JP2002220466A - ポリアミド樹脂の連続重合方法 - Google Patents

ポリアミド樹脂の連続重合方法

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JP2002220466A
JP2002220466A JP2001016322A JP2001016322A JP2002220466A JP 2002220466 A JP2002220466 A JP 2002220466A JP 2001016322 A JP2001016322 A JP 2001016322A JP 2001016322 A JP2001016322 A JP 2001016322A JP 2002220466 A JP2002220466 A JP 2002220466A
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Kazumi Tanaka
一實 田中
Atsushi Naka
敦士 中
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Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】連続式重合装置においてポリアミド樹脂の重縮
合を効果的に進行させ、しかも、連続式重合装置内にお
ける溶融ポリアミド樹脂の発泡を抑制することを可能と
するポリアミド樹脂の連続重合方法を提供する。 【解決手段】ポリアミド樹脂の連続重合方法は、横型円
筒状の反応器21と、加熱用ジャケット22と、入口部
23と、出口部24と、気体導入部25Aと、気体排出
部25Bと、回転軸26と、撹拌翼27を備えた連続式
重合装置20を用い、入口部23から溶融状態にあるポ
リアミド樹脂を反応器21内に供給し、反応器21内で
連続的にポリアミド樹脂の重縮合反応を進行させて、出
口部24から排出する方法であって、気体導入部25A
から乾燥不活性ガスを反応器21の上部空間に導入し、
気体排出部25Bから排気する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリアミド樹脂の
連続重合方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリアミド樹脂の重合装置を設計すると
き、熱供給、表面更新性、均一な撹拌混合等に注意を払
わなければならない。そのため、重合装置において、回
分式と連続式とで同じ生産量を確保するとき、回分式の
方がその装置規模の限界は小さいと云える。更に、回分
式重合装置においては、所定分子量に到達した溶融ポリ
アミド樹脂の熱劣化を抑制し、分子量の変動を少なくす
るために1時間以内に回分式重合装置から排出すること
が望ましい。それ故、ポリアミド造粒機には、1バッチ
分を1時間以内に処理可能な能力が求められる。近年の
造粒機の処理能力は日進月歩であり、相当の大型機が供
給されるようになってきたが、それでも10トン/時が
限界と見られる。従って、造粒機の能力からすれば、回
分式の最大生産量として10トン/バッチが限界であ
る。そして、それ以上の1バッチ当たりの生産量にあっ
ては、複数の造粒機を設置する必要があり、極めて効率
が悪くなる。
【0003】回分式と連続式を比較するとき、各々一長
一短があり一概にどちらが優れているとは決めがたい
が、一般には、少品種大量生産には連続式が向いてお
り、多品種少量生産には回分式が向くと云われている。
回分式より連続式が経済的に有利となる分岐点は年産量
が1万トンとも2万トンとも言われており、特定の品種
がある生産量を越えたとき、やはり連続式を選択するこ
とが望ましい。
【0004】ポリアミド樹脂を製造する際の原料とし
て、ナイロン塩水溶液を用いることが一般的である。そ
して、この原料を用いたときのポリアミド樹脂の製造プ
ロセスは、回分式とすることもできるし、連続式とする
こともできる。例えば回分式の場合、1つの回分式重合
槽中で、ナイロン塩水溶液を、加圧下、加熱し、ジアミ
ン成分の留出を抑えながら均一相で重合を進める。そし
て、ジアミン成分を固定化した後、系内の水蒸気を徐々
に放圧し、最終的に常圧若しくは減圧として、重合を完
結させる。連続式の場合、ナイロン塩水溶液を連続的に
供給し、上記の処理工程をそれぞれ担う2基以上の連続
式重合装置を順次使用し、重縮合が完結したポリアミド
樹脂が連続的に排出される。
【0005】ナイロン塩を原料としポリアミド樹脂を製
造することも可能であるが(例えば、特公昭33−15
700号公報、特公昭43−22874号公報参照)、
ナイロン塩の単離、精製工程が必要とされ、効率の良い
方法とは云い難く、商業的な製造方法には不向きであ
る。
【0006】ナイロン塩及びナイロン塩の水溶液を原料
としないポリアミド樹脂の製造方法として、少量の水を
含んだジアミンを、常圧下、220゜C以下の温度で滴
下して反応を行う方法(例えば、特開昭48−1239
0号公報参照)、溶融状態にあるジカルボン酸にジアミ
ンを常圧下、滴下して直接反応させる方法(例えば、特
開昭57−200420号公報、特開昭58−1118
29号公報参照)がある。これらの方法は、溶媒として
加えられる水が無いため、装置効率が高く、エネルギー
的にも有利であり、更には、熱履歴も少なく、有利な方
法である。
【0007】一般には回分式での実施が容易であるが、
重縮合の中盤まで回分式で行った後、後半を連続式重合
装置で実施することも可能である。供給原料、及び、回
分式か連続式かにより、重合装置、重合装置の構成、重
縮合工程及び重縮合条件は多岐に亙るが、基本的には次
の3つの工程から成る。即ち、(1)ジアミンの固定化
に注力する初期重縮合工程、(2)重縮合を進めると共
に縮合水の大半を反応系から除去する中期重縮合工程、
(3)積極的に縮合水を搾り取り、重合度を増加させる
後期重縮合工程である。後期重縮合物は、更に、冷却、
造粒され、ポリアミド樹脂ペレットとして商業的に使用
される。
【0008】中期重縮合工程及び後期重縮合工程、ある
いは、後期重縮合工程は、使用する供給原料に依らず、
ほぼ同一構造の重合装置にて実施できる可能性があり、
類似の形式の連続式重合装置が利用できる。中・後期重
縮合工程、特に後期重縮合工程で用いられる連続式重合
装置は、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、あるいは
ポリカーボネート樹脂用として、特にポリエチレンテレ
フタレート(PET)樹脂を主な対象物として開発され
ており、PET樹脂で多数の実績がある横型の連続式重
合装置が利用できる。(特開昭48−84781号公
報、特公昭50−21514号公報、特開平10−95
843号公報、特開平11−130869号公報参
照)。一般に、横型の連続式重合装置は、横型筒状の反
応器、反応器の外周部に配設された加熱用ジャケット、
溶融樹脂の入口部と出口部、反応器の上部に排気部及び
複数枚の撹拌翼が取り付けられた回転軸を長手方向に有
する。
【0009】ところで、ポリアミド樹脂の重縮合反応
は、基本的に下記のアミド化平衡反応に基づく。
【0010】 [化1] −NH2 + −COOH ⇔ −CONH− + H2O (1)
【0011】温度の上昇と共に平衡は左に寄るが、反応
速度が増加するため、重縮合を進めるには加熱される。
また、水を反応系内から除くことで平衡を右にずらし、
重合を効果的に進行させることができる。つまり、如何
にして溶融ポリアミド樹脂から水分を速やかに除去する
かが重要な課題となる。水分を取り除くためには減圧系
にすることが容易であり、効果的な脱水が可能となる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかし、ポリアミド樹
脂の中・後期重縮合工程で上述のような横型の連続式重
合装置を用いて、減圧下、重縮合を進めた場合、溶融ポ
リアミド樹脂に溶存する水分及び重縮合で生成する縮合
水が急激に気化し、発泡が起こり、撹拌翼の表面に形成
された薄膜が破壊されることがある。特に、後期重縮合
段階以降の粘度領域で発泡現象は顕著となる。そのため
揮発表面が小さくなり、水の除去速度が著しく低減され
るため、反応速度が低下したり、得られるポリアミド樹
脂の重合度がばらつくという問題がある。あるいは又、
多量の水分の蒸発潜熱により、溶融ポリアミド樹脂の液
面の固化あるいは温度低下による流動性の低下を招き、
均一な撹拌混合が阻害されることが度々ある。
【0013】これは、ポリアミド樹脂の重合平衡がポリ
エステル樹脂に比べ、かなり水分が多い方向にあり、更
には、ポリエステル樹脂よりも親水性であり、溶融状態
のポリマー中に溶存できる水分量も多いことに起因す
る。つまり、PET樹脂を主な対象物として開発されて
きた横型の連続式重合装置では、多量の揮発物(ポリア
ミド樹脂の場合は水蒸気)の発生を想定しておらず、溶
存する水分が多く、また、重縮合で生成する縮合水が多
く発生するポリアミド樹脂に対して、より適切な脱水手
段の開発が望まれている。
【0014】従って、本発明の目的は、横型の連続式重
合装置を用いて、ポリアミド樹脂の中・後期重縮合工程
を行うに際し、横型の連続式重合装置内における溶融ポ
リアミド樹脂の発泡を抑制しつつ脱水することを可能と
し、上述した反応速度の低下を確実、且つ、簡便に防止
し得るポリアミド樹脂の連続重合方法を提供することに
ある。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めの本発明のポリアミド樹脂の連続重合方法は、キシリ
レンジアミンとビスアミノメチルシクロヘキサンの合計
が70モル%以上であるジアミン、及び、ジカルボン酸
から得られるポリアミド樹脂であり、相対粘度が1.4
以上2.8以下の溶融状態にあるポリアミド樹脂を入口
部から反応器内に供給し、反応器内で連続的にポリアミ
ド樹脂の重縮合反応を進行させて、出口部から排出する
ポリアミド樹脂の連続重合方法であって、(A)横型筒
状の反応器と、(B)反応器の外周部に配設された加熱
用ジャケットと、(C)反応器の一端の下部又は側部に
設けられた入口部と、(D)反応器の他端の下部又は側
部に設けられた出口部と、(E)反応器の出口部側の上
部に設けられた気体導入部と、(F)反応器の出口部側
よりも上流の反応器の上部に設けられた気体排出部と、
(G)反応器の一端及び他端の側部に取り付けられ、反
応器の軸線に沿って配設された回転軸と、(H)回転軸
に取り付けられ、反応器の内部に配設された複数の撹拌
翼、を備えた連続式重合装置を用い、気体導入部から乾
燥不活性ガスを反応器の上部空間に導入し、気体排出部
から排気することを特徴とする。
【0016】尚、本発明のポリアミド樹脂の連続重合方
法にあっては、反応器に供給する溶融状態にあるポリア
ミド樹脂の相対粘度は、1.4以上2.8以下、好まし
くは、1.5以上2.7以下であることが望ましい。相
対粘度の測定は、水分の影響を受けるため、アミド化反
応が認められない温度(約140゜C以下)でポリアミ
ド樹脂を乾燥処理した後、測定することが望ましい。相
対粘度が1.4未満のポリアミド樹脂を供給する場合、
重縮合によって発生する縮合水が多くなる結果、反応器
中のポリアミド樹脂の液面の乱れが激しくなり、均一な
重合速度が保てず、得られるポリアミド樹脂の重合度の
ばらつきが大きくなる。また、反応器中で水の蒸発潜熱
に伴うポリアミド樹脂の固化あるいは発泡等が懸念され
る。更に、実用的な重合度まで重縮合しようとすると、
反応器での滞留時間が長くなり、高価な反応器の大型化
が必要となり、経済性に劣る。相対粘度が2.8を越え
るポリアミド樹脂を供給する場合、反応器に供給する前
に相当に重縮合を進める必要があり、現実的でない。
尚、相対粘度は、ポリアミド樹脂1gを96%硫酸10
0ccに溶解し、キャノンフェンスケ粘度計を用い、2
5゜Cにおける落下時間を測定し、以下の式に基づき得
ることができる。
【0017】相対粘度=(検液の落下秒数)/(96%
硫酸の落下秒数)
【0018】本発明のポリアミド樹脂の連続重合方法に
あっては、気体導入部から乾燥不活性ガスを反応器の上
部空間に導入し、気体排出部から排気するので、先に説
明したポリアミド樹脂の重縮合反応において生成する水
分を、乾燥不活性ガスによって気体排出部から速やかに
同搬、除去することが可能となり、特に減圧下に保たな
くても脱水が行えるため、発泡が起こり易いポリアミド
樹脂であっても効果的に重縮合を進行させることができ
る。また、不活性ガスを導入するので、反応器中のポリ
アミド樹脂の酸化、また、酸化による着色を防止するこ
とができる。
【0019】本発明のポリアミド樹脂の連続重合方法に
おいて、気体導入部から導入する乾燥不活性ガスは反応
器の上部空間で水蒸気で飽和することなく、よどむこと
なく、絶えず流通させる必要があり、液相からの水分で
気相が飽和しないようにその流通量を確保する必要があ
る。
【0020】乾燥不活性ガスを反応器の上部空間に導入
しているときの反応器の上部空間の圧力は、1×104
Pa乃至1×106Pa、好ましくは3×104Pa乃至
5×105Pa、であることが望ましい。1×104Pa
未満の場合、発泡を抑制することが困難になる虞があ
る。また、1×106Paを越える場合、横型の連続重
合装置に高度な加圧仕様が必要となり、経済的に不利と
なる。更には、1×10 6Paより高くしても、液相の
脱水効果は余り変わらない。気相の圧力が増加すれば、
液相中へのその気体の溶存量が多くなるため、減圧状態
の方が重縮合を進めるための脱水は容易となる。つま
り、気相の水蒸気圧が高くなれば、溶融ポリアミド樹脂
中への水分の溶存が多くなり、アミド化平衡からすれば
重縮合反応は抑えられるようになる。しかし、気相に存
在する気体が乾燥していれば、圧力が高くても液相の水
は容易に気相に移動し、溶融ポリアミド樹脂の脱水が達
成される。
【0021】本発明のポリアミド樹脂の連続重合方法に
あっては、乾燥不活性ガスは乾燥窒素ガスから成ること
が望ましい。
【0022】本発明のポリアミド樹脂の連続重合方法に
おいて、気体導入部から反応器の上部空間に導入する乾
燥不活性ガスの温度は、50゜C乃至350゜C、好ま
しくは100゜C乃至300゜Cであり、露点が10゜
C以下、好ましくは−5゜C以下であることが望まし
い。
【0023】尚、出口部を反応器の他端の側部に設ける
場合には、側部の下端に設けることが好ましい。また、
気体排出部は1以上であればよく、2以上の複数の気体
排出部を設けてもよい。
【0024】本発明のポリアミド樹脂の連続重合方法に
おいて、反応器への供給前のポリアミド樹脂は、キシリ
レンジアミンとビスアミノメチルシクロヘキサンの合計
が70モル%以上であるジアミン、及び、ジカルボン酸
から成るポリアミド樹脂であることが望ましい。
【0025】即ち、ポリアミド樹脂原料モノマーである
ジアミンの70モル%以上がキシリレンジアミンとビス
アミノメチルシクロヘキサンであることが望ましい。キ
シリレンジアミンとして、メタキシリレンジアミン、パ
ラキシリレンジアミン及びオルソキシリレンジアミンを
挙げることができる。また、ビスアミノメチルシクロヘ
キサンとして、1,2−ビスアミノメチルシクロヘキサ
ン、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、1,4
―ビスアミノメチルシクロヘキサンを挙げることができ
る。得られるポリアミド樹脂の実用的な物性から考える
と、ジアミンがキシリレンジアミンの場合、メタキシリ
レンジアミンを50モル%以上、より好ましくは70モ
ル%以上含むジアミンの使用が望ましい。また、ジアミ
ンがビスアミノメチルシクロヘキサンの場合、1,3−
ビスアミノメチルシクロヘキサンを50モル%以上、よ
り好ましくは70モル%以上含むジアミンの使用が望ま
しい。その他のジアミン成分として、テトラメチレンジ
アミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジア
ミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミ
ン、ノナメチレンジアミン、オルソフェニレンジアミ
ン、メタフェニレンジアミン、パラフェニレンジアミン
等が挙げることができる。
【0026】ポリアミド樹脂原料モノマーであるジカル
ボン酸として、琥珀酸、グルタル酸、アジピン酸、スベ
リン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、イソフタル酸、テ
レフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン
酸等を挙げることができる。これらのジカルボン酸は、
単独でも、2種以上混合しても使用可能である。得られ
るポリアミド樹脂の実用的な物性から考えると、特に7
0モル%以上がアジピン酸であるジカルボン酸を用いる
ことが好ましい。
【0027】尚、ジアミン及びジカルボン酸以外のポリ
アミド樹脂原料として、カプロラクタム、バレロラクタ
ム、ラウロラクタム、ウンデカラクタム等のラクタム、
1,1−アミノウンデカン酸、1,2−アミノドデカン
酸等のアミノカルボン酸を例示することができる。
【0028】また、本発明のポリアミド樹脂の連続重合
方法にあっては、重縮合反応の促進、ポリアミド樹脂の
変質防止といった観点から、反応器内の溶融ポリアミド
樹脂の温度は290゜C、より好ましくは280゜Cを
超えないことが望ましい。
【0029】本発明のポリアミド樹脂の連続重合方法に
あっては、出口部から排出された溶融状態のポリアミド
樹脂から連続的にストランドを形成し、冷却、固化させ
た後、造粒することが、生産効率の向上といった観点か
ら望ましい。
【0030】横型の連続式重合装置として、溶融ポリア
ミド樹脂の薄膜を形成し、高度な表面更新性を与えると
共に、高度な脱気能力を備えている横型の連続式重合装
置の使用が好ましく、テーパーロール式薄膜蒸発機(特
公昭49−33358号公報参照)、横型の一軸撹拌混
合機(特公昭45−16473号公報、特開平10−2
59242号公報、特開平11−130869号公報、
特開平11−130870号公報参照)、横型の二軸撹
拌混合機(特開昭48−84781号公報、特公昭50
−15275号公報、特公昭50−21514号公報、
特公昭53−15753号公報参照)等が好適に使用可
能である。反応器内の溶融ポリアミド樹脂の滞留量及び
滞留時間を制御し、より安定な連続運転を達成するため
に、反応器の入口部より上流、及び、出口部より下流
に、ギヤポンプを設置することが好ましい。尚、これら
のギヤポンプの作動は、反応器の作動と共に同時制御す
ることが望ましい。
【0031】1つの加熱用ジャケットによって反応器全
体を加熱してもよいし、複数の加熱用ジャケットによっ
て反応器を加熱してもよい。後者の場合、例えば、反応
器上部を加熱する加熱用ジャケットと、反応器下部を加
熱する加熱用ジャケットとから加熱用ジャケットを構成
し、あるいは又、入口部側の反応器の部分を加熱する加
熱用ジャケットと、出口部側の反応器の部分を加熱する
加熱用ジャケットとから加熱用ジャケットを構成し、あ
るいは又、入口部側の反応器上部を加熱する加熱用ジャ
ケットと、入口部側の反応器下部を加熱する加熱用ジャ
ケットと、出口部側の反応器上部を加熱する加熱用ジャ
ケットと、出口部側の反応器下部を加熱する加熱用ジャ
ケットとから加熱用ジャケットを構成することができる
が、これらの構成に限定するものではなく、更に多くの
加熱用ジャケットから構成することもできる。
【0032】反応器に供給する前のポリアミド樹脂が、
キシリレンジアミンとビスアミノメチルシクロヘキサン
の合計が70モル%以上であるジアミン、及び、ジカル
ボン酸を、溶媒の非存在下、溶融状態で重縮合して得ら
れたポリアミド樹脂である場合、このポリアミド樹脂
は、以下に説明する回分式方法にて生産することができ
る。
【0033】即ち、ジカルボン酸を溶融させた後、分縮
器を備えた回分式重合槽を用い、溶融状態にあるジカル
ボン酸にジアミンを連続的に又は間欠的に添加し、ジア
ミンとジカルボン酸のモル比を所定値として重縮合反応
を行い、ポリアミド樹脂中の水分が0.02重量%以上
1.0重量%未満であり、相対粘度が1.4以上2.8
以下である溶融状態にあるポリアミド樹脂を得る方法を
採用することが望ましい。
【0034】尚、反応器への供給に供されるまで回分式
重合槽内で溶融ポリアミド樹脂が滞留するので、回分式
重合槽における気相部を水蒸気で所定圧力に保ち、回分
式重合槽内での溶融ポリアミド樹脂の相対粘度変化を±
0.2以内に抑制することが望ましい。尚、このような
構成においては、2つ以上の回分式重合槽を配置し、こ
れらの回分式重合槽にて得られた溶融ポリアミド樹脂を
交互に1つの反応器に供給することが望ましい。
【0035】あるいは又、こうして得られた溶融ポリア
ミド樹脂を、溶融保持槽に一旦貯蔵しておくことが好ま
しい。そして、溶融保持槽の気相部を水蒸気で所定圧力
に保ち、溶融保持槽に滞留している間の溶融ポリアミド
樹脂の相対粘度変化を±0.2以内に抑制することが好
ましい。そして、溶融保持槽内の溶融ポリアミド樹脂を
反応器に供給する。尚、このような構成においては、回
分式重合槽は、1つ又は2つ以上であればよい。
【0036】回分式重合槽における気相部を水蒸気で所
定圧力に保ち、あるいは又、溶融保持槽の気相部を水蒸
気で所定圧力に保つことによって、先に説明したアミド
化平衡反応におけるH2Oの生成を抑制することができ
る。即ち、重合反応の進行を抑制することができる。水
蒸気圧が低すぎると重合が進み重合度が増加するが、逆
に蒸気圧が高すぎると解重合が進み重合度が低下する。
重合度が変化しない適切な水蒸気圧は、モルバランス、
重合度、平衡定数、温度等に依存し、一概には言えない
が、数回の実験的な検証を通して容易に決定することが
できる。例えばモルバランス1.000±0.01であ
るポリアミド樹脂を溶融保持槽又は回分式重合槽内で温
度250〜260゜C、気相部の水蒸気圧を2.5×1
5Pa〜3.5×105Paの条件下で保持すると、ポ
リアミド樹脂の重合度を約75から約100程度に維持
することができる。水蒸気で保圧しているときの重合度
変化の指標として、相対粘度の変化を±0.2以内に抑
えることが好ましい。相対粘度変化が0.2を越える
と、最終的に得られるポリアミド樹脂の重合度(相対粘
度)が大きく変動し、好ましくない。
【0037】回分式重合槽内においては、溶融状態にあ
るジカルボン酸に、ジアミンを連続的に若しくは間欠的
に添加し、ポリアミド樹脂の構成成分として消費される
ジアミン成分とジカルボン酸成分のモルバランス(以下
「モルバランス」ということがある)を所定値に調整し
つつ重合を進める。所望のモルバランスを有するポリア
ミド樹脂(ジアミン成分過剰、ジカルボン酸成分過剰、
あるいは、等モル)を得るために、仕込みのモルバラン
スを任意に選択することができる。仕込みのモルバラン
スの調整方法は、例えば溶融状態にあるジカルボン酸を
ジカルボン酸溶融槽ごと、質量計量器で計量し、回分式
重合槽に供給した後、ジアミン滴下槽を質量計量器で計
量しつつ、ジアミンを反応系に供給する方法を例示でき
る。ジアミン及びジカルボン酸の重量を計量する場合、
ロードセル、天秤等の質量計量器が好適に利用可能であ
る。ジカルボン酸の溶融工程は、酸化着色を避ける目的
から窒素等の不活性ガス雰囲気で行うことが望ましい。
ジカルボン酸の溶融は回分式重合槽若しくは専用の溶融
槽で行うことができるが、回分式重合槽の利用効率を高
めるといった観点からは、専用の溶融槽の使用が望まし
い。
【0038】回分式重合槽中で溶融ジカルボン酸にジア
ミン成分を添加する際、実質的にアミド化反応が進行す
る温度である160゜C以上の温度に溶融ジカルボン酸
を昇温させることが望ましく、且つ、中間体として生成
するオリゴマー及び/又は低分子量ポリアミドが溶融状
態となって反応系全体が均一な流動状態を保持し得る温
度に設定することが望ましい。具体的なジアミン成分の
添加操作は、回分式重合槽中で溶融ジカルボン酸を撹拌
しつつ、ジアミン成分を連続的に若しくは間欠的に添加
し、添加の間に反応混合物の温度を逐次昇温させ、所定
の温度に保持することによって行うことができる。昇温
速度は、アミド化反応熱、縮合水の蒸発潜熱、供給熱等
に依存するため、ジアミン成分の添加速度を適宜調整す
る。添加終了時点で反応混合物の温度を、ポリアミド樹
脂の融点以上35゜C未満、望ましくは15゜C未満、
更に望ましくは5゜C未満に調整することが好ましい。
ジアミン成分の添加中、圧力は特に限定されないが、ジ
アミン成分を固定化する上で常圧以上であることが望ま
しい。
【0039】重合反応の進行と共に生成する縮合水は、
常圧における反応の場合、100〜120゜Cの温度に
制御されている分縮器と冷却器を通して反応系外に排出
される。縮合水と共に蒸気として反応系外に流出するジ
アミン、昇華により流出するジカルボン酸等は、分縮器
で水蒸気と分離され、回分式重合槽に戻される。公知の
ナイロン塩水溶液を原料とする加圧法の場合と同様に、
原料、特に、ジアミン成分の反応系外への流出は避け難
い。従って、回分式重合槽には分縮器が備えられている
ことが好ましい。分縮器を備えることにより、ジアミン
成分が系外に流出することを効果的に防止できる。
【0040】ジアミンの添加終了後、回分式重合槽内を
常圧以上で、所定時間保持することが望ましい。所定時
間として、5分以上、より好ましくは10分以上を挙げ
ることができる。ジアミンの添加初期には、ジアミンに
対してカルボキシル基が相当過剰に存在し、ジアミンの
反応速度、つまり固定化速度は極めて速い。しかし、添
加終了時にはカルボキシル基が相当量消費されており、
添加初期と比較しジアミン成分の固定化速度は極めて遅
くなる。また、重合度の増加により、反応混合物の撹拌
効率が低下し、ジアミンの固定化に一層不利となる。固
定化されなかったジアミンは、反応混合物中若しくは回
分式重合槽の気相部に存在し、あるいは又、分縮器で凝
縮されたものは、再度、反応混合物に添加される。ジア
ミンの添加を終了した後に常圧以上で所定時間保持する
ことで、このようなジアミンが固定化され、仕込みのモ
ルバランスが、精度良くポリアミド樹脂のモルバランス
に再現される。
【0041】
【実施例】以下、図面を参照して、実施例に基づき本発
明を説明する。尚、ポリアミド樹脂の評価のための測定
は、冷却後のポリアミド樹脂について以下の方法に基づ
き行った。末端アミノ基濃度及び末端カルボキシル基濃
度から、ポリアミド樹脂に取り込まれたモノマーのモル
バランスを求めることができる。
【0042】末端アミノ基濃度・・・ポリアミド樹脂を
精秤し、フェノール/エタノールの混合溶液(容量比:
4/1)に20〜30゜Cで撹拌、溶解させた。そし
て、完全に溶解させた後、撹拌しつつ、0.01モル/
リットルの塩酸水溶液で中和滴定して求めた。
【0043】末端カルボキシル基濃度・・・ポリアミド
樹脂を精秤し、ベンジルアルコールに窒素気流下160
〜180゜Cで撹拌、溶解させた。そして、完全に溶解
させた後、窒素気流下80゜C以下まで冷却し、撹拌し
つつ、メタノールを10ミリリットル加え、0.01モ
ル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液で中和滴定して
求めた。
【0044】ポリアミド樹脂中の溶存水分濃度(重量
%)・・・三菱化学株式会社製、気化装置(VA−05
型)を用い、アミド化反応が起こらない温度である14
0゜Cでポリアミド樹脂を30分加熱し、気相部に乾燥
窒素を流し、その窒素を三菱化学株式会社製、カールフ
ィッシャー微量水分測定装置(CA−05型)を用いて
測定した。
【0045】本発明のポリアミド樹脂の連続重合方法の
実施に適した装置の概念図を図1に示す。この装置は、
回分式重合装置10と連続式重合装置20から構成され
ている。回分式重合装置10は、加熱用ジャケット(図
示せず)付きの回分式重合槽11と、撹拌翼12と、撹
拌翼を回転させるモータ13と、分縮器14と、全縮器
15と、窒素ガス導入管16Aと、スチーム導入管16
Bと、圧力調整弁17と、ジアミン滴下槽18から構成
されている。
【0046】一方、連続式重合装置20は、横型筒状
(より具体的には、横型円筒状)の反応器21と、反応
器21の外周部に配設された加熱用ジャケット22と、
反応器21の一端の側部に設けられた入口部23と、反
応器21の他端の下部に設けられた出口部24と、反応
器21の出口部側の上部に設けられた気体導入部25A
と、反応器21の出口部側よりも上流の反応器21の上
部に設けられた気体排出部25B(具体的には、反応器
21の入口部側の上部に設けられた気体排出部25B)
と、反応器21の一端及び他端の側部に取り付けられ、
反応器21の軸線に沿って配設された回転軸26と、回
転軸26に取り付けられ、反応器21の内部に配設され
た複数の撹拌翼27を備えている。気体導入部25A
は、配管及び圧力調整弁を介して不活性ガス源(これら
は図示せず)に接続され、気体排出部25Bは、配管及
び凝縮器を介して真空引き装置(これらは図示せず)に
接続されている。かかる連続式重合装置20の詳細は、
例えば、特公昭50−21514号公報等に開示されて
いる。尚、連続式重合装置20における回転軸は2軸で
あるが、図1においては、連続式重合装置20を水平方
向から眺めているので、1つの回転軸26しか図示して
いない。反応器21の入口部23より上流、及び、出口
部24より下流には、ギヤポンプ28,29が配設され
ている。そして、回分式重合槽11にて重縮合された溶
融ポリアミド樹脂は、配管、バルブ19、ギヤポンプ2
8、入口部23を経由して反応器21内に供給され、出
口部24から連続的にストランドとして排出され、冷
却、固化後(具体的には、水冷後)、連続的に造粒機
(図示せず)にて造粒され、ペレット化される。反応器
21内では、気体導入部25Aから乾燥不活性ガス(具
体的には、乾燥窒素ガス)を反応器21の上部空間に導
入し、気体排出部25Bから排気する。
【0047】(実施例1)図1に示した装置を用い、ス
テンレス鋼製回分式重合槽11にアジピン酸(純度:9
9.85重量%、水分:0.15重量%)を仕込み、窒
素ガス導入管16Aから回分式重合槽11内に窒素ガス
を導入し、内部を窒素ガス置換し、更に、少量の窒素ガ
スを流しながら加熱し、撹拌翼12にて撹拌しつつ17
0゜Cに昇温させた。次いで、溶融したアジピン酸を撹
拌しながら、ジアミン滴下槽18からメタキシリレンジ
アミン(純度:99.70重量%)を、常圧下、連続的
に回分式重合槽11内に滴下した。この間、回分式重合
槽11の内部の温度を250゜Cまで連続的に昇温させ
た。メタキシリレンジアミンの滴下と共に留出する水分
を、分縮器14及び全縮器15を通して反応系外に排出
した。このとき、分縮器14の塔頂の最高温度は101
゜Cであった。
【0048】メタキシリレンジアミンの滴下終了後、常
圧下、0.2゜C/分の昇温速度で昇温させながら撹拌
し、メタキシリレンジアミンの固定化を促した。その後
1.3×106Paのスチームをスチーム導入管16B
から回分式重合槽11内に導入し、圧力調整弁17にて
回分式重合槽11の気相部の水蒸気圧を3×105Pa
に調節した。そして、3×105Paに到達後、溶融ポ
リアミド樹脂の反応器21への供給を開始した。このと
き、回分式重合槽11内における撹拌を継続し、更に
は、回分式重合槽11内の気相部の水蒸気圧を3×10
5Paに保持しつつ、回分式重合槽11の内部の温度を
255゜C±1゜Cに維持した。
【0049】そして、横型二軸撹拌混合機から構成され
た連続式重合装置20の反応器21(長さ/内径の比が
25、回転方向は同位相)に、入口部23から溶融状態
にあるポリアミド樹脂を連続的に3kg/時の割合にて
供給し、反応器21内で連続的にポリアミド樹脂の重縮
合反応を進行させて、出口部24から排出させた。供給
された溶融ポリアミド樹脂のモルバランス(ジアミン/
ジカルボン酸)は0.994であり、相対粘度は1.7
2、ポリアミド樹脂中の水分は0.32%であった。即
ち、反応器21内では、気体導入部25Aから乾燥窒素
ガス(温度:250゜C、流量:50ミリリットル/
分)を反応器21の上部空間に導入し、気体排出部25
Bから排気することで、溶融ポリアミド樹脂中から水分
を取り除きながら重縮合反応を進行させ、不活性ガスに
同搬された水分を気体排出部25Bから排気した。反応
器21への溶融ポリアミド樹脂の供給量は、反応器21
内に充分なる上部空間が形成されるような供給量とし
た。反応器21内の上部空間における窒素ガス圧力を1
×105PaPaとし、反応器21における溶融ポリア
ミド樹脂の滞留時間を約20分、反応器21内の溶融ポ
リアミド樹脂の温度を260゜Cとし、連続して12時
間の運転を行った。反応器21から溶融ポリアミド樹脂
を連続的にストランドとして排出し、水冷後、連続的に
造粒した。排出を開始してから3時間経過してからサン
プリングを開始した。
【0050】出口部から排出されたポリアミド樹脂の相
対粘度は2.06〜2.08であった。得られたポリア
ミド樹脂の相対粘度は極めて安定しており、また連続運
転を中断させるような問題も認められなかった。
【0051】(比較例1)比較例1として、実施例1と
同様の溶融ポリアミド樹脂を反応器21に供給し、同じ
条件で重合操作を行った。但し、横型の連続式重合装置
20の運転中、気体導入部25Aを閉止し、気体排出部
25Bから減圧に保ち、上部空間における圧力を1×1
3Paとした。その結果、2時間運転後に減圧が維持
できなくなった。減圧ラインを開放点検したところ、気
体排出部25Bに固化したポリアミド樹脂による閉塞が
認められた。
【0052】(比較例2)比較例2として、実施例1と
同様の溶融ポリアミド樹脂を反応器21に供給し、同じ
条件で重合操作を行った。但し、横型の連続式重合装置
20の運転中、気体導入部25Aを閉止し、気体排出部
25Bを大気圧下に導き、上部空間における圧力を1×
105Paとした。その結果、出口部から排出されたポ
リアミド樹脂の相対粘度は1.84〜1.89であり、
実施例1と比較し相対粘度の増加は低いものであった。
【0053】(実施例2)実施例1と同様の回分式重合
槽11にアジピン酸(純度:99.85重量%、水分:
0.15重量%)を仕込み、窒素ガス導入管16Aから
回分式重合槽11内に窒素ガスを導入し、内部を窒素ガ
ス置換し、更に、少量の窒素ガスを流しながら加熱し、
撹拌翼12にて撹拌しつつ170゜Cに昇温した。次い
で、溶融したアジピン酸を撹拌しながら、ジアミン滴下
槽18から1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン
(純度:99.86重量%)を、常圧下、連続的に回分
式重合槽11内に滴下した。この間、回分式重合槽11
の内部の温度を240゜Cまで連続的に昇温した。1,
3−ビスアミノメチルシクロヘキサンの滴下と共に留出
する水分を、分縮器14及び全縮器15を通して反応系
外に排出した。このとき、分縮器14の塔頂の最高温度
は103゜Cであった。
【0054】1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン
の滴下終了後、常圧下、0.2゜C/分の昇温速度で昇
温させながら撹拌し、1,3−ビスアミノメチルシクロ
ヘキサンの固定化を促した。その後、回分式重合槽11
の下部に設置された溶融保持槽30に溶融ポリアミド樹
脂を全量排出した。尚、図3に概念図を示すように、溶
融保持槽30には、加熱用ジャケット(図示せず)、撹
拌翼31、撹拌翼31を回転させるモータ32、スチー
ム導入管33、圧力調整弁(図示せず)、バルブ34が
備えられている。次いで、1.3×106Paのスチー
ムを溶融保持槽30に導入し、圧力調整弁にて溶融保持
槽30の気相部の水蒸気圧を3×105Paに調節し
た。溶融保持槽30では撹拌翼31にて撹拌を行い、溶
融保持槽30内部の温度を245゜C±1゜Cに維持し
た。溶融保持槽30の気相部の水蒸気圧が3×105
aに到達した後、溶融保持槽30の気相部の水蒸気圧を
3×105Paに維持した状態で、撹拌状態にある溶融
保持槽30から、実施例1と同様の横型二軸撹拌混合機
から構成された連続式重合装置20の反応器21に、入
口部23から溶融ポリアミド樹脂を連続的に供給し、反
応器21内で連続的にポリアミド樹脂の重縮合反応を進
行させて、出口部24から排出させた。即ち、反応器2
1内では、気体導入部25Aから乾燥窒素ガス(温度:
250゜C、流量:50ミリリットル/分)を反応器2
1の上部空間に導入し、気体排出部25Bから排気する
ことで、溶融ポリアミド樹脂中から水分を取り除きなが
ら重縮合反応を進行させ、不活性ガスに同搬された水分
を気体排出部25Bから排気した。反応器21への溶融
ポリアミド樹脂の供給量は、反応器21内に充分なる上
部空間が形成されるような供給量とした。反応器21内
の上部空間における窒素ガス圧力を1×105Paと
し、反応器21における溶融ポリアミド樹脂の滞留時間
を約20分、反応器21内の溶融ポリアミド樹脂の温度
を255゜Cとした。反応器21から溶融ポリアミド樹
脂を連続的にストランドとして排出し、水冷後、連続的
に造粒した。
【0055】出口部から排出されたポリアミド樹脂の相
対粘度はほぼ一定であった。得られたポリアミド樹脂の
相対粘度は極めて安定しており、また連続運転を中断さ
せるような問題も認められなかった。
【0056】以上、本発明を好ましい実施例に基づき説
明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例にて説明したポリアミド樹脂の製造条件、製造方
法は例示であり、適宜変更することができるし、使用し
た各種の装置も例示であり、適宜変更することができ
る。
【0057】図2には、2つの回分式重合装置10と1
つの連続式重合装置20が組み合わされた重合装置の概
念図を示す。また、図3には、1つの回分式重合装置1
0と1つの溶融保持槽30と1つの連続式重合装置20
が組み合わされた重合装置の概念図を示す。更には、図
4には、2つの回分式重合装置10と1つの溶融保持槽
30と1つの連続式重合装置20が組み合わされた重合
装置の概念図を示す。
【0058】
【発明の効果】本発明にあっては、気体導入部から乾燥
不活性ガスを反応器の上部空間に導入し、気体排出部か
ら排気するので、ポリアミド樹脂の重縮合反応において
生成する水分をかかる空間を通して気体排出部から速や
かに除去することが可能となり、しかも、発泡を抑制す
ることができ、溶融ポリアミド樹脂の重縮合を効果的に
進行させることができる。しかも、ポリアミド樹脂の発
泡を抑制できるため、減圧ラインを閉塞させるような問
題も発生せず、反応器の上部内壁へのポリアミド樹脂の
付着が減少し、最終製品であるポリアミド樹脂の物性劣
化が少なくなる。また、連続式反応でありながら品質低
下することなく、連続造粒が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のポリアミド樹脂の連続重合方法の実施
に適した装置の概念図である。
【図2】2つの回分式重合装置と1つの連続式重合装置
が組み合わされた重合装置の概念図である。
【図3】1つの回分式重合装置と1つの溶融保持槽と1
つの連続式重合装置が組み合わされた重合装置の概念図
である。
【図4】2つの回分式重合装置と1つの溶融保持槽と1
つの連続式重合装置が組み合わされた重合装置の概念図
である。
【符号の説明】
10・・・回分式重合装置、11・・・回分式重合槽、
12・・・撹拌翼、13・・・モータ、14・・・分縮
器、15・・・全縮器、16A・・・窒素ガス導入管、
16B・・・スチーム導入管、17・・・圧力調整弁、
18・・・ジアミン滴下槽、19・・・バルブ、20・
・・連続式重合装置、21・・・反応器、22・・・加
熱用ジャケット、23・・・入口部、24・・・出口
部、25A・・・気体導入部、25B・・・気体排出
部、26・・・回転軸、27・・・撹拌翼、28.29
・・・ギヤポンプ、30・・・溶融保持槽、31・・・
撹拌翼、32・・・モータ、33・・・スチーム導入
管、34・・・バルブ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F070 AA54 DA11 DA46 DA55 4J001 DA01 DB01 DB02 DC13 DC14 EA05 EA06 EA07 EA08 EA16 EA17 EB04 EB06 EB07 EB08 EB09 EB35 EB37 EB46 EC04 EC07 EC08 EC09 EC14 EC44 EC45 EC46 EC47 EC48 FA03 FB05 FC05 GA12 GB02 GC05 HA02 JC02

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】キシリレンジアミンとビスアミノメチルシ
    クロヘキサンの合計が70モル%以上であるジアミン、
    及び、ジカルボン酸から得られるポリアミド樹脂であ
    り、相対粘度が1.4以上2.8以下の溶融状態にある
    ポリアミド樹脂を入口部から反応器内に供給し、反応器
    内で連続的にポリアミド樹脂の重縮合反応を進行させ
    て、出口部から排出するポリアミド樹脂の連続重合方法
    であって、 (A)横型筒状の反応器と、 (B)反応器の外周部に配設された加熱用ジャケット
    と、 (C)反応器の一端の下部又は側部に設けられた入口部
    と、 (D)反応器の他端の下部又は側部に設けられた出口部
    と、 (E)反応器の出口部側の上部に設けられた気体導入部
    と、 (F)反応器の出口部側よりも上流の反応器の上部に設
    けられた気体排出部と、 (G)反応器の一端及び他端の側部に取り付けられ、反
    応器の軸線に沿って配設された回転軸と、 (H)回転軸に取り付けられ、反応器の内部に配設され
    た複数の撹拌翼、を備えた連続式重合装置を用い、 気体導入部から乾燥不活性ガスを反応器の上部空間に導
    入し、気体排出部から排気することを特徴とするポリア
    ミド樹脂の連続重合方法。
  2. 【請求項2】気体導入部から乾燥不活性ガスを反応器の
    上部空間に導入しているときの反応器の上部空間の圧力
    は、1×104Pa乃至1×106Paであることを特徴
    とする請求項1に記載のポリアミド樹脂の連続重合方
    法。
  3. 【請求項3】気体導入部から反応器の上部空間に導入す
    る乾燥不活性ガスの温度は、50゜C乃至350゜Cで
    あり、露点が10゜C以下であることを特徴とする請求
    項1に記載のポリアミド樹脂の連続重合方法。
  4. 【請求項4】乾燥不活性ガスは乾燥窒素ガスから成るこ
    とを特徴とする請求項1に記載のポリアミド樹脂の連続
    重合方法。
  5. 【請求項5】ジアミンの70モル%以上がメタキシリレ
    ンジアミンであることを特徴とする請求項1に記載のポ
    リアミド樹脂の連続重合方法。
  6. 【請求項6】ジカルボン酸の70モル%以上がアジピン
    酸であることを特徴とする請求項1又は請求項5に記載
    のポリアミド樹脂の連続重合方法。
  7. 【請求項7】反応器内の溶融ポリアミド樹脂の温度は2
    90゜Cを超えないことを特徴とする請求項1に記載の
    ポリアミド樹脂の連続重合方法。
  8. 【請求項8】出口部から排出された溶融状態のポリアミ
    ド樹脂から連続的にストランドを形成し、冷却、固化さ
    せた後、造粒することを特徴とする請求項1に記載のポ
    リアミド樹脂の連続重合方法。
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