JP2002226513A - スターポリマーおよび高分子電解質 - Google Patents

スターポリマーおよび高分子電解質

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JP2002226513A JP2001355838A JP2001355838A JP2002226513A JP 2002226513 A JP2002226513 A JP 2002226513A JP 2001355838 A JP2001355838 A JP 2001355838A JP 2001355838 A JP2001355838 A JP 2001355838A JP 2002226513 A JP2002226513 A JP 2002226513A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】リチウム電池に好適な高分子固体電解質に使用
される新規スターポリマー、及び該スターポリマー及び
リチウム塩からなり、イオン伝導率が高く、成形性に優
れた高分子電解質を提供する。 【解決手段】中心核と、該中心核より伸びるポリマー鎖
からなるアーム部(A)を有する星型ブロック共重合体
であって、前記アーム部(A)は、一般式(I) 【化1】 (式中、R1、R3は水素原子又はメチル基を表し、R2
は水素原子又はC1〜C6のアルキル基を表し、R4
水素原子、アルキル基、アリール基、アシル基又はシリ
ル基を表し、nは0、1又は2を表し、mは1〜50の
整数を表す。)で表される繰り返し単位を有するポリマ
ー鎖(A1)を含み、前記中心核が重合可能な二重結合
を有する多官能性化合物が架橋してなるポリマーからな
るスターポリマー、及び該スターポリマーとリチウム塩
との複合物からなる高分子電解質。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、中心核とアルケニ
ルフェノール系単独重合体又は共重合体をポリマー鎖と
するアーム部とからなり、側鎖にアルキレンオキサイド
ユニットを有するスターポリマー、及び該スターポリマ
ーとリチウム塩との複合物からなる高分子電解質に関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年のマイクロエレクトロニクス化の進
展は、メモリーバックアップ電源に代表されるように、
電池の機器内収納、素子、回路との一体化に伴って、電
池の小型化、薄型化、軽量化が望まれている。しかし、
液体電解質を使用する電池では、電極と電極との接触を
防止するため電極間にセパレーターが必要であるため、
電池の小型化、薄型化に制約があるほか、液漏れの心配
や使用温度範囲が狭い等の問題がある。
【0003】これらの問題に対して、電解液を固体化す
る方法として高分子電解質を用いる試みがなされてい
る。これまでに、かかる高分子固体電解質として、ポリ
エチレンオキサイド、ポリエチレンイミン、ポリフォス
ファゼンとリチウム塩とを組み合わせを用いた系が報告
されている。また、特公平5−74195号公報には、
下記一般式(VII)
【0004】
【化7】
【0005】(式中、Ra、Rbはそれぞれ水素原子、
メチル基等を表し、Rcはアルキル基、アリール基等を
表す。pは1〜45の整数であり、qは正整数を表す。
また式中の
【0006】
【化8】
【0007】で示されるグラフト鎖の数平均分子量は4
5以上2000未満である。)で表される繰り返し単位
からなる少なくとも1種の重合体のブロック鎖Aと、一
般式(VIII)
【0008】
【化9】
【0009】(ここに、Rdは水素原子、メチル基等を
表し、Mは式:−CH=CH2、−C(CH3)=C
2、−COOCH3又は−COOC25で表される基、
フェニル基又は置換フェニル基を表し、sは正整数を表
す。)で表される繰り返し単位からなる少なくとも1種
の重合体のブロック鎖Bとから構成されるブロック−グ
ラフト共重合体のリチウム塩との複合物を、電解質とし
て内蔵してなるリチウム電池が記載されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の高分子電解質を用いるリチウム電池は、(i)イオン
伝導率が十分でない、(ii)強度が不十分である、(iii)
成形性に乏しい、(iv)電極に対して不安定である等の問
題点を有している。そのため、放電特性面で満足できる
ものではなく、また、経時的に性能低下が大きく、電池
寿命にも難があった。
【0011】本発明は上記問題点に鑑みてなされたもの
であり、高分子電解質に好適に使用される新規スターポ
リマー、及び該スターポリマー及びリチウム塩からな
り、イオン伝導率が高く、成形性に優れた高分子電解質
を提供することを課題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく鋭意検討した結果、中心核と該中心核より
伸びるアーム部(A)からなり、その側鎖にアルキレン
オキサイドユニットを有するスターポリマーをリチウム
塩との複合物とすることにより、イオン伝導率が高く、
成形性のよい高分子固体電解質を得ることができること
を見出し、本発明を完成するに至った。
【0013】すなわち、本発明は第1に、中心核と、該
中心核より伸びるポリマー鎖からなるアーム部(A)を
有するスターポリマーであって、前記アーム部(A)
は、一般式(I)
【0014】
【化10】
【0015】(式中、R1は、水素原子又はメチル基を
表し、R2及びR3はそれぞれ独立して、水素原子又はC
1〜C6のアルキル基を表し、R4は水素原子、アルキ
ル基、アリール基、アシル基又はシリル基を表し、nは
0、1又は2を表す。nが2の場合、R2は同一又は相
異なっていてもよい。また、mは1〜50の整数を表
す。)で表される繰り返し単位を有するポリマー鎖(A
1)を含むことを特徴とするスターポリマーを提供す
る。
【0016】本発明のスターポリマーにおいては、前記
ポリマー鎖(A1)は、次の(a)〜(d)のいずれか
であるのが好ましい。 (a)前記一般式(I)で表される繰り返し単位からな
るホモポリマー。 (b)前記一般式(I)及び一般式(II)
【0017】
【化11】
【0018】(式中、R5は水素原子又はメチル基を表
し、R6は水素原子又はC1〜C6のアルキル基を表
し、rは0、1又は2を表す。rが2の場合、R6は同
一又は相異なっていてもよい。)で表される繰り返し単
位を有する共重合体。 (c)前記一般式(I)及び一般式(III)
【0019】
【化12】
【0020】〔式中、R7は水素原子又はC1〜C6の
アルキル基を表し、R8は、式:−CH=CH2、−C
(CH3)=CH2又は−CO2R’(R’はC1〜C6
のアルキル基を表す。)で表される基を表す。〕で表さ
れる繰り返し単位を有する共重合体。 (d)前記一般式(I)、一般式(III)及び一般式(I
I)で表される繰り返し単位を有する共重合体。
【0021】本発明のスターポリマーにおいて、アーム
部は、ポリマー鎖(A1)と、一般式(IV)
【0022】
【化13】 (式中、R9は、水素原子又はメチル基を表し、R
10は、水素原子、C1〜C12のアルキル基、置換基を
有してもよいC3以上の脂環式骨格を有する炭化水素
基、置換基を有してもよいC3以上の脂環式骨格を有す
る炭化水素基を有するアルキル基、置換基を有していて
もよいフェニル基又はヘテロ環基を表す。)で表される
繰り返し単位(A21)を有するポリマー鎖(A2)と
を有していてもよい。
【0023】この場合において、前記ポリマー鎖(A
2)は、前記繰り返し単位(A21)及び一般式(V)
【0024】
【化14】
【0025】(式中、R11は、水素原子、メチル基又は
置換基を有していてもよいアリール基を表し、R12は、
C1〜C6のアルキル基又はOR13基(R13は、水素原
子、C1〜C6のアルキル基又は酸分解脱離基を表し、
tは0又は1〜3の整数を表す。tが2以上の場合、R
12は同一又は相異なっていてもよい。)で表される繰り
返し単位(A22)を有していてもよく、中心核より順
に(A22)−(A21)型にブロック共重合してなる
のが好ましい。
【0026】本発明のスターポリマーとしては、アーム
部(A)を構成するポリマー鎖の数平均分子量は1,0
00〜100,000であるものが好ましい。
【0027】本発明のスターポリマーは、その中心核が
多官能性カップリング剤が架橋してなるのが好ましい。
この場合において、前記多官能性カップリング剤として
は、1分子あたり少なくとも二つの重合性二重結合を有
する化合物であるのが好ましく、一般式(VI)
【0028】
【化15】
【0029】〔式中、R14は、水素原子又はメチル基を
表し、Yは酸素原子、イオウ原子、r 12N(r1及び
2はそれぞれ独立して、水素原子、C1〜C6のアル
キル基、アルコキシカルボニル基を表す。)、置換基を
有していてもよいメチレン基、置換基を有していてもよ
いフェニレン基、C(r34)O、C(r56)S、C
(r78)N(r9)、OC(r1011)、SC(r12
13)、N(r14)C(r1 516)、OCO又はCO2
CH3を表し、r3〜r16はそれぞれ独立して、C1〜C
6のアルキル基又は置換基を有していてもよいフェニル
基を表す。wは0、1又は2を表し、wが2の場合、Y
は同一又は相異なっていてもよい。また、uは2又は3
を表し、この場合、Y、R9及びWは同一又は相異なっ
ていてもよい。〕で表される化合物であるのがより好ま
しい。
【0030】また、本発明のスターポリマーは、数平均
分子量が20,000〜500,000であるのが好ま
しい。
【0031】本発明は第2に、本発明のスターポリマー
の1種又は2種以上と、リチウム塩の1種又は2種以上
との複合物からなる高分子電解質を提供する。
【0032】本発明によれば、イオン伝導率が高く、成
形性のよい高分子固体電解質に好適なスターポリマー及
び高分子電解質が提供される。また、本発明の高分子電
解質を用いることにより、高性能かつ長寿命なリチウム
電池を製造することができる。
【0033】
【発明の実施の形態】以下に、本発明を詳細に説明す
る。 1)本発明のスターポリマー 本発明のスターポリマーは、中心核と、該中心核に少な
くとも前記一般式(I)で表される繰り返し単位を有す
るポリマー鎖(A1)を含有するアーム部を有する。
【0034】本発明のスターポリマーのポリマー鎖(A
1)は、次の〜のいずれかからなるのが好ましい。 前記一般式(I)で表される繰り返し単位からなるホ
モポリマー。 一般式(I)で表される繰り返し単位中、R1、R3はそ
れぞれ独立して、水素原子又はメチル基を表し、R
2は、水素原子、又はメチル基、エチル基、イソプロピ
ル基、t−ブチル基等のC1〜C6のアルキル基を表
す。R4は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロ
ピル、n−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、n−
ペンチル、n−ヘキシル等のアルキル基;アセチル、プ
ロピオニル、フェニルアセチル、ベンゾイル、4−クロ
ロベンゾイル、4−メチルベンゾイル等のアシル基;ト
リメチルシリル、トリエチルシリル、t−ブチルジメチ
ルシリル等のシリル基;等を表す。nは0、1又は2を
表し、nが2の場合、R2は同一又は相異なっていても
よい。mは1〜50の整数を表す。
【0035】前記一般式(I)で表される繰り返し単
位及び一般式(II)で表される繰り返し単位を有する共
重合体。 前記一般式(II)で表される繰り返し単位中、R5は水
素原子又はメチル基を表す。R6は、水素原子、又はメ
チル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル基等の
C1〜C6のアルキル基を表し、rは0、1又は2を表
す。rが2の場合、R6は同一又は相異なっていてもよ
い。また、これらの置換基の置換位置は特に制限されな
い。
【0036】前記一般式(I)及び一般式(III)で
表される繰り返し単位を有する共重合体。 前記一般式(III)で表される繰り返し単位中、R7は、
水素原子;又はメチル基、エチル基、イソプロピル基、
t−ブチル基等のC1〜C6のアルキル基;を表す。R
8は、式:−CH=CH2、−C(CH3)=CH2、又は
−CO2R’を表す。ここで、R’は、メチル、エチ
ル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブ
チル基等のC1〜C6のアルキル基を表す。
【0037】前記一般式(I)、一般式(II)及び一般
式(III)で表される繰り返し単位を有する共重合体。
【0038】上記、及びの場合、一般式(I)、
(II)及び(III)で表される繰り返し単位の結合順序
や共重合の様式等に特に制限はないが、ブロック共重合
体であるのが好ましい。
【0039】本発明のスターポリマーのアーム部(A)
を構成するポリマー(アームポリマー)鎖の数平均分子
量は特に限定されず、1,000〜100,000の範
囲を具体的に例示することができる。
【0040】本発明のスターポリマーの中心核として
は、多官能性カップリング剤が重合架橋した構造を有す
る中心核が好ましい。多官能性カップリング剤としては
3官能以上の化合物が好ましいが、2官能の化合物であ
っても、重合体を形成して3官能以上の化合物を形成す
ることができる場合は、使用することができる。
【0041】上記多官能性カップリング剤としては、例
えば、ジビニル芳香族化合物、トリビニル芳香族化合物
等の一般式(VI)で表される化合物、ジエポキシド、ジ
ケトン、ジアルデヒド及び一般式(IX)
【0042】
【化16】
【0043】で表される化合物(式中、Xは、ハロゲン
原子、C1〜C6のアルコキシル基及び炭素数2〜6の
アシルオキシル基からなる群より選択される置換基を表
す。R 1及びR2は、それぞれ、水素原子又はC1〜C6
の1価の炭化水素基を表し、R 1及びR2は同一であって
も異なっていてもよい。R3は、a個の置換基(CR1
2X)を有することができる多価の芳香族炭化水素基又
は多価の脂肪族炭化水素基を表す。aは3〜6のいずれ
かの整数を表す。)を挙げることができる。
【0044】上記一般式(IX)において、Xは、ハロゲ
ン原子、炭素数1〜6のアルコキシル基又はC2〜C6
のアシルオキシ基を表す。ここで、ハロゲン原子として
は、例えば、塩素、フッ素、臭素、ヨウ素等を挙げるこ
とができる。C1〜C6のアルコキシル基としては特に
限定されず、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−又
はイソプロポキシ基等を挙げることができる。また、C
2〜C6のアシルオキシ基としては、例えば、アセチル
オキシ基、プロピオニルオキシ基等を挙げることができ
る。
【0045】R1及びR2は同一又は相異なって、水素原
子又はC1〜C6の1価の炭化水素基を表す。上記C1
〜C6の1価の炭化水素基としては特に限定されず、例
えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロ
ピル基等を挙げることができる。また、R3は、a個の
置換基(CR12X)を有することができる多価の芳香
族炭化水素基又は多価の脂肪族炭化水素基を表し、aは
3〜6のいずれかの整数を表す。
【0046】一般式(IX)で表される化合物として、下
記化学式で表される化合物を具体的に例示することがで
きる。
【0047】
【化17】
【0048】上記ジビニル芳香族化合物としては、例え
ば、1,3−ジビニルベンゼン、1,4−ジビニルベン
ゼン、1,2−ジイソプロペニルベンゼン、1,3−ジ
イソプロペニルベンゼン、1,4−ジイソプロペニルベ
ンゼン、1,3−ジビニルナフタレン、1,8−ジビニ
ルナフタレン、2,4−ジビニルビフェニル、1,2−
ジビニル−3,4−ジメチルベンゼン、1,3−ジビニ
ル−4,5,8−トリブチルナフタレン、2,2’−ジ
ビニル−4−エチル−4’−プロピルビフェニル等を挙
げることができる。これらは単独で用いてもよく、2種
以上を併用してもよい。
【0049】かかるジビニル芳香族化合物として、例え
ば、エチルビニルベンゼン等との混合物として通常市販
されているものであっても、上記ジビニル芳香族化合物
が主たる成分であればそのまま使用することが可能であ
り、また必要に応じて精製して純度を高めて用いてもよ
い。さらに、スチレン等の他の重合可能な二重結合芳香
族化合物等を混合して使用することもでき、この場合、
スチレンの混合比率は、ジビニル芳香族化合物等と混合
して架橋重合した中心核を形成することができれば、特
に限定されないが、1〜50重量%、好ましくは5〜2
0重量%の範囲である。
【0050】トリビニル芳香族化合物としては、例え
ば、1,2,4−トリビニルベンゼン、1,3,5−ト
リビニルナフタレン、3,5,4’−トリビニルビフェ
ニル、1,5,6−トリビニル−3,7−ジエチルナフ
タレン等を挙げることができる。これらは単独で用いて
もよく、2種以上を併用してもよい。
【0051】ジビニル芳香族化合物やトリビニル芳香族
化合物として、ビニル基と芳香環の間に、スペーサーを
設けた化合物群をさらに好ましく例示することができ
る。より具体的には、下記式に示す化合物を例示するこ
とができ、これらは単独で用いてもよく、2種以上を併
用してもよい。
【0052】
【化18】
【0053】ジエポキシドとしては特に限定されず、例
えば、シクロヘキサンジエポキシド、1,4−ペンタン
ジエポキシド、1,5−ヘキサンジエポキシド等を挙げ
ることができる。これらは単独で用いてもよく、2種以
上を併用してもよい。
【0054】ジケトンとしては特に限定されず、例え
ば、2,4−ヘキサン−ジオン、2,5−ヘキサン−ジ
オン、2,6−ヘプタン−ジオン等を挙げることができ
る。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用して
もよい。
【0055】ジアルデヒドとしては特に限定されず、例
えば、1,4−ブタンジアール、1,5−ペンタンジア
ール、1,6−ヘキサンジアール等を挙げることができ
る。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用して
もよい。
【0056】また、上記多官能性カップリング剤とし
て、下記式からなるシラン化合物等より選択される少な
くとも1種の化合物を用いることもできる。
【0057】
【化19】
【0058】
【化20】
【0059】また、下記化学式で表される化合物を多官
能性カップリング剤として使用することもできる。
【0060】
【化21】
【0061】2)スターポリマーの製造 本発明に用いられるポリマー鎖(A1)を含むアーム部
(A)を有するスターポリマーは、例えば、分子内に、
一般式(X)
【0062】
【化22】
【0063】(式中、R1、R2及びnは前記と同じ意味
を表す。)で表される繰り返し単位を有するスターポリ
マー(以下、「スターポリマー(X)」と略す。)の有機
溶媒溶液に塩基を反応させて、スターポリマー(X)の側
鎖の水酸基をカルバニオン化し、これに一般式(XI)
【0064】
【化23】
【0065】(式中、R3は前記と同じ意味を表す。)
で表されるアルキレンオキサイド(以下、「アルキレン
オキサイド(XI)」と略す。)を加えて、グラフト鎖を成
長させることによって製造することができる。
【0066】スターポリマー(X)の側鎖の水酸基のカル
バニオン化は、これを濃度1〜30重量%、好ましくは
1〜10重量%の有機溶媒溶液に、塩基又は塩基の有機
溶媒溶液を−20℃〜50℃で滴下し、0℃〜30℃で
数時間撹拌することにより行うことができる。
【0067】用いられる塩基としては、例えば、式:R
−M’(ここで、Rは、t−ブチルエーテル、n−ブチ
ル、ジフェニルエチレン、ベンジル、ナフタレン又はク
ミル基等を表し、M’はナトリウム、カリウム、セシウ
ム原子を表す。)で表される有機アルカリ金属等が挙げ
られる。より具体的には、カリウム t−ブトキシド、
ナフタレンカリウム、ジフェニルエチレンカリウム、ベ
ンジルカリウム、クミルカリウム、ナフタレンナトリウ
ム、クミルセシウム等を用いることができる。
【0068】塩基の使用量は、後述する原料となるスタ
ーポリマー(X)中に含まれるフェノール性水酸基1モル
に対し、0.1モル〜10モル、好ましくは0.5モル
〜3モルの範囲である。
【0069】反応に用いることのできる有機溶媒として
は、n−ヘキサン、n−ヘプタン等の脂肪族炭化水素
類;シクロヘキサン、シクロペンタン等の脂環式炭化水
素類;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類;ジエ
チルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキ
サン等のエーテル類;等のほか、アニソール、ヘキサメ
チルホスホロアミド等のアニオン重合において通常使用
される有機溶媒を挙げることができ、これらは1種単独
又は2種以上の混合溶媒として使用することができる。
【0070】カルバニオンの生成は、例えば、反応生成
物をトリメチルシリルクロリドとを反応させた後、メタ
ノール中で沈殿、精製後、乾燥して得られた試料を、1
H−NMRによってヒドロキシル基の消滅、及びトリメ
チルシリル基の増加量を測定することにより確認するこ
とができる。
【0071】次に、カルバニオン化したスターポリマー
(X)に、アルキレンオキサイド(XI)を蒸気状あるい
は液状で加える。反応は、通常0〜80℃で1〜48時
間かけて行われる。用いられるアルキレンオキサイド
(XI)としては、例えば、エチレンオキサイド、プロピ
レンオキサイド、ブチレンオキサイド等が挙げられる。
【0072】反応終了後、反応液に、例えば、塩酸、硫
酸、酢酸等の酸類;式:R4−X’(R4は前記と同じ意
味を表し、X’はハロゲン原子を表す。)で表されるハ
ライド類を添加することにより反応を停止させる。式:
4−X’で示される化合物としては、例えば、メチル
ブロマイド、ベンジルクロライド等のハロゲン化物;ト
リメチルシリルクロライド、t−ブチルジメチルシリル
クロライド等のシリル化合物;アセチルクロライド、ベ
ンゾイルクロライド等の酸ハライド類;等が挙げられ
る。
【0073】反応液をn−ヘキサン等の有機溶媒中に注
ぐと沈殿が生じ、沈殿物をろ取し、乾燥することにより
目的物を単離することができる。得られたスターポリマ
ーのキャラクタリゼーションは、膜浸透圧計で数平均分
子量を測定し、赤外線吸収スペクトル、1H−NMRで
構造や組成を決定し、その結果からグラフト鎖の長さ、
数を決定することができる。また、GPC(ゲル・パー
ミエーション・クロマトグラフィー)で目的物が単離で
きているか否かの判断と分子量分布を推測することがで
きる。
【0074】以上のようにして得られるスターポリマー
は、数平均分子量が20,000〜500,000の範
囲にあるのが好ましい。
【0075】3)スターポリマー(X) 出発原料となるスターポリマー(X)は、アニオン重合
開始剤を重合開始剤とするアニオン重合法により、一般
式(XII)
【0076】
【化24】
【0077】で表される化合物(以下、「化合物(XI
I)」という)を単独重合させた後、あるいは化合物(X
II)と共重合可能な化合物と共重合させた後、さらに多
官能性カップリング剤を共重合させ、フェノール性水酸
基の保護基(R15)を脱離させる方法や、アニオン重
合開始剤を重合開始剤とするアニオン重合法により、化
合物(XII)を単独重合させた後、多官能性カップリング
剤を共重合させ、さらにアニオン重合可能な化合物を共
重合させ、フェノール性水酸基の保護基(R15)を脱離
させる方法により得ることができるものであれば、特に
制限されるものではない。スターポリマー(X)は、具
体的には、特願2000−261074号記載の方法に
より製造することができる。
【0078】前記一般式(XII)中、R1、R2及びnは
前記と同じ意味を表し、R15は、メチル基、エチル基、
n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−
ブチル基、メトキシメチル基、2−メトキシエトキシメ
チル基、ビス(2−クロロエトキシ)メチル基、テトラ
ヒドロピラニル基、4−メトキシテトラヒドロピラニル
基、テトラヒドロフラニル基、トリフェニルメチル基、
トリメチルシリル基、2−(トリメチルシリル)エトキ
シ基、t−ブチルジメチルシリル基、トリメチルシリル
メチル基、t−ブトキシカルボニル基、t−ブチルカル
ボニルメチル基、2−メチル−2−t−ブトキシカルボ
ニルメチル基等の酸分解・脱離基等を表す。また、OR
15基はアルケニル基に対し、p−位であるのが特に好ま
しい。
【0079】化合物(XII)の具体例としては、p−t
−ブトキシスチレン、p−t−ブトキシ−α−メチルス
チレン、p−(テトラヒドロピラニルオキシ)スチレ
ン、p−(テトラヒドロピラニルオキシ)−α−メチル
スチレン、p−(1−エトキシエトキシ)スチレン、p
−(1−エトキシエトキシ)−α−メチルスチレン等が
挙げられる。また、これらは1種単独又は2種以上の混
合物として使用することができる。
【0080】また、化合物(XII)と共重合可能な化合
物としては、例えば一般式(XIII)
【0081】
【化25】
【0082】(式中、R5、R6及びrは前記と同じ意味
を表す。)で表される化合物や、一般式(XIV)
【0083】
【化26】
【0084】(式中、R7及びR8は前記と同じ意味を表
す。)等が挙げられる。一般式(XIII)で表される化合
物としては、具体的には、スチレン、α−メチルスチレ
ン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メ
チルスチレン、2−エチルスチレン、3−エチルスチレ
ン、4−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン等
の置換若しくは無置換のスチレン類が挙げられる。
【0085】一般式(XIV)で表される化合物具体例とし
ては、ブタジエン、3−メチルブタジエン、アクリル酸
メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アル
キル酸イソプロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸t
−ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、
メタクリル酸プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メ
タクリル酸ブチル、メタクリル酸t−ブチル等のビニル
基又は(メタ)アクリロイル基含有化合物が挙げられ
る。
【0086】また、前記アニオン重合可能な化合物とし
ては、例えば、下記一般式(XV)で表されるアクリル酸エ
ステルやメタクリル酸エステルが挙げられる。
【0087】
【化27】
【0088】式中、R9は、水素原子又はメチル基を表
す。R10は水素原子;メチル、エチル、n−プロピル、
イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、t−ブチ
ル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−
オクチル、n−ノニル、n−デシル基等のC1〜C12
アルキル基;シクロプロピル、シクロペンチル、シクロ
ヘキシル、4−メチルシクロヘキシル、シクロプロピル
メチル、シクロペンチルメチル基等の置換基を有しても
よいC3以上の脂環式骨格を有する炭化水素基;フェニ
ル、2−クロロフェニル、3−メトキシフェニル、4−
メチルフェニル、4−t−ブトキシフェニル基等の置換
基を有していてもよいフェニル基;2−ピリジル、3−
ピリジル、4−ピリジル、3−フリル、3−フリル、2
−チエニル、3−チエニル、(1,3−ジオキソラン)
−4−イル、(1,3−ジオキサン)−4−イル、イミ
ダゾイル、ピリミジニル、トリアジニル基等のヘテロ環
基を表す。
【0089】一般式(XV)で表される化合物の具体例とし
ては、アクリル酸;アクリル酸メチル、アクリル酸エチ
ル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピ
ル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、ア
クリル酸n−ヘキシル、アクリル酸シクロペンチル、ア
クリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、アクリ
ル酸2−ピリジル、等のアクリル酸エステル化合物;メ
タクリル酸;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチ
ル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロ
ピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸t−ブチ
ル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸シクロペ
ンチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸フ
ェニル、メタクリル酸2−ピリジル等のメタクリル酸エ
ステル化合物;等が挙げられる。
【0090】前記アニオン重合法に用いられるアニオン
重合開始剤としては、アルカリ金属又は有機アルカリ金
属を例示することができ、アルカリ金属としては、リチ
ウム、ナトリウム、カリウム、セシウム等を例示するこ
とができる。有機アルカリ金属としては、上記アルカリ
金属のアルキル化物、アリル化物、アリール化物等を例
示することができ、具体的には、エチルリチウム、n−
ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチル
リチウム、エチルナトリウム、リチウムビフェニル、リ
チウムナフタレン、リチウムトリフェニル、ナトリウム
ナフタレン、α−メチルスチレンナトリウムジアニオ
ン、1,1−ジフェニルヘキシルリチウム、1,1−ジ
フェニル−3−メチルペンチルリチウム等を挙げること
ができる。
【0091】スターポリマー(X)のアームポリマーの
重合形態としては、例えば、各成分がコポリマー鎖全体
に統計的に分布しているランダム共重合体、部分ブロッ
ク共重合体、完全ブロック共重合体等が挙げられる。
【0092】これらの共重合体は、例えば、化合物(XI
I)及びビニル芳香族化合物の添加法等を適宜選択する
ことにより合成することができる。より具体的には、
化合物(XII)とビニル芳香族化合物との混合物を反応
系に加えて重合することによりランダム共重合体をどち
らか一方の全部をあらかじめ重合しておき、その後、も
う一方の混合物を加えて重合を継続する方法や、どち
らか一方の一部を予め重合しておき、その後両者の混合
物を加えて重合を継続することによリ部分ブロック共重
合体を得る方法、化合物(XII)とビニル芳香族化合
物とを反応系に逐次添加して重合を行うことによリ完全
ブロック共重合体を得る方法等を採用することができ
る。
【0093】このようにして得られたアームポリマーを
分岐ポリマー鎖としてスターポリマーを生成せしめる反
応は、アームポリマー合成反応終了後、反応液中ヘさら
に多官能性カップリング剤を添加することにより行うこ
とができる。この反応は通常、窒素、アルゴン等の不活
性ガス雰囲気下で、有機溶媒中において−100℃〜5
0℃、好ましくは−70℃〜40℃の温度で行われ、構
造が制御され、且つ分子量分布の狭い重合体を得ること
ができる。
【0094】得られた共重合体からフェノール性水酸基
の保護基を脱離させる反応は、前記重合反応で例示した
溶媒の他、メタノール、エタノール等のアルコール類;
アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;メチルセ
ロソルブ、エチルセロソルブ等の多価アルコール類;水
等の1種単独又は2種以上の混合溶媒の存在下、塩酸、
硫酸、塩化水素ガス、臭化水素酸、p−トルエンスルホ
ン酸、1,1,1−トリフロロ酢酸、一般式:M’HS
4(式中、M’はLi、Na、K等のアルカリ金属を
表す)で示される重硫酸塩などの酸性試剤を触媒とし
て、室温から150℃の温度で行われる。
【0095】この反応において、溶媒の種類と濃度、触
媒の種類と添加量、及び反応温度と反応時間を適当に組
み合わせることにより、フェノール性水酸基の保護基が
全部又は選択的に一部脱離されて、本発明の狭分散且つ
構造の制御されたアルケニルフェノール系スターポリマ
ーを製造することができる。
【0096】その他、スターポリマー(X)は、トリエ
チルアミン、2−クロロ−2,4,4−トリメチル−1
−ペンテン/TiCl4等のカチオン重合開始剤の存在
下、化合物(XII)単独、化合物(XII)及び化合物(XI
II)、又は化合物(XII)と該化合物(XII)と共重合可
能な二重結合を有する化合物をカチオン重合し、次に、
多官能性カップリング剤を反応させ、得られた共重合体
からフェノール性水酸基の保護基を全部又は一部脱離さ
せる方法等によっても製造することができる。
【0097】このようにして得られるスターポリマー
(X)の数平均分子量(Mn)は、好ましくは3,00
0〜1,000,000、より好ましくは20,000
〜500,000である。
【0098】4)高分子電解質の製造 本発明の高分子電解質は、本発明のスターポリマーにリ
チウム塩を添加複合させて製造することができる。添加
複合させる方法には特に制限はなく、例えば、スター
ポリマーにリチウム塩を必要に応じ溶媒に溶解させて均
一に混合する方法、スターポリマーにリチウム塩を添
加して常温又は加熱下に機械的に混練する方法、リチ
ウム塩を溶解した溶液に、スターポリマーを含浸して膜
を膨潤させ、これにリチウム塩を均一に複合させる方法
等、任意に選択することができる。
【0099】高分子電解質に用いられるリチウム塩とし
ては、これまでリチウム電池用電解質成分として知られ
ている種々のものを選択使用することができる。好まし
い具体例としては、LiPF4、LiClO4、LiBF
4、LiB(Ph)4、LiCF3S、LiNH(CF3
2)等が挙げられる。これらは単独で、あるいは2種
以上を組み合わせて用いることができる。
【0100】また、これらリチウム塩のスターポリマー
に対する添加割合は、この共重合体のアルキレンオキサ
イドユニットに対して、0.005〜80モル%、好ま
しくは0.01〜50モル%の範囲である。
【0101】本発明の高分子電解質は、正極集電板と負
極集電板との間に、リチウム又はリチウム合金からなる
負極と両極間に収容させることによりリチウム電池とす
ることができる。リチウム電池としては、種々の大き
さ,形状のものとすることができるが、特に薄型構造の
電池として好適である。
【0102】
【実施例】以下、本発明を実施例により、更に詳細に説
明する。但し、本発明の範囲は、下記の実施例により何
ら制限を受けるものではない。
【0103】(実施例1−1)ポリ(p−ヒドロキシス
チレン−b−スチレン)をアームとするスターポリマー
の合成 窒素雰囲気下において、トルエン450gとテトラヒド
ロフラン(以下、「THF」と略す)50gとからなる
混合溶媒中に、n−ブチルリチウム(以下、「NBL」
と略す)9.8ミリモルを加え、−60℃に保持しなが
ら、p−t−ブトキシスチレン(以下、「PTBST」
と略す)0.1モルを15分かけて滴下、さらに反応を
30分継続し、ガスクロマトグラフィ(以下、「GC」
と略す)により反応完結を確認した。次いで、スチレン
0.35モルを15分かけて滴下、更に反応を90分継
続し、GCにより反応完結を確認した。この段階で、反
応液を少量採取し、メタノールにより反応を停止させた
後、GPCにより分析したところ、得られたポリマーは
Mn=10,300の単分散ポリマーであった。
【0104】続いて、反応系の温度を−40℃に昇温、
保持しながら、ジビニルベンゼン(以下、「DVB」と
略す)32.4ミリモルを添加し、さらに反応を4時間
継続し、GCにより反応完結を確認した。ここで、反応
系にメタノールを加えて反応を停止させ、反応液を大量
のメタノール中に投入してポリマーを析出させ、濾過、
洗浄後、60℃で5時間減圧乾燥して、白色粉体状のポ
リマーを得た。用いたモノマー総量に対する重合収率
は、99.5%であった。このスターポリマーのMnは
72,000であった。
【0105】得られたポリマー20gをTHF/エタノ
ール=4/1(重量比)に溶解して25%溶液とし、濃
塩酸2gを加えて50℃で30時間反応を行った。反応
液を大量の水中に投入してポリマーを析出させ、濾過、
洗浄後、60℃で5時間減圧乾燥して、白色粉体状のポ
リマー18gを得た。この反応において、反応前後のポ
リマーの13C−NMRを比較したところ、77ppm付
近におけるポリ(PTBST)骨格のt−ブトキシ基由
来のピークが反応後は消失していた。また、生成したポ
リマーのMnは65,000であった。以上のことか
ら、共重合反応とその後の脱離反応は設定通りに行わ
れ、ポリ(p−ヒドロキシスチレン−b−スチレン)を
アームとするスターポリマーが生成した事が確認され
た。
【0106】(実施例1−2)アーム部分にポリエチレ
ンオキサイドをグラフトさせたスター−グラフトポリマ
ーの合成 実施例1−1で得られたポリ(p−ヒドロキシスチレン
−b−スチレン)をアームとするスターポリマー10g
を、窒素雰囲気下で200gのTHFに溶解し、t−ブ
トキシカリウム16mmolを加えて25℃で1時間攪
拌した。反応液を少量採取し、トリメチルシリルクロラ
イドを加えて反応させた後、反応液をn−ヘキサン中に
投入してポリマーを析出させ、濾過、洗浄、乾燥して得
られたポリマーを1H−NMRで分析したところ、p−
ヒドロキシスチレン骨格のヒドロキシル基由来のピーク
が完全に消失している事が確認された。この事から、p
−ヒドロキシスチレン骨格のヒドロキシル基とカリウム
が反応してカルバニオンの生成が確認された。
【0107】次いで、反応液にエチレンオキサイド4.
2gを添加し、65℃で24時間反応した後、酢酸を加
えて反応を停止させ、反応液を大量のn−ヘキサン中に
投入してポリマーを析出させ、濾取、洗浄して、60℃
で5時間減圧乾燥することにより、白色粉体状のポリマ
ー14.2gを得た。生成したポリマーをGPC(ゲル
・パーミエーション・クロマトグラフィー)及び13
−NMRで分析したところ、アーム中のp−ヒドロキシ
ルスチレン単位に、Mnが245であるポリエチレンオ
キサイドがグラフトされ、且つ、29重量%のポリエチ
レンオキサイドを含有するスター−グラフトポリマーで
あることがわかった。
【0108】(実施例2−1)ポリ(p−ヒドロキシス
チレン−b−ブタジエン)をアームとするスターポリマ
ーの合成 実施例1−1において、スチレンを用いる代わりに、ブ
タジエン0.35モル含むTHF溶液(濃度30重量
%)とする以外は実施例1−1と同様にしてポリ(p−
ヒドロキシスチレン−b−ブタジエン)をアームとする
スターポリマーを合成した。
【0109】合成過程で得られたポリマーの分析値は以
下のとおりである。 ポリ(PTBST−b−ブタジエン):Mn=6,80
0 ポリ(PTBST−b−ブタジエン)をアームとするス
ターポリマー:Mn=47,000 ポリ(p−ヒドロキシスチレン−b−ブタジエン)をア
ームとするスターポリマー:Mn=42,000
【0110】(実施例2−2)アーム部分にポリエチレ
ンオキサイドをグラフトさせたスター−グラフトポリマ
ーの合成 実施例2−1で得られたポリ(p−ヒドロキシスチレン
−b−ブタジエン)をアームとするスターポリマー10
g、t−ブトキシカリウム28ミリモル、エチレンオキ
サイド7gを用いる以外は実施例1−2と同様にしてグ
ラフト化反応を行い、白色粉体状のポリマー17gを得
た。生成したポリマーをGPC(ゲル・パーミエーショ
ン・クロマトグラフィー)及び13C−NMRで分析し
たところ、アーム中のp−ヒドロキシルスチレン単位
に、Mnが250であるポリエチレンオキサイドがグラ
フトされ、且つ、41重量%のポリエチレンオキサイド
を含有するスター−グラフトポリマーであることがわか
った。
【0111】(実施例3)高分子電解質の製造 実施例1−2で得られたスター−グラフトポリマー1g
を25mlのメチルエチルケトンに溶解した。この溶液
に0.03gのLiClO4を溶解したTHF溶液5m
lを加え均一に混合することにより、実施例3の高分子
電解質溶液を得た。
【0112】(実施例4)高分子電解質の製造 実施例2−2で得られたスター−グラフトポリマー1
g、0.05gのLiClO4を溶解したTHF溶液5
mlを用いる以外は実施例3と同様にして、実施例4の
高分子電解質溶液を得た。
【0113】(応用例1、2)イオン伝導度の測定 実施例3及び4で得られた溶液をテフロン(登録商標)
板上に流延した。試料を室温に24時間放置して溶媒を
除去した後、60℃で24時間減圧乾燥して製膜した。
この膜はLiClO4が均一に分散していた。この膜を
白金板にはさみ、周波数5Hz〜10MHzのインピー
ダンスアナライザー(Solartron−1260
型)を用いて、複素インピーダンス表示をコンピュータ
ー処理してイオン伝導度を算出した。その結果、実施例
3の高分子電解質では、23℃で6×10-5S/cmで
あり、実施例4の高分子電解質では、23℃で4×10
-5S/cmであった。
【0114】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
イオン伝導率が高く、成形性のよい高分子固体電解質に
好適なスターポリマー及び高分子電解質が提供される。
本発明の高分子電解質を用いることにより、高性能かつ
長寿命なリチウム電池を製造することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J005 AA04 BB01 BB02 BD04 4J100 AB02Q AB07P AB15R AB16R AS01Q AS02Q BA03H BA04P FA08 FA19 HA08 HA55 HB52 HC12 HE07 HE14 HG01 HG03 HG12 HG14 JA43 5G301 CA30 CD01 5H024 EE09 FF23 5H029 AJ02 AJ14 AM12 AM16 EJ14

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】中心核と、該中心核より伸びるポリマー鎖
    からなるアーム部(A)を有するスターポリマーであっ
    て、 前記アーム部(A)は、一般式(I) 【化1】 (式中、R1は水素原子又はメチル基を表し、R2及びR
    3はそれぞれ独立して、水素原子又はC1〜C6のアル
    キル基を表し、R4は水素原子、アルキル基、アリール
    基、アシル基又はシリル基を表し、nは0、1又は2を
    表す。nが2の場合、R2は同一又は相異なっていても
    よい。また、mは1〜50の整数を表す。)で表される
    繰り返し単位を有するポリマー鎖(A1)を含むことを
    特徴とするスターポリマー。
  2. 【請求項2】前記ポリマー鎖(A1)は、前記一般式
    (I)及び一般式(II) 【化2】 (式中、R5は水素原子又はメチル基を表し、R6は水素
    原子又はC1〜C6のアルキル基を表し、rは0、1又
    は2を表す。rが2の場合、R6は同一又は相異なって
    いてもよい。)で表される繰り返し単位を有する共重合
    体からなる請求項1記載のスターポリマー。
  3. 【請求項3】前記ポリマー鎖(A1)は、前記一般式
    (I)及び一般式(III) 【化3】 〔式中、R7は水素原子又はC1〜C6のアルキル基を
    表し、R8は、式:−CH=CH2、−C(CH3)=C
    2又は−CO2R’(R’はC1〜C6のアルキル基を
    表す。)で表される基を表す。〕で表される繰り返し単
    位を有する共重合体からなる請求項1記載のスターポリ
    マー。
  4. 【請求項4】前記ポリマー鎖(A1)は、前記一般式
    (I)、一般式(II)及び一般式(III)で表される繰
    り返し単位を有する共重合体からなる請求項1記載のス
    ターポリマー。
  5. 【請求項5】前記アーム部は、ポリマー鎖(A1)と、
    一般式(IV) 【化4】 (式中、R9は、水素原子又はメチル基を表し、R
    10は、水素原子、C1〜C12のアルキル基、置換基を
    有してもよいC3以上の脂環式骨格を有する炭化水素
    基、置換基を有してもよいC3以上の脂環式骨格を有す
    る炭化水素基を有するアルキル基、置換基を有していて
    もよいフェニル基又はヘテロ環基を表す。)で表される
    繰り返し単位(A21)を有するポリマー鎖(A2)と
    を有する請求項1〜4のいずれかに記載のスターポリマ
  6. 【請求項6】前記ポリマー鎖(A2)は、前記繰り返し
    単位(A21)及び一般式(V) 【化5】 (式中、R11は、水素原子、メチル基又は置換基を有し
    ていてもよいアリール基を表し、R12は、C1〜C6の
    アルキル基又はOR13基(R13は、水素原子、C1〜C
    6のアルキル基又は酸分解脱離基を表し、tは0又は1
    〜3の整数を表す。tが2以上の場合、R12は同一又は
    相異なっていてもよい。)で表される繰り返し単位(A
    22)を有する請求項5記載のスターポリマー。
  7. 【請求項7】前記ポリマー鎖(A2)は、中心核より順
    に(A22)−(A21)型にブロック共重合してなる
    請求項6記載のスターポリマー。
  8. 【請求項8】前記アーム部(A)を構成するポリマー鎖
    の数平均分子量が1,000〜100,000である請
    求項1〜7のいずれかに記載のスターポリマー。
  9. 【請求項9】前記中心核は、多官能性カップリング剤が
    架橋してなる請求項1〜8のいずれかに記載のスターポ
    リマー。
  10. 【請求項10】前記多官能性カップリング剤は、1分子
    あたり少なくとも二つの重合性二重結合を有する化合物
    である請求項9記載のスターポリマー。
  11. 【請求項11】前記多官能性カップリング剤は、一般式
    (VI) 【化6】 〔式中、R14は、水素原子又はメチル基を表し、Yは酸
    素原子、イオウ原子、r 12N(r1及びr2はそれぞれ
    独立して、水素原子、C1〜C6のアルキル基、アルコ
    キシカルボニル基を表す。)、置換基を有していてもよ
    いメチレン基、置換基を有していてもよいフェニレン
    基、C(r34)O、C(r56)S、C(r78)N
    (r9)、OC(r1011)、SC(r1213)、N
    (r14)C(r1 516)、OCO又はCO2CH3を表
    し、r3〜r16はそれぞれ独立して、C1〜C6のアル
    キル基又は置換基を有していてもよいフェニル基を表
    す。wは0、1又は2を表し、wが2の場合、Yは同一
    又は相異なっていてもよい。また、uは2又は3を表
    し、この場合、Y、R9及びWは同一又は相異なってい
    てもよい。〕で表される化合物である請求項10記載の
    スターポリマー。
  12. 【請求項12】数平均分子量が20,000〜500,
    000である請求項1〜11のいずれかに記載のスター
    ポリマー。
  13. 【請求項13】前記スターポリマーは、重量平均分子量
    (Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)
    が、1.00〜1.50の範囲にある請求項1〜12の
    いずれかに記載のスターポリマー。
  14. 【請求項14】請求項1〜13のいずれかに記載のスタ
    ーポリマーの1種又は2種以上と、リチウム塩の1種又
    は2種以上との複合物からなる高分子電解質。
JP2001355838A 2000-11-21 2001-11-21 スターポリマーおよび高分子電解質 Expired - Fee Related JP4116788B2 (ja)

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