JP6390349B2 - 貝類の養殖方法 - Google Patents

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Description

この発明は、貝類を養殖する方法に関し、特に、浚渫窪地内等の貧酸素水塊を有する水域で貝類を養殖する、貝類の養殖方法に関する。
例えば、鳥取県西部と島根県東部にまたがって位置する中海(なかうみ)は、弓ヶ浜半島と島根半島に囲まれている汽水湖である。
中海は、昭和38年から開始された国営中海干拓・淡水化事業に前後して、多くの干拓事業が中海で行われ、その結果、浅場だった弓ケ浜半島沿いは陸地になり、その沖側は深く掘られてきた。この淡水化事業は昭和63年に凍結され、平成12年には干拓事業が中止されたものの、中海での水質問題は顕在化したままであり、中海の面積の1割に及ぶ約8kmもの浚渫くぼ地も残されることとなった。
この中海は、境水道から流入する海水が中海全域に広がり、河川水と混合されて再び外海へ流出する。塩分を含む海水は淡水に比べ重いため、流入する海水は希釈されながら湖底部に侵入することとなり、高塩分で密度の高い海水(下層)と、低塩分で密度の低い湖水(表層)に分かれて層をなす成層構造が生じ、水の混じり合いが起きにくくなっている。このため、春から秋にかけての湖底付近では貧酸素化が常態化しやすい。これは、成層構造をなした下層は大気からの酸素供給はされにくい環境のなか、水温の上昇とともに微生物の活動が活発になり、呼吸により溶存酸素が消費されるためであり、特に夏季には湖底のほとんどが貧酸素状態になる。貧酸素状態の湖底(貧酸素水塊)では底生生物の死滅や、底泥からの溶出および生物死骸の分解による栄養塩の蓄積が生じている。この貧酸素水塊は強風が吹くと沿岸部に這い上がり、沿岸部の生物を斃死させる原因となっている。
一方、干拓事業で掘られた浚渫窪地は在来の水底に比べ水底が数m〜数十m深くなっていることから、成層構造はより顕著になるとともに、周辺からのヘドロが集積されるため、窪地内部はヘドロの溜まり場となり、貧酸素水や硫化水素の発生源となっている。
ところで、中海の本来の生態系は一次生産者として海草や海藻が大きな役割を果たしている系であり、サルボウガイ(アカガイ)等の魚介類はもちろんのこと海草や海藻も肥料藻等として回収され陸域へ運ばれることで、有機物や窒素、リン等の栄養塩が陸域と水域を循環する系が成立していた。しかし、干拓事業や流域での社会環境の変化により、中海から海草や海藻が姿を消し、植物プランクトンが卓越した生態系に変化している。現在は、下水道整備や工場・事業場排水、畜産排水の規制等の結果、湖の透明度が改善傾向にあり、海藻類が増えはじめているが、かつてのような資源循環系が失われているため、増殖した海藻の湖岸へ打ち上げられるなど、沿岸域の有機物負荷は増すこととなり、本来酸素が豊富で生き物が多い場所の劣化を招くこととなっている。
なお、中海干拓事業が中止後は、国や県により水環境保全の施策として浅場造成や親水護岸整備等が実施されてきている。その中で、かつて大量に漁獲されていたサルボウガイの漁場復活に向けた取り組みもなされてきている。しかし、このサルボウガイの養殖についは、単に種苗(稚貝)を当該水域の水底に散布等をして養殖しただけでは、底泥ヘドロの影響で良好な生息場となりえないことから放流した貝が全滅することもある。このため、環境に見合った養殖方法の検討がなされ、底質環境が悪化した場でも、上層の水質までは悪化していない水域(例えば浚渫くぼ地から離れた水域など)を対象に、水面に設置した筏等の施設体に、稚貝を入れたカゴ等の容器を針金等で繋げて水中に吊るし、貝類を養殖する方法(垂下式養殖)が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この垂下式養殖法によれば、浅い水深に貝類を入れた容器を配置することで、有害物質の影響を受けずに貝類を養殖することができることが確認されている。
特開2000−83508号公報
垂下式養殖においては、フジツボ等の外敵生物の浮遊幼生がサルボウガイに付着すると言った事象が発生することがあった。これにより壊死するサルボウガイもあり、また、生き残ったサルボウガイを出荷・販売するにしても、付着したフジツボ等を取り除く必要がある。この除去作業には時間と労力を要するため、養殖の生産性を低下させてしまうと言う問題をはらんでいた。
ところで、サルボウガイは貧酸素状態に強いという特性を有することが知られている。そこで、この特性を生かして、フジツボ等の付着生物が生息しづらい貧酸素の水深にカゴを吊り下げることで、サルボウガイへの付着生物の影響を軽減させる養殖方法が考えられている。
しかしながら、このような貧酸素水塊では、有機ヘドロが堆積した水底から,硫化水素が発生するなど、生物の生息には不向きな環境になっているため、このままでの状態では、稚貝の放流と同様な理由で、やはり養殖には適さない。
そこで本発明は、浚渫窪地内等の貧酸素水塊を有する水域において、貝類の養殖を良好に行うことを可能にする、貝類の養殖方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために、請求項1の発明は、貧酸素水塊を有する水域における貝類の養殖方法であって、前記水域の上水域中に貝類を配置し、前記貝類を、予め水底に吸着物質を覆砂して水を浄化した前記貧酸素水塊中に配置して、前記貝類に付着した外敵生物を除去し、前記貝類を、前記上水域に配置して所定の段階にまで生育する、ことを特徴とする。
この発明によれば、先ずは貝類の生育に必要な養分が豊富な上水域で、稚貝からある程度の段階まで成長させる。その後、吸着物質により水質が浄化された貧酸素水塊に貝類を配置し、上水域において付着した外敵生物を除去する。その後、再び上水域で養殖して、貝類に養分を与えて収穫段階まで成長させる。
請求項の発明は、請求項1に記載の貝類の養殖方法において、水上から前記貝類を水中に吊り下げて、前記貝類を前記貧酸素水塊中に配置する、ことを特徴とする。
請求項の発明は、請求項1または2のいずれか1項に記載の貝類の養殖方法において、前記貝類は、サルボウガイである、ことを特徴とする。
請求項の発明は、請求項1ないしのいずれか1項に記載の貝類の養殖方法において、前記吸着物質は、石炭灰、活性炭、ゼオライト、シリカゲルまたは木炭のうち、1又は2以上の種類のものである、ことを特徴とする。
請求項記載の発明によれば、貧酸素水塊より貝類に必要な養分を豊富に有する上水域中での育成と、貧酸素水塊での外敵生物除去を組み合わせた養殖サイクルにより、外敵生物の弊害を除去した上で、より豊かに育った貝類を収穫することが可能となる。
また、浚渫窪地はその周辺に比べて水深が深いが、請求項に記載の発明によれば、水上から貝類を吊り下げて配置するため、多数の貝類を配置することが可能となる。この結果、単位面積当たりの収穫量が増え、生産効率を高めることが可能となる。
請求項に記載の発明によれば、サルボウガイは、他の貝に比べて貧酸素状態に強いため、貧酸素水塊において良好に養殖することができる。しかも貧酸素状態に強い貝類を複数種類同時に貧酸素水塊に配置することで、複数種類の貝類を効率よく養殖することが可能となる。
請求項に記載の発明によれば、吸着物質に、多孔質構造で表面積が大きいため吸着作用を有する、石炭灰、活性炭、ゼオライト、シリカゲルまたは木炭を使用することで、水中に溶出した硫化水素を有効に吸着することが可能となる。
この発明の実施の形態1に係る、貝類の養殖方法の模式図である。 浚渫窪地を有する水域の地形と水の層の模式図である。 水底にビーズ状の吸着物質を覆砂した貧酸素水塊の模式図である。 図3におけるビーズ状の吸着物質の作用を示す拡大図である。 この発明の実施の形態2に係る、養殖サイクルの概略フロー図である。 この発明の実施の形態2に係る、養殖サイクルの概略図である。
以下、図面を用いて本発明の実施の形態を説明する。
(実施の形態1)
図1は、この発明の実施の形態1に係る、貝類の養殖方法の模式図である。この養殖方法は、貧酸素水塊を有する水域における貝類の養殖方法であり、この実施の形態1では、水域は中海の浚渫窪地の場合について説明する。
ここで、図2は、中海における浚渫窪地1を有する水域の地形と水の層の構成を表す模式図であり、水底から上方5〜10mの範囲の下水域W2は、酸素濃度が低い貧酸素状態にある貧酸素水塊であり、その上、2〜10mの範囲の上水域W1は、生物が生息可能な水域である。なお、上水域W1と下水域W2の間には、実際は塩分濃度が著しく変化する塩分躍層が存在し(図示略)、上水域W1と下水域W2を隔てている。
また、図2において、上水域W1と下水域(貧酸素水塊)W2の境は、浚渫窪地1の内側と外側の境Lと一致しておらず、貧酸素水塊W2は一部浚渫窪地外にも存在する。この場合、貧酸素状態は浚渫窪地内部の水深が深くなるほど強くなり、酸素が無い状態(無酸素状態)となることもある。
浚渫窪地1の水底からは、上水域W1から沈降した有機物がヘドロ2となって数cm〜1m程度積層し、このヘドロ2からリン・窒素等の栄養塩とともに、硫化水素のような有毒物質も溶出されており、これが水中に拡散して、周辺水域を生物が生息・成長できない、あるいは生息・成長しにくい環境となっている。
この実施の形態1の養殖方法は、このような貧酸素水塊W2の水底に、多孔質で吸着作用を有する石炭灰固化物3(吸着物質)を覆砂して、底質から溶出した硫化水素等の物質を石炭灰固化物3に吸着させて、貧酸素水塊W2の水を浄化し、貧酸素水塊W2中に貝類を配置して養殖するものである。ここで、貝類は、サルボウガイのように貧酸素状態に強いものである。
また、石炭灰固化物3を覆砂することにより浄化される貧酸素水塊W2の水とは、底質から発生する硫化水素等の物質を吸着し、水中への拡散を抑制した範囲の水のことを意味する。
具体的に、先ず、石炭灰固化部3は、石炭火力発電所から発生する石炭灰にセメントを配合して造粒したものであり、図3に示すように、ビーズ状の形状をしており、平均粒径は10mm〜20mmである。
また、石炭灰固化物3の覆砂態様は、水底のヘドロ2の層厚や量、発生する硫化水素の量にもよるが、貧酸素水塊W2の水を浄化するために必要な層厚と密度で水底に一様に覆砂する。このとき、覆砂した石炭灰固化物3の間隔が大きかったり、層厚が薄かったりすると、ヘドロ2から発生した硫化水素等が水中に漏えいしてしまい、石炭灰固化物3を覆砂した効果が減退するため、好ましくない。一方、隙間が全くなかったり、層厚が厚すぎたりすると、水の通りが悪くなったり、海底生物の生息場所が狭くなるなど、やはり好ましくないので、適正な密度と厚さに敷き詰める。
図4は、図3におけるビーズ状の石炭灰固化物3の作用を示す拡大図である。先ず、ビーズ状の石炭灰固化物3はヘドロ2より発生した硫化水素等を吸着して、その拡散を抑制する。次に、石炭灰固化物3は表層より沈降した沈降有機物7を、石炭灰固化物3同士の隙間で捕捉し、水底への堆積を抑止する。
ここで、石炭灰固化物3の内部には、微細な空隙があることで比表面積が大きく,水との接触量が多いため小量でも改善効果が高い。一方、石炭灰固化物3の内部は高pH状態が保持されており、石炭灰固化物3の間の隙間の酸性化が防止されている。これら2つの作用により、沈降有機物7の分解が促進され、ヘドロ2の堆積による、貧酸素状態が進行して無酸素状態になることを予防している。
このようにして、貧酸素水塊W2の水が浄化されるため、貝類の良好な生息・成長が可能となる。
次に、貧酸素水塊W2中に貝類を配置して養殖する。ここで、石炭灰3の覆砂によって貧酸素水塊W2の水が浄化されているので、垂下式養殖法の他、稚貝を放流する方法や、容器を水底に載置する方法、その他貧酸素水塊に貝類または貝類を入れた容器を配置する方法であれば、いずれの方法でも養殖は可能であるが、浚渫窪地1の地形的特性を考えた場合、多数の容器を連結して吊り下げ、生産量を増すことができる垂下式養殖法が特に有利である。このため、この実施の形態1では、水上から貝類を水中に吊り下げて貝類を貧酸素水塊W2中に配置する、垂下式養殖法を用いている。
具体的には、図1に示すように、稚貝(貝類)の入った容器4を、針金等のひも状のもので連結した垂下連5を水中に沈める。このとき、垂下連5を吊り下げる施設体により、幾つかの種類が存在するが、この実施の形態1では、水上に浮かべた筏6から垂下連5を水中に吊り下げる筏式を採用している。
容器4は、貝類への水通しを確保するために、カゴ、網、ザルなど、網目状のものを使用するが、その目の開口の大きさは、貝がこぼれ落ちない程度のものを使用している。また、1つの垂下連5における垂直方向の容器4の配設数は、浚渫窪地1の地形的特性を活かして生産効率を上げるために、すべての容器4が浚渫窪地1内の水域(下水域W2)である貧酸素水塊W2内に位置する範囲で、できるだけ多く設定されている。この際、良好な養殖が行えるように、容器4間の間隔が確保されている。
このように、この実施の形態1では、浚渫窪地1内の水域が全て貧酸素水塊W2である場合について説明しているが、浚渫窪地1内の一部の水域(下方)のみが貧酸素水塊W2である場合には、この貧酸素水塊W2内にすべての容器4(貝類)が位置するように、容器4を吊り下げる。さらに、上水域W1と下水域(貧酸素水塊)W2の境は、必ずしも浚渫窪地1の内側と外側の境Lとは一致せず、季節や気温、その他の環境変化により上下に変動するので、容器4を配置する際はこれに注意して、貧酸素水塊W2内にすべての容器4を配置する。
ここで、図1では、容器4を3個のみ図示したが、勿論、これと異なる数を吊り下げてもよい。さらに、図1では、垂下連5を一本しか図示しなかったが、1つの筏6に吊ることができる範囲内で、縦横に並列して多数を吊設する。また、筏6を複数配設してもよいことは勿論である。さらに、1種類の貝類のみを吊り下げてもよいが、複数種類の貝類を同時に吊り下げてもよく、この際、貝類の種類数や貧酸素水塊W2の規模などに応じて、同一容器4内、同一垂下連5内、あるいは同一筏6内において、同一種類の貝類を養殖する。
次に、このような養殖方法による具体的な貝類の養殖工程について、養殖対象の貝類がサルボウガイの場合を例に取って説明をする。
1)貧酸素水塊W2の水底一帯に、石炭灰固化物3を覆砂して、貧酸素水塊W2の水を浄化する。
2)採苗用の網を水中に吊り下げ、水中に浮遊するサルボウガイの稚貝をこれに付着させ、回収する。
3)稚貝を容器4に入れ、容器4を複数個連結した垂下連5を、水面に浮かべた筏6に吊り下げ、容器4を貧酸素水塊W2に配置する。
4)1年〜1年半後、サルボウガイが約3cmに成長したところで、垂下連5を引き上げ、サルボウガイを収穫する。
5)収穫したサルボウガイを、選別・掃除をして、出荷をする。
以上のように、実施の形態1に係る養殖方法によれば、吸着物質により硫化水素等の物質の水中への拡散が抑制されるので、貧酸素水塊W2の水が浄化されるため、貝類が良好に生息・成長することが可能となる。しかも貧酸素水塊W2に貝類が配置されるため、フジツボ等の外敵生物の付着が抑制、防止され、養殖した貝類の商品価値が上がるとともに、外敵生物を取り除く作業を削減することができる。これらの結果、浚渫窪地1内の貧酸素水塊W2を有する水域において、貝類の養殖を良好に、高い生産効率で行うことが可能となる。換言すると、貝類の養殖場として、広大な浚渫窪地1を有効活用することが可能となる。
さらに、吸着物質が、表層より沈降した有機物の分解を促進するため、ヘドロ2の堆積による貧酸素状態の進行を予防・改善する(貧酸素水塊W2の水が浄化される場合でも、貧酸素状態そのものは、躍層の効果で維持されるので、外敵生物の弊害は再発しない)ことが可能となる。
また、貧酸素水塊W2の水が浄化されることで、同時に汚染水の湧昇が抑制・防止されるので、周辺水域の水質維持も可能となり、吸着物質の表面に藻類が着生することで、貝類以外の生物の育成環境が生成されるため、周辺浅瀬を含んだ海洋環境の改善も可能となる。
また、浚渫窪地1はその周辺に比べて水深が深いが、水上から貝類を吊り下げて配置するため、多数の貝類を貧酸素水塊W2に配置することが可能となる。この結果、単位面積当たりの収穫量が増え、生産効率を高めることが可能となる。
また、サルボウガイは、他の貝に比べて貧酸素状態に強いため、貧酸素水塊W2において良好に養殖することができる。しかもその他の貧酸素に強い貝類を複数種類同時に貧酸素水塊W2に配置することで、複数種類の貝類を効率よく養殖することが可能となる。
(実施の形態2)
図5は、この発明の実施の形態2に係る、養殖サイクルの概略フロー図である。養殖フローは、次のステップS1〜S4で構成される。
なお、この実施の形態2では、貝類の生育の段階に応じて、配置する水域を上水域W1と貧酸素水塊W2の間で移動させる養殖サイクルをとる以外のその他の要素は、実施の形態1と同様である。
まず、実施の形態1と同様に、水底に石炭灰固化物3を覆砂して貧酸素水塊W2の水を浄化する(ステップS1)。次にステップS2で、サルボウガイの入った容器4を、サルボウガイの生育に適した養分を豊富に含む上水域W1に配置する。ステップS2でサルボウガイがある程度育った後に、ステップS3で貧酸素水塊W2に容器4を移動して、ステップS2でサルボウガイに付着したフジツボなどの外敵生物を除去する。ステップS3で外敵生物が除去できたら、ステップS4で再び容器4を上水域W1に配置し、収穫可能な大きさにまで成長させる。
次に、図6に基づいて、実施の形態2に係る養殖方法による具体的な貝類の養殖工程について説明をする。
1)貧酸素水塊W2の水底一帯に、石炭灰固化物3を覆砂して、貧酸素水塊W2の水を浄化する。
2)採苗用の網を水中に吊り下げ、水中に浮遊するサルボウガイの稚貝をこれに付着させ、回収する。
3)稚貝を容器4に入れ、容器4を複数個連結した垂下連5を、水面に浮かべた筏6に吊り下げ、図6(a)の様に、容器4を上水域W1に配置する。
4)サルボウガイがある程度に成長したところで、垂下連5を引き下げ、容器4を貧酸素水塊W2に配置し、付着したフジツボ等の外敵生物を除去する(図6(b))。
5)再び垂下連5を引き上げ、容器4を上水域W1に配置する(図6(c))。
6)サルボウガイが約3cmに成長したところで、垂下連5を水中から引き上げ、サルボウガイを収穫する。
7)収穫したサルボウガイを、選別・掃除をして、出荷をする。
以上の様に、実施の形態2に係る貝類の養殖方法によれば、貧酸素水塊W2より貝類に必要な養分を豊富に有する上水域W1中での育成と、貧酸素水塊W2での外敵生物除去を組み合わせた養殖サイクルにより、外敵生物の弊害を除去した上で、より豊かに育った貝類を収穫することが可能となる。
以上、この発明の実施の形態について説明したが、具体的な構成は、上記の実施の形態1、2に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、この発明に含まれる。例えば、上記の実施の形態では、貝類を水中に吊り下げる方法として筏式を用いているが、水底に複数の杭を打ち、杭の間に木で棚を作り、その棚に垂下連5を吊り下げる簡易垂下式や、ブイを付けた延縄を水面に張り渡し、延縄に垂下連5を吊り下げる延縄式などを用いてもよい。
また、貝類を容器4に収容して水中に吊り下げているが、ひもやロープなどで貝類を直接吊り下げてもよい。一方、浚渫窪地1内の貧酸素水塊W2で養殖する場合について説明したが、他の閉鎖的水域で貧酸素水塊を有する水域においても、適用することが可能である。
さらには、吸着物質は、平均粒径10mm〜20mmのビーズ状の石炭灰固化物3の場合について説明したが、これに限らず、これと異なるサイズや形状(例えば大きさ数cmの小石状、岩状等の固化体)を使用することが可能である。吸着物質は、石炭灰に限られず、多孔質で吸着作用のあるもの、例えば、活性炭やゼオライト、シリカゲル、木炭など他の材質を使用することもできる。
また、実施の形態2において、ステップS1による貧酸素水塊W2の水の浄化は、必ずしも常に最初に行う必要はなく、貝類を貧酸素水塊W2に配置するステップS3より前に行えばよい。また、一度貧酸素水塊W2の水を浄化した後は、数年間はその効果は維持されるので、効果が維持されている間に養殖を繰り返す場合には、このステップは省略してもよい。
さらに、ステップS2とステップS3だけで十分に貝類を成長させて、ステップS4を省略することもできるし、逆にステップS4後でも生育が足りなかったり、ステップS3で外敵生物が十分に除去されなかったりした場合には、ステップS3からステップS4をサイクルとして繰り返すことで、より貝類の育成に好適な養殖サイクルを構築することができる。
1 浚渫窪地
2 浚渫窪地の水底のヘドロ
3 石炭灰固化物(吸着物質)
4 容器
5 垂下連
6 筏
7 沈降有機物
L 浚渫窪地の内と外の境
W1 生物が生息可能な水域の水
W2 貧酸素水塊の水

Claims (4)

  1. 貧酸素水塊を有する水域における貝類の養殖方法であって、
    前記水域の上水域中に貝類を配置し、
    前記貝類を、予め水底に吸着物質を覆砂して水を浄化した前記貧酸素水塊中に配置して、前記貝類に付着した外敵生物を除去し、
    前記貝類を、前記上水域に配置して所定の段階にまで生育する、
    ことを特徴とする貝類の養殖方法。
  2. 水上から前記貝類を水中に吊り下げて、前記貝類を前記貧酸素水塊中に配置する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の貝類の養殖方法。
  3. 前記貝類は、サルボウガイである、
    ことを特徴とする請求項1または2のいずれか1項に記載の貝類の養殖方法。
  4. 前記吸着物質は、石炭灰、活性炭、ゼオライト、シリカゲルまたは木炭のうち、1又は2以上の種類のものである、
    ことを特徴とする請求項1ないしのいずれか1項に記載の貝類の養殖方法。
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