JP2002212153A - アミノ基導入法及びアミノ酸の合成方法 - Google Patents

アミノ基導入法及びアミノ酸の合成方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高温高圧水下でのアミノ基導入法、アミノ酸
の合成方法及びアミノ酸の製造方法を提供する。 【解決手段】 高温高圧水条件下で有機酸とアンモニア
を反応させることにより有機酸にアミノ基を導入するこ
とを特徴とするアミノ基導入法、高温高圧水条件下で有
機酸とアンモニアを反応させ、有機酸にアミノ基を導入
してアミノ酸を合成することを特徴とするアミノ酸の合
成方法、高温高圧水条件下で有機酸とアンモニアを反応
させ、有機酸にアミノ基を導入してアミノ酸を合成し、
次いでイオン交換樹脂で分離精製することを特徴とする
アミノ酸の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高温高圧下で有機
酸にアミノ基を導入する方法等に関するものであり、更
に詳しくは、高温高圧水条件下で有機酸とアンモニアあ
るいはアンモニウム塩化合物を反応させることによる有
機酸へのアミノ基導入方法、上記方法によって有機酸か
らアミノ酸を合成する方法、及び有機酸からアミノ酸を
製造する方法に関するものである。本発明は、有機酸及
びアンモニアあるいはアンモニウム塩化合物を反応基質
として、合成過程に有機溶媒、触媒を関与させること無
しに、バッチ方式であるいは連続的に高温高圧下でアミ
ノ酸を合成あるいは製造することを可能とするものであ
り、産業技術として好適かつ有用な方法を提供するもの
である。
【0002】
【従来の技術】従来、一般的にアミノ酸は、発酵法、加
水分解法、有機合成法等の多様な生産手段により生産さ
れているが、それらの方法のうち、例えば、アラニンの
合成については、微生物発酵法、その加水分解物を利用
する方法や有機試薬を用いた有機合成的な方法により生
産されてきている。従来のアラニンの合成方法の代表的
な例は、以下に示される。 a)パラジウム電極を使用した硫酸中の3−アミノ−1
−プロパノールの電気的酸化による合成 (文献:Jubilee Vol.Emil Bare
ll 1946,85−91.) b)エチレンシアノヒドリンからの合成 (文献:Boatright,U.S.Patent
2,734,081(1956 to Am.Cyan
amid).) c)β−アミノプロピオニトリルからの合成 (文献:Ford,Org.Sys.Coll.Vo
l.III,34(1955).) d)上記c)の改良法 (文献:Beutel,Klemchuk,U.S.P
atent 2,956,080(1960 to M
erck & Co).) 等の触媒を用いた電極合成や通常の有機合成による方法
などがある。
【0003】従来のこれらの合成方法では、例えば、使
用した触媒の処理、合成反応に使用した有機溶媒の廃棄
処理、有機溶媒の人体に対する有害性等に対する対策や
それらの使用にあたっての安全性等に対する数々の配慮
等が必要である。また、合成規模が大きくなればなるほ
ど、それらのウエートが増してくる。従って、使用した
有機溶媒、触媒等の処理技術の開発が必要とされてい
る。一方、これらの有機溶媒、触媒等を使用しない全く
新しい合成方法を開発できれば、上記諸問題の根本的な
解決策となり得る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このような状況の中
で、本発明者らは、上記従来技術に鑑みて、高温高圧下
での有機酸に対するアミノ基導入法について種々研究を
進める過程で、高温高圧水条件下で有機酸とアンモニア
あるいはアンモニウム塩化合物を反応させることにより
有機酸にアミノ基を導入することができることを見出
し、かかる知見に基づいて、更に研究を重ねて、本発明
を完成させるに至った。即ち、本発明は、高温高圧水条
件下で有機酸にアンモニアあるいはアンモニウム塩化合
物を反応させてアミノ基を導入する新規なアミノ基導入
方法を提供することを目的とするものである。また、本
発明は、上記アミノ基導入方法により、有機酸とアンモ
ニアあるいはアンモニウム塩化合物からアミノ酸を合成
する新規なアミノ酸合成方法を提供することを目的とす
るものである。また、本発明は、上記アミノ基導入方法
により、例えば、ヒドロキシ酸型の乳酸とアンモニアあ
るいはアンモニウム塩からアラニンを、グリコール酸か
らグリシンを、リンゴ酸からアスパラギン酸を、あるい
は酒石酸からα, β−ジアミノコハク酸を合成する等
の、有機酸からアミノ酸を合成する新規なアミノ酸合成
方法を提供することを目的とするものである。更に、本
発明は、高温高圧水条件下で、有機酸とアンモニアある
いはアンモニウム塩化合物を反応器に導入し、バッチ方
式によるアミノ酸合成方法、あるいは連続的にアミノ酸
を合成するアミノ酸連続合成方法を提供することを目的
とするものである。そして、本発明は、上記アミノ基導
入方法により、有機酸とアンモニアあるいはアンモニウ
ム塩化合物からアミノ酸を合成し、得られた反応溶液に
対してイオン交換樹脂等のアミノ酸分離材を用いてアミ
ノ酸を分離精製することを特徴とする高純度のアミノ酸
の製造方法を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の本発明は、以下の技術的手段から構成される。 (1)高温高圧水条件下で有機酸とアンモニアあるいは
アンモニウム塩化合物を反応させることにより有機酸に
アミノ基を導入することを特徴とするアミノ基導入法。 (2)高温高圧水条件下で有機酸とアンモニアあるいは
アンモニウム塩化合物を反応させ、有機酸にアミノ基を
導入してアミノ酸を合成することを特徴とするアミノ酸
合成方法。 (3)250℃以上の温度及び圧力20MPa以上の圧
力の範囲である高温高圧水条件下で有機機酸とアンモニ
アあるいはアンモニウム塩化合物を反応させることを特
徴とする前記(2)記載のアミノ酸合成方法。 (4)高温高圧水条件下で有機酸とアンモニア水、酢酸
アンモニウムあるいは炭酸アンモニウムを反応させるこ
とを特徴とする前記(2)又は(3)記載のアミノ酸合
成方法。 (5)高温高圧水条件下で有機酸と液化アンモニアを反
応させることを特徴とする前記(2)又は(3)記載の
アミノ酸合成方法。 (6)有機酸として、ヒドロキシ酸を使用することを特
徴とする前記(2)から(5)のいずれかに記載のアミ
ノ酸合成方法。 (7)有機酸として、乳酸、グリコール酸、リンゴ酸又
は酒石酸を使用することを特徴とする前記(2)から
(6)のいずれかに記載のアミノ酸合成方法。 (8)有機酸とアンモニアあるいはアンモニウム塩化合
物を高温高圧水条件下の反応器に導入して連続的に反応
させることを特徴とする前記(2)から(7)のいずれ
かに記載のアミノ酸合成方法。 (9)高温高圧水条件下で有機酸とアンモニアあるいは
アンモニウム塩化合物を反応基質としてアミノ酸を製造
する方法であって、有機酸とアンモニアあるいはアンモ
ニウム塩化合物を高温高圧水条件下の反応器に導入して
連続的に反応させ、反応後、得られた反応液をイオン交
換樹脂等のアミノ酸分離材を用いて分離精製処理してア
ミノ酸を得ることを特徴とするアミノ酸製造方法。
【0006】
【発明の実施の形態】次に、本発明について更に詳細に
説明する。本発明の説明を容易にするために、以下、相
当するヒドロキシ酸にアンモニア及びアンモニウム塩化
合物を高温高圧下で反応させて、例えば、アミノ酸であ
るアラニン、グリシン、アスパラギン酸あるいはα, β
−ジアミノコハク酸を合成した場合を例にとって詳細に
説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものでは
ない。本発明者らが、種々の実験を経て開発した本発明
の合成法の代表的な例として、例えば、乳酸とアンモニ
ア水溶液、酢酸アンモニウム水溶液あるいは炭酸アンモ
ニウム水溶液を高温高圧水条件下の反応器に導入して高
速で通過させることにより、アラニンを合成する方法が
例示される。本発明の合成方法で使用する原料試薬とし
ては、有機酸及びアンモニアあるいはアンモニウム塩化
合物だけである。本発明では高温高圧水を反応場あるい
は反応溶媒として用いており、有機溶媒あるいは触媒は
使用しないし、また、特に使用する必要はない。従っ
て、この方法を用いれば、処理しなければならない廃溶
媒や廃触媒といった類の処理を必要とする廃棄物は排出
されない。また、未反応の有機酸や使用水は本発明の反
応に再使用することが可能である。更に、本発明の方法
は、有用なアミノ酸等の製品を連続的に高速で合成でき
ることから、それらの製造方法の手段として最も好適な
方法であると考えられる。なお、この反応はバッチ型反
応器においても実施できる。
【0007】本発明のアミノ基導入法あるいはアミノ酸
合成方法について、以下に詳しく説明する。本発明で
は、例えば、高温高圧水条件下でα−ヒドロキシ酸とア
ンモニアあるいはアンモニウム塩化合物を反応させ、α
−ヒドロキシ酸にアミノ基を導入することによりアミノ
酸を合成することができる。一般に、アミノ酸は、主に
生物体内で合成されるが、有機合成的にも合成できる。
ここで取り上げるアミノ酸は、例えば、β−アラニン
(β−alanine)は、β−プロピオラクトン(β
−propionlactone)にアセトニトリル溶
媒中でアンモニアと反応させることで合成できる。
【0008】
【化1】
【0009】これに対し、本発明者らは、高温高圧水条
件下でα−ヒドロキシ酸である乳酸(lactic a
cid)、グリコール酸(glycolic aci
d)、リンゴ酸(malic acid)あるいは酒石
酸(tartaric acid)等の有機酸とアンモ
ニア(ammonia)あるいはアンモニウム塩化合物
を反応させることにより、それぞれアラニン、グリシン
(glycine)、アスパラギン酸(asparti
c acid)あるいはα, β−ジアミノコハク酸
(α, β−diaminosuccinic aci
d)等のアミノ酸を合成できることを見出した。本発明
によるアミノ酸合成の具体例として、アラニン、グリシ
ン、アスパラギン酸及びα, β−ジアミノコハク酸のそ
れぞれの合成反応式を以下に示す。
【0010】
【化2】
【0011】
【化3】
【0012】
【化4】
【0013】
【化5】
【0014】本発明の方法において、高温高圧水は反応
器の外からヒーターや溶融塩等を用いて温度を制御する
ことが可能であり、あるいは反応器内で内熱方式で制御
することも可能である。また、予め高温高圧水を製造し
ておき、外部から反応器内に注入して反応させることも
できる。温度圧力条件の異なる2種類以上の高温高圧水
を反応系に供給して反応条件を制御することも可能であ
る。反応容器内での圧力は流通式であれば圧力調整弁で
制御することができる。また、バッチ方式による反応圧
力は、例えば、使用温度における自生圧力を計算するこ
とができる。更に、窒素ガスなど他の気体を注入するこ
とによって圧力をコントロールすることもできる。一般
的には使用する圧力は使用温度における自生圧力以上で
あればよい。基本的には、温度250℃以上及び圧力2
0MPa以上の高温高圧水条件下であれば本発明は達成
されるが、温度300℃以上及び圧力25MPa以上の
高温高圧水条件下では、より好適に本発明を達成でき
る。更に、300〜420℃の温度範囲及び25MPa
〜50MPaの圧力範囲の高温高圧水条件を選択すれ
ば、最も好適に本発明は達成される。最適の温度条件は
処理時間によっても変化するが、一般に、好適には25
0℃から450℃の温度範囲を選択できる。また、処理
量や反応装置によって適宜の温度及び圧力条件を採用す
ればよい。反応装置としては、例えば、高温・高圧反応
装置が使用されるが、これに限らず、高温高圧水条件下
の反応系を設定できる装置であれば、その種類は制限さ
れない。ここで、好適な反応装置として、例えば、本発
明で使用した流通式の高温高圧反応装置やバッチ式の反
応装置が例示される。市販のオートクレーブは好適に用
いられる。
【0015】本発明の方法において、反応条件は、使用
する有機酸の種類及び濃度、アンモニアやアンモニウム
塩化合物の種類及び濃度、反応時間、高温高圧水条件に
よって変化する。本発明では、反応基質の有機酸として
は、例えば、乳酸、グリコール酸、リンゴ酸、酒石酸、
ヒドロキシ−n−酪酸、マンデル酸、2−ヒドロキシ−
3−メチルブチル酸、クエン酸、グリセリン酸、トロパ
酸、ベンジル酸、ヒドロキシ吉草酸等の1分子内に1個
以上のカルボキシル基と1個以上の水酸基とを有するヒ
ドロキシ酸が例示される。ヒドロキシ酸であれば、α−
ヒドロキシ酸、β−ヒドロキシ酸、γ−ヒドロキシ酸、
δ−ヒドロキシ酸、ε−ヒドロキシ酸等はいずれも好適
に反応に用いることができる。本発明では、反応に用い
る有機酸は1種類に限定されるものでなく、2種類以上
の混合物を用いても反応は好適に進行する。また、脂肪
族飽和ヒドロキシカルボン酸、脂肪族不飽和ヒドロキシ
カルボン酸、芳香族ヒドロキシカルボン酸の様なヒドロ
キシカルボン酸、ステロイド等の有機酸も本発明の反応
基質として好適に用いられる。また、上記有機酸の金属
塩も本発明の原料として用いることが可能であり、例え
ば、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウ
ム、アンモニウム等の有機酸塩が好適に用いられる。流
通方式の装置を用いる場合は、例えば、キャリヤー水と
して用いる高温高圧水の流速及び反応基質である有機酸
の導入流速を制御することによって反応器に導入する有
機酸の濃度をコントロールできる。有機酸やアンモニア
あるいはアンモニウム塩化合物を、同時にあるいは別個
に、予めキャリヤー水中に溶解して反応に供してもよ
い。通常、反応器に導入する有機酸の濃度としては1m
Mから10Mの濃度範囲で選択できる。好適には2mM
から5Mの間の適宜な濃度の値を選択でき、最も好適に
は4mMから2Mの間の適宜な濃度の値が選択される
が、本発明は、これらの濃度の値に限定されるものでは
ない。バッチ法の場合は単に仕込みの有機酸の濃度を制
御すればよい。反応器内の有機酸の濃度は反応に関与す
る高温高圧水の密度によって変化する。本発明では、有
機酸の種類に応じて、反応系の温度、圧力、反応時間、
反応基質の濃度とアンモニア及びアンモニウム塩の濃度
を調節することによって、アミノ基の導入量、アミノ基
の導入位置、アミノ酸の生成種、生成量あるいは反応収
率を操作することができる。
【0016】反応に用いるアンモニアとしては、通常、
濃度28%のアンモニア水ないし液化アンモニアが好適
に用いられるが、気体状のアンモニアを高温高圧水に導
入しても反応は進行する。アンモニウム塩化合物として
は、酢酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、ギ酸アンモ
ニウム、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム等が好適
に用いられる。アンモニアやアンモニウム塩化合物は、
通常、反応基質である有機酸塩ないし有機酸エステルと
混合して反応器内に導入される場合が多い。その際、ア
ンモニアやアンモニウム塩化合物は、通常、水溶液とし
て用いられ、また、液化アンモニアを用いた場合も最終
的には水溶液となり、反応濃度は、有機酸塩ないし有機
酸エステル濃度の1−10倍の濃度範囲の適宜な値から
選択できる。例えば、アンモニア水溶液及びアンモニウ
ム水溶液の濃度は、1mMから20M、好適には2mM
から10Mの値を選択できる。最も好適には4mMから
8Mの間の適宜な値を選択できるが、本発明は、これら
の濃度の値に限定されるものではない。なお、有機酸と
アンモニアやアンモニウム塩化合物は、別々に反応器に
導入しても、また、キャリヤー水に直接混合して使用し
ても本発明の反応は進行する。また、アンモニアとアン
モニウム塩を混合して用いても本発明の反応は達成され
る。
【0017】本発明の反応系は、温度250℃以上、及
び圧力20MPa以上の高温高圧水中に上記反応基質の
有機酸とアンモニアあるいはアンモニウム塩化合物を存
在させればよく、その際、例えば、金属イオン、酸、あ
るいは塩基等のような水溶性の触媒、金属担持触媒、固
体酸、固体塩基等の固体触媒あるいは酵素等は特に添加
する必要がなく、また、有機溶媒を使用する必要もな
い。本発明は、基本的には、高温高圧水中に上記反応基
質を存在させて、無触媒条件下で、あるいは有機溶媒を
反応に関与させることなく、有機酸とアンモニアあるい
はアンモニウム塩化合物を反応させて有機酸にアミノ基
を導入すること、及びそれによりアミノ酸を合成するこ
とを最大の特徴としているが、必要により、メタノー
ル、エタノール、エチレングリコール等の有機溶媒、金
属イオン、酸、あるいは塩基等のような水溶性の触媒、
金属担持触媒、固体酸、固体塩基等の固体触媒あるいは
酵素を添加して反応させても一向にさしつかえない。
【0018】本発明では、上記反応系により、例えば、
反応時間0.001秒から10分程度の短時間で有機酸
にアミノ基が導入され、あるいはアミノ酸が合成され
る。例えば、流通式反応装置を用いる場合、反応時間
は、反応温度、反応圧力、高温高圧水の流速、反応基質
の導入流速、反応器の大きさ、反応器の流通経路の長さ
等を制御することによって反応時間をコントロールでき
る。好適には反応時間は0.01秒から5分の範囲の値
を選択でき、最も好適には0.05秒から2分の範囲の
値を選択できるが、本発明は、これらの値に限定される
ものではない。
【0019】本発明者らは、後記する実施例に示される
ように、高温高圧水条件下では、短時間(例えば、反応
時間0.1秒前後)で有機酸へのアミノ基の導入が可能
であることを、高速液体クロマトグラフィー質量分析装
置(LC−MS装置)やフリエー赤外分光光度計(FT
IR装置)を用いて確認している。更に、LC−MS装
置を用いることにより、有機酸やアミノ酸の種類を分離
して同定でき、それらの含有量を正確に定量できる。ま
た、連続的に得られるアミノ酸をイオン交換樹脂等を用
いて分離精製して、FTIR装置により赤外線吸収スペ
クトルを計測し、純度の高い特級試薬製品のそれと比較
することにより、アミノ酸の種類を正確に同定できる。
同様にNMR測定によってもアミノ酸の種類や純度を確
認できる。例えば、流通式装置を用いて300℃〜42
0℃、圧力35MPa及び反応時間0.06秒〜0.3
3秒の条件下で、4.8mM〜47.8mM濃度のリン
ゴ酸とアンモニア水から0.2mM〜7.3mM濃度の
アスパラギン酸が合成できた。また、同様にバッチ方式
では乳酸とアンモニア水から温度350℃、圧力30M
Pa及び反応時間40秒で13.7mM濃度のアラニン
を合成した。これらの反応の結果、アンモニアがこれら
の有機酸の水酸基と反応して水酸基を引き抜き、その位
置にアミノ基が導入されていることがLC−MS装置、
NMR測定装置やFTIR装置より得られた測定結果か
ら確認された。
【0020】本発明で生成したアミノ酸の反応収率は、
温度、圧力等の反応条件、有機酸の種類、有機酸の濃
度、アンモニアやアンモニウム化合物の濃度、反応装置
の形態、反応器の大きさ等によって変動する。例えば、
流通式装置を用いたアスパラギン酸合成の場合の反応収
率は4.2%から21.3%であった。これらのアスパ
ラギン酸は、原料のリンゴ酸等と混合して回収される。
同様に、本発明によって種々の有機酸あるいはそれらの
混合物から多種のアミノ酸が原料基質とともに回収され
るが、反応後、得られた反応液をイオン交換樹脂、例え
ば、陽イオン交換樹脂や陰イオン交換樹脂あるいはそれ
らの併用によってアミノ酸と原料基質を分離精製でき、
更に、アミノ酸同士の分離も可能なので、アミノ酸は、
その種類毎に精製濃縮できる。また、同時に回収された
原料基質は、再度原料として用いることができる。ま
た、イオン交換樹脂の代わりにアルミナ、逆相用シリカ
ゲル、ゼオライト、セルロース、カーボン等の一般的な
適宜のアミノ酸分離用資材を利用してアミノ酸を分離精
製することもできる。従って、高温高圧水条件下で有機
酸とアンモニアあるいはアンモニウム塩化合物を反応さ
せてアミノ酸を合成し、得られた反応溶液に対してイオ
ン交換樹脂、アルミナ、逆相用シリカゲル、セルロース
等のアミノ酸分離材を用いてアミノ酸を分離精製して、
高純度のアミノ酸を好適に製造できる。
【0021】
【作用】本発明では、高温高圧水条件下の高温熱水中
に、反応基質として所定の濃度の有機酸及びアンモニア
あるいはアンモニウム塩化合物を存在させることによ
り、例えば、α−ヒドロキシ酸型の乳酸及びアンモニア
からアラニンが合成される。この場合、乳酸に代えて、
グリコール酸、リンゴ酸あるいは酒石酸とアンモニアを
反応させることによりアミノ基がこれらの有機酸に導入
され、グリシン、アスパラギン酸あるいはα, β−ジア
ミノコハク酸が合成される。また、これらの有機酸等と
アンモニア水溶液あるいはアンモニウム塩化合物を反応
器に連続的に導入することにより、連続的にそれぞれの
有機酸に対応した種々のアミノ酸を合成することができ
る。これらのことから、本発明は、上記反応系におい
て、反応条件、反応基質の有機酸の種類、有機酸及びア
ンモニア水溶液あるいはアンモニウム塩化合物の濃度を
調節することにより、有機酸にアミノ基を導入するこ
と、それによりアミノ酸を短時間で合成することを可能
とし、新規のアミノ基導入法及びアミノ酸合成方法ある
いはアミノ酸製造方法として有用である。
【0022】
【実施例】次に、実施例に基づいて本発明を具体的に説
明するが、本発明は以下の実施例によって何ら限定され
るものではない。 実施例1 図1に示す連続式反応装置を用い、温度350℃、圧力
35MPa及び密度0.6593g/cm3 の高温高圧
水条件下でリンゴ酸(和光純薬社製特級試薬)とアンモ
ニア水(和光純薬社製特級試薬)を反応させ、アミノ基
の導入によるアスパラギン酸の連続合成を試みた。反応
器材料は合金C−276であり、反応器内径:0.65
mm及び反応器長さ:25cmで、従って、反応器容積
は0.083cm3 と算出された。各導入調製液は高圧
ポンプで注入した。反応に使用した水は蒸留水を使用
し、窒素ガスでバブリングして溶存酸素を追い出したキ
ャリヤー水を9ml/minの流速で通水した。同様に
処理した蒸留水を用い、0.100Mリンゴ酸及び0.
300Mアンモニア水を含有した基質溶液を調製し、こ
の基質溶液を4.7ml/minの流速で反応器に導入
した。反応器に入る前の各基質濃度はリンゴ酸:34.
3mM及びアンモニア水:0.1028Mであった。反
応時間は0.240秒であり、反応後の水溶液を高速液
体クロマトグラフィー質量分析装置で調べた所、リンゴ
酸にアミノ基が導入され、アスパラギン酸が生成してい
ることを確認した。アスパラギン酸の含有濃度は7.3
mMであり、その反応収率は21.3%であった。
【0023】実施例2 実施例1と全く同じ条件で一時間、連続してリンゴ酸と
アンモニア水を反応させた。得られた反応溶液を陽イオ
ン交換樹脂(ダウケミカル社製50W−X8)カラムに
通して原料のリンゴ酸と生成したアスパラギン酸を分離
し、アスパラギン酸含有溶液を濃縮精製後、エタノール
にて析出させ、濾過、乾燥して、本発明製品0.78g
を得た。得られた本発明製品は、純白の粉末状をしてお
り、FTIR吸収スペクトル結果及びNMR測定結果か
ら不純物をほとんど含まない高純度のアスパラギン酸で
あることを確認した。
【0024】実施例3 実施例1と同様に反応させて、リンゴ酸とアンモニア水
からアスパラギン酸の連続合成を試みた。また、図2に
示した連続反応装置を用い、別々に調製した0.100
Mリンゴ酸水溶液と0.300Mアンモニア水溶液を異
なった2つの送水ポンプで反応器に注入した。ただし、
反応条件を一部下記の様に変更して実施した。 変更した反応条件 反応温度:374℃ 高温高圧水密度0.588g/cm3 キャリヤー水流速:10ml/min 基質溶液(0.100Mリンゴ酸水溶液)流速:3.2
ml/min 基質溶液(0.300Mアンモニア水溶液)流速:3.
2ml/min 反応器に入る前の各基質濃度はリンゴ酸:19.5mM
及びアンモニア水:0.0585Mであった。反応時間
は0.222秒であり、反応後の水溶液を高速液体クロ
マトグラフィー質量分析装置で調べた所、リンゴ酸にア
ミノ基が導入され、アスパラギン酸が生成していること
を確認した。アスパラギン酸の含有濃度は4.6mMで
あり、その反応収率は23.6%であった。
【0025】実施例4 実施例1と同様に反応させて、リンゴ酸とアンモニア水
からアスパラギン酸の連続合成を試みた。ただし、反応
条件を一部下記の様に変更して実施した。 変更した反応条件 反応温度:300℃ 高温高圧水密度0.7580g/cm3 キャリヤー水流速:6ml/min 基質溶液流速:5.5ml/min 反応器に入る前の各基質濃度はリンゴ酸:47.8mM
及びアンモニア水:0.1434Mであった。反応時間
は0.328秒であり、反応後の水溶液を高速液体クロ
マトグラフィー質量分析装置で調べた所、リンゴ酸にア
ミノ基が導入され、アスパラギン酸が生成していること
を確認した。アスパラギン酸の含有濃度は5.4mMで
あり、その反応収率は11.3%であった。
【0026】比較例 実施例1と同様に反応させて、リンゴ酸とアンモニア水
からアスパラギン酸の連続合成を試みた。ただし、反応
条件を一部下記の様に変更して実施した。 変更した反応条件 反応温度:200℃ 反応圧力:15MPa 高温高圧水密度0.8746g/cm3 キャリヤー水流速:6ml/min 基質溶液流速:5.5ml/min 反応器に入る前の各基質濃度はリンゴ酸:47.8mM
及びアンモニア水:0.1434Mであった。反応時間
は0.379秒であり、反応後の水溶液を高速液体クロ
マトグラフィー質量分析装置で調べた所、原料のリンゴ
酸だけが検出され、アスパラギン酸は全く得られなかっ
た。
【0027】実施例5 実施例1と同様に反応させて、リンゴ酸とアンモニア水
からアスパラギン酸の連続合成を試みた。ただし、反応
条件を一部下記の様に変更して実施した。 変更した反応条件 反応温度:420℃ 高温高圧水密度0.2700g/cm3 キャリヤー水流速:20ml/min 基質溶液流速:1ml/min 反応器に入る前の各基質濃度はリンゴ酸:4.8mM及
びアンモニア水:0.0142Mであった。反応時間は
0.064秒であり、反応後の水溶液を高速液体クロマ
トグラフィー質量分析装置で調べた所、リンゴ酸にアミ
ノ基が導入され、アスパラギン酸が生成していることを
確認した。アスパラギン酸の含有濃度は0.2mMであ
り、その反応収率は4.2%であった。
【0028】実施例6 実施例1と同様に反応させて、グリコール酸(和光純薬
社製1級試薬)とアンモニア水からグリシンの連続合成
を試みた。溶存酸素を除去した蒸留水を用い、0.10
0Mグリコール酸及び0.199Mアンモニア水を含有
した基質溶液を調製し反応に供した。ただし、反応条件
を一部下記の様に変更して実施した。 変更した反応条件 反応温度:374℃ 高温高圧水密度0.588g/cm3 キャリヤー水流速:6ml/min 基質溶液流速:2.3ml/min 反応器に入る前の各基質濃度はグリコール酸:27.7
mM及びアンモニア水:55.2mMであった。反応時
間は0.353秒であり、反応後の水溶液を高速液体ク
ロマトグラフィー質量分析装置で調べた所、グリコール
酸にアミノ基が導入され、グリシンが生成していること
を確認した。グリシンの含有濃度は1.2mMであり、
その反応収率は4.3%であった。
【0029】実施例7 実施例6と同様に反応させて、グリコール酸とアンモニ
ア水からグリシンの連続合成を試みた。ただし、反応条
件を一部下記の様に変更して実施した。 変更した反応条件 反応温度:400℃ 高温高圧水密度0.4749g/cm3 キャリヤー水流速:10ml/min 基質溶液流速:2ml/min 反応器に入る前の各基質濃度はグリコール酸:16.7
mM及びアンモニア水:33.2mMであった。反応時
間は0.197秒であり、反応後の水溶液を高速液体ク
ロマトグラフィー質量分析装置で調べた所、グリコール
酸にアミノ基が導入され、グリシンが生成していること
を確認した。グリシンの含有濃度は0.7mMであり、
その反応収率は4.2%であった。
【0030】実施例8 実施例1と同様に反応させて、乳酸(和光純薬社製特級
試薬)とアンモニア水からアラニンの連続合成を試み
た。溶存酸素を除去した蒸留水を用い、1.085M乳
酸及び5.002Mアンモニア水とした基質溶液を調製
し反応に供した。ただし、反応条件を一部下記の様に変
更して実施した。 変更した反応条件 反応温度:374℃ 高温高圧水密度0.588g/cm3 キャリヤー水流速:5ml/min 基質溶液流速:2ml/min 反応器に入る前の各基質濃度は乳酸:0.310M及び
アンモニア水:1.429Mであった。反応時間は0.
418秒であり、反応後の水溶液を高速液体クロマトグ
ラフィー質量分析装置で調べた所、乳酸にアミノ基が導
入され、アラニンが生成していることを確認した。アラ
ニンの含有濃度は8.6mMであり、その反応収率は
2.8%であった。
【0031】実施例9 実施例8と同様に反応させて、乳酸とアンモニア水から
アラニンの連続合成を試みた。ただし、反応条件を一部
下記の様に変更して実施した。 変更した反応条件 反応圧力:40MPa 高温高圧水密度0.6090g/cm3 キャリヤー水流速:4.5ml/min 基質溶液流速:1.35ml/min 反応器に入る前の各基質濃度は乳酸:0.250M及び
アンモニア水:1.154Mであった。反応時間は0.
518秒であり、反応後の水溶液を高速液体クロマトグ
ラフィー質量分析装置で調べた所、乳酸にアミノ基が導
入され、アラニンが生成していることを確認した。アラ
ニンの含有濃度は7.7mMであり、その反応収率は
3.1%であった。
【0032】実施例10 実施例8と同様に反応させて、乳酸とアンモニア水から
アラニンの連続合成を試みた。ただし、反応条件を一部
下記の様に変更して実施した。 変更した反応条件 反応圧力:30MPa 高温高圧水密度0.5580g/cm3 キャリヤー水流速:9.3ml/min 基質溶液流速:4.5ml/min 反応器に入る前の各基質濃度は乳酸:0.354M及び
アンモニア水:1.631Mであった。反応時間は0.
201秒であり、反応後の水溶液を高速液体クロマトグ
ラフィー質量分析装置で調べた所、乳酸にアミノ基が導
入され、アラニンが生成していることを確認した。アラ
ニンの含有濃度は7.3mMであり、その反応収率は
2.1%であった。
【0033】実施例11 実施例8と同様に反応させて、乳酸とアンモニア水から
アラニンの連続合成を試みた。ただし、反応条件を一部
下記の様に変更して実施した。 変更した反応条件 反応圧力:25MPa 高温高圧水密度0.4851g/cm3 キャリヤー水流速:6.7ml/min 基質溶液流速:2ml/min 反応器に入る前の各基質濃度は乳酸:0.249M及び
アンモニア水:1.150Mであった。反応時間は0.
278秒であり、反応後の水溶液を高速液体クロマトグ
ラフィー質量分析装置で調べた所、乳酸にアミノ基が導
入され、アラニンが生成していることを確認した。アラ
ニンの含有濃度は4.5mMであり、その反応収率は
1.8%であった。
【0034】実施例12 実施例8と同様に反応させて、乳酸とアンモニア水から
アラニンの連続合成を試みた。ただし、反応条件を一部
下記の様に変更して実施した。 変更した反応条件 反応温度:400℃ 反応圧力:40MPa 高温高圧水密度0.5237g/cm3 キャリヤー水流速:6ml/min 基質溶液流速:1ml/min 反応器に入る前の各基質濃度は乳酸:0.155M及び
アンモニア水:0.715Mであった。反応時間は0.
373秒であり、反応後の水溶液を高速液体クロマトグ
ラフィー質量分析装置で調べた所、乳酸にアミノ基が導
入され、アラニンが生成していることを確認した。アラ
ニンの含有濃度は5.5mMであり、その反応収率は
3.6%であった。
【0035】実施例13 実施例1と同様に反応させて、乳酸と酢酸アンモニウム
(和光純薬社製特級試薬)からアラニンの連続合成を試
みた。溶存酸素を除去した蒸留水を用い、1.085M
乳酸及び1.409M酢酸アンモニウム水溶液を含有し
た基質溶液を調製し反応に供した。ただし、反応条件を
一部下記の様に変更して実施した。 変更した反応条件 反応温度:374℃ 高温高圧水密度0.588g/cm3 キャリヤー水流速:7ml/min 基質溶液流速:3ml/min 反応器に入る前の各基質濃度は乳酸:0.325M及び
酢酸アンモニウム水溶液:0.423Mであった。反応
時間は0.293秒であり、反応後の水溶液を高速液体
クロマトグラフィー質量分析装置で調べた所、乳酸にア
ミノ基が導入され、アラニンが生成していることを確認
した。アラニンの含有濃度は6.0mMであり、その反
応収率は1.8%であった。
【0036】実施例14 実施例1と同様に反応させて、乳酸と炭酸アンモニウム
(国産化学社製特級試薬)からアラニンの連続合成を試
みた。溶存酸素を除去した蒸留水を用い、1.153M
炭酸アンモニウム水溶液を調製し、キャリヤー水として
用いた。また溶存酸素を除去した蒸留水を用いて1.0
84M乳酸基質溶液を調製し反応に供した。ただし、反
応条件を一部下記の様に変更して実施した。 変更した反応条件 反応温度:374℃ 反応圧力:30MPa 高温高圧水密度0.558g/cm3 キャリヤー水流速:7ml/min 基質溶液流速:3ml/min 反応器に入る前の各基質濃度は乳酸:0.3252M及
び炭酸アンモニウム水溶液:0.8071Mであった。
反応時間は0.278秒であり、反応後の水溶液を高速
液体クロマトグラフィー質量分析装置で調べた所、乳酸
にアミノ基が導入され、アラニンが生成していることを
確認した。アラニンの含有濃度は6.5mMであり、そ
の反応収率は2.0%であった。
【0037】実施例15 実施例1と同様に反応させて、L−酒石酸(半井化学社
製特級試薬)とアンモニア水からα, β−ジアミノコハ
ク酸の連続合成を試みた。溶存酸素を除去した蒸留水を
用い、1.00ML−酒石酸及び4.61Mアンモニア
水とした基質溶液を調製し反応に供した。ただし、反応
条件を一部下記の様に変更して実施した。 変更した反応条件 反応温度:374℃ 高温高圧水密度0.588g/cm3 キャリヤー水流速:10ml/min 基質溶液流速:4.5ml/min 反応器に入る前の各基質濃度は酒石酸:0.3103M
及びアンモニア水:1.4307Mであった。反応時間
は0.202秒であり、反応後の水溶液を高速液体クロ
マトグラフィー質量分析装置で調べた所、酒石酸に2個
のアミノ基が導入され、α, β−ジアミノコハク酸が生
成していることを確認した。α, β−ジアミノコハク酸
の含有濃度は0.75mMであり、その反応収率は0.
2%であった。
【0038】実施例16 乳酸とアンモニア水を反応基質として用い、高温高圧水
条件下で乳酸に対してアミノ基の導入を試みた。反応は
図3に示した反応中に振とう攪拌ができるバッチ反応装
置で行った。反応器として内容積10.5cm3 の反応
管を用いて、温度350℃、圧力30MPaになるよう
に設定し、硝酸ナトリウム/硝酸カリウム混合塩の塩浴
槽温度に60秒投入してアミノ基導入反応を行った。反
応温度まで上昇するのに40秒を要し、反応時間は40
秒であった。反応前の反応溶液中の乳酸濃度は1.08
5M及びアンモニア水濃度は5.002Mであった。反
応後、得られた溶液を高速液体クロマトグラフィー質量
分析装置で調べた所、13.7mMのアラニンが生成し
ていることを確認した。アラニンの反応収率は1.4%
であった。
【0039】実施例17 実施例1と同様に反応させて、乳酸と液化アンモニアか
らアラニンの連続合成を試みた。溶存酸素を除去した蒸
留水から0.556M乳酸水溶液を調製した。図2に示
した連続反応装置を用い、0.556M乳酸水溶液と液
化アンモニアを異なった2つの送水ポンプで反応器に注
入した。ただし、反応条件を下記の様に変更して実施し
た。 変更した反応条件 反応温度:380℃ 反応圧力:30MPa 高温高圧水密度0.5340g/cm3 キャリヤー水流速:10ml/min 基質溶液(0.556M乳酸水溶液)流速:0.5ml
/min 基質溶液(液化アンモニウム)流速:1ml/min 反応器の各基質濃度は乳酸:26.5mM及びアンモニ
ア水:0.28Mであった。反応時間は0.305秒で
あり、反応後の水溶液を高速液体クロマトグラフィー質
量分析装置で調べた所、乳酸にアミノ基が導入され、ア
ラニンが生成していることを確認した。アラニンの含有
濃度は5.4mMであり、その反応収率は20.4%で
あった。
【0040】
【発明の効果】以上詳述した通り、本発明は、高温高圧
水条件下で有機酸とアンモニアあるいはアンモニウム塩
化合物を反応させることにより有機酸にアミノ基を導入
することを特徴とするアミノ基導入法、高温高圧水条件
下で有機酸とアンモニアあるいはアンモニウム塩化合物
を反応させ、有機酸からアミノ酸を合成することを特徴
とするアミノ酸合成方法に係り、本発明により、1)高
温高圧下での新規のアミノ基導入法を提供することがで
きる、2)有機酸及びアンモニアあるいはアンモニウム
塩化合物を高温高圧下で反応させてアミノ酸を合成する
ことができる、3)上記アミノ基導入法を流通式に適用
して、有機酸からアミノ酸を連続的に高速で合成するこ
とができる、4)有機溶媒、触媒を一切使用しないアミ
ノ酸合成方法を提供することができる、5)高純度のア
ミノ酸を製造することができる、6)環境に優しい化学
物質生産システムとして有用である、という格別の効果
が奏される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いた送水ポンプ2台付属の流通式反
応装置のフローシートを示す。
【図2】本発明に用いた送水ポンプ3台付属の流通式反
応装置のフローシートを示す。
【図3】バッチ式反応に用いたバッチ式反応管及び硝酸
ナトリウム/硝酸カリウム混合塩を使用した振とう攪拌
式塩浴槽の概要を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 川波 肇 宮城県仙台市泉区館5丁目18の8 (72)発明者 金久保 光央 宮城県多賀城市丸山1丁目16番11−13号 (72)発明者 鳥居 一雄 宮城県仙台市太白区西中田1丁目19番13号 Fターム(参考) 4H006 AA02 AC52 AD17 BC10 BC11 BE14 BE90 BS10 BU32 NB10 NB11 NB16

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高温高圧水条件下で有機酸とアンモニア
    あるいはアンモニウム塩化合物を反応させることにより
    有機酸にアミノ基を導入することを特徴とするアミノ基
    導入法。
  2. 【請求項2】 高温高圧水条件下で有機酸とアンモニア
    あるいはアンモニウム塩化合物を反応させ、有機酸にア
    ミノ基を導入してアミノ酸を合成することを特徴とする
    アミノ酸合成方法。
  3. 【請求項3】 250℃以上の温度及び圧力20MPa
    以上の圧力の範囲である高温高圧水条件下で有機機酸と
    アンモニアあるいはアンモニウム塩化合物を反応させる
    ことを特徴とする請求項2記載のアミノ酸合成方法。
  4. 【請求項4】 高温高圧水条件下で有機酸とアンモニア
    水、酢酸アンモニウムあるいは炭酸アンモニウムを反応
    させることを特徴とする請求項2又は請求項3記載のア
    ミノ酸合成方法。
  5. 【請求項5】 高温高圧水条件下で有機酸と液化アンモ
    ニアを反応させることを特徴とする請求項2又は請求項
    3記載のアミノ酸合成方法。
  6. 【請求項6】 有機酸として、ヒドロキシ酸を使用する
    ことを特徴とする請求項2から5のいずれかに記載のア
    ミノ酸合成方法。
  7. 【請求項7】 有機酸として、乳酸、グリコール酸、リ
    ンゴ酸又は酒石酸を使用することを特徴とする請求項2
    から6のいずれかに記載のアミノ酸合成方法。
  8. 【請求項8】 有機酸とアンモニアあるいはアンモニウ
    ム塩化合物を高温高圧水条件下の反応器に導入して連続
    的に反応させることを特徴とする請求項2から7のいず
    れかに記載のアミノ酸合成方法。
  9. 【請求項9】 高温高圧水条件下で有機酸とアンモニア
    あるいはアンモニウム塩化合物を反応基質としてアミノ
    酸を製造する方法であって、有機酸とアンモニアあるい
    はアンモニウム塩化合物を高温高圧水条件下の反応器に
    導入して連続的に反応させ、反応後、得られた反応液を
    イオン交換樹脂等のアミノ酸分離材を用いて分離精製処
    理してアミノ酸を得ることを特徴とするアミノ酸製造方
    法。
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