおよ
び混合物層の温熱間用金型本体側の窒化層の構造を示す
光学顕微鏡写真である。
【図3】本発明温熱間用金型の試料No.11の混合物
層の構造を示す電子顕微鏡写真とEPMAによる線分析
チャートおよび混合物層の温熱間用金型本体側の窒化層
の構造を示す光学顕微鏡写真である。
【図4】本発明温熱間用金型の試料No.13の混合物
層の構造を示す電子顕微鏡写真とEPMAによる線分析
チャートおよび混合物層の温熱間用金型本体側の窒化層
の構造を示す光学顕微鏡写真である。
【図5】比較部材の試料No.5および試料No.9と
本発明部温熱間用金型試料No.11および試料No.
13のX線回折図である。

Claims (14)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 温熱間用金型の表層部に、酸素を含む硫
    化鉄粒子と窒化鉄粒子からなる混合物層を有し、前記混
    合物層中の硫黄と窒素の重量濃度比(S/N)が0.5
    <S/N<10の式を満足する領域が存在することを特
    徴とする温熱間用金型
  2. 【請求項2】 温熱間用金型の表層部に、酸素を含む硫
    化鉄粒子と窒化鉄粒子からなる混合物層を有し、前記混
    合物層中の硫黄と窒素の重量濃度比(S/N)が0.5
    <S/N<10の式を満足する領域が存在し、かつ前記
    混合物層の温熱間用金型本体側に少なくとも窒化層が形
    成されていることを特徴とする温熱間用金型
  3. 【請求項3】 温熱間用金型の表層部に、酸素を含む硫
    化鉄粒子と窒化鉄粒子からなる混合物層を有し、前記混
    合物層中の硫黄と窒素の重量濃度比(S/N)が0.5
    <S/N<10の式を満足する領域を有し、かつ前記混
    合物層の温熱間用金型本体側に硫化鉄と窒化鉄および酸
    化鉄からなる中間層を有することを特徴とする温温熱間
    用金型
  4. 【請求項4】 温熱間用金型の表層部に、酸素を含む硫
    化鉄粒子と窒化鉄粒子からなる混合物層を有し、前記混
    合物層中の硫黄と窒素の重量濃度比(S/N)が0.5
    <S/N<10の式を満足する領域を有し、かつ前記混
    合物層の温熱間用金型本体側に硫化鉄と窒化鉄および酸
    化鉄からなる中間層を有し、さらに前記中間層の温熱間
    用金型本体側に少なくとも窒化層が形成されていること
    を特徴とする温熱間用金型
  5. 【請求項5】 温熱間用金型の表層部に、酸素を含む硫
    化鉄粒子と窒化鉄粒子からなる混合物層を有し、前記混
    合物層中の硫黄と窒素の重量濃度比(S/N)が0.5
    <S/N<10の式を満足する領域が存在し、かつ前記
    混合物層と温熱間用金型本体側に形成される窒化層との
    間に硫化鉄と窒化鉄および酸化鉄からなる中間層が形成
    され、前記窒化層は白層と窒素拡散層からなることを特
    徴とする温熱間用金型
  6. 【請求項6】 温熱間用金型の表層部に、酸素を含む硫
    化鉄粒子と窒化鉄粒子からなる混合物層を有し、前記混
    合物層中の硫黄と窒素の重量濃度比(S/N)が0.5
    <S/N<10の式を満足する領域が存在し、かつ前記
    混合物層と温熱間用金型本体側に形成される窒化層との
    間に硫化鉄と窒化鉄および酸化鉄からなる中間層が形成
    され、前記窒化層は窒素拡散層からなることを特徴とす
    温熱間用金型
  7. 【請求項7】 請求項1ないし6のいずれかに記載の混
    合物層中のSの濃度が重量%で5〜35である温熱間用
    金型
  8. 【請求項8】 請求項3ないし6のいずれかに記載の中
    間層中のSの濃度が重量%で1〜10である温熱間用金
  9. 【請求項9】 請求項1ないし8のいずれかに記載の混
    合物層の厚さが0.1〜20μmである温熱間用金型
  10. 【請求項10】 請求項3ないし6および請求項8のい
    ずれかに記載の中間層の厚さが0.1〜20μmの緻密
    な層である温熱間用金型
  11. 【請求項11】 請求項2および請求項4ないし6のい
    ずれかに記載の窒化層の最高硬さが900HV以上であ
    温熱間用金型
  12. 【請求項12】 ガス発生容器内に無色硫化アンモニウ
    ム溶液と黄色硫化アンモニウム溶液を6:1ないし1:
    1の割合で供給し、発生する液面上ガスと窒素ガスから
    なる搬送用ガスとの混合ガス中の硫化水素ガス濃度を1
    00〜600ppm、アンモニアガス濃度を0.1〜
    1.0%に調整して、温熱間用金型となる被処理材を配
    置して460〜600℃に加熱された反応炉に導入する
    とともに、別容器から供給する窒素ガスとアンモニアガ
    スにより前記反応炉内のアンモニア濃度を10〜70%
    に調整し、460〜600℃保持後の冷却速度を30〜
    250℃/Hrに徐冷してガス浸硫窒化処理することを
    特徴とする温熱間用金型の製造方法。
  13. 【請求項13】 ガス発生容器内に無色硫化アンモニウ
    ム溶液と黄色硫化アンモニウム溶液を6:1ないし1:
    1の割合で供給し、発生する液面上ガスと窒素ガスから
    なる搬送用ガスとの混合ガス中の硫化水素ガス濃度を1
    00〜600ppm、アンモニアガス濃度を0.1〜
    1.0%に調整して、温熱間用金型とな る被処理材を配
    置して500〜600℃に加熱された反応炉に導入する
    とともに、別容器から供給する窒素ガスとアンモニアガ
    スにより前記反応炉内のアンモニア濃度を20〜70%
    に調整し、500〜600℃保持後の冷却速度を30〜
    250℃/Hrに徐冷してガス浸硫窒化処理することを
    特徴とする温熱間用金型の製造方法。
  14. 【請求項14】 ガス発生容器内に無色硫化アンモニウ
    ム溶液と黄色硫化アンモニウム溶液を6:1ないし1:
    1の割合で供給し、発生する液面上ガスと窒素ガスから
    なる搬送用ガスとの混合ガス中の硫化水素ガス濃度を1
    00〜600ppm、アンモニアガス濃度を0.1〜
    1.0%に調整して、温熱間用金型となる被処理材を配
    置して460〜550℃に加熱された反応炉に導入する
    とともに、別容器から供給する窒素ガスとアンモニアガ
    スにより前記反応炉内のアンモニア濃度を10〜40%
    に調整し、460〜550℃保持後の冷却速度を30〜
    250℃/Hrに徐冷してガス浸硫窒化処理することを
    特徴とする温熱間用金型の製造方法
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