JP2002227197A - アンカー部材用袋体及びそれを用いたアンカー部材、並びにそれを用いたアンカー工法 - Google Patents
アンカー部材用袋体及びそれを用いたアンカー部材、並びにそれを用いたアンカー工法Info
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Abstract
のできるアンカー部材用袋体及びそれを用いたアンカー
部材、並びにそれを用いたアンカー工法を提供する。 【解決手段】 構造物を地盤に定着させるアンカー部材
Aに用いられる袋体4であって、水膨潤性繊維を混合し
た糸で筒状に織成してなることを特徴とし、この袋体4
を用いて、アンカー部材Aとすることで、外部からの水
の浸入を防ぎ、アンカー部材A内部の引張り部材1の錆
を防止し、アンカー部材Aの内部破壊を防止する。
Description
着させるアンカー部材用袋体及びそれを用いたアンカー
部材、並びにそれを用いたアンカー工法に関する。
せる場合に、アンカー部材が広く使用されている。この
アンカー部材は、地盤に孔を穿設し、その孔に鋼棒より
なる引張り部材を挿入し、その引張り部材の先端のアン
カー定着部を前記孔に圧入したモルタル等で地盤に固定
し、頭部をジャッキで緊張してねじや楔で構造物に固定
するものであって、このアンカー部材を介して構造物を
地盤に定着させている。
に対して一時的に使用され、不必要になったときには除
去される仮設アンカー部材と、永久構造物に対して使用
し、その構造物が存在する間は、アンカー機能を果す永
久アンカー部材とがある。
におけるグラウトやモルタル等の自硬性流体にクラック
が発生し、そのクラックから水が浸入して引張り部材が
腐蝕して耐久性が低下する恐れがある。
部を保護する手段として、当該アンカー定着部に繊維製
筒体を被せ、この繊維製筒体内に自硬性流体を二次注入
して自硬性流体を補強し、クラックの発生を防止する方
法が知られている。
トやモルタル等の自硬性流体が繊維製筒体によって内部
と外部とに二分されることとなり、繊維製筒体とモルタ
ル等との界面において剥がれが生じ、引張り部材に引張
り力が作用したときに引張り部材が繊維製筒体と共に抜
けるおそれがある。
7−45631号公報に開示されるような永久アンカー
部材が開発された。これは、引張り部材の上に袋体を嵌
合し、その袋体の中にモルタル等の自硬性流体を注入
し、アンカー部材とするものである。
ンカー部材においては、袋体の内部の自硬性流体にクラ
ックが発生すると、このクラック内に、袋体を通過して
内部に浸透してきた水分が浸入するおそれがある。一般
にセメントは、アルカリ性であるため、引張り部材であ
る鉄筋等が錆びるのを防止している。しかし、クラック
から水分が浸入すると、この水分は、弱い酸性であるた
め、セメントを腐食するとともに、引張り部材である鉄
筋に錆びを発生させる。鉄筋に錆びが発生すると、錆の
ために鉄筋の径が大きくなり、セメントの破壊を助長さ
せるものとなり、アンカー部材の内部破壊につながる。
造物と地盤とをより強固に定着させることのできるアン
カー部材用袋体及びそれを用いたアンカー部材、並びに
それを用いたアンカー工法を提供することを目的とす
る。
の本発明の請求項1に記載のアンカー部材用袋体は、構
造物を地盤に定着させるアンカー部材に用いられる袋体
であって、縦糸及び横糸とで織製されてなり、前記縦糸
と前記横糸のいずれか一方若しくは両方が水膨潤性繊維
を混合した糸で筒状に織成してなることを特徴とする袋
体が水膨潤性繊維を混合した糸で構成されているため、
例えば、グラウト、セメントミルクやモルタル等の自硬
性流体を注入した場合、初期には、自硬性流体中に含ま
れる水分は袋体の外に流出するが、その後、袋体を構成
する糸に混合した水膨潤性繊維が膨張して、袋体の織り
目部分の孔や繊維間を塞ぎ、袋体内外部の水分の通過が
抑制され、袋体外部からの水分の浸透がなくなる。その
うえ、初期には水分が流出するので、緻密な硬化体とな
る。
を地盤に定着させるアンカー部材であって、引張り部材
の一端に構造物に対する固定機能を有する頭部を形成
し、前記引張り部材の前記頭部の下方には、縦糸及び横
糸とで織製されてなり、前記縦糸と前記横糸のいずれか
一方若しくは両方が水膨潤性繊維を混合した糸で筒状に
織成してなる袋体を嵌合して、前記袋体の中に自硬性流
体を注入して、前記袋体本体を膨張させて地盤に密着さ
せてなることを特徴とする。袋体が水膨潤性繊維を混合
した糸で構成されているため、例えば、グラウト、セメ
ントミルクやモルタル等の自硬性流体を注入した場合、
自硬性流体中に含まれる水分によって、袋体を構成する
糸を混合した水膨潤性繊維が膨張して、袋体の織り目部
分の孔や繊維間を塞ぎ、袋体内外部の水分の通過がなく
なる。このため、袋体外部からの水分の浸透がなくなる
ため、自硬性流体の固化後に、クラック等が発生した場
合であっても、内部の引張り部材にまで、水分が浸入す
ることがなくなる。このため、内部の引張り部材である
鉄筋等が錆びることを予防でき、アンカー部材として使
用した場合であっても、アンカー部材の内部破壊を抑制
することができる。ここで、自硬性流体とは、セメント
ミルク、モルタル等のように、時間の経過とともに、固
化する流体をいう。
アンカー挿入用の孔を掘削する工程と、引張り部材に袋
体を嵌合し、前記袋体が嵌合された引張り部材を前記孔
に挿入する工程と、前記袋体内に自硬性流体を注入して
前記袋体本体を膨張させる工程と、からなる構造物を地
盤に定着させるアンカー工法であって、前記袋体が、水
膨潤性繊維を混合した糸で織成された筒状の袋体である
ことを特徴とする。袋体が水膨潤性繊維を混合した糸で
筒状に織成されているため、自硬性流体を注入すると袋
体は膨張する。そして、自硬性流体注入当初は、袋体の
織り目部分の孔や繊維間から自硬性流体中の余剰水が出
るので、袋体内には、自硬性流体の硬化に必要な水しか
残らない。そのため、袋体内部の自硬性流体は、緻密な
硬化体となる。そのうえ、次第に水膨潤性繊維が水を吸
収し、袋体の織り目部分の孔や繊維間が詰まり、水が出
なくなる。その後、地震等で硬化した自硬性流体にクラ
ックが入っても、水膨潤性繊維は膨潤したままであるた
め、袋体外部から水が浸入してくることがなくなる。
実施の形態例を説明する。図1は本発明の永久アンカー
部材Aの一実施形態例の使用状態を示すものである。本
実施形態例に係るアンカー部材Aは、鋼棒等よりなる引
張り部材1と、その引張り部材1の一端に形成された構
造物等の地盤7に対し固定機能を発現するブロック6を
有する頭部2と、引張り部材1の他端に形成されたアン
カー定着部3とで構成されている。このアンカー定着部
3は、ブロック6に取付けられ、ブロック6の下方側に
位置する引張り部材1の先端部に嵌合された水膨潤性繊
維を混合した糸で筒状に織成されてなる袋体4と、この
袋体4内に注入されたグラウト、セメントミルクやモル
タル等の自硬性流体とで構成されている。なお、袋体は
異径筒状のものを使用すれば、アンカー部材を地盤によ
り強固に定着することができる。
一方に水膨潤性樹脂を浸漬加工した繊維または吸水繊維
を混合した糸を用いて異径に織製された筒状袋体であ
る。なお、水膨潤性樹脂を浸漬加工した繊維をそのまま
糸として使用してもよい。そして、引張り部材1の外周
面を覆うように被せられており、頭部2或いはブロック
6に任意の方法によって取り付けられている。この袋体
4は、水膨潤性樹脂を浸漬加工した繊維や吸水繊維を混
合した糸を用いて織製されたものに限らず、例えば、織
物の状態で水膨潤性樹脂を塗布加工や浸漬加工したもの
であってもよい。また、溶媒を吸収し、ゼリー状になっ
た水膨潤性樹脂を塗布し、乾燥してもよい。
子類のでんぷん系、セルロース系、合成高分子類のポリ
ビニルアルコール系、アクリル系、ポリエーテル系、縮
合ポリマー等があげられる。本実施形態例に係る袋体4
は、溶媒によって液状化させた水膨潤性樹脂に、ポリエ
ステル繊維を浸漬し、乾燥することで縦糸及び横糸を作
り、そのまま使用した。繊維への加工の際、これらの樹
脂の付着量等を調整することにより所望の流体不透過性
を有した袋体とすることができる。
績(株)の「ランシールF」(商品名)を使用すること
ができる。さらに、これと合成繊維を混紡したものを使
用することもできる。混紡する量を調整することで所望
の流体不透過性が得られる。
メントミルクやモルタル等を使用するため、袋体内部は
アルカリ性雰囲気になるため、広範囲のph領域で安定
した膨潤性を示すポリビニルアルコール系の樹脂が好ま
しい。中でも、非イオン性樹脂を使用するのが好まし
い。
ーを形成するには、先ず地盤7に孔8を掘削し、この孔
8内にアンカー部材Aを挿入する。そして、頭部2から
袋体4内部に通ずる図示省略する自硬性流体5の注入口
から、グラウト、セメントミルク、モルタル等の自硬性
流体を注入して袋体4を膨張させ、引張り部材1と地盤
に形成した孔8内面との間をシールする。自硬性流体5
注入初期には、自硬性流体5に含まれる余剰水が袋体4
の織成された織り目部分の孔や繊維間より袋体4の外部
に流出する。その後、袋体4を構成する糸に混合した水
膨潤性繊維が膨潤し、袋体4の織り目部分の孔や繊維間
が塞がれる。これによって、袋体4内部には、自硬性流
体5の硬化に必要な水しか残らないので、緻密な硬化体
となる。加えて、自硬性流体5の外部への流出も防げる
ため、袋体4内部への自硬性流体5の注入量も必要最低
限とすることができる。さらに、水膨潤性繊維は、膨潤
すると膨潤したままであるため袋体4の織り目部分の孔
や繊維間は、塞がれた状態のまま維持される。このた
め、袋体4外部からの水分等の浸入も防ぐことができ
る。このように、自硬性流体5が硬化した後では、袋体
4内には、水分が残らず、また、外部からの水分の浸入
もないことから、鋼棒等からなる引張り部材1を錆びさ
せる水が袋体4内に存在しなくなる。このため、自硬性
流体5に、例えば、地震等によってクラックが発生した
場合であっても、袋体4内に水分が、存在しないため鋼
棒等の引張り部材1が錆びることがなく、アンカー部材
Aの内部破壊を防止でき、耐久性に優れたものとでき
る。
よって構造物に固定し、頭部2の周囲にシール材を充填
する。以上の工程により、頭部2が構造物に定着される
と共にアンカー定着部3が孔8の奥部の地盤7に定着さ
れ、その間の引張り部材1に引張り力が加えられ、構造
物は地盤に対して強固に定着される。なお、図1〜図3
は、法面に用いた場合であり、ブロック6の固定に用い
られている。
他の実施形態例を示すものであって、袋体4が太いテー
パー状をなしている。本実施形態例によると、引張り部
材1と地盤の孔8とが自硬性流体5により強固に定着さ
れると共に、引張り部材1に加わる荷重や地盤の変動な
どにより自硬性流体5全体に亙ってクラックが生じるこ
とが少なくなる。また、袋体4と地盤7に形成された孔
8との間の接触面積が大きく、また袋体4の形状による
アンカー効果により袋体4が地盤7から抜けることがな
く、長期間の定着が可能となる。
他の実施形態例を示すものであって、袋体4が波状をな
し、複数の異径部9が形成されている。本実施形態例に
よると、袋体4と地盤7に形成された孔8との間の接触
面積を大きくとることができ、また袋体4の形状による
アンカー効果により袋体4が地盤7から抜けることがな
く、長期間の定着が可能となる。
過が抑制できるため、例えば、袋体内部のモルタル等に
クラックが発生した場合であっても、外部からの水の浸
入がないため、モルタル内部の鋼棒等の引張り部材が錆
びることがなくなり、アンカー部材の内部破壊を防止す
ることができ、永久アンカーとして耐久性に優れたもの
とできる。また、自硬性流体の注入の最終段階では、水
が抜けることがなくなるため、袋体の注入口の圧力と先
端側の圧力間での損失が少ない。そのため強固なアンカ
ー部材が形成される。
面図である。
断面図である。
断面図である。
Claims (3)
- 【請求項1】 構造物を地盤に定着させるアンカー部材
に用いられる袋体であって、縦糸及び横糸とで織製され
てなり、前記縦糸と前記横糸のいずれか一方若しくは両
方が水膨潤性繊維を混合した糸で筒状に織成してなるこ
とを特徴とするアンカー部材用袋体。 - 【請求項2】 構造物を地盤に定着させるアンカー部材
であって、引張り部材の一端に構造物に対する固定機能
を有する頭部を形成し、前記引張り部材の前記頭部の下
方には、縦糸及び横糸とで織製されてなり、前記縦糸と
前記横糸のいずれか一方若しくは両方が水膨潤性繊維を
混合した糸で筒状に織成してなる袋体を嵌合して、前記
袋体の中に自硬性流体を注入して、前記袋体本体を膨張
させて地盤に密着させてなることを特徴とするアンカー
部材。 - 【請求項3】 地盤にアンカー挿入用の孔を掘削する工
程と、 引張り部材に袋体を嵌合し、前記袋体が嵌合された引張
り部材を前記孔に挿入する工程と、 前記袋体内に自硬性流体を注入して前記袋体本体を膨張
させる工程と、からなる構造物を地盤に定着させるアン
カー工法であって、 前記袋体が、水膨潤性繊維を混合した糸で織成された筒
状の袋体であることを特徴とするアンカー工法。
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2001
- 2001-02-02 JP JP2001026527A patent/JP4532756B2/ja not_active Expired - Fee Related
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