JP2000103760A - アジピン酸の製造方法 - Google Patents

アジピン酸の製造方法

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JP2000103760A
JP2000103760A JP11215231A JP21523199A JP2000103760A JP 2000103760 A JP2000103760 A JP 2000103760A JP 11215231 A JP11215231 A JP 11215231A JP 21523199 A JP21523199 A JP 21523199A JP 2000103760 A JP2000103760 A JP 2000103760A
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caprolactone
acid
hydroxycaproic acid
catalyst
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Hiroshi Ichihashi
宏 市橋
Kazuhide Tanaka
一秀 田中
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Sumitomo Chemical Co Ltd
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Sumitomo Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 原料として窒素酸化物の副生要因となる硝酸
等を用いることなく、また高圧条件を用いることもない
アジピン酸の製造方法を提供する。 【解決手段】 ヒドロキシカプロン酸および/またはε
−カプロラクトンを白金族金属を触媒として酸素あるい
は酸素含有ガスで酸化し、アジピン酸を製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はアジピン酸の製造方
法に関する。さらに詳細にはヒドロキシカプロン酸やε
- カプロラクトンを特定触媒を用い酸化することを特徴
とするアジピン酸の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】アジピン酸は、ナイロン6,6、ウレタ
ン原料(1,6-hexamethylendiol)或いは可塑剤など種々
の有機化学製品の原料として使われている。従来、アジ
ピン酸はシクロヘキサンの液相酸化で得られるシクロヘ
キサノール、シクロヘキサノンの混合物(KAオイルと
称する)を硝酸により酸化して製造する方法が一般的で
ある。しかしながらKAオイルの硝酸酸化は高収率でア
ジピン酸が得られるものの、地球温暖化効果が大きい窒
素酸化物(N2Oなど)が副生するため、これの処理が
問題になっている。例えば、シクロヘキサノールの硝酸
酸化では以下の式によりN2Oが副生する。 C11OH+2HNO→ HOOC−(CH
−COOH+NO+2HO 硝酸に代えて空気でシクロヘキサノールやシクロヘキサ
ノンを直接酸化するプロセスの開発も行われているが、
収率の面で十分満足し得るものではない。また、一酸化
差炭素によりブタジエンをカルボニル化してアジピン酸
を得る方法も開発されているが、高圧の反応条件を必要
としたり、収率が十分でないなどまだ課題を抱えてい
る。
【0003】一方、シクロヘキサノンおよびシクロヘキサノ
ールは、現在、シクロヘキサンの液相酸化により工業的
に製造されているが、その製造方法によるとシクロヘキ
サノンとシクロヘキサノールの合計収率は約70〜約9
0%であり、アジピン酸、ヒドロキシカプロン酸、ε-
カプロラクトンなどを比較的高濃度で含む副生物が約1
0〜約30%程度生成する。例えば、コバルト塩を触媒
としてシクロヘキサンを空気酸化すると、副生する酸性
排水中には、アジピン酸が5〜15重量%、ヒドロキシ
カプロン酸が5〜10重量%、ε-カプロラクトンが
0.1〜0.5重量%、アジピン酸エステルが0.1〜
0.5重量%の濃度で含有されている。副生する該酸性
排水からアジピン酸を回収することは資源の利用効率、
環境負荷の低減の観点から望ましいと考えられるが、ヒ
ドロキシカプロン酸、ε- カプロラクトンについては需
要が小さいために殆ど回収されることなく焼却等の方法
によって処理されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このような状況の中
で、本発明者らは、原料として窒素酸化物の副生要因と
なる硝酸を用いることなく、また格別高い圧力条件を用
いることもないアジピン酸の製造方法を見いだすことを
目的として鋭意検討した結果、特定触媒を用い、ヒドロ
キシカプロン酸および/またはε- カプロラクトンを酸
化せしめる場合には、硝酸をもちいることなく、また格
別高い圧力条件を用いることもなくアジピン酸を効率よ
く製造できることを見出し、この方法により、副生成物
として得られて従来は主として焼却処理されていたヒド
ロキシカプロン酸および/またはε-カプロラクトン等
も有効に活用でき、シクロヘキサンの酸化によるシクロ
ヘキサノン、シクロヘキサノールの製造工程で副生する
ヒドロキシカプロン酸およびε- カプロラクトン等を
も、特定触媒を用いて酸化せしめることで、上記目的を
全て満足し得るアジピン酸の製造方法を提供し得ること
を見出し、本発明を完成するに至った。
【0005】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明はヒド
ロキシカプロン酸および/またはε- カプロラクトンを
白金族金属を触媒として酸素あるいは酸素含有ガスで酸
化することを特徴とするアジピン酸の製造方法を提供す
るにある。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明をさらに詳細に説明
する。本発明の実施に際しては、原料としてヒドロキシ
カプロン酸および/またはε-カプロラクトンが使用さ
れる。ε- カプロラクトンは水溶液の状態では時間経過
とともに加水分解しヒドロキシカプロン酸を生成する。
一方ヒドロキシカプロン酸は脱水環化してε-カプロラ
クトンを生成するので、水溶液中では時間経過とともに
両者は次第に平衡状態に向かう。従って本発明では原料
としてヒドロキシカプロン酸を単独で使用してもよい
し、ε- カプロラクトンを単独で用いてもよいが、いず
れを用いても溶媒として水を使用する場合には、かかる
平衡により実質的に両者の混合物を用いることになる。
【0007】原料としてのヒドロキシカプロン酸および/ま
たはε- カプロラクトンは、いかなる方法により得られ
たものでもよく、特に制限されないが、例えばシクロヘ
キサンの空気酸化によりシクロヘキサノン、シクロヘキ
サノールを製造する際に副生するε- カプロラクトン、
ヒドロキシカプロン酸を原料として用いることができ
る。この場合には、不純物として同時に含まれるヒドロ
キシカプロン酸のエステル類からもアジピン酸を製造す
ることが出来る。本発明で用いるヒドロキシカプロン酸
とは、ヒドロキシカプロン酸のエステル類をも包含する
ものである。ヒドロキシカプロン酸のエステル類として
は、例えば、酢酸、蓚酸、カプロン酸、アジピン酸など
の酸とヒドロキシカプロン酸が脱水反応により生成した
エステルあるいはシクロヘキサノールとヒドロキシカプ
ロン酸が脱水縮合して生成したエステル、および2分子
のヒドロキシカプロン酸がカルボキシル基と水酸基の間
で脱水縮合して生成したエステルなどが挙げられる。
【0008】本発明に於いては、原料であるε- カプロラク
トン、ヒドロキシカプロン酸またはこれらの混合物を、
好ましくは水溶液の状態で、白金族金属からなる触媒の
存在下に、酸素あるいは酸素含有ガスを用いて酸化する
ことによりアジピン酸が製造される。水溶液状態で用い
る場合、該水溶液中のヒドロキシカプロン酸および/ま
たはε- カプロラクトンの濃度は、通常約1重量%〜約
40重量%、好ましくは約2重量%〜約20重量%であ
る。
【0009】触媒としては、白金族金属からなる金属が用い
られる。白金族金属としてより具体的には、例えば、白
金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム等が挙げれ、こ
れらのうちの少なくとも一種が適用される。これら触媒
は担体に担持して使用してもよく、そのまま用いてもよ
く、例えば、白金黒やパラジウム黒の様な金属微粒子は
そのまま用いてもよい。担体としては、例えば、活性
炭、シリカ、アルミナ、チタニア、ゼオライトなどが使
用される。就中、活性炭が好ましい。触媒を担体に担持
して使用する場合、金属成分の担持率は、通常約0.1
重量%〜約8重量%、好ましくは約0.2重量%〜約4
重量%である。
【0010】酸化に用いる酸素の使用量は、ε- カプロラク
トンとヒドロキシカプロン酸の合計に対して、通常モル
比で約1倍以上、好ましくは約4倍〜約20倍の範囲で
である。
【0011】本発明の具体的な実施方法としては、例えば、
原料であるε- カプロラクトンおよび/またはヒドロキ
シカプロン酸は水溶液として槽型反応器に仕込み、触媒
を加えて攪拌下に酸素ガスあるいは空気などの酸素含有
ガスを供給して実施する方法が挙げられる。別の方法と
しては、活性炭などに担持した触媒を反応器に充填し
て、ε- カプロラクトンおよび/またはヒドロキシカプ
ロン酸の水溶液を分子状酸素含有ガスとともに触媒層に
供給する方法が挙げられる。反応に使用される触媒の量
は、槽型反応器で実施する場合には、通常、ε- カプロ
ラクトン及び/またはヒドロキシカプロン酸に対して重
量比で約0.1%〜約200%の範囲、好ましくは約
0.1%〜約100%の範囲が採用される。充填層型の
反応器を使用し流通系で反応させる場合には、通常、ε
- カプロラクトンおよび/またはヒドロキシカプロン酸
が空間速度(単位時間、単位触媒重量あたりに供給され
る原料重量;WHSV)にして約0.02〜約5h-1、
好ましくは約0.05〜約2h-1で触媒層に供給され
る。
【0012】反応温度は、通常約80℃〜約220℃、好ま
しくは約100℃〜約180℃が採用される。温度が約
80℃より低い場合には充分な反応速度が得られず、温
度が約220℃を越える場合にはアジピン酸の選択率が
低下する傾向にある。
【0013】得られたアジピン酸は、反応混合物から晶析に
より回収することが出来る。晶析の方法としては、例え
ば、該反応混合を冷却してアジピン酸を析出させる方
法、水を蒸発させることによりアジピン酸を濃縮して析
出させる方法が挙げられる。
【0014】
【実施例】以下本発明を実施例により更に詳細に説明す
るが、本実施例は本発明の一実施態様であり、本発明は
かかる実施例により制限されるものではない。尚、実施
例中の%は特記しない限りすべてmol%を示す。
【0015】実施例1 内容積100mlのステンレス製オートクレーブに、ε
- カプロラクトン0.4gと水19.6gを加え、触媒
としてパラジウム黒40mgを加えた後、オートクレー
ブ内のガスを常温常圧条件下にて酸素ガスで置換し密閉
した。次いでオートクレーブを攪拌下に120℃まで加
温し、同温にて4時間保持した。その後室温まで冷却し
て反応混合物をガスクロマトグラフで分析した。ε- カ
プロラクトンの転化率は99%で、アジピン酸の収率は
原料としてもちいたε- カプロラクトン基準で44%で
あった。なお該反応混合物中にはヒドロキシカプロン酸
も存在し、その量は原料として用いたε- カプロラクト
ン基準で収率46%に相当した。
【0016】実施例2 反応時間を2時間にしたこと以外は実施例1と同様にし
て反応を行った。分析の結果ε- カプロラクトンの転化
率は99%であり、アジピン酸の収率は20%、ヒドロ
キシカプロン酸の収率は73%(いずれも原料として用
いたε- カプロラクトン基準)であった。
【0017】実施例3 反応時間を1時間とした以外は実施例1と同様にして反
応を行った。分析の結果ε-カプロラクトンの転化率は
99%であり、アジピン酸の収率は12%、ヒドロキシ
カプロン酸の収率は84%(いずれも原料として用いた
ε- カプロラクトン基準)であった。
【0018】実施例4 実施例1と同様にして内容積100mlのステンレス製
オートクレーブに、ε−カプロラクトン0.4gと水1
9.6gを加え、触媒としてパラジウム黒40mgを加
えた後、オートクレーブ内のガスを常温常圧条件下に酸
素ガスで置換し密閉した。次いでオートクレーブ内を攪
拌下に120℃にて4時間保持し反応を行った。その
後、室温まで冷却してオートクレーブ内のガスを酸素ガ
スにより置換して密閉した後、再度昇温して、攪拌下に
120℃にて4時間保持し反応を継続した。室温まで冷
却した後、反応混合物をガスクロマトグラフで分析し
た。ε−カプロラクトンの転化率は100%で、アジピ
ン酸の収率は82%、ヒドロキシカプロン酸の収率は9
%(いずれも原料として用いたε- カプロラクトン基
準)であった。
【0019】実施例1から4までのデータを表1に示す。表
1よりε- カプロラクトンは、まずヒドロキシカプロン
酸に転化し、次いでアジピン酸が生成することが判る。
【0020】
【表1】
【0021】参考例1 ヤシ殻破砕活性炭40gを、硝酸パラジウム8mmol
と二酸化テルル2.4mmolを溶解した30重量%の
濃度の硝酸水溶液120mlに加えて、4時間加熱還流
した。その後、 エバポレーターにより減圧下溶媒を留去
し反応混合物を乾固させた。これを150℃、窒素通気
下にて2時間ほぼ完全に乾燥した後、室温したにてメタ
ノールで飽和させた窒素ガスを1.5L/分の流速で通
じさせながら、200℃で2時間、更に400℃で1時
間保持して還元反応を行い、パラジウム金属を2重量
%、テルル金属を0.8重量%含有する活性炭担持触媒
を製造した。
【0022】実施例5 実施例1において、触媒としてパラジウム黒の代わりに
参考例1で調製した活性炭担持触媒0.4gを使用した
こと以外は実施例1と同様にして反応を行った。分析の
結果、アジピン酸の収率は23%、ヒドロキシカプロン
酸の収率は63%(いずれも原料として用いたε- カプ
ロラクトン基準)であった。
【0023】実施例6 実施例1において、触媒としてパラジウム黒の代わり
に、白金を1重量%担持したカーボンビーズ0.4g使
用したこと以外は実施例1と同様にして反応を行った。
分析の結果、アジピン酸の収率は26%、ヒドロキシカ
プロン酸の収率は57%(いずれも原料として用いたε
- カプロラクトン基準)であった。
【0024】実施例7 実施例1において、触媒としてパラジウム黒の代わり
に、ルテニウムを2重量%担持したカーボン粉末0.4
g使用したこと以外は実施例1と同様にして反応を行っ
た。分析の結果、アジピン酸の収率は16%、ヒドロキ
シカプロン酸の収率は71%で(いずれも原料として用
いたε- カプロラクトン基準)であった。
【0025】実施例8 実施例1において、触媒としてパラジウム黒の代わりに
パラジウムを2重量%担持したカーボン粉末0.4g使
用したこと以外は実施例1と同様にして反応を行った。
分析の結果、アジピン酸の収率は43%、ヒドロキシカ
プロン酸の収率は44%で(いずれも原料として用いた
ε- カプロラクトン基準)であった。
【0026】実施例9 実施例1において、触媒としてパラジウム黒の代わりに
パラジウムを2重量%担持したシリカ球(1.5mm
φ)0.4g使用したこと以外は実施例1と同様にして
反応を行った。分析の結果、アジピン酸の収率は29
%、ヒドロキシカプロン酸の収率は71%(いずれも原
料として用いたε- カプロラクトン基準)であった。
【0027】実施例10 実施例1において、触媒としてパラジウム黒の代わりに
パラジウム金属を2重量%、アンチモン金属を0.2重
量%を含有するカーボン粉末0.4g使用したこと以外
は実施例1と同様にして反応を行った。分析の結果、ア
ジピン酸の収率は11%、ヒドロキシカプロン酸の収率
は29%で(いずれも原料として用いたε- カプロラク
トン基準)であった。
【0028】実施例11 シクロヘキサンを液相酸化してシクロヘキサノン、シク
ロヘキサノールを製造した。得られた反応混合物から、
未反応のシクロヘキサン、シクロヘキサノン、シクロヘ
キサノールを取り出し、酸性排水を得た。該酸性排水に
は、アジピン酸、ヒドロキシカプロン酸、グルタル酸、
ε−カプロラクトン、アジピン酸エステル、ヒドロキシ
カプロン酸エステル等が含まれていた。実施例1に於い
て、ε−カプロラクトン0.4gと水19.6gを用いる
代わりに上記酸性排水を5倍希釈した溶液20gを用い
た以外は実施例1と同様にして反応を行った。分析の結
果、ヒドロキシカプロン酸の転化率は10%であり、ア
ジピン酸の収率は15%であった(いずれも原料として
用いた酸性排水中のヒドロキシカプロン酸基準)であっ
た。アジピン酸の収率がヒドロキシカプロン酸の転化率
より大きくなっているのは、原料酸性排水中に含まれて
いたアジピン酸のエステル化合物、ヒドロキシカプロン
酸のエステル化合物からもアジピン酸が生成したためで
あると考えられる。
【0029】実施例12 実施例11において、120℃で4時間反応温度を保持
するのに変えて、120℃で8時間温度を保持したこと
以外は、実施例11と同様にして反応を行った。分析の結
果、ヒドロキシカプロン酸の転化率は23%であり、ア
ジピン酸の収率は35%で(いずれも原料として用いた
酸性排水中のヒドロキシカプロン酸基準)あった。アジ
ピン酸の収率がヒドロキシカプロン酸の転化率より大き
くなっているのは、原料酸性排水中に含まれていたアジ
ピン酸のエステル化合物、ヒドロキシカプロン酸のエス
テル化合物からもアジピン酸が生成したためであると考
えられる。
【0030】実施例13 内径15.7mmΦのステンレス製充填層型の反応器
に、カーボンビーズ担体にパラジウムを2重量%担持し
た触媒15gを充填し、空気により反応器の内圧を5M
Paまで昇圧した。その後、反応器下部より、ε−カプ
ロラクトンを4.3重量%含有する水溶液を48g/h
r、及び空気を18NL/hrの速度で供給し、反応器
をバンドヒーターにより加熱しながら流通系で反応を行
った。発熱反応であるため触媒層の温度には分布が生じ
たが、最も高い温度を示す部位の温度を反応中140℃
に保持した。反応混合液を捕集しイオンクロマトグラフ
ィーで分析した結果、原料として用いたε−カプロラク
トン基準でアジピン酸の収率は64%であった。なお反
応混合物中には原料として用いたε−カプロラクトン基
準で収率11%に相当する量のヒドロキシカプロン酸が
存在した。
【0031】実施例14 実施例13において、ε−カプロラクトンを4.3重量
%含有する水溶液を48g/hrの速度で供給するのに
代えて、ε−カプロラクトンを2.15重量%含有する
水溶液を96g/hrの速度で供給したこと以外は実施
例13と同様にして反応を行った。反応混合物を捕集し
分析した結果、アジピン酸の収率は64%であり、ヒド
ロキシカプロン酸の収率は12%(いずれも原料として
用いたε- カプロラクトン基準)であった。
【0032】実施例15 実施例14において、触媒層の最高温度を140℃から
146℃へ変更したこと以外は実施例14と同様にして
反応を行った。分析の結果、アジピン酸の収率は70%
であり、ヒドロキシカプロン酸の収率は8%(いずれも
原料として用いたε- カプロラクトン基準)であった。
【0033】実施例16 シクロヘキサンを液相酸化してシクロヘキサノン、シク
ロヘキサノールを製造した。得られた反応混合物から、
未反応のシクロヘキサン、シクロヘキサノン、シクロヘ
キサノールを取り出し、酸性排水を得た。該酸性排水に
は、アジピン酸、ヒドロキシカプロン酸、グルタル酸、
ε−カプロラクトン、アジピン酸エステル、ヒドロキシ
カプロン酸エステル等が含まれていた。実施例13にお
いて、カーボンビーズ担体にパラジウムを2重量%担持
した触媒を15g充填する代りにそれを30gを充填
し、ε−カプロラクトンを4.3重量%含有する水溶液
を48g/hrの速度で供給するのに代えて、上記酸性
排水を3倍希釈した溶液を27g/hrの速度で供給
し、反応中の触媒層の最高温度を140℃から131℃
に代えた以外は、実施例13と同様にして反応した。分
析の結果、ヒドロキシカプロン酸の転化率は48%であ
り、アジピン酸の収率は47%(いずれも原料として用
いた酸性排水中のヒドロキシカプロン酸基準)であっ
た。
【0034】実施例17 実施例16において、仕込み液として、シクロヘキサン
の液相酸化によるシクロヘキサノン、シクロヘキサノー
ルの製造工程から得られる酸性排水を濃縮、晶析し粗ア
ジピン酸を回収した後の濾液を水で3倍希釈しこれを原
料として使用し、触媒層の最高温度を133℃としたこ
と以外は実施例16と同様にして反応した。分析の結
果、ヒドロキシカプロン酸の転化率は27%であり、ア
ジピン酸の収率は38%であった。(いずれも原料とし
て用いた濾液のヒドロキシカプロン酸基準)であった。
アジピン酸の収率がヒドロキシカプロン酸の転化率より
大きくなっているのは、原料として用いた濾液中に含ま
れていたアジピン酸のエステル化合物、ヒドロキシカプ
ロン酸のエステル化合物からもアジピン酸が生成したた
めであると考えられる。
【0035】
【発明の効果】以上詳述した本発明の方法によれば、窒
素酸化物を発生させることなくアジピン酸を製造するこ
とができ、しかもシクロヘキサンを酸化してシクロヘキ
サノン、シクロヘキサノールを製造する際に副生するヒ
ドロキシカプロン酸および/またはε- カプロラクトン
を原料として使用する場合には、該副生成物を有効利用
できるなど、その産業上の価値は極めて大である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C07C 51/31 C07C 51/31 55/14 55/14

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ヒドロキシカプロン酸および/またはε-
    カプロラクトンを白金族金属を触媒として、酸素ある
    いは酸素含有ガスで酸化することを特徴とするアジピン
    酸の製造方法。
  2. 【請求項2】 白金族金属が、白金、パラジウム、ロジ
    ウム、ルテニウムから選ばれる少なくとも一種であるこ
    とを特徴とする請求項1記載のアジピン酸の製造方法。
  3. 【請求項3】 触媒が白金族金属を担体に担持してなる
    ことを特徴とする請求項1または2記載のアジピン酸の
    製造方法。
  4. 【請求項4】 担体が活性炭であることを特徴とする請
    求項3記載のアジピン酸の製造方法。
  5. 【請求項5】 反応系に水を存在させることを特徴とす
    る請求項1〜4のいずれかに記載のアジピン酸の製造方
    法。
  6. 【請求項6】 ヒドロキシカプロン酸および/またはε-
    カプロラクトンが、水に溶解されて用いられる請求項
    1〜4のいずれかに記載のアジピン酸の製造方法。
  7. 【請求項7】 (1)シクロヘキサンを液相酸化して、
    シクロヘキサノン、シクロヘキサノールを含む反応混合
    物を得る工程、(2)該反応混合物からシクロヘキサ
    ン、シクロヘキサノン、シクロヘキサノールを取り出
    し、酸性排水を得る工程、および(3)白金族金属を触
    媒として用い、該酸性排水中のヒドロキシカプロン酸お
    よび/またはε- カプロラクトンを、酸素または酸素含
    有ガスで酸化する工程からなるアジピン酸の製造方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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JP2008546673A (ja) * 2005-06-17 2008-12-25 ロディア・シミ カルボン酸の製造方法
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