JP2005085638A - 高分子固体電解質、固体電解質シート及び固体電解質シートの製造方法 - Google Patents

高分子固体電解質、固体電解質シート及び固体電解質シートの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】
熱的特性、物理的特性及びイオン伝導度に優れ、実用レベルに近い高分子固体電解質、固体電解質シート及びその製造方法を提供する。
【解決手段】
式(I)及び式(II)で表される繰り返し単位を有するポリマーセグメント、並びにウレタン結合、ウレア結合又はポリエーテル結合を含有する架橋セグメントを含む架橋高分子と、電解質塩とを含有する高分子固体電解質、この固体電解質をシート状に成形してなる固体電解質シート及びその製造方法。
【化1】
Figure 2005085638

(式中、R、Rは水素原子又はC1〜10炭化水素基を表し、Xは単結合又は 二価以上の連結基を表し、R、Rは水素原子又はメチル基を表し、Rはアルケニル基又はエステル基等を表し、Rは水素原子、炭化水素基、アシル基又はシリル基を表し、Rはアルキル基等を表す。mは2〜100の整数を表し、nはXの価数−1の整数を表し、pは1〜3の整数を表す。)
【選択図】 なし。

Description

本発明は、熱的特性、物理的特性及びイオン伝導度に優れる、架橋高分子と電解質塩とを含有してなる高分子固体電解質、固体電解質シート及びその製造方法に関する。
近年の電子機器等の小型化、軽量化、薄型化の進歩は目覚しいものがあり、電子機器の電力を支える二次電池にも、高エネルギー密度、高電圧、高出力等に優れるものが要望されている。このような要望の中、薄型で高エネルギー密度を有する電池として、電解質に高分子固体電解質を用いたシート型二次電池の開発が進められている。高分子固体電解質を用いた二次電池は、液漏れがないため信頼性が高く、形状自在かつ大面積で、薄型化が可能である等の特徴を有している。
このような高分子固体電解質の中でも、イオン伝導度に優れる高分子固体電解質として、ポリアルキレンオキシド鎖をエステル部位にもつアクリル酸エステル誘導体から得られる繰返し単位を有する共重合体を用いた高分子固体電解質がいくつか提案されている。
例えば、(i)特許文献1には、(1)下記極性単量体1、下記極性単量体2及び下記極性単量体3からなる群から選ばれた少なくとも1つの極性単量体を構成成分として10〜100モル%含有するセグメントA、並びに当該極性単量体を構成成分として10モル%未満含有するセグメントBからなるブロックコポリマーと、(2)エステル化合物とを含有することを特徴とするブロックコポリマー組成物を用いた固体電解質が記載されている。
極性単量体1:少なくとも1個の重合性不飽和結合と、ヒドロキシル基、ニトリル基、カルボキシル基、アミノ基及びアミド基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基とを有する極性単量体。
極性単量体2:下記式(1)で表される極性単量体。
Figure 2005085638
(式中、R101及びR102は、それぞれ水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を表し、R103は炭素数1〜5のアルキル基又はフェニル基を表し、tは1〜25の整数を表す。)
極性単量体3:下記式(2)で表される極性単量体。
Figure 2005085638
(式中、R104は炭素数1〜5のアルキル基を表し、R105は炭素数1〜10のアルキル基又はフェニル基を表し、f及びgはそれぞれ独立して1〜20の整数を表す。)
(ii)また、特許文献2には、少なくとも、式(3):
Figure 2005085638
(式中、R106〜R108は、それぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、R109は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のアシル基を表す。n’は1〜20の整数を示す。)で表される単量体(A)、及び式(4):
Figure 2005085638
(式中、R110〜R112は、それぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、R113〜R117は、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のハロアルキル基を表す。ただし、R113〜R116の少なくとも一つは、炭素数1〜4のα−ハロアルキル基である。)で表される単量体(B)を含有してなる単量体混合物を、共重合させて得られる多分岐高分子を用いた固体電解質が記載されている。
(iii)さらに、特許文献3には、架橋型高分子のマトリクス成分(A)と電解質塩(B)からなり、該マトリクス成分(A)の重合反応により得られた高分子固体電解質において、該マトリクス成分(A)として、少なくともウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A1)、及び下記式(5)で示される重合性モノマー(A2)を含有してなる高分子固体電解質が記載されている。
Figure 2005085638
(R118は水素原子又はメチル基を表し、R119は水素原子又は炭素数1〜18の直鎖もしくは分岐のアルキル基を表し、k’、l’及びm’は0以上の整数を表し、k’+l’+m’≧1である。)
特開平11−240998号公報 特開2001−181352号公報 特開2002−216845号公報
しかしながら、これらの文献に記載された固体電解質は、イオン伝導度が高いものの、熱的特性や物理的特性に劣るものであり、熱的特性や物理的特性、イオン伝導度のすべてを満足するものは得られていないのが現状であった。
本発明は、かかる従来技術の実情に鑑みてなされたものであり、熱的特性、物理的特性及びイオン伝導度に優れ、実用レベルに近い高分子固体電解質、固体電解質シート及びその製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、アルコキシポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートから得られる繰り返し単位を有するブロック鎖、スチレン等の無極性化合物から得られる繰り返し単位を有するブロック鎖、及び特定の架橋性の官能基を有する化合物から得られる繰り返し単位を有するブロック鎖が特定の形態で結合してなる共重合体と、前記架橋性の官能基と反応性を有する架橋剤とを用いて得られる架橋性高分子、並びに電解質塩とを含む高分子固体電解質が、熱的特性、物理的特性及びイオン伝導度に優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
かくして本発明の第1によれば、式(I)
Figure 2005085638
{式中、Rは水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基を表し、Xは単結合又は 二価以上の連結基を表し、R、Rは、それぞれ独立して水素原子又はメチル基を表す。mは2〜100の整数を表し、mが2以上のとき、式:CH(R)−CH(R)Oで表される基は、同一でも相異なっていてもよい。Rは、水素原子、炭化水素基、アシル基又はシリル基を表す。nは、Xの価数−1の整数を表し、nが2以上のとき、式:[CH(R)−CH(R)O]−Rで表される基は同一でも相異なっていてもよい。pは、1〜3の整数を表し、pが2以上のとき、式:O−X−〔[CH(R)−CH(R)O]−Rで表される基は同一でも相異なっていてもよい。Rは、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、メルカプト基、ニトロ基、カルボキシル基、置換基を有していてもよいアミノ基、置換基を有していてもよいアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキルチオ基又はアルキルスルホニル基を表す。kは0〜4の整数を表し、kが2以上のとき、Rは同一でも相異なっていてもよい。}で表される繰り返し単位、及び式(II)
Figure 2005085638
(式中、Rは水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基を表し、Rは、アリール基、ヘテロアリール基、置換基を有していてもよいアルケニル基又はエステル基を表す。)で表される繰り返し単位を有するポリマーセグメントと、ウレタン結合、ウレア結合又はポリエーテル結合を含有する架橋セグメントとを含む架橋高分子、並びに電解質塩を含有することを特徴とする高分子固体電解質が提供される。
本発明の高分子固体電解質においては、前記架橋高分子が、前記式(I)で表される繰り返し単位、式(II)で表される繰り返し単位、及び架橋点となり得るポリマーセグメントを有するポリマーと、架橋点と反応し得る官能基を有するものであって、分子内に、ウレタン結合、ウレア結合又はポリエーテル結合を有する架橋剤、又は架橋点と反応してウレタン結合、ウレア結合又はポリエーテル結合を生成し得る架橋剤と反応させて得られた高分子であるのが好ましい。
本発明の高分子固体電解質においては、前記架橋点となり得るポリマーセグメントが、式(III)
Figure 2005085638
(式中、Rは水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基を表し、Rはハロゲン原子、ヒドロキシル基、メルカプト基、ニトロ基、カルボキシル基、置換基を有していてもよいアミノ基、置換基を有していてもよいアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキルチオ基又はアルキルスルホニル基を表す。rは0〜4の整数を表し、rが2以上のとき、Rは同一でも相異なっていてもよい。qは1〜3の整数を表す。)で表される繰り返し単位を有するポリマーセグメントであるのが好ましい。
本発明の高分子固体電解質においては、前記ポリマーが、該ポリマー中の総繰り返し単位モル数に対して、前記式(I)で表される繰り返し単位モル数が9.9〜80%の範囲であり、前記式(II)で表される繰り返し単位モル数が19.9〜90%の範囲であり、架橋点となり得るポリマーセグメント中の繰り返し単位モル数が、0.1〜50%の範囲であるポリマーであるのが好ましい。
本発明の高分子固体電解質は、前記架橋剤として、ポリイソシアネート化合物又はエポキシ化合物を用いたものであるものが好ましい。
本発明の高分子固体電解質は、前記架橋剤を、前記架橋点1モルに対して、0.01〜2.0モル用いたものであるのが好ましい。
本発明の高分子固体電解質は、前記架橋高分子が、前記式(I)で表される繰り返し単位を有するポリマー鎖と、前記式(II)で表される繰り返し単位を有するポリマー鎖とが、ブロックで配列してなる高分子であるものが好ましく、前記式(I)で表される繰り返し単位を有するポリマー鎖と、前記式(II)で表される繰り返し単位を有するポリマー鎖とがブロックで配列してなる高分子であって、前記式(I)で表される繰り返し単位を有するポリマー鎖が、前記式(III)で表される繰り返し単位を含むものであるものがより好ましい。
本発明の高分子固体電解質においては、前記電解質塩が、アルカリ金属塩、4級アンモニウム塩、4級ホスホニウム塩、遷移金属塩及びプロトン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種であるのが好ましく、リチウム塩であるのがより好ましい。
本発明の第2によれば、本発明の高分子固体電解質をシート状に成形してなる固体電解質シートが提供される。
本発明の第3によれば、キャリアー上に、前記式(I)で表される繰り返し単位、前記式(II)で表される繰り返し単位、及び架橋点となり得るポリマーセグメントを有するポリマー、架橋点と反応し得る官能基を有するものであって、分子内に、ウレタン結合、ウレア結合又はポリエーテル結合を有する架橋剤、又は架橋点と反応してウレタン結合、ウレア結合又はポリエーテル結合を生成し得る架橋剤、及び電解質塩を含む高分子固体電解質用樹脂組成物の塗膜を形成する工程と、前記塗膜を加熱、又は前記塗膜に電離放射線を照射する工程とを有する固体電解質シートの製造方法が提供される。
本発明の高分子固体電解質及び固体電解質シートは、熱的特性、物理的特性及びイオン伝導性に優れている。本発明の高分子固体電解質及び固体電解質シートは、電池等の電気化学用デバイスの材料として有用であり、産業上の利用価値は高いといえる。
以下、1)高分子固体電解質、2)固体電解質シート及びその製造方法に項分けして、本発明を詳細に説明する。
1)高分子固体電解質
本発明の高分子固体電解質は、前記式(I)で表される繰り返し単位、及び式(II)で表される繰り返し単位を有するポリマーセグメントと、ウレタン結合、ウレア結合又はポリエーテル結合を含有する架橋セグメントとを含む架橋高分子、並びに電解質塩を含有することを特徴とする。
前記式(I)で表される繰り返し単位中、Rは水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基を表す。Rの炭素数1〜10の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基等の炭素数1〜10のアルキル基;フェニル基、ナフチル基等の炭素数6〜10のアリール基;ベンジル基等の炭素数7〜10のアラルキル基等が挙げられる。
前記Rの炭化水素基は、任意の炭素原子上に置換基を有していてもよい。かかる置換基としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等ハロゲン原子;メチル基、エチル基、n−プロピル基等のアルキル基;フェニル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基等のアラルキル基;アセチル基、ベンゾイル基等のアシル基;シアノ基;ニトロ基;メトキシ基等のアルコキシ基;フェノキシ基等のアリールオキシ基;メチルチオ基等のアルキルチオ基;メチルスルフィニル基等のアルキルスルフィニル基;メチルスルホニル基等のアルキルスルホニル基;アミノ基、ジメチルアミノ基等の置換基を有していてもよいアミノ基;アニリノ基;等が挙げられる。これらの置換基は、同一又は相異なって複数個が結合していてもよい。
Xは、単結合又は二価以上の連結基を表す。
二価以上の連結基としては、例えば、以下に示す(a)〜(o)、及びこれらの組み合わせ等が挙げられる。
Figure 2005085638
(式中、r1〜r11及びr14〜r19は、それぞれ独立して水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基を表し、r12、r13、r20及びr21は、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基を表し、p1〜p9はそれぞれ独立して1以上の整数を表す。)
前記Xの二価以上の連結基の具体例としては下記に示すものが挙げられる。
Figure 2005085638
Figure 2005085638
、Rは、それぞれ独立して水素原子又はメチル基を表す。
mは2〜100の整数を表し、mが2以上のとき、式:CH(R)−CH(R)Oで表される基は、同一でも相異なっていてもよい。
は、水素原子、炭化水素基、アシル基又はシリル基を表す。
の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基等のアルキル基;フェニル基、ナフチル基等のアリール基等が挙げられる。アシル基としては、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、ベンゾイル基等が挙げられる。またシリル基としては、トリメチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、ジメチルフェニルシリル基等が挙げられる。
前記Rの炭化水素基及びアシル基は、任意の炭素原子上に置換基を有していてもよい。かかる置換基としては、前記Rの置換基として列記したものと同様のものが挙げられる。
nは、Xの価数−1の整数を表し、nが2以上のとき、式:[CH(R)−CH(R)O]−Rで表される基は同一でも相異なっていてもよい。
pは、1〜3の整数を表し、pが2以上のとき、式:O−X−〔[CH(R)−CH(R)O]−Rで表される基は同一でも相異なっていてもよい。
は、フッ素原子、塩素原子などのハロゲン原子;ヒドロキシル基;メルカプト基;ニトロ基;カルボキシル基;アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基等の置換基を有していてもよいアミノ基;メチル基、トリフルオロメチル基、グリシジル基などの置換基を有していてもよいアルキル基;ビニル基、アリル基等のアルケニル基;メトキシ基等のアルコキシ基;フェニル基、4−メチルフェニル基等の置換基を有していてもよいアリール基;フェノキシ基、3−クロロフェノキシ基等の置換基を有していてもよいアリールオキシ基、メトキシカルボニル基などのアルコキシカルボニル基、メチルチオ基などのアルキルチオ基又はメチルスルホニル基等のアルキルスルホニル基を表す。
前記式(II)で表される繰り返し単位中、Rは、水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基を表す。Rの炭素数1〜10の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基等の炭素数1〜10のアルキル基;フェニル基、ナフチル基等の炭素数6〜10のアリール基;ベンジル基等の炭素数7〜10のアラルキル基を表す。
は、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基等のアリール基;2−ピリジル基、4−ピリジル基等のヘテロアリール基;ビニル基、アリル基、シンナミル基等の置換基を有していてもよいアルケニル基;又はメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等のエステル基;を表す。
また、前記Rのアリール基、ヘテロアリール基及びアルケニル基は任意の炭素原子上に置換基を有していてもよい。かかる置換基としては、前記Rの置換基として列記したものと同様のものが挙げられる。
前記式(II)で表される繰り返し単位としては、芳香族ビニル化合物、(メタ)アクリル酸エステル類、及びこれらの2種以上の組み合わせから誘導される繰り返し単位を例示することができる。
芳香族ビニル化合物としては、スチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、α−メチルスチレン、p−t−ブトキシスチレン、m−t−ブトキシスチレン、2,4−ジメチルスチレン、m−クロロスチレン、p−クロロスチレン、1−ビニルナフタレン、9−ビニルアントラセン、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン等が挙げられる。
また、(メタ)アクリル酸エステル類としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル、(メタ)アクリル酸1−アダマンチル、(メタ)アクリル酸2−メチル−2−アダマンチル、(メタ)アクリル酸1−メチレンアダマンチル、(メタ)アクリル酸1−エチレンアダマンチル、(メタ)アクリル酸3,7−ジメチル−1−アダマンチル、(メタ)アクリル酸トリシクロデカニル、(メタ)アクリル酸ノルボルナン、(メタ)アクリル酸メンチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフラニル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロピラニル、(メタ)アクリル酸3−オキソシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ブチロラクトン、(メタ)アクリル酸メバロニックラクトン等の(メタ)アクリル酸エステル類;等が挙げられる。
前記式(II)で表される繰り返し単位のモル数は、架橋反応により、十分な熱的特性及び物理的特性を有する膜を成形できる範囲であれば、特に制限されないが、5モル以上であるのが好ましい。
本発明に用いる架橋高分子は、前記式(I)で表される繰り返し単位、前記式(II)で表される繰り返し単位、及び架橋点となり得るポリマーセグメントを有するポリマー(以下、「ポリマー(A)」ということがある。)と、架橋点と反応し得る官能基を有するものであって、分子内に、ウレタン結合、ウレア結合又はポリエーテル結合を有する架橋剤、又は架橋点と反応してウレタン結合、ウレア結合又はポリエーテル結合を生成し得る架橋剤とを反応させて得られたものであるのが好ましい。
具体的には、下記式に示す官能基を有する繰り返し単位を含むポリマーセグメントを例示することができる。下記式中、p10〜p15は1〜3のいずれかの整数を表す。
Figure 2005085638
これらの中でも、用いるポリマー(A)において、前記架橋点となり得るポリマーセグメントとしては、前記式(III)で表される繰り返し単位を有するポリマーセグメントであるのが好ましい。
前記式(III)で表される繰り返し単位中、Rは、水素原子;又はメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、フェニル基、ナフチル基、ベンジル基等の炭素数1〜10の炭化水素基;を表す。前記Rの炭化水素基は任意の炭素上に置換基を有していてもよい。かかる置換基としては、前記Rの置換基として列記したものと同様のものが挙げられる。
は、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、メルカプト基、ニトロ基、カルボキシル基、置換基を有していてもよいアミノ基、置換基を有していてもよいアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキルチオ基又はアルキルスルホニル基を表す。
の具体例としては、前記Rと同様のものが挙げられる。
rは0〜4の整数を表し、rが2以上のとき、Rは同一又は相異なっていてもよい。
qは1〜3のいずれかの整数を表す。
前記式(III)で表される繰り返し単位の具体例としては、下記に示す単量体から誘導されるものが挙げられる。
Figure 2005085638
本発明に用いるポリマー(A)において、前記式(I)で表される繰り返し単位のモル数は、9.9〜80%の範囲であり、前記式(II)で表される繰り返し単位のモル数は、19.9〜90%の範囲であり、架橋点となり得るポリマーセグメント中の繰り返し単位モル数が0.1〜50%の範囲であるのが好ましい。前記式(I)で表される繰り返し単位のモル数が、9.9%未満では、十分なイオン伝導性が得られず、80%より多い場合には、十分な熱的特性、物理的特性が得られない。前記式(II)で表される繰り返し単位のモル数が、19.9%未満では、架橋密度が低く、十分な熱的特性、物理的特性が得られず、90%より多い場合には、十分なイオン伝導性が得られない。架橋点となり得るポリマーセグメント中の繰り返し単位モル数が、0.1%未満では十分な熱的特性、物理的特性が得られず、50%より多い場合には、十分なイオン伝導性が得られないおそれがある。
本発明においては、前記ポリマー(A)が、前記式(I)で表される繰り返し単位を有するブロック鎖、前記式(II)で表される繰り返し単位を有するブロック鎖、及び前記式(III)で表される繰り返し単位を有するブロック鎖からなる共重合体であるのが好ましい。この場合、前記式(I)で表される繰り返し単位を有するブロック鎖、前記式(II)で表される繰り返し単位を有するブロック鎖、及び前記式(III)で表される繰り返し単位を有するブロック鎖は直接結合していても、連結基、重合鎖等の他の構成単位を挟んで結合していてもよい。
また本発明においては、前記ポリマー(A)が、前記式(I)で表される繰り返し単位、前記式(II)で表される繰り返し単位、及び前記式(III)で表される繰り返し単位以外に他の繰返し単位を構成単位として含んでいてもよい。他の繰返し単位を構成単位として含む場合、前記式(I)〜(III)で表される繰返し単位との重合形式は特に制限されず、ランダム重合、ブロック重合、交互重合等のいずれの重合形式であってもよい。
前記他の繰り返し単位としては、例えば、共役ジエン類、α,β−不飽和カルボン酸イミド類、α,β−不飽和ニトリル類等の単量体から得られる繰り返し単位が挙げられる。
共役ジエン類としては、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、1,6−ヘキサジエン、4,5−ジエチル−1,3−オクタジエン、3−ブチル−1,3−オクタジエン、クロロプレン等が挙げられる。
α,β−不飽和カルボン酸イミド類としては、N−メチルマレイミド、N−フェニルマレイミド等が挙げられる。
また、α,β−不飽和ニトリル類としては、(メタ)アクリロニトリル等が挙げられる。
これらの単量体は1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明に用いるポリマー(A)の数平均分子量は特に制限されないが、5,000〜1,000,000の範囲が好ましい。5,000より小さい場合には、熱的特性、物理的特性が低下し、1,000,000より大きい場合には、成形性や成膜性が低下するおそれがある。
本発明に用いるポリマー(A)は、例えば、下記式(IV)〜(VI)で表される化合物を用い、遷移金属錯体を触媒とし、ハロゲン原子を1又は複数含む有機ハロゲン化合物を重合開始剤とするリビングラジカル重合法、安定ラジカルによるリビングラジカル重合法、リビングアニオン重合法等の公知の方法を用いて製造することができる。
Figure 2005085638
Figure 2005085638
Figure 2005085638
式(IV)〜式(VI)中、R〜R、m、n、p、q、r、k及びXは、前記と同じ意味を表す。
これらの中でも、遷移金属錯体を触媒、ハロゲン原子を1又は複数含む有機ハロゲン化合物を重合開始剤とするリビングラジカル重合法が好ましい。
前記リビングラジカル重合法は、さらに詳細には、
(イ)式(V)で表される化合物を、リビングラジカル重合法において、単官能開始剤を用いて反応させることにより得られる単官能ブロック鎖等の各ブロック鎖を含むマクロ開始剤に、さらに他のブロック鎖を構成する単量体を反応させて遂次にブロック鎖を伸長して、式(VI)のヒドロキシル基に側鎖を導入して製造する方法、
(ロ)式(IV)で表される化合物を、リビングラジカル重合法において、2官能開始剤を用いて反応させることにより得られる2官能ブロック鎖等の各ブロック鎖を含むマクロ開始剤に、さらに他のブロック鎖を構成する単量体を反応させて遂次にブロック鎖を伸長して製造する方法、
(ハ)式(IV)の代わりに式(VI)で表される化合物を用い、単官能開始剤を用い、他は(イ)と同様に行い、端から順次ブロック鎖を伸長して製造する方法、
(ニ)各ブロック鎖、又は各ブロック鎖の一部を所定の配列で重合した後、カップリング反応により製造する方法、等に分離することができる。本発明においては、いずれの方法も好適に採用することができる。
リビングラジカル重合に用いる遷移金属錯体を構成する中心金属としては、マンガン、レニウム、鉄、ルテニウム、ロジウム、ニッケル、銅等の周期律表第7〜11族元素(日本化学会編「化学便覧基礎編I改訂第4版」(1993年)記載の周期律表による)が好ましく挙げられ、ルテニウムが特に好ましい。
これらの金属に配位して錯体を形成する配位子としては特に限定されないが、例えば、トリフェニルホスフィン、トリナフチルホスフィン等の炭素数18〜54のトリアリールホスフィン;トリエチルホスフィン、トリブチルホスフィン等の炭素数3〜18のトリアルキルホスフィン;トリフェニルホスファイト等のトリアリールホスファイト;ジフェニルホスフィノエタン;塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;一酸化炭素;水素原子;シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、シクロオクタジエン、シクロオクタテトラエン、インデン、ノルボルナジエン等の環状オレフィン類;2−メチルペンテン、2−ブテン等の鎖状オレフィン類;ベンゼン、シメン、フェノール、4−イソプロピルトルエン、シクロペンタジエニルトルエン、インデニルトルエン等の芳香族化合物類;サリシリデン基を有する化合物、アレン、フラン、カルボン酸等を好ましい例として挙げることができる。また、含窒素系配位子やカルコゲナイドも有用である。
以上例示した配位子のうち、炭化水素配位子は任意の炭素原子に置換基を有していてもよい。置換基としては、メチル基、エチル基等のアルキル基;ビニル基、アリル基等のアルケニル基;プロパルギル基等のアルキニル基;メトキシ基等のアルコキシ基;メトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基;アセチル基、ベンゾイル基等のアシル基;ホルミル基;アセトキシ基等のアシルオキシ基;塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基、アミド基、イミノ基、ニトロ基、シアノ基、チオエステル基、チオケトン基、チオエーテル基等が挙げられる。
置換基を有する炭化水素配位子の具体例としては、ペンタメチルシクロペンタジエニル等の1〜5個のメチル基で置換されていてもよい環状炭化水素配位子等が挙げられる。
また遷移金属錯体は、前記例示した配位子以外に、ヒドロキシル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等のアルコキシ基;アセチル基、プロピオニル基等のアシル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基;アセチルアセトナート基等のβ−ジケトナート基;アセチルアセテート基等のβ−ケトエステル基;シアノ基(CN基)、チオシアナート(SCN)基、セレノシアナート(SeCN)基、テルロシアナート(TeCN)基、SCSN基、OCN基、ONC基、アジド(N)等の擬ハロゲン基;酸素原子;HO分子;NH、NO、NO、NO、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリブチルアミン、1,3−ジイソプロピル−4,5−ジメチルイミダゾール−2−イリデン、ピリジン、フェナントロリン、ジフェナントロリンや置換フェナントロリン、2,2’:6’,2’’’−ターピリジン、ピリジンイミン、架橋脂肪族ジアミン、4−4’−ジ(5−ノニル)−2,2’−ビピリジン、チオシアネート、O、S、Se又はTeが配位したビピリジン、アルキルイミノピリジン、アルキルビピリジニルアミン、アルキル置換トリピリジン、ジ(アルキルアミノ)アルキルピリジン、エチレンジアミンジピリジン、トリ(ピリジニルメチル)アミン等の窒素含有化合物;等を有していてもよい。
前記遷移金属錯体の具体例としては、ジクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、ジクロロトリス(トリブチルホスフィン)ルテニウム、ジクロロ(トリアルキルホスフィン)p−シメンルテニウム、ジクロロ−ジ(トリシメンホスフィン)スチリルルテニウム、ジクロロ(シクロオクタジエン)ルテニウム、ジクロロベンゼンルテニウム、ジクロロp−シメンルテニウム、ジクロロ(ノルボルナジエン)ルテニウム、シス−ジクロロビス(2,2’−ビピリジン)ルテニウム、ジクロロトリス(1,10−フェナントロリン)ルテニウム、カルボニルクロロヒドリドトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、クロロシクロペンタジエニルビス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、クロロインデニルビス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、ジヒドロテトラ(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、ジカルボニルシクロペンタジエニルヨウ化ルテニウム(II)、ジカルボニルシクロペンタジエニル臭化ルテニウム(II)、ジカルボニルシクロペンタジエニル塩化ルテニウム(II)、ジカルボニルインデニルヨウ化ルテニウム(II)、ジカルボニルインデニル臭化ルテニウム(II)、ジカルボニルインデニル塩化ルテニウム(II)、ジカルボニルフルオレニルヨウ化ルテニウム(II)、ジカルボニルフルオレニル臭化ルテニウム(II)、ジカルボニルフルオレニル塩化ルテニウム(II)、ジクロロ−ジ−2,6−ビス[(ジメチルアミノ)−メチル](μ−N)ピリジンルテニウム(II)等のルテニウム錯体;
ジ(トリフェニルホスフィン)二塩化鉄、ジ(トリブチルアミノ)二塩化鉄、トリフェニルホスフィン三塩化鉄、(1−ブロモ)エチルベンゼン−トリエトキシホスフィン−二臭化鉄、(1−ブロモ)エチルベンゼン−トリフェニルホスフィン−二臭化鉄、(1−ブロモ)エチルベンゼン−[4−4’−ジ(5−ノニル)−2,2’−ビピリジン]二臭化鉄、(1−ブロモ)エチルベンゼン−トリ−n−ブチルアミノ−二臭化鉄、(1−ブロモ)エチルベンゼン−トリ−n−ブチルホスフィン−二臭化鉄、トリ−n−ブチルホスフィン−二臭化鉄、[4、4’−ジ(5−ノニル)−2,2’−ビピリジン]二臭化鉄、テトラアルキルアンモニウム三ハロゲン化鉄(II)、ジカルボニルシクロペンタジエニルヨウ化鉄(II)、ジカルボニルシクロペンタジエニル臭化鉄(II)、ジカルボニルシクロペンタジエニル塩化鉄(II)、ジカルボニルインデニルヨウ化鉄(II)、ジカルボニルインデニル臭化鉄(II)、ジカルボニルインデニル塩化鉄(II)、ジカルボニルフルオレニルヨウ化鉄(II)、ジカルボニルフルオレニル臭化鉄(II)、ジカルボニルフルオレニル塩化鉄(II)、1,3−ジイソプロピル−4,5−ジメチルイミダゾール−2−イリデン塩化鉄、1,3−ジイソプロピル−4,5−ジメチルイミダゾール−2−イリデン臭化鉄等の鉄錯体;
カルボニルシクロペンタジエニルヨウ化ニッケル(II)、カルボニルシクロペンタジエニル臭化ニッケル(II)、カルボニルシクロペンタジエニル塩化ニッケル(II)、カルボニルインデニルヨウ化ニッケル(II)、カルボニルインデニル臭化ニッケル(II)、カルボニルインデニル塩化ニッケル(II)、カルボニルフルオレニルヨウ化ニッケル(II)、カルボニルフルオレニルヨウ化ニッケル(II)、カルボニルフルオレニル臭化ニッケル(II)、カルボニルフルオレニル塩化ニッケル(II)、o,o’−ジ(ジメチルアミノメチル)フェニルハロゲン化ニッケル、ジ−トリフェニルホスフィン二臭化ニッケル、ジ(トリn−ブチルアミノ)二臭化ニッケル、1,3−ジアミノフェニル臭化ニッケル、ジ(トリn−ブチルホスフィン)二臭化ニッケル、テトラ(トリフェニルホスフィン)ニッケル等のニッケル錯体;
トリカルボニルシクロペンタジエニルヨウ化モリブデン(II)、トリカルボニルシクロペンタジエニル臭化モリブデン(II)、トリカルボニルシクロペンタジエニル塩化モリブデン(II)、ジアリールアミノ−ジ(2−ジメチルアミノメチルフェニル)リチウムモリブデン、ジアリールアミノ−(2−ジメチルアミノメチルフェニル)−メチル−リチウムモリブデン、ジアリールアミノ−(2−ジメチルアミノメチルフェニル)−トリメチルシリルメチル−リチウムモリブデン、ジ−N−アリール−(2−ジメチルアミノメチルフェニル)−p−トリル−リチウムモリブデン等のモリブデン錯体;
トリカルボニルシクロペンタジエニルヨウ化タングステン(II)、トリカルボニルシクロペンタジエニル臭化タングステン(II)、トリカルボニルシクロペンタジエニル塩化タングステン(II)等のタングステン錯体;
ジカルボニルシクロペンタジエニルコバルト(I)等のコバルト錯体;
トリカルボニルシクロペンタジエニルマンガン(I)、トリカルボニル(メチルシクロペンタジエニル)マンガン(I)等のマンガン錯体;
トリカルボニルシクロペンタジエニルレニウム(I)、ジオキソビス(トリフェニルホスフィン)ヨウ化レニウム等のレニウム錯体;
トリ(トリフェニルホスフィン)塩化ロジウム等のロジウム錯体;
トリフェニルホスフィンジアセチルパラジウム等のパラジウム錯体;
ジフェナンスロリンや置換フェナンスロリン、2,2’:6’,2’’−ターピリジン、ピリジンイミン、架橋脂肪族ジアミン等による銅錯塩、アセチル[4−4’−ジ(5−ノニル)−2,2’−ビピリジン]銅、六フッ化ホスフィン−ジ[4−4’−ジ(5−ノニル)−2,2’−ビピリジン]銅、チオシアネート銅、O,S,Se,Teの配位したビピリジン銅、アルキルビピリジニルアミンやアルキル置換トリピリジンやジ(アルキルアミノ)アルキルピリジンやイミノジピリジンやエチレンジアミンジピリジンやトリ(ピリジニルメチル)アミン等が配位した銅等の銅錯体;等が挙げられる。これらの遷移金属錯体は、1種又は2種以上組み合わせて使用できる。
これらの中でも、ジクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム又はクロロインデニルビス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、ジヒドロテトラキス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、ジカルボニルシクロペンタジエニルヨウ化ルテニウム(II)、ジカルボニルシクロペンタジエニルヨウ化鉄(I)、カルボニルシクロペンタジエニルヨウ化ニッケル(II)が好ましい。
有機ハロゲン化合物は、1〜4個又はそれ以上のハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等)を含み、遷移金属錯体と作用してラジカル種を発生させることにより重合を開始させる、重合開始剤として用いられる。このような有機ハロゲン化合物は1種又は2種以上組み合わせて使用できる。有機ハロゲン化合物としては、特に制限されず種々の化合物が使用できるが、例えば、下記式(VII)で表されるハロゲン化合物や、式(VIII)で表されるスルホニルハライド化合物等が挙げられる。
Figure 2005085638
Figure 2005085638
式中、R60、R61は、それぞれ独立して水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基又はヘテロ原子を含む有機基を表し、R62は、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基又はヘテロ原子を含む有機基を表す。前記R60〜R62のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基及びヘテロ原子を含む有機基は、任意の位置に置換基を有していてもよい。
前記R60〜R62のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基等の炭素数1〜12アルキル基等が例示できる。シクロアルキル基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基等の炭素数4〜12シクロアルキル基(好ましくは炭素数4〜8シクロアルキル基)等が例示できる。アリール基としては、フェニル、トリル、ナフチル基等の炭素数6〜12アリール基等が例示できる。アラルキル基としては、ベンジル、フェネチル基等の炭素数7〜14アラルキル基等が例示できる。
ヘテロ原子を含む有機基としては、少なくとも1つのヘテロ原子(窒素、酸素又は硫黄等のヘテロ原子)を含む有機基が挙げられる。具体的には、エステル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基;フェノキシカルボニル基等のアリールオキシカルボニル基;アセトキシ基、プロピオニルオキシ基等のアシルオキシ基;ベンゾイルオキシ基等のアリールカルボニルオキシ基;ホルミル基;アセチル基、ベンゾイル基等のアシル基;メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基;フェノキシ基、ナフトキシ基等のアリールオキシ基;アルキルチオ基、アリールチオ基等のチオエーテル基;カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基、アミド基、イミノ基、シアノ基、ニトロ基、チオエステル基、チオケトン基等が例示できる。
は、ハロゲン原子又はハロゲン原子を含む有機基を表し、Zは、前記Z、又はR60若しくはR61と同様の意味を表す。Z、Zのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が例示でき、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が好ましい。
前記式(VII)で表されるハロゲン化合物としては、ハロアルカン[塩化メチル、臭化メチル、ヨウ化メチル、塩化エチル、臭化エチル、ヨウ化エチル、塩化n−プロピル、臭化n−プロピル、ヨウ化n−プロピル、塩化イソプロピル、臭化イソプロピル、ヨウ化イソプロピル、塩化t−ブチル、臭化t−ブチル、ヨウ化t−ブチル等のC1−C12のアルキルモノハライド;ジクロロメタン、ジブロモメタン、ジヨードメタン、1,1−ジクロロエタン、1,1−ジブロモエタン、1,1−ジヨードエタン、1−ブロモ−1−クロロエタン、2,2−ジクロロプロパン、2,2−ジブロモプロパン、2,2−ジヨードプロパン、2−クロロ−2−ヨードプロパン、2−ブロモ−2−ヨードプロパン等のジハロC1−C12アルカン;ハロゲン化シクロアルキル(シクロヘキシルクロライド、シクロオクチルクロライド等のC5−C10シクロアルキルハライド等)]、ハロゲン化アリール(クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン化C6−C14アリール等)、ハロゲン化アラルキル(塩化ベンジル、臭化ベンジル、ヨウ化ベンジル、塩化ベンズヒドリル、臭化ベンズヒドリル、1−フェニルエチルクロリド、1−フェニルエチルブロミド、1−フェニルエチルヨージド、キシリレンジクロリド、キシリレンジブロミド、キシリレンジヨージド、ジクロロフェニルメタン、ジクロロジフェニルメタン等のC7−C14アラルキルハライド等)等のハロゲン化炭化水素;
ジクロロ酢酸メチル、トリクロロ酢酸メチル、α−ブロモフェニル酢酸メチル、2−ブロモ−2−メチルプロピオン酸エチル、2−ブロモ−プロピオン酸ヒドロキシエチル、2−ブロモ−プロピオン酸グリシジルメチル、2−ブロモ−プロピオン酸プロペニル、クロロ酢酸ビニル、ブロモラクトン、2−ブロモ−プロピオン酸−p−カルボキシルフェノルエチル、2−クロロイソ酪酸メチル、2−クロロイソ酪酸エチル、2−ブロモイソ酪酸メチル、2−ブロモイソ酪酸エチル、2−ヨードイソ酪酸メチル、2−ヨードイソ酪酸エチル等のハロゲン含有C2−C12モノカルボン酸のC1−C10アルキルエステルや置換アルキルエステルやアルケニルエステル等(好ましくはハロゲン含有C4−C8モノカルボン酸のC1−C4アルキルエステル等);2−クロロ−2−メチルマロン酸ジメチル、2−クロロ−2−メチルマロン酸ジエチル、2−ブロモ−2−メチルマロン酸ジメチル、2−ブロモ−2−メチルマロン酸ジエチル、2−ヨード−2−メチルマロン酸ジメチル、2−ヨード−2−メチルマロン酸ジエチル、2−ブロモ−2,4,4−トリメチル−グルタル酸ジメチル等のハロゲン含有C1−C14多価カルボン酸のC1−C10アルキルエステル(好ましくはハロゲン含有C2−C8ジカルボン酸のジC1−C4アルキルエステル等)、ジクロロ酢酸、ジブロモ酢酸、2−クロロイソ酪酸、2−ブロモイソ酪酸等のハロゲン含有C2−C12カルボン酸等のハロゲン含有エステル;
2−クロロアセトン、1,1−ジクロロアセトン、エチルクロロメチルケトン、1−ブロモエチルエチルケトン等のハロゲン化C1−C10アルキル−C1−C10アルキルケトン;2,2−ジクロロアセトフェノン、2−ブロモイソブチロフェノン等のハロゲン化C1−C10アルキル−C6−C12アリールケトン等のハロゲン含有ケトン;
2−ブロモプロピオニトリル等のハロゲン含有ニトリル;等が挙げられる。その他、ベンジルチオシアネートも使用できる。
前記式(VIII)で表されるスルホニルハライド化合物としては、塩化メタンスルホニル、臭化メタンスルホニル、ヨウ化メタンスルホニル、塩化クロロメタンスルホニル、臭化クロロメタンスルホニル、ヨウ化クロロメタンスルホニル、塩化ジクロロメタンスルホニル、臭化ジクロロメタンスルホニル、ヨウ化ジクロロメタンスルホニル、塩化ブロモメタンスルホニル、臭化ブロモメタンスルホニル、ヨウ化ブロモメタンスルホニル、塩化ジブロモメタンスルホニル、臭化ジブロモメタンスルホニル、ヨウ化ジブロモメタンスルホニル、塩化ヨードメタンスルホニル、臭化ヨードメタンスルホニル、ヨウ化ヨードメタンスルホニル、塩化ジヨードメタンスルホニル、臭化ジヨードメタンスルホニル、ヨウ化ジヨードメタンスルホニル、塩化トリクロロメタンスルホニル等の脂肪族スルホニルハライド(特に、メタンスルホニルハライド等のアルカンスルホニルハライド);塩化ベンゼンスルホニル、臭化ベンゼンスルホニル、ヨウ化ベンゼンスルホニル、塩化p−メチルベンゼンスルホニル、臭化p−メチルベンゼンスルホニル、ヨウ化p−メチルベンゼンスルホニル、塩化p−クロロベンゼンスルホニル、臭化p−クロロベンゼンスルホニル、ヨウ化p−クロロベンゼンスルホニル、塩化p−メトキシベンゼンスルホニル、臭化p−メトキシベンゼンスルホニル、ヨウ化p−メトキシベンゼンスルホニル、塩化p−ニトロベンゼンスルホニル、臭化p−ニトロベンゼンスルホニル、ヨウ化p−ニトロベンゼンスルホニル、塩化p−フッ化ベンゼンスルホニル、塩化p−カルボキシルベンゼンスルホニル、塩化p−アミノジアゾベンゼンスルホニル、塩化−2,5ジクロロベンゼンスルホニル、塩化−2,5ジメトキシベンゼンスルホニル、塩化−2−ヒドロキシ−3,5−ジクロロベンゼンスルホニル、塩化−1−ナフタレンスルホニル、塩化−2−ナフタレンスルホニル、塩化(5−アミノ−2−ナフタレン)スルホニル、塩化1,4−ジスルホニルベンゼン、二臭化1,4−ジスルホニルベンゼン、二ヨウ化1,4−ジスルホニルベンゼン、二塩化2,6−ジスルホニルナフタレン、二臭化2,6−ジスルホニルナフタレン、二ヨウ化2,6−ジスルホニルナフタレン等の芳香族スルホニルハライド等が挙げられる。
また、本発明においては、前記式(VII)及び(VIII)で表される化合物の他に、3〜4個のハロゲン原子を含む有機ハロゲン化合物や、ヘテロ原子を有する他のハロゲン化合物も重合開始剤として用いることができる。
3個のハロゲン原子を含むものとしては、クロロホルム等のトリハロC1−C12アルカン;トリクロロフェニルメタン等のC7−14アラルキルハライド;アセチルトリ塩化メタン等のハロゲン含有C2−C12モノカルボン酸のC1−C10アルキルエステル;1,1,1,−トリクロロアセトン等のハロゲン化C1−C10アルキル−C1−C10アルキルケトン等が例示でき、4個のハロゲン原子を含むものとして、四塩化炭素、ブロモトリ塩化メタン等のテトラハロC1−C12アルカン等が挙げられる。また、4個を超えるハロゲン原子を含むものとしては、トリフルオロトリ塩化エタンが挙げられる。
ヘテロ原子を有する他のハロゲン化合物としては、ハロゲン化アルコール(2,2−ジクロロエタノール、2,2−ジブロモエタノール等の脂肪族、脂環族又は芳香族ハロゲン化C1−C10アルコール等)、ハロゲン化ニトリル(ジクロロアセトニトリル、ジブロモアセトニトリル等のハロゲン化アセトニトリル等)、ハロゲン化アルデヒド、ハロゲン化アミド等が挙げられる。
リビングラジカル重合法においては、さらに、金属錯体に作用することにより、ラジカル重合を促進させる活性化剤として、ルイス酸及び/又はアミン類を使用することができる。
用いるルイス酸としては特に制限されず、種々のルイス酸、例えば、下記式(IX)又は(X)で表される化合物等が挙げられる。
Figure 2005085638
Figure 2005085638
式中、Mは周期律表第3族元素又は周期律表第13族元素を表し、Mは周期律表第4族元素又は周期律表第14族元素を表す。
の具体例としては、周期律表第3族元素としてスカンジウム、イットリウム等、周期律表第13族元素としてホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウム等が挙げられ、特に、Sc、B、Al、さらにSc、Al等を好ましく例示することができる。
の具体例としては、周期律表第4族元素としてチタン、ジルコニウム、ハフニウム等、周期律表第14族元素としてケイ素、スズ、鉛等が挙げられ、特に、Ti、Zr、Sn等を好ましく例示することができる。
70〜R73は、それぞれ独立して、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基等のシクロアルキル基;フェニル基、トリル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基;シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、シクロオクチルオキシ基等のシクロアルキルオキシ基;ベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基等のアラルキルオキシ基;等を表す。
前記R70〜R73は、前記炭化水素配位子の置換基と同様の置換基を有していてもよい。例えば、アリールオキシ基は、芳香環上に置換基、例えば炭素数1−5アルキル基等を一つ又はそれ以上有していてもよい。このような置換アリールオキシ基の具体例としては、2−メチルフェノキシ基、3−メチルフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基、2−エチルフェノキシ基、3−エチルフェノキシ基、4−エチルフェノキシ基、2,6−ジメチルフェノキシ基、2,6−ジエチルフェノキシ基、2,6−ジイソプロピルフェノキシ基、2,6−ジ−n−ブチルフェノキシ基、2,6−ジ−t−ブチルフェノキシ基等が挙げられる。
前記式(X)で表される化合物としては、例えば、アルミニウムトリエトキシド、アルミニウムトリイソプロポキシド、アルミニウムトリs−ブトキシド、アルミニウムトリt−ブトキシド、アルミニウムトリフェノキシド等のアルミニウムアルコキシド;アリールオキシド;メチルアルミニウムビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノキシド)、エチルアルミニウムビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノキシド)、メチルアルミニウムビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシド)等のアルキルアルミニウムアリールオキシド;三塩化アルミニウム、三臭化アルミニウム、三ヨウ化アルミニウム等のアルミニウムトリハライド;
スカンジウムトリイソプロポキシド等のスカンジウムアルコキシド;三塩化スカンジウム、三臭化スカンジウム、三ヨウ化スカンジウム等のスカンジウムハライド;
チタンテトラメトキシド、チタンテトラエトキシド、チタンテトラn−プロポキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラn−ブトキシド、チタンテトラt−ブトキシド、チタンテトラフェノキシド、クロロチタントリイソプロポキシド、ジクロロチタンジイソプロポキシド、トリクロロチタンイソプロポキシド等のチタンアルコキシド;
四塩化チタン、四臭化チタン、四ヨウ化チタン等のチタンハライド;
ジルコニウムテトラエトキシド、ジルコニウムテトラn−プロポキシド、ジルコニウムテトライソプロポキシド、ジルコニウムテトラn−ブトキシド、ジルコニウムテトラt−ブトキシド等のジルコニウムアルコキシド;
四塩化ジルコニウム、四臭化ジルコニウム、四ヨウ化ジルコニウム等のジルコニウムハライド;
スズテトライソプロポキシド等のスズアルコキシド;
四塩化スズ、四臭化スズ、四ヨウ化スズ等のスズハライド;等が挙げられる。
これらの中でも好ましいルイス酸としては、アルミニウム、スカンジウム、チタン、ジルコニウム及びスズから選択された金属のアルコキシドが挙げられる。
用いるアミン類としては、2級アミン、3級アミン、含窒素芳香族複素環化合物等が挙げられ、なかでも、2級アミン、3級アミンの使用が好ましい。
2級アミンの具体例としては、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジ−イソプロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ピロリジン、ピペリジン、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ピペラジン、モルホリン等が挙げられる。3級アミンの具体例としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノン−5−エン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデ−7−セン等が挙げられる。
また、アミン類として、同一分子内に、1級アミン部分、2級アミン部分、及び3級アミン部分から選ばれる少なくとも2つ以上を有する化合物を使用することもできる。このような化合物の具体例としては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチルペンタミン、4−(2−アミノエチル)ピペリジン等が挙げられる。
遷移金属錯体とルイス酸又はアミン類との割合は、前者/後者=0.05/1〜10/1(モル比)、好ましくは0.1/1〜5/1(モル比)程度である。
リビングラジカル重合は、安定ラジカル系開始剤を用いても行うことができる。用いる安定ラジカル系開始剤としては、安定フリーラジカル化合物とラジカル重合開始剤との混合物や、各種アルコキシアミン類が挙げられる。
安定フリーラジカル化合物とは、室温又は重合条件下で単独で安定な遊離基として存在し、また重合反応中には成長末端ラジカルと反応して再解離可能な結合を生成することができるものである。例えば、2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシ(TEMPO)、4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシ、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペルジニルオキシ、4−オキソ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシ、4,4’−ジメチル−1,3−オキサゾリン−3−イルオキシ、2,2,5,5−テトラメチル−1−ピロジニルオキシ、ジ−t−ブチルニトロキシド、2,2−ジ(4−t−オクチルフェニル)−1−ピクリルヒドラジル等のニトロキシドラジカルやヒドラジニルラジカルを1〜複数個生成する化合物が例示される。
ラジカル重合開始剤としては、分解してフリーラジカルを生成する化合物であればよい。ラジカル重合開始剤の具体例としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物類;過酸化ベンゾイル等のジアシルパーオキサイド類;メチルエチルケトンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類;1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン等のパーオキシケタール類等;キュメンハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド類;ジクミルパーオキサイド等のジアルキルパーオキサイド類;t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシベンゾエート等のパーオキシエステル類;等が例示できる。また、ジメチルアニリンやナフテン酸コバルト等有機過酸化物と組み合わせて用いられる公知の重合促進剤を併用しても良い。
これらのラジカル重合開始剤は、前述の安定フリーラジカル化合物1モルに対して通常0.05〜5モル、好ましくは0.2〜2モルの範囲で用いられる。
アルコキシアミン類としては、ラジカル重合ハンドブック、107頁(1999年)エヌティエス社、J.Am.Chem.Soc.,121,3904(1999)等の文献に記載されている化合物を例示することができ、特に、下記に示す化合物が好ましい。
Figure 2005085638
リビングラジカル重合法によるポリマー(A)の製造方法として、具体的には、
(ア)第一の単量体の転化率が100%に達した後、第二の単量体を添加して重合を完結させ、これを繰り返すことによりブロック共重合体を得る単量体を逐次的に添加する方法、
(イ)第一の単量体の転化率が100%に達しなくとも目標の重合度又は分子量に達した段階で第二の単量体を加えて重合を継続し、ブロック鎖間にランダム部分が存在するグラジエント共重合体を得る方法、
(ウ)第一の単量体の転化率が100%に達しなくとも目標の重合度又は分子量に達した段階で一旦反応を停止、系外に重合体を取りだし、得られた重合体をマクロ開始剤として他の単量体を加えて共重合を断続的に進め、ブロック共重合体を得る方法、等が挙げられる。
重合方法は特に制限されず、慣用の方法、例えば、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合等が採用できるが、溶液重合が特に好ましい。
溶液重合に用いる溶媒としては特に制限されず、慣用の溶媒、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;シクロヘキサン等の脂環族炭化水素類;n−ヘキサン、n−オクタン等の脂肪族炭化水素類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等ケトン類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等エーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;メタノール、エタノール等のアルコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート等多価アルコール誘導体類;等が使用できる。これらの溶媒は単独で、あるいは2種以上混合して使用できる。
重合は、通常、真空(減圧下)、又は窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガスの雰囲気下、温度0〜200℃、好ましくは40〜150℃で行なうことができる。
また、本発明においては、リビングアニオン重合法によるポリマー(A)の製造方法として、アルカリ金属又は有機アルカリ金属を重合開始剤として、通常、真空(減圧下)、又は窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガスの雰囲気下、有機溶媒中において、−100〜+50℃、好ましくは−100〜−20℃において重合反応を行う方法を採用することもできる。
用いるアルカリ金属としては、リチウム、カリウム、ナトリウム、セシウム等を例示することができる。有機アルカリ金属としては、上記アルカリ金属のアルキル化物、アリル化物、アリール化物等を例示でき、具体的には、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、エチルナトリウム、リチウムビフェニル、リチウムナフタレン、リチウムトリフェニル、ナトリウムナフタレン、α−メチルスチレンジアニオン、1,1−ジフェニルヘキシルリチウム、1,1−ジフェニル−3−メチルペンチルリチウム等が挙げられる。
用いる有機溶媒としては、芳香族炭化水素類(ベンゼン、トルエン等)、脂肪族炭化水素類(ヘキサン、オクタン等)、脂環族炭化水素類(シクロヘキサン、シクロペンタン等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等)、エーテル類(テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、アニソール等)、ヘキサメチルホスホルアミド等の、アニオン重合法において通常使用される有機溶媒が挙げられる。
また、本発明においては共重合反応を制御することを目的として、公知の添加剤、例えば塩化リチウム等の鉱酸のアルカリ金属塩及び/又はアルカリ土類金属塩を反応系に添加することもできる。
なお、分子内にヒドロキシル基、カルボキシル基等の活性水素を有する化合物を用いてリビングアニオン重合を行う場合には、シリル化、アセタール化、BOC化等公知の保護化反応により活性水素を保護してから重合反応に供し、重合後、酸、アルカリ等により脱保護化反応を行うのが好ましい。
共重合反応過程の追跡及び反応終了の確認は、ガスクロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー、ゲル浸透クロマトグラフィー、膜浸透圧法、NMR等により容易に行うことができる。
共重合反応終了後は、カラム精製による方法や、水や貧溶媒中に投入して析出したポリマー分を濾過、乾燥させる方法等の、通常の分離精製方法を適用することにより、目的とするポリマー(A)を単離することができる。
上記のようにして得られるポリマー(A)は、好適には、前記式(I)で表される繰り返し単位を有するブロック鎖(ブロック鎖(I))、前記式(II)で表される繰り返し単位を有するブロック鎖(ブロック鎖(II))、及び前記式(III)で表される繰り返し単位を有するブロック鎖(ブロック鎖(III))を含む共重合体である。
本発明においては、ポリマー(A)を架橋剤と反応させることで、本発明の高分子固体電解質に好適な架橋性ポリマーを得る。
用いる架橋剤としては、架橋点と反応し得る官能基を有するものであって、一般式(III)で表される繰り返し単位に含まれる反応点と反応して架橋するものであれば、特に制限はされない。なかでも、分子内に、ウレタン結合、ウレア結合又はポリエーテル結合を有する架橋剤、又は架橋点と反応してウレタン結合、ウレア結合又はポリエーテル結合を生成し得るものが好ましい。
架橋剤の好ましい具体例としては、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、水添化ジフェニルメタンジイソシアネート(H−MDI)、トリフェニルメタントリイソシアネート、ポリフェニルメタンポリイソシアネート(クルードMDI)、変性ジフェニルメタンジイソシアネート(変性MDI)、水添化キシリレンジイソシアネート(H−XDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMHMDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(m−TMXDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ノルボルネンジイソシアネート(NBDI)、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(H6XDI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート、等のポリイソシアネートあるいはこれらポリイソシアネートの多量体化合物、これらポリイソシアネートとポリオールの反応生成物、イソシアネート基の一部又は全部を、フェノール化合物やオキシム化合物等の公知のブロック化剤を用いてブロックしたブロックイソシアネート類等のポリイソシアネート化合物;
ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、ポリグリコール型エポキシ樹脂、脂環型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、イソシアヌル酸型エポキシ樹脂、ハロゲン化ビスフェノールA型エポキシ樹脂等等の2以上のエポキシ基を含むエポキシ化合物;
トリエチレンジアミン、トリエチレンテトラミン等の脂肪族ポリアミン類、ジアミノジフェニルメタン等の芳香族ポリアミン類、N−アミノエチルピペラジン等の脂環族ポリアミン類、4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸等の酸無水物類、フェノールノボラック樹脂、クレゾ−ルノボラック樹脂、ポリ−p−ヒドロキシスチレン等のポリフェノール類、ジシアンジアミド、ポリアミド樹脂等のエポキシ樹脂用硬化剤として用いられている化合物;
三フッ化ホウ素アミンコンプレックス、各種オニウム塩等の硬化剤;等が挙げられる。また、その他として、酸無水物類、ポリフェノール類を架橋剤として用いることができる。
これらの架橋剤は1種単独で、あるいは2種以上を併用して用いることができる。
これらの中でも、架橋剤としては、分子内に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物、又はエポキシ化合物の使用が好ましい。なお、式(II)で表される繰り返し単位中にエポキシ基を有する場合には、見かけ上、エポキシ硬化剤が架橋剤となるものとする。
ポリイソシアネート化合物を用いる場合には、必要に応じて、硬化促進剤として、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、ヘキサメチレンテトラミン等のアミン類、ナフテン酸コバルト、テトラ−n−ブチルチン、ジブチルチンジラウレート等の重金属化合物類等を用いることもできる。また、エポキシ化合物を用いる場合には、必要に応じて、硬化促進剤として、ベンジルジメチルアミン等の3級アミン類、2−エチルイミダゾール等のイミダゾール類を用いることができる。
前記式(III)で表される繰り返し単位中に含まれる官能基と架橋剤との組み合わせは、架橋反応するものであれば、特に制限はされない。例えば、前記式(III)で表される繰り返し単位中の官能基がヒドロキシル基である場合、架橋剤としてはポリイソシアネート化合物が好ましく、官能基がカルボキシル基、アミノ基の場合には、架橋剤としてポリエポキシ化合物が好ましい。
架橋剤の使用量は特に制限されないが、架橋点を有する前記式(III)で表される繰り返し単位1モルに対して、0.01〜2.0モルの範囲が好ましく、0.1〜1モルの範囲がさらに好ましい。0.01モル未満では、十分な熱的特性、物理的特性が得られず、2.0モルより大きい場合には、十分なイオン伝導率が得られなくなるおそれがある。
本発明の高分子固体電解質は、ポリマー(A)、架橋剤及び電解質塩を添加混合して高分子固体電解質用樹脂組成物を調製し、該組成物に、熱;紫外線、赤外線、遠赤外線、マイクロ波等の電離放射線;等の各種エネルギーを用いて、ポリマー(A)と架橋剤との架橋反応を行うことにより製造することができる。
ポリマー(A)、架橋剤及び電解質塩を添加混合して高分子固体電解質用樹脂組成物を調製する方法には特に制限なく、例えば、ポリマー(A)、架橋剤及び電解質塩を、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、アセトニトリル、エタノール、ジメチルホルムアミド等の適当な溶媒に溶解させる方法、ポリマー(A)、架橋剤及び電解質塩を常温又は加熱下に機械的に混合する方法等が挙げられる。
本発明に用いる電解質塩としては特に限定されず、電荷でキャリアーとしたいイオンを含んだ電解質を用いることができる。本発明においては、硬化して得られる高分子固体電解質中での解離定数が大きいことが望ましく、アルカリ金属塩、(CHNBF等の4級アンモニウム塩、(CHPBF等の4級ホスホニウム塩、AgClO等の遷移金属塩、及び塩酸、過塩素酸、ホウフッ化水素酸等のプロトン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましく、アルカリ金属塩、4級アンモニウム塩、4級ホスホニウム塩又は遷移金属塩の使用がより好ましく、アルカリ金属塩がさらに好ましい。
アルカリ金属塩の具体例としては、LiCFSO、LiN(CFSO、LiC(CFSO、LiC(CH)(CFSO、LiCH(CFSO、LiCH(CFSO)、LiCSO、LiN(CSO、LiB(CFSO、LiPF、LiClO、LiI、LiBF、LiSCN、LiAsF、NaCFSO、NaPF、NaClO、NaI、NaBF、NaAsF、KCFSO、KPF、KI、LiCFCO、NaClO、NaSCN、KBF、Mg(ClO、Mg(BF等が挙げられ、リチウム塩が特に好ましい。
電解質塩の添加量は、高分子電解質の基材高分子である多分岐高分子中のアルキレンオキサイドユニットに対して、0.005〜80モル%、好ましくは0.01〜50モル%の範囲である。
また、本発明においては、高分子電解質を製造する方法の他の態様として、
(i)ポリマー(A)と架橋剤を、熱等の各種エネルギーを用いて完全に架橋する手前で制御し、さらに電解質塩を添加して架橋、固化させる方法、
(ii)架橋条件の異なる2種以上のポリマー(A)、及び1種以上の架橋剤を、1つの共重合体のみが架橋する条件の下に架橋させた後、電解質塩を添加してさらに、架橋、固化させる方法、
(iii)架橋条件の異なる2種以上のポリマー(A)、1種以上の架橋剤、及び電解質塩を、1つの共重合体のみが架橋する条件の下に架橋させた後、さらに、架橋、固化させる方法、等を採用することもできる。
特に、後述する固体電解質シートを製造する場合には、上記した高分子固体電解質用樹脂組成物をシート状、膜状、フィルム状等の形状に成形した後、前記エネルギーにより架橋させてシート状架橋高分子体とするのが好ましく、この場合、加工面の自由度が広がり、応用上の大きな利点となる。
2)固体電解質シート及びその製造方法
本発明の固体電解質シートは、本発明の高分子固体電解質をシート状に成形してなることを特徴とする。
本発明の固体電解質シートは、キャリアー上に、前記高分子固体電解質用樹脂組成物の塗膜を形成し、前記塗膜を加熱、又は前記塗膜に電離放射線を照射することにより製造することができる。
本発明に用いるキャリアーとしては、本発明の固体電解質シートを担持することができるものであれば、材質、大きさ、形状等は特に制約されない。なかでも、ポリテトラフルオロエチレン製等の、耐薬品性、耐熱性及び剥離性に優れるものが好ましい。
高分子固体電解質用樹脂組成物の溶液をキャリアー上に塗布する方法は特に制約されず、公知の塗布方法が採用できる。例えば、固体電解質の溶液をキャリアー上に注ぐ方法、ローラーコーティング法、スクリーンコーティング法、ドクターブレード法、スピンコーティング法、バーコーティング法、ディッピング法等が挙げられる。
本発明の固体電解質シートは、正極、負極及び固体電解質層を有する固体電解質電池の固体電解質層として好適に用いることができる。すなわち、正極と負極との間に、本発明の固体電解質シートを挟み込むことで、固体電解質電池を得ることができる。
本発明の固体電解質シートを用いる固体電解質電池は、例えば、ノートパソコン、携帯電話、コードレスフォン機、電子手帳、電卓、液晶テレビ、電気シェーバー、電動工具、電子翻訳機、音声入力器、メモリーカード、バックアップ電源、ラジオ、ヘッドホンステレオ、ナビゲーションシステム等の機器用の電源や、冷蔵庫、エアコン、テレビ、温水器、オーブン電子レンジ、食器洗い器、洗濯機、ゲーム機器、照明機器、玩具、医療機器、自動車、電動カート、電力貯蔵システム等の電力供給源として使用することができる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。但し、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。
製造例1 ブロック・グラフト共重合体の合成
窒素置換した100mlのナス型フラスコに、2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシ((TEMPO)0.422g(2.70mmol))、40wt%ベンジルパーオキサイド(BPO)−キシレンン溶液1.36g(2.25mmol)、及びスチレン(St)90.8g(0.871mol)を入れ、内部を減圧脱気してから、85−95℃で3時間、125−135℃で5時間反応させて、スチレンのホモポリマーを合成した。精製はクロロホルム/メタノール再沈殿法を用いて行った。GPC分析の結果、得られたポリスチレン(PSt)の数平均分子量(Mn)は21,800、Mw/Mnは1.09であった。
次に,窒素置換した100mlのナス型フラスコに、先に合成したポリスチレン(PSt)10.0g(0.458mmol)とp−t−ブトキシスチレン(PTBSt)33.70g(0.190mol)とを加えて、125−136℃で6時間反応させて、PSt−b−P(PTBSt)を合成した。精製はクロロホルム/メタノール再沈殿法を用いて行った。得られたポリスチレン共重合体(PSt−b−P(PTBSt))の数平均分子量(Mn)は58,000、Mw/Mnは1.15であった。
上記で得たPSt−b−P(PTBSt)10.0gのトルエン20g溶液にエタノール15gを添加し、次いで、濃硫酸0.2g/エタノール0.6gをゆっくり滴下して、65−70℃で3時間攪拌した。反応液を水に注ぎ込み、酸分を洗浄し、再沈殿法により精製した。この反応によりt−BuO基がOH基に変換された、PSt−b−P(PHS(p−ヒドロキシスチレン))を得た。得られたポリスチレン共重合体(PHS(p−ヒドロキシスチレン))の数平均分子量(Mn)は47,000、Mw/Mnは1.16であった。
上記で得たPSt−b−P(PHS)2.0gを1,4−ジオキサン150mlに溶解し、カリウムt−ブトキシド0.95g(8.47mmol)を加えて、全容を一晩還流撹拌した。次いで,得られた反応液をオートクレーブに移送し、100℃、加圧下でエチレンオキサイド(以下、EOと略す)7.0g(0.159mol)を滴下し、グラフト反応を行った。得られた反応液にヨウ化メチル2.6g(0.0188mol)を添加して反応末端処理を行った。得られたPSt−b−(P(PHS)−g−PEO−ran−PHS)の数平均分子量(Mn)は233,000であった。また、この共重合体の残OH基数を13C−NMR(アセトン溶媒)で確認したところ、このもののPEO含有率は80wt%であった。
上記で得た共重合体(P(PHS)−g−PEO−ran−PHS)のTHF20重量%溶液を調製した。次いで、この溶液をポリテトラフルオロエチレン(PTFE)板上に流延し、室温で24時間放置後、60℃で5時間、更に100℃で10時間減圧乾燥して薄膜を得た。得られた薄膜の厚みは100μmであった。この薄膜の内部構造を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察を行った結果、内部構造はネットワーク構造であることがわかった。
実施例1 高分子固体電解質、高分子固体電解質膜(シート)の作成及び特性評価
アルゴン雰囲気下において、上記で調製したTHF20重量%溶液1.0g、LiClO(以下、LiPCと略す)0.011g(Li/O=0.03)、架橋剤としてトリレン−2,4−ジイソシアネート(以下、TDIと略す)のTHF1wt%溶液0.037g、及びアセトン1.0gをグローブボックス内で均一に溶解して、高分子固体電解質用樹脂組成物(1)を調製した。この組成物をPTFE板上にキャストし、室温で24時間放置後、60℃で5時間、更に100℃で10時間減圧乾燥して60μmの均一な固体電質膜を得た。この固体電解質膜をAl電極に挟み、周波数5〜10MHzのインピーダンスアナライザー(Solartron−1260型)を用いて複素インピーダンス解析によりイオン伝導率を測定した。その結果、30℃で3.6×10−4(S/cm)、60℃で1.6×10−3(S/cm)のイオン伝導率を示した。
また、高分子固体電解質の調製において、LiPCを未配合とする他は同様の操作で組成物を調製し、得られた組成物を前記固体電解質膜の作製と同様の操作で成膜し、得られた架橋フィルムについて動的粘弾性を測定、又、その内部構造を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察を行った。その結果、弾性率は23℃で8MPaであり、又、内部構造はネットワーク構造であることがわかり、スチレン部分が凝集したと思われるミクロドメインがネットワーク構造とは別に観察された。
実施例2 高分子固体電解質、高分子固体電解質膜の作成及び特性評価
製造例1で合成したP(PHS)−g−PEO−ran−PHSを使用し、実施例1において、TDIの代わりにEG−epoxyを用いた以外は実施例1と同様に製膜処理を行い、イオン伝導率の測定を行った。その結果,30℃で8.0×10−5[S/cm]、60℃で3.3×10−4[S/cm]のイオン伝導率を示した。
製造例2 ブロック・グラフト共重合体の合成
製造例1と同様にしてPSt−b−P(PHS)を得た。このポリマーのOH基の80%をカリウムt−ブトキシドを用いてカリウム化し、オートクレーブにてエチレンオキサイドの付加反応を行った。反応の結果、PSt−b−(P(PHS)−g−PEO−ran−PHS)を得た。得られたPSt−b−(P(PHS)−g−PEO−ran−PHS)の数平均分子量(Mn)は151,700であった。また、得られたPSt−b−(P(PHS)−g−PEO−ran−PHS)中の残OH基数を13C−NMR(アセトン溶媒で確認したところ、PEO含有率は69wt%であった
実施例3 高分子固体電解質、高分子固体電解質膜の作成及び特性評価
製造例2で得たポリマーのTHF20重量%溶液1.0g、LiClO0.011g(Li/O=0.03)、TDIのTHF1重量%溶液0.037g、及びアセトン1.0gをグローブボックス内で均一に溶解して、高分子固体電解質用樹脂組成物(2)を調製した。この組成物をPTFE板上にキャストし、加熱乾燥して80μmの固体電解質膜を得た。得られた固体電解質膜をAl電極に挟み、インピーダンスアナライザーにてイオン伝導率を測定した。測定の結果、30℃で2.3×10−4(S/cm)、60℃で1.2×10−3[S/cm]のイオン伝導率を示した。
実施例4 高分子固体電解質、高分子固体電解質膜の作成及び特性評価
製造例2で合成したPSt−b−(P(PHS)−g−PEO−ran−PHS)を使用し、TDIの代わりにEG−epoxyを用いた以外は実施例3と同様に製膜処理を行い、イオン伝導率の測定を行った。その結果、30℃で1.8×10−4[S/cm]、60℃で9.2×10−4[S/cm]のイオン伝導率を示した。
比較例1 高分子固体電解質、高分子固体電解質膜の作成及び特性評価
実施例1で合成したPSt−b−(P(PHS)−g−PEO−ran−PHS)を使用し、架橋処理を行わないこと以外は実施例1と同様に製膜処理を行い、イオン伝導率の測定を行った。その結果、30℃で2.7×10−5[S/cm]、60℃で2.1×10−4[S/cm]のイオン伝導率を示した。
比較例2 高分子固体電解質、高分子固体電解質膜の作成及び特性評価
製造例2で合成したPSt−b−(P(PHS)−g−PEO−ran−PHS)を使用し、架橋処理を行わないこと意外は実施例3と同様に製膜処理を行い、イオン伝導率の測定を行った。その結果、30℃で1.3×10−5[S/cm]、60℃で1.0×10−4[S/cm]のイオン伝導率を示した。

Claims (12)

  1. 式(I)
    Figure 2005085638
    {式中、Rは水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基を表し、Xは単結合又は二価以上の連結基を表し、R、Rは、それぞれ独立して水素原子又はメチル基を表す。
    mは2〜100の整数を表し、mが2以上のとき、式:CH(R)−CH(R)Oで表される基は、同一でも相異なっていてもよい。
    は、水素原子、炭化水素基、アシル基又はシリル基を表す。
    nは、Xの価数−1の整数を表し、nが2以上のとき、式:[CH(R)−CH(R)O]−Rで表される基は同一でも相異なっていてもよい。
    pは、1〜3の整数を表し、pが2以上のとき、式:O−X−〔[CH(R)−CH(R)O]−Rで表される基は同一でも相異なっていてもよい。
    は、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、メルカプト基、ニトロ基、カルボキシル基、置換基を有していてもよいアミノ基、置換基を有していてもよいアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキルチオ基又はアルキルスルホニル基を表す。
    kは0〜4の整数を表し、kが2以上のとき、Rは同一でも相異なっていてもよい。}で表される繰り返し単位、及び式(II)
    Figure 2005085638
    (式中、Rは水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基を表し、Rは、アリール基、ヘテロアリール基、置換基を有していてもよいアルケニル基又はエステル基を表す。)で表される繰り返し単位を有するポリマーセグメントと、ウレタン結合、ウレア結合又はポリエーテル結合を含有する架橋セグメントとを含む架橋高分子、並びに電解質塩を含有することを特徴とする高分子固体電解質。
  2. 前記架橋高分子が、前記式(I)で表される繰り返し単位、前記式(II)で表される繰り返し単位、及び架橋点となり得るポリマーセグメントを有するポリマーと、架橋点と反応し得る官能基を有するものであって、分子内に、ウレタン結合、ウレア結合又はポリエーテル結合を有する架橋剤、又は架橋点と反応してウレタン結合、ウレア結合又はポリエーテル結合を生成し得る架橋剤とを反応させて得られた高分子であることを特徴とする請求項1に記載の高分子固体電解質。
  3. 前記架橋点となり得るポリマーセグメントが、式(III)
    Figure 2005085638
    (式中、Rは水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基を表し、Rはハロゲン原子、ヒドロキシル基、メルカプト基、ニトロ基、カルボキシル基、置換基を有していてもよいアミノ基、置換基を有していてもよいアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキルチオ基又はアルキルスルホニル基を表す。rは0〜4の整数を表し、rが2以上のとき、Rは同一でも相異なっていてもよい。qは1〜3の整数を表す。)で表される繰り返し単位を有するポリマーセグメントであることを特徴とする請求項2に記載の高分子固体電解質。
  4. 前記ポリマーが、該ポリマー中の総繰り返し単位モル数に対して、前記式(I)で表される繰り返し単位モル数が9.9〜80%の範囲であり、前記式(II)で表される繰り返し単位モル数が19.9〜90%の範囲であり、架橋点となり得るポリマーセグメント中の繰り返し単位モル数が0.1〜50%の範囲であるポリマーであることを特徴とする請求項2又は3に記載の高分子固体電解質。
  5. 前記架橋剤として、ポリイソシアネート化合物又はエポキシ化合物を用いたものであることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の高分子固体電解質。
  6. 前記架橋剤を、前記架橋点1モルに対して、0.01〜2.0モル用いたものであることを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載の高分子固体電解質。
  7. 前記架橋高分子が、前記式(I)で表される繰り返し単位を有するポリマー鎖と、前記式(II)で表される繰り返し単位を有するポリマー鎖とが、ブロックで配列してなる高分子であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の高分子固体電解質。
  8. 前記架橋高分子が、前記式(I)で表される繰り返し単位を有するポリマー鎖と、前記式(II)で表される繰り返し単位を有するポリマー鎖とがブロックで配列してなる高分子であって、前記式(I)で表される繰り返し単位を有するポリマー鎖が、前記式(III)で表される繰り返し単位を含むものであることを特徴とする請求項3〜7のいずれかに記載の高分子固体電解質。
  9. 前記電解質塩が、アルカリ金属塩、4級アンモニウム塩、4級ホスホニウム塩、遷移金属塩及びプロトン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の高分子固体電解質。
  10. 前記電解質塩が、リチウム塩であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の高分子固体電解質。
  11. 請求項1〜10のいずれかに記載の高分子固体電解質をシート状に成形してなる固体電解質シート。
  12. キャリアー上に、前記式(I)で表される繰り返し単位、前記式(II)で表される繰り返し単位、及び架橋点となり得るポリマーセグメントを有するポリマー、架橋点と反応し得る官能基を有するものであって、分子内に、ウレタン結合、ウレア結合又はポリエーテル結合を有する架橋剤、又は架橋点と反応してウレタン結合、ウレア結合又はポリエーテル結合を生成し得る架橋剤、及び電解質塩を含む高分子固体電解質用樹脂組成物の塗膜を形成する工程と、前記塗膜を加熱、又は前記塗膜に電離放射線を照射する工程とを有する固体電解質シートの製造方法。
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