JPH0721098B2 - ブロック‐グラフト共重合体組成物 - Google Patents

ブロック‐グラフト共重合体組成物

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JPH0721098B2
JPH0721098B2 JP32520789A JP32520789A JPH0721098B2 JP H0721098 B2 JPH0721098 B2 JP H0721098B2 JP 32520789 A JP32520789 A JP 32520789A JP 32520789 A JP32520789 A JP 32520789A JP H0721098 B2 JPH0721098 B2 JP H0721098B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は高分子固体電解質等の機能性高分子材料として
有用なブロック‐グラフト共重合体組成物に関する。
(従来の技術) 最近、金属に匹敵する電子伝導性を持った有機導電体が
見出され、既に一部では具体的な利用も検討され始めて
いる。しかし、イオン伝導体については無機結晶、ガラ
ス、セラミックスなどを中心として展開が進んでいるも
のの、有機材料については未だ実用化されるに至ってい
ない。高分子系のものは無機のイオン伝導体に比べて、
i)比重が軽い、ii)成形が容易である、iii)柔軟で
薄いフィルムが容易に得られる、iv)室温で比較的高い
イオン伝導性を備えている等の特徴を備えている。一
方、高分子電解質を含めた一般的な固体電解質としての
要求特性は、i)成形性、ii)高イオン伝導性、iii)
安定性等の制御であり、とりわけii)が重要視されてい
る。現在研究が進められている有機材料はポリエチレン
オキサイドを備えたものが主流を占めている。
(発明が解決しようとする課題) しかし、ホモポリエチレンオキサイドは重合度20未満で
は凝集力が弱いため成膜、成形ができず、20以上では結
晶化が始まって、固体電解質としての性能が低下する。
この欠点を取り除くためにポリエチレンオキサイドを他
のポリマーと共重合させたりブレンドする試みがなされ
ているが、イオン伝導性が劣ったり強度が不足していた
りマクロ相分離するなどの問題点がある。
本発明の目的はこの課題を解決した新たな高機能性の高
分子材料を提供することにある。
(課題を解決するための手段) 本発明による機能性高分子材料は、一般式(I) (ここに、R1は水素原子、メチル基、またはエチル基、
R2は水素原子またはメチル基、R3はアルキル基、アリー
ル基、アシル基、またはシリル基の停止基、nは1〜45
の整数であり、式中の で示されるグラフト鎖の数平均分子量が45以上2,000未
満である) で表される繰返し単位からなる、少なくとも1種の重合
体のブロック鎖Aと、 一般式(II) (ここに、R4は水素原子、メチル基、またはエチル基、
Mは式−CH=CH2、 −C(CH3)=CH2、−COOCH3、または−COOC2H5で表される
基、フェニル基、あるいは置換フェニル基である) で表される繰返し単位からなる、少なくとも1種の重合
体のブロック鎖Bとから構成されるブロック‐グラフト
共重合体に、無機イオン塩複合物と 一般式(III) R5OCH2-CHR6−OnR5 (ここに、R5は水素原子または炭素原子数1〜3のアル
キル基、R6は水素原子またはメチル基、nは1〜45の整
数で、数平均分子量が45以上2,000未満である) で表される繰返し単位からなるポリアルキレンオキサイ
ドとを添加してなるブロック‐グラフト共重合体組成物
である。
ここで用いられるブロック‐グラフト共重合体は、それ
ぞれ一般式(I)および(II)で表される同種または異
種の繰返し単位からなる、少なくとも1種の重合体のブ
ロック鎖A、Bが、例えばA1B1、B1A1、B1A1B1、B1A
1B2、B1A1B2A1B1というように、任意に配列されてなる
ものである。
重合体のブロック鎖Aの重合度は10以上、同じくBの重
合度は300以上であることが好ましく、またこの両ブロ
ック鎖A、Bの成分比は1:30〜30:1であることが好まし
い。これが1:30以下ではグラフト成分が少なすぎて高分
子固体電解質としての機能を保つことが難しくなり、ま
た30:1以上ではブロック鎖の幹分子としての機械的強度
が保持しにくくなるからである。
本発明に使用されるブロック‐グラフト共重合体の無機
イオン塩複合物は、上記ブロック‐グラフト共重合体に
無機イオン塩を混合することにより得られる。
この無機イオン塩は、Li、Na、K、Cs、Ag、Cu、および
Mgの内の少なくとも1種の元素を含むもので、具体的に
はLiClO4、LiI、LiS-CN、LiBF4、LiAsF6、LiCF3SO3、Li
PF6、NaI、NaSCN、NaBr、NaPF6、KI、KSCN、KPF6、KAsF
6、CsSCN、CsPF6、AgNO3、CuC12Mg(ClO4)2、Rb-Cu4I
1.75Cl3.25などが挙げられ、これらはその1種または2
種以上の組合せで使用される。また、これらのブロック
‐グラフト共重合体に対する割合はこの共重合体のアル
キレンオキサイドユニットに対して0.05〜80モル%、好
ましくは0.1〜50モル%が適当である。
本発明に係わるブロック‐グラフト共重合体組成物は、
このブロック‐グラフト共重合体の無機イオン塩複合物
に、さらに一般式(III) R5OCH2-CHR6−OnR5 ……(III) (ここに、R5は水素原子または炭素原子数1〜3のアル
キル基、R6は水素原子またはメチル基、nは1〜45の整
数で、数平均分子量が45以上、2,000未満である)で表
される繰返し単位からなるポリアルキレンオキサイドを
添加することによって得られる。
このようなポリアルキレンオキサイドには、ジエチレン
グリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレン
グリコール、ポリエチレングリコール、ジエチレングリ
コールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールモ
ノメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノエチル
エーテル、ポリエチレングリコールモノプロピルエーテ
ル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ポリエチ
レングリコールジメチルエーテル、ポリエチレングリコ
ールジエチルエーテル、ポリエチレングリコールジプロ
ピルエーテル、およびこれら化合物のエチレングリコー
ル構造をプロピレングリコール構造に置き換えた化合物
が挙げられ、その1種または2種以上の組合せで使用さ
れる。
このポリアルキレンオキサイドの上記ブロック‐グラフ
ト共重合体の無機イオン塩複合物に対する添加割合は、
この共重合体のアルキレンオキサイドユニットに対して
0.05〜200モル%、好ましくは20〜150モル%が適当であ
る。
また、このポリアルキレンオキサイドは分子量が130〜
2,000のものが好ましい。この分子量が2,000より高すぎ
ると、イオン伝導率が低下し、また130より低すぎると
沸点が低下して組成物から徐々に気化するという問題が
ある。
前述したブロック‐グラフト共重合体を得るには、例え
ば一般式(IV) (式中、R1は前記に同じ)で表される繰返し単位からな
る少なくとも1種の重合体のブロック鎖Cと、前記一般
式(II)で表される繰返し単位からなる少なくとも1種
の重合体のブロック鎖Bとから構成されている、幹分子
鎖となるブロック共重合体Tを合成し、次にこのブロッ
ク共重合体が持つ側鎖のヒドロキシル基に、一般式RMe
(ここにRはt-ブチルエーテル、ジフェニルエチレン、
ベンジル、ナフタレン、またはクミル基、Meはナトリウ
ム、カリウム、またはセシウム原子である)で表される
有機アルカリ金属を反応させてカルバニオン化し、これ
に一般式(V) (ここに、R2は前記に同じ) で表されるアルキレンオキサイドを加えてグラフト鎖を
成長させることによって行なうことができる。
この際、出発原料として用いられるブロック鎖C、Bか
らなる幹分子鎖としてのブロック共重合体Tは、まず4-
ヒドロキシスチレン、4-(1-メチルエテニル)フェノー
ルなどで例示される、一般式(IV)で示される残基を含
有するモノマー化合物について、そのフェノール性水酸
基をトリアルキル基やトリアルキルシリル基で保護して
おき、これと、スチレン、α‐メチルスチレン等のビニ
ル化合物;ブタジエン、イソプレン等のジエン化合物;
メチルアクリレート、エチルアクリレート、メチルメタ
クリレート、エチルメタクリレート等のアクリル酸エス
テル、メタクリル酸エステル;およびアクリル酸化合物
等で例示されるモノマー化合物より合成された、一般式
(II)で表される繰返し単位を有するブロック重合体
を、リビングアニオン重合法により重合し、次に酸など
で加水分解することによって得ることができる。
この重合に用いられる開始剤には、n-ブチルリチウム、
sec-ブチルリチウム、tert-ブチルリチウム、2-メチル
ブチルリチウム等の有機金属化合物系のものが例示され
るが、これらの内では特にn-ブチルリチウムが好まし
い。この使用量は仕込み化合物量に共に、得られる重合
体の分子量を決定するので、所望の分子量に応じて選択
される。得られたブロック共重合体Tを構成するブロッ
ク鎖Cの重合度は10以上あるものが好ましいので、通常
は反応溶液中で10-2〜10-4モル/lのオーダーの濃度にな
るようにする。
重合は一般に有機溶媒中で行なわれるが、これに使用で
きる有機溶媒の例としては、ベンゼン、トルエン、n-ヘ
キサン、テトラヒドロフラン等のアニオン重合用の溶媒
が好ましい。重合に供するモノマー化合物の反応溶液中
の濃度は1〜10重量%が適切であり、重合反応は圧力10
-5Torr以下の高真空下、または精製して水分等の反応に
対する有害物質を除去したアルゴン、窒素等の不活性ガ
ス雰囲気中で、室温において攪拌下に行なうのが好まし
い。
保護基の脱離反応はジオキサン、アセトン、メチルエチ
ルケトン、アセトニトリル等の溶媒中で加熱下、塩酸ま
たはよう化水素酸等の酸を滴下することによって容易に
行なうことができる。
このようにして得られたブロック供重合体Tのヒドロキ
シル基のカルバニオン化は、これを濃度1〜30重量%、
好ましくは1〜10重量%のテトラヒドロフラン等のアニ
オン重合用溶媒に溶解し、これに有機アルカリ金属をテ
トラヒドロフラン等の適当な溶媒に溶かして加え、0〜
25℃で30分〜4時間攪拌することにより行われる。
この反応に用いられる有機アルカリ金属としては、例え
ばt-ブトキシカリウム、ナフタレンカリウム、ジフェニ
ルエチレンカリウム、ベンジルカリウム、クミルカリウ
ム、ナフタレンナトリウム、クミルセシウム等が挙げら
れるが、これらの内ではとくにt-ブトキシカリウムが好
ましい。
この反応の確認は、生成物をトリメチルシリルクロライ
ドと反応させた後、メタノール中で沈殿、精製後、乾燥
して単離して得られた試料を、1H‐NMRによってヒドロ
キシル基の削滅、トリメチルシリル基の増加量を測定す
ることにより行うことができ、有機アルカリ金属のヒド
ロキシル基への反応を定量的に把握できる。またGPC溶
出曲線によってブロック鎖が架橋や分解反応を受けてい
ないことも確認できる。
カルバニオン化したブロック供重合体Tは、次に一般式
(V)で示されるアルキレンオキサイド、例えばエチレ
ンオキサイド、プロピレンオキサイドなどを蒸気状ある
いは液状で加え、量にもよるが0〜80℃で1〜48時間攪
拌すると、ブロック‐グラフト共重合体にすることがで
きる。
アルキレンオキサイドを加えた重合液体は水中に注ぐと
沈殿し、それをろ過して乾燥すると単離できる。キャラ
クタリゼーションは膜浸透圧計で数平均分子量を測定
し、赤外吸収スペクトル、1H‐NMRで構造や組成を決定
し、その結果からグラフト鎖の長さ、数を決定できる。
またGPC溶出曲線で目的物が単離できているか否かの判
断と分子量分布を推測することができる。
この幹分子鎖となるブロック共重合体Tの重合およびこ
れの枝分子鎖成長のための反応は通常有機溶媒中で行わ
れるが、これに使用できる有機溶媒の例としては、テト
ラヒドロフラン、ジオキサン、テトラヒドロピラン、ベ
ンゼン等の、アニオン重合または開環重合用の溶媒が好
ましい。
重合の停止に用いられる化合物には、例えば酢酸等の酸
類;メチルブロマイド、ベンジルクロライド等のハロゲ
ン化物;トリメチルシリルクロライド、t-ブチルジメチ
ルシリルクロライド等のシリル化合物;等が挙げられ
る。
グラフト鎖の長さの制御は、ブロック‐グラフト共重合
体に含まれるブロック鎖Cのモル数と、カルバニオン化
するときの有機アルカリ金属の量と、アルキレンオキサ
イドの量とで決定される。すなわち有機アルカリ金属の
量はブロック鎖Cのモル数を超えてはならず、またグラ
フト鎖の長さは で表される。
例えば、グラフト鎖の長さが数平均分子量で2,000のブ
ロック‐グラフト共重合体を製造するには、ブロック鎖
Cを7×10-3モル含むブロック‐グラフト共重合体に、
有機アルカリ金属を5×10-3モル加えてカルバニオン化
した後、アルキレンオキサイド10gを加えればよい。ま
た数平均分子量が45のブロック‐グラフト共重合体を製
造するには、上記の各成分をすべて等モルにすればよ
い。さらに数平均分子量が45〜2,000のものでは、その
中間のモル数を任意に選択することにより達成される。
このようにして得られたブロック‐グラフト共重合体
は、次に無機イオン塩とポリアルキレンオキサイドとを
添加して本発明の組成物とするのであるが、その方法に
は特に制限はなく、例えばブロック‐グラフト共重合体
に無機イオン塩とポリアルキレンオキサイドとを必要に
応じ1,4-ジオキサンなどの溶媒に溶かして均一に混合す
る方法、ブロック‐グラフト共重合体に無機イオン塩と
ポリアルキレンオキサイドとを添加して常温または加熱
下に機械的に混練する方法など、任意に選択することが
できる。
(実施例) 以下、本発明の具体的実施態様を実施例および比較例に
基づいてさらに詳細に説明する。
なお、例中のブロック共重合体は、各成分を「‐b-」で
つないで、例えばポリスチレン、ポリ‐p-ヒドロキシス
チレン、ポリスチレンの三成分三元ブロック共重合体」
を、「ポリ(スチレン‐b-p−ヒドロキシスチレン‐b-
スチレン)」と表記する。
実施例1−1. 〔ポリ(スチレン‐b-p-ヒドロキシスチレン‐b-スチレ
ン)……幹分子鎖となるブロック共重合体Tの合成〕 10-5Torrの高真空下でテトラヒドロフラン540ml中に開
始剤としてn-ブチルリチウムの1.1×10-4モルを仕込ん
だ。この混合溶液を−78℃に保ち、テトラヒドロフラン
80mlで希釈した5.6gのスチレンを添加して、30分間攪拌
しながら重合させた。この反応溶液は赤色を呈した。次
にテトラヒドロフラン90mlで希釈したp-tert-ブトキシ
スチレンを4.1g加えて15分間、攪拌下で重合させた。こ
の溶液も赤色を呈した。これにテトラヒドロフラン80ml
で希釈したスチレンを5.6g加え、さらに10分間、攪拌下
で重合させた。この溶液も同様に赤色を呈した。重合終
了後、反応混合物をメタノール中に注ぎ、得られた重合
物を沈殿させた後、分離し、乾燥して15.3gの白色重合
体を得た。1 H‐NMRの結果より、これがスチレン73%、p-tert-ブト
キシスチレン27%からなるブロック共重合体であること
が判った。またGPC溶液曲線はシャープな単一ピークを
示し、単一重合体であることが確認された。この重合体
のnは14×104であった。
次に、アセトンとベンゼンの混合溶媒にブロック共重合
体を溶解し、塩酸を用いて30℃、3時間で加水分解し、
スチレン40部/p−ヒドロキシスチレン20部/スチレン40
部の割合で含むポリ(スチレン‐b-p-ヒドロキシスチレ
ン‐b-スチレ)を合成した。
なお、このポリ(スチレン‐b-p-ヒドロキシスチレン‐
b-スチレン)におけるスチレン/p-ヒドロキシスチレン
/スチレンの割合と分子量は仕込み量と開始剤の濃度と
から任意に選択できる。
実施例1−2. 〔ポリ(スチレン‐b-p-ヒドロキシスチレン‐b-スチレ
ン)……幹分子鎖となるブロック共重合体Tの、有機ア
ルカリ金属によるカルバニオン化〕 前例で得られたポリ(スチレン‐b-p-ヒドロキシスチレ
ン‐b-スチレン)の10gを、高真空下で200mlのテトラヒ
ドロフランに溶解した。この溶液に25℃で0.07モルのt-
ブトキシカリウムを加えた。この溶液を1時間攪拌後、
さらに0.5モルのトリメチルシリルクロライドを加え反
応させた後、この反応液をメタノール中に注ぎ、得られ
た重合体を沈殿させて分離した。
この重合体を1H‐NMRで分析したところ、ヒドロキシル
基にカリウムが反応して、ヒドロキシル基のピークが消
失し、トリメチルシリル基のピークの増加していること
が確認された。またGPCの溶出曲線から分子量分布がカ
ルバニオン化前と変わらず、架橋反応も分解反応も起こ
っていないことが確認された。
本例はブロック共重合体のヒドロキシル基のカルバニオ
ン化が完全に定量的に進行すると共に、主鎖の分解や架
橋などの副反応が伴わないことを示している。
実施例1−3. 〔エチレンオキサイドによるポリ(スチレン‐b-p-ヒド
ロキシスチレン‐b-スチレン)からのブロック‐グラフ
ト共重合体の合成と、これにLi-ClO4とポリエチレング
リコールジメチルエーテルとを取り込んだ本発明の組成
物の製造〕 実施例1−1で得られたポリ(スチレン‐b-p-ヒドロキ
シスチレン‐b-スチレン)の7.3gを、10-6Torrの高真空
下で200mlのテトラヒドロフランに溶解した。この溶液
に25℃で9.49モルのt-ブトキシカリウムを加えた。この
溶液を1時間攪拌後、エチレンオキサイド11.9gを添加
した。これを65℃に保ち24時間攪拌した。その後、ヨウ
化メチルを加えて重合を停止させてから、反応混合物を
水中に注ぎ、重合体を沈殿させて分離し乾燥した。得ら
れた重合体は19.2gであった。このGPC溶出曲線を第1図
に、1H‐NMRによる分析結果を第2図に示した。GPC溶出
曲線がシャープで単一ピークであることから、これが単
一重合体であることが確認された。この重合体のnは
33×104であった。この1H‐NMRとnとから、グラフト
鎖の長さが1,300で、ポリエチレンオキサイドの組成が6
2%であることが判った。また、このIRスペクトルを第
3図に示した。
このブロック‐グラフト共重合体を1-4-ジオキサンに溶
解して製膜したフィルムの電子顕微鏡写真を第4図に示
す。これより幹分子鎖の相(白い相)と枝分子の相(黒
い相)とがミクロに相分離していることが判る。
このグラフト鎖のIR、1H‐NMRにおける吸収位置は、IR
(cm-1):C-O-C:1115cm-11H‐NMR(δ、ppm):OCH2C
H2:3.6ppmである。
このようにして得られたブロック‐グラフト共重合体2g
を50mlの1-4-ジオキサンに溶解した。この溶液に、0.4g
のLiClO4を溶解した5mlの1-4-ジオキサンと、0.5gの分
子量350のポリエチレングリコールジメチルエーテルを
溶解した5mlの1-4-ジオキサンを加え、均一に混合し
た。この溶液をテフロン板上に流延した。試料を室温で
24時間静置して過剰の溶媒を除去した後、さらに60℃で
24時間減圧乾燥して製膜した。この膜は透明でLiClO4
ポリエチレングリコールジメチルエールを均一に複合し
ていた。この膜を直径10mmの円盤状に切りだし、両面に
ステンレス極板を挟んで電極を形成し、周波数5Hz〜5MH
zの交流インピーダンス測定装置マルチフリクェンシーL
CRメータ−モデル4192A(横河‐ヒューレット パッカ
ード社製)を用いて、複素インピーダンス表示をコンピ
ューター処理してイオン伝導度を算出した。その結果、
25℃で4×10-3S/cmの値を得た。
実施例2〜8.および比較例1. 前例において、エチレンオキサイドと無機イオン塩の添
加量、ポリアルキレンオキサイドの種類および添加量
を、次表に示すように変えたほかは同様に行なったとこ
ろ、表に併記した通りの結果が得られた。
なお、比較例1では添加したポリエチレングリコールジ
メチルエーテルの分子量が3,000で、これが結晶してい
たために白濁した膜となりマクロ相分離をしていた。
また、比較例2ではポリアルキレンオキサイドの添加量
が0で、イオン伝導率が一桁低い。
なお、表中の各ポリアルキレンオキサイドの種類は次の
通りである。
1)ポリエチレングリコールジメチルエーテル 2)ポリエチレングリコール 3)ポリプロピレングリコールジメチルエーテル 4)ポリエチレングリコールモノメチルエーテル 5)ポリエチレングリコールジエチルエーテル 6)ポリエチレングリコールモノエチルエーテル (発明の効果) 本発明による幹高分子の一部に集中的にグラフト鎖を導
入したブロック‐グラフト共重合体組成物は、1)明確
なミクロ相分離構造を示す。2)長い幹分子が構造保持
の役目を果たすと共に材料強度を高める。3)グラフト
成分が比較的低分子でも連続相を形成するという特徴を
有する。
このため、幹分子鎖と枝分子鎖とで機能分担を図ること
ができる。とくにブロック鎖には機械的強度、またグラ
フト鎖には非晶性のポリアルキレンオキサイドを選択す
ることによって金属塩との錯体形成性、金属イオンの高
い移動性等の機能を持たせることができるので、従来ポ
リアルキレンオキサイドを有するポリマーに比べて高性
能の機能性高分子材料となる。通常、ポリアルキレンオ
キサイドは数平均分子量が2,000以上になると結晶化が
始まり、金属イオンの高い移動性と金属イオンの含有量
を増加させることができないため、このような長さのグ
ラフト鎖を持つブロック‐グラフト共重合体では高分子
固体電解質にはなり得ないが、本発明の数平均分子量が
2,000未満のものでは、ポリアルキレンオキサイドが液
状となるため、金属イオンの高い移動性と金属イオンの
含有量の増加を可能とし、高いイオン伝導率を確保し、
固体電解質としての特性が与えられる。
さらに、本発明のブロック‐グラフト共重合体組成物
は、添加剤としてポリアルキレンオキサイドを用いるこ
とによって、マクロ相分離を起こすことがなく、他の材
料との密着性を向上し、高いイオン伝導性を持つ柔軟性
のある材料となり得る。
【図面の簡単な説明】
第1図〜第4図は、それぞれ実施例1で得られたブロッ
ク‐グラフト共重合体についての、GPC溶出曲線、1H‐N
MRによるスペクトルおよびIRスペクトルを示すグラフ、
並びにこれから製膜したフィルムの電子顕微鏡写真であ
る。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式(I) (ここに、R1は水素原子、メチル基、またはエチル基、
    R2は水素原子またはメチル基、R3はアルキル基、アリー
    ル基、アシル基、またはシリル基の停止基、nは1〜45
    の整数であり、式中の で示されるグラフト鎖の数平均分子量が45以上2,000未
    満である) で表される繰返し単位からなる少なくとも1種の重合体
    のブロック鎖Aと、 一般式(II) (ここに、R4は水素原子、メチル基、またはエチル基、
    Mは式−CH=CH2、 −C(CH3)=CH2、−COOCH3、または−COOC2H5で表される
    基、フェニル基、あるいは置換フェニル基である) で表される繰返し単位からなる少なくとも1種の重合体
    のブロック鎖Bとから構成されるブロック‐グラフト共
    重合体に、無機イオン塩複合物と 一般式(III) R5OCH2-CHR6−OnR5 ……(III) (ここに、R5は水素原子または炭素原子数1〜3のアル
    キル基、R6は水素原子またはメチル基、nは1〜45の整
    数で、数平均分子量が45以上2,000未満である)で表さ
    れる繰返し単位からなるポリアルキレンオキサイドとを
    添加してなるブロック‐グラフト共重合体組成物。
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