JP2002194028A - 光硬化性組成物、低複屈折光学部材及びその製造方法 - Google Patents

光硬化性組成物、低複屈折光学部材及びその製造方法

Info

Publication number
JP2002194028A
JP2002194028A JP2001048061A JP2001048061A JP2002194028A JP 2002194028 A JP2002194028 A JP 2002194028A JP 2001048061 A JP2001048061 A JP 2001048061A JP 2001048061 A JP2001048061 A JP 2001048061A JP 2002194028 A JP2002194028 A JP 2002194028A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
component
acrylate
bis
meth
weight
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001048061A
Other languages
English (en)
Inventor
Satoshi Ezaki
聡 江崎
Seiichiro Hayakawa
誠一郎 早川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Chemical Corp filed Critical Mitsubishi Chemical Corp
Priority to JP2001048061A priority Critical patent/JP2002194028A/ja
Publication of JP2002194028A publication Critical patent/JP2002194028A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Optical Record Carriers And Manufacture Thereof (AREA)
  • Liquid Crystal (AREA)
  • Polymerisation Methods In General (AREA)
  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 光硬化させれば、低複屈折性、耐熱性、機械
的強度等の本来の特性を維持しつつ、色相が改良された
硬化生成物が得られる光硬化性組成物、それを用いた低
複屈折光学部材及びその製造方法の提供。 【解決手段】下記成分A、B、C、D及びEを含有して
なる光硬化性組成物。 成分A:一般式(I)で表される含脂環骨格ビス(メ
タ)アクリレート:70〜99重量部 成分B:一般式(II)で表される含脂環骨格モノ(メ
タ)アクリレート:1〜30重量部 成分C:少なくとも二官能性のメルカプト化合物:1〜
10重量部 成分D:ベンゾフェノン系光開始剤0.02〜0.2重
量部 成分E:アシルホスフィン系光開始剤0.02〜0.3
重量部

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、色相の良好な光硬
化性組成物、それを用いた低複屈折光学部材及びその製
造方法に関する。詳しくは、含脂環骨格ビス(メタ)ア
クリレート(以下、ビス(メタ)アクリレートと略記す
ることがある)、含脂環骨格モノ(メタ)アクリレート
(以下、モノ(メタ)アクリレートと略記することがあ
る)及びメルカプト化合物を含む組成物に更に特定の二
種類の光開始剤を配合してなる光硬化性組成物、それを
共重合させて得られる低複屈折光学部材及びその製造方
法に関する。本発明の低複屈折光学部材は、有機EL表
示パネル用、タッチパネル用等の表示用、光ディスク等
の記憶、記録用、太陽電池パネル用、等の光学部材、特
に低複屈折光学部材、殊に液晶表示パネル用に好適であ
る。
【0002】
【従来の技術】従来使用されている液晶表示パネル(セ
ルと呼ばれることがある)は、ガラス板を基板として使
用するものであるが、このようなパネルでは、ガラスの
低密度化と機械的強度の向上に関して限界があるため、
現在要望されている軽量薄型化に対応できない。また生
産性の向上に関しても成形性、加工性の観点から問題点
が指摘されており、プラスチックを基板として用いたパ
ネルに注目が集まっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、プラス
チック基板については、液晶表示に適した低複屈折性、
耐熱性、機械的強度、吸水率、色相、製品歩留まり等種
々の問題点に加えて、基板製造過程やパネルを製造する
際の加熱工程(画素を形成する際のインキ乾燥時、透明
電極成膜時、配向膜焼結時等)において、基板の主成分
や基板内に残存する微量成分の分解等に伴う着色が起こ
りやすく、製造後にパネル色調の不良を招く問題が近年
クローズアップされている。
【0004】基板の色相は、特にカラー表示を行うパネ
ルを作製する際には、非常に重要な要素となる。通常カ
ラー表示には、カラーフィルターと呼ばれるR(赤)、
G(緑)、B(青)及びブラックマトリックス(黒)が
形成された基板と、対向基板と呼ばれるこれらの画素の
ない基板が必要となる。このカラーフィルター上に透明
電極をパターニングしたものと、対向基板上に透明電極
をパターニングしたものを、共に配向膜処理した後シー
ル材を介して貼り合わせ、基板間に液晶を注入すること
により表示用パネルが完成する。このパネル化工程中に
基板が着色を起こすと、予め色合わせによって再現性の
最も良好な発色をする色素を選定しても、実際のパネル
表示時の色再現性が損なわれ、正しい表示ができない。
本発明は、光硬化させれば、低複屈折性、耐熱性、機械
的強度等の本来の特性を維持しつつ、色相が改良された
硬化生成物が得られる光硬化性組成物、それを用いた低
複屈折光学部材及びその製造方法を提供しようとするも
のである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、かかる事
情に鑑み鋭意検討した結果、特開平9−152510号
公報に開示された組成物に更に特定のモノ(メタ)アク
リレートを配合し、これを光重合させる際に、特定の構
造の二種類の光開始剤を使用することにより、低複屈折
性、耐熱性等の本来の特性を損なうことなく、機械的強
度及び色相を改良しうることを見い出し、本発明を完成
するに至った。
【0006】即ち、本発明の要旨は、 1.下記成分A、B、C、D及びEを含有してなる光硬
化性組成物(但し、各成分の割合は、成分Aと成分Bと
の合計を100重量部として表す) 成分A:一般式(I)で表される含脂環骨格ビス(メ
タ)アクリレート:70〜99重量部
【0007】
【化6】 (式中、R1 及びR2 は、それぞれ独立して、水素原子
又はメチル基を示し、mは1又は2を示し、nは0又は
1を示し、p及びqは、それぞれ独立して、0、1又は
2を示す) 成分B:一般式(II)で表される含脂環骨格モノ(メ
タ)アクリレート:1〜30重量部
【0008】
【化7】 (式中、R3 は水素原子又はメチル基を示し、mは1又
は2を示し、nは0又は1を示し、r及びsは、それぞ
れ独立して、0、1又は2を示す) 成分C:少なくとも二官能性のメルカプト化合物:1〜
10重量部 成分D:ベンゾフェノン系光開始剤0.02〜0.2重
量部 成分E:アシルホスフィン系光開始剤0.02〜0.3
重量部 2.1項に記載の光硬化性組成物を共重合させて得られ
る低複屈折光学部材 3.1項に記載の光硬化性組成物を複数段階で活性エネ
ルギー線を照射することにより共重合させる低複屈折光
学部材の製造方法、にある。
【0009】即ち、高度に架橋した高分子構造の中に、
この高分子と構造、諸特性の似通った非架橋成分を取り
込むことにより、複屈折の増大や耐熱性の低下、吸水率
の低下を招くことなく、機械強度を改良することがで
き、且つ特定の構造の二種類の光開始剤を特定量使用す
ることにより、色相を悪化させるラジカル化合物の発生
を効率よく抑制することが可能となり、その結果、比較
的厚みの小さい、例えば0.05〜3mm程度、好まし
くは0.1〜1.5mm程度のプラスチック基板製造の
際のシートの破損及びプラスチック基板製造過程及びパ
ネル化工程における色相の悪化を防ぐことができる。こ
の特定の構造の二種類の光開始剤は、ベンゾフェノン系
光開始剤及びアシルホスフィン系光開始剤であり、これ
らを組み合わせることにより、本発明の光硬化性組成物
の色相悪化を抑制し、且つ良好な物性を発現させること
ができる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。 (光硬化性組成物)本発明の光硬化性組成物とは、成分
A、B、C、D及びEを含有してなるものである。ここ
で、「含有してなる」とは、挙示成分A、B、C、D及
びEの他に、本発明の趣旨を損なわない限り、少量の補
助成分を含有してもよいことを意味する。なお、「(メ
タ)アクリル」及び「(メタ)アクリレート」とは、ア
クリルないしメタクリル及びアクリレートないしメタク
リレートをそれぞれ総称するものである。
【0011】<成分A:含脂環骨格ビス(メタ)アクリ
レート>成分Aは、式(I)で表される脂環式炭化水素
骨格を有するビス(メタ)アクリレート(含脂環骨格ビ
ス(メタ)アクリレート又はビス(メタ)アクリレート
と略記することがある)である。
【0012】
【化8】 (式中、R1 及びR2 は、それぞれ独立して、水素原子
又はメチル基を示し、mは1又は2を示し、nは0又は
1を示し、p及びqは、それぞれ独立して、0、1又は
2を示す)
【0013】式(I)の含脂環骨格ビス(メタ)アクリ
レートの具体例としては、例えばビス(ヒドロキシ)ト
リシクロ[5.2.1.02,6 ]デカン=ジアクリレー
ト、ビス(ヒドロキシ)トリシクロ[5.2.1.0
2,6 ]デカン=ジメタクリレート、ビス(ヒドロキシ)
トリシクロ[5.2.1.02,6 ]デカン=アクリレー
トメタクリレート及びこれらの混合物、ビス(ヒドロキ
シ)ペンタシクロ[6.5.1.13,6 .02,7 .0
9,13]ペンタデカン=ジアクリレート、ビス(ヒドロキ
シ)ペンタシクロ[6.5.1.13,6 .02,7 .0
9,13]ペンタデカン=ジメタクリレート、ビス(ヒドロ
キシ)ペンタシクロ[6.5.1.13,6 .0 2,7 .0
9,13]ペンタデカン=アクリレートメタクリレート及び
これらの混合物、ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ
[5.2.1.02,6 ]デカン=ジアクリレート、ビス
(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.
2,6 ]デカン=ジメタクリレート、ビス(ヒドロキシ
メチル)トリシクロ[5.2.1.02, 6 ]デカン=ア
クリレートメタクリレート及びこれらの混合物、ビス
(ヒドロキシメチル)ペンタシクロ[6.5.1.1
3,6 .02,7 .09,13]ペンタデカン=ジアクリレー
ト、ビス(ヒドロキシメチル)ペンタシクロ[6.5.
1.13, 6 .02,7 .09,13]ペンタデカン=ジメタク
リレート、ビス(ヒドロキシメチル)ペンタシクロ
[6.5.1.13,6 .02,7 .09,13]ペンタデカン
=アクリレートメタクリレート及びこれらの混合物、ビ
ス(ヒドロキシエチル)トリシクロ[5.2.1.0
2,6 ]デカン=ジアクリレート、ビス(ヒドロキシエチ
ル)トリシクロ[5.2.1.02,6 ]デカン=ジメタ
クリレート、ビス(ヒドロキシエチル)トリシクロ
[5.2.1.02,6 ]デカン=アクリレートメタクリ
レート及びこれらの混合物、ビス(ヒドロキシエチル)
ペンタシクロ[6.5.1.13,6 .02,7 .09,13
ペンタデカン=ジアクリレート、ビス(ヒドロキシエチ
ル)ペンタシクロ[6.5.1.13,6 .02,7 .0
9,13]ペンタデカン=ジメタクリレート、ビス(ヒドロ
キシエチル)ペンタシクロ[6.5.1.1 3,6 .0
2,7 .09,13]ペンタデカン=アクリレートメタクリレ
ート及びこれらの混合物、等が挙げられる。
【0014】これらの中、ビス(ヒドロキシメチル)ト
リシクロ[5.2.1.02,6 ]デカン=ジアクリレー
ト、ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.
1.0 2,6 ]デカン=ジメタクリレート、ビス(ヒドロ
キシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6 ]デカン
=アクリレートメタクリレート及びこれらの混合物が好
ましい。
【0015】なお、これらのトリシクロデカン化合物及
びペンタシクロデカン化合物は、群内及び/又は群間で
二種以上併用してもよい。本発明の光硬化性組成物中の
ビス(メタ)アクリレートの割合は、成分Aと成分Bと
の合計(以下、全アクリレート成分ということがある)
100重量部に対して70〜99重量部、好ましくは8
0〜98重量部、より好ましくは88〜97重量部、特
に好ましくは92〜96重量部である。
【0016】ビス(メタ)アクリレートの製造方法につ
いては、特に限定されるものではなく、一般的なエステ
ル合成法(日本化学全編,新実験化学講座,14,有機
化合物の合成と反応(II)(丸善,1977年刊)等に
準拠して行うことができるが、代表的な製造方法として
は、(i)式(1)で表される含脂環骨格ジオール(以
下、式(1)のジオール又はジオールと略記することが
ある)と(メタ)アクリル酸とのエステル化反応による
方法(特開昭62−225508号公報)、
【0017】
【化9】 (式中、mは1又は2であり、nは0又は1である)
【0018】なお、式(1)の化合物の具体例として
は、例えばビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.
2.1.02,6 ]デカン、ビス(ヒドロキシメチル)ペ
ンタシクロ[6.5.1.13,6 .02,7 .09,13]ペ
ンタデカン等を挙げることができる。これらの中、ビス
(ヒドロキシメチル)トリシクロデカンは、「TCDア
ルコールDM(セラニーズ社商品名)」として市販され
ている。
【0019】(ii)ジオールと(メタ)アクリル酸エス
テルとのエステル交換反応による方法、(iii)ジオー
ルと(メタ)アクリル酸ハライドとの反応による方法、
等が挙げられる。これらの中、(i)及び(ii)の方法
が実用的であり、好ましい。
【0020】(i)のジオールと(メタ)アクリル酸と
のエステル化反応は、ジオール1モルに対して、通常
2.0〜2.6モルの(メタ)アクリル酸を用い、触媒
として、例えば、硫酸、塩酸、リン酸、フッ化硼素、P
−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、カチオン
型イオン交換樹脂等を用い、通常トルエン、ベンゼン、
へプタン、ヘキサン等の溶媒の存在下、反応により生成
する水を留去しながら行う。また、(ii)のジオールと
(メタ)アクリル酸エステルとのエステル交換反応は、
ジオール1モルに対して、一般的には(メタ)アクリル
酸メチルを通常2.0〜10.0モルを用い、触媒とし
て、例えば、硫酸、P−トルエンスルホン酸、テトラブ
チルチタネート、テトライソプロピルチタネート、カリ
ウムブトキシド等を用い、通常トルエン、ベンゼン、ヘ
プタン、ヘキサン等の溶媒の存在下、反応により生成す
るメタノールを留去しながら行う。
【0021】反応は、重合禁止剤として、例えば、ハイ
ドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、フェ
ノチアジン、銅塩等を用いることができる。これらの反
応においては、反応の進行状況を高速液体クロマトグラ
フ、ガスクロマトグラフ等により分析し、反応が100
%完結する前段階で停止して、反応混合物から未反応の
ジオール、(メタ)アクリル酸、触媒、重合禁止剤、溶
媒、等を除去することにより、ビス(メタ)アクリレー
トとモノ(メタ)アクリレートとの混合物を得ることが
できる。そして、その混合割合が適当なものについて
は、本発明の光硬化性組成物の成分(A)と成分(B)
との混合物原料として、そのまま用いることができるの
で、便利であり、好ましい。
【0022】<成分B:含脂環骨格モノ(メタ)アクリ
レート>成分Bは、式(II)で表される脂環式炭化水素
骨格を有するモノ(メタ)アクリレート(含脂環骨格モ
ノ(メタ)アクリレート又はモノ(メタ)アクリレート
と略記することがある)である。
【0023】
【化10】 (式中、R3 は水素原子又はメチル基を示し、mは1又
は2を示し、nは0又は1を示し、r及びsは、それぞ
れ独立して、0、1又は2を示す) 式(II)の含脂環骨格モノ(メタ)アクリレートの具体
例としては、例えばビス(ヒドロキシ)トリシクロ
[5.2.1.02,6 ]デカン=モノアクリレート、ビ
ス(ヒドロキシ)トリシクロ[5.2.1.02,6 ]デ
カン=モノメタクリレート及びこれらの混合物、ビス
(ヒドロキシ)ペンタシクロ[6.5.1.1 3,6 .0
2,7 .09,13]ペンタデカン=モノアクリレート、ビス
(ヒドロキシ)ペンタシクロ[6.5.1.13,6 .0
2,7 .09,13]ペンタデカン=モノメタクリレート及び
これらの混合物、ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ
[5.2.1.02,6 ]デカン=モノアクリレート、ビ
ス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.0
2,6 ]デカン=モノメタクリレート及びこれらの混合
物、ビス(ヒドロキシメチル)ペンタシクロ[6.5.
1.13,6 .02,7 .09,13]ペンタデカン=モノアク
リレート、ビス(ヒドロキシメチル)ペンタシクロ
[6.5.1.13,6 .02,7 .09,13]ペンタデカン
=モノメタクリレート及びこれらの混合物、ビス(ヒド
ロキシエチル)トリシクロ[5.2.1.02,6 ]デカ
ン=モノアクリレート、ビス(ヒドロキシエチル)トリ
シクロ[5.2.1.02,6 ]デカン=モノメタクリレ
ート及びこれらの混合物、ビス(ヒドロキシエチル)ペ
ンタシクロ[6.5.1.13,6 .02,7 .09,13]ペ
ンタデカン=モノアクリレート、ビス(ヒドロキシエチ
ル)ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7 .0
9,13]ペンタデカン=モノメタクリレート及びこれらの
混合物、等が挙げられる。
【0024】これらの中、ビス(ヒドロキシメチル)ト
リシクロ[5.2.1.02,6 ]デカン=モノアクリレ
ート、ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.
1.02,6 ]デカン=モノメタクリレート及びこれらの
混合物、が好ましい。これらのトリシクロデカン化合物
及びペンタシクロデカン化合物は、群内及び/又は群間
で二種以上併用してもよい。
【0025】本発明の光硬化性組成物中のモノ(メタ)
アクリレートの割合は、全アクリレート成分100重量
部に対して1〜30重量部、好ましくは2〜20重量
部、より好ましくは3〜12重量部、特に好ましくは4
〜8重量部である。モノ(メタ)アクリレートの割合が
少なすぎると、硬化樹脂の機械強度改良効果が得られな
くなるし、逆に多すぎると硬化樹脂の耐熱性が低下す
る。
【0026】かかるモノ(メタ)アクリレートについて
は、式(I)のビス(メタ)アクリレートの合成法の例
えば(i)又は(iii)の方法において、ジオール1モ
ルに対する(メタ)アクリル酸の量を半分の1〜1.3
モルにするとか、(メタ)アクリル酸ハライドの量を半
分の1モルにするとかにして、半エステルが生成する条
件で反応を行うことにより合成することができる。
【0027】しかしながら、前記の式(I)のビス(メ
タ)アクリレートを例えば(i)の方法により合成する
際に、前述したように、反応を途中で停止することによ
り、モノ(メタ)アクリレートの所望量を含むビス(メ
タ)アクリレートの混合物が得られ、これを本発明の光
硬化性組成物の原料としてそのまま使用することができ
るので、通常は、モノ(メタ)アクリレートを別途合成
するには及ばない。
【0028】<成分C:少なくとも二官能性のメルカプ
ト化合物>本発明の光硬化性組成物に用いられるメルカ
プト化合物は、少なくとも二官能性の、好ましくは三官
能性以上のメルカプト化合物(以下、多官能メルカプト
化合物ということがある)である。少なくとも二官能性
のメルカプト化合物の具体例としては、例えば一般式
(III)、(IV)及び(V)でそれぞれ表される化合物
並びに2,2−ビス(2−ヒドロキシ−3−メルカプト
プロポキシフェニル)プロパン、1,10−デカンジチ
オール、ジメルカプトトリエチレンジスルフィド、又は
ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプ
ロピレングリコールジグリシジルエーテルのようなジグ
リシジル化合物と硫化水素との反応により合成されるジ
メルカプト化合物、等が挙げられる。
【0029】
【化11】 (式中、R4 はメチレン基又はエチレン基を示し、R5
はエーテル酸素を含んでいてもよい炭素数2〜15の炭
化水素残基を示し、aは2〜6の整数を示す)
【0030】式(III)において、R5 はエーテル酸素
を含んでいてもよい炭素数2〜15の炭化水素残基であ
るが、その具体例としては、例えばペンタエリスリトー
ル残基、ジペンタエリスリトール残基、トリメチロール
プロパン残基、エチレングリコール残基、ジエチレング
リコール残基、トリエチレングリコール残基、ブタンジ
オール残基、等が挙げられる。
【0031】式(III)のメルカプト化合物は、2〜6
価のチオグリコール酸エステル又はチオプロピオン酸エ
ステルであるが、その具体例としては、例えば、ペンタ
エリスリトールテトラキス(β−チオプロピオネー
ト)、ペンタエリスリトールテトラキス(チオグリコレ
ート)、トリメチロールプロパントリス(β−チオプロ
ピオネート)、トリメチロールプロパントリス(チオグ
リコレート)、エチレングリコールビス(β−チオプロ
ピオネート)、エチレングリコールビス(チオグリコレ
ート)、ジエチレングリコールビス(β−チオプロピオ
ネート)、ジエチレングリコールビス(チオグリコレー
ト)、トリエチレングリコールビス(β−チオプロピオ
ネート)、トリエチレングリコール(チオグリコレー
ト)、ブタンジオールビス(β−チオプロピオネー
ト)、ブタンジオールビス(チオグリコレート)、ジペ
ンタエリスリトールヘキサキス(β−チオプロピオネー
ト)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(チオグリコ
レート)等が挙げられる。
【0032】
【化12】 (式中、XはHS−(CH2 b −CO−(OCH2
2 d −(CH2 c−を示す。但し、b及びcは、
それぞれ独立して、1〜8の整数を示し、dは0、1又
は2を示す)
【0033】式(IV)の化合物は、β−チオール基含有
イソシアネートである。式(IV)の化合物の具体例とし
ては、例えば、トリス[2−(β−チオプロピオニルオ
キシ)エチル]イソシアヌレート、トリス(2−チオグ
リコニルオキシエチル)イソシアヌレート、トリス[2
−(β−チオグリコニルオキシエトキシ)エチル]イソ
シアヌレート、トリス(2−チオグリコニルオキシエト
キシ)エチル)イソシアヌレート、トリス[3−(β−
チオプロピオニルオキシ)プロピル]イソシアヌレー
ト、トリス(3−チオグリコニルオキシプロピル)イソ
シアヌレート等が挙げられる。
【0034】
【化13】 (式中、R6 及びR7 は、それぞれ独立して、アルキレ
ン基を示し、e及びfは、それぞれ独立して、0又は1
を示し、gは1又は2を示す) 式(V)の化合物はチオール基含有炭化水素である。式
(V)の化合物の具体例としては、例えばベンゼンジメ
ルカプタン、キシリレンジメルカプタン、4,4’−ジ
メルカプトジフェニルスルフィド、等が挙げられる。
【0035】これらの少なくとも二官能性のメルカプト
化合物の中、式(III)、(IV)及び(V)でそれぞれ
表される化合物が好ましく、これらの化合物の中、三官
能性以上のメルカプト化合物がより好ましく、四官能性
のメルカプト化合物が特に好ましい。本発明の光硬化性
組成物中の少なくとも二官能性のメルカプト化合物の配
合割合は、全アクリレート成分100重量部に対して1
〜10重量部、好ましくは4〜8の重量部である。
【0036】メルカプト化合物の割合が少なすぎると、
硬化樹脂の複屈折が増大するし、逆に多すぎると硬化樹
脂の耐熱性が低下する。本発明の光硬化性組成物の中か
ら、前記成分Bの含脂環骨格モノ(メタ)アクリレート
を除いた組成物でも、低複屈折性と高耐熱性の二つの課
題だけであれば解決することが可能である。即ち、前記
成分Aの含脂環骨格ビス(メタ)アクリレートと前記成
分Cの多官能メルカプト化合物よりなる組成物を光重合
硬化させることにより、低複屈折且つ高耐熱性を有する
樹脂が得られる。多官能メルカプト化合物を配合する理
由は、メルカプト化合物中のチオール基が連鎖移動剤
として作用し、重合硬化を穏やかに均一に進行させるこ
とにより、硬化物中の複屈折を大幅に低減する。また
分子内に二個以上のチオール基を有する多官能性のメル
カプト化合物を用いることにより、前記成分Aのビス
(メタ)アクリレート化合物から形成される三次元網目
構造にメルカプタン化合物が入り込む際、耐熱性を損な
うことなく上記複屈折の問題を解決することができる。
【0037】しかしながら、成分Aも成分Cも多官能性
であり、得られる硬化物は高度に架橋された高分子構造
を有するため、耐衝撃性等の機械強度に劣る問題があ
る。この問題は前記成分Bの含脂環骨格モノ(メタ)ア
クリレートを特定の割合配合することにより解決され
る。即ち、高度に架橋された高分子の中に、単官能であ
り、架橋には寄与しない成分Bが入り込むことにより、
架橋密度が適度に制御される。その結果、耐衝撃性等の
機械強度が向上すると共に、成形時の製品割れ等生産歩
留まりの問題を解決することができる。
【0038】重要なのは成分Bを配合した際に、硬化物
の複屈折を増大させたり、耐熱性の低下や吸水率の悪化
を引き起こさないことであるが、本発明における成分B
は、成分Aと同様な脂環骨格を有する(メタ)アクリレ
ートであるため両者の重合速度はほぼ等しく、また相分
離を起こさないため全く複屈折は変化しない。耐熱性や
吸水率に関しても、成分AとBからそれぞれ得られる硬
化物は同様な特性を持つため、性能悪化を引き起こすこ
となく液晶表示用の低複屈折光学部材として十分な性能
を維持している。
【0039】<成分D:ベンゾフェノン系光開始剤>本
発明の光硬化性組成物は、光重合開始剤として、ベンゾ
フェノン系光開始剤(D)及びアシルホスフィン系光開
始剤(E)の二種類の光開始剤を併用することを特徴と
する。これらの光開始剤については、紫外線等の活性エ
ネルギー線によりラジカルを発生するものであれば特に
限定されるものではない。
【0040】成分Dであるベンゾフェノン系光開始剤
は、重合反応を開始させ、且つその反応を比較的マイル
ドに促進する役割を果たすと同時に、硬化過程や硬化物
を利用する際の加熱工程における色相悪化、特に黄色度
YI値の上昇を大幅に抑制させる効果をもたらす。その
具体例としては、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸
メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベン
ゾフェノン、3,3′−ジメチル−4−メトキシベンゾ
フェノン、ジフェノキシベンゾフェノン、等を挙げるこ
とができる。これらの中、ベンゾフェノン及びジフェノ
キシベンゾフェノンが好ましく、ベンゾフェノンが特に
好ましい。
【0041】これらのベンゾフェノン系光開始剤が硬化
物の色相悪化を著しく抑制させるメカニズムは必ずしも
明らかではないが、本発明の系において活性エネルギー
線が照射されたときに、ベンゾフェノン系光開始剤のケ
トン基の電子状態が変化する等の作用により、活性エネ
ルギー線のエネルギーの一部が吸収され、その後その吸
収されたエネルギーは分子振動エネルギーを経て比較的
エネルギーの小さい熱エネルギーへと変換され、結果と
して活性エネルギー線照射による系内におけるラジカル
発生を抑制すること等が、その大きな色相悪化抑制効果
をもたらすことの主な理由として推定される。本発明の
ベンゾフェノン系光開始剤の配合割合は、全アクリレー
ト成分100重量部に対して0.02〜0.2重量部、
好ましくは0.03〜0.15重量部、より好ましくは
0.03〜0.1重量部である。ベンゾフェノン系光開
始剤の割合が少なすぎると、色相悪化抑制効果が得られ
なくなるし、逆に多すぎると、光開始剤そのものによる
色相悪化や、成形性や機械強度等の低下、或いは複屈折
の増大等を招くため好ましくない。
【0042】<成分E:アシルホスフィン系光開始剤>
光開始剤のもう一方の成分はアシルホスフィン系光開始
剤(E)である。成分Eについても特に限定されるもの
ではないが、好ましいものは一般式(VI)で表される化
合物である。
【0043】
【化14】
【0044】(式中、R8はメチル基、メトキシ基又は
塩素原子を示し、nは2又は3の数を示し、Rはフェニ
ル基又はメトキシ基を示す)
【0045】成分Eの光開始剤は、成分Dの光開始剤よ
りもその光開始反応及び硬化促進反応が速く、成分Dの
光開始剤と組み合わせて使用することによって始めて、
本系の光重合反応を穏やかに且つ十分に行うことがで
き、硬化物の高い物性と良好な成形性を両立させること
ができる。成分Eの具体例としては、2,6−ジメチル
ベンゾイルフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6
−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイ
ド、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルホスフ
ィン酸メチルエステル、2,6−ジクロロベンゾイルジ
フェニルホスフィンオキサイド、2,6−ジメトキシベ
ンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等が挙げられ
る。これらの中、2,4,6−トリメチルベンゾイルジ
フェニルホスフィンオキサイド及び2,4,6−トリメ
チルベンゾイルフェニルホスフィン酸メチルエステルが
好ましく、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニ
ルホスフィンオキサイドが特に好ましい。
【0046】本発明のアシルホスフィン系光開始剤の配
合割合は、全アクリレート成分100重量部に対して
0.02〜0.3重量部、好ましくは0.03〜0.2
重量部、より好ましくは0.03〜15重量部である。
アシルホスフィン系光開始剤の割合が少なすぎると、組
成物を十分に硬化させることができなくなるし、逆に多
すぎると、重合反応が急激に進行し、複屈折の増大をも
たらすだけでなく色相も悪化させるため好ましくない。
【0047】(補助成分)本発明による低複屈折材料は
成分A、B、C、D及びEを含んでなる組成物を重合硬
化させてなるものであり、この組成物が少量の補助成分
を含んでも良いことは前記したところである。従って本
発明の低複屈折板用樹脂は、その硬化前の組成物100
重量部に対し30重量部程度までの量でラジカル重合可
能な他の単量体を混合して共重合させて製造することも
可能である。その際に用いる他の単量体としては、例え
ばメチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アク
リレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレー
ト、メタクリロイルオキシメチルテトラシクロデカン、
メタクリロイルオキシメチルテトラシクロドデセン、エ
チレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレン
グリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキセン
ジオールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ
アクリレート、ビスフェノールAジメタクリレート、ビ
スフェノールAアクリレートメタクリレート及びこれら
の混合物、ビスフェノールAビス[(オキシエチル)エ
ーテル]=ジアクリレート、ビスフェノールAビス
[(オキシエチル)エーテル]=ジメタクリレート、ビ
スフェノールAビス[(オキシエチル)エーテル]=ア
クリレートメタクリレート及びこれらの混合物、テトラ
ブロモビスフェノールAビス[(オキシエチル)エーテ
ル]=ジアクリレート、テトラブロモビスフェノールA
ビス[(オキシエチル)エーテル]=ジメタクリレー
ト、テトラブロモビスフェノールAビス[(オキシエチ
ル)エーテル]=アクリレートメタクリレート及びこれ
らの混合物、ビスフェノールAビス[(ジオキシエチ
ル)エーテル]=ジアクリレート、ビスフェノールAビ
ス[(ジオキシエチル)エーテル]=ジメタクリレー
ト、ビスフェノールAビス[(ジオキシエチル)エーテ
ル]=アクリレートメタクリレート及びこれらの混合
物、ビスフェノールAビス[(ポリオキシエチル)エー
テル]=ジアクリレート、ビスフェノールAビス[(ポ
リオキシエチル)エーテル]=ジメタクリレート、ビス
フェノールAビス[(ポリオキシエチル)エーテル]=
アクリレートメタクリレート、2,2’−ビス[4−
(β−メタクリロイルオキシエトキシ)シクロヘキシ
ル]プロパン、1,4−ビス(メタクリロイルオキシメ
チル)シクロヘキサン、トリメチロールプロパントリ
(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート化合
物、スチレン、クロルスチレン、ジビニルベンゼン、α
−メチルスチレン等の核及び/又は側鎖置換及び非置換
スチレン等が挙げられる。
【0048】これらの他の単量体の中でもメタクリロイ
ルオキシメチルシクロドデカン、2,2−ビス[4−
(β−メタクリロイルオキシエトキシ)フェニル]プロ
パン、2,2−ビス[4−(β−メタクリロイルオキシ
エトキシ)シクロヘキシル]プロパン、1,4−ビス
(メタクリロイルオキシメチル)シクロヘキサン、及び
これらの混合物が特に好ましい。
【0049】補助成分としては、その他にも、酸化防止
剤、紫外線吸収剤、染顔料、充填剤等がある。なお、所
望により添加してもよい紫外線吸収剤については、特に
限定されるものではないが、ベンゾフェノン系のもの
と、トリアゾール系のものが好ましく、これらは単独で
使用してもよく、また二種以上を併用してもよい。
【0050】その具体例としては、2,4−ジヒドロキ
シベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベン
ゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフ
ェノン、2−ヒドロキシ−4−オクタデシロキシベンゾ
フェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベン
ゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメ
トキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物、2
−(2’−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾト
リアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ
ターシャリーブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2
−(2’−ヒドロキシ−3’−ターシャリーブチル−
5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール等のベンゾ
トリアゾール系化合物を挙げることができる。
【0051】これらの紫外線吸収剤の割合は、ジエチレ
ン性不飽和単量体100重量部に対して、0.01〜
0.2重量部、好ましくは0.03〜0.1重量部であ
る。紫外線吸収剤の配合割合が、多すぎると、硬化物が
充分に硬化しないか、もしくは、得られた硬化物の内部
均質性が悪くなる。また、少なすぎると、所望の紫外線
カット性が得られなくなる。
【0052】(低複屈折光学部材の製造) <光硬化性組成物の共重合>本発明の光硬化性組成物に
ついては、ラジカル重合開始剤の存在下に活性エネルギ
ー線を照射することにより容易に共重合(光重合、光重
合硬化又は光硬化ということがある)させることができ
る。
【0053】活性エネルギー線については、ラジカル重
合開始剤に作用してラジカルを発生させるものであれば
特に限定されるものではなく、例えば電子線、紫外線、
等を用いることができる。これらの中、モノマー及び重
合開始剤の種類、量を参酌して、200〜400nmの
紫外線を好ましくは0.1〜200jの範囲で照射する
のが好ましい。
【0054】照射が極端に少ない場合は重合が不完全な
ため硬化物の耐熱性、機械特性が十分に発現されず、逆
に極端に過剰な場合は硬化物の黄変等の光による劣化を
生じるので好ましくない。そして、活性エネルギー線の
照射については、諸物性、特に表面性状や色相の良好な
シートを得るためには、複数段で、少なくとも二段で行
うのが望ましい。
【0055】照射を二段で行う場合、その第一段階では
活性エネルギー線の硬化所要量の15%以下、好ましく
は10%以下、特に好ましくは7%以下を照射して、キ
ャビティ内の光硬化性樹脂を自己保形性を有するよう
に、即ちスペーサーを取り外しても樹脂が漏洩しないよ
うにゲル化させる。この段階における光重合に対して
は、成分Eのアシルホスフィン系光開始剤が主な役割を
果たす。アシルホスフィン系光開始剤は、その光開始反
応を誘起する速度が大きい特徴があり、第一段階におけ
る光硬化反応を促進し、ゲル化反応を確実に行うために
必須である。なお、本明細書において活性エネルギー線
の硬化所要量とは、キャビティ内の樹脂組成物のエチレ
ン性炭素−炭素二重結合の消失の割合は、下記式により
算出される。
【0056】
【数1】消失量=(1−K/M)×100(%) M=AM/BMM:活性エネルギー線照射前の赤外吸収における二重
結合のピーク面積 BM:活性エネルギー線照射前の赤外吸収におけるC−
H結合のピーク面積 K=AK/BKK:活性エネルギー線照射後の赤外吸収における二重
結合のピーク面積 BK:活性エネルギー線照射後の赤外吸収におけるC−
H結合のピーク面積 なお、二重結合のピークは1658.5〜1591cm
-1に出現し、C−H結合のピークは3210〜280
9.8cm-1に出現する。
【0057】この第一段階における活性エネルギー線照
射量が硬化所要量の15%を越えると、硬化収縮が起こ
り、キャビティ内の樹脂が面板から剥離して、生成する
樹脂シート表面の欠陥を生じやすい。また、ゲル化した
樹脂がスペーサーに強固に付着して、スペーサーが取り
外し難くなるという問題もある。好ましくは照射量が硬
化所要量の10%以下の段階で面板間の間隔を一定に保
持する手段を解放する。逆に活性エネルギー線照射量が
少なすぎると、ゲル化が不十分で、成形型の面板の緊締
を解放したときに、キャビティ内の樹脂が成形型の隙間
から漏れる事故が起きやすい。また、ゲル化した樹脂と
面板との付着力が弱く、成形型の面板の緊締を解放した
ときの衝撃で樹脂が面板から剥離するという事故が起き
ることもある。
【0058】そして、第二段階において、モノマーの9
5〜100%が反応するように照射を行い、重合を完結
させる。この段階における光重合に対しては、成分Dの
ベンゾフェノン系光開始剤が主な役割を果たす。ベンゾ
フェノン系光開始剤は、その光開始反応を誘起する速度
が比較的小さい特徴があり、第二段階において、成分D
のアシルホスフィン系光開始剤に代わって光硬化反応を
促進し、重合を確実に完結させるために重要である。第
二段階の重合も成分Dのアシルホスフィン系光開始剤で
促進させようとすると、重合反応が急激に進行すること
があり、この場合、色相が大幅に悪化することがあり好
ましくない。
【0059】活性エネルギー線を照射する雰囲気は、通
常の大気中、又は不活性ガス雰囲気中のいずれでもよ
い。また、照射時の温度は、通常、第1段:常温〜10
0℃、第2段:常温〜300℃であり、照射時間は、通
常、第1段:1秒〜1分、第2段:10秒〜10分であ
る。
【0060】活性エネルギー線用の光源としては、ケミ
カルランプ、キセノンランプ、低圧水銀ランプ、高圧水
銀ランプ、メタルハライドランプ等が用いられる。硬化
を速やかに完了させる目的で、熱重合を併用してもよ
い。即ち、光照射と同時に組成物並びに型全体を30〜
300℃の範囲で加熱する。この場合は重合をよりよく
完結するためにラジカル重合開始剤を添加してもよい
が、過剰な使用は複屈折の増大と色相の悪化をもたら
す。熱重合開始剤の具体例としては、ベンゾイルパーオ
キシド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、t−
ブチルパーオキシ(2−エチルヘキサノエート)等が挙
げられ、使用量はモノマー100重量部に対して1重量
部以下が好ましい。
【0061】更に本発明において光照射によるラジカル
重合を行った後、硬化物を加熱することにより重合反応
の完結及び重合時に発生する内部歪を低減することも可
能である。加熱温度は、硬化物の組成やガラス転移温度
に合わせて適宜選択されるが、過剰な加熱は硬化物の色
相悪化をもたらすため、ガラス転移温度付近かそれ以下
の温度が望ましい。上述の本発明により提供される低複
屈折光学部材は、複屈折が10nm以下、好ましくは5
nm以下、更に好ましくは2nm以下、特に好ましくは
1nm以下のものである。
【0062】<ガスバリア膜>本発明によって得られる
硬化物の表面には、種々の方法により、ガスバリア膜を
形成することができ、ガスバリア付き光学部材として利
用することができる。ガスバリア膜としては公知のもの
が使用できる。例えば、無機酸化物膜、或いは、ポリビ
ニルアルコール、エチレンービニルアルコール共重合
体、塩化ビニリデン等のガスバリア性樹脂層が挙げられ
るが、好ましくは無機酸化物膜である。無機酸化物と
は、金属、非金属、亜金属の酸化物であり、具体例とし
ては、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化アンチモン、
酸化インジウム、酸化カルシウム、酸化カドミウム、酸
化銀、酸化金、酸化クロム、酸化珪素、酸化コバルト、
酸化ジルコニウム、酸化錫、酸化チタン、酸化鉄、酸化
銅、酸化ニッケル、酸化白金、酸化パラジウム、酸化ビ
スマス、酸化マグネシウム、酸化マンガン、酸化モリブ
デン、酸化バナジウム、酸化バリウム等が挙げられる
が、酸化珪素が特に好ましい。なお、無機酸化物には、
微量の金属、非金属、亜金属単体やそれらの水酸化物、
また、可撓性を向上させるために適宜炭素又はフッ素が
含まれていてもよい。
【0063】ガスバリア膜を形成する方法としては、樹
脂等をコートする方法、無機酸化物よりなる蒸着膜を形
成する方法が挙げられる。蒸着膜を形成する方法として
は、真空蒸着法、真空スパッタ法、イオンプレーティン
グ法、CVD法等、従来公知の方法が使用できる。以上
のガスバリア膜の厚さは特に制限はなく、ガスバリア膜
の構成成分の種類によっても異なるが、例えば、酸化珪
素の場合には、酸素ガスバリア性及び水蒸気ガスバリア
性、更には経済性を考慮すると、膜の厚さは5〜50n
mが好ましい。更に高度な酸素ガスバリア性や水蒸気バ
リア性を得るためには膜の厚さを厚くすればよいが、5
0nm以上では成膜する際生じる膜応力からクラックが
入りやすくなる。また、膜の厚さが5nm未満ではガス
バリア性が不十分である。
【0064】<硬化被膜>本発明における硬化被膜は光
硬化性樹脂シート上に導電膜を積層する際に、導電膜と
基板との密着性を向上し、更にガスバリア膜を保護する
ための樹脂膜である。この膜はアクリレート系の光硬化
性モノマーとイソシアネート基含有化合物、好ましくは
イソシアネート基含有アクリレート化合物を含んでなる
光硬化性組成物を重合硬化して得られる。ここで、「含
んでなる」とは、アクリレート系の光硬化性モノマーと
イソシアネート基含有化合物以外に活性エネルギー線の
照射による重合硬化を阻害しないポリマー等を全組成物
100重量部中50重量部以下の範囲で併用してもよい
ことを意味する。
【0065】アクリレート系の光硬化性モノマーとして
は、例えば、ジエチレングリコールジアクリレート、ジ
エチレングリコールジメタクリレート、トリエチレング
リコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメ
タクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレー
ト、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,
3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブ
タンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオール
ジメタクリレート、トリプロピレングリコールジアクリ
レート、トリプロピレングリコールジメタクリレート、
ポリプロピレングリコールジアクリレート、1,6−ヘ
キサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオ
ールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアク
リレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、
ジエチレングリコールジアクリレート、ビス(オキシメ
チル)トリシクロ[5.2.1.02,6 ]デカンジアク
リレート、ビス(オキシメチル)トリシクロ[5.2.
1.02,6 ]デカンジメタクリレート、ビス(オキシメ
チル)ペンタシクロ[6.5.1.13,6 .02,7 .0
9,13]ペンタデカンジアクリレート、ビス(オキシメチ
ル)ペンタシクロ[6.5.1.13,6 .02,7 .0
9,13]ペンタデカンジメタクリレート、2,2−ビス
(4−(アクリルオキシジエトキシ)フェニル)プロパ
ン、2,2−ビス(4−(メタクリルオキシジエトキ
シ)フェニル)プロパン、トリシクロ[5.2.1.0
2,6 ]デカン−3,8−ジイルジメチルジアクリレー
ト、トリシクロ[5.2.1.02,6 ]デカン−3,8
−ジイルジメチルジメタクリレート、トリメチロールプ
ロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリ
メタアクリレート、トリメチロールプロパンエトキシト
リアクリレート、トリメチロールプロパンエトキシトリ
メタクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレ
ート、テトラメチロールメタントリアクリレート、テト
ラメチロールメタンテトラアクリレート、テトラメチロ
ールメタンテトラメタクリレート、ペンタエリスリトー
ルトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタク
リレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、
ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジトリメ
チロールプロパンテトラアクリレート、ジトリメチロー
ルプロパンテトラメタクリレート、ジペンタエリスリト
ールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキ
サメタクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イ
ソシアヌレートトリアクリレート、トリス(2−ヒドロ
キシエチル)イソシアヌレートトリメタクリレート等が
挙げられる。
【0066】イソシアネート基含有化合物の例として
は、アクリルイソシアネート、メチルイソシアネート、
イソプロピルイソシアネート、t−ブチルイソシアネー
ト、シクロヘキシルイソシアネート、m−イソプロペニ
ル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート、オクタ
デシルイソシアネート、(メタ)アクリロイルイソシア
ネート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシ
アネート、3−イソプロペニルイソシアネート、ジメチ
ル(m−イソプロペニル)ベンジルイソシアネート、キ
シリレンジイソシアネート、1,2−ジイソシアネート
エタン、1,3−ジイソシアネートプロパン、1,2−
ジイソシアネートプロパン、1,4−ジイソシアネート
ブタン、1,5−ジイソシアネートブタン、1,5−ジ
イソシアネートペンタン、1,6−ヘキサメチレンジイ
ソシアネート、ビス(3−イソシアネートプロピル)エ
ーテル、ビス(3−イソシアネートプロピル)スルフィ
ド、ビス(6−イソシアネートヘキシル)スルフィド、
1,7−ジイソシアネートヘプタン、1,5−ジイソシ
アネート−2,2−ジメチルペンタン、2,6−ジイソ
シアネート−3−メトキシヘキサン、1,8−ジイソシ
アネートオクタン、1,5−ジイソシアネート−2,
2,4−トリメチルペンタン、1,9−ジイソシアネー
トノナン、1,10−ジイソシアネートデカン、1,1
1−ジイソシアネートウンデカン、1,12−ジイソシ
アネートドデカン、1,4−シクロヘキサンジイソシア
ネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシア
ネート、2,4−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネ
ート、3,3’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネ
ート、リジンイソシアネート、トリレンジイソシアネー
ト、イソホロンジイソシアネート、1,5−ナフチレン
ジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソ
シアネート、1,3−ビス(α,α−ジメチルイソシア
ネートメチル)ベンゼン、1,3−ビス(イソシアネー
トメチル)シクロヘキサン、トリメチルヘキサメチレン
ジイソシアネート等が挙げられる。
【0067】イソシアネート基含有アクリレートとして
は、公知のジイソシアネートと公知のヒドロキシアクリ
レート、例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート、
2−ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシ
ブチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルジアクリレ
ート、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノアクリ
レート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアク
リレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート等を
反応させて得られる化合物等が挙げられるが、好ましく
は、5−イソシアネート−1−(イソシアネートメチ
ル)−1,3,3−トリメチルシクロヘキサンと2−ヒ
ドロキシエチルアクリレートの付加体、2−(5−イソ
シアネート−1,3,3−トリメチル−シクロヘキシル
メチルカルバモイルオキシ)−エチルアクリレート、2
−(3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチ
ル−シクロヘキシルカルバモイルオキシ)−エチルアク
リレート、2−(4’−イソシアネート−4−ジフェニ
ルメタンカルバモイルオキシ)−エチルアクリレート、
2−(5−イソシアネート−1−カルバモイルオキシ)
−エチルアクリレート、4−(5−イソシアネート−
1,3,3−トリメチル−シクロヘキシルメチルカルバ
モイルオキシ)−ブチルアクリレート、4−(3−イソ
シアネートメチル−3,5,5−トリメチル−シクロヘ
キシルカルバモイルオキシ)−ブチルアクリレート、4
−(4’−イソシアネート−4−ジフェニルメタンカル
バモイルオキシ)−ブチルアクリレート、4−(5−イ
ソシアネート−1−カルバモイルオキシ)−ブチルアク
リレート、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネ
ート等が挙げられる。
【0068】これらの光硬化性組成物はアクリレート系
の光硬化性モノマー50〜99重量部に対して、イソシ
アネート基含有化合物を1〜50重量部、より好ましく
は5〜30重量部、更に好ましくは10〜20重量部配
合することにより、硬化被膜としての物性バランスが得
られる。イソシアネート基含有化合物が無くても光硬化
性樹脂シートと硬化被膜の密着性は得られるが、イソシ
アネート基を添加することにより、更にガスバリア膜及
び透明導電膜との密着性が得られるようになる。即ち、
これらの無機膜上の水酸基とイソシアネート基が反応す
ることにより強固な結合が形成され、導電膜側のアンカ
ー能及びガスバリア膜側の保護層としての両性能が発現
する。イソシアネート基含有化合物の量が少なすぎると
ガスバリア膜側の密着性が低下し、多すぎると耐薬品性
が低下する。
【0069】また、その他併用できるポリマー等とし
て、幾つかを例示すると次の通りである。ポリメチルア
クリレート、ポリブチルアクリレート、ポリエチレング
リコール、ポリヒドロキシエチルアクリレート。また、
これら活性エネルギー線硬化性組成物には公知の添加
剤、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、レベリング
剤、熱重合禁止剤、シランカップリング剤等が配合され
ていても良い。上記組成物は通常揮発性溶媒により希釈
して塗布されることが好ましい。溶媒及び希釈度は特に
限定されないが、使用に当って被塗布物の表面性状を損
なわないことが要求される。更には、組成物の安定性、
基材に対する濡れ性、揮発性等も考慮して溶媒は決めら
れるべきである。また、溶媒は一種のみならず、二種以
上の混合物として用いることも可能である。溶媒として
は、アルコール、エステル、エーテル、ケトン、ハロゲ
ン化炭化水素、トルエンやキシレン等の芳香族炭化水
素、及び、非プロトン性極性溶媒等が挙げられる。
【0070】これらの光硬化性組成物は、紫外線等の活
性エネルギー線によりラジカルを発生する光重合開始剤
を添加する公知のラジカル重合により硬化させる。その
際に用いる重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノ
ン、ベンゾイルメチルエーテル、ベンゾイルイソプロピ
ルエーテル、ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキ
シシクロヘキシルフェニルケトン、2,6−ジメチルベ
ンゾイルフェニルホスフィンオキシド等が挙げられる。
好ましい光開始剤としては、1−ヒドロキシシクロヘキ
シルフェニルケトン、ビス(2,6−ジメトキシベンゾ
イル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオ
キシド、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルホ
スフィンオキシドである。これら光重合開始剤は二種以
上を併用してもよい。
【0071】光重合開始剤の添加量は、光硬化性組成物
100重量部に対し、1〜30重量部、好ましくは2〜
20重量部である。光開始剤の添加量が多すぎると、重
合が急激に進行し、複屈折の増大をもたらすだけでな
く、色相も悪化する。また、少なすぎると組成物を十分
に硬化させることができなくなる。硬化被膜を形成する
には、ディップコート法が最適である。即ち、ガスバリ
ア付き光硬化性樹脂シートを硬化被膜を形成する光硬化
性組成物中に浸漬して引き上げた後、活性エネルギー線
を照射して硬化させれば良い。この時、塗布してから硬
化させる前に予備加熱を行っても良い。光硬化性組成物
が溶剤で希釈されている場合にも、この予備加熱の工程
において溶剤を除去しなければならない。硬化被膜の膜
厚は、特に限定されるものではないが、接着強度の保持
や硬度等の点から、通常0.1〜50μm、好ましくは
0.3〜10μmである。硬化被膜の膜厚はディップコ
ート時の引き上げ速度、溶剤の希釈度でコントロールす
ることができる。
【0072】照射する活性エネルギー線の量は光重合開
始剤がラジカルを発生する範囲であれば任意であるが、
200〜400nmの紫外線を0.1〜100J/cm
2 、好ましくは1〜30J/cm2 の範囲で照射する。
使用するランプの具体例としては、メタルハライドラン
プ、高圧水銀灯ランプ等が挙げられる。 (導電膜)本発明によって得られる硬化物の表面には種
々の手法により各種透明導電膜を好ましく形成すること
ができ、透明電極付光学部材として利用することができ
る。硬化物の表面に形成できる透明導電膜には特に制限
はないが、例えば、この導電膜を形成する導電物質とし
て、酸化インジウム、酸化スズ、金、銀、銅、ニッケル
等が挙げられ、これらは単独又は二種以上を混合して使
用することができる。このうち、通常は酸化インジウム
99〜90%と酸化スズ1〜10%との混合物よりなる
インジウムスズオキサイド(以下「ITO」という)が
透明性と導電性のバランスの面から好ましい。透明導電
膜を形成する方法は、従来から公知の真空蒸着法、スパ
ッタリング法、イオンプレーティング法、化学蒸着法等
を用いて行うことができる。このうち、スパッタリング
法が密着性の点から好ましい。以上の透明導電膜の厚さ
は、500〜2000Åの範囲が透明性、導電性のバラ
ンスの面から好ましい。
【0073】(積層体の構成)本発明のプラスチック積
層体は片面もしくは両面にガスバリア膜を付した光硬化
性樹脂シート基板の片面もしくは両面に硬化被膜、更に
片面もしくは両面に導電膜を積層したものである。 (積層体の性質)本発明のプラスチック積層体は、55
0nmの光の波長での光線透過率が80%以上であるこ
とが好ましい。光線透過率が80%未満であると画面が
暗くなるため液晶表示パネルとして使用でき難い。ま
た、プラスチック積層体の複屈折率としては、20nm
以下、特に10nm以下であることが好ましく、さらに
は5nm以下、殊に2nm以下、特には1nm以下であ
ることが好ましい。20nmよりも大きいと表示パネル
とした場合、表示画面の色ムラが生じる傾向がある。
【0074】本発明のプラスチック積層体の応用例とし
ては、例えば、液晶表示装置用基板として使用する場
合、通常、二枚のプラスチック積層体によって液晶を挟
んだ構成をとる。即ち、プラスチック積層体の導電膜上
に、必要に応じて絶縁膜、更に、その上に配向膜が設け
られた基板により液晶層を挟持した構造をとる。また、
液晶層を挟持した基板の外側には偏光板が設けられる。
また、エレクトロルミネッセンス表示素子においては、
通常、本発明のプラスチック積層体上に、発光体層、絶
縁層及び背面電極を順次形成し、更に全体をガスバリア
層で被覆した構造の物が例示される。この場合、発光体
層には硫化亜鉛、硫化カドミウム、セレン化亜鉛等が、
絶縁層には酸化イットリウム、酸化タリウム、窒化シリ
コン等が、背面電極にはアルミニウム等が用いられる。
【0075】本発明により得られる低複屈折光学部材
は、透明性はもとより高耐熱性と高機械強度を併せ持
ち、液晶、有機EL、タッチパネル等のディスプレイ基
板、光ディスク基板、太陽電池基板、各種レンズ、プリ
ズム、光学フィルター、光ファイバーや光導波路などの
光通信材料等の多くの光学用途に用いることができる。
【0076】
【実施例】以下に本発明の内容及び効果を実施例により
更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない
限り、以下の実施例に限定されるものではない。また実
施例及び比較例で得られたプラスチックシート及びプラ
スチック積層体は以下の方法で評価した。 (1)光線透過率:500nmにおける光線透過率を1
mm厚の試験片で測定した。 (2)複屈折:0.5mm厚の試験片で複屈折測定装置
(オーク社製)を用いて25℃で測定した。 (3)耐熱性:3mm×30mm×0.5mmの短冊状
試験片を用いて、ガラス転移温度Tgを引っ張り法TM
Aにて加重2gで測定した。
【0077】(4)曲げ弾性率:幅1cm、厚さ1mm
の板について支点間距離3cmにてオートグラフ試験装
置を用いて25℃で測定した。 (5)耐衝撃性:40mm角、厚さ1mmの板をサンプ
ルとし、落球試験機(東京精密社製)を用いて4gの鋼
球を高さ10cmの位置から落下させてサンプルに衝撃
を与える。鋼球を落下させる位置を5cmずつ高くし、
破壊するまで落球を繰り返す。落球衝撃強度=(サンプ
ルが破壊したときの落球高さ)−5cmとする。 (6)脱型性:脱型する際に硬化物にクラックが入った
ものを×とした。 (7)加熱試験前後色相(黄色度)YI値:厚さ0.5
mmのサンプルを150℃で3時間加熱する加熱試験前
後の色相を、色差計(スガ試験機社製 SMカラーコン
ピューター SM−5)を用いて透過YIを測定した。
【0078】(8)酸素透過率:ASTM D3985
に準じてモダンコントロール社OX−TRAN100を
用いて、23℃、80%RHの条件下で測定した。 (9)抵抗値:三菱油化製ロレスタを用いて測定した。 <導電膜の表面抵抗値>三菱化学(株)製の四端子法抵
抗測定器(ロレスターMP)を用いて表面抵抗値を測定
した。 <ガスバリア測定>オキシトラン社製酸素モコン測定器
にて23℃、湿度80%の条件下で酸素透過率を測定し
た。
【0079】実施例1 (プラスチックシートの製造)ビス(ヒドロキシメチ
ル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン=ジメタ
クリレート94部、ビス(ヒドロキシメチル)トリシク
ロ[5.2.1.02,6]デカン=モノメタクリレート
6部のアクリレート組成物に、ペンタエリスリトールテ
トラキス(β−チオプロピオネート)6部を混合した
後、光開始剤としてベンゾフェノン0.05部、2,
4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオ
キシド(BASF社製「ルシリンTPO」)0.1部を
加え均一に撹拌混合した後、脱泡して組成物を得た。こ
の組成物を、スペーサーとして厚さ0.5mmのシリコ
ーン板を用いた光学研磨ガラスの型及びスペーサーとし
て厚さ1mmのシリコーン板を用いた光学研磨ガラスの
型にそれぞれ注液し、ガラス面より距離40cmで上下
に設置された出力80W/cmのメタルハライドランプ
の間にて、1分間+5分間の二段階で紫外線を照射し
た。紫外線照射後脱型し、160℃で1時間加熱して硬
化物を得た。硬化物の諸物性は表1の通りであった。
【0080】実施例2 光開始剤としてベンゾフェノン0.03部、2,4,6
−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド
0.1部を用いる以外は、実施例1と同様に行い硬化物
を得た。硬化物の諸物性は表1の通りであった。 実施例3 光開始剤としてベンゾフェノン0.05部、2,4,6
−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド
0.05部を用いる以外は、実施例1と同様に行い硬化
物を得た。硬化物の諸物性は表1の通りであった。
【0081】比較例1 2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィ
ンオキシドを用いない以外は、実施例1と同様に行い硬
化物を得た。硬化物の諸物性は表1の通りであった。 比較例2 ベンゾフェノンを用いない以外は、実施例1と同様に行
い硬化物を得た。硬化物の諸物性は表1の通りであっ
た。
【0082】比較例3 ベンゾフェノン0.3部を用いる以外は、実施例1と同
様に行い硬化物を得た。硬化物の諸物性は表1の通りで
あった。 比較例4 紫外線の照射を6分間の一段階で行う以外は、実施例1
と同様に行い硬化物を得た。硬化物の諸物性は表1の通
りであった。
【0083】参考実施例(プラスチック積層体の製造) (ガスバリア膜の成膜)実施例1で得られた0.5mm
厚の硬化物上に、スパッタ装置(徳田製作所;形式CF
S−4ES)にてSiOxを200Å成膜した。得られ
たガスバリア膜付きプラスチック積層体の酸素透過率は
0.5cc/m2・24時・atmであった。 (導電膜の成膜)上記で得られたガスバリア膜付きプラ
スチック積層体のSiOx面上に、スパッタ装置(徳田
製作所;形式CFS−4ES)にてITOを1500Å
成膜した。得られた導電性シートの表面抵抗値は30Ω
/□であった。
【0084】
【表1】
【0085】
【発明の効果】本発明によれば、光硬化させれば、低複
屈折性、耐熱性、機械的強度等の本来の特性を維持しつ
つ、色相が改良された硬化生成物が得られる光硬化性組
成物、それを用いた低複屈折光学部材及びその製造方法
が得られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) //(C08F 220/20 (C08F 220/20 220:28) 220:28) Fターム(参考) 2H090 JB03 JB06 JB11 JC11 LA01 LA15 4J011 NA25 NB04 QA03 QA15 QA34 QA45 SA22 SA24 SA26 SA28 SA29 SA61 UA01 UA03 4J100 AL08Q AL66P BA03Q BC12P BC12Q CA04 FA03 FA04 JA32 JA36 5D029 KA03 KC07

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記成分A、B、C、D及びEを含有し
    てなる光硬化性組成物(但し、各成分の割合は、成分A
    と成分Bとの合計を100重量部として表す)。 成分A:一般式(I)で表される含脂環骨格ビス(メ
    タ)アクリレート:70〜99重量部 【化1】 (式中、R1 及びR2 は、それぞれ独立して、水素原子
    又はメチル基を示し、mは1又は2を示し、nは0又は
    1を示し、p及びqは、それぞれ独立して、0、1又は
    2を示す) 成分B:一般式(II)で表される含脂環骨格モノ(メ
    タ)アクリレート:1〜30重量部 【化2】 (式中、R3 は水素原子又はメチル基を示し、mは1又
    は2を示し、nは0又は1を示し、r及びsは、それぞ
    れ独立して、0、1又は2を示す) 成分C:少なくとも二官能性のメルカプト化合物:1〜
    10重量部 成分D:ベンゾフェノン系光開始剤0.02〜0.2重
    量部 成分E:アシルホスフィン系光開始剤0.02〜0.3
    重量部
  2. 【請求項2】 成分Dのベンゾフェノン系光開始剤がベ
    ンゾフェノン及びジフェノキシベンゾフェノンから選ば
    れる少なくとも一種である請求項1に記載の光硬化性組
    成物。
  3. 【請求項3】 成分Eの化合物が2,4,6−トリメチ
    ルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド及び2,
    4,6−トリメチルベンゾイルフェニルホスフィン酸メ
    チルエステルから選ばれる少なくとも一種である請求項
    1又は2に記載の光硬化性組成物。
  4. 【請求項4】 少なくとも二官能性のメルカプト化合物
    が一般式(III)、(IV)及び(V)でそれぞれ表され
    る化合物から選ばれる少なくとも一種のメルカプト化合
    物である請求項1ないし3のいずれかに記載の光硬化性
    組成物。 【化3】 (式中、R4 はメチレン基又はエチレン基を示し、R5
    はエーテル酸素を含んでいてもよい炭素数2〜15の炭
    化水素残基を示し、aは2〜6の整数を示す) 【化4】 (式中、XはHS−(CH2 b −CO−(OCH2
    2 d −(CH2 c−を示す。但し、b及びcは、
    それぞれ独立して、1〜8の整数を示し、dは0、1又
    は2を示す) 【化5】 (式中、R6 及びR7 は、それぞれ独立して、アルキレ
    ン基を示し、e及びfは、それぞれ独立して、0又は1
    を示し、gは1又は2を示す)
  5. 【請求項5】 請求項1ないし4のいずれかに記載の光
    硬化性組成物を共重合させて得られる低複屈折光学部
    材。
  6. 【請求項6】 液晶表示パネル用である請求項5に記載
    の低複屈折光学部材。
  7. 【請求項7】 請求項1ないし4のいずれかに記載の光
    硬化性組成物を複数段階で活性エネルギー線を照射する
    ことにより共重合させる低複屈折光学部材の製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項1ないし4のいずれかに記載の光
    硬化性組成物を予め賦型し、次いで複数段階で活性エネ
    ルギー線を照射することにより共重合させる低複屈折光
    学部材の製造方法。
JP2001048061A 2000-10-16 2001-02-23 光硬化性組成物、低複屈折光学部材及びその製造方法 Pending JP2002194028A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001048061A JP2002194028A (ja) 2000-10-16 2001-02-23 光硬化性組成物、低複屈折光学部材及びその製造方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000314844 2000-10-16
JP2000-314844 2000-10-16
JP2001048061A JP2002194028A (ja) 2000-10-16 2001-02-23 光硬化性組成物、低複屈折光学部材及びその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002194028A true JP2002194028A (ja) 2002-07-10

Family

ID=26602122

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001048061A Pending JP2002194028A (ja) 2000-10-16 2001-02-23 光硬化性組成物、低複屈折光学部材及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002194028A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010254984A (ja) * 2009-03-31 2010-11-11 Mitsubishi Chemicals Corp 重合性組成物およびその硬化物
WO2012081216A1 (ja) * 2010-12-13 2012-06-21 日本化薬株式会社 紫外線硬化型樹脂組成物、硬化物及び光ディスク
JP2018146630A (ja) * 2017-03-01 2018-09-20 富士フイルム株式会社 カラーフィルタの下地膜用組成物、積層体、カラーフィルタ、カラーフィルタの製造方法、固体撮像素子および画像表示装置

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010254984A (ja) * 2009-03-31 2010-11-11 Mitsubishi Chemicals Corp 重合性組成物およびその硬化物
WO2012081216A1 (ja) * 2010-12-13 2012-06-21 日本化薬株式会社 紫外線硬化型樹脂組成物、硬化物及び光ディスク
JP2018146630A (ja) * 2017-03-01 2018-09-20 富士フイルム株式会社 カラーフィルタの下地膜用組成物、積層体、カラーフィルタ、カラーフィルタの製造方法、固体撮像素子および画像表示装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3449342B2 (ja) 光硬化性組成物、低複屈折光学部材及びその製造方法
EP1275668B1 (en) Photocurable composition, cured object, and process for producing the same
JP5470957B2 (ja) フィルム保護層用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物
JP5882815B2 (ja) 樹脂成形体、及びそれを用いてなる積層体
JP2009143026A (ja) 透明導電性フィルム
WO2014092095A1 (ja) 光学フィルム形成用活性エネルギー線硬化型組成物、光学フィルム及び偏光板
JP2002201230A (ja) 光硬化性樹脂組成物、低複屈折光学部材及びその製造方法
JP5205785B2 (ja) 透明フィルム
JP2002194028A (ja) 光硬化性組成物、低複屈折光学部材及びその製造方法
JP2002201229A (ja) 光硬化性樹脂組成物、低複屈折光学部材及びその製造方法
JP3799990B2 (ja) 破損しにくいプラスチックシート及びそれを用いた積層体
JP3536791B2 (ja) プラスチック積層体
JP3482815B2 (ja) 透明導電性シート
JP4000885B2 (ja) 重合性組成物及び硬化体
JP2002060506A (ja) 寸法安定性の高いプラスチック基板
JP2002080615A (ja) 寸法変化の小さいプラスチック基板
JP3752985B2 (ja) プラスチックシートの加工方法
JP3752984B2 (ja) プラスチックシートの加熱処理方法
JP3719383B2 (ja) プラスチックシートの加熱処理方法
JP3719381B2 (ja) 光硬化性組成物、低複屈折光学部材及びその製造方法
JP4808305B2 (ja) 形状安定性を有するプラスチック積層基板
JP2002060507A (ja) 寸法安定性及び形状安定性を有するプラスチック基板
JP3700566B2 (ja) 寸法安定性の高いプラスチックシートの製造方法
JP2002030165A (ja) 寸法安定性を有するプラスチック基板
JP3804442B2 (ja) 重合性組成物及び光学用プラスチック部材

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20040427

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20060529

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060620

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20070417