JP2000061794A - ブラウン管用パネルの研磨装置 - Google Patents

ブラウン管用パネルの研磨装置

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JP2000061794A
JP2000061794A JP10233246A JP23324698A JP2000061794A JP 2000061794 A JP2000061794 A JP 2000061794A JP 10233246 A JP10233246 A JP 10233246A JP 23324698 A JP23324698 A JP 23324698A JP 2000061794 A JP2000061794 A JP 2000061794A
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polishing
panel
grindstone
holding plate
grinding wheel
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JP10233246A
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Yoshihiro Tsuchimoto
義紘 土本
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Asahi Glass Co Ltd
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  • Grinding And Polishing Of Tertiary Curved Surfaces And Surfaces With Complex Shapes (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】研磨具のパネルへの馴染み性を確保しつつ、砥
石の振動と研磨具のパネル端部での変形や屈曲を防止
し、固定砥粒研磨を可能にする。 【解決手段】ブラウン管用パネルのフェース面を研磨す
るにあたり、研磨具を軟鋼など強度の高い薄い砥石保持
板2に砥石1を接着により固定させたものとし、砥石保
持板2にテンショナー6により初期張力を付与する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ブラウン管用パネ
ル、正確にはそのフェース面を研磨する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来よりブラウン管用パネルの画面部の
外面(フェース面)の研磨は、研磨材スラリーを供給し
つつ、弾性支持された研磨具をパネルに対して押し付け
ながら相対的に運動させる装置によってなされている。
【0003】この研磨工程は、通常、粗研磨、中研磨、
艶出し研磨の3段階からなる。研磨材として多用されて
いるのは、粗研磨ではガーネット、中研磨ではパーミ
ス、艶出し研磨では酸化セリウムである。研磨具として
多用されているのは、粗研磨では多数の鉄製の円柱を硬
質ゴムに埋め込んだ構造のもの、中研磨では中程度のゴ
ム硬度を持つゴム板又はゴム筒、艶出し研磨では人工皮
革やフェルト製の円盤又は筒である。
【0004】従来技術における粗研磨工程の代表例を図
3に示す。研磨すべきパネル16は、回転テーブル17
上に載置し固定されている。パネル16の画面部の外面
に、昇降回転軸15に取り付けた研磨具を押し付け、遊
離砥粒すなわち研磨材スラリーを供給しながら研磨具を
回転させて研磨する。研磨具は、昇降回転軸15の下端
に装着した研磨治具保持体23に周縁を固定したゴム製
円盤20と、ゴム製円盤20に固定されている多数の鉄
ピース19からなり、これらの鉄ピース19をパネル1
6に密着させる手段として、研磨治具保持体23の内部
にはゴム製円盤20との間にクッション材21を設けて
いる。ゴム製円盤20は、鉄ピース19がパネル16に
馴染むように可撓性を有しており、クッション材21の
弾性力により鉄ピース19をパネル16に柔軟性をもっ
て押し付ける。
【0005】パネルの面研磨の主な目的は、成形時に生
じた表面の小孔やしわなどの除去を、研磨代を最小限に
抑えつつ実施することにある。一方、成形されたままの
パネルの外面形状は、必ずしも製品設計に対して精度良
く合致するように作られてはいない。なぜならブラウン
管としては、内面の寸法精度がより重要であり、成形時
には内面の寸法を優先させて成形条件をコントロールす
るからである。
【0006】これらの事情により、たとえ設計されたパ
ネルの外面形状が球面又は平面であっても、それぞれの
パネルに研磨具を適合させておおむね倣わせながら研磨
を行うことが必要となる。この原則から外れて剛性の高
い研磨具を用いると、研磨代を最小限に抑えられず、例
えば設計どおりの面をあたかも工作機械のように削り出
そうとすると研磨代は何倍も必要になり、効率の低下と
研磨具の消費増加が問題となる。それでも粗研磨工程で
は高剛性研磨具の採用は不可能ではないが、中研磨と艶
出し研磨では研磨代が大きくなり研磨効率の低下がはな
はだしくなるので、実際上不可能である。したがって、
パネル用研磨具には前記したように柔軟性が求められ、
その背後には弾力性を持った研磨治具を設けて研磨具と
パネルの密着を図ることが必要になる。
【0007】一方、かねてよりパネルの面を固定砥粒に
よって研磨する技術の実用化が待望されていた。なぜな
ら、前記した遊離砥粒を用いた研磨方式は、数々の問題
点を持つからである。
【0008】第一の問題は、研磨材の不安定性である。
研磨材はスラリー状にして多量に研磨装置に供給する必
要があるために、大がかりなシステムにおいて多量に用
いられ、しかも研磨材がたえず粉砕され消耗するため、
粒度分布や濃度などの状態を一定に管理することは容易
ではない。例えば、研磨材の投入が過少であると粒度分
布が細かい側に偏り研磨不足による欠点が生じ、過多で
あると大きい側に偏って面粗度が次の段階の研磨工程で
除去できないほどに粗くなる。この結果、恒常的に品質
の不安定や生産性の低下を引き起こす。
【0009】第二の問題は、異物の混入である。研磨材
は通常天然の鉱床から採掘されるが、生産者の管理不十
分により硬質の異物が含まれていることがある。また研
磨中にパネルの割れが発生すると、スラリーシステムに
ガラス粉が混入する。これらは決して希なことではな
く、製品に傷を発生せしめ品質や歩留りに悪影響を与え
ている。
【0010】第三の問題は、廃棄物である。微粒化され
た研磨材が廃棄物として多量に発生する。他の産業用原
料への転用はできるが、引取り費用は増加する一方であ
る。この廃棄物は本来はガラス原料としてリサイクルす
べきであるが、そうしようとすると、乾燥装置などの設
備コストやエネルギーコストが増加するうえ、ガラス原
料に配合しても問題がないという制約条件を満たすに
は、ガーネットの代わりにアランダムのように高価な研
磨材を用いざるを得ず、製造コストが増加する。
【0011】以上の問題を解決するための最も簡便な手
段として、図3に示す従来型の研磨装置において、研磨
具の鉄ピース19をペレット型ダイヤモンド砥石に置き
換える方法が考えられる。しかし、この方法ではガラス
に深い傷が生じるだけでなく、砥石本来の寿命が得られ
ない。本来の寿命とは、砥石を強固に固定して用いる場
合、つまり砥粒がボンド相で固定された状態で用いる場
合の寿命を指す。
【0012】その理由は、砥石に発生する自励振動にあ
る。自励振動は、弾性体で支えられた固体を一定の相対
速度で動く別の固体で擦った場合に発生する現象であ
る。よく知られた例としては、バイオリンの弦の振動が
ある。ゴム板という弾性体に埋め込まれて突出している
砥石も、自励振動を起こす条件を備えている。ゴムに保
持された砥石をガラスに押し当てながら動かす場合をバ
イオリンの弦の振動にたとえれば、弦がゴムに保持され
た砥石で、弓がガラスである。
【0013】パネルのフェース面の研磨を開始すると、
砥石とガラスの間の摩擦力が起振力となって砥石は激し
く振動を始める。この振動のモードは、砥石の進行方向
における往復振動と、摩擦力が生む転倒モーメントによ
る傾斜振動が複合した複雑なものである。
【0014】一般論としてダイヤモンド砥石を用いてガ
ラスを研磨する場合、振動は大敵とされる。なぜなら、
振動は砥石とガラスとの繰り返しの衝突を生むからであ
る。砥石に埋め込まれた砥粒に繰り返し衝撃が加わる
と、砥粒の保持が少しずつ緩み、ついには砥粒はボンド
相から抜け出す。これを砥粒の脱落と称する。
【0015】砥粒が磨滅する以前に脱落が生じることは
きわめて好ましくない。なぜなら、砥粒が脱落すると、
その直後に砥粒は砥石のボンド面と被加工物との間に挟
まれた状態になるが、砥粒がまだ磨滅していない大きな
ものであれば、ガラスに深い傷を生じさせるからであ
る。
【0016】また、砥石側においては砥粒が抜け落ちる
とボンド相が露出する。一般にボンド相はきわめて磨耗
しやすい材質であるので、脱落が頻繁になるほど砥石の
磨耗は早まり、砥石の寿命が短くなる。
【0017】さらに、振動がもたらす別の害は研磨効率
の低下である。振動により砥石が頻繁にガラスから離れ
てしまうために、ガラスに接して有効に機能する時間の
割合が少なくなり、研磨の能率は必然的に低下する。
【0018】以上の理由により、一般にガラスの固定砥
粒研磨は高い剛性と精度を持つ砥石軸と砥石を高速回転
させ、ワークもしっかり保持したまま行うことを原則と
している。ガラス板の研磨に用いる平面研削盤がその一
例である。この場合は、砥石が振動してダイヤモンド砥
粒に過大な力が加わることがないので砥粒の脱落も生じ
にくく、傷の発生や砥石の短寿命といった問題を防止で
きる。しかし、この剛性の高い研磨具を用いる方法は、
前述のとおり、パネルの研磨には不向きである。ちなみ
に、研磨材スラリーを用いる研磨においては、砥粒の脱
落の問題は存在しないので、研磨具の鉄ピースの振動が
問題を生じさせることはない。
【0019】以上のことを要約すれば、研磨具の柔軟性
を前提条件として、従来技術で固定砥粒研削を行おうと
すると、固定砥粒研削の重要な原則に反してしまう。原
則に忠実であろうとすると、研磨代を何倍にも増やさね
ばならなくなる。このように従来技術を用いての固定砥
粒研削には、大きな矛盾がある。
【0020】さらに、従来技術で固定砥石研削を行う場
合にはもう一つ別の問題がある。それはゴム製砥石支持
体の変形がパネルのフェース面の端部で生じ、図4のよ
うに砥石の当たり方に異常を来すことである。図4は、
実質的に図3の鉄ピース19を例えばダイヤモンド砥石
25に置き換えたものであり、砥石25は研磨治具本体
28に張架したゴム製砥石支持体26に取り付けられ、
研磨治具本体28とゴム製砥石支持体26との間には、
柔軟性を持たせるためにクッション材27が設けられて
いる。
【0021】上記異常現象は、クッション材27の復元
力がパネル16から外れた部分の砥石25にも作用する
ことから生じる。パネル16の端部において、ゴム製砥
石支持体26に剪断力を加え、パネルフェース面の端に
接近した砥石を沈下させる結果、該砥石の角部がパネル
フェース端の肩の箇所に点接触する。また、ゴム製砥石
支持体26を折り曲げて、パネル端部とその近傍の砥石
の接触状態を不均一にする。これらの現象は傷などの研
磨欠点を生む。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】本発明の第一の課題
は、研削砥石をパネルフェース面へ密着させるに必要な
柔軟性を持ちつつ、研削砥石の微小な振動を防止できる
ような研磨具及び研磨治具を提供することである。その
目的は、従来技術の問題点であるダイヤモンド砥粒の脱
落とそれに伴う深い傷の発生を防止することである。
【0023】本発明の第二の課題は、パネルフェース面
の端部において、隣接する砥石間の段差の発生を防ぐた
めに、研磨具の折れ曲りと剪断変形を十分に小さく抑え
た研磨具及び研磨治具を提供することである。その目的
は、従来技術では発生しやすいパネルフェース面の端部
における研磨欠点を防止することである。
【0024】
【問題を解決するための手段】本発明は、ブラウン管用
パネルのフェース面に接触させる可撓性を有する研磨具
と、該研磨具を保持し回転軸を中心に回転可能に設けら
れた研磨治具とを有し、研磨具を前記フェース面に押し
付けて研磨する研磨装置において、前記研磨具は可撓性
を有する砥石保持板に多数の砥石が固定されてなり、前
記研磨治具は該砥石保持板に初期張力を与えるためのテ
ンショナーと、パネルのフェース面にほぼ垂直な方向に
弾性を有する弾性部材とを具備していることを特徴とす
るブラウン管用パネルの研磨装置を提供する。さらに、
前記砥石保持板は金属板とプラスチック板とが接着によ
って一体化されてなり、前記多数の砥石は前記プラスチ
ック板に接着により固定されてなる上記のブラウン管用
パネルの研磨装置を提供する。
【0025】
【発明の実施の形態】本発明によるブラウン管用パネル
の外面を研磨する装置は、研磨具と研磨治具、研磨治具
に昇降加圧と回転を付与する機構、パネルを支持し回転
させる機構などからなる。そのうちで本発明の特徴は研
磨具と研磨治具にある。研磨治具に昇降加圧と回転を付
与する機構とパネルを支持し回転させる機構は、従来の
汎用されている研磨装置のものと基本的に同じであっ
て、これらの目的が得られる範囲で適宜変更できる。
【0026】本発明における研磨具と研磨治具の特徴と
しては、次の3つが挙げられる。第一に、多数の砥石を
保持するための砥石保持板として、金属板などの強度の
高い薄板を用いること。第二に、砥石保持板に、テンシ
ョナーの作用で強い初期張力を与えること。第三に、砥
石保持板の上側にパネルのフェース面にほぼ垂直な方向
に弾性を有する弾性部材を配すること。
【0027】そして、これらの特徴の目的と効果につい
て以下に述べる。第一の特徴である、強度の高い薄板を
用いる目的は、パネルの外面形状に馴染む性能を従来の
研磨具と同程度に持たせつつ、砥石すなわちダイヤモン
ドペレットの保持をしっかりさせて、傾斜を伴う砥石の
振動を防止することにある。
【0028】強度の高い薄板を用いると上記目的が達成
できるのは次のように説明できる。板の曲げ剛性は、た
わみが小さい範囲では厚さの3乗に比例する。したがっ
て、例えば強度の高い薄板の材質を鉄とする場合を考え
ると、鉄の縦弾性係数はゴム硬度92度の硬質ゴムの約
4200倍も大きいが、板厚を4200の立方根の逆数
である、0.062倍にすることによって計算上同じ可
撓性を持たせうる。
【0029】一方、砥石の起振力に対する支持部の剛性
を支配するのは、砥石の根元において砥石の支持体に発
生する引張り、圧縮及び剪断応力に対する歪みにくさで
ある。これはおよそ支持体の縦弾性係数、又は横弾性係
数と支持体の板厚の積に比例するので、鉄板の剛性は同
じ曲げ剛性のゴム板に対し、4200×0.062=2
60倍も大きい。すなわち鉄板の固有振動数は260の
平方根倍で、厚いゴム板の16倍に高まる。したがっ
て、薄い鉄板を用いることによって、パネルへの馴染み
性は良いが砥石の振動は生じにくい性能が得られ、この
優れた特徴こそが砥石の振動防止に顕著な効果を発揮す
る。
【0030】以上の説明から砥石保持板の材質として
は、強度と弾性係数が大きい金属又は炭素繊維やアラミ
ド繊維などで補強された樹脂板などが使用できるが、特
に軟鋼、ステンレス鋼などの各種鋼材が好適である。
【0031】次に強度の高い薄板の厚さについて考え
る。従来技術のゴム板の場合、厚さは約10mmであっ
た。強度の高い薄板の材質を軟鋼とし、ゴム板と同程度
の曲げ剛性を狙う場合、板厚を前述のように0.062
倍にすると曲げ剛性は計算上同じになり、前記薄板の厚
さは0.62mmとなる。
【0032】砥石の起振力に対する剛性は、前述のよう
に大差があるので、さらに薄くしても従来よりも剛性が
高く、パネルフェース面に馴染みやすい研磨具が得られ
る。しかし、研磨圧を均等に与えるための弾性体の作用
によって、さらに後述するテンショナーの作用によっ
て、薄板には強い張力が発生するので、薄くするにも限
界があり、比較的強度の高い金属を用いても0.2mm
未満にはできない。
【0033】また、厚さの上限については使用する砥石
保持板の材質、大きさ、研磨するパネルのフェース外面
の平坦性などにより適宜決める。一般に、外面が平坦又
はほぼ平坦であるパネル、いわゆるフラットブラウン管
用パネルである場合は、研磨時の研磨具もフラットな形
状になり、パネルフェース面への馴染み性を得やすいの
で、相対的に厚くできる。金属板の場合、その板厚は
1.5mm程度まで許容される。パネルのフェース外面
の湾曲度が大きくなると、研磨具が馴染みにくくなるの
で、板厚はこれより小さくする必要がある。
【0034】第二の特徴であるテンショナーを用いて砥
石保持板に強い初期張力を与える目的は、前記した砥石
保持板の局所的な折れ曲りと剪断変形を軽減することに
ある。ここで初期張力とは、研磨具の押圧により砥石保
持板に発生する張力ではなく、あらかじめ砥石保持板に
一定の張力を付与しておくことをいう。
【0035】テンショナーにより砥石保持板に強い初期
張力を発生させることにより、砥石保持板は図4に示し
たゴム製砥石支持体に生じるような屈曲や剪断による変
形が抑制される。この張力が砥石保持板の前記変形を軽
減する効力を発揮する理由は、張力が砥石保持板を平面
に保とうと働くことによる。この結果、ブラウン管用パ
ネルのフェース面の端部における、砥石保持板の屈曲現
象と剪断変形とを防止でき、パネルフェースの端部の傷
発生を防止できる。
【0036】この場合、加えうる初期張力は、砥石保持
板が薄板であるのでおのずと限界がある。材質が軟鋼で
厚さが0.6mmの場合、張力を全方向とも5〜10k
g/mm程度にしておけば、破断のおそれなしに屈曲現
象を防止する性能が得られる。
【0037】しかし、砥石保持板が強く張られると剛性
が高まるので、馴染みやすさは損なわれる。したがっ
て、従来の研磨具と同じ柔軟性を得ようとするなら、砥
石保持板の厚さは、前述の計算で求めた0.62mmよ
りも薄くする必要がある。厚さの下限は、前述のとお
り、金属の場合で0.2mmである。
【0038】砥石保持板を強く張ることによる別の問題
は、砥石を砥石保持板に固定するに当たり、接着法を用
いた場合に生じること、すなわち、砥石保持板に砥石を
接着してから砥石保持板に張力を付与すると、砥石に対
して砥石保持板が伸びるために接着界面で剪断応力が発
生し、接着面で剥がれが生じることである。
【0039】この問題を解決するのに図2に例示する砥
石保持板は有効である。この砥石保持板は、金属板とプ
ラスチック板とを接着して積層構造とし、砥石をプラス
チック板に接着している。金属板に張力を与えてもわず
かな伸びしか生じないが、それでもこの金属板に直接砥
石を貼り付けると、接着剤に生じる剪断応力は過大にな
る。しかし、図2のように金属板2と砥石1との中間に
プラスチック板を挟むことで、このプラスチック層によ
り歪みを吸収でき、前記剪断力を解消又は軽減できる。
【0040】この場合、歪みを吸収するのに必要なプラ
スチック板の厚さは、金属板の歪み率や砥石の直径など
に依存する。後述する実施例では少なくとも0.2mm
は必要であることが、実験で判明したが、このプラスチ
ック板が厚すぎると金属板を補強して剛性を過大にする
ので、1mm程度以下が好ましい。
【0041】第三の特徴である砥石保持板の上側に弾性
部材を配置する目的は、研磨治具から砥石へ均等で安定
した押圧力を加えることにある。砥石保持板には前述し
たように初期張力が付与されているので、この弾性部材
による弾性力と初期張力とが同時に砥石保持板に作用
し、研磨中の砥石に常時均一な押圧力を与える。この弾
性部材としては、砥石保持板を通してパネルのフェース
面にほぼ垂直な方向の弾性力を均一に付与するものであ
ればよい。具体的にはバネ又はゴムなどのクッション材
を例示できる。これらの弾性部材は、パネルの周縁端部
の研磨で砥石の被研磨面がパネルから外れて砥石が垂直
方向に運動する場合でも、バネの柔軟性が研磨圧を一定
に保つのに機能する。
【0042】
【実施例】図1に従って本発明の実施例を具体的に説明
する。図1は、本発明の好ましい研磨装置の断面説明図
(ハッチングは省略)で、回転テーブル17に固定した
パネル16を研磨している状態を示す。パネル16は、
研磨するフェース外面の曲率半径がX、Y、対角の各軸
とも20000mm以上の、いわゆる平面ブラウン管用
パネルである。
【0043】本研磨装置において、研磨具は砥石保持板
2と該砥石保持板に取り付けられている多数の砥石1と
からなる。図2は、この砥石保持板2の部分的な拡大断
面図を示す。図示するように砥石保持板2は、適度な厚
さ(0.5mm程度)と外径を持ったドーナツ型の鋼鉄
製円盤2aの下面に、ドーナツ型プラスチック製円盤2
b(厚さは1mm程度で、内外径は砥石配列ゾーンの内
外径に相当)を接着剤18によって接着したものであ
る。鋼鉄製円盤2aの厚さが薄いために、プラスチック
製円盤2bが層成された砥石保持板2には、パネルのフ
ェース面に柔軟性をもって接触できる可撓性が得られ
る。
【0044】砥石1は、ダイヤモンド砥粒をボンド相で
固定した円柱形状のぺレットであり、接着剤22によっ
てプラスチック製円盤2bに規則的な配列でかつ一様な
分布で接着固定されている。砥石1のサイズは限定され
ないが、通常は円柱の径が10〜25mm程度のものが
使われる。
【0045】前記研磨具を取り付け保持するための研磨
治具の主要部は、昇降回転軸15の下端に装着した研磨
治具本体3によって構成されている。研磨治具本体3
は、砥石保持板2又はその鋼鉄製円盤2aと実質的に同
じ円形の輪郭形状で内部空間を有しており、周縁部の下
面は平坦に形成されている。
【0046】砥石保持板2は、鋼鉄製円盤2aの外周部
にて該研磨治具本体3に固定される。すなわち、砥石保
持板2の鋼鉄製円盤2aを該研磨治具本体3の下部に押
し当て、次いで砥石保持板2の外側から固定リング4を
当ててボルト・ナット5で締め付ける。砥石保持板を堅
固に固定するために、ボルト・ナット5は鋼鉄製円盤2
aの周縁に沿って複数箇所に設けられる。
【0047】さらに砥石治具本体3の周縁には、砥石保
持板に初期張力を付与するための手段としてテンショナ
ー6が砥石治具の一部として設けられている。本例で
は、このテンショナーとしてボルトを用いているが、砥
石保持板に初期張力が付与できるものであれば、その形
態は問わない。以下の説明ではこのテンショナー6をボ
ルト6とする。ボルト6は、砥石治具本体3に周縁を固
定された砥石保持板2との間にリング7を介在させて設
けられ、ボルト6をねじり込むとリング7を通して砥石
保持板2が下方に押し下げられる。これにより、砥石保
持板2は緊張し、初期張力が付与される。この初期張力
の加減は、ボルト6のねじり込みによりリング7の押し
代を調節することで、容易に行える。そして、均一な初
期張力が得られるように、複数個のボルト6が砥石治具
本体3の周縁の同一円周上に配置されている。
【0048】さらに、砥石治具本体3と砥石保持板2と
の間には、弾性部材として例えばバネ8が多数配置され
ている。この場合、リテーナー11を用いると、これら
のバネが砥石保持板に対し均一に作用しかつ使用中に変
動しないように保持できる。リテーナー11には、バネ
8を個々に格納できる孔がほぼ等しい間隔で規則的に設
けられていて、バネ8をこの孔に収容することにより所
望の密度でかつ常に安定した状態で配置できる。このよ
うに砥石治具本体3に組み込まれたバネ8は、パネルの
フェース面にほぼ垂直な方向に弾性を有し、鋼鉄製円盤
2aに押圧力を付与して砥石1に有効に作用する。さら
に、鋼鉄製円盤2aとの間に座金9とクッション板10
を介在させると、鋼鉄製円盤2aに対する押圧力を一層
均等化させうる。
【0049】なお、冷却水は昇降回転軸15の中心の孔
から供給され、砥石治具本体3と砥石保持板2の中心部
に設けたゴムチューブ12を経て砥石1の周囲及びパネ
ル16の表面に送給される。ゴムチューブ12の上端部
は、クランプ14によってホルダー13に固定されてお
り、下端部には溝が取り付けられていて鋼鉄製円盤2a
の内縁に固定されている。ゴムチューブ12は伸縮性に
富んでおり、バネ8の与える研磨圧には影響しない。
【0050】次に、本研磨装置により実際にパネル16
のフェース面を研磨する場合について説明する。研磨具
が未だパネル16に接触していない段階では、砥石保持
板2はバネ8の作用により球面状に弾性変形し、砥石保
持板2の中心部は数mm下方に膨らんだ状態にある。し
かし、その程度はきわめて小さいので、砥石保持板はほ
とんど平面に近いとみて支障ない。
【0051】冷却水を流しながら昇降回転軸15を研磨
治具とともに回転させつつ下降させ、砥石1がパネル1
6に当たって砥石保持板2が図1のようなほぼ平面状態
になる高さで下降を停止させる。この状態でもテンショ
ナー6の作用により、鋼鉄製円盤2aには強い張力が維
持されている。しかし、その力はマクロ的には研磨圧に
対して中立であるため、バネ8の反発力にほぼ等しい圧
力が砥石1とパネル16との間に発生するので、研磨圧
はバネ力にて精度良く加えられる。
【0052】パネルのフェース面に対する馴染み性も重
要な性能であるが、本発明による研磨具が薄い鋼鉄製円
盤2aを主体にしているため、研磨具をフェース面に満
足に馴染ませうる。
【0053】こうして、研磨具が回転しながら回転テー
ブル17上の回転しているパネル16に押し当てられ
て、パネル16のフェース面は研磨中の面に大勢として
倣った状態で研磨されていく。そして、十分な時間研磨
を続けた後に昇降回転軸を上昇させると、研磨が終了す
る。
【0054】また、研磨中に砥石1には主に摩擦力によ
る起振力が加わるが、従来のゴム板と異なり砥石保持板
2の保持力が高いため、砥石の相対的な進行方向の水平
振動及び転倒回転振動は生じにくいので、砥粒とガラス
との繰返しの衝突は回避され、砥粒の脱落が防止され
る。
【0055】さらにまた、鋼鉄製円盤2aに加えられた
張力によって砥石保持板2がきわめて平面に近い形状に
維持されるため、パネルのフェース面の端部における不
具合も生じにくい。
【0056】この場合、回転テーブル17の回転軸と昇
降回転軸15とは、パネル16のフェース面を均一に研
磨するために図示するように偏芯しているのが好まし
い。さらに、必要に応じパネル16又は研磨具の少なく
とも一方を相対的に揺動させることもできる。
【0057】
【発明の効果】本発明による研磨具及び研磨治具を粗研
磨工程、中研磨工程、艶出し研磨工程などに用いること
によって、パネルのフェース面に対する馴染み性を従来
どおり持たせつつ、すなわちパネルフェース面が多少変
動しても研磨具の全面的な接触を確保しつつ研磨でき、
これにより砥石の振動による砥粒の脱落やパネル端部で
の研磨具の屈曲が防止され、従来技術で起こりやすい研
磨欠点の発生や砥石の短寿命の問題を解決できる。
【0058】その結果、ブラウン管パネルフェース面の
固定砥粒研磨が可能になり、研磨材を用いる場合の品質
の不安定性、生産性の低さなどの多くの問題を解決でき
る。また、研磨廃砂をブラウン管用ガラス原料としてリ
サイクル可能になり、研磨廃棄物の処理問題が実質的に
解消できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す研磨装置の断面説明
図。
【図2】図1における砥石保持板2の部分拡大断面図。
【図3】従来技術による粗研磨工程の研磨具及び研磨治
具を示す断面説明図。
【図4】従来技術で固定砥粒研磨を行う場合における、
パネル端部での砥石の状態を示す拡大断面図。
【符号の説明】
1:砥石 2:砥石保持板 3:研磨治具本体 4:固定リング 5:ボルト・ナット 6:テンショナー 7:リング 8:バネ 9:座金 10:クッション板 11:リテーナー 12:ゴムチューブ 13:ホルダー 14:クランプ 15:昇降回転軸 16:パネル 17:回転テーブル 18:接着剤 22:接着剤
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成10年9月14日(1998.9.1
4)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】
  2. 【請求項2】前記砥石保持板は金属板とプラスチック板
    とが接着によって一体化されてなり、前記多数の砥石は
    前記プラスチック板に接着により固定されてなる請求項
    1に記載のブラウン管用パネルの研磨装置。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20030031598A (ko) * 2001-10-15 2003-04-23 (주) 한일씨텍 평면브라운관용 패널 연마구의 제조방법 및 그 연마구
KR20030090092A (ko) * 2002-05-21 2003-11-28 한국전기초자 주식회사 음극선관 유리제품 연마장치용 연마툴
CN109702615A (zh) * 2019-01-18 2019-05-03 东莞锐航光电科技有限公司 具有隔振动能的扫光翻转装置及玻璃扫光机
CN112476142A (zh) * 2020-11-19 2021-03-12 彭毅 一种光学镜片加工用自调节夹持力防镜面破碎的辅助设备
CN112894619A (zh) * 2021-01-18 2021-06-04 江小芳 一种数控磨床加工用循环调向机构

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