JP2002238400A - 疑似藻場の造成基体 - Google Patents

疑似藻場の造成基体

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  • Treatment Of Biological Wastes In General (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 良好な漁場の造成に加えて水質汚染の回復に
寄与し得る疑似藻場の造成基体を提供する。 【解決手段】 疑似藻場の造成基体1として、海底もし
くは養魚場などの池底に沈設される基盤2に、無機微粒
子dを導入した少なくとも表面が炭化せしめられた天然
繊維aの紐状体3を設け、必要に応じて、微生物の親和
性を更に高めるために、無機微粒子dに有機官能基を導
入するためのカップリング剤eを結合させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、海底もしくは養魚
場などの池底の環境改善を図るための疑似藻場の造成基
体に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、我が国では、漁業資源の枯渇が心
配されており、この原因の一つとして日本近海における
藻場の急激な減少が挙げられている。
【0003】即ち、浅場の沿岸海域で生育するアマモ
は、アマモ場といわれる特有の藻場を形成し、幼稚魚は
もとより成魚の格好の生育場となることから、このアマ
モの保存ならびに造成が試みられているのであるが、沿
岸域の埋め立てや富栄養化物質による海域の汚染に起因
して、これまで幼稚魚や成魚の生育に大きな貢献をして
いたアマモ場が急激に縮小あるいは消滅し、近年の沿岸
漁獲量の低下は、このアマモ場の減少が原因であるとさ
れているのである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】この改善のために、ア
マモ場を積極的に人工造成する試みも実施されてはいる
が、海域汚染が深刻であるために、人工的に造成したア
マモの定着率が十分でなく、また、広範囲にアマモ場を
造成するためのアマモ種子の入手も困難である上に、こ
の種子が生長して、アマモ場として機能するまでには長
期間を要するもので、いずれにしても早急な海底環境の
改善には十分とは言えないのであった。
【0005】また、海域汚染の回復についても、鋭意研
究ならびに工夫が実施されてはいるものの、進展は遅
く、生態系の破壊が進行しているのが現状である。
【0006】これらは海域だけでの問題ではなく、例え
ば養魚場などにおいても、水質汚染が原因で藻場がダメ
ージを受けて、幼稚魚の餌場や住処が減少したり、異常
にアオミドロなどが発生したりする問題があった。
【0007】本発明は、天然繊維、特にヤシ繊維が、海
水中や真水中での微生物の誘因及び増殖を促進するとの
知見に基づいて成されたものであって、更に、このヤシ
繊維等の天然繊維の表面を炭化することにより、よりそ
の効果が一層優れるという新規な知見に基づいて成され
たものであって、その目的は、海底もしくは養魚場など
の池底に沈設後、直ちに藻場機能が発揮されると共に、
更に水質汚染の回復にも寄与し得る疑似藻場の造成基体
を提供する点にある。
【0008】即ち、本発明による疑似藻場の造成基体
は、海底もしくは養魚場などの池底に沈設される基盤
に、少なくとも表面が炭化せしめられた天然繊維の紐状
体を設けて成ることに特徴がある(請求項1)。天然繊
維としては、例えばヤシ、ジュウト、綿、麻、ビンロウ
ジュ、羊毛、絹等が選択され、これらは年月を経て生分
解し、自然消滅するので、公害問題を生じることはな
い。
【0009】上記構成の造成基体を、例えば海底に沈設
すると、この基体に備えた少なくとも表面が炭化せしめ
られた天然繊維の紐状体がアマモの如く海中に漂って存
するようになる。従って、上記構成の造成基体を単に海
底に沈設するだけで、海底には、アマモ場に疑似の藻場
が直ちに形成されるのであって、これが幼稚魚の住処・
拠り所となり、延いては、幼稚魚を餌にする魚類の餌場
や産卵場となる。更に、少なくとも表面が炭化せしめら
れた天然繊維は海水或いは水中の微生物の誘引・増殖を
促進し、小動物や幼稚魚の餌となると共に、微生物の繁
殖により、富栄養化物質を消化し、海水や真水の浄化を
する効果がある。
【0010】一方、少なくとも表面が炭化された天然繊
維自体が微生物との親和性が高いことに加えて、炭化さ
れた天然繊維が微生物親和性を更に増強するように、炭
化された天然繊維の表面や孔隙に無機微粒子を導入した
(請求項2)ことで、本発明による疑似の藻場には、海
水中の微生物が多数集積して棲息するようになる。
【0011】この微生物は、小動物や幼稚魚にとって格
好の食餌であることから、これを狙って小動物や幼稚魚
が疑似藻場に集まるようになり、更に、この小動物や幼
稚魚を餌とする成魚が集まって、所謂食物連鎖が惹起さ
れることで、上記の疑似藻場が良好な漁場を造成するこ
とになる。
【0012】加えて、疑似藻場に集積した多数の微生物
は、これが海水中の富栄養化物質を大量に消費して、水
質を浄化するのであって、赤潮の発生を抑制したり、海
域の環境改善に役立ったりする。
【0013】即ち、無機微粒子としては、例えばCa、
Mg、Al、Fe、Si、Ti等を主成分とする天然又
は合成の酸化物、水酸化物、炭酸塩又はそれらの複合酸
化物、複合炭酸塩及びそれらの有機金属化合物の少なく
とも一種が選択される。
【0014】具体的には、酸化物として、例えばCa
O、MgO、FeO、Fe2O3、Fe3O4、Al2O3、
SiO2、TiO2などが選択され、水酸化物としては、
Ca(OH)2、Mg(OH)2、Fe(OH)2、Al
(OH)2などが選択される。
【0015】炭酸塩としては、CaCO3、MgCO3な
どが選択され、複合酸化物としては、MgSiO4、C
a2SiO4、CaTiO3、Al2O3などが選択され、
複合炭酸塩としては、例えばCaMg(CO3)2が選択
され、有機金属化合物としては、トリアルコキシアルミ
ニウム、テトラアルコキシシラン、テトラエトキシシラ
ン、テトラアルコキシチタンなどが選択される。
【0016】これらは何れも、少なくとも表面が炭化さ
れた天然繊維の微生物との親和性を増強し、海水中の微
生物を多数集積するのであって、例えば水酸化物として
Ca(OH)2を導入すれば、表面が炭化せしめられた
天然繊維に集積した多数の微生物が、海水中の富栄養化
物質である窒素やりん、珪素等を大量に消費し、かつ、
Ca(OH)2自体も海水中のりんと反応して、りんを
除去するのであって、この水質浄化によって、赤潮の発
生が抑制され、海域の環境改善も成されるのである。
【0017】上記の藻場による漁場の造成ならびに水質
浄化による環境改善は、養魚場などにおいても同様に達
成されることに変わりはない。
【0018】好ましくは、微生物の親和性を更に高める
ために、無機微粒子に有機官能基を導入するためのカッ
プリング剤を結合させることである(請求項3)。
【0019】カップリング剤としては、例えばN−フェ
ニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシランや、N−
β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシ
ランと言ったシラン系のものや、イソプロピルトリ(n
−アミノエチル−アミノエチル)チタネートと言ったチ
タネート系のもの、その他、アルミニウム系、フォスフ
ェート系のものが選択され、これらのカップリング剤
は、繊維表面に導入した無機微粒子と結合し、繊維表面
に有機官能基を導入するもので、カップリング剤の選択
によって、繊維表面に様々な有機官能基を導入させるこ
とができる。
【0020】有機官能基としては、ビニル基、グリシド
キシ基、アミノ基、カルボキシル基、メルカプト基、ア
ルキル基、エステル基等があり、これらのうち、微生物
の生息に適した官能基を選択することは容易に可能であ
って、どのようなカップリング剤を用いても、繊維表面
に微生物が集まりやすい状態、即ち、微生物親和性の状
態を作ることができるのであって、微生物の集積能力な
らびに水質の浄化能力が飛躍的にアップすることから、
上記した疑似藻場による漁場の造成にとって、無機微粒
子にカップリング剤を結合させることは極めて好適であ
る。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて説明すると、図1は疑似藻場の造成基体1を
海底に沈設した状態を示し、この疑似藻場の造成基体1
は、海底に沈設される基盤2に、表面が炭化された天然
繊維による紐状体3を適宜の間隔を隔てて立設して成
る。
【0022】天然繊維の表面を炭化するには、例えば、
天然繊維を濃硫酸中をくぐらせた後、風乾させたり、繊
維を1〜10Vol%の硫酸に5分程度浸漬した後取り
出し、110℃で1時間乾燥するなどの方法で、繊維表
面が薄く炭化して炭化層Tを形成する。天然繊維は、全
体を炭化することもあり、天然繊維を300〜800℃
の温度で炭化し、この炭化物を細長い袋体に充填し、上
記の表面を炭化した天然繊維と同様に紐状として造成基
体1にとりつけるのである。このように炭化した天然繊
維は、その表面構造がより複雑な形状を呈することで、
微生物親和性が増大し、多様な微生物の棲息環境を提供
することができる。取扱いの容易さから言えば、表面を
薄く炭化した天然繊維がそのまま繊維状の形態を失わな
いために、有効である。以下炭化の形態を総称して炭化
天然繊維aとして説明する。
【0023】更に詳しくは、図2に示すように、表面が
炭化された天然繊維(この実施の形態では、一部の顕微
鏡写真を図面化して示すように、ヤシ繊維を選択してお
り、このヤシ繊維は、その表面に歪で複雑な形状の筋状
の凹溝bを多数有する上に、複雑な形状の大小様々な窪
みcを有するもので、接水面積は極めて大である。Tは
表面炭化層を示す。)aの表面に、例えばシリカ系の無
機微粒子dを導入し、更に、無機微粒子dに有機官能基
を導入するために、無機微粒子dにシラン系のカップリ
ング剤eを共有結合させて、繊維表面の改質調製を行っ
ている。
【0024】そして、この表面が炭化された天然繊維a
の複数本を撚纏等して、太さが3〜20mmで長さが2
0〜150cmの紐状体3と成し、これを立ち姿勢にな
るように、例えばコンクリート製の基盤2に所定の間隔
を隔てて植設している。
【0025】紐状体3の植設間隔は、3〜10cm間隔
など任意であって、その任意の間隔に、上記の紐状体3
を1本ずつや例えば3〜7本などを束にして、これを例
えば耐塩性の接着剤を用いて基盤2に植設したり、図示
するように、紐状体3を繊維糸条5等を用いて針金等の
芯材4に縛って、これを基盤2に植設したりするのであ
る。
【0026】この際、紐状体3を海水中に林立させるこ
とが、藻場の造成にとって有効であることから、この実
施の形態では、紐状体3の腰を強くする撚纏の手段をと
っているが、これに代えて、紐状体3に針金等の芯材を
挿入したり、紐状体3の頂部付近に浮子を取り付けたり
して、海流等によって紐状体3が容易に倒伏しないよう
にしてもよい。
【0027】上記構成の造成基体1を海底に沈設する
と、この基体1に備えた炭化天然繊維aの紐状体3がア
マモの如く海中に林立して漂うことから、海底には、基
体1の沈設後、直ちにアマモ場に疑似の藻場が形成され
るのであって、これは幼稚魚の住処・拠り所となり、延
いては、幼稚魚を餌にする魚類の餌場や産卵場となる。
【0028】一方、複雑な表面形状を呈して微生物との
親和性が高い炭化天然繊維aに、無機微粒子dを導入し
て、炭化天然繊維aの微生物親和性を更に増強したこと
で、この炭化天然繊維aによる上記の疑似藻場には、海
水中の大量の微生物が集積して棲息するようになる。
【0029】即ち、無機微粒子dとして、例えばCaも
しくはCa系化合物例えば、Ca(OH)2の0.16
%溶液に、天然繊維aまたは紐状体3を3時間程度浸漬
させ、これを引き上げて乾燥させた後に前記段落002
2で示したような炭化処理を行う。このようにすると、
繊維表面や繊維の孔隙に、ヤシ繊維重量の3〜4%のC
a(OH)2を導入することができたのであり、このC
a導入の繊維は、繊維自体よりも5倍程度の微生物の集
積が見られる。
【0030】これに加えて、炭化せしめられた繊維表面
の無機微粒子dにカップリング剤eを結合させて、繊維
表面に有機官能基を導入させているので、かつ、有機官
能基として、微生物の生息に適したものを選択(この実
施の形態では、繊維表面にシリカ系の無機微粒子dを導
入し、この無機微粒子dにシラン系のカップリング剤e
を共有結合させている。)することが容易に可能である
ことから、繊維表面には、微生物にとって一層好適な生
息環境が形成されることになる。
【0031】従って、この大量の微生物を格好の食餌に
して小動物や幼稚魚が集まり、これを狙って成魚が集ま
ることで、上記の疑似藻場では、所謂食物連鎖が惹起さ
れるようになり、ここに良好な漁場が人工的に造成され
ることになる。
【0032】更には、アマモ場に疑似の藻場に集積した
多数の微生物は、これが海水中の富栄養化物質を大量に
消費して、水質を浄化するのであって、赤潮の発生を抑
制したり、海域の環境改善に役立ったりする。
【0033】即ち、無機微粒子dとしては、Ca、M
g、Al、Fe、Si、Ti等を主成分とする天然又は
合成の酸化物、水酸化物、炭酸塩又はそれらの複合酸化
物、複合炭酸塩及びそれらの有機金属化合物の少なくと
も一種が選択されるが、例えばCa、Mg、Al、Fe
系のものを選択すれば、流水中のリン酸や窒素が無機微
粒子dに捕捉されることで、リン濃度や窒素濃度を下げ
ることができる。
【0034】中でも、Ca(OH)2は海水中のりんを
反応除去するのであって、これらによる水質浄化によっ
て、赤潮の発生が抑制され、海域の環境改善も成される
のであって、上記のアマモ場に疑似の藻場は、益々良好
な漁場機能を発揮するのである。
【0035】尚、炭化天然繊維aとして、この実施の形
態ではヤシ繊維を選択しているが、その他、ジュウト、
綿、麻、ビンロウジュ、羊毛、絹等を選択でき、これら
の炭化天然繊維aによる紐状体3が比較的短い場合は、
図3に示すように、例えば支柱6の上下方向に所定の間
隔を隔てて、多数の紐状体3を取り付けて、この支柱6
を適宜の間隔で基盤2に立設することで、紐状体3が比
的短くとも、これを用いて背の高い疑似藻場を形成する
ことができる。
【0036】別の実施の形態による疑似藻場の造成基体
1を図4に示している。この実施の形態による疑似藻場
の造成基体1は、コンクリート製の基盤2にアイボルト
7を設けて、このアイボルト7にフロート8を備えた網
状体9を取り付ける一方、表面に無機微粒子dを導入
し、かつ、無機微粒子dにカップリング剤eを結合させ
た炭化天然繊維aによる紐状体3を、網状体9の糸条9
aに備えて成るもので、かゝる構成によれば、紐状体3
が海水中で漂うことに加えて、紐状体3の全体がフロー
ト8の遊動に伴って揺らぐことから、アマモ場に疑似の
藻場を、実質的に上下方向で長大なものに形成できる。
【0037】尚、上記の各実施の形態では、基盤2をコ
ンクリート製にしているが、鋼材を井桁状に組み合わせ
たり、エキスパンドメタルをカゴ状や筒状に加工した金
属製のものにしてもよく、これらは重力物であることか
ら、海底での安定のためには有効であるが、一定の期間
を経過すると自然に消失するものであれば、余計な残留
物を海底に残さないことからより望ましい。
【0038】このための基盤2として、図5に示すよう
に、腐食性の繊維による袋体10に土砂11等を充填し
たものが有効であり、かゝる構成の基盤2によれば、時
を経て袋体10が生分解して自然消滅し、土砂11は海
底の土砂と同化することから、エコロジーの面で好適で
あり、形状は特定されないが、例えば偏平のいわゆる座
布団状に構成すればよく、必要に応じて基盤2に網状体
12を設けて、紐状体3に挿入した針金等の芯材4を基
盤2に差し込み、かつ、抜け止めのために紐状体3を網
状体12に固縛すれば、エコロジーの面で好適な疑似藻
場の造成基体1を得ることができる。また、図5の袋体
にアマモの種子を収容し、発芽・生育させることもでき
る。こうすると、本物のアマモと疑似海草の併用によ
り、本物のアマモが波などによる障害から疑似海草によ
って保護され、良好な生育を図ることができる。
【0039】尚、炭化天然繊維aの表面改質に際して、
その際に用いる無機微粒子dの平均粒子径は、それが有
機金属化合物以外の酸化物、水酸化物等の場合、10n
m〜10μmが適しており、それらの無機微粒子dを水
または有機溶媒に分散させた後、炭化天然繊維aを浸漬
し、常圧または減圧下で所定時間静置し、その後、乾燥
させるものとする。
【0040】有機金属化合物の場合は、乾燥後の炭化天
然繊維aを空気中または水蒸気中に放置し、加水分解を
進行させて表面改質するのであって、加水分解した有機
金属化合物は、繊維表面にSiO2、Al2O3、TiO2
の形で存在する。
【0041】上記の各種無機微粒子dの繊維aへの付着
性を高めるために、アクリル等の樹脂やポリビニルアル
コール等の糊剤などを添加してもよいのであり、また、
浸漬による無機微粒子dの導入に代えて、無機微粒子d
を分散させたスラリーを繊維表面に噴霧させる導入態様
をとってもよいのであり、いずれにしても無機微粒子d
の付着厚みは、その粒子径にもよるが、0.1μm〜1
00μm程度であることが望ましい。
【0042】更には、炭化天然繊維aによる紐状体3と
して、それの繊維表面に無機微粒子dを導入させるだけ
の表面改質であっても、有効微生物の集積能力が極めて
優れたものになることから、カップリング剤eによる有
機官能基の導入を省略してもよいのであり、かつ、表面
改質を一切しない天然繊維の紐状体3を併用してもよい
のである。
【0043】即ち、表面に無機微粒子dのみを導入した
天然繊維aと、カップリング剤eを結合させて有機官能
基を導入した天然繊維aとを、それぞれ単独で用いて紐
状体3としたり、炭化天然繊維aとこれらを複合して紐
状体3としたりし、更には、表面改質を一切しない天然
繊維を併用して紐状体3としてもよいのである。
【0044】また、上記の各実施の形態では、海草の一
種であるアマモに似せるように、紐状体3によって、ア
マモ場に疑似の藻場を形成するようにしているが、炭化
天然繊維aによる紐状体3として、これを例えばフラッ
トヤーンのように幅広にして、疑似藻場の造成基体1を
海底に沈設した状態で、この幅広の紐状体3を海藻の一
種のワカメに似せるようにしてもよい。
【0045】更に、針金等の芯材4や支柱6などを省略
して、紐状体3を直接的に基盤2に植設してもよく、そ
の植設の形態は、例えば耐塩性の接着剤による接着や、
腐食性の糸条による網状体への固縛などを選択できる。
【0046】上記の実施の形態の説明に際して、造成基
体1の沈設対象を海底としたが、例えば養魚場などの池
底を対象にしても、疑似藻場としての機能、即ち、幼稚
魚の餌場や住処、更には、水質浄化の機能を発揮するこ
とに変わりはない。
【0047】
【発明の効果】以上説明したように、本発明による疑似
藻場の造成基体によれば、この基体を海底に沈設するこ
とで、海水中の微生物や幼稚魚、成魚の増殖にとって好
適なアマモ場に疑似の藻場が直ちに形成されるのであ
り、勿論、養魚場などの池底に沈設しても、水中の微生
物や幼稚魚などの増殖にとって好適な疑似藻場が直ちに
形成されるのであって、本発明によれば、良好な漁場の
早期造成に加えて、水質汚染の回復にも寄与し得る疑似
藻場の造成基体が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】疑似藻場の造成基体を海底に沈設した状態の説
明図である。
【図2】顕微鏡写真を図面化し、かつ、一部を取り出し
て拡大断面としたヤシ繊維表面の詳細図である。
【図3】別の実施の形態による疑似藻場の造成基体を示
す説明図である。
【図4】網状体を用いた別の実施の形態による疑似藻場
の造成基体を示す説明図である。
【図5】エコロジー面で好適な基盤を用いた別の実施の
形態疑似藻場の造成基体を示す説明図である。
【符号の説明】
2…基盤、3…紐状体、a…天然繊維、d…無機微粒
子、e…カップリング剤、T・…炭化層。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 川崎 仁士 岡山県津山市高尾573番地の1 日本植生 株式会社内 Fターム(参考) 2B003 AA03 BB09 CC02 DD01 DD02

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 海底もしくは養魚場などの池底に沈設さ
    れる基盤に、少なくとも表面が炭化せしめられた天然繊
    維の紐状体を設けて成ることを特徴とする疑似藻場の造
    成基体。
  2. 【請求項2】 少なくとも表面が炭化せしめられた天然
    繊維の孔隙に、無機微粒子を導入して成ることを特徴と
    する請求項1に記載された疑似藻場の造成基体。
  3. 【請求項3】 無機微粒子に有機官能基を導入するため
    のカップリング剤を結合させて成る請求項2に記載され
    た疑似藻場の造成基体。
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