JP2000158312A - ブラウン管用パネルのフェース面研磨装置 - Google Patents

ブラウン管用パネルのフェース面研磨装置

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JP2000158312A
JP2000158312A JP34029098A JP34029098A JP2000158312A JP 2000158312 A JP2000158312 A JP 2000158312A JP 34029098 A JP34029098 A JP 34029098A JP 34029098 A JP34029098 A JP 34029098A JP 2000158312 A JP2000158312 A JP 2000158312A
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  • Grinding And Polishing Of Tertiary Curved Surfaces And Surfaces With Complex Shapes (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】研磨具のパネルへの馴染み性を確保しつつ、砥
石の振動と研磨具のパネル端部での変形や屈曲を防止し
て、研磨面の品質と研磨効率を改善し、さらに固定砥粒
研磨を可能にする。 【解決手段】研磨具1を裏側から真空吸引することによ
って、研磨具1をパネル17のフェース面に近い形状に
変形させつつ、研磨具1に強い張力を与える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はブラウン管用パネル
のフェース部の外面、すなわちフェース面、を研磨する
装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来よりブラウン管用パネル(以下パネ
ルとする)のフェース面の研磨は、研磨材スラリを供給
しつつ、弾性支持された研磨具をパネルに押付けながら
相対的に運動させる装置によってなされている。
【0003】また、この研磨工程は通常粗研磨、中研
磨、艶出し研磨の3段階からなる。この場合、研磨材と
して多用されているのは、粗研磨ではガーネット、中研
磨ではパーミス、艶出し研磨では酸化セリウムである。
研磨具として多用されているのは、粗研磨では多数の鋼
鉄製の円柱を硬質ゴムに埋め込んだ構造のもの、中研磨
では中程度のゴム硬度を持つゴム板またはゴム筒、艶出
し研磨では人工皮革やフェルト製の円盤または筒であ
る。
【0004】いずれの工程でも、研磨具はパネルに馴染
むための可撓性を有する。また、研磨具をパネルに密着
させる手段として、研磨具を保持しつつ研磨作用を研磨
具に伝達するための研磨治具の内部にクッション材を設
けている。図3に、この粗研磨工程の従来技術の代表例
を示す。
【0005】図示するように鋼鉄製のピース(鉄ピー
ス)21とゴム製の基体22とからなる研磨具の裏側
に、クッション材23と金属製の研磨治具本体24など
からなる研磨治具が設けられている。前記研磨具は回転
軸25に取り付けられた研磨治具本体24を介して回転
および昇降できるようになっており、回転テーブル18
に載置したパネル17のフェース面を、鉄ピース21に
より研磨スラリを用いて研磨する。この場合、研磨具は
パネル17に馴染むように適度の可撓性を有する。
【0006】次に、研磨具の可撓性が必要な理由を説明
する。パネルのフェース面研磨の主目的は、成形時に生
じた表面の小孔やしわなどの除去を、研磨代をミニマム
に抑えつつ実施することにある。一方、成形されたまま
のパネルの外面形状は、必ずしも製品設計に対して精度
よく合致するように作られてはいない。ブラウン管とし
ては、内面の寸法精度がより重要であり、成形時には内
面の寸法を優先させて成形条件を制御するので、外面の
精度は一般に高くないからである。
【0007】これらの事情により、たとえ設計されたフ
ェース面形状が球面または平面であっても、それぞれの
パネルに研磨具を適合させておおむね倣わせながら研磨
を行うことが必要となる。この原則から外れて剛性の高
い研磨具を用いると、研磨代をミニマムに抑えられず、
例えば設計どおりの面をあたかも工作機械のごとく削り
出そうとすると、寸法誤差の分を余計に研磨しなければ
ならず、結局研磨代は何倍も必要になり、効率の低下と
研磨具の消費増加が問題となる。
【0008】ところが、従来技術で採用されている研磨
具の柔軟性は、質の良い研磨面を得るうえでマイナスの
作用を持つことがある。パネルの端部を境にして研磨具
がはみ出た部分にもクッション材の復元力が加わるた
め、研磨具が屈曲してパネルに対する接触状態に悪影響
を及ぼすからである。研磨圧が大きいために、特に粗研
磨工程で悪影響が顕著に現れる。
【0009】図4に、その様子をやや誇張して示す。図
から明らかのように研磨治具本体24を降下させて、鉄
ピース21をパネル17に押し付けると、クッション材
23はパネル17の上の箇所のみがパネル17からの反
力を受けて圧縮される結果、基体22はパネル17の端
部で屈曲する。
【0010】基体に屈曲が生じると、鉄ピース21の角
部がパネル端部のR部(フェース部とこのフェース部に
対しほぼ垂直に延在するスカート部との連接部)に点接
触して傷が付くとともに、パネルの端部から少し内側の
箇所において鉄ピースが浮き上がったり接触が不十分に
なって、研磨の均一性が損なわれる。
【0011】屈曲の程度はクッション材23がスポンジ
のように弾力性が高いほど、そして研磨具本体24を介
して加えられる研磨圧が高いほど顕著になる。一方、弾
力性は研磨具のパネル面への密着にとって重要な因子で
あり、研磨圧は研磨効率にとって重要な因子である。
【0012】すなわち、この研磨具の屈曲現象はパネル
の研磨にとってきわめて不都合であり、この屈曲現象を
緩和できれば、パネル端部のR部を加傷しにくく、かつ
パネル端部における研磨の均一性を向上させた研磨が実
現できる。さらに、より高い研磨圧を加えることがで
き、研磨効率も改善できる。
【0013】一方、かねてよりパネルの面を固定砥粒に
よって研磨する技術の実用化が待望されていた。その主
な理由は、遊離砥粒を用いた研磨方式は次のような問題
があるからである。
【0014】第一の問題は、研磨材の不安定性である。
研磨材は水と混合させてスラリとし、大がかりなシステ
ムを用いて多量に研磨装置に供給する必要があり、しか
も研磨材が絶えず粉砕され消耗するため、粒度分布や濃
度などの状態を一定に管理することは容易でない。例え
ば、研磨材の投入が過少であると、粒度分布が細かい側
に偏り研磨不足による欠点が生じ、過多であると大きい
側に偏って面粗度が次の段階の研磨工程で除去できない
ほどに粗くなる。このため、恒常的に品質の不安定や生
産性の低下を引き起こしていた。
【0015】第二の問題は、異物の混入である。研磨材
の原料は通常天然の鉱床から採掘されるが、硬質の異物
が含まれていることがあり、また研磨中に割れが発生す
ると、スラリシステムにガラス粉が混入する。これらは
決して希なことではなく、製品に傷を発生せしめ品質や
歩留りに悪影響を与えている。
【0016】第三の問題は、廃棄物である。微粒化され
た研磨材が廃棄物として多量に発生する。他の産業用原
料への転用はできるが、引取り費用は増加する一方であ
り、再利用するうえで大きな問題となっている。本来は
ガラス原料としてリサイクルすべきであるが、それを図
ろうとすると、乾燥装置などの設備コストやエネルギー
コストが増加するうえに、ガラス原料に配合しても問題
ないという制約条件を満たすには、ガーネットに替えて
アランダムのように高価な研磨材を用いざるを得ず、製
造コストの増加が余儀なくされる。
【0017】以上の問題を解決するための最も簡便な手
段として、図3に示す従来の研磨装置において、研磨具
の鉄ピース21をペレット型ダイヤモンド砥石に置き換
える方法が考えられる。
【0018】しかし、この方法ではガラスに深い傷が生
じるだけでなく、砥石本来の寿命が得られない。本来の
寿命とは砥石を強固に固定して用いる場合の寿命を指
す。砥石の寿命が損なわれる理由は、自励振動の発生に
ある。自励振動は、弾性体で支えられた固体を一定の相
対速度で動く別の固体で擦った場合に発生する現象であ
る。したがって、ゴム板という弾性体に一端が埋め込ま
れて突出している砥石も、自励振動を起こす条件を備え
ている。
【0019】この現象をパネルのフェース面を実際に研
磨する場合についてみると、研磨の開始により砥石とパ
ネルの間の摩擦力が起振力となって、砥石は激しく振動
を始める。この振動のモードは、砥石の進行方向におけ
る往復振動と摩擦力が生む転倒モーメントによる傾斜振
動の複合した複雑なものである。
【0020】一般論としてダイヤモンド砥石を用いてガ
ラスを研磨する場合、振動は大敵とされる。振動は砥石
とガラスとの繰返しの衝突を生むからである。砥石に埋
め込まれた砥粒に衝撃が繰り返し加わると、ボンドによ
る砥粒の保持が少しずつ緩み、ついには砥粒はボンド相
から抜け落ちる。これを砥粒の脱落と称する。
【0021】砥粒が磨滅する以前に脱落が生じること
は、きわめて好ましくない。砥粒が脱落すると、その直
後に砥粒は砥石のボンド面とガラスとの間に挟まれた状
態になり、まだ磨滅していない大きな砥粒がガラスに深
い傷を生じさせるからである。
【0022】また、砥粒が抜け落ちるとボンド相が研磨
部に露出する。このボンド相はきわめて磨耗しやすい材
質からなるので研磨作用で磨耗し、その結果砥粒の保持
力を失い新たな脱落を引き起こす。この繰り返しで脱落
が頻繁になるほど砥石の磨耗が激しくなり、砥石の寿命
が縮まる。振動は研磨効率の低下をももたらす。研磨
中、砥石に振動が生じると、砥石が頻繁にガラスから離
れて有効に働く研磨時間の割合が少なくなるため、能率
は当然低下する。
【0023】以上の理由により、一般に固定砥粒研磨は
高い剛性と精度を有する砥石取付け軸と砥石を高速回転
させ、被研磨物もしっかり保持した状態で行うことを原
則としている。こうすれば砥石が振動してダイヤモンド
砥粒に過大な力が加わることがないので砥粒の脱落も生
じにくくなり、傷の発生や砥石の短寿命といった問題が
解消可能となるからである。しかし、この剛性の高い研
磨具を用いる方法がパネル研磨に不向きであることは、
前記のとおりである。
【0024】ちなみに、研磨材スラリを用いて鉄ピース
で研磨する場合には、砥粒の脱落の問題は存在しないの
で、研磨具の鉄ピースの振動が問題を生じさせることは
ない。すなわち、柔軟な可撓性を有する研磨具を用いて
従来技術で固定砥粒研磨を行おうとすると、固定砥粒研
磨の前記原則に反することになる。そして、前記原則に
忠実であろうとすれば、研磨代を何倍にも増やさねばな
らなくなり、従来技術を用いての固定砥粒研磨は大きな
矛盾に直面する。
【0025】また、パネルを従来技術で固定砥粒研磨を
行う場合には、可撓性を有する研磨具の屈曲現象が、研
磨材スラリを用いる場合よりも顕著な影響を与えるの
で、致命的な問題になりがちであった。つまり、砥石に
埋め込まれる砥粒は通常研磨材よりも硬いものが用いら
れるうえ、スラリ中の研磨材よりも含有密度が高くない
ので、砥石がパネルの端部に点接触をすると、この部分
の砥粒が強く接触してR部にはるかに深い傷が生じるか
らある。
【0026】
【発明が解決しようとする課題】本発明の第一の課題
は、可撓性を有する研磨具を用いてパネルを研磨する場
合に、パネルの端部における研磨具の屈曲現象を緩和し
て、砥石の点接触による欠点の発生を防止し、かつ研磨
効率が高いパネル研磨を可能にすることである。本発明
の第二の課題は、従来技術では困難であったパネルの固
定砥粒研磨を可能にすることである。
【0027】
【課題を解決するための手段】本発明は、ブラウン管用
パネルのフェース面に接触させる可撓性を有する研磨具
と、該研磨具を保持し回転させるための研磨治具とを有
し、該研磨具を回転させながら該フェース面に押付けて
研磨する研磨装置において、該研磨具と該研磨治具との
間には空間部が設けられており、該空間部を真空引き
し、該研磨具を裏側から吸引することによって、該研磨
具を該フェース面の外面形状に近い形状に変形せしめる
とともに、該研磨具に張力を発生させるように構成した
ことを特徴とするブラウン管用パネルのフェース面研磨
装置を提供する。
【0028】また、該研磨具は、該空間部が非真空状態
であるとき略平面状である上記のフェース面研磨装置を
提供する。また、該研磨具がゴム製の基体と、該基体に
埋め込まれた多数の砥石支持体と、該砥石支持体に接合
された砥石とからなる上記のフェース面研磨装置を提供
する。また、該空間部にクッション材が設けられている
上記のフェース面研磨装置を提供する。
【0029】
【発明の実施の形態】本発明によるブラウン管用パネル
のフェース面を研削する装置は、パネルに接触して研磨
作用を加える研磨具、該研磨具を保持して加圧力と回転
力を伝えるための研磨治具を具備している。これらの研
磨具と研磨治具との間には、所望の空間部が設けられて
いる。
【0030】本発明の最大の特徴は、この研磨治具の内
部にある空間部を真空にする手段を有することにあり、
そのために研磨治具にはこの空間部を真空にするための
真空供給機構が設けられている。この真空供給機構とし
ては汎用のものを使用でき、作動弁や真空度を調節する
ための装置を備えている。
【0031】本発明は、上記したように研磨治具に真空
供給機構を設けて、研磨時の研磨具を裏側から吸引する
ことにより、研磨具をパネルのフェース面の曲率に合わ
せて、すなわちフェース面の外面形状に近づくように湾
曲変形せしめるとともに、該研磨具が面方向に緊張する
ように張力を生ぜしめることを特徴とする。研磨具を湾
曲変形する目的は、研磨開始時または研磨中において研
磨具がフェース面にできるだけ均一に接触するようにす
るためなので、フェース面の外面形状に近似するほど望
ましい。しかし、実際にこれを達成するのは困難であ
り、研磨具は自身の弾性や押圧力によってもフェース面
に馴染むので、この湾曲形状はきわめておおまかでよ
い。研磨治具の前記空間部は、この研磨具の湾曲変形時
における真空室として機能するとともに、変形できるス
ペースを確保するのに役立つ。
【0032】本発明において固定砥粒研磨用の好ましい
研磨具は、ゴム製の基体と、該基体に一部が埋め込まれ
た多数の砥石支持体と、該砥石支持体に接合された砥石
とからなる。基体をゴム製にするのは、可撓性が得られ
るようにするのが主な狙いであり、ここでいうゴムは可
撓性を有する材質の総称で、通常は柔軟で適度の弾力を
有する各種ゴムまたは合成樹脂が用いられる。これらは
単独でも使用できるが、補強材と複合して使用すること
が多い。この補強材としては、加工の容易さ、基材との
複合のしやすさやコスト面から補強布が適する。しか
し、フェース面の平坦度の高いフラットなパネルの研磨
具の場合には、研磨具をほとんど湾曲させる必要がない
ので、薄い金属板または金属メッシュでもよい。実際に
基材を補強する場合には、基材に埋設したり、積層した
りすることにより行われる。
【0033】本発明において、研磨治具に取り付けられ
た研磨具は、前記空間部が非真空状態にあるときは実質
的に平面状をなしていることが好ましい。しかし、空間
部を真空引きし、該研磨具を裏側から吸引すると、研磨
具は周辺を係止された状態で凹状に湾曲変形する。それ
と同時に、研磨具にはそれまで平面状であったものが湾
曲変形するために張力が発生し、研磨具をパネルに対し
て緊張状態にする。
【0034】また、研磨具と研磨治具との間の前記空間
部にクッション材を設けておくと、より好ましい。その
理由は、研磨具をパネルに押し付けたとき、クッション
材の反力が研磨具の裏面に働いて研磨治具による押圧力
を研磨具に均一に伝えるのに有効であり、また研磨具を
裏側から吸引して変形させるとき、過度の真空力が働い
ても、研磨具の必要以上の変形を抑制し形態を安定させ
られるからである。このクッション材としては通気性の
ものが好ましい。
【0035】さらに、本発明により固定砥粒研削を行う
場合には、多数の砥石をゴム製の基体に対して強固に、
かつこれら砥石の研磨に用いる面を同一面内に精度良く
接合する必要がある。砥石が強固に固定されていない
と、研磨中に砥石が基体に対して傾きを生じるため、パ
ネルに偏って接触し均一な研磨が得られなくなる。砥石
の面が同一面でない場合も、パネルに均一に接触しな
い。
【0036】本発明は、研磨スラリのような遊離砥粒を
用いる研磨具にも適用できるが、これまでパネルの研磨
において実用化が困難であった例えばダイヤモンド砥石
のような固定砥粒を用いる研磨具に特に適する。
【0037】
【作用】本発明の研磨装置を用いてブラウン管用パネル
を砥石で研磨を行う場合の作用について説明する。先ず
研磨治具の空間部を真空にすると、研磨具は研磨治具の
側へ吸引され、湾曲面状または球面状に変形する。この
際、研磨治具の空間部にクッション材が設けられている
と、このクッション材に接触し、それをある量だけ圧縮
した状態で安定する。この時点で研磨具の形状はパネル
フェース外面の形状に近くなる。同時にこの平面から湾
曲面への変形に伴って研磨具には強い張力が発生する。
【0038】次に、冷却液を研磨具の中央の孔から流出
させつつ、パネルを固定した台と研磨具を回転させ、研
磨具を下降させてパネルに押し当てると、研磨が開始さ
れる。このとき研磨具は凹状に湾曲しているため、パネ
ルに押し当てられると、基体の可撓性とクッション材の
作用でパネル面に容易に馴染むので、パネル面と重なり
合った箇所に存在する砥石は、パネルとおおむね所定の
接触圧でもって接触が維持される。
【0039】また、研磨具に生じる強い張力は、砥石を
可撓性に富む基体で保持するために生じる問題、すなわ
ちパネルの端部における研磨具の屈曲現象と、砥石の振
動現象を軽減する効果を有する。なぜこの強い張力がこ
れらの問題の解決に有効かについては、次のように説明
できる。
【0040】先ず、パネル端部での研磨具の屈曲現象の
軽減については、基体の面内に張力を加えれば、局所的
な屈曲が矯正される事実から容易に理解される。また、
この張力はパネルの端部以外の箇所でも研磨具の局所的
な曲がり変形による砥石のぐらつきを防ぐ働きを有する
ので、砥石の振動防止にも顕著な効果を発揮する。
【0041】この効果は前記張力が高いほど大きくなる
が、十分な効果が発揮されたらそれ以上高くしない方が
よい。張力は研磨具の剛性を高める作用があるために、
過度に高くすれば研磨具のパネルへの馴染み性が損なわ
れるからである。
【0042】なお、本研磨装置において前記張力は研磨
具の基体の面内張力に対する剛性と真空度とで決まり、
またこれら両者によって研磨具の曲率半径(湾曲度)が
決まるので、この曲率半径が目標値になるように真空度
を調節したときに、最適の張力が発生するように研磨具
の基体の剛性を定めればよい。
【0043】
【実施例】次に、固定砥粒研磨の場合での実施例を図
1、図2に従って説明する。図2は、図1の研磨具1の
部分拡大図である。図において、2はゴム製の基体で、
3はこの基体2に多数埋め込まれた砥石支持体であり、
基体2のゴム成形・加硫工程の際に一端を埋設すること
により強固に接合されている。砥石支持体3には、例え
ばダイヤモンド砥粒をボンド相で固定し円柱状に形成し
た砥石4が接合されている。5は基体2に埋め込まれた
補強布で、砥石支持体3と同様にゴム成形・加硫工程の
際に基体2と強固に接合されている。研磨具1の中央部
には、図1に示すように冷却液を通すゴムパイプ7を固
定するためのパイプ6が、基体2と強固に接合して設け
られている。
【0044】研磨具1は、研磨治具の主要部を構成する
研磨治具本体9に基体2の外周部をリング11とボルト
・ナット12で固定することにより取り付けられてい
る。研磨治具本体9は、内部に空間部を有する椀状をな
しており、該研磨具を取り付けると、研磨治具本体9と
の間には所定の空間部が形成される。この空間部にはク
ッション材8が装填されていて、研磨治具本体9から与
えられる押圧力を研磨具1(正確には基体2)に均一に
伝達するようになっている。研磨治具本体9には、クッ
ション材8を装填した前記空間部を真空にするための空
気流通孔10が設けられている。
【0045】研磨治具本体9は回転軸13に装着され、
回転軸13が支持体を通して上下動するとともに、駆動
ベルト20で回転させるようになっているので、研磨具
1は研磨治具本体9と一体に回転および昇降作動を行
う。回転軸13の内部には、研磨治具本体9の空気流通
孔10に通じる空気流通孔14が設けられており、流体
供給装置15を経て真空源(図示省略)につながってい
る。これにより、クッション材を装填した前記空間部を
真空にできる。
【0046】また、回転軸13の中心には冷却水を供給
するための導管16が設けられていて、パイプ19より
送給されてくる冷却水を回転軸13の上端から導管16
に導入し、ゴムパイプ7より研磨具の砥石部に供給する
ようになっている。研磨されるパネル17は、回転テー
ブル18に同芯になるように固定させられており、研磨
中には自己の中心軸回りに回転する。なお、このパネル
と研磨具との研磨動作は、このほか従来知られている方
法が適宜応用できる。
【0047】次に、実際の研磨作業順序に従って本装置
の作動を説明する。先ず本装置の運転を開始する際に、
真空源に通じる配管のバルブを開くと、回転する研磨治
具本体9と研磨具1との間の空間部が真空になり、研磨
具1は吸引されてパネル17のフェース面に近い湾曲面
に変形する。この際に基体2は引き延ばされようとする
が、基体2の内部の補強布5がそれに抵抗するために強
い緊張状態となる。基体の裏側にはクッション材8が適
当な弾力で作用する。
【0048】研磨サイクルがスタートすると、冷却水が
導管16から放出され、回転テーブル18が回転を開始
してパネルを回転させる。次いで、回転軸13が回転し
つつ下降し、研磨具1がパネルに押し当てられると、研
磨具1はただちにパネルのフェース面に馴染んで広い面
積で接触し、研磨が始まる。所定の研磨時間が経過する
と、研磨治具が上昇して研磨サイクルが終了する。
【0049】
【発明の効果】本発明によれば、研磨が始まる前にあら
かじめ研磨具1を真空力によりパネルの外面形状に近い
形状に変形させておくため、研磨具1はパネル17に押
し当てられるとクッション材8の作用も手伝って容易に
馴染むので、パネル面と重なり合った箇所に存在する砥
石4は、パネル17とおおむね所定の接触圧でもって接
触が維持される。これにより、パネルを均一に効率良く
研磨できる。
【0050】また、基体2に強い張力が発生した状態に
なるため、パネル17の端部における研磨具1の屈曲現
象は緩和され、フェース面のR部を加傷する現象が防止
される。さらに、パネルの端部から少し内側の箇所にお
いて砥石または鉄ピース等が浮上がったり接触が不十分
になって、研磨の均一性が損なわれる現象も防止でき
る。同時に砥石4の保持がしっかりするので振動が抑制
され、研磨面での傷発生を防止できる。
【0051】また、基体2を薄い金属板または金属メッ
シュで補強すると、研磨具1の面内の剛性が高まるため
に、裏側の真空圧をより高く設定して研磨具1の曲率を
フェース面に近づけるため、より強い張力を発生させう
る。これにより、研磨具1のパネルへの馴染み性が若干
低下するが、パネルの端部での屈曲現象をより完全に防
止できる。
【0052】このように、本装置によって固定砥粒研削
を行えば、砥石の振動やパネルの端部における屈曲現象
を起こさないために、深い傷の発生やパネルの端部にお
ける不均一な研磨を防止できる。また、研磨具のパネル
への馴染みがよいために、パネル面の一部に発生する強
い圧力による傷を防止できるとともに、パネルを均一に
研削できる。
【0053】また、本発明の装置によって遊離砥粒研磨
を行う場合でも、パネルの端部における屈曲現象が同様
に解消されるため、より高い研磨圧を加えうるととも
に、該端部での研磨の均一性が向上するので、生産効率
と品質を高めうる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の研磨装置の断面説明図。
【図2】図1における研磨具の詳細を示す拡大断面図。
【図3】従来技術による粗研磨工程の研磨装置の断面説
明図。
【図4】従来技術による研磨装置における、パネル端部
での砥石の状態を示す拡大断面図。
【符号の説明】
1:研磨具 2:基体 3:砥石支持体 4:砥石 5:補強布 8:クッション材 9:研磨治具本体 10:空気流通孔 13:回転軸 14:空気流通孔 15:流体供給装置 17:パネル 18:回転テーブル

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ブラウン管用パネルのフェース面に接触さ
    せる可撓性を有する研磨具と、該研磨具を保持し回転さ
    せるための研磨治具とを有し、該研磨具を回転させなが
    ら該フェース面に押付けて研磨する研磨装置において、
    該研磨具と該研磨治具との間には空間部が設けられてお
    り、該空間部を真空引きし、該研磨具を裏側から吸引す
    ることによって、該研磨具を該フェース面の外面形状に
    近い形状に変形せしめるとともに、該研磨具に張力を発
    生させるように構成したことを特徴とするブラウン管用
    パネルのフェース面研磨装置。
  2. 【請求項2】該研磨具は、該空間部が非真空状態である
    とき略平面状である請求項1記載のフェース面研磨装
    置。
  3. 【請求項3】該研磨具がゴム製の基体と、該基体に埋め
    込まれた多数の砥石支持体と、該砥石支持体に接合され
    た砥石とからなる請求項1または2記載のフェース面研
    磨装置。
  4. 【請求項4】該空間部にクッション材が設けられている
    請求項1、2または3記載のフェース面研磨装置。
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