JP2003166072A - 冷間鍛造加工用潤滑処理方法 - Google Patents

冷間鍛造加工用潤滑処理方法

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JP2003166072A
JP2003166072A JP2001367360A JP2001367360A JP2003166072A JP 2003166072 A JP2003166072 A JP 2003166072A JP 2001367360 A JP2001367360 A JP 2001367360A JP 2001367360 A JP2001367360 A JP 2001367360A JP 2003166072 A JP2003166072 A JP 2003166072A
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phosphate
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Mikio Ogura
幹雄 小倉
Satoshi Shibuya
総 渋谷
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Denso Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 断面減少率が10%程度のスプライン押し出
し加工用潤滑処理方法において、潤滑剤皮膜中の冷間鍛
造加工に有効な金属石けんの生成量を増やし、冷間鍛造
加工用金型寿命を伸長することを目的とする。 【解決手段】 本発明のCaボンデ液によりリン酸塩皮
膜化成処理することで、リン酸塩皮膜化成処理における
リン酸塩処理溶液11中のCa/Znの重量比を1/4
程度に小さくして、Caイオンを少なくし、且つZnイ
オンを多くしている。そして、次にリューベ処理を施す
ことにより、チューブ材料(鉄素地)2の材料表面に付
着した潤滑剤皮膜中に、潤滑性が高く、低加工度の冷間
鍛造加工に有効な金属石けん(ステアリン酸亜鉛、亜鉛
石鹸)を大量に生成することができる。これにより、マ
ンドレル等の工具によるチューブ材料2の材料表面への
加工荷重を大幅に低減できるので、マンドレル等の工具
寿命を伸ばすことができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、冷間鍛造加工用金
型の工具面と鉄鋼材料表面との間に潤滑剤を介在させて
鉄鋼材料に、最終製品に近い形態を与える低加工度の冷
間鍛造加工を行う前に、予め鉄鋼材料にリン酸塩皮膜化
処理(リン酸塩処理)を施し、次に潤滑剤処理を施す冷
間鍛造加工用潤滑処理方法に関するもので、特にリン酸
塩処理方法に係わる。
【0002】
【従来の技術】従来より、鉄鋼材料を冷間鍛造加工する
場合には、鉄鋼材料表面と冷間鍛造加工用金型の工具面
との摩擦を防止するために、鉄鋼材料表面に潤滑剤処理
が施されるのが一般的である。ここで、従来の方法とし
て、特開昭58−213880号公報に記載された鉄鋼
材料の冷間鍛造加工用潤滑処理方法がある。
【0003】この潤滑処理方法は、図11に示したよう
に、鉄鋼材料を冷間鍛造加工する際に、予め鉄鋼材料
(鉄素地)にリン酸塩皮膜化成処理を施し、次に潤滑剤
処理を施すようにしたものである。そのリン酸塩皮膜化
成処理とは、第1リン酸亜鉛+第1リン酸カルシウムよ
りなる、亜鉛(Zn)イオンに対するカルシウム(C
a)イオンの重量比(比率)が0.1〜1.0と、非常
に多くのカルシウムイオンを含有する、Ca/Zn比が
高いA社Caボンデ液100中に浸漬して、鉄鋼材料1
01の材料表面にリン酸塩皮膜102を付着させる処理
である。これは、リン酸塩皮膜102中にリン酸亜鉛皮
膜(リン酸Zn皮膜)103だけでなく、カルシウムイ
オンを多く含むリン酸亜鉛・カルシウム皮膜(リン酸Z
n・Ca皮膜)104を生成することにより、耐熱性が
向上するため、高加工度で、被加工物の温度が高くなる
冷間鍛造加工に最適である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、従来のリン
酸塩皮膜化成処理工程においては、スプライン押し出し
加工のように、低荷重(3〜20t)で低加工度(断面
減少率が10%以下)の冷間鍛造加工には向いていな
い。その理由は、図11に示したように、A社Caボン
デ液100中に鉄鋼材料101を浸漬してリン酸塩皮膜
102を生成した場合に、そのリン酸塩皮膜102中の
リン酸亜鉛成分が25重量%と少なく、後処理の潤滑剤
処理としてのリューベ(ステアリン酸ナトリウム)と反
応するリン酸亜鉛の含有率が少なく、リューベと反応し
ないカルシウム成分の含有率が多いからである。
【0005】これにより、後処理の潤滑剤処理におい
て、鉄鋼材料の材料表面に付着したリン酸塩皮膜(潤滑
剤皮膜)中に冷間鍛造加工に有効な潤滑剤の生成量が少
なくなる。すなわち、平均摩擦係数が小さく、潤滑性に
優れ、低加工度の冷間鍛造加工に有効なステアリン酸亜
鉛を主成分とする金属石けんの生成量が少なくなるの
で、鉄鋼材料を冷間鍛造加工する際に、鉄鋼材料の材料
表面と冷間鍛造加工用金型の工具面との摩擦が大きくな
り、工具の加工荷重が期待した程下がらず、工具の長寿
命化が期待できないという問題がある。
【0006】また、図12に示したように、第1リン酸
鉄を含有する促進ボンデ液200を用いたリン酸塩皮膜
化成処理方法もある。これは、促進ボンデ液200中に
鉄鋼材料201を浸漬してリン酸塩皮膜202を付着さ
せた場合に、そのリン酸塩皮膜202中のリン酸亜鉛皮
膜(リン酸Zn皮膜)203の比率が60重量%とA社
Caボンデ液100より多くなるが、鉄鋼材料(鉄素
地)201の材料表面に、リン酸亜鉛・鉄皮膜(リン酸
Zn・Fe皮膜)204を含むリン酸塩皮膜202が多
く付着する。このため、鉄鋼材料201を冷間鍛造加工
する際に、冷間鍛造加工用金型の工具表面と鉄鋼材料2
01の材料表面との間にリン酸塩皮膜202が詰まるこ
と(所謂カス詰まり)によって鉄鋼材料201の材料表
面の寸法精度が低下するという問題がある。
【0007】さらに、リン酸塩皮膜202中に鉄鋼材料
(鉄素地)201より析出した鉄成分がリン酸亜鉛・鉄
皮膜(鉄は後処理の潤滑剤処理に使用するリューベとは
反応しない)204となって混入し、鉄鋼材料201の
材料表面にリン酸亜鉛・鉄皮膜(リン酸Zn・Fe皮
膜)204が生成され、鉄鋼材料201を冷間鍛造加工
する際に、鉄鋼材料201の材料表面と冷間鍛造加工用
金型の工具面との摩擦が大きくなり、工具の加工荷重が
下がらず、工具の長寿命化が期待できないという問題が
ある。
【0008】
【発明の目的】本発明は、冷間鍛造加工用の金型による
鉄鋼材料の材料表面への加工荷重を減らし、且つ加工精
度に影響を与えるカス発生を抑えることで、金型寿命を
伸長させることが可能な冷間鍛造加工用潤滑処理方法を
提供することを目的とする。また、例えば最終製品に近
い形態を与える低加工度の冷間鍛造加工を実施する前の
冷間鍛造加工用潤滑処理方法として最適なリン酸塩処理
方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明に
よれば、鉄鋼材料に最終製品に近い形態を与える低加工
度の冷間鍛造加工を行う前に、予め鉄鋼材料を、亜鉛イ
オンに対するカルシウムイオンの重量比が0.02〜
0.09であるリン酸塩処理溶液で処理して、リン酸亜
鉛を主成分とするリン酸塩皮膜を、鉄鋼材料表面に付着
させ、次に、リン酸塩皮膜を付着した鉄鋼材料を、ステ
アリン酸ナトリウムを主成分とする潤滑剤処理溶液で処
理するようにしている。
【0010】それによって、鉄鋼材料表面に付着した潤
滑剤皮膜中の、冷間鍛造加工に有効な金属石けんの生成
量が非常に多くなる。すなわち、平均摩擦係数が小さ
く、潤滑性に優れ、冷間鍛造加工に有効な金属石けんの
生成量が多くなるので、鉄鋼材料に(例えば最終製品に
近い形態を与える低加工度の)冷間鍛造加工を行う際
に、鉄鋼材料表面と冷間鍛造加工用の金型の工具面との
摩擦が非常に小さくなり、冷間鍛造加工用の金型による
鉄鋼材料の材料表面への加工荷重が下がるため、金型寿
命を伸長させることができる。
【0011】また、リン酸塩処理溶液中のカルシウムイ
オンの働きで、鉄鋼材料表面にリン酸亜鉛・鉄皮膜の生
成を抑えることができるので、リン酸塩皮膜量を減少で
きる。さらに、潤滑剤皮膜中の金属石けんの生成量が多
くなるので、潤滑剤処理後に鉄鋼材料表面に付着するリ
ン酸塩皮膜量が減り、加工精度に影響を与えるカス発生
を抑えることができる。これにより、鉄鋼材料を(例え
ば最終製品に近い形態を与える低加工度の)冷間鍛造加
工した際のカス詰まりが少なくなるので、鉄鋼材料表面
の寸法精度の低下を抑えることができる。
【0012】請求項2に記載の発明によれば、リン酸塩
処理溶液は、カルシウムイオンの含有量が0.2〜0.
9重量%、亜鉛イオンの含有量が0.8〜1.3重量%
のリン酸亜鉛を主成分とする溶液であることを特徴とし
ている。これにより、リン酸塩処理工程で生成する、鉄
鋼材料表面へのリン酸塩皮膜の付着量が少なくなるの
で、鉄鋼材料を(例えば最終製品に近い形態を与える低
加工度の)冷間鍛造加工した際のカス詰まりを無くすこ
とができる。また、リン酸塩処理工程で生成するリン酸
塩皮膜中のリン酸亜鉛の含有率を非常に多くすることが
できるので、後処理の潤滑剤処理工程で生成する金属石
けんの生成量が大量となる。
【0013】請求項3に記載の発明によれば、リン酸塩
処理工程は、リン酸塩処理溶液を所定温度で加熱しなが
ら所定時間が経過するまで、鉄鋼材料を、リン酸塩処理
溶液中に浸漬して行われることを特徴としている。これ
により、請求項1および請求項2に記載の発明の効果を
より向上することができる。また、請求項4に記載の発
明によれば、潤滑剤処理工程は、潤滑剤処理溶液を所定
温度で加熱しながら所定時間が経過するまで、リン酸塩
皮膜を付着した鉄鋼材料を、潤滑剤処理溶液中に浸漬し
て行われることを特徴としている。これにより、請求項
1および請求項2に記載の発明の効果をより向上するこ
とができる。
【0014】
【発明の実施の形態】[実施形態の構成]図1ないし図
4は本発明の実施形態を示したもので、図1は鉄鋼材料
に最終製品に近い形態を与える低加工度の冷間鍛造加工
を行う冷間鍛造加工装置を示した図である。
【0015】本実施形態の冷間鍛造加工装置1は、鉄鋼
材料を常温で静的に加圧あるいは動的に打圧することに
よって塑性変形を与え、所望の形態と機械的性質を付与
する加工を行うもので、特に略円筒形状の鉄鋼材料(以
下チューブ材料と言う)2の最終製品に近い形態、すな
わち、車両に搭載されるエンジンを始動するための減速
式スタータのピニオンシャフトの外周にスプライン結合
されるスプラインチューブの形態を得るための鍛造機
(油圧式プレス機、冷間鍛造加工用金型)である。
【0016】冷間鍛造加工装置1は、切削加工および潤
滑処理が完了したチューブ材料2を往復方向(図示上下
方向)に移動可能に保持する上型(可動側金型)3と、
この上型3により回転しながら押し下げられるチューブ
材料2を軸心ズレのないように収容支持する下型(固定
側金型)4と、この下型4内に収容されてチューブ材料
2の内周面にスプライン(最終製品に近い形態:図2参
照)5を付与してスプラインチューブ6(図2参照)を
形成するためのマンドレル(工具)7とを備えている。
【0017】[実施形態の製造方法]次に、本実施形態
のスプラインチューブの製造方法を図1ないし図4に基
づいて簡単に説明する。ここで、図2はスプラインチュ
ーブの製造方法を示した図で、図3は本発明のリン酸塩
皮膜化成処理工程を示した図で、図4は本発明の潤滑剤
皮膜化成処理工程を示した図である。
【0018】先ず、例えば鋳造された鉄鋼材料(延性金
属棒)に内径切削および外径切削を施して、図2に示し
たような所望の円筒形状のチューブ材料2を得る(切削
加工工程)。次に、低加工度の冷間鍛造加工を実施する
前に、予め本実施形態の低加工度の冷間鍛造加工用潤滑
処理方法を実施する。
【0019】すなわち、断面減少率が10%程度のスプ
ライン押し出し加工を実施する前に、潤滑性を高めて金
型寿命、マンドレル7等の工具寿命を伸長させる目的
で、チューブ材料2の表面に潤滑処理を実施する。そこ
で、チューブ材料2の材料表面に実施する潤滑処理とし
て、図2に示したように、チューブ材料2に脱脂→酸洗
→Caボンデ(リン酸塩皮膜化成処理工程)→リューベ
(潤滑剤皮膜化成処理工程)の各工程をとる。
【0020】それらのうちリン酸塩皮膜化成処理工程で
は、図3に示したように、チューブ材料2に、カルシウ
ム(Ca)イオンの含有量が0.2〜0.9重量%、亜
鉛(Zn)イオンの含有量が0.8〜1.3重量%、亜
鉛イオンに対するカルシウムイオンの重量比(Ca/Z
n比)が0.02〜0.09、銅(Cu)イオンおよび
ニッケル(Ni)イオンの1種または2種を含む、リン
酸亜鉛を主成分とするリン酸塩処理溶液(Ca/Znの
重量比が小さいCaボンデ液:第1リン酸亜鉛+第1リ
ン酸カルシウム)11で下地処理を施す。
【0021】これは、上記のリン酸塩処理溶液11を収
容する容器(図示せず)内にチューブ材料2を浸漬し
て、所定時間(例えば8〜12分間程度、望ましくは1
0分間程度)が経過するまで所定温度(例えば70〜8
0℃程度)で加熱することで実施される。これにより、
図3に示したように、後処理の潤滑剤処理溶液(リュー
ベ液)10との反応に有効なリン酸亜鉛皮膜(リン酸Z
n皮膜)12の比率を大幅に向上し、逆にリン酸亜鉛・
カルシウム皮膜(リン酸亜鉛・Ca皮膜)13の比率が
大幅に少ないリン酸塩皮膜8が、チューブ材料(鉄素
地)2の材料表面に生成される。
【0022】次の潤滑剤皮膜化成処理工程では、図4に
示したように、上記のリン酸塩皮膜8が付着したチュー
ブ材料2を、ステアリン酸ナトリウムを主成分とする潤
滑剤処理溶液(リューベ液)10内に浸漬してリューベ
処理(Caボンデとリューベとを反応させる)を施す。
これは、上記の潤滑剤処理溶液10を収容する容器(図
示せず)内に、リン酸塩皮膜8が付着したチューブ材料
2を浸漬して、所定時間(例えば3〜7分間程度、望ま
しくは5分間程度)が経過するまで所定温度(例えば7
0〜80℃程度)で加熱することで実施される。
【0023】これにより、図4に示したように、チュー
ブ材料(鉄素地)2の材料表面に付着した潤滑剤皮膜9
中に、潤滑性が高く、低加工度の冷間鍛造加工に有効な
金属石けん(ステアリン酸亜鉛)14が大量に生成さ
れ、リン酸亜鉛皮膜(リン酸Zn皮膜)12が少なくな
る。なお、僅かではあるが、カルシウム(Ca)イオン
により潤滑剤皮膜化成処理中に発生する鉄(Fe)をス
ラッジに変え、リン酸亜鉛・鉄皮膜(リン酸Zn・Fe
皮膜)を潤滑剤皮膜9中に形成させないようにしてい
る。
【0024】以上のように材料表面の潤滑処理が完了し
たチューブ材料2を、図1の冷間鍛造加工装置1の上型
3に装着して、チューブ材料2の内周面にスプライン
(最終製品に近い形態)5を付与してスプラインチュー
ブ6を形成する低加工度の冷間鍛造加工(例えば断面減
少率が10%程度のスプライン押し出し加工)を行う。
【0025】すなわち、上型3が図示下方に下がりチュ
ーブ材料2の内周面がマンドレル7に接触すると、チュ
ーブ材料2に回転力が与えられるため、チューブ材料2
は旋回しながら図示下方に押し下げられる。これによ
り、チューブ材料2の内周面に所望の凹凸形態(スプラ
イン5)が形成される。次に、スプラインチューブ6に
切削加工を行って最終製品の形態を与えた後に熱処理を
行うことにより、減速式スタータのスプラインチューブ
を製造している。
【0026】[実施形態の効果]以上のように、本実施
形態の低加工度の冷間鍛造加工用潤滑処理方法、すなわ
ち、断面減少率が10%程度のスプライン押し出し加工
用潤滑処理方法においては、リン酸塩皮膜化成処理にお
けるリン酸塩処理溶液11中のCa/Znの重量比を1
/4程度(2/10〜7/10程度:0.02〜0.0
9)とし、カルシウム(Ca)イオンの含有量を少なく
し、且つ亜鉛(Zn)イオンの含有量を多くしている。
【0027】それによって、図5のグラフに示したよう
に、リン酸塩皮膜化成処理でチューブ材料2の材料表面
に生成されるリン酸塩皮膜付着量が20g/m2 以下と
なり、しかも図6のグラフに示したように、リン酸塩皮
膜8中のリン酸亜鉛の含有率が80%以上となる。これ
により、リン酸塩皮膜8中の、リューベ液との反応に有
効なリン酸亜鉛皮膜(リン酸Zn皮膜)12の比率を多
くすることができ、逆にリン酸亜鉛・カルシウム皮膜
(リン酸Zn・Ca皮膜)13の比率を少なくすること
ができる。
【0028】そして、本発明のCaボンデ液によりリン
酸塩皮膜化成処理を施し、次にリューベ(ステアリン酸
ナトリウム)処理を施すことにより、図4に示したよう
に、チューブ材料(鉄素地)2の材料表面に付着した潤
滑剤皮膜9中の、平均摩擦係数が小さく、潤滑性に優
れ、低加工度の冷間鍛造加工に有効なステアリン酸亜鉛
を主成分とする金属石けん(ステアリン酸亜鉛、亜鉛石
鹸)14の比率を大幅に増やすことができる。すなわ
ち、図7のグラフに示したように、潤滑剤皮膜化成処理
(リューベ処理)後の潤滑剤皮膜9中の金属石けん14
の生成量(金属石けん量)を5g/m2 以上とすること
ができる。これにより、リューベ処理後の潤滑剤皮膜9
中の、リン酸亜鉛皮膜(リン酸Zn皮膜)12の付着量
を大幅に減らすことができる。
【0029】ここで、低加工度の冷間鍛造加工時には、
マンドレル7等の工具面は圧力と摩擦剪断応力とを被っ
て弾性変形を行い、チューブ材料2の材料表面は塑性変
形を被ることにより、チューブ材料2の材料表面に凹凸
形態(スプライン5)を形成しながら変化する。これは
冷間鍛造加工に潤滑が必要な条件である。したがって、
本実施形態では、低加工度の冷間鍛造加工を行う前に、
予めチューブ材料2に潤滑処理を行うことで、低加工度
の冷間鍛造加工を実施する際には、チューブ材料2の材
料表面とマンドレル7等の工具面との間に、上記の潤滑
剤皮膜化成処理により形成された潤滑剤皮膜9、すなわ
ち、平均摩擦係数が鉱物油に対して非常に小さい金属石
けん14を大量に介在させることができるので、潤滑性
を高めることができ、マンドレル7等の工具によるチュ
ーブ材料2の材料表面への加工荷重を軽減できる。
【0030】特に、本発明のCa/Znの重量比が小さ
いCaボンデ液を用いることで、リューベ液との反応に
有効なリン酸亜鉛の比率を大幅に向上させることができ
るので、後処理の潤滑剤皮膜化成処理(リューベ処理)
において、冷間鍛造加工に有効な金属石けん14の生成
量(亜鉛石鹸量)を大幅に増やすことができるので、図
8のグラフおよび図9のグラフに示したように、加工精
度に影響を与えるカス詰まりを抑えることができるの
で、マンドレル7等の工具によるチューブ材料2の材料
表面への加工荷重を8.1t以下に抑えることができる
ので、マンドレル7等の工具寿命を伸ばすことができ
る。これにより、金型寿命が飛躍的に伸びる。
【0031】また、リン酸塩皮膜8中に含まれるカルシ
ウムイオンにより後処理の潤滑剤皮膜化成処理(リュー
ベ処理)中に発生(析出)する鉄(Fe)成分をスラッ
ジに変え、リン酸亜鉛・鉄皮膜(鉄は後処理の潤滑剤皮
膜化成処理に使用するリューベとは反応しない)を形成
させなくし、その析出した鉄(Fe)成分は容器内に沈
殿する。これにより、チューブ材料2の材料表面にリン
酸亜鉛・鉄皮膜が生成されず、冷間鍛造加工する際の、
チューブ材料2の材料表面とマンドレル7等の工具面と
の摩擦が小さくなる。
【0032】したがって、図9のグラフに示したよう
に、マンドレル7等の工具によるチューブ材料2の材料
表面への加工荷重を8.1t以下に大幅に抑えることが
できるので、マンドレル7等の工具寿命を伸ばすことが
できる。これにより、金型寿命が飛躍的に伸びる。ここ
で、図10のグラフから加工荷重を下げることにより、
金型寿命が伸長することが分かる。
【図面の簡単な説明】
【図1】冷間鍛造加工装置を示した断面図である(実施
形態)。
【図2】スプラインチューブの製造方法を示した工程図
である(実施形態)。
【図3】本発明のリン酸塩皮膜化成処理工程を示した模
式図である(実施形態)。
【図4】本発明の潤滑剤皮膜化成処理工程を示した模式
図である(実施形態)。
【図5】本発明のCaボンデ液と各社のボンデ液に対す
るリン酸塩皮膜の付着量の比較効果を示したグラフであ
る(実施形態)。
【図6】本発明のCaボンデ液と各社のボンデ液に対す
るリン酸塩皮膜中のリン酸亜鉛の含有率の比較効果を示
したグラフである(実施形態)。
【図7】本発明のCaボンデ液と各社のボンデ液に対す
る潤滑皮膜中の金属石けん量の比較効果を示したグラフ
である(実施形態)。
【図8】本発明のCaボンデ液のCa/Znの重量比と
加工荷重との関係を示したグラフである(実施形態)。
【図9】本発明のCaボンデ液と各社のボンデ液に対す
る加工荷重の比較効果を示したグラフである(実施形
態)。
【図10】加工荷重に対する金型寿命の関係を示したグ
ラフである(実施形態)。
【図11】A社Caボンデ液によるリン酸塩皮膜化成処
理工程を示した模式図である(従来の技術)。
【図12】促進ボンデ液によるリン酸塩皮膜化成処理工
程を示した模式図である(従来の技術)。
【符号の説明】
1 冷間鍛造加工装置 2 チューブ材料(鉄鋼材料) 3 上型(可動側金型) 4 下型(固定側金型) 5 スプライン(最終製品に近い形態) 6 減速式スタータのスプラインチューブ 7 マンドレル(工具) 8 リン酸塩皮膜 9 潤滑剤皮膜 10 潤滑剤処理溶液(リューベ液) 11 リン酸塩処理溶液(Caボンデ液) 12 リン酸亜鉛皮膜(リン酸Zn皮膜) 13 リン酸亜鉛・カルシウム皮膜(リン酸Zn・Ca
皮膜) 14 金属石けん
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C10N 40:24 C10N 40:24 Z 50:02 50:02 80:00 80:00 Fターム(参考) 4E087 AA08 AA09 BA02 CA11 CA17 CB03 CB09 HA04 HA82 4H104 BB14A FA01 PA28 QA08 RA02 4K026 AA02 AA25 BA04 BB04 BB09 CA13 CA24 DA03 EA09 EB05

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(a)鉄鋼材料に冷間鍛造加工を行う前
    に、予め前記鉄鋼材料を、 亜鉛イオンに対するカルシウムイオンの重量比が0.0
    2〜0.09であるリン酸塩処理溶液で処理して、 リン酸亜鉛を主成分とするリン酸塩皮膜を、前記鉄鋼材
    料表面に付着させるリン酸塩処理工程と、 (b)次に、前記リン酸塩皮膜を付着した鉄鋼材料を、 ステアリン酸ナトリウムを主成分とする潤滑剤処理溶液
    で処理して、 前記鉄鋼材料表面に付着した潤滑剤皮膜中に、冷間鍛造
    加工に有効な金属石けんを生成する潤滑剤処理工程とを
    備えた冷間鍛造加工用潤滑処理方法。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の冷間鍛造加工用潤滑処理
    方法において、 前記リン酸塩処理溶液は、カルシウムイオンの含有量が
    0.2〜0.9重量%、亜鉛イオンの含有量が0.8〜
    1.3重量%のリン酸亜鉛を主成分とする溶液であるこ
    とを特徴とする冷間鍛造加工用潤滑処理方法。
  3. 【請求項3】請求項1または請求項2に記載の冷間鍛造
    加工用潤滑処理方法において、 前記リン酸塩処理工程は、前記リン酸塩処理溶液を所定
    温度で加熱しながら所定時間が経過するまで、前記鉄鋼
    材料を、前記リン酸塩処理溶液中に浸漬して行われるこ
    とを特徴とする冷間鍛造加工用潤滑処理方法。
  4. 【請求項4】請求項1ないし請求項3のうちいずれかに
    記載の冷間鍛造加工用潤滑処理方法において、 前記潤滑剤処理工程は、前記潤滑剤処理溶液を所定温度
    で加熱しながら所定時間が経過するまで、前記リン酸塩
    皮膜を付着した鉄鋼材料を、前記潤滑剤処理溶液中に浸
    漬して行われることを特徴とする冷間鍛造加工用潤滑処
    理方法。
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