JP2003212992A - ポリアミド樹脂の後期重合方法 - Google Patents

ポリアミド樹脂の後期重合方法

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JP2003212992A
JP2003212992A JP2002015675A JP2002015675A JP2003212992A JP 2003212992 A JP2003212992 A JP 2003212992A JP 2002015675 A JP2002015675 A JP 2002015675A JP 2002015675 A JP2002015675 A JP 2002015675A JP 2003212992 A JP2003212992 A JP 2003212992A
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JP2002015675A
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Kazumi Tanaka
一実 田中
Takatoshi Shida
隆敏 志田
Hideyuki Kurose
英之 黒瀬
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Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
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Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、メタキシリレンジアミン又はビ
スアミノシクロヘキサンを主体とするジアミン成分とジ
カルボン酸成分を使用して得られる、着色、変質が少な
く、ゲル又はフィッシュアイが少ない中、高粘度のポリ
アミド樹脂の製造方法を提供する。 【解決手段】 キシリレンジアミンまたはビスアミノメ
チルシクロヘキサンを70モル%以上含むジアミン成分
とジカルボン酸成分とを前期重合反応で得た、相対粘度
が1.4以上2.7以下である低粘度ポリアミド樹脂の
後期重合方法であって、水平回転軸とこの水平回転軸に
ほぼ直角方向に取り付けられた相互に不連続な複数の攪
拌翼を有し、スクリュー部を有しない筒状である横型の
連続式重合機を用いて、ポリアミド樹脂の重縮合反応を
連続的に進行させ、前記相対粘度を少なくとも0.2以
上増加させた、相対粘度が2.2以上4.2以下であ
り、反射法による黄色度(YI)が10以下であり、ゲ
ル濃度が0.00重量%以下であるポリアミド樹脂を得
ることを特徴とするポリアミド樹脂の後期重合方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はボトル、シート、フィル
ム及び繊維等の用途に好適に利用される中・高粘度ポリ
アミド樹脂およびその製造方法に関する。更に詳しく
は、キシリレンジアミンおよび/またはビスアミノメチ
ルシクロヘキサンを主体とするジアミン成分とジカルボ
ン酸成分を重合して得た低高粘度ポリアミド樹脂を更に
後期重合反応で横型の連続式重合機を用いて溶融状態で
重合して得られた中・高粘度ポリアミド樹脂およびその
製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、成形材料用途に用いられるポリ
アミド樹脂は射出成形等により成形され、溶融時の流動
性が高いことが求められ、いわゆる低粘度品が用いられ
る。一方、ボトル、シート、フィルム及び繊維等の用途
に用いられるポリアミド樹脂は、射出成形の他に押し出
し成形によっても成形される。ボトル、シート、フィル
ム及び繊維等の用途では、溶融時の流動性は成形材料用
途の場合より低いことが求められ、主に中・高粘度品が
用いられる。
【0003】主に成形材料用途に用いられる低粘度ポリ
アミド樹脂としては、溶融状態で重合して得られたポリ
アミド樹脂がそのまま用いられるか、又は更に乾燥した
ものが用いられる。しかし、ボトル、シート、フィルム
及び繊維等の用途に主に用いられる中・高粘度ポリアミ
ド樹脂を、縦型重合槽を用いて溶融状態における重合で
得ようとするとき、重合槽内の溶融状態を均一に保つた
めの充分な攪拌動力が得られず、均質な性状を有する製
品を得ることは難しい。更に中・高粘度に到達するまで
重合反応を継続すると、溶融状態を維持する時間(重合
時間)が長くなり、ポリアミド分子が損傷(ラジカルの
発生などによるポリマー分子の劣化など)を受け、着色
もしくは変質したポリアミド樹脂となってしまうととも
に、非直鎖の分子成長等の異常反応(三次元ポリマー化
など)が起こり、ゲル又はフィッシュアイの生成が多く
なり、成形上不都合を生じる。ゲル又はフィッシュアイ
を多量に含むポリアミド樹脂がボトル、シート、フィル
ム及び繊維等の用途に用いられたとき、欠陥の発生率が
極めて高くなり生産性の低下を招く。成形加工時にゲル
又はフィッシュアイを除去するフィルターを設置したと
しても、完全な除去は難しく、またフィルター交換頻度
が増加し連続生産時間が短くなるため、ポリアミド樹脂
中のゲル又はフィッシュアイは出来る限り少ないことが
望ましい。
【0004】ゲル又はフィッシュアイの少ない中・高粘
度ポリアミド樹脂を得るには、一旦溶融状態で重合して
低粘度ポリアミド樹脂を得た後、固相状態で加熱処理す
るいわゆる固相重合を行うことが知られている。溶融状
態と固相状態の重合でゲル又はフィッシュアイの生成量
に差が現れるのは、重合温度差に起因するポリアミド分
子の損傷、あるいは異常反応の発生頻度の差と考えられ
る。しかし、固相重合により得られた中・高粘度ポリア
ミド樹脂は、溶融重合単独で得られた中・高粘度ポリア
ミド樹脂と比較して、ゲル又はフィッシュアイが低減で
きるものの、一旦ポリアミド樹脂を冷却し造粒した後、
再度加熱するため、エネルギー的にも、設備、人員的に
も生産性は極めて低いと言える。
【0005】ゲル又はフィッシュアイはポリアミド樹脂
を製造する際に生成する以外に、当然成形品に成形加工
する際の溶融時においても生成する。ポリアミド樹脂製
造後にゲル又はフィッシュアイの生成量に顕著な差が無
なかったとしても、成形加工した際に差が現れる場合が
ある。この原因の一つとして、製造後には観測されない
様な僅かなポリアミド分子の損傷の差、あるいは異常反
応の発生頻度の差が成形加工の際に、フィルターあるい
はダイ等の滞留部分で増幅されるためと推定される。つ
まり、ゲル又はフィッシュアイの少ない成形加工品を得
るには、滞留部分の極めて少ない成形加工装置の設計が
必要であると同時に、重合工程において分子レベルで損
傷および異常反応の極めて少ない高品位なポリアミド樹
脂を製造することが不可欠である。
【0006】ところで、溶融状態でポリアミド樹脂を重
合する際の供給原料として、ナイロン塩水溶液を用いる
ことが一般的であり、先ずナイロン塩水溶液を加圧下に
加熱し、ジアミン成分の留出を抑えながら均一相で重合
を進め、ジアミン成分を固定化したのち系内の水蒸気を
徐々に放圧し、最終的に常圧もしくは減圧とし重合を完
結させる。ナイロン塩を供給原料とする方法(特公昭3
3−15700公報、特公昭43−22874公報)も
あるが、ナイロン塩の単離、精製工程が新たに必要であ
り、効率の良い方法とは言い難い。ナイロン塩およびナ
イロン塩の水溶液を供給原料としない重合方法として、
少量の水を含んだジアミンを常圧下220℃以下の温度
で滴下して重合を行う方法(特開昭48−12390公
報)、溶融状態にあるジカルボン酸にジアミンを常圧下
滴下し直接重合させる方法(特開昭57−200420
公報、特開昭58−111829公報等)がある。
【0007】これらいずれの供給原料を用いた場合であ
っても、基本的には次の3工程から成る。先ずジアミン
の固定化が主目的となる前期重合工程、溶媒水および/
あるいは縮合水の大部分の留去と重合の促進が目的であ
る中期重合工程、そして目標とする重合度(分子量、粘
度)を達成する後期重合工程の3工程である。
【0008】回分式では1つの重合機を用いて重合条件
を調整しながらこれら3工程を順次経る。一般に回分式
では3工程の全てに対応するため縦型重合槽が用いられ
るが、反応混合物の単位処理量あたりの蒸発表面積を大
きくすることができない。このため、縦型重合槽で中・
高粘度のポリアミド樹脂を得るには、滞留時間を長くす
る必要があり、反応混合物は長い熱履歴を経ることにな
るため、得られる生成物の着色度が大きい、あるいはゲ
ル又はフィッシュアイが多くなるという問題点がある。
また、高真空下に保つことは、液面上昇、発泡等の問題
から現実的では無い。
【0009】一方、半連続式あるいは完全連続式では、
2つ以上の重合機を用いて3工程毎に最適な重合機と重
合条件が選ばれ、後期重合工程では縦型重合槽とは異な
り低分子量物の除去に優れる重合機が選択できるため、
回分式より中・高粘度のポリアミド樹脂を得るには有利
である。後期重合工程を担う後期重合機には、ポリアミ
ド樹脂の平衡反応をポリマー生成側にずらすための脱気
性能の他に、ポリマー鎖の末端アミノ基と末端カルボキ
シル基の反応を促進するための攪拌混合性能が求められ
る。更に後期重合機は最も重合が進んだ高粘度なポリア
ミド樹脂を取り扱うため、熱履歴の抑制、剪断熱の制
御、滞留部の低減、およびプラグフロー性の付与等、他
の重合工程より留意しなければならない要素が多数あ
り、得られるポリアミド樹脂の品質を左右する最も重要
な重合機と言える。
【0010】後期重合機として遠心薄膜型蒸発機を用い
る場合(特公昭50―9834公報、特開2000―2
56461公報等)には、反応混合物の単位処理量あた
りの蒸発表面積を大きくすることができるので、反応混
合物の遠心薄膜型蒸発機における滞留時間を短くするこ
とができる。しかし、重合を促進するための攪拌混合性
能はあまり期待できない。更に生成するポリマーの一部
は、回転軸、羽根、内部軸受けなどに付着して長い熱履
歴を経るため、黒変した分解物がポリマーに混入すると
いう問題点があり、望ましい重合機では無い。後期重合
機として1軸のベント式押出機を用いる場合には、生成
するポリマーの一部がスクリュー溝部に付着するため、
好ましくない着色生成物が得られるという問題点があ
る。後期重合機として2軸ベント式押出機を用いる場合
(特公昭50−15275号公報、特公平5―8241
0号公報、特開昭62−79225号公報等)には、ポ
リマーがスクリュー部に付着することはほとんどないた
め、着色生成物が生じることはない。しかしこの2軸ベ
ント式押出機は装置構造上ホールドアップが小さく、単
位有効容積あたりの装置コストが非常に高くなるため、
スケールアップにも限界がある。さらに、この2軸ベン
ト式押出機はせん断効果が強いため、生成するポリマー
が着色、変質するという問題点がある。この様に、着
色、変質が少なく、更にはゲル又はフィッシュアイの生
成が少ない高品質な中・高粘度のポリアミド樹脂の開
発、およびその効率的な製造方法の開発が望まれてい
た。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、メタ
キシリレンジアミンおよび/またはビスアミノシクロヘ
キサンを主体とするジアミン成分とジカルボン酸成分と
を重合して得た成るポリアミド樹脂に関し、ボトル、シ
ート、フィルムおよび繊維等の用途に好適に利用され
る、着色、変質が少なく、ゲル又はフィッシュアイが少
ない溶融状態で得られる中、高粘度のポリアミド樹脂お
よびその製造方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明ら者は鋭意検討し
た結果、溶融状態で前期重合反応を行い、特定の横型の
連続式重合機を用いて溶融状態で後期重合反応を行うこ
とにより、着色、変質が少なく、ゲル又はフィッシュア
イが少ないポリアミド樹脂を溶融状態で効率的に得ら
れ、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成
させた。
【0013】すなわち、本発明は、下記の(1)および
(2)に関する発明である。 (1)キシリレンジアミンおよび/またはビスアミノメ
チルシクロヘキサンを70モル%以上含むジアミン成分
とジカルボン酸成分とを前期重合反応で得た、96%濃
硫酸で測定した相対粘度が1.4以上2.7以下である
低粘度ポリアミド樹脂の後期重合方法であって、1本ま
たは互いに平行な2本以上の水平回転軸とこの水平回転
軸にほぼ直角方向に取り付けられた相互に不連続な複数
の攪拌翼を有し、スクリュー部を有しない筒状である横
型の連続式重合機を用いて、前期ポリアミド樹脂を溶融
状態で当該重合機の一端から連続的に供給し、他端から
連続的に排出してポリアミド樹脂の重縮合反応を連続的
に進行させ、前記相対粘度を少なくとも0.2以上増加
させた、96%濃硫酸で測定した相対粘度が2.2以上
4.2以下であり、反射法による黄色度(YI)が10
以下であり、かつ窒素雰囲気中260℃で24時間溶融
処理した後に測定したゲル濃度(96%硫酸溶液100
ml中に1g添加溶解後、ポアサイズ10〜16μmの
フィルターによる捕集物濃度)が0.00重量%以下で
あるポリアミド樹脂を得ることを特徴とするポリアミド
樹脂の後期重合方法。 (2)キシリレンジアミンおよび/またはビスアミノメ
チルシクロヘキサンを70モル%以上含むジアミン成分
とアジピン酸とを70モル%以上含むジカルボン酸成分
とを使用して前期重合反応で重合させて得た、96%濃
硫酸で測定した相対粘度1.4以上2.7以下である低
粘度ポリアミド樹脂を、更に後期重合反応で、横型の連
続式重合機を用いて溶融状態で前記相対粘度を少なくと
も0.2以上増加させるように重合反応させて得た下記
(1)〜(3)の条件を満足するポリアミド樹脂。 (1)96%濃硫酸で測定した相対粘度が2.2〜4.
2 (2)反射法による黄色度(YI)が10以下 (3)窒素雰囲気中260℃で24時間溶融処理した後
に測定したゲル濃度(96%硫酸溶液100ml中に1
g添加溶解後、ポアサイズ10〜16μmのフィルター
による捕集物濃度)が0.00重量%以下
【0014】本発明において、ポリアミド原料モノマー
であるジアミン成分の70モル%以上がキシリレンジア
ミンおよび/またはビスアミノシクロヘキサンである。
キシリレンジアミンとしてはメタ、パラおよびオルソキ
シリレンジアミンが例示でき、ビスアミノシクロヘキサ
ンとしては1,2−、1,3−、1,4―ビスアミノシ
クロヘキサンが例示できる。得られるポリアミド樹脂の
実用的な物性から考えて、ジアミン成分の主体がキシリ
レンジアミンの場合、メタキシリレンジアミンを50モ
ル%以上含むジアミンの使用が望ましく、より好ましく
は70モル%以上である。また、ジアミン成分の主体が
ビスアミノシクロヘキサンの場合、1,3−ビスアミノ
シクロヘキサンを50モル%以上含むジアミンの使用が
望ましく、より好ましくは70モル%以上である。その
他のジアミンとしてはテトラメチレンジアミン、ペンタ
メチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメ
チレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレ
ンジアミン、オルソフェニレンジアミン、メタフェニレ
ンジアミン、パラフェニレンジアミン等が挙げられる。
【0015】ジカルボン酸成分としては、琥珀酸、グル
タル酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカ
ン二酸、イソフタル酸、テレフタル酸、フタル酸、2,
6−ナフタレンジカルボン酸等が挙げられる。これらの
ジカルボン酸は単独でも2種以上混合しても使用可能で
ある。得られるポリアミド樹脂の実用的な物性から考え
て、特に70モル%以上がアジピン酸であるジカルボン
酸成分が好適に使用できる。また、ジアミン成分および
ジカルボン酸成分以外のポリアミド構成成分は、カプロ
ラクタム、バレロラクタム、ラウロラクタム、ウンデカ
ラクタム等のラクタム、11−アミノウンデカン酸、1
2−アミノドデカン酸等のアミノカルボン酸を例示する
ことができる。
【0016】横型の連続式重合機に供給する低粘度ポリ
アミド樹脂は、ナイロン塩水溶液を原料とする一般的な
ポリアミド樹脂の製造方法により、回分式もしくは連続
式方法によって製造する事ができる。また、溶融状態に
あるジカルボン酸にジアミンを直接添加する直接重合方
法によっても製造することができる。横型の連続式重合
機に供給する低粘度ポリアミド樹脂の相対粘度(96%
濃硫酸で測定した値、以下同じ)は、1.4以上2.7
以下であることが好ましく、1.7以上2.2以下がよ
り好ましい。相対粘度が前記1.4未満であるとき、後
期重合機での滞留時間が長くなり過ぎ、高価な後期縮合
槽の大型化が必要となり経済性に劣る。また相対粘度が
前記2.7を超えると、脱気能力の小さな中期重合機以
前で極めて長い滞留時間を要し、熱履歴が多くかかり3
次元架橋あるはゲル化反応が進みやすくなる。
【0017】横型の連続式重合機に供給されたポリアミ
ド樹脂は、最終的に所望する相対粘度まで溶融状態で重
合反応が進められ、相対粘度としては、2.2以上4.
2以下のポリアミド樹脂が横型の連続式重合機から得ら
れることが好ましい。より好ましくは相対粘度が2.4
以上4.0以下である。相対粘度が前記2.2未満であ
るとき本発明の効果が薄く、他の手段によっても比較的
容易に実施される。相対粘度が前記4.2を越えるポリ
アミド樹脂を得ることも可能であるが、本発明のポリア
ミド樹脂においてはゲル又はフィッシュアイが比較的多
く発生するようになってくるため、好ましくない。
【0018】横型の連続式重合機から得られるポリアミ
ド樹脂の着色、変質は、黄色度によって表され、ポリア
ミド樹脂の反射法による測定値が、YIで10以下であ
ることが好ましく、より好ましくはYIが5以下であ
る。YIが10を超えるポリアミド樹脂は本発明以外の
溶融重合方法によっても容易に得られる。また、黄色度
は次亜燐酸化合物、亜燐酸化合物、燐酸化合物、ヒンダ
ードフェノール化合物あるいはヒンダードアミン化合物
など、安定剤等の添加により効果的に抑えられるのでこ
れらの添加剤を適時選択して使用することが可能であ
る。また、安定剤の中にはアミド化反応に対し触媒作用
を示すものがあり、重合を促進する上で有効である。し
かし、直鎖状の分子成長反応ばかりか非直鎖状の分子成
長等の異常反応(三次元ポリマー化など)をも促進する
ものが少なくない。また、アミド化反応を阻害するもの
もあり、安定剤は可能な限り低減することが望ましい。
横型の連続式重合機から得られるポリアミド樹脂の3次
元架橋あるはゲル化のし易さは、260℃で24時間の
溶融処理後に96%硫酸への不溶解物の濃度によって評
価でき、0.00重量%以下であるのが好ましい。
【0019】横型の連続式重合機は、前述の様に得られ
るポリアミド樹脂の品質を左右する最も重要な重合機で
あり、1本もしくは平行する2本以上の水平回転軸とこ
の水平回転軸にほぼ直角に取り付けられた相互に不連続
な複数の攪拌翼を有し、スクリュー部を有しない筒状で
ある横型の連続式重合機(特開昭48−84781号公
報、特公昭50−21514号公報、特公昭53−15
753号公報、特開昭51−31792号公報、特開平
10−259242号公報、特開平11−130号公
報、特開2000―212265号公報等)が望まし
い。水平回転軸は2本である横型の連続式重合機が特に
好適に使用可能である。
【0020】攪拌翼は円盤状、車輪状、棒状、櫂状、メ
ガネ状、窓枠状などの形状が例示でき、1種または2種
以上の組合わせて設置されるが、特にこれら形状に限定
されるものでは無い。また、攪拌翼は1水平回転軸当た
り少なくとも2段以上設置されており、この攪拌翼によ
り反応液を混合し、掻き上げまたは押し広げて溶融ポリ
アミド樹脂の重合と表面更新を行う。横型の連続式重合
機における水平回転軸の長さをLとし、攪拌翼の回転直
径をDとしたときのL/Dは1〜15であることが望ま
しく、より好ましくは1.5〜10である。L/Dが1
未満であるとき、プラグフロー性が悪化し、得られるポ
リアミド樹脂の重合度分布が広くなり好ましくない。ま
たL/Dが長くなると攪拌翼が多く入れられ反応段数を
上げる事が容易となるが、L/Dが15を越えると水平
回転軸が長くなり、その自重から水平回転軸が歪み易く
なる問題がある。
【0021】横型の連続式重合機は1つの加熱用ジャケ
ットによって重合機全体を加熱してもよいし、複数の加
熱用ジャケットによって重合機を加熱してもよい。後者
の場合、例えば、重合機上部を加熱する加熱用ジャケッ
トと、重合機下部を加熱する加熱用ジャケットとから加
熱用ジャケットを構成し、あるいは又、入口部側の重合
機の部分を加熱する加熱用ジャケットと、出口部側の重
合機の部分を加熱する加熱用ジャケットとから加熱用ジ
ャケットを構成し、あるいは又、入口部側の重合機上部
を加熱する加熱用ジャケットと、入口部側の重合機下部
を加熱する加熱用ジャケットと、出口部側の重合機上部
を加熱する加熱用ジャケットと、出口部側の重合機下部
を加熱する加熱用ジャケットとから加熱用ジャケットを
構成することができるが、これらの構成に限定するもの
ではなく、更に多くの加熱用ジャケットから構成するこ
ともできる。
【0022】横型の連続式重合機内でのポリアミド樹脂
の滞留量は、攪拌翼静止時において20容積%から70
容積%の範囲であることが望ましく、25容積%から5
0容積%の範囲であることが特に望ましい。滞留量が前
記20容積%未満であるとき、処理可能な溶融ポリアミ
ド樹脂量が少なく生産性に劣るばかりか、ポリアミド樹
脂の過熱の危険性が大きくなる。滞留量が前記70容積
%を越えるとき、攪拌翼駆動中に充分な気相容積が確保
されず、スムーズな重合の促進を妨げる。
【0023】横型の連続式重合機内での樹脂温度は、融
点より5℃以上40℃未満高い温度範囲であることが望
ましく、より好ましくは融点より10℃以上35℃未満
である。樹脂温度が融点より5℃以上高くないと、横型
の連続式重合機内での固化する可能性があるとともに、
溶融粘度が高くなり、重合を促進する上で薄膜状態を充
分に形成する事が困難である。また、樹脂温度が融点よ
り40℃以上高い温度では、重合を進める上で有利であ
るが、分解、3次元架橋、ゲル化反応等の異常反応が多
くなり、得られるポリアミド樹脂の品質が著しく低下す
る。尚、本発明で用いるポリアミド樹脂の融点は、DS
C測定(示差走査熱量測定)において結晶融解熱に起因
する吸熱ピーク温度を示す。ポリアミド樹脂に結晶性が
認められず、難晶性、非晶性と称されるポリアミド樹脂
においては、流動開始温度を指す。
【0024】横型の連続式重合機内でのポリアミド樹脂
の滞留時間は、5分以上90分以下の範囲であることが
望ましく、10分以上75分以下の範囲であることがよ
り好ましい。5分未満であるとき、重合を充分に進める
ことが困難になるばかりか、プラグフロー性が悪化し得
られるポリアミド樹脂の重合度分布が広くなり好ましく
ない。また、90分を越えると、分解、3次元架橋、ゲ
ル化反応等の異常反応が多くなるばかりか、高価な横型
の連続式重合機の大型化につながる。
【0025】横型の連続式重合機内での気相部における
圧力は90kPa未満であることが好ましく、40kP
a未満がより好ましく、5kPa未満が更に好ましい。
圧力が90kPaをこえると、重合を充分に進めること
が困難になる。
【0026】低粘度ポリアミド樹脂を横型の連続式重合
機に供給するに際し、ギヤポンプ等を用い定量的に供給
する事が望ましい。供給量の変動は横型の連続式重合機
内でのポリアミド樹脂の滞留時間の変動を招き、得られ
るポリアミドの重合度に多大な影響を与える。また、同
じ理由から、横型の連続式重合機から定量的にポリアミ
ド樹脂を排出するために、ギヤポンプ等を横型の連続式
重合機の排出部に設置することも好ましい。
【0027】横型の連続式重合機に供給する低粘度ポリ
アミド樹脂が、メタキシリレンジアミンとアジピン酸か
ら得られたポリアミド樹脂である場合、このポリアミド
樹脂は、以下に説明するナイロン塩水溶液を出発原料と
しない直接重合方法による回分式方法にて生産すること
ができる。但し、以下の方法は一例を示すものであり、
これに限定されるものではなく、連続式方法にて製造す
る事も可能であり、また、ナイロン塩水溶液を原料とす
る一般的なポリアミド樹脂の製造方法により、横型の連
続式重合機に供給する低粘度ポリアミド樹脂を得ること
も可能である。
【0028】即ち、アジピン酸を溶融させた後、分縮器
を備えた回分式重合槽を用い、溶融状態にあるジカルボ
ン酸にメタキシリレンジアミンを連続的に又は間欠的に
添加し、メタキシリレンジアミンとアジピン酸のモル比
を所定値として重合反応を行い、ポリアミド樹脂中の水
分が0.02重量%以上1.0重量%未満であり、相対
粘度が1.4以上2.7以下である溶融状態にある低粘
度ポリアミド樹脂を得る方法を採用することが望まし
い。
【0029】尚、重合機への供給に供されるまで回分式
重合槽内で溶融ポリアミド樹脂が滞留するので、回分式
重合槽における気相部を水蒸気で所定圧力に保ち、回分
式重合槽内でのポリアミド樹脂の相対粘度変化を±0.
2以内に抑制することが望ましい。尚、このような構成
においては、2以上の回分式重合槽を配置し、これらの
回分式重合槽にて得られた溶融状態にある低粘度ポリア
ミド樹脂を交互に1つの横型の連続式重合機に供給する
ことが望ましい。
【0030】あるいは又、こうして得られた低粘度ポリ
アミド樹脂を、溶融保持槽に一旦貯蔵しておくことが好
ましい。そして、溶融保持槽の気相部を水蒸気で所定圧
力に保ち、溶融保持槽に滞留している間のポリアミド樹
脂の相対粘度変化を±0.2以内に抑制することが好ま
しい。そして、溶融保持槽内の溶融状態にある低粘度ポ
リアミド樹脂を横型の連続式重合機に供給する。尚、こ
のような構成においては、回分式重合槽は、1又は2以
上であればよい。
【0031】回分式重合槽における気相部を水蒸気で所
定圧力に保ち、あるいは又、溶融保持槽の気相部を水蒸
気で所定圧力に保つことによって、アミド化平衡反応に
おける縮合水の生成を抑制することができる。即ち、重
合反応の進行を抑制することができる。水蒸気圧が低す
ぎると重合が進み重合度が増加するが、逆に蒸気圧が高
すぎると解重合が進み重合度が低下する。重合度が変化
しない適切な水蒸気圧は、モルバランス、重合度、平衡
定数、温度等に依存し、一概には言えないが、数回の実
験的な検証を通して容易に決定することができる。例え
ばモルバランス1.000±0.01であるポリアミド
樹脂を溶融保持槽又は回分式重合槽内で温度250〜2
60℃、気相部の水蒸気圧を2.5×105Pa〜3.
5×105Paの条件下で保持すると、ポリアミド樹脂
の重合度を約75から約100程度に維持することがで
きる。水蒸気で保圧しているときの重合度変化の指標と
して、相対粘度の変化を±0.2以内に抑えることが好
ましい。低粘度ポリアミド樹脂の相対粘度変化が0.2
を越えると、最終的に得られる中・高粘度ポリアミド樹
脂の重合度(相対粘度)が大きく変動し、好ましくな
い。
【0032】回分式重合槽内においては、溶融状態にあ
るアジピン酸に、メタキシリレンジアミンを連続的に若
しくは間欠的に添加し、ポリアミド樹脂の構成成分とし
て消費されるメタキシリレンジアミンとアジピン酸のモ
ルバランス(以下「モルバランス」ということがある)
を所定値に調整しつつ重合を進める。所望のモルバラン
ス(例えばジアミン過剰、アジピン酸過剰、あるいは、
ジアミンとアジピン酸の等モル)を有するポリアミド樹
脂を得るために、仕込みのモルバランスを任意に選択す
ることができる。仕込みのモルバランスの調整方法は、
例えば溶融状態にあるアジピン酸をアジピン酸溶融槽ご
と、質量計量機で計量し、回分式重合槽に供給した後、
メタキシリレンジアミン滴下槽を質量計量機で計量しつ
つ、メタキシリレンジアミンを反応系に供給する方法を
例示できる。メタキシリレンジアミン及びアジピン酸の
重量を計量する場合、ロードセル、天秤等の質量計量機
が好適に利用可能である。アジピン酸の溶融工程は、酸
化着色を避ける目的から窒素等の不活性ガス雰囲気で行
うことが望ましい。アジピン酸の溶融は回分式重合槽若
しくは専用の溶融槽で行うことができるが、回分式重合
槽の利用効率を高めるといった観点からは、専用の溶融
槽の使用が望ましい。
【0033】回分式重合槽中で溶融アジピン酸にメタキ
シリレンジアミンを添加する際、実質的にアミド化反応
が進行する温度である160℃以上の温度に溶融アジピ
ン酸を昇温させることが望ましく、且つ、中間体として
生成するオリゴマー及び/又は低分子量ポリアミドが溶
融状態となって反応系全体が均一な流動状態を保持し得
る温度に設定することが望ましい。具体的なメタキシリ
レンジアミンの添加操作は、回分式重合槽中で溶融アジ
ピン酸を撹拌しつつ、メタキシリレンジアミンを連続的
に若しくは間欠的に添加し、添加の間に反応混合物の温
度を逐次昇温させ、所定の温度に保持することによって
行うことができる。昇温速度は、アミド化反応熱、縮合
水の蒸発潜熱、供給熱等に依存するため、メタキシリレ
ンジアミンの添加速度を適宜調整する。添加終了時点で
反応混合物の温度を、ポリアミド樹脂の融点以上35℃
未満、望ましくは15℃未満、更に望ましくは5℃未満
に調整することが好ましい。メタキシリレンジアミンの
添加中、圧力は特に限定されないが、メタキシリレンジ
アミンを固定化する上で常圧以上であることが望まし
い。
【0034】重合反応の進行と共に生成する縮合水は、
常圧における反応の場合、100〜120℃の温度に制
御されている分縮器と冷却器を通して反応系外に排出さ
れる。縮合水と共に蒸気として反応系外に流出するメタ
キシリレンジアミン、昇華により流出するアジピン酸等
は、分縮器で水蒸気と分離され、回分式重合槽に戻され
る。公知のナイロン塩水溶液を原料とする加圧法の場合
と同様に、原料、特に、メタキシリレンジアミンの反応
系外への流出は避け難い。従って、回分式重合槽には分
縮器が備えられていることが好ましい。分縮器を備える
ことにより、メタキシリレンジアミンが系外に流出する
ことを効果的に防止できる。
【0035】メタキシリレンジアミンの添加終了後、回
分式重合槽内を常圧以上で、所定時間保持することが望
ましい。所定時間として、5分以上、より好ましくは1
0分以上が好ましい。メタキシリレンジアミンの添加初
期には、メタキシリレンジアミンに対してカルボキシル
基が相当過剰に存在し、メタキシリレンジアミンの重合
速度、つまり固定化速度は極めて速い。しかし、添加終
了時にはカルボキシル基が相当量消費されており、添加
初期と比較しメタキシリレンジアミンの固定化速度は極
めて遅くなる。また、重合度の増加により、反応混合物
の撹拌効率が低下し、メタキシリレンジアミンの固定化
に一層不利となる。固定化されなかったメタキシリレン
ジアミンは、反応混合物中若しくは回分式重合槽の気相
部に存在し、あるいは又、分縮器で凝縮されたものは、
再度、反応混合物に添加される。メタキシリレンジアミ
ンの添加を終了した後に常圧以上で所定時間保持するこ
とで、このようなメタキシリレンジアミンが固定化さ
れ、仕込みのモルバランスが、精度良くポリアミド樹脂
のモルバランスに再現される。
【0036】
【発明の効果】本発明に係るポリアミド樹脂の後期重合
方法により以下の効果が得られる。 (イ)ボトル,シート,フィルム及び繊維等の用途に好
適に利用される、着色、変質が少なく、ゲル又はフィッ
シュアイが少ない中・高粘度のポリアミド樹脂が、固相
重合という工程を経ることなく、溶融重合工程で極めて
効率的に製造できる。 (ロ)着色、変質が少なく、ゲル又はフィッシュアイが
少ない中・高粘度のポリアミド樹脂が製造できるため、
成形加工の際に用いられるフィルターの目詰まりが少な
くなり、圧力上昇が小さくなりフィルター交換頻度が少
なくなるため、成形加工品の生産性が著しく向上する。 (ハ)着色、変質が少なく、ゲル又はフィッシュアイが
少ない中・高粘度のポリアミド樹脂が製造できるため、
成形加工品の欠点あるいは欠陥品が少なくなる。
【0037】
【実施例】以下に実施例および比較例を示し、本発明を
具体的に説明する。なお本発明における評価のための測
定は以下の方法によった。尚、各測定に際し、横型の連
続重合機から得られたポリアミド樹脂を水冷固化した後
ペレット化し、140℃で6時間真空乾燥し測定に供し
た。 (イ)相対粘度 ポリアミド樹脂1gを精秤し、96%硫酸100mlに
20〜30℃で攪拌溶解した。完全に溶解した後、速や
かにキャノンフェンスケ型粘度計に溶液5mlを取り、
25℃±0.03℃の恒温槽中で10分間放置後、落下
時間(t)を測定した。また、96%硫酸そのものの落
下時間(t0)も同様に測定した。tおよびt0から次式
(A)により相対粘度を求めた。 相対粘度=t/t0・・・・・・・・・・(A) (ロ)ゲル濃度(重量%) 先ず、窒素雰囲気下に260℃で24時間溶融保持し加
熱処理を行う。冷却後ポリアミド樹脂1gを精秤し96
%硫酸100mlに入れ、室温で24時間溶解した。そ
の後重量既知のガラス製ろ過フィルター(ポアサイズ1
0〜16μm)でろ過し、フィルターを96%硫酸で良
く洗浄し、更にメタノールで洗浄した。このフィルター
を真空中にて24時間/100℃の条件で乾燥し、フィ
ルターを秤量しゲル濃度として次式(C)に基づき算出
した。 ゲル濃度(重量%)=(硫酸不溶解分量)×100/(ポリアミド樹脂量)・・ ・(C) (ハ)黄色度(YI) 色差計(日本電色工業(株)製、Σ80型)を用い、ポ
リアミド樹脂の反射によるXYZ表色系の三刺激値X、
Y、Zを、JIS-K7103に従い測定し、次式から
求めた。 YI=100(1.28X−1.06Z)/Y (ニ)フィッシュアイ数 Tダイのついた25mmφの単軸押出し機を用い、27
0℃で溶融して厚さ50μm、幅18cmのフィルムを
作成した。10cm(フィルム中心部)×10mの範囲
のフィルム中に認められるフィッシュアイ数を、透過式
の光学欠点測定機を用い1m2当たりのフィッシュアイ
数として調べた。本計測機の検出感度は、大蔵省印刷局
発行の狭雑物測定図表における0.05mm2以上の大
きさのフィッシュアイ数を検出可能な様に調整した。
【0038】実施例1〜2、比較例1〜2 アジピン酸およびメタキシリレンジアミン(ジアミン/
ジカルボン酸のモル比:0.994)を使用して重合し
て得たポリアミド樹脂(相対粘度:1.82、融点=2
43℃)を255℃に加熱し、ギヤポンプを通じ18L
の横型の連続式重合機に供給した。横型の連続式重合機
はL/Dが2.9であり、2本の水平回転軸とこの水平
回転軸にほぼ直角に取り付けられた相互に不連続な複数
の攪拌翼を有し、スクリュー部を有しない筒状である。
攪拌翼回転数は10rpmとし、攪拌翼静止時の気相容
積率は33%とした。重合機内のポリアミド樹脂の温
度、重合機内のポリアミド樹脂の滞留時間、および重合
機内気相部の圧力は表1に示す。重合機から溶融ポリア
ミド樹脂を連続的にストランドとして排出し、水冷後、
連続的に造粒した。得られたポリアミド樹脂の物性を測
定し、更にフィッシュアイ数を測定した。結果を表1に
示す。
【0039】 表1実施例・比較例番号 実施例1 比較例1 実施例2 比較例2 重合条件 温度(℃) 260 285 260 260 滞留時間(分) 25 25 60 100 圧力(kPa) 0.5 0.5 0.5 0.5 得られたポリアミド樹脂の性状 相対粘度 2.24 3.02 2.78 3.15 黄色度(YI) 2 15 3 3 ゲル濃度(重量%) 0.00 0.00 0.00 1.70 フィッシュアイ数(個/m2 500 11500 1660 8010
【0040】実施例3、比較例3 安定剤として、次亜燐酸酸ナトリウム・1水和物をポリ
アミド樹脂中燐原子濃度が60ppmになるように添加
した以外は。実施例と同じ方法でポリアミド樹脂を得、
評価した。結果を表2に示す。
【0041】 表2実施例・比較例番号 実施例3 比較例3 重合条件 温度(℃) 260 260 滞留時間(分) 25 70 圧力(kPa) 0.5 0.5 得られたポリアミド樹脂の性状 相対粘度 3.15 4.31 黄色度(YI) −3 2 ゲル濃度(重量%) 0.00 2.57 フィッシュアイ数(個/m2) 2240 26800
【0042】表1および表2から明らかなように、横型
の連続式重合機から得られる中・高粘度のポリアミド樹
脂の黄色度およびゲル濃度を制御することで、フィッシ
ュアイ数が少ないポリアミド樹脂が得られる。
【0043】比較例4 実施例1と同様のポリアミド樹脂を、ギヤポンプを通じ
伝熱面積0.2m2の縦型の遠心薄膜型蒸発機に連続供
給した。攪拌翼回転数は300rpm、重合機内のポリ
アミド樹脂の温度は260℃、重合機内のポリアミド樹
脂の平均滞留時間は約3分、および重合機内気相部の圧
力は0.5kPaとした。重合機から溶融ポリアミド樹
脂を連続的にストランドとして排出し、水冷後、連続的
に造粒した。排出を開始してから3時間経過してからサ
ンプリングを開始した。得られたポリアミド樹脂の相対
粘度は2.02であり、中・高粘度域まで重合は進まな
かった。得られたポリアミド樹脂の黄色度は5、ゲル濃
度は0.00重量%であった。しかし、わずか5時間の
連続運転後に、攪拌翼を重合機から抜き出し内部を観察
したところ、褐色の劣化物あるいは焦げた様な樹脂が攪
拌翼および軸の一面に付着しており、排出されるポリア
ミド樹脂への混入が懸念された。
【0044】比較例5 アジピン酸およびメタキシリレンジアミン(ジアミン/
ジカルボン酸モル比:0.994)を重合して得たポリ
アミド樹脂(相対粘度:2.25)を270℃に加熱
し、ギヤポンプを通じ伝熱面積0.2m2の縦型の遠心
薄膜型蒸発機に連続供給した。攪拌翼回転数は300r
pm、重合機内のポリアミド樹脂の温度は290℃、重
合機内のポリアミド樹脂の平均滞留時間は約3分、およ
び重合機内気相部の圧力は0.5kPaとした。重合機
から溶融ポリアミド樹脂を連続的にストランドとして排
出し、水冷後、連続的に造粒した。排出を開始してから
3時間経過してからサンプリングを開始した。得られた
ポリアミド樹脂の相対粘度は2.31、黄色度は14、
ゲル濃度は0.00重量%であった。フィッシュアイ数
を調べたところ、8300個/m2であった。比較例4
および比較例5から、縦型の遠心薄膜型蒸発機は滞留時
間が短く重合度を増加させる能力が低く、中・高粘度の
ポリアミド樹脂を得る上で好ましい重合機とは言いがた
い。
【0045】(比較例6)実施例1と同様のポリアミド
樹脂を、ギヤポンプを通じ、25mmφ、L/D20の
2軸ベント式押出機に連続供給した。攪拌翼回転数は3
0rpm、重合機内のポリアミド樹脂の温度は260
℃、重合機内のポリアミド樹脂の平均滞留時間は約25
分、および重合機内気相部の圧力は0.5kPaとし
た。しかしながら排出されたポリアミド樹脂の温度は2
80℃まで上昇していた。重合機から溶融ポリアミド樹
脂を連続的にストランドとして排出し、水冷後、連続的
に造粒した。排出を開始してから1時間経過してからサ
ンプリングを開始した。得られたポリアミド樹脂の相対
粘度は2.82、得られたポリアミド樹脂の黄色度は1
9、ゲル濃度は0.50重量%であった。フィッシュア
イ数を調べたところ、13800個/m2であった。実
施例1と比較例5の比較から、2軸ベント式押出機はせ
ん断が強くかかり、ポリアミド樹脂が損傷を受け易いと
思われる。
【0046】以上、本発明を好ましい実施例に基づき説
明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例にて説明したポリアミド樹脂の製造条件、製造方
法は例示であり、適宜変更することができるし、使用し
た各種の装置も例示であり、適宜変更することができ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 黒瀬 英之 新潟県新潟市松浜町3500番地 三菱瓦斯化 学株式会社新潟工場内 Fターム(参考) 4J001 DA01 DB02 DC15 EB08 EC14 EC48 FA01 FB03 FB05 FC03 FC05 GA12 GC05 JB02 JB42 JB50

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 キシリレンジアミンおよび/またはビス
    アミノメチルシクロヘキサンを70モル%以上含むジア
    ミン成分とジカルボン酸成分とを前期重合反応で得た、
    96%濃硫酸で測定した相対粘度が1.4以上2.7以
    下である低粘度ポリアミド樹脂の後期重合方法であっ
    て、1本または互いに平行な2本以上の水平回転軸とこ
    の水平回転軸にほぼ直角方向に取り付けられた相互に不
    連続な複数の攪拌翼を有し、スクリュー部を有しない筒
    状である横型の連続式重合機を用いて、前期ポリアミド
    樹脂を溶融状態で当該重合機の一端から連続的に供給
    し、他端から連続的に排出してポリアミド樹脂の重縮合
    反応を連続的に進行させ、前記相対粘度を少なくとも
    0.2以上増加させた、96%濃硫酸で測定した相対粘
    度が2.2以上4.2以下であり、反射法による黄色度
    (YI)が10以下であり、かつ窒素雰囲気中260℃
    で24時間溶融処理した後に測定したゲル濃度(96%
    硫酸溶液100ml中に1g添加溶解後、ポアサイズ1
    0〜16μmのフィルターによる捕集物濃度)が0.0
    0重量%以下であるポリアミド樹脂を得ることを特徴と
    するポリアミド樹脂の後期重合方法。
  2. 【請求項2】 前期重合反応が回分式装置を用いた重合
    反応である請求項1に記載のポリアミド樹脂の後期重合
    方法。
  3. 【請求項3】 ジアミン成分の70モル%以上がメタキ
    シリレンジアミンである請求項1又は2に記載のポリア
    ミド樹脂の後期重合方法。
  4. 【請求項4】 ジアミン成分の70モル%以上が1,3
    −ビスアミノシクロヘキサンである請求項1又は2に記
    載のポリアミドの後期重合方法。
  5. 【請求項5】 ジカルボン酸成分の70モル%以上がア
    ジピン酸であることを特徴とする請求項1〜4のいずれ
    かに記載のポリアミド樹脂の後期重合方法。
  6. 【請求項6】 ポリアミド樹脂がポリメタキシリレンア
    ジパミドである請求項1のいずれかに記載のポリアミド
    樹脂の後期重合方法。
  7. 【請求項7】 連続式重合機内のポリアミド樹脂の滞留
    量が、攪拌翼静止時において20容積%から70容積%
    の範囲であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれ
    かに記載のポリアミド樹脂の後期重合方法。
  8. 【請求項8】 連続式重合機内のポリアミド樹脂温度
    が、融点より5℃以上40℃以下高い温度範囲であるこ
    とを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載のポリ
    アミド樹脂の後期重合方法。
  9. 【請求項9】 連続式重合機内のポリアミド樹脂の滞留
    時間が5分以上90分以下の範囲であることを特徴とす
    る、請求項1〜8のいずれかに記載のポリアミド樹脂の
    後期重合方法。
  10. 【請求項10】 連続式重合機内の気相部の圧力が90
    kPa未満であることを特徴とする請求項1〜9のいず
    れかに記載のポリアミド樹脂の後期重合方法。
  11. 【請求項11】 連続式重合機が2軸反応機である請求
    項1〜10のいずれかに記載のポリアミド樹脂の後期重
    合方法。
  12. 【請求項12】 キシリレンジアミンおよび/またはビ
    スアミノメチルシクロヘキサンを70モル%以上含むジ
    アミン成分とアジピン酸とを70モル%以上含むジカル
    ボン酸成分とを使用して前期重合反応で重合させて得
    た、96%濃硫酸で測定した相対粘度1.4以上2.7
    以下である低粘度ポリアミド樹脂を、更に後期重合反応
    で、横型の連続式重合機を用いて溶融状態で前記相対粘
    度を少なくとも0.2以上増加させるように重合反応さ
    せて得た下記(1)〜(3)の条件を満足するポリアミ
    ド樹脂。 (1)96%濃硫酸で測定した相対粘度が2.2〜4.
    2 (2)反射法による黄色度(YI)が10以下 (3)窒素雰囲気中260℃で24時間溶融処理した後
    に測定したゲル濃度(96%硫酸溶液100ml中に1
    g添加溶解後、ポアサイズ10〜16μmのフィルター
    による捕集物濃度)が0.00重量%以下
  13. 【請求項13】 ジアミン成分の70モル%以上がメタ
    キシリレンジアミンである請求項12に記載のポリアミ
    ド樹脂。
  14. 【請求項14】 ジアミン成分の70モル%以上が1,
    3−ビスアミノシクロヘキサンである請求項12に記載
    のポリアミド樹脂。
  15. 【請求項15】 ジカルボン酸成分の70モル%以上が
    アジピン酸であることを特徴とする請求項12〜14の
    いずれかに記載のポリアミド樹脂。
  16. 【請求項16】 ポリアミド樹脂がポリメタキシリレン
    アジパミドである請求項12〜15のいずれかに記載の
    ポリアミド樹脂。
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