JP3767382B2 - ワイヤソーによる切断方法およびそれに用いる切断装置 - Google Patents

ワイヤソーによる切断方法およびそれに用いる切断装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ワイヤソーを用いてシリコン、水晶、炭化珪素などの脆性材料、半導体材料をウエハ状に切断する方法及びその切断方法に用いる装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、シリコンインゴット、水晶、サファイヤなどの高額な材料や脆性材料、高硬度な材料の切断及び溝入れに、ワイヤソーが用いられている。ワイヤソーの加工方法は、ダイヤモンド等の砥粒を電着したワイヤを用いる固定砥粒方式と、ピアノ線等のワイヤにスラリー( 砥粒を混ぜた加工液) をかけながら加工する遊離砥粒方式とがある。
【0003】
これら両方式は、どちらも細いワイヤを一方向もしくは往復走行させながら被加工材に押しつけて切断するもので、外周刃切断、内周刃切断等のブレードを用いる加工に比べ、小さな切り代で切断ができるという特長がある。
【0004】
しかし、欠点として切断メカニズムがラップ加工の原理に近いので加工時間(切断時間)が非常に長いという問題がある。加工時間を短縮しようと、ワイヤの切り込み速度を速くすれば、ウエハ切断面のうねりが悪化することにより、後工程である研削や研磨作業においてウエハの割れや欠けを発生させる要因となる。また、慎重な加工が要求されるため、作業者の負担増や加工時間が長くなるなどの弊害がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者等が実験検討を重ねた結果、ワイヤやスラリーの移動による揺れ、振動が、切断によるウエハ(被加工物を切断分離したもの)のうねりの発生原因の一つであることがわかった。
【0006】
図7は、従来の一般的なワイヤソーによる切断方法を示す説明図であり、図8は図7に示す方法における被加工材の切断状況を示す説明図であり、図7の側方から視た図である。なお、図8において、(a)は加工開始(切断開始)直後に近い状態、(b)は加工終了(切断終了)に近い状態を示す。
【0007】
図7に示す様に、被加工材3の切断終了側を、加工台6に接着剤5等で固定し、切断は、ワイヤ2を図中の左右方向に往復させながら相対的に下方へ移動させていくことで行う。被加工材3の切断が進行するに従って、被加工材3に溝(切断溝)10が形成され(図8(a))、切断が終了に近づくに従って、被加工材3におけるウエハの保持部、すなわちワイヤ2よりも下の部分が減少していく(図8(b))。
【0008】
これにより、ワイヤ2がワイヤ2に付着したスラリ等を伴って移動する際、上記保持部が減少したウエハに、揺れや振動を発生させることで、うねりが悪化する。従って、ウエハの切断終了側に近い程、これら揺れや振動が大きくなるためウエハに発生するうねりも大きくなる。
【0009】
これを防止するため、切断終了側に近くなるに従って切断速度を遅くすることで、うねりを小さくする方法もあるが、加工効率が低下してしまう。このため、ウエハ状に薄くなり保持部が少なくなっても、安定した支持を確保するため、被加工材を強固に固定することで、うねりを低減することが可能になると考えられる。
【0010】
このような被加工材の固定方法としては、特開平9−272122号公報に記載のものが提案されている。これは、ウエハの割れを防止すべく、ウエハを上(切断開始側)から圧接することにより、強固な固定を得るものである。しかし、この方法では、ウエハに割れを起こさせるような大きな力を抑制することは出来るが、ウエハ表面に発生する数10μmという微小なうねりを抑えることは出来ない。
【0011】
上記公報に記載されているように、切断開始後の薄く切断されたウエハの上を圧接板で押さえつけるだけでは、切断が終了に近づくに従ってウエハを保持している保持部が減少するために起こる切断終了側のうねりは大きいままであり、本発明者等が望んでいる数10〜数μmのうねりを抑えることは出来ない。
【0012】
また、圧接板でウエハを押さえるために装置(設備)を途中停止することで、うねりやソーマークが発生するという問題がある。特に、Si(ビッカース硬度1000程度)よりも高硬度な脆性材である単結晶炭化珪素(ビッカース硬度2500程度)の切断において、うねりは非常に大きくなることがわかった。
【0013】
そこで、本発明は上記問題に鑑み、ワイヤの移動によって起こる被加工材の揺れや振動によって発生するウエハのばたつきを抑制することにより、ウエハ表面のうねりを低減できるようなワイヤソーによる切断方法およびそれに用いる切断装置を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
一般的に、被加工材は、上記図7に示す様にワイヤソーの加工台(テーブル)6に固定するか、もしくは、加工台6に切断溝が入ることを防止するため、最終切断端にのみダミーワークを挟みこんで固定を行う。そして、それぞれの保持には、接着剤を用いる。
【0015】
しかし、この方法では、上記図8に示したように、被加工材3に溝10が形成され、切断が終了に近づくに従ってウエハの保持部が減少していくことで、ウエハにうねりが発生する。このため、切断終了部の保持を強固にすることで、うねりが低減できると考えた。本発明は、この知見に基づいてなされたものである。
【0016】
すなわち、請求項1に記載の発明では、ワイヤ(2)を走行させながら被加工材(3)を切り込むようにしたワイヤソーによる切断方法において、被加工材を固定するための台座(4)として、少なくともワイヤの走行方向にて被加工材を包含する大きさを有し且つ包含する部分の高さが被加工材の重心位置よりも高いものを用いることを特徴としている。
【0017】
ワイヤの移動によって起こる被加工材の揺れや振動は、切断が進行し、切断された領域が大きくなり、支持している部位への負荷が増加すると共に、その支持部は減少していくことで発生すると考えられる。そのため、本発明のように、台座によって被加工材の重心よりも高い位置までを支持すれば、被加工材の支持を安定させることができ、切断終了に従って保持力が弱まることを抑制できるため、上記被加工材の揺れや振動を抑制することができる。
【0018】
よって、本発明によれば、ワイヤの移動によって起こる被加工材の揺れや振動によって発生するウエハのばたつきを抑制することにより、ウエハ表面のうねりを低減できるようなワイヤソーによる切断方法を提供することができる。
【0023】
また、請求項に記載の発明では、無機材料を主成分とした流動性材料(16)に被加工材(3)を浸漬させた状態で流動性材料を硬化させ、硬化された流動性材料により台座(4)を形成することを特徴としている。
【0024】
被加工材がいびつな形状であったり、凹凸が激しいような形状の場合、加工台への固定が非常に不安定になる。台座を用いた固定においても、被加工材の形状にぴったり合わせることが困難な場合がある。このような場合、本発明によれば、硬化された流動材料により形成された台座は、被加工材の保持される部位の形状に合わせられたものとすることができるため、被加工材の固定を強固なものにできるに。
【0025】
例えば、本発明の具体的な方法として、被加工材(3)を内包する型枠(15)内に置き、上記流動性材料(16)を流し込み、硬化後に型枠を外して加工するという方法を採用することが可能である。それにより、高品位な切断が容易に可能となる。
【0026】
この場合、請求項に記載の発明のように、被加工材(3)の全体を流動性材料(16)内に埋設した状態で、流動性材料の硬化を行い、台座(4)を形成するようにすれば、より確実に安定した固定が実現出来るとともに、被加工材の切断開始部(頂部)の凹凸が激しく、ワイヤの、ぶれが発生しやすい形状であるような場合等に有効である。
【0027】
また、被加工材を埋設した台座は、上記したように型枠に流動性材料を単純に流し込むだけの形成方法では、最上面(切断開始側)が平面になってしまう。この状態で切断を開始しようとすると、ワイヤが台座の平面部と長い範囲で接触するため、ぶれやすくなり、うねりを悪化させる。
【0028】
そこで、請求項に記載の発明のように、被加工材(3)の全体が埋設された台座(4)において、台座における切断開始側の形状を、切断開始時にワイヤ(2)が点接触の状態で当たる凸形状にすれば、台座の切断開始側とワイヤとが点で接触するため、ワイヤがぶれにくくなり、好ましい。
【0029】
体的には、硬化された流動性材料により形成された台座の最上面が、ワイヤが点接触で当たるような形状となるように型枠を作製するか、もしくは、型枠によって形成された台座の最上面の平面を削ってワイヤが点接触で当たるように加工することにより、達成することが可能である。
【0042】
また、請求項に記載の発明は、ワイヤ(2)を走行させながら被加工材(3)を切り込むようにした切断装置において、被加工材を固定するための台座(4)を備え、この台座は、少なくともワイヤの走行方向にて被加工材を包含する大きさを有し且つ包含する部分の高さが前記被加工材の重心位置よりも高いものであることを特徴とするものである。
【0043】
それによれば、請求項1に記載の発明と同様の理由により、ワイヤの移動によって起こる被加工材の揺れや振動によって発生するウエハのばたつきを抑制することにより、ウエハ表面のうねりを低減できるようなワイヤソーによる切断方法に用いる切断装置を提供することができる。
【0047】
また、請求項に記載の発明は台座(4)が、無機材料を主成分とした流動性材料(16)を硬化させることで被加工材(3)を固定するものであることを特徴とする
【0048】
また、請求項に記載の発明は、台座(4)が、被加工材(3)の全体を流動性材料(16)内に埋設した状態で流動性材料を硬化させることで被加工材を固定するものであることを特徴とする
【0049】
また、請求項に記載の発明は、台座(4)における切断開始側の形状が、切断開始時に、ワイヤ(2)が点接触の状態で当たる凸形状になっていることを特徴とする
【0060】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【0061】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図に示す実施形態について説明する。なお、以下の各実施形態において、互いに同一の部分には、説明を簡略化するために、図中、同一符号を付してある。また、各図において、施してあるハッチングは識別を容易にするためのもので断面を示すものではない。
【0062】
(第1実施形態)
図1は、本実施形態で用いる切断装置(ワイヤソー装置)の概要図であり、(a)は正面から視た図、(b)は(a)を側面から視た図である。また、図2は、図1(b)中の丸で囲んだA部拡大図である。まず、本実施形態における切断装置及び切断方法の全体概略について述べる。
【0063】
図1に示すように、配置した2つのローラ1a、1bに、複数本のピアノ線等よりなるワイヤ2が巻き付けてあり、2つのローラ1a、1bの間にて、複数列のワイヤ2が張った状態で配置されている。ここで、図示しないモータによって、2つのローラ1a、1bが回転させられることにより、ワイヤ2は、図1(a)中の左右方向の一方もしくは往復方向にするようになっている。
【0064】
また、ワイヤ2の下方には、カーボン、ガラス、その他セラミック等よりなる被加工材3が配置されており、本例の被加工材3は、円筒形状をした単結晶炭化珪素(SiC)を用いている。この被加工材3の下には、被加工材3を固定するための台座4が配置されており、この台座4上に接着剤5を介して被加工材3が固定されている。また、台座4の下部は、固定台(加工台)6に接着剤(図示せず)等にて固定保持されている。
【0065】
そして、これら被加工材3、台座4及び固定台6は、スラリー浸漬槽7内に配設されている。このスラリー浸漬槽7には、ノズル8からスラリー9が注入されるようになっている。このように、本実施形態の切断装置は、上記モータによって走行可能なワイヤ2、ローラ1a、1b、台座4、接着剤5、固定台6、スラリー浸漬槽7、ノズル8を備えた構成となっている。
【0066】
かかる切断装置においては、台座4及び固定台6に支持された被加工材3をスラリー浸漬槽7内に設置し、ワイヤ2を走行させた状態で、ワイヤ2に対して砥粒を混ぜた加工液であるスラリー9をかけながら、スラリー浸漬槽7とともに被加工材3をワイヤ2の方へ移動させていくことで、被加工材3及び台座4の切り込みを行う。
【0067】
そして、図1(b)に示す様に、複数列のワイヤ2に応じて複数本の切断溝10が形成され、最終的には、複数個の円板状のウエハが切り出される。なお、本実施形態では、被加工材3をスラリー9に浸漬した状態で切断加工を開始している。加工点へのスラリー供給を確実にするとともに、切屑の排出性を高めるために有効な手段として加工液に浸漬している。
【0068】
また、スラリー浸漬槽7は、その側面が枠体7aに対して取り外し可能なガラス板7bにより構成されるものである。そして、枠体7aとガラス板7bとが一体化した状態でスラリー浸漬槽7としてスラリー9を溜める機能を奏し、加工時には、ワイヤ2と当たるガラス板7bは、ワイヤ2によって被加工材3及び台座4と同時に切り込まれていく。このガラス板7bは使い捨てのものである。
【0069】
以上のような切断方法及び切断装置において、本実施形態における台座4は、被加工材3における切断終了側(下方側)の保持を強固なものとするために、少なくともワイヤ2の走行方向(図1(a)中の左右方向)にて被加工材3を包含する大きさを有し、且つ、包含する部分の高さが被加工材3の重心位置よりも高いものとしている。
【0070】
具体的には、図1に示す様に、台座4は、被加工材3における円の中心よりも高い位置まで、ワイヤ2の走行方向に位置する被加工材3の円周側面を包含し保持している。さらに、被加工材3の保持を安定させるために、台座4は、切断開始側(上方側)から見た被加工材3の投影面積よりも広い面積で被加工材3を支持するような大きさおよび形状としている。
【0071】
また、台座4における被加工材3の保持部(被加工材3と接触する部分)は、被加工材3の保持面積(支持面積)を大きくするために、被加工材3の保持される部位(取付部位)の形状に合わせて加工されている。なお、台座4としては、更にワイヤ2の走行方向と直交する方向にて、被加工材3を包含する形でも良い。
【0072】
このような特徴を有する台座4を用いれば、台座4によって被加工材3の重心よりも高い位置までを支持することで被加工材3の支持を安定させることができ、切断終了に従ってウエハの保持力が弱まることを抑制できる。そのため、被加工材3の揺れや振動を抑制し、これら揺れや振動によって発生するウエハのばたつきを抑制することができ、ウエハ表面のうねりを低減することができる。
【0073】
ここで、台座4の素材としては、弾性体では、加工中に被加工材3が揺れや振動を起こしやすくなるため弾性材ではない剛性部材を用いることが好ましい。台座4を被加工材3よりも切断性が良いものにするために、台座4の硬度は被加工材3の硬度よりも低いものを用いることが好ましい。
【0074】
具体的には、台座4の素材として、カーボン、ガラス等よりなる被加工材3よりも硬度が低く、切断し易いものを用いないと、台座4の切断性が悪化して、ウエハにうねりやソーマークが発生する。本例では、台座4の素材としてカーボンを使用している。
【0075】
また、接着剤5についても、弾性材を用いると、被加工材3の固定力が弱くなりうねりが悪化するため、弾性材で無いものが好ましい。例えば、無機材を主成分とした接着剤5を用いることができる。
【0076】
また、本実施形態の切断装置は、図1に示す様に、被加工材3の切断中に被加工材3におけるウエハヘの分離が進行している切断溝10に充填される詰め物11を備えている。それによって、被加工材3の切断中に、切断溝10に詰め物11を充填することにより、ウエハを固定することができる(図2参照)。
【0077】
このように、被加工材3がウエハとして分離している切断溝10の部分を詰め物11によって充填することで、被加工材3の切断開始側を固定した形とすることができるため、被加工材3の揺れや振動をより高レベルにて抑制することができる。
【0078】
ここで、詰め物11は、切断溝10に詰め物11を詰め込みやすくするために、弾性体もしくは柔軟性があり、被加工材3に密着する材料であることが好ましく、本例では、安価で入手が容易であり且つ取扱いが簡単な粘土を用いているが、切断溝10の幅よりも薄い金属等の板を用いても良い。
【0079】
この詰め物11は、切断加工を開始し、加工が進行して、被加工材3に切断溝10が形成されてきたら、人手等にて被加工材3の切断開始側を覆うように切断溝10に充填する。この時、なるべく切断溝10の奥まで詰め込むことが好ましいが、ワイヤ2に詰め物11が触れて、切断性を阻害しないように注意をする必要がある。
【0080】
本実施形態にて加工した結果、単結晶炭化珪素インゴットのウエハ表面のうねりは、従来技術では例えば100μm程度あったものが、20μm以下に大幅に向上させることができた。それにともなって、後工程である研削時間も、大幅に低減させることができた。
【0081】
以上のように、本実施形態によれば、ワイヤ2の移動によって起こる被加工材3の揺れや振動によって発生するウエハのばたつきを抑制することにより、ウエハ表面のうねりを低減できるようなワイヤソーによる切断方法およびそれに用いる切断装置を提供することができる。
【0082】
(第2実施形態)
図3は、本第2実施形態で用いる切断装置(ワイヤソー装置)の概要図であり、(a)は正面から視た図、(b)は(a)を側面から視た図である。また、図4は、図3(b)中の丸で囲んだB部拡大図である。
【0083】
本実施形態は、上記第1実施形態において、詰め物を使用する代わりに、被加工材3の切断開始側の部位を、切断開始側から切断終了側に向かう力で押さえて支持するものであり、以下、主として、第1実施形態との相違点について述べていく。
【0084】
図3に示す様に、本実施形態の切断装置は、被加工材3の切断開始側の部位を、切断開始側から切断終了側に向かう力で押さえて支持するための押さえ板(押さえ部材)12を備えている。この押さえ板12は、ワイヤ2を往復駆動させるローラ1a、1b側から、安定して支持できるように支柱13を2本平行に配置し、その先端に取り付られけた構成になっている。
【0085】
押さえ板12によって被加工材3を押さえる方向は、切断開始側から切断終了側(図中の上方から下方)に向かう方向で、押さえつける力は、切断しようとするウエハの厚みや被加工材3の高さによっても異なるが、切断終了時にウエハに座屈やたわみが起こらない程度の力で押さえることが必要である。
【0086】
本例においては、おもりによって押さえ力を与えており、その荷重は数百グラムである。この他、押さえる力を与える方法として、モータなどの駆動装置を使用する方法でも良い。そして、本実施形態によれば、被加工材3の切断開始側を固定した形とすることができるため、被加工材の揺れや振動をより高レベルにて抑制することができる。
【0087】
ここで、被加工材3の切断開始側の部位のうち切断終了時にウエハとして残る領域のみを、切断開始側から切断終了側に向かう力で押さえて支持することが好ましい。
【0088】
つまり、図4に示す様に、押さえ板12における被加工材3を押さえる部分には、予め切断されて残るウエハの部位のみを固定ができるように、切り出されるウエハの幅よりも小さい幅の押さえ部12aが形成されている。言い換えれば、ワイヤ2の径よりも大きな幅の溝部12bが、押さえ板12に形成されている。
【0089】
この場合、段取りは、被加工材3と押さえ板12の間にワイヤ2をセットする。ワイヤ2は、押さえ板12の溝部12bに配し、加工を開始する。つまり、切断を開始する前にワイヤ2を被加工材3上に配置し、その後に、切断終了時にウエハとして残る領域のみを押さえ部12aにて押さえ支持し、その後、切断を開始することが可能である。
【0090】
そのため、切断を中断させることなく、つまり、加工開始から終了まで装置(設備)を止めることなく切断ができ、途中停止によるうねりやソーマークをウエハ表面に発生させることを防止できる。
【0091】
ここで、切断開始側から切断終了側に向かう力で被加工材3を押さえる際、金属等の硬い押さえ板12で被加工材3を直接押さえると被加工材3に欠けや割れを発生させる可能性がある。
【0092】
ワイヤソー切断を行う被加工材3の多くは脆性材である。例えば、単結晶炭化珪素は高硬度ではあるが脆性材であるため、金属の剛体で押さえつければ、割れや欠けの原因となりやすい、また、曲面形状を押さえる場合、押さえ板12の形状を正確に合わせなければならない。
【0093】
そのため、本実施形態では、好ましい形態として、弾性材(緩衝材)14を介して被加工材3を押さえて支持するようにしている。そして、押さえ板12の被加工材3と接する部分である押さえ部12aに、緩衝材14としてシリコンゴムを貼り付けている。弾性材であるシリコンゴムを貼り付けることで、被加工材3の割れや欠けを防止するとともに、押さえ板12の製作の効率化が可能になる。
【0094】
(第3実施形態)
被加工材3がいびつな形状であったり、凹凸が激しい形状の場合、加工台への固定が不安定になる。被加工材3の外周が完全な円形では無く、表面に凹凸やくびれが生じているようなものを安定的に固定するための台座製作は、多大な工数を要する。しかも完全なものは望めない。
【0095】
本実施形態は、石膏やセメント等の無機材料を主成分とした流動性材料に被加工材3を浸漬させた状態で流動性材料を硬化させ、硬化された流動性材料により台座4を形成するものである。図5は、本第3実施形態に係る台座4の形成方法の一例を示す工程図である。
【0096】
本実施形態の台座4は、具体的には、図5に示す様に、被加工材3を内包する型枠15を用いて形成できる。図5(a)に示すいびつな形状の加工材3を型枠15内に置き(図5(b))、流動性を持った石膏(流動性材料)16を型枠15内へ流し込む(図5(c))。このとき、被加工材3の重心位置よりも高い位置まで石膏16を流し込む。石膏16が硬化した後、型枠15を外すと、被加工材3と固定された石膏よりなる台座4が出来上がる(図5(d))。
【0097】
この後、台座4を固定台6に接着し、上記各実施形態と同様の手順にて切断を行うことができる。また、本実施形態の台座4も、ワイヤ2の走行方向にて被加工材3を包含する大きさを有し、且つ、包含する部分の高さが被加工材3の重心位置よりも高いものとすることができるため、上記第1実施形態で述べたのと同様の効果が得られる。
【0098】
そして、本実施形態特有の効果として、不安定な形状をした被加工材3でも、硬化された流動性材料16により形成された台座4は、被加工材3の保持される部位の形状に合わせた形にできるため、被加工材3の固定を強固なものにできる。そのため、安定した品質を確保しながら、効率的な加工が可能になる。
【0099】
ここで、例えば、図5に示す方法を用いて、被加工材3の全体を流動性材料(例えば石膏)16内に埋設した状態で、流動性材料16の硬化を行い、台座3を形成するようにしてもよい。それによれば、より確実に安定した固定が実現出来るとともに、被加工材3の切断開始部(頂部)の凹凸が激しく、ワイヤ2の、ぶれが発生しやすい形状であるような場合等に有効である。
【0100】
なお、図5に示す方法にて、被加工材全体を埋設した台座4を形成する場合、、上記したように型枠15に流動性材料16を単純に流し込むだけの形成方法では、台座4の最上面(切断開始側)が平面になってしまう。この状態で切断を開始しようとすると、ワイヤ2が台座4の平面部と長い範囲で接触するためぶれやすくなり、うねりを悪化させる。
【0101】
そこで、図6に示す様な方法を採用する。図6は、本実施形態で用いる切断装置(ワイヤソー装置)の概要図であり、(a)は正面から視た図、(b)は(a)を側面から視た図である。すなわち、被加工材3の全体が埋設された台座4において、台座4における切断開始側の形状を、切断開始時にワイヤ2が点接触の状態で当たる凸形状(図6中、凸部4aとして図示)にする。
【0102】
このような凸部4aを有する台座4は、凸部4aが形成可能な形状を有する型枠15を作製して、上記図5に示す方法で台座4を形成するか、もしくは、図5に示す型枠15をそのまま用い、その型枠15によって形成された台座4の最上面の平面を削ってワイヤが点接触で当たるようにすることにより、達成することが可能である。
【0103】
被加工材3の全体が埋設された台座4において、切断開始時にワイヤ2が点接触の状態で当たるようにすれば、ワイヤ2が、ぶれにくくなり、好ましい。なお、流動性材料16としては、被加工材を安定して固定できて、切断がしやすい無機材料を主成分としたものが好ましい。ここで、石膏を用いた理由は、切断性が良い、入手が容易、安価である、硬化時間が約30分程度と早いことである。同様なものとしてセメントでもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態で用いる切断装置の概要構成を示すもので、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図2】図1(b)中のA部拡大図である。
【図3】本発明の第2実施形態で用いる切断装置の概要構成を示すもので、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図4】図3(b)中のB部拡大図である。
【図5】本発明の第3実施形態に係る台座の形成方法の一例を示す工程図である。
【図6】本発明の第3実施形態で用いる切断装置の概要構成を示すもので、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図7】従来の一般的なワイヤソーによる切断方法を示す説明図である。
【図8】図7に示す方法における被加工材の切断状況を示す説明図である。
【符号の説明】
2…ワイヤ、3…被加工材、4…台座、5…接着剤、7…スラリー浸漬槽、
9…スラリー、10…切断溝、11…詰め物、12…押さえ板(押さえ部材)、
14…弾性材、16…石膏(流動性材料)。

Claims (2)

  1. ワイヤ(2)を走行させながら被加工材(3)を切り込むようにしたワイヤソーによる切断方法において、
    前記被加工材を固定するための台座(4)として、前記被加工材の全体を無機材料を主成分とした流動性材料(16)内に埋設した状態で前記流動性材料を硬化させ、硬化された前記流動性材料により形成されて、少なくとも前記ワイヤの走行方向にて前記被加工材を包含する大きさを有し且つ包含する部分の高さが前記被加工材の重心位置よりも高いものとなっており、さらに当該台座における切断開始側の形状が、切断開始時に、前記ワイヤが点接触の状態で当たる凸形状になっているものを用いることを特徴とするワイヤソーによる切断方法。
  2. ワイヤ(2)を走行させながら被加工材(3)を切り込むようにした切断装置において、
    前記被加工材を固定するための台座(4)を備え、
    この台座は、前記被加工材の全体を無機材料を主成分とした流動性材料(16)内に埋設した状態で前記流動性材料を硬化させることで、前記被加工材を固定し、少なくとも前記ワイヤの走行方向にて前記被加工材を包含する大きさを有し且つ包含する部分の高さが前記被加工材の重心位置よりも高いものとなっており、
    前記台座における切断開始側の形状は、切断開始時に、前記ワイヤが点接触の状態で当たる凸形状になっていることを特徴とする切断装置。
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