JP5481776B2 - ポリアミドの製造方法 - Google Patents

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本発明は、ジカルボン酸成分とジアミン成分からポリアミドを製造する際の原料供給に関するものであり、特に連続的に製造する際に有効な原料供給方法に関する。さらに詳しくは、ジカルボン酸成分をスラリー状態に、ジアミン成分を溶融状態にして反応器に連続供給することにより、効率的かつ経済的に優れたポリアミドを連続的に製造する方法に関するものである。
従来からナイロン6,ナイロン66,ナイロン610などに代表される脂肪族ポリアミドは、その優れた特性を活かして衣料用,産業用繊維をはじめ、自動車分野,電気・電子分野、さらにはフィルムやモノフィラメントといった押出成形品などに広く使われている。また、高温環境下で用いられることが多いエンジニアリングプラスチックとして、ナイロン66のような脂肪族ポリアミドに比べて、高耐熱性,低吸水性に優れている、ジカルボン酸成分が主として芳香族ジカルボン酸からなる芳香族ポリアミドが使われている。
一般的にポリアミドを製造する際、原料を固体または取り扱いがしやすいように水溶液の状態で反応器に供給する。例えば特許文献1には、ジカルボン酸とジアミンを等モルになるよう混合後、水の存在下で均一溶融重合させ低次重合物を得た後、溶融混練重合してポリアミド共重合体を製造する方法が提案されている。しかし、バッチ式(回分式)の重合釜を用いた低次重合物の重合では、原料を塩または/およびモノマーの水溶液として重合釜にまとめて仕込んだ後、昇温して重合を開始するため、重合中の固化防止のために高い重合圧力を保持できる重合釜が必要となるだけでなく、重合段階で原料中の水を除去するための余分なエネルギーが必要となり、好ましくない。
一方、原料として水溶液を使用しない連続的な製造方法として、例えば特許文献2には、本質的に乾燥しているジカルボン酸およびジアミンを融解して等モル量混合し、融解した反応混合物を生成させ、通気しない反応容器でポリアミドおよび重合水を含む第1生成物流を形成し、通気された容器を通って重合水が除去され、ポリアミドを含む第2生成物流を生成させる。ここで、第2生成物流の一部は通気された容器へ再循環される。第2生成物流は最終製品のポリマー分子量とするために、第2反応器に供給してさらに重合するというポリアミドの製造方法が提案されている。しかし、原料としてテレフタル酸のように融解しないジカルボン酸を使用する際にはこの方法を適用することができない。
融解しない原料をスラリーの状態で取り扱う方法として、例えば特許文献3および特許文献4には、溶融状態のジカルボン酸に芳香族ジカルボン酸を分散させてスラリーを得た後、回分式反応装置を用いてスラリーにジアミンを添加しながら昇温して重合する、共重合ポリアミドの製造方法が提案されている。しかし、ジカルボン酸スラリー中にジアミンを添加しながら回分式で重合する製造方法であり、ジカルボン酸スラリーを連続式反応器に連続供給しながら連続重合する本発明とは異なる。
スラリーを連続式反応器に供給する製造方法として、例えば特許文献5には、回分式調製槽でジアミンとジカルボン酸から成るスラリー溶液を調製し、連続反応器に供給するポリアミドの製造方法が提案されている。しかし、温度が80℃を超えるとナイロン塩生成反応に伴う中和熱により系内温度が急激に上昇してアミド化反応が進行し、撹拌も困難で系内は塊状となる。また、80℃以下でも系内の水分が0.7質量%を超えると系内温度が急激に上昇して反応が進行し、撹拌も困難で系内は塊状となり大きなトラブルに繋がることから実質的な運転が難しく好ましくない。
特開平7−138366号公報 特表2002−516366号公報 特開2004−204025号公報 特開2004−204026号公報 特開2001−200053号公報
そこで本発明は、ポリアミドの製造方法における上記した従来技術の問題点を解決すべく、テレフタル酸のように溶融しない芳香族ジカルボン酸を含む原料を連続的に安定供給し、エネルギー使用量が少なく、均質なポリアミドを長期間連続して、効率的かつ安定的に製造する方法を提供することにある。
上記課題を解決するために鋭意検討した結果、本発明は以下のとおりである。
1.実質的に水分を含まないジカルボン酸成分とジアミン成分を反応させて得られるポリアミドを製造する際に、融点以上の温度で溶融した脂肪族ジカルボン酸70〜35重量部に芳香族ジカルボン酸30〜65重量部が分散したジカルボン酸スラリーの状態で、反応器に連続供給し、ジカルボン酸スラリー移送中の配管内流速を0.2m/秒以上とすることを特徴とするポリアミドの製造方法。
2.融点以上の温度で溶融したジアミン成分を反応器に連続供給することを特徴とする1項記載のポリアミドの製造方法。
3.反応器が連続式またはバッチ式であることを特徴とする1〜2項のいずれか記載のポリアミドの製造方法。
4.脂肪族ジカルボン酸がアジピン酸または/およびセバシン酸であることを特徴とする1〜3項のいずれか記載のポリアミドの製造方法。
5.芳香族ジカルボン酸がテレフタル酸または/およびイソフタル酸であることを特徴とする1〜4項のいずれか記載のポリアミドの製造方法。
6.ジアミン成分がヘキサメチレンジアミンまたは/およびペンタメチレンジアミンであることを特徴とする1〜5項のいずれか記載のポリアミドの製造方法。
本発明の方法によって、テレフタル酸のように溶融しない芳香族ジカルボン酸を含む原料であっても、原料を連続的に安定供給し、エネルギー使用量が少なく、均質なポリアミドを長期間連続して、効率的かつ安定的に製造することが可能となる。
以下に、本発明のポリアミドの製造方法を詳細に説明する。
本発明によれば、実質的に水分を含まないジカルボン酸成分とジアミン成分を反応させて得られるポリアミドを製造する際に、融点以上の温度で溶融した脂肪族ジカルボン酸に芳香族ジカルボン酸が分散したジカルボン酸スラリーの状態で、反応器に連続供給することが重要である。ここで、原料に使用する脂肪族ジカルボン酸および芳香族ジカルボン酸は、実質的に水分を含まない粉粒体のものを用い、脂肪族ジカルボン酸を融点以上の温度で溶融し、芳香族ジカルボン酸を分散させたジカルボン酸スラリーの状態にする。
本発明において、ジアミン成分は脂肪族ジカルボン酸同様に融点以上の温度で溶融したものを反応器に供給することが好ましい。また、原料に使用するジアミン成分の水分は、重合段階で水を除去するための余分なエネルギーが低減可能なことから、低水分ほど好ましい。
本発明において、原料に使用されるジカルボン酸成分およびジアミン成分は、ポリアミドを構成する脂肪族アミド単位、芳香族アミド単位を形成するものであればよく、具体的には、次のようなものが挙げられる。脂肪族ジカルボン酸としては、アジピン酸、セバシン酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、オクタデカン二酸などの炭素数2〜18の脂肪族ジカルボン酸があり、中でも融点が130〜150℃付近にあり溶融させやすい、アジピン酸やセバシン酸が好ましく用いられる。芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸などがあり、中でもテレフタル酸やイソフタル酸が好ましく用いられる。また、脂肪族ジアミン成分としては、ヘキサメチレンジアミン(1,6−ジアミノヘキサン)、ペンタメチレンジアミン(1,5−ジアミノペンタン)、1,4−ジアミノブタン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、1,11−ジアミノウンデカン、1,12−ジアミノドデカン、1,13−ジアミノトリデカン、1,14−ジアミノテトラデカンなどの炭素数4〜14の脂肪族ジアミンがあり、中でも融点が10〜50℃付近にあり溶融させやすい、ヘキサメチレンジアミンやペンタメチレンジアミンが好ましく用いられる。ジカルボン酸成分とジアミン成分は等モルになるよう用いられ、特に好ましい組合せとして、テレフタル酸およびアジピン酸とヘキサメチレンジアミンが挙げられる。
本発明において、固体の原料を溶融する際には、融点以上の高温に加熱するため、酸素による着色および劣化を防止する目的で、加熱前に原料または原料タンクなどから酸素を除去することが好ましい。酸素を除去する方法については、特に制限はなく、バッチ式で真空にして窒素などの不活性ガスで置換する方法や窒素などの不活性ガスをブローする方法など、公知の方法で酸素を除去すればよい。また、原料の溶融方法についても、特に制限がなく、溶解缶や押出機などを使用して溶融すればよいが、酸による腐食を考慮した材質の選定が必要である。溶融温度は熱劣化を防止する観点から、原料の融点+40℃以内の温度で溶融するのが好ましい。ジカルボン酸スラリーは、溶融させた脂肪族ジカルボン酸に芳香族ジカルボン酸を添加しても、脂肪族ジカルボン酸と芳香族ジカルボン酸が混合したものを脂肪族ジカルボン酸の融点+40℃以内の温度で加熱してもよく、スラリーは撹拌機などを使用して、均一な濃度にすることが好ましい。なお、脂肪族ジカルボン酸と芳香族ジカルボン酸の混合比は、スラリーの反応器への供給のしやすさから、脂肪族ジカルボン酸70〜35重量部、芳香族ジカルボン酸30〜65重量部の範囲が好ましい。
本発明において、ジカルボン酸スラリーおよび溶融したジアミン成分は、定量供給可能なポンプを用いてそれぞれ反応器に連続供給され、反応器内上部でジカルボン酸成分とジアミン成分とが混合され、重合される。ジカルボン酸スラリーを定量供給可能なポンプを用いて反応器に連続供給する際の、配管内流速は通常0.07m/秒以上となるように配管径を設定することが好ましい。さらにスラリーの沈降防止の点から、配管内流速は0.2m/秒以上にすることがより好ましい。
本発明において、重合方法は連続式重合法だけでなく、バッチ式重合法でも適用可能であるが、特に連続式重合法で製造する際に本発明の方法は有効な原料供給方法であり、好ましく用いられる。また、重合反応器についても特に制限がなく、プラグフロー型や完全混合型の重合反応器など公知のものを使用できるが、本発明においては、特に連続で製造する際に有効な原料供給方法であることから、連続重合に適したプラグフロー型の重合反応器が好ましく用いられる。また、連続重合反応器の構造についても特に制限はないが、不必要な対流が起きないよう、縦型円筒状で内部を多孔板などで仕切られた反応器が好ましく用いられる。さらに、重合反応器内上部には、供給されたジカルボン酸成分とジアミン成分が混合しやすいように、静的ライン混合器や撹拌機など公知のものを使用することができる。その他、重合反応器には圧力調整時に水とともにジアミン成分が流出して組成比がずれないよう、重合反応器上部に精留塔などを設置し、ジアミン成分の流出を防止することができる。
本発明のポリアミドの重合方法は、熱分解を防止するため、まずポリアミドプレポリマーを重合し、次いで二軸押出機など公知の溶融機でポリアミドプレポリマーを高重合度化してポリアミドを製造する2段方式での連続重合法が好ましく用いられる。ここで、ポリアミドプレポリマーとは、ジカルボン酸成分とジアミン成分との加熱処理により得られる組成物であり、オリゴマー、未反応モノマー、重縮合によって生成する水を含む混合物を言う。連続重合法によりポリアミドプレポリマーを製造するときの反応温度は、通常230〜300℃であり、好ましくは240〜295℃、より好ましくは250〜290℃である。反応時間が長くなることから、反応温度は230℃以上が好ましい。また、熱分解やゲル化物の生成を防止するため、反応温度は300℃以下が好ましい。連続重合法によりポリアミドプレポリマーを製造するときの圧力は、通常0〜4MPa、好ましくは0〜3MPa、より好ましくは0〜2MPaに保つように操作される。原料の供給精度の点から、圧力は低い方が好ましい。連続重合法によりポリアミドプレポリマーを製造するときの反応時間は、通常10〜40分であり、好ましくは15〜35分、より好ましくは20〜30分である。得られるポリアミドプレポリマーの粘度が低いと、次工程で重縮合する際に組成比がずれたり、粘度が上がりにくいことから、反応時間は10分以上が好ましい。また、熱分解やゲル化物の生成、異常滞留を防止するために、反応時間は40分以下が好ましい。
このようにして得られるポリアミドプレポリマーの相対粘度(ηr)は通常1.2〜2.5であり、好ましくは1.2〜2.2、より好ましくは1.2〜2.0の範囲である。次工程において高重合度化する際に、組成比のずれを防止したり、高重合度化しやすいように、相対粘度は1.2以上が好ましい。また、溶融粘度が高く、異常滞留による重合反応器内でのゲル化物の生成を防止するため、相対粘度は2.5以下が好ましい。ここで、相対粘度(ηr)は、JIS K6810に従って、試料を98%硫酸に0.01g/ml濃度で溶解し、25℃でオストワルド式粘度計を用いて測定した値である。
本発明のポリアミドの製造においては、重合度調節を容易にするため、重合度調節剤の添加が有効であり、原料であるジカルボン酸成分またはジアミン成分と一緒に重合反応器に供給することができる。重合度調節剤としては、有機酸および/または有機塩基を使用する。有機酸としては、好ましくは安息香酸、酢酸、ステアリン酸であり、より好ましくは安息香酸が用いられる。また、有機塩基は原料であるジアミン成分同様の炭素数4〜14の脂肪族ジアミンが用いられ、ヘキサメチレンジアミンが好ましく用いられる。重合度調節剤の添加量は、原料であるジカルボン酸成分およびジアミン成分のトータルモル数に対して0〜0.1倍モル、好ましくは0.0001〜0.05倍モル用いられる。
本発明のポリアミドプレポリマーの製造においては、リン酸触媒も用いることができる。リン系触媒は、重合反応の触媒機能を有するものであり、具体的には、リン酸、リン酸塩、次亜リン酸塩、酸性リン酸エステル、リン酸エステル、亜リン酸エステルである。次亜リン酸塩を例示すると、次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸マグネシウム、次亜リン酸カリウム、次亜リン酸カルシウム、次亜リン酸バナジウム、次亜リン酸マンガン、次亜リン酸ニッケル、次亜リン酸コバルトなどが挙げられる。酸性リン酸エステルを例示すると、モノメチルリン酸エステル、ジメチルリン酸エステル、モノエチルリン酸エステル、ジエチルリン酸エステル、プロピルリン酸エステル、イソプロピルリン酸エステル、ジプロピルリン酸エステル、ジイソプロピルリン酸エステル、ブチルリン酸エステル、イソブチルリン酸エステル、ジブチルリン酸エステル、ジイソブチルリン酸エステル、モノフェニルリン酸エステル、ジフェニルリン酸エステルなどが挙げられる。リン酸エステルを例示すると、トリメチルリン酸、トリエチルリン酸、トリ−n−プロピルリン酸、トリ−i−プロピルリン酸、トリ−n−ブチルリン酸、トリ−i−ブチルリン酸、トリフェニルリン酸、トリ−n−ヘキシルリン酸、トリ−n−オクチルリン酸、トリ(2−エチルヘキシル)リン酸、トリデシルリン酸などが挙げられる。これらの中で好ましいのは次亜リン酸塩であり、特に好ましいのは次亜リン酸ナトリウムである。リン系触媒を添加する場合、その添加量としては、ポリアミドプレポリマー100重量部に対して0.001〜5重量部が用いられ、0.01〜1重量部が好ましい。また、添加方法は原料であるジカルボン酸成分またはジアミン成分と一緒に重合反応器に供給すればよく、次工程の二軸押出機に追添加することもできる。
本発明において、重合反応器から連続して安定的かつ定量的にポリアミドプレポリマーを吐出するには、ギヤポンプ、ボールバルブなどの公知の排出装置を使用し、次工程の溶融機に供給するのが好ましい。
本発明において、溶融機については特に制限はないが、異常滞留部がなくセルフクリーニング性が良好なことから、二軸押出機が好ましく用いられる。二軸押出機に供給されたポリアミドプレポリマーは、最終的に得られるポリアミドの融点+5〜+40℃、好ましくは融点+10〜+40℃の範囲で溶融混練され、重縮合によりポリアミドを得る。重合反応速度が遅く、粘度が上がりにくいことから、温度は融点+5℃以上が好ましい。また、熱分解やゲル化物の生成を防止するため、温度は融点+40℃以下が好ましい。ここで、二軸押出機にはポリアミドプレポリマーと水分が同時に連続供給されるため、水分は二軸押出機の供給口付近に設置されたリヤベントまたは第1ベントから連続的に除去することにより、より安定した重縮合による高重合度化したポリアミドの製造が可能となり、好ましく用いられる。また、上記以外にも少なくとも1つ以上のベント口を設置し、ポリアミドプレポリマーの重縮合により発生する水と、ごく少量の未反応モノマーなどを系外に排出することにより、重縮合反応を進め高重合度化されたポリアミドを製造する。なお、ベントでの排気は、通常ナッシュポンプなど公知の減圧・真空装置を用いて、減圧下で行なわれることが好ましいが、特に圧力に制限はなく、常圧下でも行なうことができる。また、二軸押出機内での滞留時間は特に定めないが、ポリアミドとして充分な粘度まで上がり、かつ長時間滞留による熱劣化や熱分解が生じないよう設定され、1〜10分、好ましくは1〜5分である。
本発明の製造方法によって得られるポリアミドには、必要に応じて触媒、耐熱安定剤、耐候性安定剤、酸化防止剤、可塑剤、離型剤、滑剤、結晶核剤、顔料、染料、他の重合体などを重合時またはコンパウンド時に添加することもできる。添加剤をコンパウンドする場合は、生産性の点から、二軸押出機での高重合度化と同時あるいは連続で行なうのがより好ましい。ポリアミドの色調改善には、酸化防止剤の添加が有効であり、特に次亜リン酸ナトリウムおよびヒンダードフェノール系酸化防止剤の添加が好ましい。
本発明の製造方法によって得られたポリアミドは、従来のポリアミドと同様に、通常の成形方法によって成形品とすることができる。成形方法に関しては特に制限はなく、射出成形、押出成形、吹き込み成形、プレス成形など公知の成形方法が利用できる。ここでいう成形品とは射出成形などによる成形品の他、繊維、フィルム、シート、チューブ、モノフィラメント等の賦形物も含む。
以下に実施例をあげて本発明を具体的に説明する。なお、明細書本文および実施例に記した特性値の定義および測定方法は以下のとおりである。
(1)相対粘度(ηr):JIS K6810に従って、試料を98%硫酸に、0.01g/ml濃度で溶解し、25℃でオストワルド式粘度計を用いて測定した。
(2)融点(Tm):DSC(PERKIN−ELMER製)を用い、試料8〜10mgを昇温速度20℃/分で測定して、得られた融解曲線の最大値を示す温度を融点とした。
実施例1
実質的に水分を含まないアジピン酸5.82kgと、実質的に水分を含まないテレフタル酸7.42kgを容量30Lの溶解缶に投入し、窒素置換を行なった後、170℃の温度でアジピン酸を溶解した。アジピン酸溶融後に溶解缶に設置された撹拌機で内部の撹拌を開始し、均一なジカルボン酸スラリーを作製した。また、容器入りの実質的に水分を含まないヘキサメチレンジアミン9.80kgを室温60℃に設定された温調室で溶融状態にしたものを原料タンクに投入し、窒素置換を行なった後、タンクを60℃で保温した。なお、重合触媒として、次亜リン酸ナトリウムを重合後に得られるポリアミドプレポリマー100重量部に対して0.05重量%になるようにジカルボン酸スラリー中に混合して添加した。準備した原料はそれぞれプランジャーポンプを用いて、ジカルボン酸スラリーを3.31kg/hr、ヘキサメチレンジアミン溶液を2.45kg/hrの供給速度で、2Lの縦型円筒状の重合反応器に連続供給した。ここで、原料供給配管は内径1.78mmのサイズのものを使用した。重合反応器で、缶内温度283℃、圧力3.5MPa、滞留時間20分の条件下でポリアミドプレポリマーを連続重合し、得られたポリアミドプレポリマーの相対粘度は1.29であった。この連続重合したポリアミドプレポリマーを、重合反応器からφ30mm二軸押出機(L/D=42)に供給し、リヤベントからフラッシュした水分を除去するとともに、シリンダー温度315℃、スクリュー回転数200rpm、滞留時間100秒、第10ゾーンのベント減圧度−500mmHgの条件で高重合度化を行った。得られたポリアミドの相対粘度は2.22、融点305℃であり、問題なく製造することができた。
実施例2
実施例1同様に、ジカルボン酸スラリーおよびヘキサメチレンジアミン溶液を作製し、同様の供給速度で窒素置換を実施した100Lの完全混合型の重合反応器に全量連続供給した。なお、凝固点降下により重合中の固化防止を図るため、ヘキサメチレンジアミンの原料供給装置を使用して、水を原料モノマー100重量部に対し20重量部になるように追加供給した。重合反応器内を再度窒素置換し、ジャケット温度320℃で加熱を開始し、缶内温度が200℃になった時点で撹拌機を起動し30rpm運転した。圧力は3.5MPaで保持しながら重合を進め、缶内温度が280℃に到達した時点で、吐出した。得られたポリアミドプレポリマーの相対粘度は1.27であった。このポリアミドプレポリマーを実施例1同様に高重合度化を行った。得られたポリアミドの相対粘度は2.18、融点305℃であり、問題なく製造することができた。
比較例1
実施例同様に実質的に水分を含まないアジピン酸5.82kgと、実質的に水分を含まないテレフタル酸7.42kgを準備し、粉末の状態でミキサーを使用して混合し、原料を準備した。ヘキサメチレンジアミンは実施例同様に準備した。ジカルボン酸の粉末原料はボールフィーダーを使用して2Lの縦型円筒状の重合反応器に連続供給を試みたが、運転開始後すぐに詰まりが発生し、解体点検したところ重合反応器上部から供給ラインにかけて塊が生成しており、所望のポリアミドプレポリマーを得ることができなかった。
本発明の方法によって、テレフタル酸のように溶融しない芳香族ジカルボン酸を含む原料とする場合であっても、原料を連続的に安定供給し、エネルギー使用量が少なく、均質なポリアミドを長期間連続して、効率的かつ安定的に製造することができる。

Claims (6)

  1. 実質的に水分を含まないジカルボン酸成分とジアミン成分を反応させて得られるポリアミドを製造する際に、融点以上の温度で溶融した脂肪族ジカルボン酸70〜35重量部に芳香族ジカルボン酸30〜65重量部が分散したジカルボン酸スラリーの状態で、反応器に連続供給し、ジカルボン酸スラリー移送中の配管内流速を0.2m/秒以上とすることを特徴とするポリアミドの製造方法。
  2. 融点以上の温度で溶融したジアミン成分を反応器に連続供給することを特徴とする請求項1記載のポリアミドの製造方法。
  3. 反応器が連続式またはバッチ式であることを特徴とする請求項1〜2のいずれか記載のポリアミドの製造方法。
  4. 脂肪族ジカルボン酸がアジピン酸または/およびセバシン酸であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載のポリアミドの製造方法。
  5. 芳香族ジカルボン酸がテレフタル酸または/およびイソフタル酸であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載のポリアミドの製造方法。
  6. ジアミン成分がヘキサメチレンジアミンまたは/およびペンタメチレンジアミンであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか記載のポリアミドの製造方法。
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