JP2002234316A - タイヤとホイールの組み付け方法 - Google Patents

タイヤとホイールの組み付け方法

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JP2002234316A
JP2002234316A JP2001031487A JP2001031487A JP2002234316A JP 2002234316 A JP2002234316 A JP 2002234316A JP 2001031487 A JP2001031487 A JP 2001031487A JP 2001031487 A JP2001031487 A JP 2001031487A JP 2002234316 A JP2002234316 A JP 2002234316A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 実際に振動が発生しやすい速度におけるリム
組み付けタイヤのRFV1次成分を小さくして、ボディ
振動を低減することができるタイヤとホイールの組み付
け方法を提供する。 【解決手段】 タイヤ10の高速RFV1次成分のピー
ク位置14とホイール20のRRO1次成分のボトム位
置24とを位相合わせして、タイヤ10をホイール20
のリム22に組み付ける。タイヤの高速RFV1次成分
のピーク位置は、高速RFV1次成分と低速RFV1次
成分と静アンバランスとの関係を求めておき、高速RF
V1次成分が未知のタイヤについて低速RFV1次成分
と静アンバランスとを測定し、その測定結果と上記関係
とからそのタイヤの高速RFV1次成分のピーク位置を
求めることが好適である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、タイヤとホイール
の組み付け方法に関するものである。より詳細には、リ
ム組み付けタイヤにおける実用域の速度でのRFV(ラ
ジアルフォースバリエイション)のフーリエ解析による
1次周期成分(高速RFV1次成分)を小さくすること
ができ、もってボディ振動を低減することができる、タ
イヤとホイールの組み付け方法に関するものである。ま
た、かかる組み付け方法に好適なタイヤに関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】一般に、空気入りタイヤにおいては、1
回転する間にタイヤ軸にユニフォミティと言われる力変
動が発生する。かかるタイヤは、高速走行時においては
約10〜30回/秒で回転するため、高速走行時におけ
るユニフォミティの1次成分の周波数は10〜30Hz
である。一方、車両のサスペンションのばね下共振周波
数は通常10〜18Hzである。そのため、高速走行時
にユニフォミティの1次成分の周波数と車両のバネ下共
振周波数とが合致してボディ振動を発生させることがあ
る。上記ユニフォミティのうち、このボディ振動の主要
因となるのがタイヤ半径方向の力の変動であるRFV1
次成分である。
【0003】一方、タイヤが組み付けられるホイールの
リムについては、1回転する間にビードシート部におい
てRRO(ラジアルランアウト)と言われる径変動が存
在する。そのため、タイヤをリムに組み付けると、かか
るホイールのRROに起因する力変動が上記したタイヤ
のRFVに加えられる。
【0004】このような点に鑑み、従来は、組み付け時
におけるRFVを小さくすることを目的として、タイヤ
単体におけるRFV1次成分のピーク位置とホイールの
RRO1次成分のボトム位置とを合わせて組み付けてい
る。ここで、タイヤのRFV1次成分のピーク位置とし
ては、JASO C607で定められた低速(タイヤ回
転数=1回/秒)での計測値が用いられている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、タイヤ
のRFV1次成分は、速度とともにその大きさだけでな
くピーク位置も変化してしまうため、上記従来の組み付
け方法では、必ずしも実走行速度におけるRFV1次成
分を小さくすることはできない。
【0006】また、実際にボディ振動が発生するのは、
車両のサスペンションなどの共振周波数とタイヤの回転
周波数が近づく高速走行時である。そのため、実走行速
度におけるリム組み付けタイヤのRFV1次成分を小さ
くすることが振動低減には効果的である。
【0007】本発明は、以上の点に鑑みてなされたもの
であり、実際に振動が発生しやすい速度におけるリム組
み付けタイヤのRFV1次成分を小さくして、ボディ振
動を低減することができるタイヤとホイールの組み付け
方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決する本発
明のタイヤとホイールの組み付け方法は、タイヤの高速
RFV1次成分のピーク位置(最大値となる位置)とホ
イールのRRO1次成分のボトム位置(最小値となる位
置)とを位相合わせして、該タイヤを該ホイールのリム
に組み付けるというものである。
【0009】ここで、タイヤの高速RFV1次成分につ
いてピーク位置とボトム位置とは逆位相、即ち位相差1
80degの関係にあり、また、ホイールのRRO1次
成分についてもボトム位置とピーク位置とは逆位相の関
係にある。そのため、本発明では、タイヤの高速RFV
1次成分のボトム位置とホイールのRRO1次成分のピ
ーク位置とを位相合わせしても、タイヤの高速RFV1
次成分とホイールのRRO1次成分とを逆位相にて位相
合わせする限り、タイヤの高速RFV1次成分のピーク
位置とホイールのRRO1次成分のボトム位置とを位相
合わせすることになるため、上記した本発明の定義に含
まれる。
【0010】また、上記位相合わせは、タイヤのピーク
位置とホイールのボトム位置とを完全に一致させること
が好ましいが、本発明では両者の位相差を90deg以
内として組み付けることも含まれる。90deg以内に
組み付けることにより、組み付け時のRFVがタイヤ単
体のRFVよりも増加することを少なくとも防止するこ
とができる。好ましくは、両者の位相差を20deg以
内として組み付けることである。
【0011】本発明において、高速RFVとは、車両の
実走行速度に相当する回転数で測定したときのRFVで
あり、その回転数は通常8回/秒以上、より詳細には1
0〜30回/秒の範囲内で適宜に決定される。好ましく
は、実際に振動が発生する速度、すなわち、車両のバネ
下共振周波数とタイヤの回転1次の周波数とが一致する
速度におけるRFVを用いることである。バネ下共振周
波数は車種によって異なるため、タイヤを装着する車種
毎に高速RFVの回転数を設定することが好適である。
【0012】かかる高速RFVは公知の高速ユニフォミ
ティマシンを用いて計測することができるが、現状の高
速ユニフォミティマシンでは工場で全数計測を行うこと
が容易ではない。そのため、本発明者が先に提案した特
願平11−327417号に記載の高速ユニフォミティ
推定方法を用いて、組み付けるタイヤ全数の高速RFV
1次成分のピーク位置を求めることが好適である。
【0013】すなわち、本発明の組み付け方法において
は、タイヤの高速RFV1次成分と低速RFV1次成分
と静アンバランスとの関係を求めておき、高速RFV1
次成分が未知のタイヤについて、低速RFV1次成分と
静アンバランスとを測定し、その測定結果と上記関係と
から、そのタイヤの高速RFV1次成分を求め、この求
めた高速RFV1次成分のピーク位置と前記ホイールの
RRO1次成分のボトム位置とを位相合わせすることが
好適である。
【0014】また、タイヤの高速RFV1次成分と低速
RFV1次成分とRRO1次成分の速度変化との関係を
求めておき、高速RFV1次成分が未知のタイヤについ
て、低速RFV1次成分とRRO1次成分の速度変化と
を測定し、その測定結果と上記関係とから、そのタイヤ
の高速RFV1次成分を求め、この求めた高速RFV1
次成分のピーク位置と前記ホイールのRRO1次成分の
ボトム位置とを位相合わせすることが好適である。
【0015】ここで、低速RFVとは、静アンバランス
に基づく遠心力によってタイヤに新たな径変動を発生さ
せない程度の回転数で測定したときのRFVをいい、通
常は、タイヤ回転数=1回/秒で測定される。
【0016】また、RRO1次成分の速度変化とは、速
度変化に基づくRRO1次成分の増分、即ち、低速(低
速RFVを測定する際の回転数)から高速(高速RFV
を測定する際の回転数)に速度を上げることにより新た
に発生するRRO1次成分であり、高速RRO1次成分
に対する低速RRO1次成分のベクトル差として求めら
れる。
【0017】本発明の組み付け方法においては、また、
タイヤの高速RFV1次成分のピーク位置に、当該ピー
ク位置であることを表示する高速RFVマークを付すと
ともに、ホイールのRRO1次成分のボトム位置に、当
該ボトム位置であることを表示するRROマークを付し
ておき、該高速RFVマークと該RROマークとを位置
合わせして組み付けてもよく、これにより組み付け作業
性を向上することができる。従って、本発明は、また、
高速RFV1次成分のピーク位置に当該ピーク位置であ
ることを表示するマークが付された組み付け作業性に優
れるタイヤも提供するものである。
【0018】
【発明の実施の形態】1.高速RFVと低速RFVとの
関係 一般に、タイヤのRFVは下記式(I)で表される。 RFV=Kv・Dc+Kc・Dv ……(I) ここで、Kvは、タイヤの径方向ばね定数の周方向変動
であり、Dcは、タイヤのたわみ量であり、Kcは、該
当回転数でのタイヤの径方向ばね定数であり、Dvは、
タイヤの径変動、即ちRROである。
【0019】上記式(I)において、Dcはタイヤの回
転数によらず一定であり、また、Kvも単なるフックの
弾性体のようなばねが周上にあるとみなせばタイヤ回転
数によって変化しないと考えられる。よって、上記式
(I)における第1項のKv・Dcは、タイヤ回転数に
よって変化しないと考えられる。
【0020】一方、第2項のKc・Dvにおいて、Dv
は高速になると質量アンバランスの影響によって変化す
る。これは、タイヤのある部分に質量アンバランスがあ
ると、高速回転時に、その部分が遠心力により膨らみ、
このように膨らむことでタイヤに新たな径変動が生じる
ためである。そのため、この第2項Kc・Dvは速度に
より変化し、これにより高速RFV1次成分と低速RF
V1次成分とに差が発生する。つまり、低速回転時には
影響を及ぼさない質量アンバランス(静アンバランス)
が、高速回転時には遠心力によってタイヤに新たな径変
動を生じさせ、この新たな径変動により、高速回転時に
は、低速回転時とは別の新たなRFV1次成分が発生す
る。
【0021】従って、タイヤのRFV1次成分は、速度
が上がると、その大きさが変化する。また、タイヤのR
FV1次成分のピーク位置と静アンバランスのピーク位
置とは無関係にあるため、通常RFV1次成分のピーク
位置も速度の上昇とともに移動する。
【0022】図2は、速度の上昇によるタイヤRFV1
次成分の変化を示すグラフである。このグラフは、タイ
ヤサイズ=205/65R15 94H、リムサイズ=
15×61/2−JJのタイヤについて、空気圧=200
kPa、荷重=4900Nとして、速度を変えながらR
FV1次成分を測定し、各速度におけるピーク位置(タ
イヤ周方向における所定の基準位置(位相=0deg)
に対する角度)と大きさを示したグラフである。
【0023】図2に示すように、回転数=1回/秒(8
km/h)で測定した低速RFV1次成分では、大きさ
=41N、ピーク位置=64degであった。タイヤの
回転数を上げると、RFV1次成分は大きさだけでなく
ピーク位置も変化し、回転数=20.0回/秒(140
km/h)で測定した高速RFV1次成分では、大きさ
=73N、ピーク位置=18degであった。
【0024】このように、高速RFV1次成分のピーク
位置と低速RFV1次成分のピーク位置とは一致しな
い。また、上記したように、実際にボディ振動が発生す
るのは、車両のサスペンションなどの共振周波数とタイ
ヤの回転周波数が近づく高速走行時である。そこで、実
際に振動が発生する速度であるタイヤの高速RFV1次
成分のピーク位置と、ホイールのRRO1次成分のボト
ム位置とを合わせて組み付けることにより、実走行速度
におけるリム組み付けタイヤのRFV1次成分を小さく
することができ、ボディ振動を効果的に低減することが
できる。
【0025】2.タイヤの高速RFV1次成分のピーク
位置 タイヤの高速RFV1次成分のピーク位置は、公知の高
速ユニフォミティマシンを用いて計測することができ
る。
【0026】また、該ピーク位置は、以下の2つの推定
方法により求めることもできる。
【0027】(推定方法1)推定方法1は、(1) タイヤ
の高速RFV1次成分と低速RFV1次成分と静アンバ
ランスとの関係(推定式)を求めておき、(2) 高速RF
V1次成分が未知のタイヤについて、低速RFV1次成
分と静アンバランスとを測定し、(3) その測定結果と上
記関係とから、そのタイヤの高速RFV1次成分のピー
ク位置を求めるものである。
【0028】まず、(1)において、タイヤの品種毎に推
定式を求めておく。詳細には、ある品種のタイヤについ
て、公知の高速ユニフォミティマシン、低速ユニフォミ
ティマシン及びバランサーを用いて、高速RFV1次成
分と低速RFV1次成分と静アンバランスを所定本数
(例えば20〜30本)測定する。そして、その測定結
果を以下の推定式に当てはめて係数を求める。なお、低
速RFVを測定する際のタイヤ回転数は、(2)で低速R
FVを測定する際と同一速度とし、高速RFVを測定す
る際の回転数は、(3)で推定しようとする高速RFVの
回転数と同一速度とする。
【0029】高速RFV1次成分は、上記したように、
低速RFV1次成分に、静アンバランスに起因する新た
なRFV1次成分を合成したものと考えることができ
る。この関係を図示したのが図3であり、図3に示すよ
うに、高速RFV1次成分Hは、低速RFV1次成分L
と、静アンバランスSとを用いて、これらのベクトル和
として求められ、下記式(II)で表される。
【0030】H=L+a・S ……(II) ここで、aはタイヤの種類に応じて定められる係数であ
る。
【0031】この式(II)におけるH、L及びSはいず
れも大きさだけでなく位相成分も含む複素数である。従
って、式(II)は、下記式(III)に書き換えられる。
【0032】 H=H+H・j =L+a・S+(L+a・S)・j ……(III) ここで、Hは高速RFV1次成分Hの実数部、H
高速RFV1次成分Hの虚数部、Lは低速RFV1次
成分Lの実数部、Lは低速RFV1次成分Lの虚数
部、Sは静アンバランスSの実数部、Sは静アンバ
ランスSの虚数部である。また、j=−1である。
【0033】図4は、式(III)の関係を示した図であ
る。図4に示すように、タイヤ赤道面上にx−yの直交
座標を定義したとき、静アンバランスSは、大きさSm
とタイヤ周方向における位置、即ち位相θとを有する
ベクトルであるため、x成分とy成分に分解して
(S,S)で表される。同様に、低速RFV1次成
分Lも、大きさLmと位相θとを有するベクトルであ
るため、x成分とy成分に分解して(L,L)で表
され、高速RFV1次成分Hも、大きさHmと位相θ
とを有するベクトルであるため、x成分とy成分に分解
して(H,H)で表される。このx成分が実数部、
y成分が虚数部である。
【0034】上記式(III)について、誤差成分を考慮
して書き換えると下記式(IV)のようになる。H、L及
びSはいずれも複素数であるため、そのままでは通常の
重回帰分析は行えないが、実数部と虚数部は互いに独立
なので、式(IV-i)及び(IV-ii)により別々に重回帰
分析し、これらを合成することで式(IV)を得る。
【0035】 H=b+b・L+b・S +(b+b・L+b・S)・j ……(IV) (実数部) H=b+b・L+b・S ……(IV-i) (虚数部) H=b+b・L+b・S ……(IV-ii) ここで、b、b、b、b、b及びbは、タ
イヤの種類に応じて定められる係数であり、タイヤの種
類毎に重回帰分析して当てはめることができる。
【0036】このようにして推定式を求めておき、次い
で、上記(2)において、高速RFV1次成分が未知であ
る上記と同品種のタイヤについて、低速RFV1次成分
と静アンバランスを測定する。低速RFV1次成分につ
いては公知の低速ユニフォミティマシンにより、静アン
バランスについては公知のバランサーにより測定するこ
とができる。
【0037】そして、(3)において、(2)の測定結果を
(1)で求めた推定式に当てはめることにより、そのタイ
ヤの高速RFV1次成分のピーク位置を算出することが
できる。
【0038】(推定方法2)推定方法2は、(1) タイヤ
の高速RFV1次成分と低速RFV1次成分とRRO1
次成分の速度変化との関係(推定式)を求めておき、
(2) 高速RFV1次成分が未知のタイヤについて、低速
RFV1次成分とRRO1次成分の速度変化とを測定
し、(3) その測定結果と上記関係とから、そのタイヤの
高速RFV1次成分のピーク位置を求めるものである。
【0039】まず、(1)において、上記推定方法1と同
様に、タイヤの品種毎に以下の推定式を求めておく。
【0040】高速RFV1次成分は、上記したように、
低速RFV1次成分に、高速回転時に生じる新たな径変
動に起因する新たなRFV1次成分を合成したものと考
えることができる。この関係を図示したのが図5であ
り、図5に示すように、高速RFV1次成分Hは、低速
RFV1次成分Lと、新たな径変動であるRRO1次成
分の速度変化Dとを用いて、これらのベクトル和として
求められ、下記式(V)で表される。
【0041】H=L+c・D ……(V) ここで、cはタイヤの種類に応じて定められる係数であ
る。
【0042】また、RRO1次成分の速度変化Dは、低
速RRO1次成分Dlと高速RRO1次成分Dhとを用
いて図6に示す関係にあるため、下記式(VI)により算
出することができる。
【0043】D=Dh−Dl ……(VI) ここで、D、Dl、Dhはいずれも大きさだけでなく位
相成分も含む複素数である。なお、Dlは低速ユニフォ
ミティマシンにより、Dhはタイヤを装着して高速回転
させることが可能な装置にレーザー式変位計を用いるこ
とで計測することができる。
【0044】式(V)におけるH、L及びDはいずれも
大きさだけでなく位相成分も含む複素数である。従っ
て、式(V)は、下記式(VII)に書き換えられる。
【0045】 H=L+c・D+(L+c・D)・j ……(VII) ここで、DはRRO1次成分の速度変化Dの実数部、
はRRO1次成分の速度変化Dの虚数部である。
【0046】この式(VII)について、誤差成分を考慮
して書き換えると下記式(VIII)のようになる。H、L
及びDはいずれも複素数であるため、そのままでは通常
の重回帰分析は行えないが、実数部と虚数部は互いに独
立なので、式(VIII-i)及び(VIII-ii)により別々に
重回帰分析し、これらを合成することで式(VIII)を得
る。
【0047】 H=d+d・L+d・D +(d+d・L+d・D)・j ……(VIII) (実数部) H=d+d・L+d・D ……(VIII-i) (虚数部) H=d+d・L+d・D ……(VIII-ii) ここで、d、d、d、d、d及びdは、タ
イヤの種類に応じて定められる係数であり、タイヤの種
類毎に重回帰分析して当てはめることができる。
【0048】このようにして推定式を求めておき、次い
で、(2)において、高速RFV1次成分が未知である上
記と同品種のタイヤについて、低速RFV1次成分とR
RO1次成分の速度変化を測定する。そして、(3)にお
いて、(2)の測定結果を(1)で求めた推定式に当てはめる
ことにより、そのタイヤの高速RFV1次成分のピーク
位置を算出することができる。
【0049】以上のようにして、タイヤについて高速R
FV1次成分のピーク位置を求めてから、求めたピーク
位置にそのことを表示する高速RFVマークを付してお
くことが好適である。かかる高速RFVマークは、例と
して、図1(a)に示すように、タイヤ(10)のビード
部(12)表面に所定の色のマーキング(14)を付すこと
により構成される。
【0050】3.ホイールのRRO1次成分のボトム位
置 ホイールのRRO1次成分のボトム位置は、公知の低速
ユニフォミティマシンを用いて計測することにより求め
ることができる。そして、求めたRRO1次成分のボト
ム位置には、そのことを表示するRROマークを付して
おくことが好適である。かかるRROマークは、例とし
て、図1(b)に示すように、ホイール(20)のリム
(22)に、上記高速RFVマーク(14)とは異なる所定
の色のマーキング(24)を付すことにより構成される。
【0051】4.タイヤとホイールの組み付け 上記3で求めたタイヤの高速RFV1次成分のピーク位
置と、上記4で求めたホイールのRRO1次成分のボト
ム位置とを位相合わせして、即ち一致させて、タイヤを
ホイールのリムに組み付ける。その際、上記のように、
タイヤに高速RFVマークを付しておき、また、ホイー
ルにRROマークを付しておけば、図1(c)に示すよ
うに、高速RFVマーク(14)とRROマーク(24)と
を位置合わせして組み付ければよく、組み付け作業がし
やすい。
【0052】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明す
るが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではな
い。
【0053】(実施例1)タイヤとして、上記した図2
に示すグラフの測定に使用したタイヤを用いた。すなわ
ち、タイヤは、低速RFV1次成分(回転数=1回/
秒)が、大きさ=41N、ピーク位置=64degであ
り、高速RFV1次成分(回転数=20.0回/秒)
が、大きさ=73N、ピーク位置=18degであっ
た。
【0054】ホイールとしては、JATMA YEAR
BOOK 2000に記載されている該タイヤサイズの
適用リムより選んで用いた。このホイールのRRO1次
成分を測定したところ、大きさが0.25mmであり、
ボトム位置(ホイール周方向における所定の基準位置
(位相=0deg)に対する角度)が37degであっ
た。
【0055】このタイヤとホイールとを、タイヤの高速
RFV1次成分のピーク位置とホイールのRRO1次成
分のボトム位置とを位相合わせして組み付けた。また、
比較例1として、タイヤの低速RFV1次成分のピーク
位置とホイールのRRO1次成分のボトム位置とを位相
合わせして組み付けた。そして、両者について、組み付
け時における低速RFV1次成分と高速RFV1次成分
とを測定した。
【0056】その結果、下記表1に示すように、本実施
例では、リム組み付けタイヤのRFV1次成分が、低速
では比較例1よりも大きいものの、実際に振動が発生す
る高速では、比較例1の69Nに対して、61Nと低減
されていた。
【0057】
【表1】
【0058】(実施例2)タイヤサイズ=215/60
R16 95H、リムサイズ=16×71/2−JJのタイ
ヤを18本用い、空気圧=196kPa、荷重=510
0Nとして、低速RFV1次成分(回転数=1回/秒=
8km/h)と、高速RFV1次成分(回転数=19.
5回/秒=140km/h)と、静アンバランスを測定
した。そして、各測定値を上記式(IV)に当てはめ、重
回帰分析して下記式(IX)を得た。
【0059】 H=24.7+1.17L+3573S +(-23.6+1.17L+4052S)・j ……(IX) 次いで、高速RFV1次成分が未知である同品種のタイ
ヤについて、低速RFV1次成分と静アンバランスを測
定したところ、低速RFV1次成分は、大きさが47
N、ピーク位置が−113degであり、静アンバラン
スは、大きさが0.0056kg・m、重点の位相が−
300degであった。この測定結果を上記式(IX)に当
てはめたところ、高速RFV1次成分は、大きさが56
N、ピーク位置が−76degと算出された。なお、こ
のタイヤについて、高速ユニフォミティマシンを用い
て、高速RFV1次成分を実際に測定したところ、大き
さが61N、ピーク位置が−63degであり、上記推
定値がかなり正確であることが確認された。
【0060】一方、ホイールについては、JATMA
YEAR BOOK 2000に記載されている該タイヤ
サイズの適用リムより選んで用いた。このホイールのR
RO1次成分を測定したところ、大きさが0.286m
mであり、ボトム位置が36degであった。
【0061】このタイヤとホイールとを、タイヤの高速
RFV1次成分のピーク位置とホイールのRRO1次成
分のボトム位置とを位相合わせして組み付けた。また、
比較例2として、タイヤの低速RFV1次成分のピーク
位置とホイールのRRO1次成分のボトム位置とを位相
合わせして組み付けた。そして、両者について、組み付
け時における低速RFV1次成分と高速RFV1次成分
とを測定した。
【0062】その結果、下記表2に示すように、本実施
例では、リム組み付けタイヤのRFV1次成分が、低速
では比較例2よりも大きいものの、実際に振動が発生す
る高速では、比較例2の47Nに対して、21Nと低減
されていた。
【0063】
【表2】
【0064】(実施例3)タイヤサイズ=215/70
R16 99S、リムサイズ=16×61/2−JJのタイ
ヤを29本用い、空気圧=196kPa、荷重=579
0Nとして、低速RFV1次成分(回転数=1回/秒=
8km/h)と、高速RFV1次成分(回転数=18.
2回/秒=140km/h)と、RRO1次成分の速度
変化を測定した。そして、各測定値を上記式(VIII)に
当てはめ、重回帰分析して下記式(X)を得た。
【0065】 H=5.1+1.21L+89.4D +(1.3+0.90L+72.9D)・j ……(X) 次いで、高速RFV1次成分が未知である同品種のタイ
ヤについて、低速RFV1次成分とRRO1次成分の速
度変化を測定したところ、低速RFV1次成分は、大き
さが38N、ピーク位置が−55degであり、RRO
1次成分の速度変化は、大きさが0.241mm、位相
が8degであった。この測定結果を上記式(X)に当て
はめたところ、高速RFV1次成分は、大きさが58
N、ピーク位置が−24degと算出された。なお、こ
のタイヤについて、高速ユニフォミティマシンを用い
て、高速RFV1次成分を実際に測定したところ、大き
さが57N、ピーク位置が−18degであり、上記推
定値がかなり正確であることが確認された。
【0066】一方、ホイールについては、JATMA
YEAR BOOK 2000に記載されている該タイヤ
サイズの適用リムより選んで用いた。このホイールのR
RO1次成分を測定したところ、大きさが0.300m
mであり、ボトム位置が64degであった。
【0067】このタイヤとホイールとを、タイヤの高速
RFV1次成分のピーク位置とホイールのRRO1次成
分のボトム位置とを位相合わせして組み付けた。また、
比較例3として、タイヤの低速RFV1次成分のピーク
位置とホイールのRRO1次成分のボトム位置とを位相
合わせして組み付けた。そして、両者について、組み付
け時における低速RFV1次成分と高速RFV1次成分
とを測定した。
【0068】その結果、下記表3に示すように、本実施
例では、リム組み付けタイヤのRFV1次成分が、低速
では比較例3よりも大きいものの、実際に振動が発生す
る高速では、比較例3の34Nに対して、13Nと低減
されていた。
【0069】
【表3】
【0070】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のタイヤと
ホイールの組み付け方法であると、実際に振動が発生し
やすい速度におけるリム組み付けタイヤのRFV1次成
分を小さくして、ボディ振動を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明の一実施形態におけるタイヤの
斜視図、(b)はホイールの斜視図、(c)はタイヤと
ホイールの組み付け状態を示す斜視図である。
【図2】タイヤのRFV1次成分の速度による変化を示
すグラフである。
【図3】高速RFV1次成分と低速RFV1次成分と静
アンバランスの関係を示すタイヤの側面概略図である。
【図4】式(III)における高速RFV1次成分と低速
RFV1次成分と静アンバランスとの関係を図示した説
明図である。
【図5】高速RFV1次成分と低速RFV1次成分とR
RO1次成分の速度変化の関係を示すタイヤの側面概略
図である。
【図6】低速RRO1次成分と高速RRO1次成分とR
RO1次成分の速度変化との関係を示すタイヤの側面概
略図である。
【符号の説明】
10…タイヤ 14…高速RFVマーク 20…ホイール 24…RROマーク

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】タイヤの高速RFV1次成分のピーク位置
    とホイールのRRO1次成分のボトム位置とを位相合わ
    せして、該タイヤを該ホイールのリムに組み付けること
    を特徴とするタイヤとホイールの組み付け方法。
  2. 【請求項2】タイヤの高速RFV1次成分と低速RFV
    1次成分と静アンバランスとの関係を求めておき、 高速RFV1次成分が未知のタイヤについて、低速RF
    V1次成分と静アンバランスとを測定し、その測定結果
    と上記関係とから、そのタイヤの高速RFV1次成分を
    求め、 この求めた高速RFV1次成分のピーク位置と前記ホイ
    ールのRRO1次成分のボトム位置とを位相合わせする
    ことを特徴とする請求項1記載のタイヤとホイールの組
    み付け方法。
  3. 【請求項3】タイヤの高速RFV1次成分と低速RFV
    1次成分とRRO1次成分の速度変化との関係を求めて
    おき、 高速RFV1次成分が未知のタイヤについて、低速RF
    V1次成分とRRO1次成分の速度変化とを測定し、そ
    の測定結果と上記関係とから、そのタイヤの高速RFV
    1次成分を求め、 この求めた高速RFV1次成分のピーク位置と前記ホイ
    ールのRRO1次成分のボトム位置とを位相合わせする
    ことを特徴とする請求項1記載のタイヤとホイールの組
    み付け方法。
  4. 【請求項4】タイヤの高速RFV1次成分のピーク位置
    に、当該ピーク位置であることを表示する高速RFVマ
    ークを付すとともに、ホイールのRRO1次成分のボト
    ム位置に、当該ボトム位置であることを表示するRRO
    マークを付しておき、 該高速RFVマークと該RROマークとを位置合わせす
    ることを特徴とする請求項1記載のタイヤとホイールの
    組み付け方法。
  5. 【請求項5】高速RFV1次成分のピーク位置に当該ピ
    ーク位置であることを表示するマークが付されたタイ
    ヤ。
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