JP2004155950A - ポリアミドの製造方法 - Google Patents

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一實 田中
Minoru Kikuchi
稔 菊地
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Abstract

【課題】回分式重合槽を用いて溶融重合によりポリアミドを製造するに際し、溶融重合中のポリアミドの溶融粘度、分子量、もしくは相対粘度を迅速にかつ簡便に把握するポリアミドの製造方法を提供する。
【解決手段】ポリアミドを攪拌混合するための攪拌翼の回転により発生する攪拌トルクからポリアミドの溶融粘度を求める推算式を作成し、該推算式から溶融粘度、分子量あるいは相対粘度を推算することを特徴とするポリアミドの製造方法。
【選択図】 無

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、溶融重合中のポリアミドの粘度物性を簡便に推算する方法に関する。更に詳しくは、回分式重合槽を用いたポリアミドの溶融重合中の攪拌トルクから、ポリアミドの粘度物性を推算するポリアミドの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
通常、ポリアミドはモノマーであるジアミンとジカルボン酸の脱水重縮合により製造され、ポリアミドの融点以上の反応温度にて重合させる溶融重合法が一般的な製造方法である。ポリアミドを製造する際には、モルバランスや重合条件を設定値に保ち、常に均一で安定した品質のポリアミドを製造することが重要である。従って、モルバランス、重合時間、重合温度および重合圧力などの重合条件を設定値に維持するための種々の方法が採られている。
【0003】
特にモルバランスは最終的に得られるポリアミドの重合度に多大な影響を与え、最も管理しなければならない重要な因子である。しかしながら、回分式重合方法において、モノマーの仕込み段階で常にモルバランスを設定値に維持し、かつ各バッチ間で重合条件をそろえたとしても、重合中のジアミンの反応系外への留出は避けがたく、その留出量をバッチ間で常に一定とすることは極めて困難である。従って、得られるポリアミドのモルバランスは成り行きとならざるを得ないのが実情である。バッチ間でモルバランスが一定では無い場合、得られるポリアミドの重合度をバッチ間で一定とするために、モルバランスの変動に伴い重合時間を調節する必要がある。換言すれば、モルバランスが変動したとしても、リアルタイムで重合度が観測できれば、目標の重合度に到達した時点でポリアミドを排出することができ、得られるポリアミドの重合度をバッチ間で安定化することができる。バッチ間でポリアミドの重合度を一定にすることは、バッチ間の溶融粘度、分子量、相対粘度等、成型加工性に影響を与えるポリアミドの溶融時の流れ特性をバッチ間で一定にすることにつながる。
【0004】
ポリアミドの連続重合における物性のリアルタイム測定として粘度計を用いることが提案されている(特許文献1参照。)。粘度計には一般にキャピラリータイプのものが用いられるが、回分式重合においては、連続式には無い相当な困難さが予想される。反応液は原料となるモノマーから排出直前のポリアミドまで性状が変化し、その粘度範囲は0.01〜約500Pa・sまで変動する可能性があり、供給原料にポリアミドに対する充分な溶解性が無い場合、キャピラリーは閉塞し、安定な使用は困難となる。また、粘度計は一般に高価な測定機器であり、コスト的な負担も大きい。
【0005】
近年、近赤外分光分析計を用いてポリマーの諸物性をオンラインで測定する方法が提案されている。近赤外光は紫外光や赤外光と比較して透過性に優れているため、非破壊分析やリアルタイム分析に非常に適している。しかしこれまでは、光源の安定性、分光システム、検出器およびスペクトルを解析するコンピュータのハード面、ソフト面で問題点が多く、実用化されるまでには至っていなかったが近年の技術の発展に伴い、これら多くの問題が解決された近赤外分光分析計が市販されるようになった。
【0006】
ポリエステルの製造工程において、ポリエステルの諸物性値を近赤外分光分析計を用いて測定し、得られた測定値を用いて反応条件を制御する方法が提案されている(例えば、特許文献2、特許文献3、特許文献4および特許文献5参照。)。フェノール樹脂の製造工程において、近赤外分光分析計を用いて系内成分量を測定し、その物理量から反応進行度を測定しながら反応を行う方法が提案されている(特許文献6参照。)。近赤外分光分析計を用いてアミド溶媒と芳香族ポリアミドとからなる溶液の濃度を測定し、溶液中の溶媒の量を制御する方法が開示されている(特許文献7参照。)。また、近赤外分光分析計を用いて連続溶融重合におけるポリアミドの製造方法が開示されている(特許文献8参照。)。当該公報にはカルボキシル末端基濃度とアミノ末端基濃度を測定し、ジアミンの注入量を制御することでカルボキシル末端基濃度とアミノ末端基濃度の比を制御することにより目的のポリアミドの比に制御し、反応装置内の固形分の形成を防止している。
【0007】
しかしながら、近赤外分光分析計を用いて正確な測定結果を導くためには、測定対象となる液が均質であることが必要であり、液中の気泡は除かれなければならず、脱水反応を伴うポリアミドの重合では、相当な困難さを伴う。また、近赤外分光分析計は高価な機器であり、既に設置されている重合槽に設置する場合、重合槽の加工等、相当な工事費も発生し、コスト的な負荷も大きい。
【0008】
【特許文献1】
特公昭48−36957号公報
【特許文献2】
特開平2−306937号公報
【特許文献3】
特開平10−182802号公報
【特許文献4】
特開平11−60711号公報
【特許文献5】
特開平11−315137号公報
【特許文献6】
特開平6−322054号公報
【特許文献7】
特表平10−504390号公報
【特許文献8】
特表平10−509760号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、回分式重合槽を用いて溶融重合によりポリアミドを製造するに際し、溶融重合中のポリアミドの溶融粘度、分子量、もしくは相対粘度を迅速にかつ簡便に把握するポリアミドの製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意検討した結果、回分式重合槽を用いて、溶融重合によりポリアミドを製造するに際し、溶融重合中のポリアミドの攪拌トルクから、溶融重合中のポリアミドの溶融粘度、分子量もしくは相対粘度を推算することが可能であることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち本発明は、回分式重合槽を用いて、溶融重合によりポリアミドを製造するに際し、ポリアミドを攪拌混合するための攪拌翼の回転により発生する攪拌トルクからポリアミドの溶融粘度を求める推算式を作成し、該推算式から溶融粘度を推算することを特徴とするポリアミドの製造方法、回分式重合槽を用いて、溶融重合によりポリアミドを製造するに際し、ポリアミドを攪拌混合するための攪拌翼の回転により発生する攪拌トルクからポリアミドの分子量を求める推算式を作成し、該推算式から分子量を推算することを特徴とするポリアミドの製造方法、および回分式重合槽を用いて、溶融重合によりポリアミドを製造するに際し、ポリアミドを攪拌混合するための攪拌翼の回転により発生する攪拌トルクからポリアミドの相対粘度を求める推算式を作成し、該推算式から相対粘度を推算することを特徴とするポリアミドの製造方法である。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明では、攪拌トルクを検出するためのトルク計が攪拌翼に接続されていることが必要である。また、攪拌翼はアンカー翼、リボン翼、ダブルヘリカルリボン翼、格子翼、タービン翼、パドル翼、プロペラ翼、デスク翼、メガネ翼、およびこれら攪拌翼を組み合わせたもの等、様々なタイプの攪拌翼が使用可能であり特に限定されないが、攪拌トルクを検出する反応上の工程点において、溶融粘度、分子量、もしくは相対粘度の違いに対し鋭敏である様に設計することが好ましい。溶融粘度を攪拌トルクから推算するため、10Pa・s以上の粘度の違いが溶融粘度の違いとして検出されることが好ましく、3Pa・s以上の粘度の違いが検出されることがより好ましく、1Pa・s以上の溶融粘度の違いが検出されることが更に好ましい。もちろん攪拌翼の性能として、反応全般にわたる粘度域、例えば、0.01〜約500Pa・sの範囲で、充分な攪拌混合性能を達成する必要がある。
【0012】
ポリアミドを攪拌混合するための攪拌翼の回転により発生する攪拌トルクから、溶融重合中のポリアミドの溶融粘度を算出することできる。攪拌トルクと溶融粘度の推算式は経験式もしくは実験式にて容易に算出できる。例えば、下式により、攪拌トルクと攪拌翼の回転数から溶融粘度を求めることができる。よって回転数は特に限定されないが、良好な(A)式の関係が成り立つ回転数であることが必要である。
溶融粘度(Pa・s)=a×攪拌トルク(kg・m)/回転数(rpm)+b …(A)
ここで、aおよびbは定数であり、実験により決定される。
【0013】
ポリアミドを攪拌混合するための攪拌翼の回転により発生する攪拌トルクから、溶融重合中のポリアミドの分子量を算出することできる。攪拌トルクと分子量の推算式は経験式もしくは実験式にて容易に算出できる。例えば、反応系の圧力が同一である場合、(A)式から溶融粘度を求めた上で、溶融粘度から(B)式により、分子量を求めることができる。
c×Log[分子量]=Log[溶融粘度(Pa・s)]+d/温度(T)+e …(B)
ここで、c、dおよびeは定数であり、実験により決定される。
ここで求められる分子量は、数平均分子量、重量平均分子量、粘度平均分子量等、任意の分子量を採用することができ、適時実験から(B)式を決定することができる。
【0014】
ポリアミドを攪拌混合するための攪拌翼の回転により発生する攪拌トルクから、溶融重合中のポリアミドの相対粘度を算出することできる。攪拌トルクと相対粘度の推算式は経験式もしくは実験式にて容易に算出できる。例えば、反応系の圧力が同一である場合、(A)式から溶融粘度を求めた上で、溶融粘度から(C)式により、相対粘度を求めることができる。
f×Log[相対粘度]=Log[溶融粘度(Pa・s)]+g/温度(T)+h …(C)
ここで、f、gおよびhは定数であり、実験により決定される。
ここで求められる相対粘度は、特定純度(濃度)の硫酸、蟻酸等の溶媒と、その溶媒に特定濃度にポリアミドを溶解させた検液とを、毛細管を利用した粘度計を用いて落下時間を測定し、[検液の落下時間/溶媒の落下時間]から算出され、ポリアミドの重合度を評価する一般的な物性であり、適時実験から(C)式を決定することができる。
【0015】
前記(A)〜(C)式の定数は、複数バッチにおける攪拌トルクの測定値と、各物性の実測値から求めることができる。この際、後述する理由により、推算式の精度を向上させるためには、攪拌トルク測定時の重合条件を揃えることが好ましく、重合槽内の圧力とポリアミド総重量がバッチ間で一定であることが特に好ましい。ここで、圧力の変動範囲は±10kPa以下であり、好ましくは±2kPa以下である。また、ポリアミド総重量はバッチ間の平均総重量に対し±1/50以下の変動範囲に抑えることが好ましく、±1/100以下の変動範囲に抑えることがより好ましく、±1/200以下の変動範囲に抑えることが更に好ましい。その他の重合条件として、攪拌翼の回転数、あるいは温度が挙げられるが、これらは、例えば、上記(A)〜(C)式において補正可能であり、特に一定とする必要はない。但し、より高精度の推算を行うには、回転数や温度を一定とした方が好ましい。この場合の攪拌翼の回転数は、バッチ間の平均回転数に対し±5rpm以内の変動範囲に抑えることが好ましく、より好ましくは±3rpm以内である。また、温度はバッチ間の平均温度に対し±5℃以内の変動範囲に抑えることが好ましく、より好ましくは±3℃以内である。
【0016】
溶融重合中の攪拌翼の回転により発生する攪拌トルクを測定する際に、水分はポリアミドに対し可塑化効果を与えるため、多くの水分の存在は攪拌トルクの検出において誤差要因となる。このため、ポリアミド中の水分量は飽和水分量の4倍未満であることが好ましく、より好ましくは2倍未満である。重合槽内の圧力が水分に多大な影響を与えるため、攪拌トルクの測定点における圧力は、前記推算式を作成した際の圧力と同一であることが好ましい。前記推算式を作成した際のバッチ間の平均圧力に対する変動範囲は±10kPa以下であり、好ましくは±2kPa以下である。
【0017】
推算式の精度を向上させるためには、溶融重合中の攪拌翼の回転により発生する攪拌トルクを測定する際に、回分式重合槽中のポリアミド総重量が一定であることが好ましい。このため、回分式重合槽に存在する前バッチのポリアミド残渣と仕込まれたポリアミド原料の総重量を、前記推算式を作成した際のバッチ間の平均総重量に対し±1/50以下の変動範囲に抑えることが好ましく、±1/100以下の変動範囲に抑えることがより好ましく、±1/200以下の変動範囲に抑えることが更に好ましい。
【0018】
本発明において、溶融重合中の攪拌翼の回転により発生する攪拌トルクを測定するバッチ内の測定点は、上述のように圧力条件および総重量が一定であれば任意に選択可能である。しかし、攪拌トルクから推算される溶融粘度、分子量、相対粘度をもとに以後の重合条件(時間、圧力、温度)および、排出タイミングを決定する場合、モノマーの固定化がほぼ終了した重合反応中盤以降での測定が好ましい。また、バッチ間で測定点における圧力は上述のように一定とする必要がある。バッチ間での測定点における攪拌翼の回転数、温度は、例えば、上記(A)〜(C)式において補正可能であり、特に一定とする必要はないが、より高精度の推算を行うには、回転数、温度は一定とした方が好ましい。この高精度の推算においては、測定点における攪拌翼の回転数は前記推算式を作成した際のバッチ間の平均回転数に対し±5rpm以内の変動範囲に抑えることが好ましく、より好ましくは±3rpm以内である。また、測定点における温度は前記推算式を作成した際のバッチ間の平均温度に対し±5℃以内の変動範囲に抑えることが好ましく、より好ましくは±3℃以内である。
【0019】
バッチ内の測定点における圧力は上述のように一定とする必要があるが、バッチ内の測定点までのアミド化反応の履歴を同一にする必要は全く無い。また、測定点における攪拌翼の回転数、温度は、例えば、上記(A)〜(C)式において補正可能であり、特にバッチ内で一定とする必要はないが、より高精度の推算を行うには、回転数、温度は一定とした方が好ましい。この高精度の推算においては、攪拌翼の回転数はバッチ内の平均回転数に対し、±5rpm以内の変動範囲に抑えることが好ましく、より好ましくは±3rpm以内である。また、温度はバッチ内の平均温度に対し、±5℃以内の変動範囲に抑えることが好ましく、より好ましくは±3℃以内である。
【0020】
本発明は、ナイロン塩水溶液を原料とする加圧法の場合であっても、溶媒の非存在下、溶融したジカルボン酸に直接ジアミンを添加する方法であっても実施可能である。しかし、溶媒の非存在下、溶融したジカルボン酸に直接ジアミンを添加する方法の方が、バッチ内の反応条件の変更・変動が少なく好ましい。
【0021】
排出されるポリアミドの性状(溶融粘度、分子量、相対粘度)をバッチ間で一致させたとしても、モルバランスは溶融成形および溶融加工中の上記性状変化の主たる要因となるため、やはりバッチ間でモルバランスを一致させることは重要である。モルバランスを制御する上でジアミンの固定化が大きな課題である。溶媒の非存在下、溶融したジカルボン酸に直接ジアミンを添加する方法による場合、気相より液相状態のジアミンの方が固定化する上で効率のよいことは明らかであり、ポリアミドの融点より沸点が高いジアミン成分の使用により、ジアミンの固定化を目的に高度な加圧条件を選択する必要がなく、常圧付近での反応が可能なため設備的にも有利となる。このため、ジアミンの沸点はポリアミドの融点より5℃以上、更に好ましくは10℃以上高い沸点を有するジアミンの使用が好ましい。ポリアミドの融点とは、DSC測定等で観測される結晶融解熱に起因する吸熱ピーク温度を指し、この融点以上の温度にポリアミドを加熱することにより均一な攪拌混合が達成される。また、明確な結晶融解を示さない難晶性もしくは非晶性ポリアミドの場合は、均一な攪拌混合が可能となる温度つまり流動開始温度を指す。
【0022】
本発明でジアミン成分に好適に使用できるジアミンとしては、キシリレンジアミンとビスアミノメチルシクロヘキサンが例示できる。更にキシリレンジアミンはメタ、パラおよびオルソキシリレンジアミンが例示でき、ビスアミノメチルシクロヘキサンは1,2−、1,3−および1,4―ビスアミノメチルシクロヘキサンが例示できる。得られるポリアミドの実用的な物性から考えて、ジアミンがキシリレンジアミンの場合、メタキシリレンジアミンを50mol%以上含むことが好ましく、より好ましくは70mol%以上である。また、ジアミンがビスアミノメチルシクロヘキサンの場合、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサンを50mol%以上含むことが好ましく、より好ましくは70mol%以上である。
その他のジアミンとしてはテトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、パラフェニレンジアミン等が挙げられ、ポリアミドの融点より5℃以上高い沸点を有しないジアミンであっても、ジアミン成分の30mol%未満の範囲で、更に固定化が困難とならない範囲で適時選択される。
【0023】
ジカルボン酸成分に使用できるジカルボン酸としては、アジピン酸、琥珀酸、セバシン酸、ドデカン二酸、イソフタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等が挙げられる。これらのジカルボン酸は単独でも2種以上混合しても使用可能である。得られるポリアミドの実用的な物性から考えて、ジカルボン酸成分の50モル%以上がアジピン酸であることが特に好ましい。
また、ジアミンおよびジカルボン酸以外のポリアミド構成成分としては、カプロラクタム,バレロラクタム,ラウロラクタム,ウンデカラクタム等のラクタム、11−アミノウンデカン酸,12−アミノドデカン酸等のアミノカルボン酸を例示することができる。
【0024】
本発明において、ナイロン塩水溶液を原料とする加圧法の場合であっても、溶媒の非存在下、溶融したジカルボン酸に直接ジアミンを添加する方法であっても、反応原料、特にジアミン成分の反応系外への留出は避けがたく、回分式重合槽には、分縮器を備えていることが必要である。分縮器で水蒸気とジアミンが分離され、重合槽にジアミンが戻され、ジアミン成分の留出を効果的に防止できる。分縮器の温度は、常圧の場合、90〜120℃の温度に制御されていることが好ましく、より好ましく95〜115℃である。
【0025】
また、本発明で得られるポリアミドはナノコンポジットあるいは酸素捕捉性材料に用いられるポリアミドとしても、好適に利用される。
【0026】
【実施例】
以下に実施例および比較例を示し、本発明を具体的に説明する。なお本発明における評価のための測定は以下の方法によった。
(イ)攪拌トルク
ポリアミドを攪拌混合するための攪拌翼の回転により発生する攪拌トルクは、攪拌翼に接続されたトルク計から読み取った。攪拌翼はアンカー翼を用い、攪拌トルクの測定精度は0.01N・mであった。
(ロ)溶融粘度
攪拌トルクを読み取った後、回分式反応槽から溶融したポリアミドを排出し、液温度と同じ温度(約260℃)に加熱したステンレス製の受器に受け、速やかに、島津製作所製のフローテスターCFT−500Cで溶融粘度を測定した。荷重は981kPa、ダイスは1mmφ,10mmL、測定温度は攪拌トルクを読み取った際の液温度に一致させ、予熱時間は1分とした。
(ハ)末端アミノ基濃度
攪拌トルクを読み取った後、回分式反応槽から溶融したポリアミドを排出し、冷却固化し乾燥後、0.3〜0.5gを精秤しフェノール/エタノール=4/1容量溶液30ccに20〜30℃で攪拌溶解した。完全に溶解した後、攪拌しつつN/100塩酸水溶液で中和滴定して求めた。
(ニ)末端カルボキシル基濃度
攪拌トルクを読み取った後、回分式反応槽から溶融したポリアミドを排出し、冷却固化し乾燥後、0.3〜0.5gを精秤しベンジルアルコール30ccに窒素気流下160〜180℃で攪拌溶解した。完全に溶解した後、窒素気流下80℃以下まで冷却し、攪拌しつつメタノールを10cc加え、N/100水酸化ナトリウム水溶液で中和滴定して求めた。
(ホ)数平均分子量
末端アミノ基濃度および末端カルボキシル基濃度から次式(D)により求めた。
数平均分子量=2×10/([NH]+[COOH]) …(D)
([NH]は末端アミノ基濃度(μeq/g)、[COOH]は末端カルボキシル基濃度(μeq/g)を表す。)
(ヘ)相対粘度
攪拌トルクを読み取った後、回分式反応槽から溶融したポリアミドを排出し、冷却固化し乾燥後、1gを精秤し96%硫酸100ccに20〜30℃で攪拌溶解した。完全に溶解した後、速やかにキャノンフェンスケ型粘度計に溶液5ccを取り、25℃±0.03℃の恒温槽中で10分間放置後、落下時間(t)を測定した。また、96%硫酸そのものの落下時間(t0)も同様に測定した。tおよびt0から次式(E)により相対粘度を求めた。
相対粘度=t/t0 …(E)
【0027】
実施例1〜5
▲1▼推算式の作成
攪拌機、トルク計、分縮器、全縮器、窒素ガス導入管および滴下ラインを備えた50Lのステンレス製の容器にアジピン酸を仕込み、窒素置換し、更に少量の窒素を流通させながら、熱媒で加熱し、攪拌しつつ190℃に昇温した。次いで溶融したアジピン酸を40rpmで攪拌しながら、滴下ラインからメタキシリレンジアミンを常圧下に連続的に2時間かけて滴下した。仕込みのアジピン酸およびメタキシリレンジアミンの総量は25.00kgとした。この間内温を250℃まで連続的に昇温した。メタキシリレンジアミンの滴下とともに留出する水は100℃の温調された分縮器および全縮器を通して反応系外に除いた。メタキシリレンジアミンの滴下終了後、引き続き攪拌しながら0.2℃/分の昇温速度で昇温しながら常圧下に20分保持し、更に5分かけて80kPaまで圧力を低下させ、80kPaで所定時間保持した。80kPa保持を開始した後は、液温度を260℃に収束させる様に熱媒温度を調整した。80kPaで所定時間保持した後、液温度、回転数、攪拌トルクを記録し、速やかにポリアミドを排出し、ポリアミドの溶融粘度、末端基濃度(数平均分子量)、および相対粘度を測定した。
同様の操作にて、仕込みのモルバランス(メタキシリレンジアミン/アジピン酸)を0.990〜1.000の範囲で変更するとともに、80kPaでの保持時間を25〜60分の範囲で変更し、標本数15で前記(A)〜(C)式の定数a〜hを決定した。
【0028】
▲2▼溶融粘度、数平均分子量、および相対粘度の推算
推算式の作成に用いた同一の重合設備を用い、表1に記載の重合条件にて、ポリアミドを重合した。表1に、攪拌トルクから推算された溶融粘度、数平均分子量、相対粘度、および実測された溶融粘度、数平均分子量、相対粘度を示した。
【0029】
【表1】
Figure 2004155950
【0030】
表1から明らかな様に、溶融粘度は±10Pa・sの誤差範囲で、数平均分子量は±400の誤差範囲で、相対粘度は±0.02の誤差範囲で推算可能であった。このとき、重合槽での溶融履歴、モルバランス等の要因が推算結果に与える影響は認められない。また、液温度は(B)式、(C)式での補正が可能であることがわかる。
【0031】
実施例6〜8
▲1▼推算式の作成
メタキシリレンジアミンの代わりに、1.3−ビスアミノメチルシクロヘキサンを用い、実施例1と同様の重合設備を用いてポリアミドを重合した。アジピン酸を仕込み、窒素置換し、更に少量の窒素を流通させながら、熱媒で加熱し、攪拌しつつ180℃に昇温した。次いで溶融したアジピン酸を40rpmで攪拌しながら、滴下ラインから1.3−ビスアミノメチルシクロヘキサンを常圧下に連続的に2時間かけて滴下した。仕込みのアジピン酸およびメ1.3−ビスアミノメチルシクロヘキサンの総量は25.00kgとした。この間内温を245℃まで連続的に昇温した。1.3−ビスアミノメチルシクロヘキサンの滴下とともに留出する水は100℃の温調された分縮器および全縮器を通して反応系外に除いた。1.3−ビスアミノメチルシクロヘキサンの滴下終了後、引き続き攪拌しながら0.3℃/分の昇温速度で昇温しながら常圧下に20分保持し、更に5分かけて80kPaまで圧力を低下させ、80kPaで所定時間保持した。80kPa保持を開始した後は、液温度を260℃に収束させる様に熱媒温度を調整した。80kPaで所定時間保持した後、液温度、回転数、攪拌トルクを記録し、速やかにポリアミドを排出し、ポリアミドの溶融粘度、末端基濃度(数平均分子量)、および相対粘度を測定した。
同様の操作にて、モルバランス(1.3−ビスアミノメチルシクロヘキサン/アジピン酸)を0.990〜1.000の範囲で変更するとともに、80kPaでの保持時間を25〜60分の範囲で変更し、標本数15で前記(A)〜(C)式の定数a〜hを決定した。
【0032】
▲2▼溶融粘度、数平均分子量、および相対粘度の推算
推算式の作成に用いた同一の重合設備を用い、表2に記載の重合条件にて、ポリアミドを重合した。表2に、攪拌トルクから推算された溶融粘度、数平均分子量、相対粘度、および実測された溶融粘度、数平均分子量、相対粘度を示した。
【0033】
比較例1
ジアミンとして、1.3−ビスアミノメチルシクロヘキサンを用い、実施例8と同一条件にて重合を進め、1.3−ビスアミノメチルシクロヘキサンの滴下終了後、引き続き攪拌しながら0.3℃/分の昇温速度で昇温しながら常圧下に20分保持し、圧力を低下させず更に30分保持した。常圧で50分保持した後、液温度、回転数、攪拌トルクを記録し、速やかにポリアミドを排出し、ポリアミドの溶融粘度、末端基濃度(数平均分子量)、および相対粘度を測定した。結果を表2に示す。
【0034】
比較例2
仕込みのアジピン酸および1.3−ビスアミノメチルシクロヘキサンの総量を25.80kgとした以外は、実施例8と同一条件にて重合した。結果を表2に示す。
【0035】
【表2】
Figure 2004155950
【0036】
表2から明らかな様に、溶融粘度は±10Pa・sの誤差範囲で、数平均分子量は±200の誤差範囲で、相対粘度は±0.02の誤差範囲で推算可能であった(実施例6〜8)。ポリアミドが異なっても溶融重合中の攪拌トルクから、ポリアミドの溶融粘度、数平均分子量、相対粘度が推算できることがわかる。
一方、比較例1〜2の結果より明らかな様に、溶融重合中の攪拌トルクから溶融粘度、分子量、相対粘度を推算するに際し、回分式重合槽内の圧力は、数平均分子量および相対粘度の推算精度に多大な影響を与えるため、推算式決定時と同一であることが好ましいことがわかる。また、回分式重合槽中のポリアミド総重量が一定であることが好ましく、その変動は確実に推算誤差につながる。
【0037】
【発明の効果】
本発明に係るポリアミドの製造方法によって以下の効果が得られる。
(イ)溶融重合中のポリアミドの性状(溶融粘度、分子量、相対粘度)が攪拌トルクから速やかに推算できる。
(ロ)ポリアミドの性状(溶融粘度、分子量、相対粘度)がリアルタイムで簡便に求められるため、当該バッチの以後の製造条件調整が容易となる。
(ハ)ポリアミドの性状(溶融粘度、分子量、相対粘度)がリアルタイムで簡便に求められるため、当該バッチの製造結果が次バッチ以降の製造条件に遅延なく反映できる。
(ニ)攪拌トルクからポリアミドの性状(溶融粘度、分子量、相対粘度)を推算することで、高価な測定機器を導入することなく、ポリアミドの性状(溶融粘度、分子量、相対粘度)が容易に推算できる。
等、本発明によって得られる効果は非常に絶大であり、意味深いものである。

Claims (12)

  1. 回分式重合槽を用いて、溶融重合によりポリアミドを製造するに際し、ポリアミドを攪拌混合するための攪拌翼の回転により発生する攪拌トルクからポリアミドの溶融粘度を求める推算式を作成し、該推算式から溶融粘度を推算することを特徴とするポリアミドの製造方法。
  2. 前記溶融粘度推算値をもとに以後の重合条件(時間、圧力、温度)および、排出タイミングを決定することを特徴とする請求項1に記載のポリアミドの製造方法。
  3. 回分式重合槽を用いて、溶融重合によりポリアミドを製造するに際し、ポリアミドを攪拌混合するための攪拌翼の回転により発生する攪拌トルクからポリアミドの分子量を求める推算式を作成し、該推算式から分子量を推算することを特徴とするポリアミドの製造方法。
  4. 前記分子量推算値をもとに以後の重合条件(時間、圧力、温度)および、排出タイミングを決定することを特徴とする請求項3に記載のポリアミドの製造方法。
  5. 回分式重合槽を用いて、溶融重合によりポリアミドを製造するに際し、ポリアミドを攪拌混合するための攪拌翼の回転により発生する攪拌トルクからポリアミドの相対粘度を求める推算式を作成し、該推算式から相対粘度を推算することを特徴とするポリアミドの製造方法。
  6. 前記相対粘度推算値をもとに以後の重合条件(時間、圧力、温度)および、排出タイミングを決定することを特徴とする請求項5に記載のポリアミドの製造方法。
  7. 溶融重合の開始時において、回分式重合槽に存在する前バッチのポリアミド残渣と仕込まれたポリアミド原料の総重量を、前記推算式を作成した際のバッチ間の平均総重量に対し±1/50以内の変動範囲に抑えることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のポリアミドの製造方法。
  8. ポリアミドを攪拌混合するための攪拌翼の回転により発生する攪拌トルクを測定する際に、攪拌トルクの測定点における回分式重合槽の圧力が、前記推算式を作成した際のバッチ間の平均圧力に対して±10kPa以内の変動範囲であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のポリアミドの製造方法。
  9. 回分式重合槽を用いて、溶融重合によりポリアミドを製造する方法が、溶媒の非存在下、溶融したジカルボン酸成分に直接ジアミン成分を添加する方法であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のポリアミドの製造方法。
  10. 前記ジアミン成分の70モル%以上がキシリレンジアミンであることを特徴とする請求項9に記載のポリアミドの製造方法。
  11. 前記ジアミン成分の70モル%以上がビスアミノメチルシクロヘキサンであることを特徴とする請求項9に記載のポリアミドの製造方法。
  12. 前記ジカルボン酸成分の50モル%以上がアジピン酸であることを特徴とする請求項9〜11のいずれかに記載のポリアミドの製造方法。
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