JP2002194564A - 低鉄損電磁鋼板およびその製造方法 - Google Patents

低鉄損電磁鋼板およびその製造方法

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JP2002194564A
JP2002194564A JP2000389728A JP2000389728A JP2002194564A JP 2002194564 A JP2002194564 A JP 2002194564A JP 2000389728 A JP2000389728 A JP 2000389728A JP 2000389728 A JP2000389728 A JP 2000389728A JP 2002194564 A JP2002194564 A JP 2002194564A
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electrical steel
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Seiji Okabe
誠司 岡部
Hiroshi Yamaguchi
山口  広
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JFE Steel Corp
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Kawasaki Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 膜厚偏差が小さく、かつ鉄損が極めて小さい
方向性電磁鋼板を提供すること、および平滑化された方
向性電磁鋼板の上に、膜厚偏差が小さく、かつ鉄損の低
下を生ずることなく安定して被膜を形成することのでき
る手段を提供する。 【解決手段】 低鉄損方向性電磁鋼板を表面平滑化処理
のなされた方向性電磁鋼板の表面に金属めっき層と、該
金属めっき層上に溶融して被成されたガラス被膜とを順
次有してなるものとする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は低鉄損方向性電磁鋼
板およびその製造方法に係り、特に表面を平滑化処理し
た後、張力付与型絶縁被膜を被成した低鉄損方向性電磁
鋼板およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】方向性電磁鋼板は、特開平3-130376号公
報等に見られるように、表面のフォルステライト被膜を
除去して鋼板表面を平滑化することにより鉄損の大幅な
低減が可能であることが知られている。一方、方向性電
磁鋼板は、その表面に、例えば特開昭52-25296号公報等
に開示されているようなリン酸塩系被膜などの低熱膨張
性被膜を焼き付け被成すると、鋼板の圧延方向に張力が
付与され、鉄損の低減、歪感受性の緩和、磁歪の低減な
どの効果があることも知られている。
【0003】このような観点から、表面を平滑化した方
向性電磁鋼板に低熱膨張性被膜を被成することにより方
向性電磁鋼板の鉄損を大きく改善する試みが数多くなさ
れている。しかしながら、従来から張力付与型被膜とし
てよく知られ、通常用いられているリン塩酸系被膜は平
滑化した鋼板では剥離しやすいという問題がある。この
ことに鑑み、張力付与被膜としてガラスフリットなど低
軟化点のガラス被膜形成物質を塗布・焼き付ける手段が
数多く提案されている。たとえば、特公昭61-10963号公
報には、低軟化点のガラスフリットを方向性電磁鋼板の
表面に塗布し、焼き付けて張力効果をもつ絶縁被膜とす
る技術が示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記特
公昭61-10963号公報に示された手段によって、表面を平
滑化した方向性電磁鋼板上に低軟化点のガラス被膜を形
成しようとすると、焼き付けの際に軟化して流動するよ
うになったガラスが水滴状に収縮し、表面被膜に著しい
膜厚偏差が生じるという問題があった。
【0005】本発明者らは、かかる問題を解決するため
に、先に特開2000-282249号において弱酸化性雰囲気で
ガラスフリットを焼き付ける方法を提案し、これにより
密着性が良く、かつ平滑な被膜を得ることが可能になっ
た。しかし、この方法では焼き付け雰囲気の酸化性が強
すぎると、被膜が鋼板全表面を覆う前に平滑化された地
鉄表面が酸化されて鉄損が増大するという問題があり、
一方、酸化性が弱すぎると、被膜が均一に広がらないた
め被膜による張力が不均一になって鉄損が増大するとい
う問題がある。このように上記提案では酸化性の微妙な
制御が必要であり、安定して被膜を形成することが困難
である。さらに、焼き付け雰囲気がたとえば窒素雰囲気
のときは鋼板中に窒素が侵入して鉄損を低下させるとい
う問題もあった。
【0006】本発明は、これら従来の技術に係る問題点
を解決し、それによって膜厚偏差が小さく、かつ鉄損が
極めて小さい方向性電磁鋼板を提供すること、および平
滑化された方向性電磁鋼板の上に、膜厚偏差が小さく、
かつ鉄損の低下を生ずることなく安定して被膜を形成す
ることのできる手段を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために研究を重ね、平滑化された鋼板の地鉄
表面に金属めっき層を形成すれば、弱酸化性雰囲気の下
でガラスフリットの焼き付けを行っても、地鉄の酸化、
およびそれに伴う鉄損の劣化は生じないこと、さらに被
膜として形成されるガラスに上記金属めっき層を構成す
る金属の酸化物が一定量含有されているようにすると、
被膜形成が極めて均一に行われることを知見して本発明
を完成した。
【0008】本発明の低鉄損方向性電磁鋼板は、表面平
滑化処理のなされた方向性電磁鋼板の表面に金属めっき
層と、該金属めっき層上に溶融して被成されたガラス被
膜とを有してなる。この場合において、溶融して被成さ
れたガラス被膜は、めっき金属層を構成する金属元素の
いずれかの酸化物を質量比で合計0.1%以上含有すること
が望ましい。
【0009】上記低鉄損方向性電磁鋼板は、仕上げ焼鈍
後の方向性電磁鋼板の表面に平滑化処理を行った後、金
属めっきを施し、さらに溶融してガラス被膜を形成する
ガラス被膜形成物質を塗布し、該ガラス被膜形成物質の
軟化点以上の温度で焼付けることによって製造する。
【0010】上記製造方法において、ガラス被膜形成物
質の焼き付け雰囲気は、容積比で0.001〜5%の酸素を含
む雰囲気であることが好ましい。さらに、ガラス被膜形
成物質は、金属めっき層を構成する主要金属元素のいず
れかの酸化物を質量比で合計0.1%以上含有することが好
ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を具体的
に説明する。まず、本発明の適用対象となる方向性電磁
鋼板は、地鉄表面が平滑化された方向性電磁鋼板であ
る。「平滑化された」表面状態とは、理想的にはフォル
ステライト被膜を実質的に有さず、磁化されるときの磁
壁移動を阻害する地鉄表面の凹凸が高度に平滑化され、
その結果として鉄損の構成因子であるヒステリシス損が
低減された状態であることが好ましい。しかしながら、
本発明の方向性電磁鋼板においては、地鉄の表面粗さが
Raで0.4μm以下に減少された表面状態、あるいは表面酸
化物が酸素目付け量で片面当たり0.5g/m2以下に低減さ
れた表面状態として鋼板であれば十分適用することがで
きる。
【0012】このような平滑化された地鉄表面は、仕上
げ焼鈍を施した方向性電磁鋼板に酸洗、化学研磨、電解
研磨、機械的研磨等を施すことで得られる。また、仕上
げ焼鈍時に用いられるMgOを主成分とする焼鈍分離剤にN
a、K等のアルカリ金属、あるいは塩化物を加えることで
フォルステライト被膜の形成を阻害し、サーマルエッチ
ングの効果を発生させることによっても製造することが
できる。
【0013】この平滑化された方向性電磁鋼板上に金属
めっきが施される。施されためっき層はガラス被膜の被
成工程で地鉄表面が酸化されるのを防止し、また、例え
ば窒素などが鋼板中に進入するのを防止することにより
鉄損の低下を予防する。
【0014】めっき金属の種類、めっきの方法は、平滑
化された地鉄表面とよく密着し、かつ後に行われるガラ
ス被膜の被成を円滑に行うことができ、強固に密着する
ものである限り、いかなるものでもよい。例えば、めっ
き金属の種類としては、Cr、Cu、Ni、Ag、Znおよびこれ
らの合金が好適に用い得る。また、めっき金属中に特開
平8-222423号公報、あるいは特開平11-246981号公報に
開示されている酸化物を混在させることもできる。ま
た、めっき方法としては、電解めっき、化学めっき(置
換めっきまたは無電解めっき)等を利用できる。
【0015】めっきの厚さは、ガラス被膜被成の際の雰
囲気からの種々の影響(酸化、侵窒等)を防ぐ目的を達
するものであればよいが、厚すぎると電磁鋼板の占積率
を低下させる原因になるので極力薄くすべきである。具
体的には、0.1μm以上、10μm以下とするのがよい。
【0016】このようにして形成されためっき層の上に
ガラス被膜が被成される。このガラス被膜は、フリット
等ガラス被膜形成物質を鋼板上で軟化・溶融して形成さ
れるもので、従来公知の方法で形成されるりん酸塩系
(ガラス)被膜とは異なるものである。このようなガラ
ス被膜形成物質としては、ガラスフリットのほか溶融し
合成されてガラスとなるガラス原料の混合物がある。
【0017】ガラス形成物質の特性としては、第一に鋼
板に張力を付与する必要上、熱膨張係数が小さいことが
求められ、8×10-6/℃以下とするのが好ましい。また、
ガラスの軟化点は焼付けを容易にするためには低い方が
好ましいが、低すぎると鋼板との熱膨張係数の差によっ
て発生する張力が小さくなるので、500〜900℃の範囲で
あることが望ましい。さらに、鋼板への密着性が高く、
絶縁性を確保するために電気抵抗が大きいことが好まし
い。
【0018】かかるガラス被膜形成物質の成分系とし
て、例えばSiO2-B2O3-Zn系、SiO2-B2O 3-PbO系、SiO2-Rx
O系(Rはアルカリ元素またはアルカリ土類元素、xは1ま
たは2)、SiO2-Al2O3-P2O5系、SiO2-MgO-P2O5系ガラス
が挙げられる。これらガラス形成物質には、さらにZr
O2、TiO2、CuO、Na2O、K2O、MgO、CaO、BaO、Al2O3、B2
O3、Sb2O5 SnO2,NiO,CoO等を軟化点、結晶化温度、化
学安定性、流動性、密着性、熱膨張係数、電気抵抗の調
整のために添加することができる。
【0019】また、ガラス被膜形成物質には、めっき金
属層を構成する金属元素のいずれかの酸化物を質量比で
合計0.1%以上含有させることが望ましい。このようにす
ることにより、先に施した金属めっき層表面に対するガ
ラスの濡れ性が飛躍的に向上し、被膜の密着性および被
膜厚さの均一性が格段に改善される。
【0020】金属めっき層上にガラス被膜を形成させる
には、上記ガラス形成物質をフリットの形で、またはコ
ロイド状シリカ、コロイド状アルミナ、ほう酸、亜鉛
華、酸化鉛微粉、アルカリ金属酸化物または水酸化物ま
たは硝酸塩、アルカリ土類金属酸化物または、水酸化物
または硝酸塩、リン酸などの混合物からなるガラス原料
を鋼板上に付着させる。
【0021】その手段は、特に問うところではなく、例
えば、水に溶解または懸濁してロールコーターやスプレ
ーで塗布する方法、あるいはこれらガラス形成物質の懸
濁液中に浸漬して電気泳動法あるいは沈降法により付着
させる方法、さらには、静電塗布する方法などが挙げら
れる。いずれにしても、鋼板上にこれらのガラス質形成
物質の微粉を均一に付着させることを可能とするもので
あればよい。
【0022】なお、ガラス質形成物質がフリットである
場合、その粒径は細かいほどよい。短時間での焼き付け
が容易になるからである。できれば平均粒径を5μm以下
とするのが望ましい。また、フリットには、微量の酸化
物や窒素物等のセラミックスフィラー、アルミナフラワ
ーやシリカフラワーなどを添加・配合することもでき、
これにより被膜の機械的強度の向上や、熱膨張係数の低
減および耐スティッキング性の向上を図り得る。
【0023】このようにしてガラス質形成物質が塗布さ
れた鋼板は、加熱され、その表面に存在するガラス形成
物質が溶融・軟化、さらには流動状態にされる。これに
よって鋼板上に均一なガラス被膜が形成される。加熱温
度は、ガラスの軟化・溶融点を超える温度とするのがよ
く、例えば、軟化点750℃のガラスを被覆する場合は、
加熱温度は750℃以上、好ましくは770℃以上とするのが
よい。なお、上記加熱温度における保持時間は、均一な
ガラス被膜が形成されるに充分な時間とすればよく、一
般に10〜200秒とすればよい。
【0024】上記ガラス被膜を形成する際の加熱時の雰
囲気は、不活性あるいは還元性の雰囲気を採用すること
も可能である。しかしながら、純窒素や純アルゴンなど
の不活性ガス中では、ガラスが軟化してもめっき表面へ
の濡れ性が低いため鋼板上でガラスが水滴上に収縮する
傾向があるため、厚さの均一な被膜を形成するには高温
で、長時間の加熱処理が必要になる。この問題を解決す
るためには、上記加熱時の雰囲気を弱い酸化性雰囲気と
するのが好ましい。しかしながら、たとえば、大気のよ
うな強い酸化性の雰囲気は採用すべきではない。電磁鋼
板の地鉄面は金属めっき層で保護されているものの、か
かる強酸化性雰囲気、めっき層金属がフリットが均一に
広がる前に激しく酸化され、ポーラスな酸化物層が形成
され、被膜がこの酸化物層から剥がれてしまうようにな
るからである。
【0025】このような弱い酸化性雰囲気は、めっき面
上で溶融したガラスの十分な広がりとめっき表面の過度
の酸化を抑制する。したがって、これにより加熱時間の
短縮と被膜厚さの均一性が確保される。このような弱い
酸化性の雰囲気として容積比で酸素が0.001〜5.0%、残
部が窒素または不活性ガスの雰囲気が好適である。な
お、酸化作用が等しければ、湿潤水素雰囲気、二酸化炭
素・一酸化炭素雰囲気、二酸化炭素・窒素雰囲気など、
他の弱酸化性雰囲気を適用することもできる。
【0026】このようにして形成されたガラス被膜は、
冷却後鋼板との熱膨張係数の差によって張力付与形の絶
縁被膜となる。形成されたガラス被膜の厚さは鋼板に充
分な張力を付与するものであって、かつ充分な絶縁性や
防錆性を与える厚さとすればよい。しかしながら、ガラ
ス被膜の厚さが厚すぎると、占積率の低下により鉄損が
低下するので、必要以上の厚さとすべきではない。一般
に0.5μm以上、10μm以下が適当である。なお、本発明
によって形成されるガラス被膜は、全体または一部が結
晶化して結晶化ガラスとなっていても特に支障がない。
【0027】上記のようにして平滑化された方向性電磁
鋼板上に金属めっき層を介して溶融して被成されたガラ
ス被膜を形成すると、方向性電磁鋼板に対して密着性が
よい被膜が得られ、かつ被膜形成の際に酸化や窒化など
による鉄損の低下がない。それにより、電磁特性、特に
鉄損が従来製品に比べて優れた製品を供給することが可
能になる。
【0028】なお、本発明により鋼板表面にガラス質の
被膜を被成した後に、さらに鋼板形状を矯正する等の目
的で窒素または不活性ガス等の非酸化性雰囲気で600〜1
100℃程度の焼鈍を行ってもかまわない。このような追
加的焼鈍は、めっき層を溶融によって破壊しないもので
あれば相当高温で行われてもよく、またガラス質絶縁被
膜の一部または全部が結晶化する条件でも支障がない。
【0029】また、本発明にしたがって形成された絶縁
被膜を有する電磁鋼板の表面に、圧延方向とほぼ直交す
る方向に線状に溝を形成したり、レーザー照射やプラズ
マジェット照射による熱歪みを鋼板に与える、いわゆる
磁区細分化処理を加えて鉄損を低減する方法を組み合わ
せることも可能である。
【0030】なお、本発明は、いわゆる方向性電磁鋼板
であれば、従来公知のものいずれにも適用することがで
き、成分組成範囲や板厚などが制限されることはない。
【0031】
【実施例】(実施例1)通常工程で製造された厚さ、0.
23mmの方向性電磁鋼板(3.3%Si)を塩酸酸洗後ふっ酸を
用いた化学研磨で平滑化して厚さ0.2mmの鋼板試料を準
備した。この鋼板の片側表面には圧延方向とほぼ直交す
る方向に深さ20μm、幅150μmの溝が3mm間隔で形成され
ている。この試料の鉄損W17/50(磁束密度1.7T、周波数
50Hzにおける鉄損をいう。以下同様)は0.69W/kgであっ
た。
【0032】上記平滑化した鋼板試料の表面に表1に示
す各種めっきを施した。めっきの厚さは約1μmとした。
【0033】
【表1】
【0034】このようにして得られた鋼板のめっき面上
に、熱膨張係数が5×10-6/℃、軟化点が650℃のSiO2-B2
O5-ZnO系ガラスフリットの懸濁液をロールコーターで塗
布した。塗布量は形成された膜厚が2μmになるようにし
た。これを、120℃で乾燥した後、容積比で0.5%の酸素
を含む窒素雰囲気中で、800℃、120秒間の焼き付け絶縁
被膜を形成した。
【0035】得られた電磁鋼板の鉄損値を表1に併せて
示す。本発明にしたがってめっき上に絶縁被膜を被成し
た電磁鋼板の鉄損W17/50はいずれも、0.61W/kg以下で、
比較例、すなわちガラスフリットの焼き付けに先立って
金属めっきを行わなかったものよりも約0.1W/kg低い。
この比較例では被膜と地鉄との界面の凹凸が化学研磨後
よりも大きくなっていたが、発明例では、いずれの鋼板
もめっき表面は酸化されていたが、地鉄とめっきの界面
は化学研磨後の平滑な状態を維持していた。このことが
発明例において鉄損が低い原因であると考えられる。
【0036】(実施例2)実施例1と同様の手段で製造
した平滑化した表面を持つ電磁鋼板の表面に厚さ1μmの
Crの電解めっき施した。これに、実施例1のSiO2-B2O3-
ZnO系ガラスと同じ成分比率となるようにガラス原料成
分であるコロイダルシリカ、ほう酸、亜鉛華の配合を調
整した懸濁液をロールコーターで塗布した。塗布量は形
成されたガラス被膜の膜厚が2μmになるようにした。こ
れを120℃で乾燥後、表2に示す酸素濃度を有する窒素雰
囲気中で800℃、120秒間の焼き付けを行った。
【0037】得られた電磁鋼板の鉄損値および被膜性状
について表2に併記した。表2から酸素濃度が容積比で0.
001〜5%の弱酸化性雰囲気のとき、最も鉄損が低くなる
ことが分かる。0.001%よりも少ないと絶縁被膜は形成さ
れるものの鉄損低減効果は小さい。酸素濃度21%の大気
雰囲気で焼付けを行った場合には、被膜が黒く変色し、
鉄損が大きく劣化した。この被膜を電子顕微鏡で観察し
たところ、被膜に亀裂が多く発生していた。この亀裂
は、被膜がめっき金属であるCrが酸化されてできた酸化
物層から割れてできたもので、鋼板に必要な張力が掛か
っていない状態を示していた。
【0038】
【表2】
【0039】(実施例3)実施例1と同様の手段で製造
した平滑化した表面を有する電磁鋼板の表面に厚さ1μm
のNiまたはCuの電解めっきを施した。その表面に実施例
1と同一のSiO2-B2O5-Zn系のガラス成分にさらにNi酸化
物またはCu酸化物を質量比1%配合したガラスのフリット
の懸濁液をロールコーターで塗布した。ガラスフリット
の塗布量は膜厚が2μmになるようにした。これを120℃
で乾燥後、容積比で0.2%の酸素を含む窒素雰囲気中で85
0℃、120秒間焼き付けた。
【0040】このように絶縁被膜を形成した試料を直径
10〜70mmの丸棒に巻き付けて被膜が剥離しない最小の直
径を耐曲げ剥離径として被膜密着性を評価した。耐曲げ
剥離径が小さいほど密着性が優れている。評価結果を表
3に示す。表3からめっき金属と同じ元素の酸化物を含む
ガラス成分によって形成した被膜の方が密着性に優れて
いることが分かる。
【0041】
【表3】
【0042】(実施例4)実施例1と同様の手段で製造し
た平滑化した表面を有する電磁鋼板の表面に1μmのNi電
解めっきを施した。その表面に実施例1と同一のSiO2-B2
O5-ZnO系ガラス成分にさらにNiOを0.01〜5%配合したガ
ラスフリットの懸濁液をロールコーターで塗布した。ガ
ラスフリットの塗布量は膜厚が2μmになるようにした。
これを120℃で乾燥後、容積比で0.2%の酸素を含む窒素
雰囲気で850℃、120秒焼き付けた。この試料の被膜密着
性を実施例3と同様に耐曲げ剥離径で評価した。結果を
表4に示す。めっき金属と同じ酸化物を添加したことに
よる密着性向上の効果は、添加量0.1%以上で顕著に表れ
ている。
【0043】
【表4】
【0044】
【発明の効果】本発明によれば表面平滑化処理を施した
方向性電磁鋼板に対しても、その表面に張力を与える絶
縁被膜を鉄損の劣化を生じさせずに形成することがで
き、その結果、従来に比べて鉄損の一層の低減を達成す
ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4K024 AA03 AA09 AA10 AB01 BA02 BB09 BC01 DA03 DA05 DB01 GA16 4K026 AA03 AA11 AA22 BA12 BB05 CA18 DA02 DA11 EA12 EB11 4K044 AA02 AB02 BA01 BA11 BB03 BC14 CA15 CA18 CA24 5E041 AA02 BC08 CA01 CA02 HB14

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面平滑化処理のなされた方向性電磁鋼
    板の表面に、金属めっき層と該金属めっき層上に溶融し
    て被成されたガラス被膜とを有してなることを特徴とす
    るする低鉄損方向性電磁鋼板。
  2. 【請求項2】 溶融して被成されたガラス被膜は、めっ
    き金属層を構成する主要金属元素のいずれかの酸化物を
    質量比で合計0.1%以上含有することを特徴とする請求項
    1に記載の低鉄損方向性電磁鋼板。
  3. 【請求項3】 仕上げ焼鈍後の方向性電磁鋼板の表面に
    平滑化処理を行った後、金属めっきを施し、さらに溶融
    してガラス被膜を形成するガラス被膜形成物質を塗布
    し、該ガラス被膜形成物質の軟化点以上の温度で焼付け
    ることを特徴とする低鉄損方向性電磁鋼板の製造方法。
  4. 【請求項4】 ガラス被膜形成物質の焼き付け雰囲気
    は、容積比で0.001〜5%の酸素を含む雰囲気であること
    を特徴とする請求項1に記載の低鉄損方向性電磁鋼板の
    製造方法。
  5. 【請求項5】 ガラス被膜形成物質は、金属めっき層を
    構成する主要金属元素のいずれかの酸化物を質量比で合
    計0.1%以上含有することを特徴とする請求項3又は4に
    記載の低鉄損方向性電磁鋼板の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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