JP2002181246A - 建物配管用複合管、及び建物防火区間貫通部の耐火構造 - Google Patents

建物配管用複合管、及び建物防火区間貫通部の耐火構造

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JP2002181246A
JP2002181246A JP2001230120A JP2001230120A JP2002181246A JP 2002181246 A JP2002181246 A JP 2002181246A JP 2001230120 A JP2001230120 A JP 2001230120A JP 2001230120 A JP2001230120 A JP 2001230120A JP 2002181246 A JP2002181246 A JP 2002181246A
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fire
composite pipe
sheet
pipe
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JP2001230120A
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Koji Yamaguchi
公二 山口
Takehisa Sugaya
武久 菅谷
Kazuhiro Okada
和廣 岡田
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Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 防火区画を貫通して施工された樹脂配管が火
災時に変形したり、焼失するようなことがあっても、防
火区画貫通部の仕切り部の一方の側で発生した熱、火
炎、煙等が他方側へ到達するのを防止する建物配管用複
合管、及びそれを用いた建物防火区間貫通部の耐火構造
を提供することにある。 【解決手段】 合成樹脂からなる内層管と、前記内層管
の長手方向軸に対して所定角度をなして巻回された延伸
ポリオレフィン系樹脂シートよりなる補強層と、熱膨張
性耐火樹脂からなる最外層から構成された建物配管用複
合管、及び建物の防火区画貫通部に上記複合管をが施工
され、前記複合管と建物防火区画の間にモルタルが充填
されていることを特徴とする建物防火区間貫通部の耐火
構造。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、事務所ビル、マン
ション、病院等の給水・給湯・排水用等に用いられる複
合高圧管及び建物の防火区画貫通部の耐火構造に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、建物配管材料としては、鋼管に樹
脂をライニングした管や、ステンレス・銅の金属管が用
いられている。また、樹脂単独の管としては、PVCや
架橋ポリエチレン管が用いられている。しかしながら、
これら管材は以下の問題点を含んでいる。鋼管に樹脂を
ライニングした管は、継手との接続をネジもしくはフラ
ンジ接続している為、継手部での漏水が発生しやすく管
システムとしての信頼性が低い。また、回収時には、鋼
管部分と樹脂部分を専門業者によって分離しなければな
らず、リサイクル性に問題がある。ステンレス・銅の金
属管は、継手と管をかしめる形で接続する為、ライニン
グ鋼管同様、継手部での漏水が発生しやすく管システム
としての信頼性が低い。
【0003】また、PVC管や架橋ポリエチレン管等の
樹脂管は、燃焼性であったり、耐熱性に劣るため、火災
時に合成樹脂が燃焼により焼失したり、熱変形を起こし
たりして防火区画貫通部の管内径部に隙間が形成される
ため、仕切り部の一方の側で発生した熱、火炎、煙等が
他方側へ到達するのを防止することが出来ない。また、
継手との接続においても、PVC管の場合は接着接合、
架橋ポリエチレン管の場合は金属継手との接合である
為、ライニング鋼管同様、継手部での漏水が発生しやす
く管システムとしての信頼性が低い。
【0004】上記火災時の問題に対し、加熱に際して膨
張する材料により火災によって生じた隙間を埋める区画
貫通措置キット(以下、キットという)が各社から上市
されている(例えば、古河テクノマテリアル社製「ヒー
トメル」等)。これらのキットは確かに、その効果を発
揮するが、キットであるが故に各種樹脂管の径に合わせ
たものをそれぞれ用意する必要があり、区画貫通部の少
ない現場では特に問題はないが、多種多様の区画貫通部
が存在する現場では、それぞれに対応するキットが必要
となり、混乱を招く恐れがあった。また、上記方式にお
いても合成樹脂管の外径がある程度大きくなる場合、火
災時に防火区画貫通部の合成樹脂管を完全に押し潰して
しまうことが出来ないので、貫通孔を完全に防ぐことが
出来ないという問題がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題点
に鑑み、防火区画を貫通して施工された樹脂配管が火災
時に変形したり、焼失するようなことがあっても、防火
区画貫通部の仕切り部の一方の側で発生した熱、火炎、
煙等が他方側へ到達するのを防止する信頼性の高い建物
配管用複合管、及びそれを用いた建物防火区間貫通部の
耐火構造を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
延伸ポリオレフィン系樹脂シートが所定角度をなして巻
回され形成された樹脂シート管と、該シート管上に形成
された熱膨張性耐火樹脂層からなることを特徴とする建
物配管用複合管である。
【0007】以下に、本発明の建物配管用複合管につい
て詳細に説明する。先ず、請求項1及び2記載の発明に
共通要件である延伸ポリオレフィン系樹脂シートについ
て説明する。本発明に用いる延伸ポリオレフィン系樹脂
シートとは、少なくとも長手方向に延伸されたポリオレ
フィン系樹脂を主成分とする材料から構成されるシート
を意味するものである。
【0008】上記ポリオレフィン系樹脂は特に限定され
ないが、例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポ
リエチレン、高密度ポリエチレン、ホモポリプロピレ
ン、プロピレンランダム共重合体、プロピレンブロック
共重合体、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)等が挙げ
られる。これらのポリオレフィン系樹脂のうち、延伸後
の弾性率が高い、ポリエチレンが好ましく、特に、結晶
性の高い高密度ポリエチレンが好ましい。上記ポリオレ
フィン系樹脂には、必要に応じて結晶核剤、架橋剤、架
橋助剤、充填剤、顔料、異種のポリオレフィン、低分子
量ポリオレフィンワックス等が配合されても良い。
【0009】上記結晶核剤は、結晶化度を向上させる目
的で添加されるものであって、例えば、炭酸カルシウ
ム、酸化チタン等が挙げられる。
【0010】上記架橋剤、及び架橋助剤は、上記ポリオ
レフィン系樹脂の分子鎖を部分的に架橋し、延伸ポリオ
レフィン系樹脂シートの耐熱性やクリープ性能等を向上
させる目的で添加されるものであって、架橋剤として
は、例えば、ベンゾフェノン、チオキサントン、アセト
フェノン等の光重合開始剤が挙げられ、架橋助剤として
は、トリアリルシアヌレート、トリメチロールプロパン
トリアクリレート、ジアリルフタレート等の多官能性モ
ノマー等が挙げられる。
【0011】上記架橋剤の使用に替えて、電子線照射や
紫外線照射による架橋手段を採用しても良い。上記電子
線照射や紫外線照射による架橋手段には、ポリオレフィ
ン系樹脂に上記架橋剤や架橋助剤等を添加し、好ましく
は1〜20Mrad、より好ましくは3〜10Mrad
の電子線、もしくは、好ましくは50〜800mW/c
m2 、より好ましくは100〜500mW/cm2 の紫
外線を照射する方法が挙げられる。このような架橋工程
は、後述する延伸工程と同時に、もしくは延伸工程に引
き続いて行えば良い。
【0012】上記方法によって架橋することにより、延
伸ポリオレフィン系樹脂シートのクリープ性能が向上
し、複合高圧管として使用する際の内圧に対するクリー
プ性能が向上するので、特に後述する請求項2の発明に
おいて、内層管にクリープ性能の悪いポリオレフィン系
樹脂を使用する場合は、延伸ポリオレフィン系樹脂シー
トは架橋されていることが好ましい。
【0013】延伸ポリオレフィン系樹脂シートは、シー
ト状に加工されたポリオレフィン系樹脂シートを延伸し
て得られる。このポリオレフィン系樹脂シートの作成手
段は、特に限定されないが例えば、Tダイ法による押出
成形、カレンダー法によるロール成形等が挙げられる。
【0014】また、ポリオレフィン系樹脂シートを連続
的に延伸する手段は、特に限定されないが例えば、加熱
されたポリオレフィン系樹脂シートを、速度の異なるロ
ール間で延伸する方法、互いに異なる方向に回転するロ
ール間に加熱されたポリオレフィン系樹脂シートを挟み
込み、厚さを減少させながら長手方向に伸長させる、い
わゆる圧延方法等が挙げられる。これらの延伸方法は、
一の方法の単一回のみで実施されても良いが、2回以
上、段階的に繰り返して実施されても良い。また、上記
延伸工程を2回以上実施する場合、複数の延伸方法を組
合わせて実施されても良い。特に、比較的厚いポリオレ
フィン系樹脂シートを延伸する場合には、一旦、上記圧
延を行った後、延伸を行うことが好ましい。
【0015】延伸前のポリオレフィン系樹脂シート(延
伸原反)の厚さは、得られる複合高圧管の用途や延伸倍
率等によって決定されるものであって、特に限定される
ものではないが、好ましくは0.5〜10mm程度であ
る。0.5mm未満では、延伸ポリオレフィン系樹脂シ
ートの厚さが薄くなり過ぎるため、次工程の積層作業等
における取扱性が低下して作業が行い難くなり、10m
mを超えると、延伸負荷が大きくなり過ぎるため、延伸
装置が不必要に大きくなるだけでなく、延伸作業が難し
くなる恐れがある。上記延伸原反から得られる延伸ポリ
オレフィン系樹脂シートの厚さは通常、50〜1000
μmの範囲で使用される。
【0016】延伸ポリオレフィン系樹脂シートの幅は、
複合高圧管の口径、巻回角度、後述の巻回方法によって
適宜選択され特に限定されない。比較的幅の狭い延伸ポ
リオレフィン系樹脂シートを用いる場合は、幅広のシー
トをスリットして用いれば良い。
【0017】延伸ポリオレフィン系樹脂シートは、用い
られる結晶性ポリオレフィン系樹脂の性状によって必要
延伸倍率が決定されるものであり特に限定されないが、
好ましはその長手方向に少なくとも10倍以上、より好
ましくは20倍以上延伸されているものが良い。延伸ポ
リオレフィン系樹脂シートの長手方向の延伸倍率が、1
0倍未満であると、必要強度や弾性率が得られ難くなる
恐れがある。又、幅方向の延伸を行うと長手方向の延伸
が抑制され、長手方向に10倍以上延伸することが難く
なる恐れがある。
【0018】請求項1記載の建物配管用複合管(以下、
複合管)は、上記延伸ポリオレフィン系樹脂シートを所
定角度をなして巻回して形成させ、樹脂シート管とする
ことにより、内圧や外力に対して高強度を発現すると共
に、火災等で生じた加熱により複合管径を収縮させるこ
とが出来る。
【0019】上記延伸ポリオレフィン系樹脂シートを巻
回する所定角度は、30〜90度の範囲であることが好
ましく、45〜70度の範囲であることが更に好まし
い。また、延伸ポリオレフィン系樹脂シートを2層以上
積層する場合、その角度は異なっていても良いが、偶数
層積層されていて、かつ長手方向(複合管軸方向)に対
して対象(±同角度)に積層されていることが好まし
い。
【0020】上記延伸ポリオレフィン系樹脂シートの積
層角度は、適宜選択されるものであるが、延伸ポリオレ
フィン系樹脂シートを隙間なく積層する場合には、複合
高圧管の断面形状に対するシート幅によって、角度が決
定されるため、注意が必要である。又、延伸ポリオレフ
ィン系樹脂シートは、隙間なく積層されていることが好
ましいが、若干の隙間がある状態で積層されていても良
い。
【0021】請求項2記載の建物配管用複合管は、合成
樹脂からなる内層管と、前記内層管の長手方向軸に対し
て所定角度をなして巻回された延伸ポリオレフィン系樹
脂シートよりなる補強層と、熱膨張性耐火樹脂からなる
最外層から構成される。
【0022】請求項2記載の複合管において、内層管は
輸送媒体を通過させるためのものであって、このような
複合管は輸送媒体が高圧によって輸送される用途、例え
ば水道管や圧縮気体用管等に用いられる。上記内層管に
用いられる合成樹脂の種類は、輸送媒体の種類によって
適宜選択され、例えば、延伸ポリオレフィン系樹脂シー
トに用いられるものと同様のポリオレフィン系樹脂、ポ
リ塩化ビニル、ポリアミド、各種ゴム、熱可塑性エラス
トマー等が挙げられる。また、内層の肉厚についても、
輸送媒体の種類や、使用内圧・用途によって適宜選択さ
れる。
【0023】ここで、製造時や使用後に発生する複合高
圧管の廃棄物のリサイクル性という点で、複合高圧管を
構成する合成樹脂は、すべてポリオレフィン系樹脂であ
ることが好ましい。請求項2記載の複合管の場合、延伸
ポリオレフィン系樹脂シートは、必要に応じて、内層管
との接着性を向上する目的で、物理的もしくは化学的手
段による表面処理が施されても良い。上記表面処理には
例えば、サンドブラスト等のエンボス手段や表面部分の
局所的加熱手段によって得られた延伸ポリオレフィン系
樹脂シート表面に、微細な凹凸を形成する物理的な表面
処理法が作業の容易性等の理由で好ましい。
【0024】請求項2記載の複合管は、上記延伸ポリオ
レフィン系樹脂シートを内層管の長手方向軸に対して所
定角度をなして巻回され形成されたすることにより、内
層管を強化し、内圧や外力に対して高強度を発現すると
共に、前述のように火災等で生じた加熱により複合管径
を収縮させることが出来る。
【0025】上記樹脂シートを巻回する所定角度は、上
述同様、30〜90度の範囲であることが好ましく、4
5〜70度の範囲であることが更に好ましい。又、延伸
ポリオレフィン系樹脂シートを2層以上積層する場合、
その角度は異なっていても良いが、偶数層積層されてい
て、かつ長手方向(複合管軸方向)に対して対象(±同
角度)に積層されていることが好ましい。
【0026】又、延伸ポリオレフィン系樹脂シートの積
層角度は、適宜選択されるものであるが、延伸ポリオレ
フィン系樹脂シートを隙間なく積層する場合には、複合
高圧管の断面形状に対するシート幅によって、角度が決
定されるため、注意が必要である。又、延伸ポリオレフ
ィン系樹脂シートは、隙間なく積層されていることが好
ましいが、若干の隙間がある状態で積層されていても良
い。
【0027】本発明の複合管(請求項1、2)は、本発
明の効果を損なわない範囲で、他の構成要素をも付加し
ても良い。例えば、2層以上積層されている延伸ポリオ
レフィン系樹脂シートの間に合成樹脂からなる層が設け
られていても良い。また請求項2において、内層は各
々、種類の異なる合成樹脂にて2層以上設けられていて
も良いし、延伸ポリオレフィン系樹脂シートを積層して
なる層も、2層以上設けられていても良い。尚、上記延
伸ポリオレフィン系樹脂シートは、上述の通り請求項1
記載と同様のものが使用出来る。
【0028】次に、請求項1及び2記載の複合管に共通
要件である熱膨張性耐火樹脂層について説明する。火災
時に防火区画貫通部と樹脂シート管又は合成樹脂管との
隙間を閉塞して、耐火断熱性を発現するものであれば特
に限定されないが、下記樹脂組成物(I)又は(II)か
らなるものが好ましい。
【0029】上記樹脂組成物(I)としては、ゴム成分
を含む樹脂成分、中和処理された熱膨張性黒鉛及び無機
充填剤を含有するものが用いられる。上記ゴム成分とし
ては、例えば、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエン
ゴム、1,2−ポリブタジエンゴム、スチレン−ブタジ
エンゴム(SBR)、クロロプレンゴム、ニトリルゴム
(NBR)、ブチルゴム、エチレン−プロピレンゴム、
クロロスルホン化ポリエチレン、アクリルゴム、エピク
ロルヒドリンゴム、多加硫ゴム、シリコーンゴム、フッ
素ゴム、ウレタンゴム、ポリイソブチレンゴム、塩化ブ
チルゴム等が挙げられる。これらは、単独又は2種以上
が併用されても良い。
【0030】上記ゴム成分以外の樹脂成分としては、例
えば、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポ
リブテン系樹脂、ポリペンテン系樹脂等のポリオレフィ
ン系樹脂;ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−ブ
タジエン−スチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、
ポリフェニレンエーテル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリ
アミド系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、フェノール系樹
脂、ポリウレタン系樹脂等が挙げられる。これらは単独
又は2種以上が併用されても良い。上記樹脂成分には、
樹脂組成物(I)の耐火性を損なわない範囲で、変性、
架橋等が施されても良い。変性、架橋の方法は、特に限
定されず、公知の方法により行われる。
【0031】上記樹脂成分は、請求項2の複合管におい
て熱膨張性耐火樹脂層を形成する際、或いは、請求項4
の耐火構造を取る際、複合管に巻き付ける工程を容易に
するため、自己粘着性を有するものが好ましい。自己粘
着性が付与された樹脂組成物としては、特に限定され
ず、例えば、ブチルゴムにポリブテン等の液状樹脂及び
粘着付与剤として石油樹脂が配合されたものが挙げられ
る。
【0032】上記熱膨張性黒鉛は、従来公知の物質であ
り、天然鱗状グラファイト、熱分解グラファイト、キッ
シュグラファイト等の粉末を、濃硫酸、硝酸、セレン酸
等の無機酸と、濃硝酸、過塩素酸、過塩素酸塩、過マン
ガン酸塩、重クロム酸塩、過酸化水素等の強酸化剤とで
処理し、上記酸処理された熱膨張性黒鉛を、更に、アン
モニア、脂肪族低級アミン、アルカリ金属化合物、アル
カリ土類金属化合物等で中和することにより得られる、
グラファイト層間化合物であり、炭素の層状構造を維持
したままの結晶化合物である。
【0033】上記脂肪族低級アミンとしては、特に限定
されず、例えば、モノメチルアミン、ジメチルアミン、
トリメチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブ
チルアミン等が挙げられる。
【0034】上記アルカリ金属化合物及びアルカリ土類
金属化合物としては、特に限定されず、例えば、カリウ
ム、ナトリウム、カルシウム、バリウム、マグネシウム
等の水酸化物、酸化物、炭酸塩、硫酸塩、有機酸塩等が
挙げられる。
【0035】上記中和処理された熱膨張性黒鉛の粒度
は、20〜200メッシュが好ましい。粒度が200メ
ッシュより小さくなると、黒鉛の膨張度が小さく、所定
の耐火断熱層が得られず、粒度が20メッシュより大き
くなると、黒鉛の膨張度が大きいという利点はあるが、
後述の樹脂分と混練する際に分散性が悪くなり、物性の
低下が避けられない。上記中和処理された熱膨張性黒鉛
の市販品としては、例えば、東ソー社製「フレームカッ
トGREP−EG」、UCAR Carbon社製「G
RAFGUARD」等が挙げられる。
【0036】上記無機充填剤としては特に限定されず、
例えば、アルミナ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化カルシ
ウム、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化錫、酸化アンチ
モン、フェライト類等の金属酸化物;水酸化カルシウ
ム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、ハイド
ロタルサイト等の含水無機物;塩基性炭酸マグネシウ
ム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、炭
酸ストロンチウム、炭酸バリウム等の金属炭酸塩;硫酸
カルシウム、石膏繊維、ケイ酸カルシウム等のカルシウ
ム塩;シリカ、珪藻土、ドーソナイト、硫酸バリウム、
タルク、クレー、マイカ、モンモリロナイト、ベントナ
イト、活性白土、セピオライト、イモゴライト、セリサ
イト、ガラス繊維、ガラスビーズ、シリカ系バルン、窒
化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、カーボンブ
ラック、グラファイト、炭素繊維、炭素バルン、木炭粉
末、各種金属粉、チタン酸カリウム、硫酸マグネシウム
「MOS」(商品名)、チタン酸ジルコン酸鉛、アルミ
ニウムボレート、硫化モリブデン、炭化ケイ素、ステン
レス繊維、ホウ酸亜鉛、各種磁性粉、スラグ繊維、フラ
イアッシュ等が挙げられる。これらの無機充填剤は単
独、又は2種以上を併用しても良い。
【0037】上記無機充填剤の中で、特に含水無機物及
び/又は金属炭酸塩が好ましい。含水無機物と金属炭酸
塩は、骨材的な働きをするところから、燃焼残渣の強度
向上や熱容量の増大に寄与するものと考えられる。特
に、周期律表II族又はIII族に属する金属の炭酸塩
(炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム)は、樹脂組成物
(I)の燃焼時に発泡して焼成物を形成するため、形状
保持性を高める点から好ましい。
【0038】上記水酸化カルシウム、水酸化マグネシウ
ム、水酸化アルミニウム等の含水無機物は、加熱時の脱
水反応によって生成した水のために吸熱が起こり、温度
上昇が低減されて高い耐熱性が得られる点、及び、加熱
残渣として酸化物が残存し、これが骨材となって働くこ
とで残渣強度が向上する点で特に好ましい。水酸化マグ
ネシウムと水酸化アルミニウムは、脱水効果を発揮する
温度領域が異なるため、併用すると脱水効果を発揮する
温度領域が広がり、より効果的な温度上昇抑制効果が得
られる。
【0039】上記無機充填剤の粒径としては、0.5〜
100μmが好ましく、より好ましくは1〜50μmで
ある。上記無機充填剤は、添加量が少ないときは、分散
性が性能を大きく左右するため粒径の小さいものが好ま
しいが、0.5μm未満になると二次凝集が起こり、分
散性が悪くなる。上記無機充填剤の添加量が多いとき
は、高充填が進むにつれて、樹脂組成物の粘度が高くな
り成形性が低下するが、粒径を大きくすることで樹脂組
成物の粘度を低下させることが出来る点から、粒径の大
きいものが好ましい。また、粒径が100μmを超える
と、成形体の表面性、樹脂組成物の力学的物性が低下す
る。
【0040】また、上記無機充填剤は、粒径の大きいも
のと粒径の小さいものを組み合わせて使用することがよ
り好ましく、組み合わせて用いることによって、熱膨張
性耐火層の力学的性能を維持したまま、高充填化するこ
とが可能となる。
【0041】上記無機充填剤としては、例えば、水酸化
アルミニウムである粒径1μmの「ハイジライト H−
42M」(昭和電工社製)、粒径18μmの「ハイジラ
イトH−31」(昭和電工社製)、及び、炭酸カルシウ
ムである粒径1.8μmの「ホワイトンSB赤」(白石
カルシウム社製)、粒径8μmの「BF300」(備北
粉化工社製)等が挙げられる。
【0042】上記樹脂組成物(I)において、中和処理
された熱膨張性黒鉛の配合量は樹脂成分100重量部に
対して15〜300重量部が好ましい。配合量が、15
重量部未満では、十分な厚さの耐火断熱層が形成されな
いため耐火性能が低下し、300重量部を超えると機械
的強度が低下が大きく、使用に耐えられなくなる。
【0043】上記樹脂組成物(I)において、無機充填
剤の配合量は樹脂成分100重量部に対して30〜50
0重量部が好ましい。配合量が、30重量部未満では、
熱容量の低下に伴い十分な耐火性が得られず、500重
量部を超えると機械的強度が低下が大きく、使用に耐え
られなくなる。
【0044】また、上記中和処理された熱膨張性黒鉛及
び無機充填剤の総量は、樹脂成分100重量部に対して
200〜600重量部が好ましい。総量が、200重量
部未満になると十分な耐火性が得られず、600重量部
を超えると機械的強度が低下が大きく、使用に耐えられ
なくなる。
【0045】上記樹脂組成物(II)としては、ゴム成
分を含む樹脂成分、リン化合物、中和処理された熱膨張
性黒鉛及び無機充填剤を含有するものが用いられる。上
記樹脂組成物(II)で用いられる中和処理された熱膨
張性黒鉛及び無機充填剤は、樹脂組成物(I)と同様で
ある。樹脂組成物(II)において、リン化合物を配合
することにより、難燃性、燃焼残渣の形状保持力が向上
する。
【0046】上記リン化合物としては特に限定されず例
えば、赤リン;トリフェニルホスフェート、トリクレジ
ルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジ
ルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホス
フェート等の各種リン酸エステル;リン酸ナトリウム、
リン酸カリウム、リン酸マグネシウム等のリン酸金属
塩;ポリリン酸アンモニウム類;下記一般式(1)で表
される化合物等が挙げられる。これらのうち、耐火性の
観点から、赤リン、ポリリン酸アンモニウム類、及び、
下記一般式(1)で表される化合物が好ましく、性能、
安全性、費用等の点においてポリリン酸アンモニウム類
がより好ましい。
【0047】上記赤リンは、少量の添加で難燃効果を向
上する。上記赤リンとしては、市販の赤リンを用いるこ
とが出来るが、耐湿性、混練時に自然発火しない等の安
全性の点から、赤リン粒子の表面を樹脂でコーティング
したもの等が好適に用いられる。
【0048】上記ポリリン酸アンモニウム類としては特
に限定されず、例えば、ポリリン酸アンモニウム、メラ
ミン変性ポリリン酸アンモニウム等が挙げられるが、取
扱性等の点からポリリン酸アンモニウムが好適に用いら
れる。市販品としては、例えば、クラリアント社製「E
XOLIT AP422」、「EXOLIT AP46
2」、住友化学工業社製「スミセーフP」、チッソ社製
「テラージュC60」、「テラージュC70」、「テラ
ージュC80」等が挙げられる。
【0049】上記一般式(1)で表される化合物として
は特に限定されず、例えば、メチルホスホン酸、メチル
ホスホン酸ジメチル、メチルホスホン酸ジエチル、エチ
ルホスホン酸、プロピルホスホン酸、ブチルホスホン
酸、2−メチルプロピルホスホン酸、t−ブチルホスホ
ン酸、2,3−ジメチル−ブチルホスホン酸、オクチル
ホスホン酸、フェニルホスホン酸、ジオクチルフェニル
ホスホネート、ジメチルホスフィン酸、メチルエチルホ
スフィン酸、メチルプロピルホスフィン酸、ジエチルホ
スフィン酸、ジオクチルホスフィン酸、フェニルホスフ
ィン酸、ジエチルフェニルホスフィン酸、ジフェニルホ
スフィン酸、ビス(4−メトキシフェニル)ホスフィン
酸等が挙げられる。なかでも、t−ブチルホスホン酸
は、高価ではあるが、高難燃性の点において好ましい。
上記リン化合物は単独、又は2種以上を併用しても良
い。
【0050】上記リン化合物は、特に炭酸カルシウム、
炭酸亜鉛等の金属炭酸塩との反応で膨張を促すと考えら
れ、特に、リン化合物として、ポリリン酸アンモニウム
を使用した場合に、高い膨張効果が得られる。また、有
効な骨材として働き、燃焼後に形状保持性の高い燃焼残
渣を形成する。
【0051】上記樹脂組成物(II)において、リン化
合物の配合量は、樹脂成分100重量部に対して50〜
150重量部が好ましい。配合量が、50重量部未満に
なると燃焼残渣に十分な形状保持性が得られず、150
重量部を超えると機械的物性の低下が大きくなり、使用
に耐えられなくなる。
【0052】上記樹脂組成物(II)において、中和処
理された熱膨張性黒鉛の配合量は、上記樹脂組成物
(I)と同様の理由により、樹脂成分100重量部に対
して15〜300重量部が好ましい。
【0053】上記樹脂組成物(II)において、無機充
填剤の配合量は、上記樹脂組成物(I)と同様の理由に
より、樹脂成分100重量部に対して30〜500重量
部が好ましい。
【0054】また、上記リン化合物、中和処理された熱
膨張性黒鉛及び無機充填剤の総量は、樹脂成分100重
量部に対して200〜600重量部が好ましい。総量
が、200重量部未満になると十分な耐火性が得られ
ず、600重量部を超えると機械的強度が低下が大き
く、使用に耐えられなくなる。
【0055】上記樹脂組成物(I)及び(II)には、
その物性を損なわない範囲で、フェノール系、アミン
系、イオウ系等の酸化防止剤、金属害防止剤、帯電防止
剤、安定剤、架橋剤、滑剤、軟化剤、顔料等が添加され
ても良い。
【0056】上記樹脂組成物(I)及び(II)は、上
記各成分を、例えば、押出機、ニーダーミキサー、二本
ロール、バンバリーミキサー等、公知の混練装置を用い
て溶融混練することにより得ることが出来る。
【0057】上記樹脂組成物は、公知の方法で成形する
ことにより、シートもしくはテープ状成形体とすること
が出来る。例えば、押出機の先端に取り付けられたTダ
イからシート状に押し出しつつ、ロール装置で厚み調整
を行いながら冷却することによって成形が可能である。
【0058】また、熱膨張性耐火層を設ける方法として
は、一旦、上記方法などで熱膨張性耐火シートを成形
し、このシートを巻回する方法や、通常の合成樹脂を管
の外周に被覆する場合のように、押出機とその先端に取
り付けられた管形状のリップを有するクロスヘッドダイ
を用いて押出被覆し、一体化する方法が挙げられる。
【0059】熱膨張性耐火層を、一旦シート状に成形し
た後巻き付けることによって設ける場合は、シートの厚
みは0.3〜2mmが好ましい。厚みが、0.3mm未
満になると必要な厚みを得るのに何回も巻き付ける必要
があり、2mmを超えると所定の厚みに巻き付けること
が難しくなる。
【0060】上記熱膨張性耐火シートには、加熱膨張性
能を損なわない範囲で、基材が積層されても良い。基材
としては、特に限定されず、例えば、紙、織布、不織
布、フィルム、金網、金属板(亜鉛メッキ鋼板、鉄板、
アルミ板等)および繊維マット(ガラス繊維、炭素繊維
等)等が用いられる。
【0061】上記紙としては、クラフト紙、和紙、Kラ
イナー紙等を使用することが出来る。水酸化アルミニウ
ムや炭酸カルシウムを高充填した不燃紙;難燃剤を配合
したり、難燃剤を表面に塗布した難燃紙;ロックウー
ル、セラミックウール、ガラス繊維を用いた無機繊維
紙、炭素繊維紙等を使用すると耐火性を向上させること
が出来る。
【0062】上記不織布としては、ポリプロピレン、ポ
リエステル、ナイロン、セルロース繊維等からなる湿式
不織布、長繊維不織布等を使用することが出来る。上記
フィルムとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポ
リアミド、ポリエステル、ナイロン、アクリル等の樹脂
フィルム等を使用することが出来る。上記金網として
は、通常使用されている金網の他に、金属ラス等が使用
可能である。上記紙、織布、不織布、フィルム、金網等
の基材は、熱膨張性耐火シートの一面に積層されてもよ
く、2枚の熱膨張性耐火シートの間に挟み込んで使用し
ても良い。
【0063】上記熱膨張性耐火層の厚みまたは熱膨張性
耐火シートの巻き付け厚みは、挿通される複合管外径の
1〜20%となされることが好ましい。層厚みが、複合
管外径の1%未満になると火災時に十分な耐火断熱層が
形成されず、20%を超えると火災時に耐火断熱層が十
分に膨張しなくなるため、断熱性が低下する。
【0064】上記熱膨張性耐火層または熱膨張性耐火シ
ートの幅は、防火区画貫通部の厚みの50〜150%が
好ましい。厚みの50%未満になると火災時に十分な耐
火断熱層が形成されず、150%を超えると火災時に耐
火断熱層が十分に膨張しなくなるため、断熱性が低下す
る。
【0065】上記熱膨張性耐火層又は熱膨張性耐火シー
トの幅が防火区画貫通部の厚さより短い場合は、防火区
画貫通部の厚さ方向に略均等となるように配置し、防火
区画貫通部の厚さより長い場合は防火区画貫通部の両側
への突出長さが略均等となるように配置することが好ま
しい。又、熱膨張性耐火層が設けられた複合管は、防火
区画貫通部の貫通孔において略中央となるように配置す
ることが好ましい。
【0066】延伸ポリオレフィン系樹脂シートよりなる
層を有する複合管と熱膨張性耐火層が、押出被覆等によ
って一体化されている場合は、少なくとも防火区画貫通
部に対して上記範囲に相当する部位に熱膨張性耐火層が
設けられていれば良い。又、複合管の最外層として長手
方向に渡って連続的に熱膨張性耐火層が被覆されていて
も良い。この場合、建物での配管時に狭いスペースでシ
ートを巻く必要がなく、簡便である。
【0067】次に本発明の複合管の製造方法について述
べる。請求項1記載の複合管の製造方法としては、特に
限定されるものではないが、例えば鉄管や鉄棒といった
マンドレルに、予め用意した延伸ポリオレフィン系樹脂
シートを長手方向軸に対して所定角度をなすように複数
層巻回し、その後加熱炉で加熱することによって各層を
融着することによって得られる。
【0068】請求項2の複合管の製造方法としては、特
に限定されるものではないが、例えば、内層管となる合
成樹脂中空体を前工程で製造しておき、延伸ポリオレフ
ィン系樹脂シートを、その内層管表面に、上記と同様の
方法で積層する方法が挙げられる。上記内層管を得る方
法としては、通常、パイプやホースの製造で行われる、
押出成形を行えば良い。
【0069】上記延伸ポリオレフィン系樹脂シートを積
層する方法としては、所望の角度から延伸ポリオレフィ
ン系樹脂シートを巻回する、いわゆるスパイラルワイン
ディング法や、比較的細い幅に調整された延伸ポリオレ
フィン系樹脂シートを、編組しつつ巻回する、いわゆる
ブレード法などが挙げられるが、これに制限されるもの
ではなく、製造量、製造速度、複合高圧管の口径などの
条件によって適宜選択すれば良い。
【0070】上記スパイラルワインディング法は、延伸
ポリオレフィン系樹脂シートをマンドレルである内層管
に、長手方向に沿う軸に対して一定の角度を保ちつつ連
続的に巻回する方法である。巻回を行う際、複合管の性
能を損なわない範囲で、延伸ポリオレフィン系樹脂シー
トは重なっていても良いし、若干の隙間が生じても良
い。延伸ポリオレフィン系樹脂シートを隙間なく、か
つ、重なりなく巻回する場合では、延伸ポリオレフィン
系樹脂シートの幅とマンドレルの外径によって巻回角度
が決定される。スパイラルワインディング法によって形
成される補強層は奇数層であるよりも、複合管の長手方
向に沿う軸に対して±同角度となるように交互に偶数層
が形成されていることが好ましい。
【0071】上記ブレード法は、比較的幅の小さい複数
の延伸ポリオレフィン系樹脂シートを編組しつつ巻回す
る方法であって、得られる複合管の設計上での内圧強度
はスパイラルワインディング法によるものとほぼ同等で
あるが、以下に示すような長所を有する。
【0072】まず、製造時において、周全方向から均一
な張力が付与されつつ巻回が行われるため、マンドレル
の位置ズレが発生し難い。その結果、延伸ポリオレフィ
ン系樹脂シート同士の隙間が発生し難く、ウィーピング
が発生する可能性が低い。また、延伸ポリオレフィン系
樹脂シート同士が互いに固定し合うため、局所的な歪み
が生じ難く、結果として高内圧強度となる。さらには、
輸送媒体によって複合管に高い内圧が負荷された場合、
内層管に比較して高強度である延伸ポリオレフィン系樹
脂シートが編組角度が大きくなるように移動し、このこ
とによって複合管の破壊が遅延される効果も有してい
る。この効果は、内層管に比較的クリープ性の悪い合成
樹脂を用いた場合、顕著である。ただし、以上の内容
は、延伸ポリオレフィン系樹脂シートを同密度で巻回し
た場合に、スパイラルワインディング法と比較したもの
であって、巻回方法は成形速度や複合管の口径によって
適宜選択される。
【0073】本発明の複合管において、口径は特に制限
されず、内径10mmから30mmといった比較的小口
径のものから、300mmから500mmといった大口
径のものまで製造可能である。また、内層管の長手方向
の断面形状及び周方向の断面形状は特に限定されない。
【0074】さらに、請求項3記載の発明は、建物の防
火区画貫通部に、上記請求項1又は2記載の複合管が施
工され、この複合管と建物防火区画貫通部の間にモルタ
ルが充填されていることを特徴とする建物防火区間貫通
部の耐火構造である。
【0075】又、請求項4記載の発明は、建物の防火区
画貫通部に、合成樹脂からなる内層管と、前記内層管の
長手方向軸に対して所定角度をなして巻回された延伸ポ
リオレフィン系樹脂シートよりなる補強層から構成され
る複合管と共に、前記複合管外面に熱膨張性耐火シート
が被覆された状態で施工され、前記熱膨張性耐火シート
と建物防火区画貫通部の間にモルタルが充填されている
ことを特徴とする建物防火区間貫通部の耐火構造であ
る。
【0076】(作 用)本発明の建物配管用複合管及び
区画貫通部における耐火構造は、火災時に、防火区画貫
通部に挿通された外径75mm以上の配管の収径と、熱
膨張性耐火層もしくはシートの熱膨張がほぼ同時に起こ
り、複合管が貫通していた隙間(穴)を閉塞する。さら
に、延伸ポリオレフィン系樹脂シートを巻回形成されて
なるシート管又は補強層が、加熱により収縮を起こし、
複合管の管径を閉塞することにより管を通路とする火や
熱の伝達を阻害させることが可能となる。
【0077】
【発明の実施の形態】以下、非限定的な実施例を挙げる
ことにより、本発明を詳細に説明する。 (実施例1) 延伸ポリオレフィン系樹脂シート ポリオレフィンとして、高密度ポリエチレン(融点13
5℃、メルトインデックスMI=1g/10分)を用い
た。高密度ポリエチレンを同方向2軸押出機にて200
℃で混練しつつ、架橋助剤としてトリアリルシアヌレー
トを高密度ポリエチレンに対して3重量部、光開始剤と
してベンゾフェノンを同じく3重量部供給し、高密度ポ
リエチレンに均一に練り込んだ。その後、Tダイより押
出すことにより、肉厚6mmのポリオレフィンシートを
得た。このポリオレフィンシートを、速度1m/分で繰
り出し、120℃の加熱炉内を通過させ、速度30m/
分で引き取り、延伸倍率30倍、厚み0.30mmの延
伸ポリオレフィンシートを得た。繰り出しと引き取りは
ピンチロールで行った。
【0078】次いで、延伸ポリオレフィンシートに高圧
水銀灯照射を10秒間行い、架橋を行った。更にこの延
伸ポリオレフィンシートを、ライン速度20m/分で、
片方を200℃、他方を50℃に温調した二対のピンチ
ロールに、両面が交互に200℃のロールに接触するよ
うに挟み込みながら通過させ、延伸ポリオレフィンシー
ト表面の粗面化を行った。この延伸ポリオレフィンシー
ト表面の凹凸を表面形状測定器(日本真空技術製、De
ktak−303)で測定したところ、中心線表面粗さ
Raが2μmであった。
【0079】上記延伸ポリオレフィンシートを内層管に
接着するため、接着用シートを延伸ポリオレフィンシー
トの片面にラミネートした。接着用シートには、直鎖状
低密度ポリエチレン(融点123℃、MI=0.8)
を、インフレーション成形で厚み0.025mmに製造
したものを用いた。この接着用シートを連続的に延伸ポ
リオレフィンシートにラミネートし、延伸複合シートを
得た。
【0080】(熱膨張性耐火シート)ブチルゴム(エク
ソン社製、商品名「ブチル#065」)40重量部、ポ
リブテン(出光石油化学社製、商品名「ポリブテン#1
00R」)50重量部、水素添加石油樹脂(トーネック
ス社製、商品名「エスコレッツ#5320」)10重量
部、ポリリン酸アンモニウム(クラリアント社製、商品
名「EXOLIT AP422」)45重量部、中和処
理された熱膨張性黒鉛(東ソー社製、商品名「フレーム
カットGREP−G」)30重量部、及び、水酸化アル
ミニウム(昭和電工社製、商品名「ハイジライトH−3
1」)200重量部をロールを用いて混練した後、得ら
れた樹脂組成物をプレス成形により1mm厚、80mm
幅の熱膨張性耐火シートを得た。
【0081】(複合管の製造)以下に本発明の建物配管
用複合管を製造するための製造方法の一例を示す。予め
用意された外径160mmの鉄管に、上記で得られた延
伸複合シートをスリットしたものを複合管長手方向
(軸)に対して±60度で、接着用シートがお互いに接
触するように巻回した。次いで、遠赤外線加熱炉にて延
伸複合シートの温度が130℃になるまで加熱を行い、
延伸ポリオレフィン系樹脂シートよりなる管を得た。次
いで、熱膨張性耐火シートを上記の延伸ポリオレフィン
系樹脂シートよりなる管11外面に3周分巻き付け、図
1に示すような熱膨張耐火層12(層厚み3mm)を有
する複合管を得た。この熱膨張性耐火シートは自己粘着
性を有するため、巻き付け作業を容易に行うことが出来
た。
【0082】(耐火試験)この複合管21を、図2に示
したように、防火区間としてのスラブ22(図2におい
て、厚さt=100mm)に開けた防火区画貫通部23
(図2において、貫通孔の直径D=130mm)に挿通
させた後、図3に示したように、複合管31と防火区間
としてのスラブ32との間隙にモルタル33を充填して
固定した。上記スラブに固定した複合管について、JI
S A 1304に基づく2時間耐火試験を行った結
果、延伸ポリオレフィン系樹脂シートよりなる管は溶
融、焼失したが、防火区画貫通部分に生じた隙間は熱膨
張性耐火層の熱膨張によって閉塞されており、非加熱側
に火炎の突き抜けは観測されなかった。
【0083】(実施例2) 複合高圧管の製造 以下に本発明の複合管を製造するための製造装置の一例
を示す。図4において41は単軸押出機、42はその先
端に取り付けられた押出金型、43は冷却水槽であり、
冷却水槽43の上流側先端には、冷却金型44が取り付
けられている。45は引取機、46はスパイラルワイン
ダー、47は赤外線ヒーター、48は2軸押出機、49
は2軸押出機48にクロスヘッドで取り付けられた熱膨
張性耐火層被覆用金型、40は第2水槽である。まず、
単軸押出機41および押出金型42を用いて高密度ポリ
エチレン(融点135℃、メルトインデックスMI=
0.5g/10分)を、バレル温度、金型温度共に20
0℃の条件で押し出し、冷却水層43、冷却金型44を
用いて、外径161mm、肉厚4.5mmの内層管を賦
形した。次いでスパイラルワインダー46を用いて、ス
リットした延伸複合シートを長手方向(軸)に対して±
60度で内層管に巻回し、その後赤外線ヒーター48を
通過させることにより、延伸複合シートの温度を130
℃に加熱し、内層管と延伸複合シートを一体化させた。
次に、実施例1の熱膨張性耐火シートと同じ配合物を、
2軸押出機48で100℃で混練し、先端に取り付けら
れた被覆金型49から押し出しつつ、上流側から引き取
られてきた積層管の外面に層厚み3mmで被覆した。こ
の後、第2冷却水槽40で冷却し、図5に示すような複
合管を得た。
【0084】(耐火試験)この複合管を、実施例1と同
条件で耐火試験を行った結果、延伸ポリオレフィン系樹
脂シートよりなる管は溶融、焼失したが、防火区画貫通
部分に生じた隙間は熱膨張性耐火層の熱膨張によって閉
塞されており、非加熱側に火炎の突き抜けは観測されな
かった。
【0085】(比較例1)予め製造された、外径165
mm、肉厚15mmの高密度ポリエチレン管の外周面
に、実施例1で用いた熱膨張性耐火シートを3周分巻き
付けた複合管を使用したこと以外は、実施例1と同様に
して、耐火試験を行った。その結果、複合管は溶融、焼
失したが、防火区画貫通部分に生じた隙間を熱膨張性耐
火シートの熱膨張によって完全に閉塞する事は出来ず、
非加熱側に若干の火炎の突き抜けが観測された。
【0086】
【発明の効果】本発明の建物配管用複合管及び区画貫通
部における耐火構造は、防火区間貫通部に挿通された複
合管やケーブルが火災時に熱変形を起こしたり、消失し
ても、巻き付けられたテープ状成形体が熱膨張して耐火
断熱層を形成することにより、防火区画貫通部を閉塞す
るので、防火区画貫通部の一方の側で発生した熱、火
災、煙等が他方側へ到達するのを防止することが出来
る。さらに、本発明の建物配管用複合管は、外径75m
m以上有するような太い管であっても、上記と同様の機
能を発現出来る。
【0087】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の複合管の構成の一例を示す模式斜視
図。
【図2】本発明の耐火構造の一例を示す模式断面図。
【図3】本発明の耐火構造の一例を示す模式断面図。
【図4】本発明に係る複合管の製造に使用する装置の概
略説明図。
【図5】本発明の複合管の構成の一例を示す模式斜視
図。
【符号の説明】
11 樹脂シート管 12、53 熱膨張性耐火樹脂層 21 複合管 22、32 スラブ(防火区画) 23 防火区画貫通部 31 複合管 33 モルタル 40 第2水槽 41 単軸押出機 42 押出金型 43 冷却水槽 44 冷却金型 45 引取機 46 スパイラルワインダー 47 赤外線ヒーター 48 2軸押出機 49 被覆金型 51 内層管 52 延伸ポリオレフィン系樹脂シートよりなる
補強層

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】延伸ポリオレフィン系樹脂シートが所定角
    度をなして巻回され形成された樹脂シート管と、該シー
    ト管上に形成された熱膨張性耐火樹脂層からなることを
    特徴とする建物配管用複合管。
  2. 【請求項2】合成樹脂からなる内層管と、前記内層管の
    長手方向軸に対して所定角度をなして巻回された延伸ポ
    リオレフィン系樹脂シートよりなる補強層と、熱膨張性
    耐火樹脂からなる最外層から構成されることを特徴とす
    る建物配管用複合管。
  3. 【請求項3】建物の防火区画貫通部に、請求項1又は2
    記載の複合管が施工され、前記複合管と建物防火区画貫
    通部の間にモルタルが充填されていることを特徴とする
    建物防火区間貫通部の耐火構造。
  4. 【請求項4】建物の防火区画貫通部に、合成樹脂からな
    る内層管と、前記内層管の長手方向軸に対して所定角度
    をなして巻回された延伸ポリオレフィン系樹脂シートよ
    りなる補強層から構成される複合管と共に、前記複合管
    外面に熱膨張性耐火シートが被覆された状態で施工さ
    れ、前記熱膨張性耐火シートと建物防火区画貫通部の間
    にモルタルが充填されていることを特徴とする建物防火
    区間貫通部の耐火構造。
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