JP2002233334A - 卵加工品とその製造方法、並びに該卵加工品を用いた水中油型乳化食品とその製造方法 - Google Patents

卵加工品とその製造方法、並びに該卵加工品を用いた水中油型乳化食品とその製造方法

Info

Publication number
JP2002233334A
JP2002233334A JP2001030495A JP2001030495A JP2002233334A JP 2002233334 A JP2002233334 A JP 2002233334A JP 2001030495 A JP2001030495 A JP 2001030495A JP 2001030495 A JP2001030495 A JP 2001030495A JP 2002233334 A JP2002233334 A JP 2002233334A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
producing
phospholipase
protease
yolk
enzyme treatment
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2001030495A
Other languages
English (en)
Inventor
Shigeko Hayashi
成子 林
Yoshikazu Nakanishi
義和 中西
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Knorr Foods Co Ltd
Original Assignee
Knorr Foods Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Knorr Foods Co Ltd filed Critical Knorr Foods Co Ltd
Priority to JP2001030495A priority Critical patent/JP2002233334A/ja
Publication of JP2002233334A publication Critical patent/JP2002233334A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • General Preparation And Processing Of Foods (AREA)
  • Meat, Egg Or Seafood Products (AREA)
  • Seasonings (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐熱性の使用特性が一段と改善された卵加工
品とその製造方法、並びに該卵加工品を用いた耐熱性に
優れた水中油型乳化食品とその製造方法を提供するこ
と。 【解決手段】 卵黄を酵素処理して卵加工品を製造する
にあたり、卵黄にホスホリパーゼA2を添加して酵素処
理を開始し、次いで時間差を設けてプロテアーゼを添加
して同時酵素処理することを特徴とする卵加工品の製造
方法と、この製造方法により得られる卵加工品、並び
に、水中油型乳化食品を製造するにあたり、乳化剤とし
て、卵黄にホスホリパーゼA2を添加して酵素処理を開
始し、次いで時間差を設けてプロテアーゼを添加して同
時酵素処理することにより得られる卵加工品を用いるこ
とを特徴とする水中油型乳化食品の製造方法と、この製
造方法により得られる水中油型乳化食品とを提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、卵加工品とその製
造方法、並びに該卵加工品を用いた水中油型乳化食品と
その製造方法に関し、詳しくはマヨネーズ類やドレッシ
ング類等の水中油型乳化食品に使用された場合に耐熱性
を付与することのできる卵加工品とその製造方法、並び
に該卵加工品を用いた耐熱性水中油型乳化食品とその製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】卵黄は、栄養価の高い食品であると共
に、優れた乳化剤であり、この特性を利用してマヨネー
ズやドレッシング等の多くの水中油型乳化食品が作られ
ている。近年、食生活の多様化に伴い、マヨネーズやド
レッシング類は加熱加工される食品に使用されることが
多くなり、例えばレトルトサラダ、フィリング類、パン
類など多種の食品への需要が高まっている。
【0003】このため、より一層の耐熱性を有するマヨ
ネーズやドレッシング類が要望されているが、通常の卵
黄を乳化剤としたものは、充分な耐熱性を有していな
い。
【0004】このような欠点を改善するため、ホスホリ
パーゼA2により卵黄中のレシチンをリゾ化することに
より耐熱性を付与させた改質卵黄が開発されている(特
公昭53−44426号公報)。また、食塩を添加した
卵黄をプロテアーゼやリパーゼ等の酵素で処理した改質
卵黄は、加熱や冷却による油の分離等変性が生じないこ
とも報告されている(特公平6−22451号公報)。
【0005】ところでレトルトサラダやフィリング類等
には、マッシュポテトやパスタ類等の吸水原料を含む場
合が多く、このような原料とマヨネーズやドレッシング
類とを混合して加熱した場合、エマルジョンが不安定に
なり油分離を起こしやすくなる。さらに最近では、加工
食品等について微生物的安定性をより完璧に求めること
の必要性から、乳化剤として用いる卵黄にさらに高い耐
熱性の使用特性が要求される傾向にある。
【0006】上記の試みにより得られる改質卵黄は、そ
のもの自体の耐熱性はかなりの改善が認められるもの
の、未だ充分に満足し得るものではない上に、吸水原料
と混合して加熱加工した場合の耐熱性については全く考
慮されていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、従来のホスホリパーゼA2で処理しただけの改質卵
黄や、食塩を添加した卵黄をプロテアーゼやリパーゼ等
の酵素で分解してなる改質卵黄よりも、さらに耐熱性の
使用特性が改善された卵加工品とその製造方法、並びに
該卵加工品を用いた耐熱性に優れた水中油型乳化食品と
その製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、ホスホリパーゼ
A2とプロテアーゼによる卵黄の同時処理に課題解決の
可能性を見出し、処理条件等につき種々検討を重ねた。
その結果、単に両者により同時処理するのではなく、卵
黄にホスホリパーゼA2を添加して酵素処理を開始し、
次いで時間差をおいてプロテアーゼを添加して同時酵素
処理することにより、従来の単にホスホリパーゼA2等
で処理しただけの改質卵黄よりも耐熱性の使用特性に関
し一段と優れた卵加工品が得られることを見出し、この
知見に基いて本発明に到達した。なお、卵黄をプロテア
ーゼ及びホスホリパーゼA2で同時酵素処理すること、
同時酵素処理するにあたり時間差を設けること、さらに
これによる耐熱性の改善に関しては、これまで全く知ら
れていない。
【0009】すなわち、請求項1に係る本発明は、卵黄
を酵素処理して卵加工品を製造するにあたり、卵黄にホ
スホリパーゼA2を添加して酵素処理を開始し、次いで
時間差を設けてプロテアーゼを添加して同時酵素処理す
ることを特徴とする卵加工品の製造方法を提供するもの
である。
【0010】請求項2に係る本発明は、ホスホリパーゼ
A2を添加して酵素処理を開始してから、0.5〜4.
5時間後にプロテアーゼを添加して同時酵素処理を開始
する請求項1記載の卵加工品の製造方法を提供するもの
である。
【0011】請求項3に係る本発明は、ホスホリパーゼ
A2を添加して酵素処理を開始してから同時酵素処理が
終了するまでの全処理時間が、1〜5時間である請求項
1又は2に記載の卵加工品の製造方法を提供するもので
ある。
【0012】請求項4に係る本発明は、請求項1〜3の
いずれかに記載の製造方法により得られる卵加工品を提
供するものである。
【0013】請求項5に係る本発明は、水中油型乳化食
品を製造するにあたり、乳化剤として、卵黄にホスホリ
パーゼA2を添加して酵素処理を開始し、次いで時間差
を設けてプロテアーゼを添加して同時酵素処理すること
により得られる卵加工品を用いることを特徴とする水中
油型乳化食品の製造方法を提供するものである。
【0014】請求項6に係る本発明は、請求項5記載の
方法により得られる水中油型乳化食品を提供するもので
ある。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳しく説明する。
請求項1に係る本発明は、卵加工品の製造方法に関し、
卵黄を酵素処理して卵加工品を製造するにあたり、卵黄
にホスホリパーゼA2を添加して酵素処理を開始し、次
いで時間差を設けてプロテアーゼを添加して同時酵素処
理することを特徴とするものである。
【0016】請求項1に係る本発明において、原料であ
る卵黄としては、通常の未変性状態の卵黄液や乾燥卵黄
であれば良く、特別な制限はない。例えば、割卵した後
卵白を分離して得られる卵黄液や、スプレー乾燥による
卵黄粉末などが一般的なものであり、必要に応じてこれ
を水で希釈したり、或いは水戻ししたものであってもよ
い。また、調味料、糖類、多糖類、卵黄以外の蛋白質等
が混在したものであっても差し支えない。
【0017】請求項1に係る本発明においては、上記し
た如き卵黄を酵素処理して卵加工品を製造するにあた
り、まず卵黄にホスホリパーゼA2を添加して酵素処理
を開始し、次いで時間差を設けてプロテアーゼを添加し
て同時酵素処理することが必要である。ここでホスホリ
パーゼA2とプロテアーゼの一方のみを用いる場合に
は、本発明の目的を達成することはできない。また、た
とえ両者を併用したとしても、ホスホリパーゼA2を添
加して酵素処理を開始し、次いで時間差を設けてプロテ
アーゼを添加して同時酵素処理するのでなければ、やは
り本発明の目的を達成することはできない。両者を同時
に卵黄に添加するのでは、耐熱性に優れた卵加工品を得
ることはできない。
【0018】請求項1に係る本発明においては、上記し
た如き卵黄を酵素処理して卵加工品を製造するにあた
り、まず卵黄にホスホリパーゼA2を添加して酵素処理
を開始する。
【0019】ホスホリパーゼA2は、卵黄中のリン脂質
をリゾ化する酵素であり、その添加量は、生卵黄1kg
に対して、少なくとも1500IU以上、好ましくは1
500〜15000IU、より好ましくは2000〜1
0000IU、特に好ましくは5000〜10000I
Uである。ホスホリパーゼA2の添加量が1500IU
未満では、卵黄に充分な耐熱性を付与できないおそれが
ある。一方、ホスホリパーゼA2の添加量が15000
IUを超えても、処理効果が向上しないため経済的にも
好ましくない。
【0020】ここで、IU(International Unit)と
は、ホスホリパーゼA2の活性単位を意味し、卵黄を基
質とし、pH8,40℃,Ca2+存在下の条件で、1
分間当たり1マイクロモルの脂肪酸を遊離することを指
す。なお、ホスホリパーゼA2としては特に制限はなく
種々のものを挙げることができるが、ノボノルディスク
(株)製のレシターゼ10Lを好適なものとして挙げる
ことができる。
【0021】ホスホリパーゼA2による酵素処理の際の
pHについては、卵黄固有のpH(6.5前後)で処理
することが簡便であり、この条件で耐熱性を付与するこ
とができる。また、温度条件としては30〜65℃が好
ましい。30℃未満の温度や65℃を超える温度では、
いずれも処理効率が低下するため好ましくない。
【0022】請求項1に係る本発明においては、上記の
ように、卵黄にホスホリパーゼA2を添加して酵素処理
を開始し、次いで時間差を設けてプロテアーゼを添加し
て同時酵素処理する。プロテアーゼは、卵黄中の蛋白質
を加水分解する酵素であって、請求項1に係る本発明に
おいて用いるプロテアーゼとしては特に制限がなく、微
生物、植物および生体起源のものを任意に使用できる
が、主にエンド型のプロテアーゼが使用される。具体的
には例えば、商品名:プロテアーゼA,N,P,S,
M,B(天野製薬(株))、フレーバーザイム、アルカ
ラーゼ(ノボノルディスク(株))、パンチダーゼNP
−2、パンチダーゼHP、アロアーゼAP−10(ヤク
ルト工業(株))、デナプシン10P、デナチームA
P、ビオプラーゼSP−15FG、食用精製パパイン
(ナガセ生化学工業(株))等の酵素を単独で、若しく
は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0023】請求項1に係る本発明におけるプロテアー
ゼの添加量は、生卵黄に対して0.02〜0.2重量%
が好ましい。プロテアーゼの添加量が0.02重量%未
満では、卵黄が充分に部分分解されないため、耐熱性を
充分に付与することができない。一方、プロテアーゼの
添加量が0.2重量%を超えると、苦味やえぐみ等の異
臭味が発生しやすく、卵黄風味の品質低下を招くため、
好ましくない。
【0024】請求項1に係る本発明においては、以上の
如きホスホリパーゼA2とプロテアーゼを用いるが、単
に卵黄に両者を添加するだけでは不充分であって、卵黄
にまずホスホリパーゼA2を添加して酵素処理を開始
し、次いで時間差を設けてプロテアーゼを添加して同時
酵素処理することが必要である。具体的な処理条件は、
次に示す通りである。
【0025】まず、同時酵素処理する際のpHや温度条
件については、前記したようなホスホリパーゼA2によ
る酵素処理の際のpHや温度条件をそのまま適用するこ
とができる。すなわち、卵黄固有のpH(6.5前後)
で処理することが簡便であり、この条件で耐熱性を付与
することができる。また、温度条件としては40〜65
℃が好ましい。、40℃未満の温度や65℃を超える温
度では、いずれも処理効率が低下するため好ましくな
い。
【0026】次に、請求項1に係る本発明においては、
卵黄にホスホリパーゼA2を添加して酵素処理を開始し
た後、時間差を設けてプロテアーゼを添加して同時酵素
処理することを特徴とするが、そのタイミングは次のよ
うに行うことが好ましい。
【0027】まず、生卵黄1kgあたり1500〜15
000IU、好ましくは2000〜10000IUのホ
スホリパーゼA2のみが添加された卵黄について、上記
のpH,温度条件で酵素処理を開始し、その後、つまり
請求項2に記載したように、ホスホリパーゼA2による
酵素処理を開始してから0.5〜4.5時間、好ましく
は0.5〜2.5時間後に、生卵黄に対し0.02〜
0.2重量%の割合のプロテアーゼを添加して同時酵素
処理を開始し、ホスホリパーゼA2による酵素処理開始
後、好ましくは1〜5時間の間に同時酵素処理を終了す
る。
【0028】すなわち、請求項3に記載したように、ホ
スホリパーゼA2を添加して酵素処理を開始してから同
時酵素処理が終了するまでの全処理時間を1〜5時間と
することが望ましい。ここで全処理時間が5時間を超え
ると、卵黄の風味及び微生物的品質に問題の生じるおそ
れがあり、さらにプロテアーゼによる卵黄蛋白の加水分
解が進行するため、機能性が逆に低下する傾向にある。
【0029】具体的な酵素処理時間(全処理時間)は、
ホスホリパーゼA2とプロテアーゼの添加量によって決
定されるが、効率的な処理を考慮すると、両者の添加量
が比較的多い場合には1〜2時間、両者の添加量が比較
的少ない場合は4〜5時間とすることが好ましい。それ
以外の場合は、通常、2〜4時間を要する。
【0030】2つの酵素の添加時期に時間差を設けるこ
とにより、耐熱性の使用特性に優れた卵加工品が得られ
る理由は、必ずしも明らかではないが、次のように推察
される。すなわち、時間差を設けずに最初から両者を同
時添加して処理すると、ホスホリパーゼA2が効果を発
揮する前にプロテアーゼにより分解されて失活してしま
うが、時間差を設けて同時処理をするとこのような問題
が生じないことに加えて、ホスホリパーゼA2の効果を
妨げない程度に添加されたプロテアーゼが、適度に卵黄
蛋白質を部分的に加水分解することから、適当なモル濃
度の増加等の効果も加わって、より高い効果が得られる
ものと考えられる。
【0031】卵黄蛋白質がどの程度に加水分解されたか
は、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法(SD
S−PAGE)により分析することができる。ここでい
う「部分的に加水分解された」とは、高密度リポ蛋白
(HDL)の特徴的な約10.9万ダルトンの分子量を
持つバンドが微かに残存している状態を意味する(J. F
ood. Sci., vol. 51, 1115-1117, 1986)
【0032】こうして請求項1〜3に係る本発明によれ
ば、処理を開始してから1〜5時間足らずの間に、より
耐熱性の使用特性に優れた卵加工品が得られると共に、
卵黄の風味及び微生物的品質に問題のない卵加工品が提
供される。このような耐熱性の使用特性等に優れた卵加
工品を提供するのが、請求項4に係る本発明である。
【0033】このようにして得られる卵加工品は、耐熱
性がさらに改善されているため、従来品よりも広範囲な
用途に供することができるが、マヨネーズ、ドレッシン
グなどの水中油型乳化食品の製造に有効に利用される。
請求項5に係る本発明は、そのような水中油型乳化食品
の製造方法に関するものである。
【0034】すなわち、請求項5に係る本発明は、水中
油型乳化食品を製造するにあたり、乳化剤として、卵黄
にホスホリパーゼA2を添加して酵素処理を開始し、次
いで時間差を設けてプロテアーゼを添加して同時酵素処
理することにより得られる卵加工品を用いることを特徴
とするものであり、請求項1に係る本発明の方法により
得られる卵加工品を乳化剤として用いたものである。従
って、酵素処理の条件等については、請求項1に係る本
発明を説明した箇所に記載した通りである。水中油型乳
化食品への該卵加工品の使用割合は、通常、1〜10%
程度である。
【0035】さらに、このように請求項5記載の方法に
より得られる水中油型乳化食品を提供するのが、請求項
6に係る本発明であって、マヨネーズ、ドレッシングな
どの水中油型乳化食品に関するものである。
【0036】請求項1〜3に係る本発明により得られる
卵加工品を使用したマヨネーズやドレッシング類などの
水中油型乳化食品(すなわち、請求項6に係る本発明の
水中油型乳化食品)は、マッシュポテトやパスタ類のよ
うな吸水原料と和えた後、加熱(例えば、95℃で30
分間)しても、油分離等の品質劣化が生じない。このた
め、加工食品等の加熱安定性をより完璧に求めるニーズ
に合致する。
【0037】
【実施例】以下に、本発明の実施例等により詳しく説明
するが、本発明はこれらによって何ら制限を受けるもの
ではない。
【0038】実施例1〜7、比較例1〜3、参考例1〜
3 (1)卵加工品の製造 すなわち、卵黄2kgを水1kgで希釈した卵黄溶液
(基質)に、20000IU(10000IU/卵黄1
kg)のホスホリパーゼA2(ノボノルディスク(株)
製のレシターゼ10L)を添加し、3L容撹拌槽に充填
し、45℃の品温及びpH6.5で酵素処理を開始し
た。次いで、酵素処理を開始してから0.5時間の時間
差を設けて、2g(0.1重量%・対卵黄)のプロテア
ーゼ(天野製薬(株)製のプロテアーゼP)を添加して
同時酵素処理を開始し、初めに酵素処理を開始してから
1時間で酵素処理を終了し、卵加工品を得た(実施例
1)。製造条件を第1表に示す。
【0039】なお、実施例2〜7、比較例1〜3、参考
例1〜3については、第1表に示した条件としたこと以
外は、上記実施例1と同様にして卵黄を酵素処理し、卵
加工品を製造した。製造条件を第1表に示す。
【0040】
【表1】第1表(卵加工品製造の条件)
【0041】(2)マヨネーズの調製 次に、上記(1)で得られた卵加工品をそれぞれ用い、
第2表に示す配合組成のマヨネーズ2kgをコロイドミ
ルを用いてそれぞれ調製した。
【0042】
【表2】第2表(マヨネーズの配合組成)
【0043】(3)ポテトサラダの耐熱性の評価 得られた各マヨネーズを用い、以下に示すようにしてポ
テトサラダの耐熱性について評価した。まず1/2〜1
/4に切ったジャガイモを約30分煮た後、5メッシュ
の篩に通してマッシュポテトを調製した。これを冷却
後、マッシュポテトと上記(2)で得られた各マヨネー
ズをそれぞれ4対6の割合で混合してポテトサラダを得
た。これらポテトサラダ50gをそれぞれ100g容の
プラスチック容器に充填した後、95℃にて30分間加
熱した。冷却後、各ポテトサラダの耐熱性を次の3段階
で評価した。結果を第3表に示す。
【0044】〔ポテトサラダの耐熱性の評価〕 安定:油分離していない やや安定:わずかな油分離が見られる 不良:かなりの油分離が見られる
【0045】
【表3】第3表(ポテトサラダの耐熱性の評価)
【0046】第3表から明らかなように、ホスホリパー
ゼA2を添加して酵素処理を開始し、その後、時間差を
設けてプロテアーゼを添加して得られるマヨネーズとマ
ッシュポテトとで作ったポテトサラダは、95℃にて3
0分間加熱処理後も良好な状態を保持していた(実施例
1〜7)。特に、ホスホリパーゼA2を20,000I
U(卵黄1kg当たり10,000IU)添加した場合
には、全処理時間が僅か1時間という短時間であっても
(実施例1)、充分な耐熱性の評価を得た。
【0047】これに対し、ホスホリパーゼA2を実施例
1と同じく20000IU(卵黄1kg当たり10,0
00IU)添加したものの、プロテアーゼPを添加しな
かった場合(比較例1)には、いずれも加熱処理後は油
分離がひどく、製品としての物性が不可であり、実施例
1に比べて耐熱性の評価が著しく低かった。また、ホス
ホリパーゼA2とプロテアーゼPとを同時添加し、時間
差を設けなかった場合(比較例2)には、実施例1に比
べて耐熱性の評価が低かった。さらに、プロテアーゼP
を用いたものの、ホスホリパーゼA2を用いなかった場
合(比較例3)には、加熱処理後は油分離がひどく、製
品としての物性が不可であり、実施例1に比べて耐熱性
の評価が著しく低かった。
【0048】これらのことから、卵黄をホスホリパーゼ
A2及びプロテアーゼで同時処理するに際し、ホスホリ
パーゼA2を添加して酵素処理を開始後、時間差を設け
てプロテアーゼを添加して同時酵素処理して得られる卵
加工品を用いて得られるマヨネーズは、マッシュポテト
のような吸水原料と和えた後、加熱加工してポテトサラ
ダとしても、良好な耐熱性を保持できることが明らかで
ある。
【0049】
【発明の効果】請求項1〜4に係る本発明によれば、従
来のホスホリパーゼA2で処理しただけの改質卵黄や、
食塩を添加した卵黄をプロテアーゼやリパーゼ等の酵素
で分解してなる改質卵黄よりも、さらに耐熱性の使用特
性が一段と改善された卵加工品が提供される。次に、請
求項5、6に係る本発明によれば、該卵加工品を用いる
ことにより、耐熱性に優れた水中油型乳化食品が提供さ
れる。すなわち、該卵加工品を用いて製造した、マヨネ
ーズ類やドレッシング類等の水中油型乳化食品は、マッ
シュポテトやパスタ類などのような吸水原料と和えた
後、加熱加工が施されても良好な物性を保持することが
できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4B035 LE02 LG43 LG51 LG54 LK13 LP41 4B042 AC10 AD40 AE08 AH10 AK20 AP27 4B047 LB06 LB09 LE03 LG53 LG58 LP18

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 卵黄を酵素処理して卵加工品を製造する
    にあたり、卵黄にホスホリパーゼA2を添加して酵素処
    理を開始し、次いで時間差を設けてプロテアーゼを添加
    して同時酵素処理することを特徴とする卵加工品の製造
    方法。
  2. 【請求項2】 ホスホリパーゼA2を添加して酵素処理
    を開始してから、0.5〜4.5時間後にプロテアーゼ
    を添加して同時酵素処理を開始する請求項1記載の卵加
    工品の製造方法。
  3. 【請求項3】 ホスホリパーゼA2を添加して酵素処理
    を開始してから同時酵素処理が終了するまでの全処理時
    間が、1〜5時間である請求項1又は2に記載の卵加工
    品の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載の製造方
    法により得られる卵加工品。
  5. 【請求項5】 水中油型乳化食品を製造するにあたり、
    乳化剤として、卵黄にホスホリパーゼA2を添加して酵
    素処理を開始し、次いで時間差を設けてプロテアーゼを
    添加して同時酵素処理することにより得られる卵加工品
    を用いることを特徴とする水中油型乳化食品の製造方
    法。
  6. 【請求項6】 請求項5記載の方法により得られる水中
    油型乳化食品。
JP2001030495A 2001-02-07 2001-02-07 卵加工品とその製造方法、並びに該卵加工品を用いた水中油型乳化食品とその製造方法 Withdrawn JP2002233334A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001030495A JP2002233334A (ja) 2001-02-07 2001-02-07 卵加工品とその製造方法、並びに該卵加工品を用いた水中油型乳化食品とその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001030495A JP2002233334A (ja) 2001-02-07 2001-02-07 卵加工品とその製造方法、並びに該卵加工品を用いた水中油型乳化食品とその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002233334A true JP2002233334A (ja) 2002-08-20

Family

ID=18894706

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001030495A Withdrawn JP2002233334A (ja) 2001-02-07 2001-02-07 卵加工品とその製造方法、並びに該卵加工品を用いた水中油型乳化食品とその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002233334A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP2106706A1 (en) 2008-03-31 2009-10-07 Kraft Foods Global Brands LLC A process and formulation for making an egg product with increased functionality and flavor
JP2010148455A (ja) * 2008-12-25 2010-07-08 Uha Mikakuto Co Ltd ハードキャンディ
JP2010161975A (ja) * 2009-01-16 2010-07-29 Ajinomoto Co Inc 酸性水中油型乳化食品の製造方法
CN109007634A (zh) * 2018-07-23 2018-12-18 东北农业大学 一种高乳化性蛋黄液及其制备方法
CN111109544A (zh) * 2020-02-06 2020-05-08 江苏仁康蛋业有限公司 一种高乳化性高耐热性速冻蛋黄液制作系统

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP2106706A1 (en) 2008-03-31 2009-10-07 Kraft Foods Global Brands LLC A process and formulation for making an egg product with increased functionality and flavor
EP2517578A1 (en) 2008-03-31 2012-10-31 Kraft Foods Global Brands LLC A process and formulation for making an egg product with increased functionality and flavor
JP2010148455A (ja) * 2008-12-25 2010-07-08 Uha Mikakuto Co Ltd ハードキャンディ
JP2010161975A (ja) * 2009-01-16 2010-07-29 Ajinomoto Co Inc 酸性水中油型乳化食品の製造方法
CN109007634A (zh) * 2018-07-23 2018-12-18 东北农业大学 一种高乳化性蛋黄液及其制备方法
CN111109544A (zh) * 2020-02-06 2020-05-08 江苏仁康蛋业有限公司 一种高乳化性高耐热性速冻蛋黄液制作系统

Similar Documents

Publication Publication Date Title
FI116192B (fi) Menetelmä vesiliukoisen ravintokuitukoostumuksen valmistamiseksi
KR102512181B1 (ko) 면류의 제조방법 및 면용 분리 개량제
JP2002233334A (ja) 卵加工品とその製造方法、並びに該卵加工品を用いた水中油型乳化食品とその製造方法
JP2814300B2 (ja) 酵素変性蛋白と方法
CN1170485C (zh) 水包油型乳化物
WO2022173027A1 (ja) 酵素を用いたチーズ及びチーズアナログの製造方法
JPS60973B2 (ja) マヨネ−ズ様調味料の製造法
JP3051744B1 (ja) 卵加工品並びにその製造方法
EP0595194B1 (en) A process for the production of a seasoning sauce from bread
PL175926B1 (pl) Sposób wytwarzania sosu przyprawowego
JP2003135034A (ja) 卵加工品とその製造方法
JP2018068182A (ja) チーズ風味様乳酸発酵物
JP2002325559A (ja) 卵加工品とその製造法
JPS62179355A (ja) 食品の製造法
JP2000316521A (ja) 酸性水中油型乳化物
JP2003274903A (ja) 卵加工品とその製造方法
JP2006314296A (ja) チーズ風味付与材およびこれを用いた加工食品
JP6794480B2 (ja) 日持ち向上剤含有食品又は食材、及び該食品又は食材中の日持ち向上剤のマスキング方法
JPH1198960A (ja) 蛋白性乳化剤の製造法
JP3256099B2 (ja) 耐熱性ドレッシング用加工卵黄液
JP6171121B1 (ja) 卵加工品及び卵の風味強化組成物、並びにその製造方法
JP2001078720A (ja) 卵加工品及びその製造方法
JP4064602B2 (ja) 卵フレーバー及びその製造方法
JPS6163260A (ja) 乳化安定性に優れた乳化物の製造法
JPS58175447A (ja) 不快味のないタンパク質栄養素材

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20080513