JPH06271518A - グリシンの製造方法 - Google Patents

グリシンの製造方法

Info

Publication number
JPH06271518A
JPH06271518A JP5085278A JP8527893A JPH06271518A JP H06271518 A JPH06271518 A JP H06271518A JP 5085278 A JP5085278 A JP 5085278A JP 8527893 A JP8527893 A JP 8527893A JP H06271518 A JPH06271518 A JP H06271518A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
serine
reaction
catalyst
glycine
glyceric acid
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP5085278A
Other languages
English (en)
Inventor
Hiroshi Kimura
洋 木村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kao Corp
Original Assignee
Kao Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kao Corp filed Critical Kao Corp
Priority to JP5085278A priority Critical patent/JPH06271518A/ja
Publication of JPH06271518A publication Critical patent/JPH06271518A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P20/00Technologies relating to chemical industry
    • Y02P20/50Improvements relating to the production of bulk chemicals
    • Y02P20/52Improvements relating to the production of bulk chemicals using catalysts, e.g. selective catalysts

Landscapes

  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)
  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】セリンをRh,Pt,Pd,Ru,Niおよび
Coからなる群より選ばれる一種以上の触媒の存在下で
脱水素および脱カルボニルさせることを特徴とするグリ
シンの製造方法、およびグリセリン酸をRh,Pt,P
d,Ru,NiおよびCoからなる群より選ばれる一種
以上の触媒の存在下でアミノ化してセリンを誘導し、さ
らに逐次反応により脱水素および脱カルボニルさせるこ
とを特徴とするグリシンの製造方法。 【効果】本発明の製造方法により、セリンまたはグリセ
リン酸からグリシンを高収率で簡易に製造することが可
能となった。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アミノ酸として有用な
グリシンの効率的な製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術・発明が解決しようとする課題】アミノ酸
として種々の用途に使用されているグリシンは、工業的
には従来より危険な青酸ガスを原料とするストレッカー
法によって製造されており、必ずしも安全で生産効率の
高い製造方法とは言えない。そのため、効率的な工業的
に有利なグリシンの製造方法の開発が期待されている。
【0003】
【課題を解決するための手段】本発明者等は先にグリセ
リン酸からDL−セリンへ誘導する方法(特願平4−1
62156号)を見い出したが、得られた、DL−セリ
ンの分解(脱水素と脱カルボニル)により容易にグリシ
ンが生成することを見い出し、鋭意研究した結果、本発
明を完成した。
【0004】即ち、本発明は(1)セリンをRh,P
t,Pd,Ru,NiおよびCoからなる群より選ばれ
る一種以上の触媒の存在下で脱水素および脱カルボニル
させることを特徴とするグリシンの製造方法、(2)グ
リセリン酸をRh,Pt,Pd,Ru,NiおよびCo
からなる群より選ばれる一種以上の触媒の存在下でアミ
ノ化してセリンを誘導し、さらに逐次反応により脱水素
および脱カルボニルさせることを特徴とするグリシンの
製造方法に関する。本発明の方法でグリシンを製造する
際の反応式は、以下の通りである。
【0005】
【化1】
【0006】
【化2】
【0007】即ち、本発明の製造方法は、所定の触媒組
成物の存在下、セリン(D−セリン,L−セリンまたは
DL−セリン)は脱水素反応により、相当するセリンア
ルデヒドに変換される。この中間体アルデヒドはさらに
脱カルボニル化反応により目的物であるグリシンに変換
される。
【0008】本発明で使用する原料としてのセリンは、
生合成品でも化学合成品でもよく、合成品の場合にはグ
リセリン酸から容易に誘導し得るDL−セリンを原料と
するのが特に有効である。化学合成法によりセリンを製
造する場合は、特願平4−162156号に記載された
製造方法を好適に用いることができる。この場合、グリ
セリン酸からセリンを誘導し、反応系外にセリンを分離
することなくさらに逐次反応によって効率よくグリシン
に誘導することができる。即ち、本発明における原料と
してはセリンのみならず、グリセリン酸を出発原料とし
て用いることもできる。
【0009】本発明で使用する触媒は、通常の水素化・
脱水素化触媒であり、例えば、ロジウム(Rh),白金
(Pt),パラジウム(Pd),ルテニウム(Ru)等
の貴金属触媒、またはニッケル(Ni),コバルト(C
o)等の卑金属触媒が使用される。これらの触媒成分は
単独成分として使用してもよいが、二種以上の触媒成分
を併用する複合成分触媒として使用することにより著し
い触媒活性を引き出すことが出来る。複合成分触媒とし
ては、特に限定されるものではないが、例えばPtとR
h、PdとRh、PdとNi等の2成分触媒、PtとP
dとRh等の3成分触媒等が好適なものとして例示され
る。なかでもPtとRh、PdとRhからなる2成分触
媒は、高い触媒活性を示すので好ましい。
【0010】貴金属触媒としては、活性炭を担体とする
通常のRh/C(ロジウム担持活性炭触媒、以下同様の
表記法による)、Pt/C,Pd/C,Ru/C触媒、
あるいはアルミナ、シリカを担体とする担持触媒を使用
してもよい。また、これらを組み合わせたものとしてP
t・Rh/C,Pd・Rh/Cを使用してもよい。本発
明においては、これら2成分触媒の使用により反応速度
が増大する。これらの貴金属触媒の触媒担持量として
は、0.5〜20重量%、好ましくは3〜10重量%が
よい。担持量が0.5重量%より少ないと反応速度が低
く、担持量が20重量%より多いと副反応が促進され
る。
【0011】本発明における担持触媒を調製するにあた
り、触媒成分Rhの原料としては、塩化ロジウム、酢酸
ロジウム、ロジウムアセチルアセトン、硝酸ロジウム及
びロジウムのアンモニア錯体等が挙げられる。触媒成分
Ptの原料としては、塩化白金酸および白金のアンモニ
ア錯体等が挙げられる。触媒成分Pdの原料としては、
塩化パラジウム、硝酸パラジウム、酢酸パラジウム、パ
ラジウムアセチルアセトン及びパラジウムのアンモニア
錯体等が挙げられる。触媒成分Ruの原料としては、塩
化ルテニウム、ルテニウムアセチルアセトン及びルテニ
ウムのアンモニア錯体等が挙げられる。
【0012】本発明における担持触媒は、前記のように
一種以上の触媒成分を単一の担体に担持させて得られる
ものでもよく、あるいは各触媒元素の担持触媒を二種以
上混合してなる混合触媒であってもよい。本発明におけ
る担持触媒として、一種以上の触媒成分を単一の担体に
担持させるには、通常の含浸法、共含浸法、共沈法、イ
オン交換体等の公知の方法によって容易に調製すること
が出来る。例えば、活性炭を担体とするPdとRhの2
成分触媒を共沈法によって調製するには、塩化パラジウ
ムと塩化ロジウムの均一な塩酸酸性水溶液を作り、これ
を室温にて活性炭に担持させる。担持処理終了後、水溶
液を除去することなく、苛性アルカリ水溶液を添加して
塩基性にし触媒成分を水酸化物の沈澱にし担体上に固定
させる。その後、ホルマリン、ソジウムボロハイドライ
ド、ヒドラジン等の還元剤で触媒成分の還元処理を行
い、水洗後濾過して使用する。得られた触媒は、含水品
のまま使用してもよく、乾燥品にして使用してもよい。
あるいは、触媒成分の担持処理後、過剰の水溶液を蒸発
乾固させて乾燥させ、水素還元を行って触媒の活性化を
行ってもよい。なお、上記の担持方法において、二種以
上の担体を同時に用いて担持させ、各々の単一担体に二
種以上の触媒成分を担持させてもよい。
【0013】また、各触媒元素の担持触媒を二種以上混
合して混合触媒とするには、ロジウム担持触媒、白金担
持触媒、パラジウム担持触媒、およびルテニウム担持触
媒より適宜所望の担持触媒を二種以上物理的に混合し、
所定の組成比となるよう調製することにより容易に得る
ことができる。また、二種以上の所望の担持触媒を、別
々に反応系に仕込んで用いてもよい。
【0014】触媒成分を二種3上併用する複合成分触媒
の場合、触媒元素間の組成比は、元素の組合せによって
異なるが、例えばPtとRhの2成分触媒の場合、Rh
/Ptモル比で、好ましくは10〜0.0001、特に
好ましくは1〜0.0001である。Ptに対するRh
の比率が小である程触媒活性も大となるが、比率が小さ
くなり過ぎてRh/Ptがモル比で0.0001未満に
なるとPt単独の場合と触媒活性がかわらず、併用によ
る相乗効果が認められない。一方、Ptに対するRhの
比率が大きくなりRh/Ptがモル比で10を越すと、
生成物の分解を併発しやすくなりコスト的にも不利にな
る。また、PdとRhの2成分触媒の場合、Rh/Pd
はモル比で、好ましくは10〜0.0001、特に好ま
しくは1〜0.0001である。Pdに対するRhの比
率が小である程触媒活性も大となるが、比率が小さくな
り過ぎてRh/Pdがモル比で0.0001未満になる
とPd単独の場合と触媒活性が変わらず、複合化による
相乗効果が認められない。一方、Pdに対するRhの比
率が大きくなりRh/Pdがモル比で10を越すと、生
成物の分解を併発しやすくなりコスト的にも不利にな
る。
【0015】卑金属触媒としては、ラネーニッケル、ラ
ネーコバルトが好ましく、特にラネーニッケルは有効で
ある。例えば、ラネーニッケル触媒を使用して特願平4
−162156号の方法によりセリンを製造する場合、
グリセリン酸の反応によってニッケルが溶出するが、こ
の溶出したニッケルは反応中水素還元され極めて活性な
触媒成分(均一ないしコロイド状ニッケル触媒)を生成
する。その他、これらの卑金属触媒を通常の担体に担持
させ担体付き触媒として使用してもよい。担体付き卑金
属触媒の場合の触媒担持量は、1〜50重量%、好まし
くは10〜25重量%がよい。担持量が1重量%未満だ
と反応速度が低く、50重量%を超えても反応速度に対
して特に有効な効果はない。これらの触媒は、市販のも
のを使用してもよく、あるいは調製したものを使用して
もよい。
【0016】本発明におけるこれらの触媒組成物の添加
量は、セリン水溶液中のセリン純分に対する触媒金属純
分換算で、通常0.1〜30重量%、好ましくは1〜2
0重量%、特に好ましくは2〜10重量%がよい。触媒
組成物の添加量が0.1重量%未満の場合は、効率よく
反応を進行させることが出来ないため実用的ではなく、
30重量%より大では生成するグリシンの分解が併発す
るのみならず経済的にも有利ではない。また、グリセリ
ン酸を出発原料とする場合の触媒組成物の添加量は、グ
リセリン酸水溶液中のグリセリン酸純分に対して、上記
セリンの場合と同程度の添加量とすればよい。
【0017】本発明の製造方法は、前記のようにセリン
(D−セリン,L−セリン,またはDL−セリン)また
はグリセリン酸を出発原料とし、本発明における触媒組
成物の存在下、セリンの接触分解反応(脱水素および脱
カルボニル)を行いグリシンに誘導する。
【0018】まず、出発原料としてセリンを用いる場
合、セリンは前記のように市販のもの(化学合成品でも
生合成品でもよい)を使用してもよく、また、前述のグ
リセリン酸から容易に製造されるセリンを反応系外に分
離することなくそのまま使用してもよい。セリンの分解
反応は、セリンの溶解度が大であることや化学的に不活
性であること等の点から水を溶媒として実施するのがよ
い。セリン水溶液の濃度としては、通常1〜50重量
%、好ましくは5〜30重量%、特に好ましくは5〜1
5重量%がよい。1重量%未満では生産性が低く、50
重量%を越えるとセリンの水に対する溶解度が約20重
量%であるため、固形セリンの量が多くなり撹拌が不十
分となり好ましくない。なお、セリンの溶解度以上に反
応系にセリンが存在することにより固形セリンが存在す
る場合、セリンからグリシンへの反応が進行すると共に
固形のセリンは溶解していき反応に関与する。グリセリ
ン酸からセリンを誘導して逐次反応によってさらにグリ
シンに誘導する場合にも、セリン水溶液の濃度としては
上記の範囲が良い。
【0019】セリンからグリシンを生成させる反応温度
は、通常10〜200℃、好ましくは40〜150℃、
特に好ましくは50〜100℃がよい。10℃より低い
温度では反応速度が低く実用的でなく、200℃より高
温ではグリシンの熱分解が併発しやすい。反応時間は反
応温度にもよるが、長時間の反応は一般に生成するグリ
シンの分解を併発するのみならず、得られるグリシンの
色相悪化の原因となる。従って、反応時間としては、通
常20時間以下、好ましくは1〜10時間が選ばれる。
また、セリンからグリシンを製造する場合の、水素圧力
としては、0.1〜20kg/cm2 G、好ましくは
0.5〜10kg/cm2 Gがよい。20kg/cm2
Gを越える過度の水素圧は、セリンの脱水素過程に不利
であり、0.1kg/cm2 G未満では反応速度が低下
する。
【0020】次に、グリセリン酸を出発原料とする場
合、グリセリン酸は市販のものあるいはグリセリンの酸
化等により製造したもののいずれであっても使用するこ
とができる。グリセリンの酸化等により製造する場合、
原料のグリセリンは油脂の加水分解またはエステル交換
反応によって製造することができる。さらに、グリセリ
ン酸は別途の方法、例えばグリセリンの電解酸化、微生
物による酸化、酵素酸化等により得られたグリセルアル
デヒドの酸化によって誘導されたものを使用してもよ
い。
【0021】グリセリン酸を出発原料とする場合、まず
アミノ化によりセリンを誘導するが、このアミノ化反応
に用いるアミノ化剤としては、アンモニアや種々の1級
アミンまたは2級アミンが使用出来る。1級アミンまた
は2級アミンとしては、脂肪族系、脂環式系又は芳香族
系でもよく、これらに置換基を有していてもよい。これ
らの1級アミンまたは2級アミンとして、例えば、メチ
ルアミン、ジメチルアミン、エチルアミン、ジエチルア
ミン、プロピルアミン、ジプロピルアミン、ヘキシルア
ミン、オクチルアミン、デシルアミン、ドデシルアミ
ン、テトラデシルアミン、ヘキサデシルアミン、オクタ
デシルアミン、シクロヘキシルアミン、ベンジルアミン
等が挙げられる。これらのアミンはその分子量によって
使用形態が異なるが、ガス状のアンモニア、メチルアミ
ン、ジメチルアミン、エチルアミン等の場合はガス状で
使用するか、もしくは適当な溶媒で希釈、例えば水溶液
として使用してもよい。また、長鎖アルキル基を有する
液体もしくは固体アミンの場合は、液状として、もしく
は溶媒で希釈して使用することが出来る。
【0022】グリセリン酸に対するアミノ化剤のモル比
〔アミノ化剤/グリセリン酸〕は0.1〜50の範囲で
あればよく、好ましくは0.3〜10、さらに好ましく
は0.5〜3である。アミノ化剤のモル比が0.1未満
では反応速度が遅く実用的ではない。一方、アミノ化剤
のモル比が50を超える場合には副反応が併発しやすく
実用的ではない。
【0023】本発明における触媒組成物を使用してグリ
セリン酸のアミノ化反応を行い、セリンを生成させるに
は、グリセリン酸を無溶媒系で使用してもよいが、反応
速度の向上の点から、アミノ化反応を受けない適当な溶
媒で希釈して使用してもよい。溶媒としては水が特に有
効である。その理由は、グリセリン酸がその原料である
グリセリンの水中での接触酸化によって製造されるから
である。この場合、水溶液として供給されたグリセリン
酸をそのままアミノ化反応に使用できることはプロセス
上大きなメリットとなる。グリセリン酸の水溶液の濃度
は、一般に0.1〜99.9重量%程度の範囲であれば
良く、好ましくは1〜70重量%、さらに好ましくは2
〜50重量%が良い。0.1重量%未満に希釈すると実
用的ではなくなる。なお、アミノ化反応によりセリンに
誘導された反応液をそのまま逐次反応によりグリシンを
生成させるには、前記のようなセリン水溶液濃度にする
必要があるが、このようなセリン水溶液濃度を考慮すれ
ば、グリセリン酸の水溶液の濃度は1〜70重量%に調
整するのが好ましい。溶媒としてその他にも通常の極性
溶媒、例えばメチルアルコール、エチルアルコール、ジ
メチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等が使用出
来る。
【0024】本発明においてグリセリン酸のアミノ化反
応によりセリンを生成させるには、反応温度は通常0〜
200℃の範囲であればよく、好ましくは0〜120℃
程度、更に好ましくは0〜60℃程度がよい。反応温度
が200℃を越えると、色相が悪化し、また、副生物の
生成が増大し好ましくない。また反応温度が0℃未満に
なると反応速度が著しく低下し実用的ではない。なお、
セリンからのグリシンの生成反応における反応温度は、
前記のように通常10〜200℃であるので、このアミ
ノ化反応の温度を10〜200℃に設定しておくと、同
一条件下で逐次反応によりセリンを製造することができ
る。また、反応時間は、グリセリン酸からセリンを誘導
するのに通常0.5〜5時間要することから、グリセリ
ン酸からグリシンを生成させるまでの反応時間は、グリ
セリン酸からセリンへの生成反応の時間を考慮して、通
常1〜15時間、好ましくは2〜10時間が選ばれる。
【0025】また、水素圧力はグリセリン酸のアミノ化
反応において、通常200kg/cm2 G以下の範囲で
あれば良く、好ましくは60kg/cm2 G以下が良
い。常圧でも反応条件を設定することにより十分に反応
を進行せしめることができる。200kg/cm2 Gよ
りも水素圧が大になると、副反応が進行するため好まし
くない。また水素圧力が常圧以下では反応速度が低下し
必ずしも効果的ではない。なお、セリンからグリシンを
誘導する場合の前記のような水素圧力を考慮すると、グ
リセリン酸から誘導したセリンをさらに逐次反応により
効率良くグリシンに変換させるには、水素圧力は0.1
〜20kg/cm2 Gとするのが好ましい。
【0026】本発明におけるグリセリン酸のアミノ化反
応は、水素不在下でも進行するが、セリンへの誘導を効
率良く行い、グリシンを高収率で得るという点から好ま
しくは水素共存下で実施するのが良い。また、この場
合、水素の代わりに水素発生剤としての水素化ホウ素ナ
トリウムやヒドラジン等の化合物を使用してもよい。
【0027】このようにグリセリン酸を出発原料とする
場合、グリセリン酸のアミノ化反応とセリンからのグリ
シン誘導の反応条件を適宜選択することにより、生成す
るセリンを反応系外に取り出すことなく、逐次反応によ
り効率良くグリシンを製造することができる。即ち、反
応時間の経過をみながら反応条件をアミノ化反応に好適
な条件からグリシンへの誘導に適した条件に調整しなが
ら逐次反応を行なってもよく、あるいは両方の反応にお
いて共に好適な反応条件を選択し同一条件下で逐次反応
を行なってもよい。
【0028】本発明における反応は用いる触媒の形状に
応じて種々の反応器において行うことができる。例え
ば、槽型回分式反応器、槽型連続式反応器(CST
R)、また固定床反応装置を使用することが出来る。本
発明の製造方法においては、目的とするグリシンの他、
モノエタノールアミン等が少量副生する。反応終了後、
これらのアミノ酸混合物から目的とするグリシンを分離
するには、クロマト分離法、晶析分離法、イオン交換法
等の常法を適宜用いることにより容易に行うことができ
る。
【0029】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳しく説
明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定さ
れるものではない。
【0030】実施例1 市販のDL−セリンの10%水溶液を200g、および
担持量が5%のPd/C触媒10g(乾燥品換算)を5
00ccのオートクレーブに仕込んだ。反応器内を水素
置換後、水素圧を1kg/cm2 G(ゲージ圧)にし、
1000rpmでの撹拌下60℃に昇温し4時間反応さ
せた。得られた生成物をアミノ酸アナライザーで分析
し、仕込みDL−セリンに対するグリシンの収率(モル
%)を求めた。グリシンの収率は82%であった。アミ
ノ酸アナライザーの分析条件は以下の通りである。
【0031】アナライザー:日立高速アミノ酸分析計L
−8500型 カラム:4.6mmI.D.×60mmL アンモニアトラップカラム:4.6mmI.D.×40
mmL 溶離液:L8500 PF−KIT 0.35ml/m
in 検出器:UV吸収 570nm
【0032】実施例2 セリンを特願平4−162156号に記載の方法に従っ
て製造し、得られたセリンをそのまま同一反応条件下に
反応させてグリシンに変換した。即ち、セリンを合成す
るため、グリセリン酸の10%水溶液200g、5%ア
ンモニア水64g、および担持量が5重量%のPd/C
触媒10g(乾燥品基準)を500ccのオートクレー
ブに仕込んだ。反応器内を水素置換後、水素圧を5kg
/cm2G(ゲージ圧)に設定し、1000rpmでの
撹拌下60℃に昇温し4時間反応させてセリンを製造し
た。セリンの生成はアミノ酸アナライザーにより確認を
行った。生成したセリンはさらに逐次反応によってグリ
シンに変換されるため、反応系外に取り出すことなく、
同一条件下でさらに2時間反応させた。反応終了後、反
応混合物より触媒を分離し、得られた生成物をアミノ酸
アナライザーで分析し、仕込みグリセリン酸に対するグ
リシンの収率(モル%)を求めた。グリシンの収率は9
3%であった。図1に反応終了物のアミノ酸アナライザ
ーのチャートを示す。
【0033】実施例3〜7 種々の触媒(担持量が5重量%のPt/C,担持量が5
重量%のRh/C,担持量がそれぞれ5重量%のRh・
Pt/C,担持量がそれぞれ5重量%のRh・Pd/
C,ラネーニッケル)の活性を実施例2に準拠して検討
した。これらの反応の詳細な結果を表1にまとめた。グ
リシンの収率は仕込みグリセリン酸に対してそれぞれ6
3%、95%、98%、95%、87%であった。
【0034】
【表1】
【0035】
【発明の効果】本発明の製造方法により、セリンまたは
グリセリン酸からグリシンを高収率で簡易に製造するこ
とが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は実施例2で得られた反応終了物のアミノ
酸アナライザーの分析図である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C07C 227/16 // C07B 61/00 300

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セリンをRh,Pt,Pd,Ru,Ni
    およびCoからなる群より選ばれる一種以上の触媒の存
    在下で脱水素および脱カルボニルさせることを特徴とす
    るグリシンの製造方法。
  2. 【請求項2】 グリセリン酸をRh,Pt,Pd,R
    u,NiおよびCoからなる群より選ばれる一種以上の
    触媒の存在下でアミノ化してセリンを誘導し、さらに逐
    次反応により脱水素および脱カルボニルさせることを特
    徴とするグリシンの製造方法。
  3. 【請求項3】 触媒がPtとRh、またはPdとRhか
    らなる2成分触媒のである請求項1または2記載の製造
    方法。
JP5085278A 1993-03-19 1993-03-19 グリシンの製造方法 Pending JPH06271518A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5085278A JPH06271518A (ja) 1993-03-19 1993-03-19 グリシンの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5085278A JPH06271518A (ja) 1993-03-19 1993-03-19 グリシンの製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH06271518A true JPH06271518A (ja) 1994-09-27

Family

ID=13854102

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP5085278A Pending JPH06271518A (ja) 1993-03-19 1993-03-19 グリシンの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH06271518A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2002040442A1 (fr) * 2000-11-17 2002-05-23 National Institute Of Advanced Industrial Science And Technology Procede d'introduction un groupe amino et procede de synthese d'acide amine
WO2002048091A1 (fr) * 2000-12-11 2002-06-20 National Institute Of Advanced Industrial Science And Technology Methode permettant d'introduire un groupe amine et procede permettant de synthetiser un compose d'acide amine

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2002040442A1 (fr) * 2000-11-17 2002-05-23 National Institute Of Advanced Industrial Science And Technology Procede d'introduction un groupe amino et procede de synthese d'acide amine
WO2002048091A1 (fr) * 2000-12-11 2002-06-20 National Institute Of Advanced Industrial Science And Technology Methode permettant d'introduire un groupe amine et procede permettant de synthetiser un compose d'acide amine
US7071350B2 (en) 2000-12-11 2006-07-04 National Institute Of Advanced Industrial Science And Technology Method of introducing amino group and method of synthesizing amino acid compound

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPH08243392A (ja) アルコール、ケトン及びアルデヒドのアミノ化のための触媒
WO1999059956A1 (en) Process for preparing 4-aminodiphenylamines
US4185036A (en) Hydrogenation of mixed aromatic nitrobodies
WO2003039743A1 (en) Supported catalyst for hydrogenation of nitroaromatics
JP3347185B2 (ja) セリン又はその誘導体の製造方法
JPH06271518A (ja) グリシンの製造方法
Raju et al. A new reagent for selective reduction of nitro group
JPH11116539A (ja) 高品質第3級アミンの製造法
RU2581166C2 (ru) Способ синтеза металл-углеродного катализатора и процесс восстановления нитросоединений
JPH069512A (ja) セリノール又はその誘導体の製造方法
JPH05201940A (ja) セリン又はその誘導体の製造方法
JPH02279657A (ja) アニリンの製造方法
RU2207335C2 (ru) Способ получения ароматических аминов восстановлением соответствующих нитросоединений
JPH10506386A (ja) 芳香族アミンの水素化速度を増す方法
JPH04266858A (ja) 脂肪族アミンの製造法
JP4070859B2 (ja) 高品質ポリアミンの製造方法
JP3250675B2 (ja) アミン製造用担持触媒組成物
JP2706595B2 (ja) N−アルキルもしくはアルケニル−n−メチルアミンの製造方法
EP1316531A1 (en) Method of making trisodium pentacyanoamminoferrate II and use thereof in a method for preparing substituted aromatic amines
JP3160304B2 (ja) β−分岐アルキル第1級アミンの製造法
JP3317060B2 (ja) 芳香族アミンの製法
JPH07138210A (ja) アミノプロパン誘導体の製造方法
EP1185501B1 (en) Preparation of substituted aromatic amines
US6229035B1 (en) Preparation of substituted aromatic amines
JPH05140056A (ja) Dl−セリンの製造方法