JP2002227351A - 屋根パネルの接合部分における防水構造、及び屋根パネルの接合部分における防水方法 - Google Patents

屋根パネルの接合部分における防水構造、及び屋根パネルの接合部分における防水方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 排水性を損なうことなく防水処理を施せる、
屋根パネルの接合部分における防水構造、及び防水方法
を提供する。 【解決手段】 一方の屋根パネル表面が、他方の屋根パ
ネル表面に対して高い位置に設けられ、一方の屋根パネ
ル上に設けられる防水シートが、他方の屋根パネル上に
延出されその他方の屋根パネル上に設けられる防水シー
ト上に重ね合わされて密着されていることを特徴とす
る。また、一方の屋根パネル表面を他方の屋根パネル表
面に対して高い位置に設けると共に、前記一方の屋根パ
ネル上に設けられる防水シートを、前記他方の屋根パネ
ル上に延出させてその他方の屋根パネル上に設けられる
防水シートに重ね合わせて密着させることを特徴とす
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、屋根パネルの接合
部分における防水構造、及びその防水方法に関する。
【0002】
【背景の技術】建物の屋根として、現場作業を軽減すべ
く工場内にて生産した複数の屋根パネルを施工場所に搬
入し、その施工場所にて屋根パネルを組み合わせて屋根
を形成するパネル工法が知られている。この工法で使用
される屋根パネル101は、鋼材等を組み合わせて形成
した下地フレーム102上に配置されるコンクリート製
の野地材103と、この野地板103上に貼り付けられ
野地板103表面からの水の進入を阻止する防水シート
104と、を備える。
【0003】また、施工時には、各屋根パネル101間
に、立て込み寸法の誤差や施工寸法の誤差を吸収すべく
隙間Cを形成して各屋根パネル101の配置がなされて
いる。また、各屋根パネル101間の隙間C、即ち屋根
パネル101の接合部分Xには、防水処理が施され、そ
の隙間Cからの水の進入を防止している。
【0004】接合部分Xにおける防水処理としては、ま
ず、各屋根パネル101間に形成された隙間Cを跨ぐよ
うに鉄板105を架け渡す。そして、一方の屋根パネル
101上に設けられた防水シート104と他方の屋根パ
ネル101上に設けられた防水シート104と、をその
鉄板105上で互いに重ね合わせ、且つ密着させて接合
部分Xからの水の進入を阻止している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この従
来工法を利用して形成される屋根では、上記の如くその
接合部分Xにおいて防水シート104及び鉄板105が
互いに重なり合うため、屋根表面に対して局所的に起伏
を形成することになる。したがって、この起伏に起因し
て屋根全体の排水性が損なわれるといった問題が生じ
る。とりわけ、陸屋根などに代表される水平に展開され
た屋根を形成する場合には、この現象が顕著に見られ改
善する必要があった。
【0006】よって本発明は、排水性を損なうことなく
防水処理を施せる、屋根パネルの接合部分における防水
構造を提供することを課題とする。また、排水性を損な
うことなく防水処理を施せる、屋根パネルの接合部分に
おける防水方法を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明では、上記した技
術的課題を解決するため、以下の構成とした。 すなわ
ち、隣接配置された屋根パネルの接合部分における防水
構造であって、一方の屋根パネル表面が、他方の屋根パ
ネル表面に対して高い位置に設けられ、前記一方の屋根
パネル上に設けられる防水シートが、前記他方の屋根パ
ネル上に延出されその他方の屋根パネル上に設けられる
防水シート上に重ね合わされて密着されていることを特
徴とする。
【0008】このように構成された本発明では、防水処
理に伴う接合部分の起伏が、一方の屋根パネルと他方の
屋根パネルとの間に形成された高低差、即ち、段差によ
って許容される。このため接合部分での防水処理に伴う
起伏を小さくできる。よって、接合部分における水の移
動がスムースになり、極めて良好な排水性が得られる。
【0009】尚、前記一方の屋根パネル表面と前記他方
の屋根パネル表面との高低差は、前記一方の防水シート
と前記他方の防水シートとを重ね合わせた厚みに対して
大きく取るとよい。さらに、一方の屋根パネルから、他
方の屋根パネルにかけて下り傾斜を付けてもよい。この
場合、一方の屋根パネルから他方の屋根パネルにかけて
起伏のない表面形状が得られる。また、一方の屋根パネ
ルから他方の屋根パネルに向かって排水方向が定められ
る。
【0010】またなお、前記一方の屋根パネルと前記他
方の屋根パネルとの間には、板材が設けられ、前記一方
の防水シートと前記他方の防水シートとは、この板材上
で重なり合う構成としてもよい。この構成では、接合部
分において他方の防水シートが板材によって持ち上げら
れる。このため、他方の屋根パネル側から接合部分への
水の回り込みを防止できる。 尚、隣接配置される各屋
根パネルは、略水平に配置されて陸屋根を形成してもよ
い。ここで略水平とは、若干の傾斜をも許容する概念で
ある。但し、その傾斜は、屋根上を容易に歩行できる程
度とする。
【0011】また、上記した技術的課題を解決するた
め、本発明では、以下の方法を採用してもよい。すなわ
ち、隣接配置された屋根パネルの接合部分における防水
方法であって、一方の屋根パネル表面を他方の屋根パネ
ル表面に対して高い位置に設けると共に、前記一方の屋
根パネル上に設けられる防水シートを、前記他方の屋根
パネル上に延出させてその他方の屋根パネル上に設けら
れる防水シートに重ね合わせて密着させることを特徴と
する。
【0012】この方法では、防水処理に伴う接合部分の
起伏が、一方の屋根パネルと他方の屋根パネルとの間に
形成された高低差、即ち、段差によって許容される。こ
のため接合部分での防水処理に伴う起伏を小さくでき
る。よって、接合部分における水の移動がスムースにな
り、極めて良好な排水性が得られる。なお、一方の屋根
パネル表面を他方の屋根パネル表面に対して高い位置に
設ける作業は、各防水シートを互いに重ね合わせた後に
行ってもよい。
【0013】また、前記一方の屋根パネル表面と前記他
方の屋根パネル表面との高低差は、前記一方の防水シー
トと他方の防水シートとを重ね合わせた厚みに対して大
きく取るとよい。
【0014】さらに、前記各屋根パネルを略水平に配置
すると共に、前記一方の屋根パネルから前記他方の屋根
パネルにかけて下り傾斜を付けるとより好的である。
尚、一方の屋根パネルから他方の屋根パネルにかけて下
り傾斜は、屋根上を容易に歩行できる程度とする。
【0015】また、前記一方の屋根パネルと前記他方の
屋根パネルとの間に、板材を設けた後、前記一方の防水
シートと前記他方の防水シートとを、この板材上で重ね
合わせてもよい。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づき説明する。尚、本実施の形態では、屋根全体が
略水平に展開された陸屋根に本発明を適用させた形態に
ついて説明する。
【0017】図1は、屋根全体の概略構成図である。こ
の図1に示される屋根1は、現場作業の軽減を図るべく
予め工場内にて生産した複数枚の屋根パネルPを組み合
わせて構成している。より詳しくは、施工時に、その屋
根パネルPを工場から搬入して、施工場所となる建物ユ
ニット(図示略)上に隣接配置して屋根1を形成する。
即ち、本実施の形態に示す陸屋根は、いわゆるパネル工
法にて施工される屋根1である。
【0018】この屋根1を形成している各屋根パネルP
は、略矩形をなし屋根の主たる部分を形成するコンクリ
ート製の野地板3と、この野地板3上に貼り付けられて
野地板3表面からの水の進入を防止する防水シート4
と、を備えている。また、各屋根パネルPは、建物ユニ
ット(図示略)の梁8上に所定間隔で組まれた下地フレ
ーム2を利用して建築ユニット上に隣接配置されてい
る。
【0019】また、梁8上に取り付けられる各屋根パネ
ルPは、立て込み寸法の誤差や施工寸法の誤差を吸収す
べく隣接した他の屋根パネルPとの間に、隙間Cを形成
して配置されている。即ち、各屋根パネルPの接合部分
Xには隙間Cが形成されている。
【0020】このため本発明では、この接合部分Xから
の水の進入を防止するために以下の防水処理を行ってい
る。以下、本発明の主旨となる接合部分Xの防水構造、
及び防水方法について、その施工手順を踏まえながら詳
細に説明する。
【0021】まず、本実施の形態では、図2に示すよう
に屋根中央Oを基点として、屋根中央Oから屋根端部S
にかけて、若干下り傾斜となるように各屋根パネルPを
配置する。またこのとき、屋根中央〇に、より近い位置
に設けられた屋根パネルPを他方の屋根パネルPに対し
て高い位置に設けるようにする。即ち、一方の屋根パネ
ル表面が、他方の屋根パネル表面に対して高い位置に設
けられている。
【0022】尚、以下の説明ではその都合上、屋根中央
Oに、より近い位置に設けられた屋根パネルPを一方の
屋根パネルP1と称し、屋根中央Oからより遠い位置に
設けられた屋根パネルPを他方の屋根パネルP2と称し
て説明を行う。
【0023】このように各屋根パネルPが配置された屋
根1では、屋根中央が最も高い位置となる。したがっ
て、屋根1上の排水方向は、図2中矢印に示されるよう
に屋根中央Oから屋根端部Sに向かって流れる排水方向
となる。尚、本実施の形態では、陸屋根に本発明を適用
しているため、屋根中央Oから屋根端部Sにかけての下
り傾斜は、容易に歩行可能な程度の傾斜とされている。
【0024】続いて、接合部分Xの隙間Cを覆うように
鉄板5を配置する。 鉄板5を配置するにあたっては、
例えば、以下の手順にて行う。まず、他方の屋根パネル
P2における野地板3上に鉄板5を載置する。続いて、
その鉄板5の縁部を一方の屋根パネルP1の野地板側端
面6に付き当て、接合部分Xにおける鉄板5の位置決め
を行う。
【0025】尚、この鉄板5は、接合部分Xにおける各
防水シート4の密着性を高めると共に、他方の屋根パネ
ルP1から接合部分Xへの水の回り込みを防止するため
に設けている。より詳しくは、後の防水シート4の説明
と共に詳述する。また、本実施の形態では、鉄板を使用
したが、勿論、樹脂製の板などを使用してもよい。より
好ましくは、耐火性の板材が適している。
【0026】そして、本実施の形態では、この鉄板5及
び野地板3を覆い隠すように、防水シート4の設置を行
う。尚、防水シート4は、各屋根パネルPの製造時に、
その野地板3よりも若干大きめに裁断されている。この
ため屋根1の施工時には、野地板3上からはみ出した防
水シート4が屋根パネルPの接合部分Xを覆うこととな
る。
【0027】防水シート4を設置する際には、まず、他
方の屋根パネルP2において鉄板5及び野地板3を共に
覆い隠すように防水シート4をその表面上に貼り付け
る。次いで、一方の屋根パネルP1上に設けられた防水
シート4を他方の屋根パネルP2上に延出させ、該他方
の屋根パネルP2上に設けられた防水シート4上に重ね
合わせて貼り付ける。
【0028】即ち、図4に示されるように接合部分Xに
おいては、鉄板5と、他方の屋根パネルP2に設けられ
る防水シート4と、一方の屋根パネルP1に設けられる
防水シート4と、が互いに重なり合って隙間Cを覆うこ
ととなる。よって、隙間Cからの水の進入が阻止され
る。
【0029】ここで一方の屋根パネルP1と他方の屋根
パネルP2との位置関係について振り返ると、本発明で
は上記の如く、一方の屋根パネルP1を他方の屋根パネ
ルP2に対して高い位置に設けている。即ち、一方の屋
根パネルP1と他方の屋根パネルP2との間に、段差T
を形成している。
【0030】このため屋根1における排水性の妨げとな
っていた、接合部分Xの防水処理に伴う起伏が、この段
差Tによって許容されることとなり、一方の屋根パネル
P1から他方の屋根パネルP2にかけて起伏の少ない表
面形状が得られる。
【0031】このように防水処理が施された本実施の形
態に示す陸屋根では、防水処理に伴う起伏が段差Tによ
って許容されるため、屋根中央Oから屋根端部Sに向か
ってスムースに水が排水される。よって、パネル工法に
て施工された屋根においても優れた排水性を得ることが
できる。
【0032】なお、本実施の形態では、段差Tにおける
高低差Hを、少なくとも一方の防水シート4と、他方の
防水シート4とを重ね合わせた厚みに対して大きく取る
ようにしている。この理由としては、一方の屋根パネル
P1から他方の屋根パネルP2にかけて起伏のない表面
形状を得るためである。尚、本実施の形態では、一般的
な防水シート4の厚みを考慮して、約4mm程度の高低
差Hを設けるようにしている。
【0033】また、本実施の形態では、接合部分Xにお
ける他方の屋根パネルP2に設けられた防水シート4の
下面側に鉄板5を配置し、その防水シート4を鉄板5の
厚みによって若干持ち上げ水の回り込みを防止している
が、この鉄板5は必ずしも必要とされず、例えば、接合
部分Xの隙間Cが比較的狭い場合などには、鉄板5を省
略して防水処理を施してもよい。
【0034】また、本実施の形態では、略水平に展開さ
れた陸屋根に本発明を適用したが、本発明は、陸屋根の
みならず、勿論、多の形状をなす屋根全般に広く応用で
きるものである。
【0035】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、排水性を
損なうことなく防水処理を施せる、屋根パネルの接合部
分における防水構造を提供できる。また、排水性を損な
うことなく防水処理を施せる、屋根パネルの接合部分に
おける防水方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態に係る屋根の概略を示す概略構成
図。
【図2】本実施の形態に係る屋根パネル間の勾配を示す
図。
【図3】本実施の形態に係る屋根パネル接合部分におけ
る防水構造の概略を示す概略図。
【図4】本実施の形態に係る屋根パネル接合部分におけ
る防水構造の要部拡大断面図。
【図5】従来の屋根パネルにおける接合部分の防水構造
を示す要部拡大断面図。
【符号の説明】
1 屋根 2 下地フレーム 3 野地板 4 防水シート 5 鉄板 6 野地板側端面 8 梁 101 屋根パネル 102 下地フレーム 103 野地板 104 防水シート 105 鉄板 C 隙間 O 屋根中央 P 屋根パネル P1 一方の屋根パネル P2 他方の屋根パネル S 屋根端部 T 段差 X 接合部分

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 隣接配置された屋根パネルの接合部分に
    おける防水構造であって、 一方の屋根パネル表面が、
    他方の屋根パネル表面に対して高い位置に設けられ、前
    記一方の屋根パネル上に設けられる防水シートが、前記
    他方の屋根パネル上に延出されその他方の屋根パネル上
    に設けられる防水シート上に重ね合わされて密着されて
    いることを特徴とする屋根パネルの接合部分における防
    水構造。
  2. 【請求項2】 前記一方の屋根パネル表面と前記他方の
    屋根パネル表面との高低差は、前記一方の防水シートと
    前記他方の防水シートとを重ね合わせた厚みに対して大
    きく取られていることを特徴とする請求項1に記載の屋
    根パネルの接合部分における防水構造。
  3. 【請求項3】 前記一方の屋根パネルから、前記他方の
    屋根パネルにかけて下り傾斜が付けられていることを特
    徴とする請求項1又は2に記載の屋根パネルの接合部分
    における防水構造。
  4. 【請求項4】 前記一方の屋根パネルと前記他方の屋根
    パネルとの間には、板材が設けられ、前記一方の防水シ
    ートと前記他方の防水シートとは、この板材上で重なり
    合っていることを特徴とする請求項1から3の何れかに
    記載の屋根パネルの接合部分における防水構造。
  5. 【請求項5】 前記隣接配置される各屋根パネルは、略
    水平に配置されて陸屋根を形成していることを特徴とす
    る請求項1から4の何れかに記載の屋根パネルの接合部
    分における防水構造。
  6. 【請求項6】 隣接配置された屋根パネルの接合部分に
    おける防水方法であって、 一方の屋根パネル表面を他
    方の屋根パネル表面に対して高い位置に設けると共に、
    前記一方の屋根パネル上に設けられる防水シートを、前
    記他方の屋根パネル上に延出させてその他方の屋根パネ
    ル上に設けられる防水シートに重ね合わせて密着させる
    ことを特徴とする屋根パネルの接合部分における防水方
    法。
  7. 【請求項7】 前記一方の屋根パネル表面と前記他方の
    屋根パネル表面との高低差を、前記一方の防水シートと
    他方の防水シートとを重ね合わせた厚みに対して大きく
    取ることを特徴とする請求項6に記載の屋根パネルの接
    合部分における防水方法。
  8. 【請求項8】 前記各屋根パネルを略水平に配置すると
    共に、前記一方の屋根パネルから前記他方の屋根パネル
    にかけて下り傾斜を付けることを特徴とする請求項6又
    は7に記載の屋根パネルの接合部分における防水方法。
  9. 【請求項9】 前記一方の屋根パネルと前記他方の屋根
    パネルとの間に、板材を設けた後、前記一方の防水シー
    トと前記他方の防水シートとを、この板材上で重ね合わ
    せることを特徴とする請求項6から8の何れかに記載の
    屋根パネルの接合部分における防水方法。
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