JP2002205255A - ワイヤソーによる切断方法およびそれに用いる切断装置 - Google Patents
ワイヤソーによる切断方法およびそれに用いる切断装置Info
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Abstract
や振動によって発生するウエハのばたつきを抑制するこ
とにより、ウエハ表面のうねりを低減できるようなワイ
ヤソーによる切断方法を提供する。 【解決手段】 被加工材3を固定するための台座4とし
て、少なくともワイヤ2の走行方向にて被加工材3を包
含する大きさを有し且つ包含する部分の高さが被加工材
3の重心位置よりも高いものを用いる。
Description
てシリコン、水晶、炭化珪素などの脆性材料、半導体材
料をウエハ状に切断する方法及びその切断方法に用いる
装置に関する。
サファイヤなどの高額な材料や脆性材料、高硬度な材料
の切断及び溝入れに、ワイヤソーが用いられている。ワ
イヤソーの加工方法は、ダイヤモンド等の砥粒を電着し
たワイヤを用いる固定砥粒方式と、ピアノ線等のワイヤ
にスラリー( 砥粒を混ぜた加工液) をかけながら加工す
る遊離砥粒方式とがある。
方向もしくは往復走行させながら被加工材に押しつけて
切断するもので、外周刃切断、内周刃切断等のブレード
を用いる加工に比べ、小さな切り代で切断ができるとい
う特長がある。
プ加工の原理に近いので加工時間(切断時間)が非常に
長いという問題がある。加工時間を短縮しようと、ワイ
ヤの切り込み速度を速くすれば、ウエハ切断面のうねり
が悪化することにより、後工程である研削や研磨作業に
おいてウエハの割れや欠けを発生させる要因となる。ま
た、慎重な加工が要求されるため、作業者の負担増や加
工時間が長くなるなどの弊害がある。
を重ねた結果、ワイヤやスラリーの移動による揺れ、振
動が、切断によるウエハ(被加工物を切断分離したも
の)のうねりの発生原因の一つであることがわかった。
切断方法を示す説明図であり、図8は図7に示す方法に
おける被加工材の切断状況を示す説明図であり、図7の
側方から視た図である。なお、図8において、(a)は
加工開始(切断開始)直後に近い状態、(b)は加工終
了(切断終了)に近い状態を示す。
を、加工台6に接着剤5等で固定し、切断は、ワイヤ2
を図中の左右方向に往復させながら相対的に下方へ移動
させていくことで行う。被加工材3の切断が進行するに
従って、被加工材3に溝(切断溝)10が形成され(図
8(a))、切断が終了に近づくに従って、被加工材3
におけるウエハの保持部、すなわちワイヤ2よりも下の
部分が減少していく(図8(b))。
たスラリ等を伴って移動する際、上記保持部が減少した
ウエハに、揺れや振動を発生させることで、うねりが悪
化する。従って、ウエハの切断終了側に近い程、これら
揺れや振動が大きくなるためウエハに発生するうねりも
大きくなる。
るに従って切断速度を遅くすることで、うねりを小さく
する方法もあるが、加工効率が低下してしまう。このた
め、ウエハ状に薄くなり保持部が少なくなっても、安定
した支持を確保するため、被加工材を強固に固定するこ
とで、うねりを低減することが可能になると考えられ
る。
特開平9−272122号公報に記載のものが提案され
ている。これは、ウエハの割れを防止すべく、ウエハを
上(切断開始側)から圧接することにより、強固な固定
を得るものである。しかし、この方法では、ウエハに割
れを起こさせるような大きな力を抑制することは出来る
が、ウエハ表面に発生する数10μmという微小なうね
りを抑えることは出来ない。
始後の薄く切断されたウエハの上を圧接板で押さえつけ
るだけでは、切断が終了に近づくに従ってウエハを保持
している保持部が減少するために起こる切断終了側のう
ねりは大きいままであり、本発明者等が望んでいる数1
0〜数μmのうねりを抑えることは出来ない。
置(設備)を途中停止することで、うねりやソーマーク
が発生するという問題がある。特に、Si(ビッカース
硬度1000程度)よりも高硬度な脆性材である単結晶
炭化珪素(ビッカース硬度2500程度)の切断におい
て、うねりは非常に大きくなることがわかった。
の移動によって起こる被加工材の揺れや振動によって発
生するウエハのばたつきを抑制することにより、ウエハ
表面のうねりを低減できるようなワイヤソーによる切断
方法およびそれに用いる切断装置を提供することを目的
とする。
上記図7に示す様にワイヤソーの加工台(テーブル)6
に固定するか、もしくは、加工台6に切断溝が入ること
を防止するため、最終切断端にのみダミーワークを挟み
こんで固定を行う。そして、それぞれの保持には、接着
剤を用いる。
ように、被加工材3に溝10が形成され、切断が終了に
近づくに従ってウエハの保持部が減少していくことで、
ウエハにうねりが発生する。このため、切断終了部の保
持を強固にすることで、うねりが低減できると考えた。
本発明は、この知見に基づいてなされたものである。
イヤ(2)を走行させながら被加工材(3)を切り込む
ようにしたワイヤソーによる切断方法において、被加工
材を固定するための台座(4)として、少なくともワイ
ヤの走行方向にて被加工材を包含する大きさを有し且つ
包含する部分の高さが被加工材の重心位置よりも高いも
のを用いることを特徴としている。
れや振動は、切断が進行し、切断された領域が大きくな
り、支持している部位への負荷が増加すると共に、その
支持部は減少していくことで発生すると考えられる。そ
のため、本発明のように、台座によって被加工材の重心
よりも高い位置までを支持すれば、被加工材の支持を安
定させることができ、切断終了に従って保持力が弱まる
ことを抑制できるため、上記被加工材の揺れや振動を抑
制することができる。
よって起こる被加工材の揺れや振動によって発生するウ
エハのばたつきを抑制することにより、ウエハ表面のう
ねりを低減できるようなワイヤソーによる切断方法を提
供することができる。
位の形状に合わせることで、被加工材の固定が強固にな
る。特に、支持面積が少ない被加工材(例えば円筒材料
から円形のウエハを切り出すような場合)には有効であ
る。
座(4)としては、弾性材ではない剛性部材を用いるこ
とが好ましい。少なくとも弾性体では、加工中に被加工
材が揺れや振動を起こしやすくなるためである。
座(4)としては、その硬度が被加工材(3)の硬度よ
りも低いものを用いることが好ましい。台座は被加工材
とともに切断されるので、本発明のようにすれば、台座
を被加工材よりも切断性が良いものにすることができ、
好ましい。
加工材(3)を、弾性材ではない接着剤(5)によって
前記台座(4)に固定することが好ましい。これは、請
求項2の発明と同様の理由による。
料を主成分とした流動性材料(16)に被加工材(3)
を浸漬させた状態で流動性材料を硬化させ、硬化された
流動性材料により台座(4)を形成することを特徴とし
ている。
が激しいような形状の場合、加工台への固定が非常に不
安定になる。台座を用いた固定においても、被加工材の
形状にぴったり合わせることが困難な場合がある。この
ような場合、本発明によれば、硬化された流動材料によ
り形成された台座は、被加工材の保持される部位の形状
に合わせられたものとすることができるため、被加工材
の固定を強固なものにできるに。
加工材(3)を内包する型枠(15)内に置き、上記流
動性材料(16)を流し込み、硬化後に型枠を外して加
工するという方法を採用することが可能である。それに
より、高品位な切断が容易に可能となる。
被加工材(3)の全体を流動性材料(16)内に埋設し
た状態で、流動性材料の硬化を行い、台座(4)を形成
するようにすれば、より確実に安定した固定が実現出来
るとともに、被加工材の切断開始部(頂部)の凹凸が激
しく、ワイヤの、ぶれが発生しやすい形状であるような
場合等に有効である。
たように型枠に流動性材料を単純に流し込むだけの形成
方法では、最上面(切断開始側)が平面になってしま
う。この状態で切断を開始しようとすると、ワイヤが台
座の平面部と長い範囲で接触するため、ぶれやすくな
り、うねりを悪化させる。
被加工材(3)の全体が埋設された台座(4)におい
て、台座における切断開始側の形状を、切断開始時にワ
イヤ(2)が点接触の状態で当たる凸形状にすれば、台
座の切断開始側とワイヤとが点で接触するため、ワイヤ
がぶれにくくなり、好ましい。
た流動性材料により形成された台座の最上面が、ワイヤ
が点接触で当たるような形状となるように型枠を作製す
るか、もしくは、型枠によって形成された台座の最上面
の平面を削ってワイヤが点接触で当たるように加工する
ことにより、達成することが可能である。
請求項5〜請求項7の切断方法に用いる流動性材料(1
6)としては、石膏もしくはセメントのいずれか一つを
用いることが好ましい。石膏もしくはセメントは、切削
性も良く、硬化時間も数分から数10分と短く作業性も
良い。
1〜請求項8に記載の切断方法において、被加工材
(3)の切断中に、被加工材におけるウエハヘの分離が
進行している切断溝(10)に詰め物(11)を充填す
ることにより、ウエハを固定することを特徴としてい
る。
離している切断溝の部分を詰め物によって充填すること
ができ、被加工材の切断開始側を固定した形とすること
ができるため、上記被加工材の揺れや振動をより高レベ
ルにて抑制することができる。
に、詰め物(11)は、弾性体もしくは柔軟性のある材
料であることが好ましく、それにより、切断溝に詰め物
を詰め込みやすくすることができる。
うに、弾性体もしくは柔軟性のある材料としては、粘土
を用いることができる。粘土は、取扱いが簡単である。
また、請求項12に記載の発明のように、詰め物として
は、切断溝(10)の幅よりも薄い板を用いても良い。
項1〜請求項8に記載の切断方法において、被加工材
(3)の切断開始側の部位を、切断開始側から切断終了
側に向かう力で押さえて支持することを特徴としてい
る。
定した形とすることができるため、上記被加工材の揺れ
や振動をより高レベルにて抑制することができる。な
お、その際押さえる力は、さほど強くなくて良い。逆に
強い力で押さえることで、ウエハにそりが発生して、悪
影響を与える。
に、被加工材(3)の切断開始側の部位のうち切断終了
時にウエハとして残る領域のみを、切断開始側から切断
終了側に向かう力で押さえて支持することが好ましい。
を被加工材上に配置した後に、切断終了時にウエハとし
て残る領域のみを押さえ支持し、その後、切断を開始す
ることが可能であるため、切断を中断させることがな
い。つまり、加工開始から終了まで装置(設備)を止め
ることなく切断ができ、途中停止によるうねりやソーマ
ークをウエハ表面に発生させることを防止できる。
方法のように、切断開始側から切断終了側に向かう力で
被加工材を押さえる際、硬い部材(押さえ部材)で被加
工材を直接押さえると被加工材に欠けや割れを発生させ
る危険がある。
に、弾性材(14)を介して被加工材(3)を押さえて
支持することが好ましい。具体的には、押さえ部材に例
えばシリコンゴム等の弾性材を貼り付けた上で、被加工
材を押さえることで、割れや欠けを防止できる。また被
加工材の切断開始側が曲面になっているような場合、当
該弾性体を用いることで被加工材の形状に合わせて、柔
軟に押さえることが可能になる。
切断方法は、請求項16に記載の発明のように、被加工
材(3)をスラリー(9)に浸漬して加工する場合に、
特に有効である。その理由は、このような浸漬加工は、
ワイヤの移動でスラリーが波立ち、この波がウエハを振
動させ、結果、うねりが大きくなりやすく、これを防止
するためには非常に有効な方法であるためである。
(2)を走行させながら被加工材(3)を切り込むよう
にした切断装置において、被加工材を固定するための台
座(4)を備え、この台座は、少なくともワイヤの走行
方向にて被加工材を包含する大きさを有し且つ包含する
部分の高さが前記被加工材の重心位置よりも高いもので
あることを特徴とするものである。
様の理由により、ワイヤの移動によって起こる被加工材
の揺れや振動によって発生するウエハのばたつきを抑制
することにより、ウエハ表面のうねりを低減できるよう
なワイヤソーによる切断方法に用いる切断装置を提供す
ることができる。
(4)は弾性材ではない剛性部材よりなることを特徴と
するもので、請求項2に記載の切断方法に適した切断装
置を提供することができる。
(4)の硬度が被加工材(3)の硬度よりも低いことを
特徴とするもので、請求項3に記載の切断方法に適した
切断装置を提供することができる。
材(3)を台座(4)に固定するための弾性材ではない
接着剤(5)を備えることを特徴とするもので、請求項
4に記載の切断方法に適した切断装置を提供することが
できる。
17〜請求項20に記載の切断装置において、台座
(4)が、無機材料を主成分とした流動性材料(16)
を硬化させることで被加工材(3)を固定するものであ
ることを特徴とするもので、請求項5に記載の切断方法
に適した切断装置を提供することができる。
(4)が、被加工材(3)の全体を流動性材料(16)
内に埋設した状態で流動性材料を硬化させることで被加
工材を固定するものであることを特徴とするもので、請
求項6に記載の切断方法に適した切断装置を提供するこ
とができる。
(4)における切断開始側の形状が、切断開始時に、ワ
イヤ(2)が点接触の状態で当たる凸形状になっている
ことを特徴とするもので、請求項7に記載の切断方法に
適した切断装置を提供することができる。
21〜請求項23に記載の切断装置において、流動性材
料(16)が石膏もしくはセメントのいずれか一つであ
ることを特徴とするもので、請求項8に記載の切断方法
に適した切断装置を提供することができる。
17〜請求項24に記載の切断装置において、被加工材
(3)の切断中に被加工材におけるウエハヘの分離が進
行している切断溝(10)に充填される詰め物(11)
を備え、この詰め物によりウエハを固定するようになっ
ていることを特徴とするもので、請求項9に記載の切断
方法に適した切断装置を提供することができる。
(11)は、弾性体もしくは柔軟性のある材料であるこ
とを特徴とするもので、請求項10に記載の切断方法に
適した切断装置を提供することができる。
もしくは柔軟性のある材料は、粘土であることを特徴と
するもので、請求項11に記載の切断方法に適した切断
装置を提供することができる。
は、切断溝の幅よりも薄い板であることを特徴とするも
ので、請求項12に記載の切断方法に適した切断装置を
提供することができる。
17〜請求項25に記載の切断装置において、被加工材
(3)の切断開始側の部位を、切断開始側から切断終了
側に向かう力で押さえて支持する押さえ部材(12)を
備えることを特徴とするもので、請求項13に記載の切
断方法に適した切断装置を提供することができる。
29に記載の押さえ部材(12)が、被加工材(3)の
切断開始側の部位のうち切断終了時にウエハとして残る
領域のみを押さえるものであることを特徴とするもの
で、請求項14に記載の切断方法に適した切断装置を提
供することができる。
部材(12)と被加工材(3)との間に、弾性材(1
4)が介在していることを特徴とするもので、請求項1
5に記載の切断方法に適した切断装置を提供することが
できる。
17〜請求項31に記載の切断装置において、被加工材
(3)をスラリー(9)に浸漬して加工するためのスラ
リー浸漬槽(7)を備えることを特徴とするもので、請
求項16に記載の切断方法に適した切断装置を提供する
ことができる。
うねりの低減に大きな効果を得ることができ、後工程へ
の負担を軽減し、トータル工程の効率化が達成できるこ
とも有効な点である。
する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一
例である。
について説明する。なお、以下の各実施形態において、
互いに同一の部分には、説明を簡略化するために、図
中、同一符号を付してある。また、各図において、施し
てあるハッチングは識別を容易にするためのもので断面
を示すものではない。
いる切断装置(ワイヤソー装置)の概要図であり、
(a)は正面から視た図、(b)は(a)を側面から視
た図である。また、図2は、図1(b)中の丸で囲んだ
A部拡大図である。まず、本実施形態における切断装置
及び切断方法の全体概略について述べる。
1a、1bに、複数本のピアノ線等よりなるワイヤ2が
巻き付けてあり、2つのローラ1a、1bの間にて、複
数列のワイヤ2が張った状態で配置されている。ここ
で、図示しないモータによって、2つのローラ1a、1
bが回転させられることにより、ワイヤ2は、図1
(a)中の左右方向の一方もしくは往復方向にするよう
になっている。
ラス、その他セラミック等よりなる被加工材3が配置さ
れており、本例の被加工材3は、円筒形状をした単結晶
炭化珪素(SiC)を用いている。この被加工材3の下
には、被加工材3を固定するための台座4が配置されて
おり、この台座4上に接着剤5を介して被加工材3が固
定されている。また、台座4の下部は、固定台(加工
台)6に接着剤(図示せず)等にて固定保持されてい
る。
定台6は、スラリー浸漬槽7内に配設されている。この
スラリー浸漬槽7には、ノズル8からスラリー9が注入
されるようになっている。このように、本実施形態の切
断装置は、上記モータによって走行可能なワイヤ2、ロ
ーラ1a、1b、台座4、接着剤5、固定台6、スラリ
ー浸漬槽7、ノズル8を備えた構成となっている。
定台6に支持された被加工材3をスラリー浸漬槽7内に
設置し、ワイヤ2を走行させた状態で、ワイヤ2に対し
て砥粒を混ぜた加工液であるスラリー9をかけながら、
スラリー浸漬槽7とともに被加工材3をワイヤ2の方へ
移動させていくことで、被加工材3及び台座4の切り込
みを行う。
ワイヤ2に応じて複数本の切断溝10が形成され、最終
的には、複数個の円板状のウエハが切り出される。な
お、本実施形態では、被加工材3をスラリー9に浸漬し
た状態で切断加工を開始している。加工点へのスラリー
供給を確実にするとともに、切屑の排出性を高めるため
に有効な手段として加工液に浸漬している。
体7aに対して取り外し可能なガラス板7bにより構成
されるものである。そして、枠体7aとガラス板7bと
が一体化した状態でスラリー浸漬槽7としてスラリー9
を溜める機能を奏し、加工時には、ワイヤ2と当たるガ
ラス板7bは、ワイヤ2によって被加工材3及び台座4
と同時に切り込まれていく。このガラス板7bは使い捨
てのものである。
て、本実施形態における台座4は、被加工材3における
切断終了側(下方側)の保持を強固なものとするため
に、少なくともワイヤ2の走行方向(図1(a)中の左
右方向)にて被加工材3を包含する大きさを有し、且
つ、包含する部分の高さが被加工材3の重心位置よりも
高いものとしている。
被加工材3における円の中心よりも高い位置まで、ワイ
ヤ2の走行方向に位置する被加工材3の円周側面を包含
し保持している。さらに、被加工材3の保持を安定させ
るために、台座4は、切断開始側(上方側)から見た被
加工材3の投影面積よりも広い面積で被加工材3を支持
するような大きさおよび形状としている。
(被加工材3と接触する部分)は、被加工材3の保持面
積(支持面積)を大きくするために、被加工材3の保持
される部位(取付部位)の形状に合わせて加工されてい
る。なお、台座4としては、更にワイヤ2の走行方向と
直交する方向にて、被加工材3を包含する形でも良い。
ば、台座4によって被加工材3の重心よりも高い位置ま
でを支持することで被加工材3の支持を安定させること
ができ、切断終了に従ってウエハの保持力が弱まること
を抑制できる。そのため、被加工材3の揺れや振動を抑
制し、これら揺れや振動によって発生するウエハのばた
つきを抑制することができ、ウエハ表面のうねりを低減
することができる。
は、加工中に被加工材3が揺れや振動を起こしやすくな
るため弾性材ではない剛性部材を用いることが好まし
い。台座4を被加工材3よりも切断性が良いものにする
ために、台座4の硬度は被加工材3の硬度よりも低いも
のを用いることが好ましい。
ン、ガラス等よりなる被加工材3よりも硬度が低く、切
断し易いものを用いないと、台座4の切断性が悪化し
て、ウエハにうねりやソーマークが発生する。本例で
は、台座4の素材としてカーボンを使用している。
ると、被加工材3の固定力が弱くなりうねりが悪化する
ため、弾性材で無いものが好ましい。例えば、無機材を
主成分とした接着剤5を用いることができる。
す様に、被加工材3の切断中に被加工材3におけるウエ
ハヘの分離が進行している切断溝10に充填される詰め
物11を備えている。それによって、被加工材3の切断
中に、切断溝10に詰め物11を充填することにより、
ウエハを固定することができる(図2参照)。
離している切断溝10の部分を詰め物11によって充填
することで、被加工材3の切断開始側を固定した形とす
ることができるため、被加工材3の揺れや振動をより高
レベルにて抑制することができる。
物11を詰め込みやすくするために、弾性体もしくは柔
軟性があり、被加工材3に密着する材料であることが好
ましく、本例では、安価で入手が容易であり且つ取扱い
が簡単な粘土を用いているが、切断溝10の幅よりも薄
い金属等の板を用いても良い。
工が進行して、被加工材3に切断溝10が形成されてき
たら、人手等にて被加工材3の切断開始側を覆うように
切断溝10に充填する。この時、なるべく切断溝10の
奥まで詰め込むことが好ましいが、ワイヤ2に詰め物1
1が触れて、切断性を阻害しないように注意をする必要
がある。
珪素インゴットのウエハ表面のうねりは、従来技術では
例えば100μm程度あったものが、20μm以下に大
幅に向上させることができた。それにともなって、後工
程である研削時間も、大幅に低減させることができた。
ヤ2の移動によって起こる被加工材3の揺れや振動によ
って発生するウエハのばたつきを抑制することにより、
ウエハ表面のうねりを低減できるようなワイヤソーによ
る切断方法およびそれに用いる切断装置を提供すること
ができる。
で用いる切断装置(ワイヤソー装置)の概要図であり、
(a)は正面から視た図、(b)は(a)を側面から視
た図である。また、図4は、図3(b)中の丸で囲んだ
B部拡大図である。
て、詰め物を使用する代わりに、被加工材3の切断開始
側の部位を、切断開始側から切断終了側に向かう力で押
さえて支持するものであり、以下、主として、第1実施
形態との相違点について述べていく。
は、被加工材3の切断開始側の部位を、切断開始側から
切断終了側に向かう力で押さえて支持するための押さえ
板(押さえ部材)12を備えている。この押さえ板12
は、ワイヤ2を往復駆動させるローラ1a、1b側か
ら、安定して支持できるように支柱13を2本平行に配
置し、その先端に取り付られけた構成になっている。
る方向は、切断開始側から切断終了側(図中の上方から
下方)に向かう方向で、押さえつける力は、切断しよう
とするウエハの厚みや被加工材3の高さによっても異な
るが、切断終了時にウエハに座屈やたわみが起こらない
程度の力で押さえることが必要である。
を与えており、その荷重は数百グラムである。この他、
押さえる力を与える方法として、モータなどの駆動装置
を使用する方法でも良い。そして、本実施形態によれ
ば、被加工材3の切断開始側を固定した形とすることが
できるため、被加工材の揺れや振動をより高レベルにて
抑制することができる。
うち切断終了時にウエハとして残る領域のみを、切断開
始側から切断終了側に向かう力で押さえて支持すること
が好ましい。
おける被加工材3を押さえる部分には、予め切断されて
残るウエハの部位のみを固定ができるように、切り出さ
れるウエハの幅よりも小さい幅の押さえ部12aが形成
されている。言い換えれば、ワイヤ2の径よりも大きな
幅の溝部12bが、押さえ板12に形成されている。
板12の間にワイヤ2をセットする。ワイヤ2は、押さ
え板12の溝部12bに配し、加工を開始する。つま
り、切断を開始する前にワイヤ2を被加工材3上に配置
し、その後に、切断終了時にウエハとして残る領域のみ
を押さえ部12aにて押さえ支持し、その後、切断を開
始することが可能である。
まり、加工開始から終了まで装置(設備)を止めること
なく切断ができ、途中停止によるうねりやソーマークを
ウエハ表面に発生させることを防止できる。
う力で被加工材3を押さえる際、金属等の硬い押さえ板
12で被加工材3を直接押さえると被加工材3に欠けや
割れを発生させる可能性がある。
脆性材である。例えば、単結晶炭化珪素は高硬度ではあ
るが脆性材であるため、金属の剛体で押さえつければ、
割れや欠けの原因となりやすい、また、曲面形状を押さ
える場合、押さえ板12の形状を正確に合わせなければ
ならない。
として、弾性材(緩衝材)14を介して被加工材3を押
さえて支持するようにしている。そして、押さえ板12
の被加工材3と接する部分である押さえ部12aに、緩
衝材14としてシリコンゴムを貼り付けている。弾性材
であるシリコンゴムを貼り付けることで、被加工材3の
割れや欠けを防止するとともに、押さえ板12の製作の
効率化が可能になる。
状であったり、凹凸が激しい形状の場合、加工台への固
定が不安定になる。被加工材3の外周が完全な円形では
無く、表面に凹凸やくびれが生じているようなものを安
定的に固定するための台座製作は、多大な工数を要す
る。しかも完全なものは望めない。
料を主成分とした流動性材料に被加工材3を浸漬させた
状態で流動性材料を硬化させ、硬化された流動性材料に
より台座4を形成するものである。図5は、本第3実施
形態に係る台座4の形成方法の一例を示す工程図であ
る。
に示す様に、被加工材3を内包する型枠15を用いて形
成できる。図5(a)に示すいびつな形状の加工材3を
型枠15内に置き(図5(b))、流動性を持った石膏
(流動性材料)16を型枠15内へ流し込む(図5
(c))。このとき、被加工材3の重心位置よりも高い
位置まで石膏16を流し込む。石膏16が硬化した後、
型枠15を外すと、被加工材3と固定された石膏よりな
る台座4が出来上がる(図5(d))。
各実施形態と同様の手順にて切断を行うことができる。
また、本実施形態の台座4も、ワイヤ2の走行方向にて
被加工材3を包含する大きさを有し、且つ、包含する部
分の高さが被加工材3の重心位置よりも高いものとする
ことができるため、上記第1実施形態で述べたのと同様
の効果が得られる。
安定な形状をした被加工材3でも、硬化された流動性材
料16により形成された台座4は、被加工材3の保持さ
れる部位の形状に合わせた形にできるため、被加工材3
の固定を強固なものにできる。そのため、安定した品質
を確保しながら、効率的な加工が可能になる。
て、被加工材3の全体を流動性材料(例えば石膏)16
内に埋設した状態で、流動性材料16の硬化を行い、台
座3を形成するようにしてもよい。それによれば、より
確実に安定した固定が実現出来るとともに、被加工材3
の切断開始部(頂部)の凹凸が激しく、ワイヤ2の、ぶ
れが発生しやすい形状であるような場合等に有効であ
る。
を埋設した台座4を形成する場合、、上記したように型
枠15に流動性材料16を単純に流し込むだけの形成方
法では、台座4の最上面(切断開始側)が平面になって
しまう。この状態で切断を開始しようとすると、ワイヤ
2が台座4の平面部と長い範囲で接触するためぶれやす
くなり、うねりを悪化させる。
図6は、本実施形態で用いる切断装置(ワイヤソー装
置)の概要図であり、(a)は正面から視た図、(b)
は(a)を側面から視た図である。すなわち、被加工材
3の全体が埋設された台座4において、台座4における
切断開始側の形状を、切断開始時にワイヤ2が点接触の
状態で当たる凸形状(図6中、凸部4aとして図示)に
する。
部4aが形成可能な形状を有する型枠15を作製して、
上記図5に示す方法で台座4を形成するか、もしくは、
図5に示す型枠15をそのまま用い、その型枠15によ
って形成された台座4の最上面の平面を削ってワイヤが
点接触で当たるようにすることにより、達成することが
可能である。
いて、切断開始時にワイヤ2が点接触の状態で当たるよ
うにすれば、ワイヤ2が、ぶれにくくなり、好ましい。
なお、流動性材料16としては、被加工材を安定して固
定できて、切断がしやすい無機材料を主成分としたもの
が好ましい。ここで、石膏を用いた理由は、切断性が良
い、入手が容易、安価である、硬化時間が約30分程度
と早いことである。同様なものとしてセメントでもよ
い。
構成を示すもので、(a)は正面図、(b)は側面図で
ある。
構成を示すもので、(a)は正面図、(b)は側面図で
ある。
一例を示す工程図である。
構成を示すもので、(a)は正面図、(b)は側面図で
ある。
す説明図である。
示す説明図である。
…スラリー浸漬槽、9…スラリー、10…切断溝、11
…詰め物、12…押さえ板(押さえ部材)、14…弾性
材、16…石膏(流動性材料)。
Claims (32)
- 【請求項1】 ワイヤ(2)を走行させながら被加工材
(3)を切り込むようにしたワイヤソーによる切断方法
において、 前記被加工材を固定するための台座(4)として、少な
くとも前記ワイヤの走行方向にて前記被加工材を包含す
る大きさを有し且つ包含する部分の高さが前記被加工材
の重心位置よりも高いものを用いることを特徴とするワ
イヤソーによる切断方法。 - 【請求項2】 前記台座(4)として、弾性材ではない
剛性部材を用いることを特徴とする請求項1に記載のワ
イヤソーによる切断方法。 - 【請求項3】 前記台座(4)として、その硬度が前記
被加工材(3)の硬度よりも低いものを用いることを特
徴とする請求項1または2に記載のワイヤソーによる切
断方法。 - 【請求項4】 前記被加工材(3)を、弾性材ではない
接着剤(5)によって前記台座(4)に固定することを
特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載のワ
イヤソーによる切断方法。 - 【請求項5】 無機材料を主成分とした流動性材料(1
6)に前記被加工材(3)を浸漬させた状態で前記流動
性材料を硬化させ、硬化された前記流動性材料により前
記台座(4)を形成することを特徴とする請求項1ない
し4のいずれか1つに記載のワイヤソーによる切断方
法。 - 【請求項6】 前記被加工材(3)の全体を前記流動性
材料(16)内に埋設した状態で、前記流動性材料の硬
化を行い、前記台座(4)を形成することを特徴とする
請求項5に記載のワイヤソーによる切断方法。 - 【請求項7】 前記台座(4)における切断開始側の形
状は、切断開始時に、前記ワイヤ(2)が点接触の状態
で当たる凸形状になっていることを特徴とする請求項6
に記載のワイヤソーによる切断方法。 - 【請求項8】 前記流動性材料(16)は、石膏もしく
はセメントのいずれか一つであることを特徴とする請求
項5ないし7のいずれか1つに記載のワイヤソーによる
切断方法。 - 【請求項9】 前記被加工材(3)の切断中に、前記被
加工材におけるウエハヘの分離が進行している切断溝
(10)に詰め物(11)を充填することにより、前記
ウエハを固定することを特徴とする請求項1ないし8の
いずれか1つに記載のワイヤソーによる切断方法。 - 【請求項10】 前記詰め物(11)は、弾性体もしく
は柔軟性のある材料であることを特徴とする請求項9に
記載のワイヤソーによる切断方法。 - 【請求項11】 前記弾性体もしくは柔軟性のある材料
は、粘土であることを特徴とする請求項10に記載のワ
イヤソーによる切断方法。 - 【請求項12】 前記詰め物は、前記切断溝の幅よりも
薄い板であることを特徴とする請求項9に記載のワイヤ
ソーによる切断方法。 - 【請求項13】 前記被加工材(3)の切断開始側の部
位を、切断開始側から切断終了側に向かう力で押さえて
支持することを特徴とする請求項1ないし8のいずれか
1つに記載のワイヤソーによる切断方法。 - 【請求項14】 前記被加工材(3)の切断開始側の部
位のうち切断終了時にウエハとして残る領域のみを、前
記切断開始側から切断終了側に向かう力で押さえて支持
することを特徴とする請求項13に記載のワイヤソーに
よる切断方法。 - 【請求項15】 弾性材(14)を介して前記被加工材
(3)を押さえて支持することを特徴とする請求項13
または14に記載のワイヤソーによる切断方法。 - 【請求項16】 前記被加工材(3)をスラリー(9)
に浸漬して加工することを特徴とする請求項1ないし1
5のいずれか1つに記載のワイヤソーによる切断方法。 - 【請求項17】 ワイヤ(2)を走行させながら被加工
材(3)を切り込むようにした切断装置において、 前記被加工材を固定するための台座(4)を備え、 この台座は、少なくとも前記ワイヤの走行方向にて前記
被加工材を包含する大きさを有し且つ包含する部分の高
さが前記被加工材の重心位置よりも高いものであること
を特徴とする切断装置。 - 【請求項18】 前記台座(4)は、弾性材ではない剛
性部材よりなることを特徴とする請求項17に記載の切
断装置。 - 【請求項19】 前記台座(4)の硬度が前記被加工材
(3)の硬度よりも低いことを特徴とする請求項17ま
たは18に記載の切断装置。 - 【請求項20】 前記被加工材(3)を前記台座(4)
に固定するための弾性材ではない接着剤(5)を備える
ことを特徴とする請求項17ないし19のいずれか1つ
に記載の切断装置。 - 【請求項21】 前記台座(4)は、無機材料を主成分
とした流動性材料(16)を硬化させることで前記被加
工材(3)を固定するものであることを特徴とする請求
項17ないし20のいずれか1つに記載の切断装置。 - 【請求項22】 前記台座(4)は、前記被加工材
(3)の全体を前記流動性材料(16)内に埋設した状
態で前記流動性材料を硬化させることで前記被加工材を
固定するものであることを特徴とする請求項21に記載
の切断装置。 - 【請求項23】 前記台座(4)における切断開始側の
形状は、切断開始時に、前記ワイヤ(2)が点接触の状
態で当たる凸形状になっていることを特徴とする請求項
22に記載の切断装置。 - 【請求項24】 前記流動性材料(16)は、石膏もし
くはセメントのいずれか一つであることを特徴とする請
求項21ないし23のいずれか1つに記載の切断装置。 - 【請求項25】 前記被加工材(3)の切断中に前記被
加工材におけるウエハヘの分離が進行している切断溝
(10)に充填される詰め物(11)を備え、この詰め
物により前記ウエハを固定するようになっていることを
特徴とする請求項17ないし24のいずれか1つに記載
の切断装置。 - 【請求項26】 前記詰め物(11)は、弾性体もしく
は柔軟性のある材料であることを特徴とする請求項25
に記載の切断装置。 - 【請求項27】 前記弾性体もしくは柔軟性のある材料
は、粘土であることを特徴とする請求項26に記載の切
断装置。 - 【請求項28】 前記詰め物は、前記切断溝の幅よりも
薄い板であることを特徴とする請求項25に記載の切断
装置。 - 【請求項29】 前記被加工材(3)の切断開始側の部
位を、切断開始側から切断終了側に向かう力で押さえて
支持する押さえ部材(12)を備えることを特徴とする
請求項17ないし25のいずれか1つに記載の切断装
置。 - 【請求項30】 前記押さえ部材(12)は、前記被加
工材(3)の切断開始側の部位のうち切断終了時にウエ
ハとして残る領域のみを押さえるものであることを特徴
とする請求項29に記載の切断装置。 - 【請求項31】 前記押さえ部材(12)と前記被加工
材(3)との間には、弾性材(14)が介在しているこ
とを特徴とする請求項29または30に記載の切断装
置。 - 【請求項32】 前記被加工材(3)をスラリー(9)
に浸漬して加工するためのスラリー浸漬槽(7)を備え
ることを特徴とする請求項17ないし31のいずれか1
つに記載の切断装置。
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