JP2614158B2 - 低鉄損方向性電磁鋼板の張力被膜形成方法 - Google Patents

低鉄損方向性電磁鋼板の張力被膜形成方法

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JP2614158B2 JP4026972A JP2697292A JP2614158B2 JP 2614158 B2 JP2614158 B2 JP 2614158B2 JP 4026972 A JP4026972 A JP 4026972A JP 2697292 A JP2697292 A JP 2697292A JP 2614158 B2 JP2614158 B2 JP 2614158B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は仕上焼鈍が完了した方向
性電磁鋼板の表面に、高い密着性の張力被膜を形成する
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】方向性電磁鋼板は磁気鉄芯材料として多
用されており、エネルギーロスを少なくするために鉄損
を低減することが要求されている。方向性電磁鋼板の鉄
損を低減する手段としては、仕上焼鈍後の鋼板表面にレ
ーザービームを照射して局部的な歪を与え、それによっ
て磁区を細分化する方法が特公昭58−26405号公
報に、また鉄芯加工後の歪取焼鈍(応力除去焼鈍)を施
した後もその効果が消失しない磁区細分化手段が、例え
ば特開昭62−86175号公報に開示されている。こ
れらの技術的手段によって鉄損値を低減することができ
るが、さらに鉄損値の低減を図る方法として、仕上焼鈍
後の材料表面に存在するグラス被膜を除去し、磁区の動
きを阻害する鋼板表面近傍の内部酸化層を除去する方法
および地鉄表面の凹凸を取り除いて鏡面仕上げを行い、
さらにはその表面に金属メッキを施す方法が特公昭52
−24499号公報に記載されている。
【0003】一方で、方向性電磁鋼板は張力を付与する
ことにより鉄損が低下することが知られており、上述の
グラス被膜を除去して鏡面化した鋼板表面に張力被膜を
形成しようとする試みも近年数多くなされている(例え
ば特公昭56−4150号公報、特開昭61−2017
32号公報、特公昭63−54767号公報、特開平2
−213483号公報など)。これらの技術の特徴とし
て、被膜の密着性を確保するために真空蒸着、化学蒸
着、スパッタリング、イオンプレーティング、イオンイ
ンプランテーション、溶射などの方法を用いるプロセス
を提案している。
【0004】しかしながら真空蒸着、化学蒸着、スパッ
タリング、イオンプレーティング等による張力被膜には
かなりの効果が認められるものの、高真空を必要とし、
また実用に供する膜厚を得るには長時間を要するなど生
産性が極めて低く、高いコストを要する等の問題点を抱
えており、イオンインプランテーション、溶射などの方
法も電磁鋼板に対しては工業的な被膜形成方法とはいい
がたい。
【0005】これらの問題点を解決する方法として、近
年ゾル・ゲル法を用いた被膜形成方法が提案されてい
る。例えば、特開平2−243770号公報にはゾル・
ゲル法による酸化物被膜の形成について、また特開平3
−130376号公報には平滑化した鋼板の表面にゾル
・ゲル法によりゲル薄膜を形成し、その薄膜上に絶縁被
膜を被成する技術が開示されている。これらの技術では
従来の塗布・焼付けプロセスによる被膜形成が可能であ
るものの、いずれの明細書中にも記述されているように
0.5μm以上の厚さの健全な被膜の形成は極めて困難
であるため、鋼板への張力付与のためには繰り返しの塗
布・焼付けを必要としたり、ゾル・ゲル被膜の上に他の
手法による被膜を形成する必要が生じている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこれら従来技
術における問題点を解決し、同じゾル・ゲル法による被
膜形成という技術範囲にありながら、鏡面ないしはそれ
に近い状態であっても、その鋼板表面に繰り返しの塗布
・焼付けを必要とせずに高密着性で張力付与の可能な被
膜を形成する方法を提供することを目的とするものであ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明の要旨
とするところは下記のとおりである。 (1) 仕上焼鈍後の一方向性電磁鋼板の表面に、最大
径が0.1μm以下のセラミック前駆体粒子を含み、pH
を5.5以下または8.0以上に調整したゾルを塗布
し、乾燥・ゲル化後、500〜1350℃の温度で焼付
けることを特徴とする低鉄損方向性電磁鋼板の張力被膜
形成方法。
【0008】(2) 仕上焼鈍後の一方向性電磁鋼板の
表面に、最大径が0.1μm以下のセラミック前駆体粒
子、および最大径が1μm以下の金属酸化物、金属酸化
物の水和物、金属水酸化物よりなる群より選ばれた少な
くとも1種の粒子を含むゾルを塗布し、乾燥・ゲル化
後、500〜1350℃の温度で焼付けることを特徴と
する低鉄損方向性電磁鋼板の張力被膜形成方法。
【0009】(3) 金属酸化物、金属酸化物の水和
物、金属水酸化物よりなる群より選ばれた少なくとも1
種の粒子が単分散状態を呈し、かつ比較的球形に近い形
状である前項2記載の低鉄損方向性電磁鋼板の張力被膜
形成方法。
【0010】
【作用】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の張力
被膜の形成方法は、いわゆるゾル・ゲル法と呼ばれる技
術範囲に属するものである。通常ゾル・ゲル法と呼ばれ
る被膜形成技術には大きく分けて2通りの方法があり、
ひとつは金属アルコキシドのような有機金属化合物の重
合・縮合反応により連続的なネットワークを有するゲル
体を生成させて、焼付ける方法(縮重合プロセス)であ
り、もうひとつはコロイド粒子が分散した液体からゾル
を合成し、その安定性を徐々に低下させてゲルを作製
し、焼付ける方法(コロイドプロセス)である。
【0011】このうち縮重合プロセスでは1回の操作で
張力の付与が可能となる厚さの被膜の形成が困難であ
る。通常、縮重合プロセスではネットワークの形成時、
あるいはその後の乾燥時に大きな収縮が生じるが、被膜
が薄い場合にはこの収縮によって生じる応力より被膜と
鋼板との密着力が大きいため収縮は主として被膜面(鋼
板面)に垂直な方向に起こり比較的健全な膜が形成され
るものの、膜が厚い場合には収縮によって生じる応力が
密着力より大きいため被膜が鋼板からはがれたり、被膜
に亀裂が生じることとなる。
【0012】コロイドプロセスの場合にも同様の問題点
を抱えてはいるものの、縮重合プロセスよりはるかに容
易に膜厚の大きな被膜の形成が可能である。コロイドプ
ロセスは、pH変化などの化学的手法、加熱による脱溶媒
等の物理的方法のいずれかによってゾルをゲル化し、さ
らに乾燥工程を経るものであるが、特に物理的手法によ
るゲル化の場合、条件の制御により乾燥時に生じる被膜
の収縮(この場合は主として粒子の凝集に起因する)に
よって生じる応力(凝集力)をコロイド粒子の配列の変
化などによって緩和することが可能である。特に比較的
高濃度のコロイド粒子を反発力(静電的な反発力が最適
であると考えられる)によって安定的に分散したゾルの
場合、除去する溶媒の量が少ないため乾燥による収縮が
少なく、また粒子間には反発力が作用し、乾燥時におけ
る粒子の凝集も極めて少量に抑えられるため縮重合プロ
セスよりはるかに厚い被膜の形成が可能である。
【0013】本発明の被膜形成方法はかかる思想に基づ
いてなされたものであり、被膜形成材料として表面に塗
布するゾルに大きな特徴を有するものであり、従来のゾ
ル・ゲル法による被膜形成技術の延長線上にあるもので
はない。本発明で使用する鋼板は仕上焼鈍が完了したも
のであれば、いかなる鋼板も使用可能である。代表的に
用いられる鋼板としてはマグネシア粉末を焼鈍分離剤と
して塗布して仕上焼鈍を行ったもの、またこの鋼板から
表面に生成したフォルステライト層(グラス被膜)を酸
に浸漬して除去したもの等である。さらに、これに水素
中で平坦化焼鈍を施すかあるいは化学研磨、電解研磨等
の鏡面化処理を施す等の平坦化処理をすると鉄損値が著
しく低減される場合には、これらの処理を施した鋼板も
好適に使用される。また酸化アルミニウム等被膜形成に
対して不活性な粉末を塗布して被膜を形成させない条件
で仕上焼鈍を行って得た、表面にほとんど被膜の存在し
ない鋼板も特に支障なく使用可能である。
【0014】本発明で用いるゾルには最大粒子径が0.
1μm以下のセラミック前駆体粒子を含んでいる。セラ
ミック前駆体粒子とは焼付け後にセラミックスとなる粒
子の総称であり、例えば金属酸化物、金属酸化物の水和
物、金属水酸化物、シュウ酸塩、炭酸塩、硝酸塩、硫酸
塩、あるいはそれらの複合体などがある。セラミックス
の材質としては、いかなるものも使用可能であるが、以
下の理由により酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化チタ
ン、コーディエライト、ムライト、スピネル、ジルコン
等が好適に用いられる。従来より電磁鋼板への張力は熱
膨張係数の小さい被膜材質を選択し、鋼板との熱膨張係
数差によって冷却時に生じる応力を利用して付与してい
た。しかしながら熱膨張係数差だけでなく、被膜材質の
ヤング率等も鋼板への張力付与に影響を及ぼす因子であ
ることが特開昭48−39338号公報で指摘されてい
る。従って被膜の材質には上記のいずれかを満たすも
の、あるいは両者を兼ね備えたものが望ましい。
【0015】セラミック前駆体の粒子径は特に鏡面化し
た鋼板に対して密着性を確保する上で極めて重要であ
る。さほど平坦度(鏡面化度)の高くない鋼板に対して
は比較的大きな粒子径の前駆体を含むゾルでも密着性を
確保できるものの、電解研磨、あるいはさらに焼鈍を施
したような鏡面化度の高い表面に対しては極めて細かい
前駆体粒子を含んだゾルを用いなければ塗布・ゲル化・
乾燥時における鋼板との密着性は確保されない。すなわ
ち本発明で用いる塗布用ゾルは最大粒子径が0.1μm
以下のセラミック前駆体粒子を含んだゾルであるが、そ
の粒子径は被膜を形成する鋼板の表面粗度によって変え
ることが好ましい。前駆体の最大粒子径が0.1μmを
超えるような場合には安定的なゾルを作製することが極
めて困難であるため、形成されるゲルが不均質なものと
なり易く、結果として乾燥、焼付け時にひび割れを生じ
たり、最終的に得られる被膜が不均質なものとなる。
【0016】ゾルのpHは5.5以下または8.0以上に
調整される。これは既に述べたごとく静電的な作用によ
って前駆体粒子を互いに反発させるために必須である。
通常、セラミック前駆体粒子はその等電点(粒子の持つ
表面電荷が0になる点)が中性〜弱酸性、弱アルカリ性
に存在するため、pHを5.5以下に調整することにより
正に帯電した粒子の表面に負に帯電したアニオンが吸着
し電気2重層を形成して互いに反発し合って安定的に存
在している。しかしながら酸化珪素粒子のように等電点
が2前後のpH領域に存在する場合にはゾルのpHを8.0
以上に保持することによって安定的な分散状態が得られ
る。ゾルのpHがこれらの範囲外にある場合、粒子間の反
発力が小さくなり高濃度のゾルが得られにくくなるだけ
でなく、粒子の凝集が起こるため、すでに述べたように
ゲルの乾燥時に被膜面に平行に凝集力が発生するためひ
び割れが生じたり、最終的に不均質な被膜となったりす
る。またpHが極端に小さかったり大きかったりした場
合、ゾルの塗布、ゲル化の際に鋼板が酸化されたりする
場合もあり、より好ましいpHとしてはおおむね2〜5.
5または8.0〜12.5程度である。
【0017】しかしながら上述のゾルを用いた場合にお
いても鋼板の種類、特に表面状態によっては均質な張力
被膜を形成できないことがある。最もしばしば認められ
るケースとしては、ゾルの塗布・ゲル化、乾燥時に被膜
と鋼板とが強固に密着し、かつその被膜がかなり厚い場
合、乾燥段階ではゲルと被膜とは強固に密着しているも
のの、その後の焼付けの際に被膜内での顕著な収縮(被
膜面に平行な収縮;セラミックスの焼成収縮)が起こる
ため被膜にひび割れや剥離が生じたり、冷却時に発生す
る鋼板への付与張力を上回っている場合には鋼板に圧縮
力が作用し、鉄損が劣化することもある。
【0018】このような場合には被膜厚を薄くすること
が効果的な解決策であることは容易に想像できるが、他
のより汎用的な解決策としては、前駆体ゾルが極めて活
性であるため上述のような問題が発生すると考えられる
ので、前駆体の粒径を大きくするか、前駆体ゾルとは粒
子径の異なる金属酸化物、金属酸化物の水和物、金属水
酸化物よりなる群より選ばれた少なくとも1種の粒子を
添加・分散させることである。このうち後者については
添加粒子が前駆体粒子より活性度が劣るためゾルの塗布
・ゲル化、乾燥時に被膜と鋼板との密着性を緩和させる
ことによって上述の問題点を解決し、またこの焼成収縮
を相対的に高温側にシフトさせるため全体としての収縮
量を減少させることができる。
【0019】この添加粒子は最大粒子径が1μm以下が
好ましい。これを超える径の粒子を添加した場合、必然
的に得られる被膜の厚さが厚いものとなり、占積率の点
から極めて不利なものとなる。特に薄手鋼板に対しては
薄い張力被膜は必要不可欠である。添加粒子の最大径の
下限は特に問題とはならないが、密着力の緩和の観点か
ら言えば前駆体の最大粒子径と1ケタ程度異なっている
のがよいと考えられる。
【0020】微粒子の添加量は鋼板の種類、特に表面の
鏡面化度、前駆体の粒子径、添加粒子の粒径等を総合的
に検討して決定する必要がある。添加粒子を構成する金
属の種類は特に限定されるものではなく、あらゆる元素
が使用可能であるが、特に好適にはすでに述べた前駆体
ゾルと同様の金属元素が用いられる。一方、粒子の形態
として最も好適に用いられるものは単分散状態を呈し、
かつ比較的球形に近い形状を有するものである。単分散
状態の微粒子を用いた場合には分散状態がよいため少な
い添加量で顕著な効果を発現させることができ、また粒
子間の凝集力がほとんど存在しないため乾燥時における
粒子間の凝集力を低くおさえることができ、結果として
均質な被膜を安定的に得ることができる。さらに球状の
粒子を用いた場合にはゾルの塗布が極めて容易となり、
被膜の表面状態も極めてなめらかなものが得られる。
【0021】これらのゾルをロールコーターなどのコー
ター、ディップ法、あるいは電気泳動など従来公知の方
法によって鋼板表面に塗布し、乾燥・ゲル化の後500
〜1350℃の温度で焼付けることによって密着性の高
い張力被膜が形成される。焼付け時の雰囲気は窒素など
の不活性ガス雰囲気、窒素−水素混合ガスなどの還元性
雰囲気などから選択することができる。空気あるいは酸
素を含む雰囲気は鋼板を酸化させる可能性があり好まし
くない。焼付け温度が500℃未満の場合、塗布した前
駆体がセラミックスとならない場合があり、また焼付け
温度と使用温度との差が小さいため張力が十分に付与さ
れないので好ましくない。一方、1350℃超の場合、
特に大きな不都合はないものの経済的でなく、より好ま
しくは1250℃以下である。
【0022】以上の工程を経ることにより、すでに述べ
たとおり、特に塗布・焼付の繰り返しを必要とせずに均
質で十分な張力が付与できる被膜を容易に形成すること
ができる。以下に本発明を実施例を用いて説明するが、
本発明はかかる実施例に限定されるものではない。
【0023】
【実施例】
実施例1 アルミニウムsecブトキシド1重量部を約90℃に加
熱した10重量部の蒸留水で加水分解し、沈澱を生成し
た後、この沈澱を酢酸で解膠してやや白濁した均質なベ
ーマイトゾルを得た。ゾルのpHは5.1であった。鋼板
はSiを3.3wt%含有する板厚0.2mmの仕上焼鈍後
の高磁束密度一方向性電磁鋼板を硫酸と弗酸の混合液中
に浸漬し、表面のフォルステライト被膜を除去して地鉄
を露出させた後、弗酸と過酸化水素を含む溶液中で地鉄
表面を平滑にし、鏡面に仕上げて作製した。この鋼板に
作製したゾルを乾燥後に1m2 あたり約5gとなるよう
に塗布し、乾燥させてゲル化した後、1100℃で5分
間、窒素中で焼付けを行い、厚さ約1μmの均質なアル
ミナ被膜を得た。この被膜の密着性は極めて良好であっ
た。こうして得られた製品の片面の被膜を除去し、その
曲がりの程度から算出した張力、および被膜形成前後の
板厚、飽和磁束密度、鉄損を表1に示した。これより被
膜形成により鉄損値が格段に向上していることがわか
る。
【0024】実施例2 市販のベーマイト粉末(ビスタケミカル社のCatap
al A:Al2 3含有量71.4wt%)1重量部を
硝酸とともに蒸留水12重量部に加え、85℃で5時間
加熱して均質なベーマイトゾルを得た。電子顕微鏡で観
察したベーマイトの最大粒径は約0.05μm、ゾルの
pHは3.5であった。塗布用鋼板としてはSiを3.2
wt%含有する板厚0.2mmの電磁鋼板を脱炭焼鈍後、焼
鈍分離剤としてアルミナ粉末を塗布して仕上焼鈍を行う
ことによって、フォルステライト被膜のない高磁束密度
一方向性電磁鋼板を作製した。この鋼板に作製したゾル
を乾燥後に1m2 あたり約4.5gとなるように塗布
し、乾燥させてゲル化した後、1200℃で5分間、窒
素中で焼付けを行い、厚さ約1μmの均質なアルミナ被
膜を得た。この被膜の密着性は極めて良好であった。こ
うして得られた製品の片面の被膜を除去し、その曲がり
の程度から算出した張力、および被膜形成前後の板厚、
飽和磁束密度、鉄損を表1に示した。これより被膜形成
により鉄損値が格段に向上していることがわかる。
【0025】実施例3 チタニウムtetraイソプロポキシド1重量部を脱水
したイソプロピルアルコール9重量部と混合した後、蒸
留水10重量部を添加して加水分解を行い、白色の沈澱
を得た。この沈澱を分離した後、硝酸を添加してpHを2
に調整した蒸留水に再分散し、激しく攪拌してやや白濁
した酸化チタンゾルを得た。鋼板はSiを3.3wt%含
有する板厚0.2mmの仕上焼鈍後の高磁束密度一方向性
電磁鋼板を硫酸と弗酸の混合液中に浸漬し、表面のフォ
ルステライト被膜を除去して作製した。この鋼板に作製
したゾルを乾燥後に1m2 あたり約5gとなるように塗
布し、乾燥させてゲル化した後、1000℃で5分間、
窒素中で焼付けを行い、厚さ約1μmの均質なチタニア
被膜を得た。この被膜の密着性は極めて良好であった。
こうして得られた製品の片面の被膜を除去し、その曲が
りの程度から算出した張力、および被膜形成前後の板
厚、飽和磁束密度、鉄損を表1に示した。これより被膜
形成により鉄損値が格段に向上していることがわかる。
【0026】実施例4 テトラエトキシシラン1重量部と脱水したエタノール8
重量部とを混合し、攪拌しながら沸点まで加熱した後、
アンモニア水5重量部で加水分解を行った。得られたゾ
ルをpH10に調整した蒸留水に溶媒置換を行い、安定な
シリカゾルを得た。実施例1と同様にして得た鏡面状態
の鋼板に乾燥後に1m2 あたり約4gとなるようにゾル
を塗布し、乾燥させてゲル化した後、800℃で5分
間、窒素−水素混合雰囲気中で焼付けを行い、厚さ約
0.7μmの均質な非晶質シリカ被膜を得た。被膜の密
着性は極めて良好であった。こうして得られた製品の片
面の被膜を除去し、その曲がりの程度から算出した張
力、および被膜形成前後の板厚、飽和磁束密度、鉄損を
表1に示した。これより被膜形成により鉄損値が格段に
向上していることがわかる。
【0027】実施例5 実施例1と同様の方法により均質なベーマイトゾルを得
た。これにコロイダルシリカ(日産化学:スノーテック
スST−UP)をムライト組成となるように添加した
後、pHを3に調整して安定なゾルを得た。塗布用鋼板は
Siを3.3wt%含有する板厚0.2mmの仕上焼鈍後の
高磁束密度一方向性電磁鋼板を硫酸と弗酸の混合液中に
浸漬し、表面のフォルステライト被膜を除去して地鉄を
露出させた後、水素中1200℃で平坦化焼鈍を行い作
製した。この鋼板に作製したゾルを乾燥後に1m2 あた
り約5gとなるように塗布し、乾燥させてゲル化した
後、1200℃で5分間、窒素中で焼付けを行い、厚さ
約1μmの均質なムライト前駆体被膜を得た。この被膜
の密着性は極めて良好であった。こうして得られた製品
の片面の被膜を除去し、その曲がりの程度から算出した
張力、および被膜形成前後の板厚、飽和磁束密度、鉄損
を表1に示した。これより被膜形成により鉄損値が格段
に向上していることがわかる。
【0028】実施例6 実施例1と同様の方法により均質なベーマイトゾルを得
た。このゾルにテトラエトキシシランをアンモニア水で
加水分解して得た粒径0.15μmの球状単分散のSi
2 微粒子を0.1重量部添加して微粒子分散のベーマ
イトゾルを得た。塗布用鋼板は実施例5と同様に作製し
た。この鋼板に作製したゾルを乾燥後に1m2 あたり約
4gとなるように塗布し、乾燥させてゲル化した後、1
100℃で5分間、窒素中で焼付けを行い、厚さ約0.
9μmの均質なアルミナ被膜を得た。被膜の密着性は極
めて良好であった。こうして得られた製品の片面の被膜
を除去し、その曲がりの程度から算出した張力、および
被膜形成前後の板厚、飽和磁束密度、鉄損を表1に示し
た。これより被膜形成により鉄損値が格段に向上してい
ることがわかる。
【0029】
【表1】
【0030】
【発明の効果】本発明は仕上焼鈍後の方向性電磁鋼板の
表面に、鏡面ないしはそれに近い状態であっても高い密
着性の張力被膜が形成可能な方法を提供するものであ
り、従来の被膜形成方法と比較して安価で簡便、かつ高
い生産性で被膜を形成することができ、また従来のゾル
・ゲル法による被膜形成技術と比較しても繰り返し工程
あるいは多重被膜を必要とせずに均質な張力被膜を形成
することができ、その工業的効果は甚大である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭53−144419(JP,A) 特開 昭62−10215(JP,A) 特開 昭61−246322(JP,A) 特開 昭61−246321(JP,A)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 仕上焼鈍後の一方向性電磁鋼板の表面
    に、最大径が0.1μm以下のセラミック前駆体粒子を
    含み、pHを5.5以下または8.0以上に調整したゾル
    を塗布し、乾燥・ゲル化後、500〜1350℃の温度
    で焼付けることを特徴とする低鉄損方向性電磁鋼板の張
    力被膜形成方法。
  2. 【請求項2】 仕上焼鈍後の一方向性電磁鋼板の表面
    に、最大径が0.1μm以下のセラミック前駆体粒子、
    および最大径が1μm以下の金属酸化物、金属酸化物の
    水和物、金属水酸化物よりなる群より選ばれた少なくと
    も1種の粒子を含むゾルを塗布し、乾燥・ゲル化後、5
    00〜1350℃の温度で焼付けることを特徴とする低
    鉄損方向性電磁鋼板の張力被膜形成方法。
  3. 【請求項3】 金属酸化物、金属酸化物の水和物、金属
    水酸化物よりなる群より選ばれた少なくとも1種の粒子
    が単分散状態を呈し、かつ比較的球形に近い形状である
    請求項2記載の低鉄損方向性電磁鋼板の張力被膜形成方
    法。
JP4026972A 1992-02-13 1992-02-13 低鉄損方向性電磁鋼板の張力被膜形成方法 Expired - Lifetime JP2614158B2 (ja)

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