JP2002220464A - ポリアミド樹脂の連続重合方法 - Google Patents

ポリアミド樹脂の連続重合方法

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JP2002220464A
JP2002220464A JP2001016320A JP2001016320A JP2002220464A JP 2002220464 A JP2002220464 A JP 2002220464A JP 2001016320 A JP2001016320 A JP 2001016320A JP 2001016320 A JP2001016320 A JP 2001016320A JP 2002220464 A JP2002220464 A JP 2002220464A
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diamine
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Kazumi Tanaka
一實 田中
Atsushi Naka
敦士 中
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Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】連続式重合装置においてポリアミド樹脂の重縮
合を効果的に進行させることを可能とするポリアミド樹
脂の連続重合方法を提供する。 【解決手段】ポリアミド樹脂の連続重合方法は、横型円
筒状の反応器21と、加熱用ジャケット22と、入口部
23と、出口部24と、排気部25と、回転軸26と、
回転軸に取り付けられた撹拌翼27を備えた連続式重合
装置20を用い、入口部23から溶融状態にあるポリア
ミド樹脂を反応器21内に供給し、反応器21内で連続
的にポリアミド樹脂の重縮合反応を進行させて、出口部
24から排出する方法であって、撹拌翼27の端部が達
する最高位置よりも反応器21内の溶融ポリアミド樹脂
の液面(図1の点線参照)を下に位置させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリアミド樹脂の
連続重合方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリアミド樹脂の重合装置を設計すると
き、熱供給、表面更新性、均一な撹拌混合等に注意を払
わなければならない。そのため、重合装置において、回
分式と連続式とで同じ生産量を確保するとき、回分式の
方がその装置規模の限界は小さいと云える。更に、回分
式重合装置においては、所定分子量に到達した溶融ポリ
アミド樹脂の熱劣化を抑制し、分子量の変動を少なくす
るために、1時間以内に回分式重合装置から排出するこ
とが望ましい。それ故、ポリアミド造粒機には、1バッ
チ分を1時間以内に処理可能な能力が求められる。近年
の造粒機の処理能力は日進月歩であり、相当の大型機が
供給されるようになってきたが、それでも10トン/時
が限界と見られる。従って、造粒機の能力からすれば、
回分式の最大生産量として10トン/バッチが限界であ
る。そして、それ以上の1バッチ当たりの生産量にあっ
ては、複数の造粒機を設置する必要があり、極めて効率
が悪くなる。
【0003】回分式と連続式を比較するとき、各々一長
一短があり一概にどちらが優れているとは決めがたい
が、一般には、少品種大量生産には連続式が向いてお
り、多品種少量生産には回分式が向くと云われている。
回分式より連続式が経済的に有利となる分岐点は年産量
が1万トンとも2万トンとも言われており、特定の品種
がある生産量を越えたとき、やはり連続式を選択するこ
とが望ましい。
【0004】ポリアミド樹脂を製造する際の原料とし
て、ナイロン塩水溶液を用いることが一般的である。そ
して、この原料を用いたときのポリアミド樹脂の製造プ
ロセスは、回分式とすることもできるし、連続式とする
こともできる。例えば回分式の場合、1つの回分式重合
槽中で、ナイロン塩水溶液を、加圧下、加熱し、ジアミ
ン成分の留出を抑えながら均一相で重合を進める。そし
て、ジアミン成分を固定化した後、系内の水蒸気を徐々
に放圧し、最終的に常圧若しくは減圧として、重合を完
結させる。連続式の場合、ナイロン塩水溶液を連続的に
供給し、上記の処理工程をそれぞれ担う2基以上の連続
式重合装置を順次使用し、重縮合が完結したポリアミド
樹脂が連続的に排出される。
【0005】ナイロン塩を原料としポリアミド樹脂を製
造することも可能であるが(例えば、特公昭33−15
700号公報、特公昭43−22874号公報参照)、
ナイロン塩の単離、精製工程が必要とされ、効率の良い
方法とは云い難く、商業的な製造方法には不向きであ
る。
【0006】ナイロン塩及びナイロン塩の水溶液を原料
としないポリアミド樹脂の製造方法として、少量の水を
含んだジアミンを、常圧下、220゜C以下の温度で滴
下して反応を行う方法(例えば、特開昭48−1239
0号公報参照)、溶融状態にあるジカルボン酸にジアミ
ンを常圧下、滴下して直接反応させる方法(例えば、特
開昭57−200420号公報、特開昭58−1118
29号公報参照)がある。これらの方法は、溶媒として
加えられる水が無いため、装置効率が高く、エネルギー
的にも有利であり、更には、熱履歴も少なく、有利な方
法である。一般には回分式での実施が容易であるが、前
述したとおり、生産効率が低いという問題点がある。
【0007】溶融状態にあるジカルボン酸にジアミンを
滴下して直接反応させる方法において、重縮合の中盤ま
で回分式重合装置で行った後、後半を連続式重合装置で
実施することも可能である。
【0008】供給原料、及び、回分式か連続式かによ
り、重合装置、重合装置の構成、重縮合工程及び重縮合
条件は多岐に亙るが、基本的には次の3つの工程から成
る。即ち、(1)ジアミンの固定化に注力する初期重縮
合工程、(2)重縮合を進めると共に縮合水の大半を反
応系から除去する中期重縮合工程、(3)積極的に縮合
水を搾り取り、重合度を増加させる後期重縮合工程であ
る。後期重縮合物は、更に、冷却、造粒され、ポリアミ
ド樹脂ペレットとして商業的に使用される。
【0009】中期重縮合工程及び後期重縮合工程、ある
いは、後期重縮合工程は、使用する供給原料に依らず、
ほぼ同一構造の重合装置にて実施できる可能性があり、
連続式重合装置の利用が可能な工程である。中・後期重
縮合工程、特に後期重縮合工程で用いられる連続式重合
装置は、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、あるいは
ポリカーボネート樹脂用として、特にポリエチレンテレ
フタレート(PET)樹脂を主な対象物として開発され
ており、PET樹脂での実績がある横型の連続式重合装
置が利用できる(特開昭48−84781号公報、特公
昭50−21514号公報、特開平10−95843号
公報、特開平11−130869号公報参照)。一般
に、横型の連続式重合装置は、横型筒状の反応器、反応
器の外周部に配設された加熱用ジャケット、溶融樹脂の
入口部と出口部、反応器の上部に排気部及び複数の撹拌
翼が取り付けられた回転軸を長手方向に有する。
【0010】ところで、ポリアミド樹脂の重縮合反応
は、基本的に下記のアミド化平衡反応に基づく。
【0011】 [化1] −NH2 + −COOH ⇔ −CONH− + H2O (1)
【0012】温度の上昇と共に平衡は左に寄るが、反応
速度が増加するため、重縮合を進めるには加熱を行う。
また、水を反応系内から除くことで平衡を右にずらし、
重合を効果的に進行させることができる。ポリアミド樹
脂の重合平衡は、ポリエステル樹脂に比べ、かなり水分
が多い方向であり、更には、ポリエステル樹脂よりもポ
リマー中に溶存できる水分量も多いので、後期重縮合工
程における除去水分の負荷の減少、及び、如何にして水
分を速やかに除去するかが重要な課題となる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、PET
樹脂の製造を目的として開発された横型の連続式重合装
置及びその操作方法では多量の水分の除去を想定してお
らず、溶存する水分及び重縮合で生成する縮合水が多く
発生するポリアミド樹脂の処理するための最適な横型の
連続式重合装置及びその操作方法の開発が望まれてい
る。
【0014】また、ポリアミド樹脂の製造の際、上述し
た多量に溶存する水分及び重縮合で生成する縮合水のた
め、後期重縮合工程でPET樹脂用に開発された横型の
連続式重合装置を用いた場合、溶融ポリアミド樹脂の内
部から発生するポリアミド樹脂中に溶存する水分及び重
合で生成する縮合水が気化し、撹拌翼の表面に形成され
た薄膜を破壊する。このため、揮発表面が小さくなり、
水の除去速度を著しく低減させるため、反応速度が低下
し、均一な重合度が得られず、得られるポリアミド樹脂
の重合度がばらつくという問題がある。更には、多量の
水分の蒸発潜熱により、溶融ポリアミド樹脂の液面の固
化あるいは温度低下による流動性の低下を招き、均一な
撹拌混合が阻害されるという問題点がある。
【0015】これらの問題点を解決するため、脱水を行
い、縮合水の発生を抑えるように反応率を高めたポリア
ミド樹脂を、中・後期重縮合槽である横型の連続式重合
装置の供給原料とする解決方法も考えられるが、横型の
連続式重合装置の前段で相当な負荷を強いることにな
り、現実的な対応とは言い難い。
【0016】横型筒状の反応器の上部に撹拌翼が到達し
ない空間を設けることで、揮発物の除去速度の低下を防
止する方法もある(特公昭48−33996号公報、特
開2000−212265号公報参照)。しかしなが
ら、これらの方法では、撹拌翼が到達しない上部空間部
に付着した樹脂の更新が図られず、樹脂の熱劣化が生じ
易い。ポリエステル樹脂と比較して、溶存水分が多く、
発泡し易く、更には、熱安定性が低いポリアミド樹脂に
対しては、これらの方法は好ましい方法とは云い難い。
【0017】従って、本発明の目的は、横型の連続式重
合装置を用いて、ポリアミド樹脂の後期重縮合工程を行
うに際し、横型の連続式重合装置における上述の問題を
解決し、確実で簡便なポリアミドの連続製造方法を提供
することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め本発明のポリアミド樹脂の連続重合方法は、キシリレ
ンジアミンとビスアミノメチルシクロヘキサンの合計が
70モル%以上であるジアミン、及び、ジカルボン酸か
ら得られるポリアミド樹脂であり、相対粘度が1.4以
上2.8以下の溶融状態にあるポリアミド樹脂を入口部
から反応器内に供給し、反応器内で連続的にポリアミド
樹脂の重縮合反応を進行させて、出口部から排出するポ
リアミド樹脂の連続重合方法であって、(A)横型筒状
の反応器と、(B)反応器の外周部に配設された加熱用
ジャケットと、(C)反応器の一端の下部又は側部に設
けられた入口部と、(D)反応器の他端の下部又は側部
に設けられた出口部と、(E)反応器の上部に設けられ
た排気部と、(F)反応器の一端及び他端の側部に取り
付けられ、反応器の軸線に沿って配設された回転軸と、
(G)回転軸に取り付けられ、反応器の内部に配設され
た複数の撹拌翼、を備えた横型の連続式重合装置を用
い、撹拌翼の端部が達する最高位置よりも、反応器内の
溶融ポリアミド樹脂の液面を下に位置させることを特徴
とする。
【0019】尚、本発明のポリアミド樹脂の連続重合方
法にあっては、反応器に供給する溶融状態にあるポリア
ミド樹脂の相対粘度は、1.4以上2.8以下、好まし
くは、1.5以上2.7以下であることが望ましい。相
対粘度の測定は、水分の影響を受けるため、アミド化反
応が認められない温度(約140゜C以下)でポリアミ
ド樹脂を乾燥処理した後、測定することが望ましい。相
対粘度が1.4未満のポリアミド樹脂を供給する場合、
重縮合によって発生する縮合水が多くなる結果、反応器
中のポリアミド樹脂の液面の乱れが激しくなり、均一な
重合速度が保てず、得られるポリアミド樹脂の重合度の
ばらつきが大きくなる。また、反応器中で水の蒸発潜熱
に伴うポリアミド樹脂の固化あるいは発泡等が懸念され
る。更に、実用的な重合度まで重縮合しようとすると、
反応器での滞留時間が長くなり、高価な反応器の大型化
が必要となり、経済性に劣る。相対粘度が2.8を越え
るポリアミド樹脂を供給する場合、反応器に供給する前
に相当に重縮合を進める必要があり、現実的でない。
尚、相対粘度は、ポリアミド樹脂1gを96%硫酸10
0ccに溶解し、キャノンフェンスケ粘度計を用い、2
5゜Cにおける落下時間を測定し、以下の式に基づき得
ることができる。
【0020】相対粘度=(検液の落下秒数)/(96%
硫酸の落下秒数)
【0021】本発明のポリアミド樹脂の連続重合方法に
あっては、反応器に供給する溶融状態にあるポリアミド
樹脂に溶存している水分は、0.02重量%以上、1.
0重量%以下が好ましく、0.06重量%以上、0.5
重量%以下がより好ましい。溶存水分が0.02重量%
未満のポリアミド樹脂を供給した場合、反応器に供給す
る前に予め脱水工程が必要となり現実的でない。一方、
溶存水分が1.0重量%を越えると、反応器中のポリア
ミド樹脂の液面の乱れが激しくなり、均一な重合速度が
保てず、得られるポリアミド樹脂の重合度のばらつきが
大きくなる。また、反応器中で水の蒸発潜熱に伴うポリ
アミド樹脂の固化あるいは発泡等が懸念される。ポリア
ミド樹脂に溶存している水分は、カールフィッシャー測
定法を用い、溶融ポリアミド樹脂をアミド化反応が起こ
らない温度に加熱し、乾燥窒素中で発生する気化水分量
を測定することで測定することができる。
【0022】横型の連続式重合装置として、溶融ポリア
ミド樹脂の薄膜を形成し、高度な表面更新性を与えると
共に、高度な脱気能力を備えている横型の連続式重合装
置の使用が好ましく、テーパーロール式薄膜蒸発機(特
公昭49−33358号公報参照)、横型の一軸撹拌混
合機(特公昭45−16473号号公報、特開平10−
259242号公報、特開平11−130869号公
報、特開平11−130870号公報参照)、横型の二
軸撹拌混合機(特開昭48−84781号公報、特公昭
50−15275号公報、特公昭50−21514号公
報、特公昭53−15753号公報参照)等が好適に使
用可能である。反応器内の溶融ポリアミド樹脂の滞留量
及び滞留時間を制御し、より安定な連続運転を達成する
ために、反応器の入口部より上流、及び、出口部より下
流に、ギヤポンプを設置することが好ましい。尚、これ
らのギヤポンプの作動は、反応器の作動と共に同時制御
することが望ましい。
【0023】1つの加熱用ジャケットによって反応器全
体を加熱してもよいし、複数の加熱用ジャケットによっ
て反応器を加熱してもよい。後者の場合、例えば、反応
器上部を加熱する加熱用ジャケットと、反応器下部を加
熱する加熱用ジャケットとから加熱用ジャケットを構成
し、あるいは又、入口部側の反応器の部分を加熱する加
熱用ジャケットと、出口部側の反応器の部分を加熱する
加熱用ジャケットとから加熱用ジャケットを構成し、あ
るいは又、入口部側の反応器上部を加熱する加熱用ジャ
ケットと、入口部側の反応器下部を加熱する加熱用ジャ
ケットと、出口部側の反応器上部を加熱する加熱用ジャ
ケットと、出口部側の反応器下部を加熱する加熱用ジャ
ケットとから加熱用ジャケットを構成することができる
が、これらの構成に限定するものではなく、更に多くの
加熱用ジャケットから構成することもできる。
【0024】横型の連続式重合装置は、反応器の一端の
下部又は側部に設けられた入口部と、反応器の他端の下
部又は側部に設けられた出口部とを有している。本発明
のポリアミド樹脂の連続重合方法においては、出口部を
反応器の他端の側部に設ける場合には、側部の下端に設
けることが好ましい。
【0025】連続式重合装置には、反応器の上部に排気
部が設けられている。この排気部から、ポリアミド樹脂
に溶存している水分、及び、反応により生成した縮合水
を除去する。
【0026】連続式重合装置は、反応器の一端及び他端
の側部に取り付けられ、反応器の軸線に沿って配設され
た回転軸と、回転軸に取り付けられ、反応器の内部に配
設された複数の撹拌翼を備えた横型の装置であり、上述
の横型の一軸撹拌混合機、横型の二軸撹拌混合機等が使
用できる。
【0027】本発明のポリアミド樹脂の連続重合方法に
あっては、撹拌翼の端部が達する最高位置よりも反応器
内の溶融ポリアミド樹脂の液面を下に位置させるので、
反応器内の上部には充分なる空間が形成される。それ
故、先に説明したポリアミド樹脂の重縮合反応において
生成する縮合水及び溶存水分を、かかる空間を通して排
気部から速やかに除去することが可能となり、溶融ポリ
アミド樹脂の重縮合を効果的に進行させることができ
る。
【0028】本発明のポリアミド樹脂の連続重合方法に
あっては、入口部近傍における、反応器の軸線と直交す
る反応器の断面の0.6乃至0.98、好ましくは0.
65乃至0.95を溶融ポリアミド樹脂が占めることが
望ましい。即ち、入口部近傍における、反応器の軸線と
直交する反応器の断面の面積をS0とし、かかる入口部
近傍における溶融ポリアミド樹脂が反応器のかかる断面
を占める面積をSPAとしたとき、0.6S0≦SPA
0.98S0、好ましくは0.65S0≦SPA≦0.95
0を満足することが望ましい。反応器内の溶融ポリア
ミド樹脂の液面を上記の範囲とすることにより、重縮合
反応で生成する縮合水及び溶存水分をかかる空間を通し
て排気部から一層効率良く除去することができる。入口
部近傍における溶融ポリアミド樹脂が反応器のかかる断
面を占める面積は、反応器の側壁に透明な窓を設置し目
視により観察することもできるし、反応器の内容量、ポ
リアミド樹脂の溶融時の比容積、ポリアミド樹脂の滞留
量等から計算で容易に求めることができる。
【0029】本発明のポリアミド樹脂の連続重合方法に
おいては、反応器内で、減圧下、溶融ポリアミド樹脂中
から水分を取り除きながら重縮合反応を進行させ、水分
を排気部から排気する構成とすることができる。ここ
で、減圧下とすることで、溶融ポリアミド樹脂中から水
分が速やかに取り除かれ、重合度の増加が促進される。
尚、反応器内の上部空間における圧力を、9×104
a未満、好ましくは7×104Pa未満、より好ましく
は5×104Pa未満とすることが望ましい。
【0030】場合によっては、反応器の出口部側の反応
器上部に気体導入部を設け、反応器の入口部側の反応器
上部に排気部を設け、乾燥した不活性ガス(例えば、窒
素ガス)を気体導入部から反応器内に導入し、排気部か
ら排出する構成とすることもできる。この場合には、反
応器は減圧状態であっても、常圧(1気圧)状態であっ
ても、加圧状態であってもよいが、減圧状態とすること
がより好ましい。これによっても、溶融ポリアミド樹脂
中から水分を取り除きながら重縮合反応を進行させるこ
とができる。
【0031】また、本発明のポリアミド樹脂の連続重合
方法にあっては、重縮合反応の促進、ポリアミド樹脂の
変質防止といった観点から、反応器内の溶融ポリアミド
樹脂の温度は290゜C、より好ましくは280゜Cを
超えないことが望ましい。
【0032】本発明のポリアミド樹脂の連続重合方法に
あっては、出口部から排出された溶融状態のポリアミド
樹脂から連続的にストランドを形成し、冷却、固化させ
た後、造粒することが、生産効率の向上といった観点か
ら望ましい。
【0033】本発明のポリアミド樹脂の連続重合方法に
おいて、反応器への供給前のポリアミド樹脂は、キシリ
レンジアミンとビスアミノメチルシクロヘキサンの合計
が70モル%以上であるジアミン、及び、ジカルボン酸
から得られたポリアミド樹脂である。
【0034】即ち、ポリアミド樹脂原料モノマーである
ジアミンの70モル%以上がキシリレンジアミンとビス
アミノメチルシクロヘキサンであることが望ましい。キ
シリレンジアミンとして、メタキシリレンジアミン、パ
ラキシリレンジアミン及びオルソキシリレンジアミンを
挙げることができる。また、ビスアミノメチルシクロヘ
キサンとして、1,2−ビスアミノメチルシクロヘキサ
ン、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、1,4
―ビスアミノメチルシクロヘキサンを挙げることができ
る。得られるポリアミド樹脂の実用的な物性から考える
と、ジアミンがキシリレンジアミンの場合、メタキシリ
レンジアミンを50モル%以上、より好ましくは70モ
ル%以上含むジアミンの使用が望ましい。また、ジアミ
ンがビスアミノメチルシクロヘキサンの場合、1,3−
ビスアミノメチルシクロヘキサンを50モル%以上、よ
り好ましくは70モル%以上含むジアミンの使用が望ま
しい。その他のジアミン成分として、テトラメチレンジ
アミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジア
ミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミ
ン、ノナメチレンジアミン、オルソフェニレンジアミ
ン、メタフェニレンジアミン、パラフェニレンジアミン
等が挙げることができる。
【0035】ポリアミド樹脂原料モノマーであるジカル
ボン酸として、琥珀酸、グルタル酸、アジピン酸、スベ
リン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、イソフタル酸、テ
レフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン
酸等を挙げることができる。これらのジカルボン酸は、
単独でも、2種以上混合しても使用可能である。得られ
るポリアミド樹脂の実用的な物性から考えると、特に7
0モル%以上がアジピン酸であるジカルボン酸を用いる
ことが好ましい。
【0036】尚、ジアミン及びジカルボン酸以外のポリ
アミド樹脂原料として、カプロラクタム、バレロラクタ
ム、ラウロラクタム、ウンデカラクタム等のラクタム、
1,1−アミノウンデカン酸、1,2−アミノドデカン
酸等のアミノカルボン酸を例示することができる。
【0037】本発明のポリアミド樹脂の連続重合方法に
あっては、ポリアミド樹脂を構成するジアミン及びジカ
ルボン酸のうち、少ない方のモノマー成分がジアミンで
あることが望ましい。ジアミン成分がジカルボン酸成分
より多い場合、3次元化等の反応が起こり易くなり、ゲ
ル、フィッシュアイ等の成型品の外観を損なう異物の生
成を招く虞がある。
【0038】反応器に供給する前のポリアミド樹脂が、
キシリレンジアミンとビスアミノメチルシクロヘキサン
の合計が70モル%以上であるジアミン、及び、ジカル
ボン酸を、溶媒の非存在下、溶融状態で重縮合して得ら
れたポリアミド樹脂である場合、このポリアミド樹脂
は、以下に説明する回分式方法にて生産することができ
る。
【0039】即ち、ジカルボン酸を溶融させた後、分縮
器を備えた回分式重合槽を用い、溶融状態にあるジカル
ボン酸にジアミンを連続的に又は間欠的に添加し、ジア
ミンとジカルボン酸のモル比を所定値として重縮合反応
を行い、ポリアミド樹脂中の水分が0.02重量%以上
1.0重量%未満であり、相対粘度が1.4以上2.8
以下である溶融状態にあるポリアミド樹脂を得る方法を
採用することが望ましい。
【0040】尚、反応器への供給に供されるまで回分式
重合槽内で溶融ポリアミド樹脂が滞留するので、回分式
重合槽における気相部を水蒸気で所定圧力に保ち、回分
式重合槽内での溶融ポリアミド樹脂の相対粘度変化を±
0.2以内に抑制することが望ましい。尚、このような
構成においては、2つ以上の回分式重合槽を配置し、こ
れらの回分式重合槽にて得られた溶融ポリアミド樹脂を
交互に1つの反応器に供給することが望ましい。
【0041】あるいは又、こうして得られたポリアミド
樹脂を、溶融保持槽に一旦貯蔵し、溶融保持槽の気相部
を水蒸気で所定圧力に保ち、溶融保持槽に滞留している
間の溶融ポリアミド樹脂の相対粘度変化を±0.2以内
に抑制することが好ましい。そして、溶融保持槽内の溶
融ポリアミド樹脂を反応器に供給する。尚、このような
構成においては、回分式重合槽は、1つ又は2つ以上で
あればよい。
【0042】回分式重合槽における気相部を水蒸気で所
定圧力に保ち、あるいは又、溶融保持槽の気相部を水蒸
気で所定圧力に保つことによって、先に説明したアミド
化平衡反応におけるH2Oの生成を抑制することができ
る。即ち、重合反応の進行を抑制することができる。水
蒸気圧が低すぎると重合が進み重合度が増加するが、逆
に蒸気圧が高すぎると解重合が進み重合度が低下する。
重合度が変化しない適切な水蒸気圧は、モルバランス、
重合度、平衡定数、温度等に依存し、一概には言えない
が、数回の実験的な検証を通して容易に決定することが
できる。例えばモルバランス1.000±0.01であ
るポリアミド樹脂を溶融保持槽又は回分式重合槽内で温
度250〜260゜C、気相部の水蒸気圧を2.5×1
5Pa〜3.5×105Paの条件下で保持すると、ポ
リアミド樹脂の重合度を約75から約100程度に維持
することができる。水蒸気で保圧しているときの重合度
変化の指標として、相対粘度の変化を±0.2以内に抑
えることが好ましい。相対粘度変化が0.2を越える
と、最終的に得られるポリアミド樹脂の重合度(相対粘
度)が大きく変動し、好ましくない。
【0043】回分式重合槽内においては、溶融状態にあ
るジカルボン酸に、ジアミンを連続的に若しくは間欠的
に添加し、ポリアミド樹脂の構成成分として消費される
ジアミン成分とジカルボン酸成分のモルバランス(以下
「モルバランス」ということがある)を所定値に調整し
つつ重合を進める。所望のモルバランスを有するポリア
ミド樹脂(ジアミン成分過剰、ジカルボン酸成分過剰、
あるいは、等モル)を得るために、仕込みのモルバラン
スを任意に選択することができる。仕込みのモルバラン
スの調整方法は、例えば溶融状態にあるジカルボン酸を
ジカルボン酸溶融槽ごと、質量計量器で計量し、回分式
重合槽に供給した後、ジアミン滴下槽を質量計量器で計
量しつつ、ジアミンを反応系に供給する方法を例示でき
る。ジアミン及びジカルボン酸の重量を計量する場合、
ロードセル、天秤等の質量計量器が好適に利用可能であ
る。ジカルボン酸の溶融工程は、酸化着色を避ける目的
から窒素等の不活性ガス雰囲気で行うことが望ましい。
ジカルボン酸の溶融は回分式重合槽若しくは専用の溶融
槽で行うことができるが、回分式重合槽の利用効率を高
めるといった観点からは、専用の溶融槽の使用が望まし
い。
【0044】回分式重合槽中で溶融ジカルボン酸にジア
ミン成分を添加する際、実質的にアミド化反応が進行す
る温度である160゜C以上の温度に溶融ジカルボン酸
を昇温させることが望ましく、且つ、中間体として生成
するオリゴマー及び/又は低分子量ポリアミドが溶融状
態となって反応系全体が均一な流動状態を保持し得る温
度に設定することが望ましい。具体的なジアミン成分の
添加操作は、回分式重合槽中で溶融ジカルボン酸を撹拌
しつつ、ジアミン成分を連続的に若しくは間欠的に添加
し、添加の間に反応混合物の温度を逐次昇温させ、所定
の温度に保持することによって行うことができる。昇温
速度は、アミド化反応熱、縮合水の蒸発潜熱、供給熱等
に依存するため、ジアミン成分の添加速度を適宜調整す
る。添加終了時点で反応混合物の温度を、ポリアミド樹
脂の融点以上35゜C未満、望ましくは15゜C未満、
更に望ましくは5゜C未満に調整することが好ましい。
ジアミン成分の添加中、圧力は特に限定されないが、ジ
アミン成分を固定化する上で常圧以上であることが望ま
しい。
【0045】重合反応の進行と共に生成する縮合水は、
常圧における反応の場合、100〜120゜Cの温度に
制御されている分縮器と冷却器を通して反応系外に排出
される。縮合水と共に蒸気として反応系外に流出するジ
アミン、昇華により流出するジカルボン酸等は、分縮器
で水蒸気と分離され、回分式重合槽に戻される。公知の
ナイロン塩水溶液を原料とする加圧法の場合と同様に、
原料、特に、ジアミン成分の反応系外への流出は避け難
い。従って、回分式重合槽には分縮器が備えられている
ことが好ましい。分縮器を備えることにより、ジアミン
成分が系外に流出することを効果的に防止できる。
【0046】ジアミンの添加終了後、回分式重合槽内を
常圧以上で、所定時間保持することが望ましい。所定時
間として、5分以上、より好ましくは10分以上を挙げ
ることができる。ジアミンの添加初期には、ジアミンに
対してカルボキシル基が相当過剰に存在し、ジアミンの
反応速度、つまり固定化速度は極めて速い。しかし、添
加終了時にはカルボキシル基が相当量消費されており、
添加初期と比較しジアミン成分の固定化速度は極めて遅
くなる。また、重合度の増加により、反応混合物の撹拌
効率が低下し、ジアミンの固定化に一層不利となる。固
定化されなかったジアミンは、反応混合物中若しくは回
分式重合槽の気相部に存在し、あるいは又、分縮器で凝
縮されたものは、再度、反応混合物に添加される。ジア
ミンの添加を終了した後に常圧以上で所定時間保持する
ことで、このようなジアミンが固定化され、仕込みのモ
ルバランスが、精度良くポリアミド樹脂のモルバランス
に再現される。
【0047】
【実施例】以下、図面を参照して、実施例に基づき本発
明を説明する。尚、ポリアミド樹脂の評価のための測定
は、冷却後のポリアミド樹脂について以下の方法に基づ
き行った。末端アミノ基濃度及び末端カルボキシル基濃
度から、ポリアミド樹脂に取り込まれたモノマーのモル
バランスを求めることができる。
【0048】末端アミノ基濃度・・・ポリアミド樹脂を
精秤し、フェノール/エタノールの混合溶液(容量比:
4/1)に20〜30゜Cで撹拌、溶解させた。そし
て、完全に溶解させた後、撹拌しつつ、0.01モル/
リットルの塩酸水溶液で中和滴定して求めた。
【0049】末端カルボキシル基濃度・・・ポリアミド
樹脂を精秤し、ベンジルアルコールに窒素気流下160
〜180゜Cで撹拌、溶解させた。そして、完全に溶解
させた後、窒素気流下80゜C以下まで冷却し、撹拌し
つつ、メタノールを10ミリリットル加え、0.01モ
ル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液で中和滴定して
求めた。
【0050】ポリアミド樹脂中の溶存水分濃度(重量
%)・・・三菱化学株式会社製、気化装置(VA−05
型)を用い、アミド化反応が起こらない温度である14
0゜Cでポリアミド樹脂を30分加熱し、気相部に乾燥
窒素を流し、その窒素を三菱化学株式会社製、カールフ
ィッシャー微量水分測定装置(CA−05型)を用いて
測定した。
【0051】本発明のポリアミド樹脂の連続重合方法の
実施に適した装置の概念図を図1に示す。この装置は、
回分式重合装置10と連続式重合装置20から構成され
ている。回分式重合装置10は、加熱用ジャケット(図
示せず)付きの回分式重合槽11と、撹拌翼12と、撹
拌翼12を回転させるモータ13と、分縮器14と、全
縮器15と、窒素ガス導入管16Aと、スチーム導入管
16Bと、圧力調整弁17と、ジアミン滴下槽18から
構成されている。
【0052】一方、連続式重合装置20は、横型筒状
(より具体的には、横型円筒状)の反応器21と、反応
器21の外周部に配設された加熱用ジャケット22と、
反応器21の一端の側部に設けられた入口部23と、反
応器21の他端の下部に設けられた出口部24と、反応
器21の上部に設けられた排気部25と、反応器21の
一端及び他端の側部に取り付けられ、反応器21の軸線
に沿って配設された回転軸26と、回転軸26に取り付
けられ、反応器21の内部に配設された複数の撹拌翼2
7を備えている。排気部25は、配管及び凝縮器を介し
て真空引き装置(これらは図示せず)に接続されてい
る。かかる横型の連続式重合装置20の詳細は、例え
ば、特公昭50−21514号公報等に開示されてい
る。尚、連続式重合装置20における回転軸は2軸であ
るが、図1においては、連続式重合装置20を水平方向
から眺めているので、1つの回転軸26しか図示してい
ない。反応器21の入口部23より上流、及び、出口部
24より下流には、ギヤポンプ28,29が配設されて
いる。そして、回分式重合槽11にて重縮合された溶融
ポリアミド樹脂は、配管、バルブ19、ギヤポンプ2
8、入口部23を経由して反応器21内に供給され、出
口部24から連続的にストランドとして排出され、冷
却、固化後(具体的には、水冷後)、連続的に造粒機
(図示せず)にて造粒され、ペレット化される。反応器
21内では、減圧下、溶融ポリアミド樹脂中から水分を
取り除きながら重縮合反応を進行させ、水分を排気部2
5から排気する。尚、図1において、反応器21内の溶
融ポリアミド樹脂の液面を模式的に点線で示す。
【0053】(実施例1)図1に示した装置を用い、ス
テンレス鋼製回分式重合槽11にアジピン酸(純度:9
9.85重量%、水分:0.15重量%)を仕込み、窒
素ガス導入管16Aから回分式重合槽11内に窒素ガス
を導入し、内部を窒素ガス置換し、更に、少量の窒素ガ
スを流しながら加熱し、撹拌翼12にて撹拌しつつ17
0゜Cに昇温させた。次いで、溶融したアジピン酸を撹
拌しながら、ジアミン滴下槽18からメタキシリレンジ
アミン(純度:99.70重量%)を、常圧下、連続的
に回分式重合槽11内に滴下した。この間、回分式重合
槽11の内部の温度を250゜Cまで連続的に昇温させ
た。メタキシリレンジアミンの滴下と共に留出する水分
を、分縮器14及び全縮器15を通して反応系外に排出
した。このとき、分縮器14の塔頂の最高温度は101
゜Cであった。
【0054】メタキシリレンジアミンの滴下終了後、常
圧下、0.2゜C/分の昇温速度で昇温させながら撹拌
し、メタキシリレンジアミンの固定化を促した。その
後、1.3×106Paのスチームをスチーム導入管1
6Bから回分式重合槽11内に導入し、圧力調整弁17
にて回分式重合槽11の気相部の水蒸気圧を3×105
Paに調節した。そして、3×105Paに到達後、溶
融ポリアミド樹脂の反応器21への供給を開始した。こ
のとき、回分式重合槽11内における撹拌を継続し、更
には、回分式重合槽11内の気相部の水蒸気圧を3×1
5Paに保持しつつ、回分式重合槽11の内部の温度
を255゜C±1゜Cに維持した。
【0055】回分式重合槽11にて得られたモルバラン
ス(ジアミン/ジカルボン酸)が0.994、相対粘度
が1.72、ポリアミド樹脂中の水分が0.32%、温
度が255゜Cのアジピン酸及びメタキシリレンジアミ
ンから得られたポリアミド樹脂をキヤポンプ28を通じ
反応器21に供給した。そして、横型二軸撹拌混合機か
ら構成された横型の連続式重合装置20の反応器21
(長さ/内径の比が25、回転方向は同位相)に、入口
部23から溶融状態にあるポリアミド樹脂を連続的に供
給し、反応器21内で連続的にポリアミド樹脂の重縮合
反応を進行させて、出口部24から排出させた。即ち、
反応器21内で、減圧下、溶融ポリアミド樹脂中から水
分を取り除きながら重縮合反応を進行させ、水分を排気
部25から排気した。反応器21内の上部空間における
圧力を1.3×104Paとし、反応器21における溶
融ポリアミド樹脂の滞留時間を約15分、反応器21内
の溶融ポリアミド樹脂の温度を260゜Cとした。反応
器21から溶融ポリアミド樹脂を連続的にストランドと
して排出し、水冷後、連続的に造粒した。排出開始から
3時間経過してからサンプリングを開始し、1時間毎に
相対粘度を測定した結果を表1に示す。尚、撹拌翼27
の端部が達する最高位置よりも、反応器21内の溶融ポ
リアミド樹脂の液面(図1においては点線で示す)を下
に位置させた。具体的には、反応器の内容量、ポリアミ
ド樹脂の溶融時の比容積、ポリアミド樹脂の滞留量から
計算で求めた値が、入口部近傍における、反応器の軸線
と直交する反応器の断面の面積をS0とし、かかる入口
部近傍における溶融ポリアミド樹脂が反応器のかかる断
面を占める面積をSPAとしたとき、SPA=0.95S0
を概ね満足する条件とした。
【0056】(比較例1)比較例1として、実施例1と
同様のポリアミド樹脂を供給し、同じ条件で重合操作を
行った。但し、横型の連続式重合装置20の運転中、撹
拌翼27の端部が達する最高位置よりも、反応器21内
の溶融ポリアミド樹脂の液面を上に位置させた。反応器
21内の出口部24から排出されたポリアミド樹脂の相
対粘度を表1に示す。
【0057】
【0058】表1から明らかなように、本発明により反
応器21からの排出されるポリアミド樹脂の相対粘度は
極めて安定しており、且つ、相対粘度の増加も大きいこ
とが判る。つまり、反応器21内で連続的に溶融ポリア
ミド樹脂の重縮合反応が、安定に、且つ、効果的に進行
している。
【0059】(実施例2)実施例1と同様の回分式重合
槽11にアジピン酸(純度:99.85重量%、水分:
0.15重量%)を仕込み、窒素ガス導入管16Aから
回分式重合槽11内に窒素ガスを導入し、内部を窒素ガ
ス置換し、更に、少量の窒素ガスを流しながら加熱し、
撹拌翼12にて撹拌しつつ170゜Cに昇温した。次い
で、溶融したアジピン酸を撹拌しながら、ジアミン滴下
槽18から1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン
(純度:99.86重量%)を、常圧下、連続的に回分
式重合槽11内に滴下した。この間、回分式重合槽11
の内部の温度を240゜Cまで連続的に昇温した。1,
3−ビスアミノメチルシクロヘキサンの滴下と共に留出
する水分を、分縮器14及び全縮器15を通して反応系
外に排出した。このとき、分縮器14の塔頂の最高温度
は103゜Cであった。
【0060】1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン
の滴下終了後、常圧下、0.2゜C/分の昇温速度で昇
温させながら撹拌し、1,3−ビスアミノメチルシクロ
ヘキサンの固定化を促した。その後、回分式重合槽11
の下部に設置された溶融保持槽30に溶融ポリアミド樹
脂を全量排出した。尚、図3に概念図を示すように、溶
融保持槽30には、加熱用ジャケット(図示せず)、撹
拌翼31、撹拌翼31を回転させるモータ32、スチー
ム導入管33、圧力調整弁(図示せず)、バルブ34が
備えられている。次いで、1.3×106Paのスチー
ムを溶融保持槽30に導入し、圧力調整弁にて溶融保持
槽30の気相部の水蒸気圧を3×105Paに調節し
た。溶融保持槽30では撹拌翼31にて撹拌を行い、溶
融保持槽30内部の温度を245゜C±1゜Cに維持し
た。溶融保持槽30の気相部の水蒸気圧が3×105
aに到達した後、溶融保持槽30の気相部の水蒸気圧を
3×105Paに維持した状態で、撹拌状態にある溶融
保持槽30から、実施例1と同様の横型二軸撹拌混合機
から構成された連続式重合装置20の反応器21に、入
口部23から溶融ポリアミド樹脂を連続的に供給し、反
応器21内で連続的にポリアミド樹脂の重縮合反応を進
行させて、出口部24から排出させた。即ち、反応器2
1内で、減圧下、溶融ポリアミド樹脂中から水分を取り
除きながら重縮合反応を進行させ、水分を排気部25か
ら排気した。反応器21内の上部空間における圧力を
8.0×104Paとし、反応器21における溶融ポリ
アミド樹脂の滞留時間を約20分、反応器21内の溶融
ポリアミド樹脂の温度を255゜Cとした。反応器中の
ポリアミド樹脂温度の変動幅は255±1゜Cであっ
た。反応器21から溶融ポリアミド樹脂を連続的にスト
ランドとして排出し、水冷後、連続的に造粒した。排出
開始から3時間経過してからサンプリングを開始し、1
時間毎に相対粘度を測定した結果を表2に示す。尚、S
PA=0.7S0を概ね満足する条件とした。
【0061】尚、溶融保持槽30におけるポリアミド樹
脂の物性は、モルバランス(ジアミン/ジカルボン酸)
=0.991、相対粘度=1.57、ポリアミド樹脂中
の水分=0.19%であった。
【0062】(比較例2)比較例2として、実施例2と
同様の重合操作を行った。但し、モルバランス(ジアミ
ン/ジカルボン酸)=0.991、相対粘度=1.3
7、ポリアミド樹脂中の水分=0.23%、温度=25
0゜Cのアジピン酸及び1,3−ビスアミノメチルシク
ロヘキサンから成るポリアミド樹脂をキヤポンプ28を
通じ反応器21に供給した。その結果、反応器中のポリ
アミド樹脂温度の変動幅は255〜263゜Cであっ
た。反応器21内の出口部24から排出されたポリアミ
ド樹脂の相対粘度を表2に示す。
【0063】
【0064】表2から明らかなように、本発明により、
反応器21のポリアミド樹脂温度が安定し、反応器21
からの排出されるポリアミド樹脂の相対粘度が極めて安
定していることが判る。つまり、反応器21内で連続的
に溶融ポリアミド樹脂の重縮合反応が、安定に進行し、
均質なポリアミド樹脂が得られる。
【0065】以上、本発明を好ましい実施例に基づき説
明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例にて説明したポリアミド樹脂の製造条件、製造方
法は例示であり、適宜変更することができるし、使用し
た各種の装置も例示であり、適宜変更することができ
る。
【0066】図2には、2つの回分式重合装置10と1
つの連続式重合装置20が組み合わされた重合装置の概
念図を示す。また、図3には、1つの回分式重合装置1
0と1つの溶融保持槽30と1つの連続式重合装置20
が組み合わされた重合装置の概念図を示す。更には、図
4には、2つの回分式重合装置10と1つの溶融保持槽
30と1つの連続式重合装置20が組み合わされた重合
装置の概念図を示す。
【0067】
【発明の効果】本発明にあっては、撹拌翼の端部が達す
る最高位置よりも反応器内の溶融ポリアミド樹脂の液面
を下に位置させるが故に、反応器内の上部には充分なる
空間が形成され、ポリアミド樹脂に溶存している水分、
及び、重縮合反応において生成する水分を、かかる空間
を通して排気部から速やかに除去することが可能とな
る。更に、反応器内で発生する揮発分(水分)を特定範
囲に制御するが故に、液面に形成された薄膜が破壊され
ることなく、脱水が円滑に進行する。このため、溶融ポ
リアミド樹脂の重縮合を効果的に進行させることができ
る。また、連続式反応でありながら品質低下することな
く、連続造粒が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のポリアミド樹脂の連続重合方法の実施
に適した装置の概念図である。
【図2】2つの回分式重合装置と1つの連続式重合装置
が組み合わされた重合装置の概念図である。
【図3】1つの回分式重合装置と1つの溶融保持槽と1
つの連続式重合装置が組み合わされた重合装置の概念図
である。
【図4】2つの回分式重合装置と1つの溶融保持槽と1
つの連続式重合装置が組み合わされた重合装置の概念図
である。
【符号の説明】
10・・・回分式重合装置、11・・・回分式重合槽、
12・・・撹拌翼、13・・・モータ、14・・・分縮
器、15・・・全縮器、16A・・・窒素ガス導入管、
16B・・・スチーム導入管、17・・・圧力調整弁、
18・・・ジアミン滴下槽、19・・・バルブ、20・
・・連続式重合装置、21・・・反応器、22・・・加
熱用ジャケット、23・・・入口部、24・・・出口
部、25・・・排気部、26・・・回転軸、27・・・
撹拌翼、28,29・・・ギヤポンプ、30・・・溶融
保持槽、31・・・撹拌翼、32・・・モータ、33・
・・スチーム導入管、34・・・バルブ

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】キシリレンジアミンとビスアミノメチルシ
    クロヘキサンの合計が70モル%以上であるジアミン、
    及び、ジカルボン酸から得られるポリアミド樹脂であ
    り、相対粘度が1.4以上2.8以下の溶融状態にある
    ポリアミド樹脂を入口部から反応器内に供給し、反応器
    内で連続的にポリアミド樹脂の重縮合反応を進行させ
    て、出口部から排出するポリアミド樹脂の連続重合方法
    であって、 (A)横型筒状の反応器と、 (B)反応器の外周部に配設された加熱用ジャケット
    と、 (C)反応器の一端の下部又は側部に設けられた入口部
    と、 (D)反応器の他端の下部又は側部に設けられた出口部
    と、 (E)反応器の上部に設けられた排気部と、 (F)反応器の一端及び他端の側部に取り付けられ、反
    応器の軸線に沿って配設された回転軸と、 (G)回転軸に取り付けられ、反応器の内部に配設され
    た複数の撹拌翼、を備えた横型の連続式重合装置を用
    い、 撹拌翼の端部が達する最高位置よりも、反応器内の溶融
    ポリアミド樹脂の液面を下に位置させることを特徴とす
    るポリアミド樹脂の連続重合方法。
  2. 【請求項2】入口部近傍における、反応器の軸線と直交
    する反応器の断面の0.6乃至0.98を溶融ポリアミ
    ド樹脂が占めることを特徴とする請求項1に記載のポリ
    アミド樹脂の連続重合方法。
  3. 【請求項3】反応器内で、減圧下、溶融ポリアミド樹脂
    中から水分を取り除きながら重縮合反応を進行させ、水
    分を排気部から排気することを特徴とする請求項1に記
    載のポリアミド樹脂の連続重合方法。
  4. 【請求項4】反応器内の上部空間における圧力を9×1
    4Pa未満とすることを特徴とする請求項3に記載の
    ポリアミド樹脂の連続重合方法。
  5. 【請求項5】反応器内の溶融ポリアミド樹脂の温度は2
    90゜Cを超えないことを特徴とする請求項1に記載の
    ポリアミド樹脂の連続重合方法。
  6. 【請求項6】出口部から排出された溶融状態のポリアミ
    ド樹脂から連続的にストランドを形成し、冷却、固化さ
    せた後、造粒することを特徴とする請求項1に記載のポ
    リアミド樹脂の連続重合方法。
  7. 【請求項7】ジアミンの70モル%以上がメタキシリレ
    ンジアミンであることを特徴とする請求項1乃至請求項
    6のいずれか1項に記載のポリアミド樹脂の連続重合方
    法。
  8. 【請求項8】ジカルボン酸の70モル%以上がアジピン
    酸であることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいず
    れか1項に記載のポリアミド樹脂の連続重合方法。
  9. 【請求項9】ポリアミド樹脂を構成するジアミン及びジ
    カルボン酸のうち、少ない方のモノマー成分がジアミン
    であることを特徴とする請求項1に記載のポリアミド樹
    脂の連続重合方法。
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