JP2002179696A - 光連結性ヌクレオシド含有dnaを用いて塩基を点変異する方法 - Google Patents

光連結性ヌクレオシド含有dnaを用いて塩基を点変異する方法

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JP2002179696A JP2000382283A JP2000382283A JP2002179696A JP 2002179696 A JP2002179696 A JP 2002179696A JP 2000382283 A JP2000382283 A JP 2000382283A JP 2000382283 A JP2000382283 A JP 2000382283A JP 2002179696 A JP2002179696 A JP 2002179696A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、簡便で確実でかつ特異的であっ
て、さらに低コストで無公害の点変異法を提供するもの
であり、実用化の可能な新規な遺伝子操作法を提供する
ものである。 【解決手段】 本発明は、変換したい塩基を有するDN
A、RNA、PNAなどの核酸類を、光連結性ヌクレオ
シドを含有するDNAの存在下で、光照射して変換した
い塩基と光連結性ヌクレオシドとを結合させ、変換した
い塩基を化学的に変性させた後、光照射して変換したい
塩基と光連結性ヌクレオシドとを解裂させることからな
る核酸類中の特定の塩基を点変異させる方法、及びその
方法により点変異した核酸類を製造する方法に関する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、DNA、RNA、
PNAなどの核酸類中の特定の位置の塩基を、他の塩基
に点変異させる方法、及びその方法により点変異した核
酸類を製造する方法に関する。より詳細には、本発明
は、核酸類中の特定の位置の塩基を、光連結性ヌクレオ
シドを含有するDNAの存在下で、光化学反応を利用し
て酵素の不存在下で他の塩基に変換することからなる核
酸類中の特定の位置の塩基を点変異させる方法、及びそ
の方法により点変異した核酸類を製造する方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】DNAやPNA(ペプチド核酸)などの
核酸類中の特定の位置の塩基を他の塩基に変換する方法
は、点変異(ポイントミューテーション)として変異し
た核酸類を調製したり、核酸類の機能解析のための技術
として重要視されてきている。しかし、従来の点変異の
技術は酵素反応を用いるために特異性や確実性の点にお
いて充分ではなく、その効率も必ずしも充分ではなかっ
た。また、酵素反応を用いた方法では、後処理の必要な
化学活性化剤を使用しなければならず、コストがかか
り、かつ反応条件の至適化や制御が難しく、実用化が困
難であった。また、任意の位置のシトシンのみをウラシ
ルへと点変異させることは従来はできなかった。シトシ
ンからウラシルへの変換は、任意の位置ではないが、同
じ鎖内でピリミジンダイマー生成、デアミネーション、
及びフォトリアーゼによる光解裂によりシトシンをウラ
シルへと変異させた例があるが、この方法では酵素を用
いる点、他のサイトとの競争反応がある点、及び効率が
低い点等において改良の余地があった。
【0003】一方、本発明者らは、先に光化学反応によ
り光連結性ヌクレオシドを含有するDNAと、炭素−炭
素二重結合を有する塩基を有する核酸類(DNAやPN
Aなど)を光化学反応により連結と開裂を特異的に行う
ことができることを見出してきた(特願2000−67
519号参照)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、簡便で確実
でかつ特異的であって、さらに低コストで無公害の点変
異法を提供するものであり、低コスト、無公害、簡便
性、正解性を併せ持った新技術を用いた実用化可能な遺
伝子操作法の開発を目指している。すなわち、本発明
は、光化学反応を利用した新規な点変異技術を提供する
ものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために光化学反応により光連結性ヌクレオシ
ドを含有するDNAと、炭素−炭素二重結合を有する塩
基を有する核酸類(DNAやPNAなど)を光化学反応
により連結と開裂を特異的に行うことができることに着
目し、これを利用して酵素反応を利用すること無く光化
学反応により特異的な点変異を行うことができることを
見出した。より詳細には、5位にビニル誘導体置換基を
導入したピリジミンを有する核酸に対して光照射を行
い、対象DNA、及びRNA上の任意のシトシンに対し
光連結を行い枝分かれ核酸構造を形成させることで、他
のシトシンとの分別化を行い、加熱処理を用いてデアミ
ネーションを促進させ、最終的には短波長光照射による
解裂によってウラシルへと特異的、高効率で点変異させ
ることに成功した。
【0006】すなわち、本発明は、変換したい塩基を有
する核酸類を、光連結性ヌクレオシドを含有するDNA
の存在下で、光照射して変換したい塩基と光連結性ヌク
レオシドとを結合させ、変換したい塩基を化学的に変性
させた後、光照射して変換したい塩基と光連結性ヌクレ
オシドとを解裂させることからなる核酸類中の特定の塩
基を点変異させる方法、及びその方法により点変異した
核酸類を製造する方法に関する。また、本発明は、核酸
類中の特定の位置の塩基を、光連結性ヌクレオシドを含
有するDNAの存在下で、光化学反応を利用して酵素の
不存在下で他の塩基に変換することからなる核酸類中の
特定の位置の塩基を点変異させる方法、及びその方法に
より点変異した核酸類を製造する方法に関する。
【0007】より詳細には、本発明は、前記した本発明
の方法において、光連結性ヌクレオシドとして、ビニル
基を導入したピリジミンを有する核酸、好ましくは5位
にビニル誘導体置換基を導入したピリジミンを有する核
酸を含有するものを用いる方法に関する。さらに詳細に
は、本発明は前記した本発明の方法において、光連結性
ヌクレオシドとして、
【0008】
【化2】
【0009】(式中、ZはO又はNHを示し、X及びY
の少なくとも一方は電子吸引性基を示し、X及びYの残
りの基は水素原子を示す。)で表される基を有するヌク
レオシドを用いる方法に関する。
【0010】また、本発明は、前記した本発明の方法に
おいて、核酸類中の変換したい塩基として炭素−炭素二
重結合、好ましくは非縮合環系の炭素−炭素二重結合を
有する塩基、例えばシトシンを点変異させる方法に関す
る。本発明の方法を核酸類中の変換したい塩基としてシ
トシンを例にして具体的に説明する。図1は本発明の方
法によりシトシンをウラシルに変換する方法を例示した
ものである。まず、ステップ1においてシトシンを含有
する核酸類のシトシンの直前までをテンプレートにハイ
ブリダイズさせて固定し、ビニル基含有の光連結性ヌク
レオシドを含有するDNAを同様にテンプレートに固定
する。ステップ2においてこれに光(例えば、波長36
6nmの光)を照射してシトシンと光連結性ヌクレオシ
ドのビニル基とでシクロブタン環を形成させる。ステッ
プ3において、水などの酸素を含有する物質の存在下に
加熱処理してシトシンの脱アミノ化を行う。脱アミノ化
が終了したら、ステップ4においてシクロブタン環を解
裂させるための光(例えば、波長302nmの光)を照
射して両者を切り放すとシトシンがウラシルに変換され
た核酸類を得ることができる。
【0011】本発明の方法をシトシンからウラシルへの
変異を例としてさらに具体的に説明する。シトシンを含
有するTGTGCの部分配列を有する核酸(ODN
1)を、その相補配列であるACACG及びACGCA
Cの塩基配列を有するテンプレート(ODN 2)に配
置する。次にビニル基含有の光連結性ヌクレオシドを含
有するDNAとして5−カルボキシビニルウラシルを塩
基(下記化学式中ではXで示されている。)を有するX
GCGTG・・・の塩基配列を有するDNA(ODN
3)を配置する(ステップ1)。このときの各DNAの
配置を次の化学式、
【0012】
【化3】
【0013】に示す。式中のODN1、ODN2及びO
DN3は前記したDNAである。このようにして、対象
遺伝子のシトシン(C)の塩基までをテンプレート(O
DN 2)に固定化し、当該シトシンに隣接して光連結
性ヌクレオシドを含有するDNA(ODN3)を配置し
て光を照射すると、対象遺伝子と本発明の核酸が連結す
る(ステップ2)。この連結した状態のときに、シトシ
ンの4位のアミノ基を酸素又は水などの酸素含有物の存
在下の水酸基に置換することができる。例えば、連結し
た状態で空気中で穏やかに温度を上げてゆくと空気酸化
されて、シトシンのピリミジン環の4位のアミノ基が水
酸基に置換される(ステップ3)。そして、再度光を照
射して、連結を開裂させると、シトシンがウラシルに変
換されることになる(ステップ4)。
【0014】図2はこの結果を示したHPLCのチャー
トである。図2の横軸はリテンション時間(分)であ
り、図2の最上段は光照射前のステップ1の段階のチャ
ートであり、図2の最上段の左からODN3、ODN
2、ODN1の各ピークが示されている。図2の上から
2段目は波長366nmの光を1時間照射した後のチャ
ートである。光を照射した後も図2の最上段の左から2
番目のODN2のピーク(テンプレートのピーク)は光
照射前と後で変化は無い。しかし図2の最上段の左側の
ODN3のピーク及び右側のODN1のピークは消失し
て新たにより右側にピークが出現してきている。この新
たに出現したピークはODN1とODN3が連結した1
7量体のものであり、このピークのMALDI−TOF
MASSによる測定値が5248.74(計算値52
49.55(M−H))であったことにより確認され
た。
【0015】得られた17量体をテンプレートから分離
し、90℃で2時間加熱した後のチャートが図2の上か
ら3段目のものである。最も左のピークは内部標準とし
て用いたチミンのピークであり、右側のピークがデアミ
ネーションされた17量体のものである。このものはM
ALDI−TOF MASSによる測定値が5252.
1(計算値5250.5(M−H))であったことによ
り確認された。得られたデアミネーションされた17量
体に波長302nmの光を1時間照射し、ポリAを含む
断片を酵素処理した結果のHPLCのチャートが図2の
最下段に示されている。左側にdUのピークを確認する
ことができた。dCのピークは消失し、dU:dG:d
T:dA=1:2:2:6であった。
【0016】シトシンがウラシルに変換されたDNA
を、ウラシルDNAグリコシラーゼで処理すると、この
ウラシルの位置で特異的に切断することができる。した
がって、DNAの任意のシトシンの位置を本発明の方法
によりウラシル化することにより、DNAを任意の位置
での特異的に切断することも可能となる。前記の実験結
果をウラシルDNAグリコシラーゼで処理により、ポリ
アクリルアミドゲル電気泳動で分析した結果を図3に、
図面に代わる写真で示す。図3のAの位置はウラシルの
位置で切断された断片を示している。レーン1は反応前
のものである。レーン2は366nmの光照射を1時間
行った後のものである。レーン3はレーン2の後に90
度加熱を2時間行ったものである。レーン4はレーン3
の後に302nmの光照射を1時間行ったものである。
レーン5はレーン4の後にウラシルDNAグリコシラー
ゼで処理(37℃で1時間)して、ピペリジンで90度
加熱を30分間行ったものである。レーン6はレーン2
の後に90度加熱を行わずに、302nmの光照射を1
時間行ったものであり、シトシンはウラシルに変換され
ていないものである。レーン7はレーン6の後にウラシ
ルDNAグリコシラーゼで処理(37℃で1時間)し
て、ピペリジンで90度加熱を30分間行ったものであ
り、ウラシルに変換されていないために切断された断片
は得られていない。レーン8は対照として5'−32
−TGTGUAAAAAAをウラシルDNAグリコシラ
ーゼで処理(37℃で1時間)して、ピペリジンで90
度加熱を30分間行ったものである。
【0017】この結果、コントロールのレーン8と、光
反応実験で得られたレーン5のバンド(ウラシルでの切
断)が一致した。レーン6、7のように90度加熱を行
わないと酵素で切断されないので、加熱によって、シト
シンがウラシルに変換されていることがわかった。この
ように90℃での加熱を行わないとデアミネーションが
進行せず、シトシンがウラシルに変換されないことがわ
かった。
【0018】そこで、デアミネーションの条件について
検討した。その結果のポリアクリルアミドゲル電気泳動
で分析を図4に、図面に代わる写真で示す。レーン1は
反応前のものである。レーン2は366nmの光照射を
1時間行った後のものである。レーン3はレーン2の後
に90度加熱を行わず、302nm光照射1時間、ウラ
シルDNAグリコシラーゼ処理(37度・1時間)、ピ
ペリジン処理(90度加熱・30分)を行ったものであ
る。レーン4はレーン2の後に90度加熱を15分行
い、それ以外はレーン3と同じものである。レーン5は
レーン2の後に90度加熱を30分行い、それ以外はレ
ーン3と同じものである。レーン6はレーン2の後に9
0℃加熱を45分行い、それ以外はレーン3と同じもの
である。レーン7はレーン2の後に90度加熱を60分
行い、それ以外はレーン3と同じものである。レーン8
はレーン2の後に90度加熱を75分行い、それ以外は
レーン3と同じものである。レーン9はレーン2の後に
90度加熱を90分行い、それ以外はレーン3と同じも
のである。レーン10はレーン2の後に90度加熱を1
05分行い、それ以外はレーン3と同じものである。レ
ーン11はレーン2の後に90度加熱を120分行い、
それ以外はレーン3と同じものである。レーン12は対
照として5'−32P−TGTGUAAAAAAをウラ
シルDNAグリコシラーゼで処理(37度・1時間)し
て、ピペリジンで90度加熱を30分間行ったものであ
る。
【0019】この結果を定量化して示したものが図5で
ある。図5の横軸は時間(分)であり、縦軸はデアミネ
ーションされていないシトシンタイプの残量を%で示し
ている。このデアミネーションされていないシトシンタ
イプの半減期は40分(90℃)であることがわかっ
た。このように、本発明の方法によれば、光連結性ヌク
レオシド含有DNAの光照射により、対象シトシンに対
するシクロブタン反応を行い枝分かれ核酸を形成させ、
加熱処理、及び化学反応処理を行うことでシトシンの脱
アミノ化を促進し、最終的に光解裂を行い、DNA、及
びRNA上の任意のシトシンをウラシルへと誘導が可能
になる。この技術はフォトブランチング技術との組み合
わせにより、i)光転写制御、ii)光翻訳制御、iii)
光誘導型変異蛋白の生産等への利用が期待される。
【0020】本発明の方法は、後処理の必要な化学活性
化剤や使用条件に制限がかかる酵素を全く用いずに、光
をトリガーとして用いるシトシンからウラシルへの点変
異技術であり、環境にやさしい21世紀型のバイオテク
ノロジー技術である。任意の位置のシトシンをウラシル
へと点変異させる技術としても有用である。
【0021】
【発明の実施の形態】本発明の光連結性ヌクレオシド
は、塩基部分に次式、
【0022】
【化4】
【0023】(式中、ZはO又はNHを示し、X及びY
の少なくとも一方は電子吸引性基を示し、X及びYの残
りの基は水素原子を示す。)で表される基を有すること
が好ましい。置換基X、Yにおける電子吸引基として
は、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、シアノ
基、ニトロ基などが挙げられるがこれらの例示したもの
に限定されるものではなく、細胞系への適合を考慮して
適宜電子吸引基を選択することができる。好ましい電子
吸引基としては、カルボキシル基、アルコキシカルボニ
ル基、シアノ基などが挙げられる。アルコキシカルボニ
ル基におけるアルキル基としては、炭素数1から10、
好ましくは1から5の低級アルキル基が挙げられる。置
換基X、Yは、両方が同時に同一または異なる電子吸引
基であってもよく、また置換基X、Yの一方だけが電子
吸引基であり、他方が水素原子であってもよい。
【0024】本発明の核酸類としては、DNA、RN
A、PNAなどのいずれであってもよく、天然又は合成
のDNAやRNAなどと塩基対を形成し得るものが好ま
しい。また、本発明の核酸類は、変換させる塩基だけを
有するモノヌクレオチドであってもよいが、他の核酸と
共にオリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドになって
いるものが好ましい。オリゴヌクレオチド又はポリヌク
レオチドにおける塩基数は特に制限はないが、好ましく
は1から10000、より好ましくは1から3000、
さらに好ましくは1から1000程度である。また、本
発明の光連結性ヌクレオシドを含有するDNAは、DN
Aであっても、RNAであっても、またPNAであって
もよいが、その鎖中に少なくとも1個の光連結性ヌクレ
オシドを含有するものである。光連結性ヌクレオシドを
含有する位置としては反応性に影響が無ければ特に制限
は無いが、通常は5’又は3’末端が好ましい。本発明
の光連結性ヌクレオシドを含有するDNAの長さも特に
制限はないが、入手のし易さや取扱いの簡便さから、余
り長くないのが好ましい。好ましい長さとしては、例え
ば、塩基数で1〜50、1〜25、5〜15程度であ
る。
【0025】本発明の光連結性ヌクレオシドは、通常の
核酸の製造方法に準じて製造することができる。例え
ば、5−置換ビニルウリジンのDMTr体にアミダイド
化剤を作用させてアミダイド化し、次いで保護基を切断
して、これを通常のDNA合成法によりオリゴヌクレオ
チドとすることができる。5−置換ビニルシトシン誘導
体又は5−置換ビニルウラシル誘導体は、以下に示す具
体例の方法によってもよいが、他の通常の有機合成法に
よっても製造することができる。
【0026】本発明の方法における、変換させる塩基と
しては、炭素−炭素二重結合を有する塩基であるが、縮
合環を形成している炭素−炭素二重結合は好ましくな
く、単環式の炭素−炭素二重結合又は環に置換している
炭素−炭素二重結合が好ましい。好ましい炭素−炭素二
重結合を有する塩基としては、天然のものではシトシ
ン、チミン又はウラシルなどが挙げられる。炭素−炭素
二重結合を有する塩基を有する核酸類としては、DN
A、RNA、PNAなどのいずれのものであってもよ
い。
【0027】本発明の方法における光としては、反応に
必要なエネルギーを有する波長のものであればよいが、
紫外線が好ましい。一般に、連結させるときは、比較的
長波長側でよく、開裂させる場合には比較的短波長側の
光が好ましい。より具体的には、連結させるときの波長
としては、330nm以上、好ましくは350nm以
上、より好ましくは360nm以上の波長が好ましい。
また、開裂させるときの波長としては、320nm以
下、好ましくは310nm以下の波長が好ましい。好ま
しい波長としては、連結させるときの波長が366nm
で、開裂させるときの波長が302nmである場合が挙
げられる。
【0028】本発明の方法は、溶液中のように自由に流
動できる状態で行うこともできるが、より選択性を挙げ
るためにはテンプレートに固定して反応させる方法が好
ましい。テンプレートとしては、DNA、RNA、PN
Aなどの塩基対を形成し得るものであればよい。テンプ
レートの長さは特に制限はないが、3塩基以上、好まし
くは5塩基以上がテンプレート上で塩基対を形成できる
長さのものが好ましい。テンプレートは1本鎖のもので
あってよいが、前述してきたようにテンプレートとして
二本鎖DNAを使用することもできる。
【0029】本発明の方法における、変換させる塩基を
含有する核酸類としては、前記したテンプレートに固定
化できるものであればどのようなものであってもよい。
目的のシトシンの位置から上流又は下流側の3〜10塩
基程度の塩基配列を調べて、それの相補的な塩基配列を
有するものをテンプレートとして使用することができ
る。本発明の化学的に変性する方法としては、加水分
解、酸化反応、還元反応、アミノ化反応などの各種の化
学反応が挙げられる。例えば、シトシンのアミノ基を加
水分解して水酸基にする方法などが挙げられる。この方
法における、酸素又は水などの酸素含有物としては、空
気中の酸素や加水分解のための水などを使用することが
できる。この方法によって得られたウラシル化されたD
NAは、常法によるウラシルDNAグリコシラーゼ処理
をすることができる。
【0030】
【実施例】次に実施例により本発明をより詳細に説明す
るが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではな
い。5−シアノビニルデオキシウリジンを含有する核酸
の製造例の反応式を次に示す。以下の説明においては、
この反応式に示される化合物番号を使用する。
【0031】
【化5】
【0032】実施例1 5−シアノビニルデオキシウリ
ジン(4)の製造 (1) 化合物(2)の製造 5−ヨード−デオキシウリジン(IDU)(1)をピリ
ジン5mLと3回共沸し、TBDMS−Cl(1.71
7g,11.40mmol)と共に窒素置換し、ピリジ
ン5mLを加え均一溶液とした。これにイミダゾール
(0.776g,11.39mmol)のピリジン溶液
(5mL)を加え、室温で12時間攪拌した。薄層クロ
マト(TLC)で原料の消失を確認後、ピリジンを減圧
で留去し、残留物を酢酸エチル(20mLx3)と水
(20mL)を用いて抽出した。得られた有機層を硫酸
マグネシウムで乾燥し、溶媒を除去した後、カラムクロ
マトグラフィー(シリカゲル、溶出溶媒 ヘキサン/酢
酸エチル=4:1)により目的の化合物(2)を白色固
体(1.661g,96.5%)として得た。 H NMR(400MHz,CDCl)δ:0.04-0.
14 (m,12H,CH3Six4), 0.88 (s,9H,t-BuSi),0.93(s,9H,t
-BuSi), 1.96 (m,1H,H-2β'), 2.28 (m,1H,H-2α'),3.7
4 (dd,J=11.2Hz,J=2.4Hz,1H,H-5'),3.87 (dd,J=11.2Hz,
J=2.4Hz,1H,H-5'),3.97 (m,1H,H-4'), 4.38 (m,1H,H-
3'), 6.25 (t,1H,H-1'),8.07 (s,1H,H-6), 8.09(br,1H,
NH)
【0033】(2) 化合物(3)の製造 Pd(OAc)(0.019g,0.085mmo
l),PPh(0.045g,0.170mmol)
を窒素雰囲気下で、DMF(2.5mL)中に加えた
後、さらにNEt(0.93mL,6.672mmo
l)を加え、60℃の水浴中で攪拌した。溶液が濃赤色
になった後に、前記(1)で得た化合物(2)(0.4
98g,0.854mmol)、アクリルニトリル
(0.7mL,10.63mmol)をDMF溶液とし
て加え一晩攪拌した。減圧でDMFを除去した後、酢酸
エチル(15mLx3)、水(15mL)で抽出し、得
られた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し再び溶媒を除
去した。残留物に対してカラムクロマトグラフィー(シ
リカゲル、溶出溶媒 ヘキサン/酢酸エチル=4:1)
により目的の化合物(3)を黄色固体(0.434g,
53.7%)として単離した。 H NMR(400MHz,CDCl)δ:0.03-0.
14 (m,12H,CH3Six4), 0.88 (s,9H,t-BuSi),0.91 (s,9H,
t-BuSi), 2.00 (m,1H,H-2'β), 2.39 (m,1H,H-2'α),3.
76 (dd,1H,H-5'), 3.87 (dd,1H,H-5'), 4.00 (m,1H,H-
4'),4.37 (m,1H,H-3'), 6.23 (t,1H,H-1'),6.67 (dd,J=
16.4Hz,1H,vinylic H-1''),6.85 (dd,J=16.2Hz,1H,viny
lic H-2''), 7.96 (s,1H,H-6),7.98 (br,1H,NH)
【0034】(3) 化合物(4)の製造 前記の(2)で得られた化合物(3)(0.233g,
0.459mmol)にTBAF(in THF,1mm
ol/l)2.0mLを加え室温で45分攪拌した後、
溶媒を除去した。残留物に対してカラムクロマトグラフ
ィー(シリカゲル、溶出溶媒 5%MeOH in CH
Cl)により目的の化合物(4)を淡黄色固体(0.
128g,75%)として単離した。 H NMR(400MHz,DMSO−d)δ:2.1
5 (m,2H,H-2'αβ), 3.57 (m,1H,H-5'), 3.65 (m,1H,H-
5'),3.80 (m,1H,H-4'), 4.23 (m,1H,H-3'), 5.10 (t,1
H,OH-5'),5.26 (d,1H,OH-3'), 6.08 (t,J=6.4Hz,1H,H-
1'),6.50 (dd,J=1.6Hz,J=14Hz,1H,vinylic H-1''),7.22
(dd,J=1.6Hz,J=14Hz,1H,vinylic H-2''), 8.33 (s,1H,
H-6),11.72 (br,1H,NH)
【0035】実施例2 5−シアノビニルデオキシウリ
ジンを含有する核酸(7)の製造 (1) 化合物(5)の製造 前記した実施例1で得られた化合物(4)(0.096
g,0.344mmol)をピリジン2mLとの供沸操
作を3回行った後、DMTr−Cl(0.133g,
0.392mmol)、DMAP(0.025g,0.
203mmol)と共に窒素雰囲気下とした。ピリジン
(1mL)を加え攪拌し、均一溶液とした。さらにここ
へNEt(0.05mL,0.359mmol)を加
え室温で20時間攪拌した。減圧でピリジンを除去した
後、クロロホルム(10mLx3)と水(10mL)で
抽出し、得られた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、溶
媒を除去した。残留物に対しカラムクロマトグラフィー
(シリカゲル、溶出溶媒3%MeOH in CHCl
により目的の化合物(5)を黄色固体(0.096g,
47.9%)として得た。 H NMR(400MHz,CDCl)δ:2.38
(m,1H,H-2'β), 2.49 (m,1H,H-2'α),3.43 (dd,J=10.4H
z,J=2.4Hz,1H,H-5'),3.52 (dd,J=2.4Hz,J=10.4Hz,1H,H-
5'), 3.80 (s,6H,OCH3x2),4.11 (m,1H,H-4'), 4.68 (m,
1H,H-3'),6.50 (d,J=14Hz,1H,vinylic H-1''), 6.08
(t,J=6.4Hz,1H,H-1'),7.22 (d,J=14Hz,1H,vinylic H-
2''),6.84-6.87 (m,4H,H-β to OCH3x4), 7.20-7.33
(m,9H,phenyl),7.98 (br,1H,NH), 8.00 (s,1H,H-6)
【0036】(2) 化合物(7)の製造 前記の(1)で得られた化合物(5)をアセトニトリル
を用いてゴムシールドボトルへ移した後、減圧し溶媒を
除去し、アルゴン雰囲気下とした。アセトニトリル(1
mL)を加え固体を溶解させた後、アミダイト化剤(5
0uL)、テトラゾール(0.5M,360uL)を順
に加え90分攪拌した。あらかじめNaHCO水溶液
で洗浄した酢酸エチルと、飽和NaHCO水溶液を用
いて抽出操作を行い、得られた有機層を硫酸ナトリウム
で乾燥し溶媒を除去した。得られた固体をアセトニトリ
ルを用いてゴムシールドボトルへ移し、減圧し溶媒を除
去した。さらにアセトニトリルとの供沸操作を2回行っ
た。これ以上の精製はせず、このままDNA合成機へ取
り付けオリゴマー合成を行った。DNA合成機を用いて
オリゴマー(5’−CNUGC GTG)を合成し、H
PLCを用いて精製を行った。 Massスペクトル:計算値 C61742336 1859.3354 実測値 1859.4003
【0037】前記した実施例2と同様の方法により、次
の反応式に示される化合物(9)〜化合物(11)を製
造した。以下の説明においては、この反応式に示される
化合物番号を使用する。
【0038】
【化6】
【0039】実施例3 化合物(9)の製造 DNA自動合成機に市販のアミダイト(7)を装着しフ
ォスフォロアミダイト法によりDNAを合成した。固相
担体よりアンモニア処理を65℃、4時間の条件で行う
ことでDNAを切り出しかつ脱保護を行った。アンモニ
ア留去後、HPLCにより精製を行い、目的のDNA
(5’−VCUGCGTG−3’)を得た。
【0040】実施例4 化合物(10)の製造 DNA自動合成機に市販のアミダイト(7)を装着し、
緩和条件で脱保護可能なアミダイトを用いて、フォスフ
ォロアミダイト法によりDNAを合成した。固相担体よ
りアンモニア処理を37℃、1時間の条件で行うことで
DNAを切り出しかつ脱保護を行った。アンモニア留去
後、HPLCにより精製を行い、目的のDNA(5’−
VMUGCGTG−3’)を得た。
【0041】実施例5 化合物(11)の製造 DNA自動合成機に市販のアミダイト(7)を装着し、
フォスフォロアミダイト法によりDNAを合成した。固
相担体より2Nのトリメリレンジアミンのメタノール溶
液で密封条件下65℃、4時間加熱することで、DNA
を修飾、切り出しそして脱保護を行った。1N酢酸で中
和後、メタノール及び水を留去し、HPLCにより精製
を行い、目的のDNA(5’−VAUGCGTG−
3’)を得た。
【0042】実施例6 枝分かれ構造の調製 20μMの5’−TGTGCAAAAAA−3’(OD
N 1)及び、20μMの5’−VCUGCGTG−
3’(ODN 3)を、20μMの鋳型DNA5’−C
ACGCAGGCACA−3’(ODN 2)の存在下
に、366nmの光照射を0℃で1時間行い、目的の枝
分かれ構造を有するDNAを98%の収率で得た。HP
LCによって単離した枝分かれDNAを測定することで
同定を行った。 MALDI−TOF MASS: 計算値 5249.90 実測値 5250.12
【0043】実施例7 DNA鎖内部のシトシンをウラ
シルに変換(HPLC) 20μM ODN−1、20μM ODN−2、20μM
ODN−3、50mMカコジル酸ナトリウム(pH
7.0)、100mM NaClを含む水溶液50μL
を石英チューブに加え、氷上で366nmの光照射を1
時間行った後、HPLCで、新しく現れた連結体のピー
クを分離精製した(6−14% acetonitrile、60mi
n、50mM ギ酸アンモニウムバッファー、5C18
MS column)。次に、この連結体8μM、50mMカ
コジル酸ナトリウム(pH7.0)を含む水溶液50μ
Lを90℃で2時間加熱し、新しく現れた、デアミネー
ション生成物を分離精製した(6−14% acetonitril
e、60min、50mM ギ酸アンモニウムバッファー、
5C18−MS column)。このデアミネーションした
連結体7μM、50mMカコジル酸ナトリウム(pH
7.0)を含む水溶液20μLを石英チューブを用い
て、室温で302nmの光照射を1時間行った後、HP
LCでウラシルを含んだピークを分離精製した(6−1
4% acetonitrile、60min、50mM ギ酸アンモニ
ウムバッファー)。単離したウラシルを含むDNA 7
μMを5μLとって、ヘビ毒ホスホジエステラーゼ(sn
ake venom phosphodiesterase)とアルカリホスファタ
ーゼ(alkaline phosphatase)をそれぞれ1μL(1un
it)加えて、37℃で1時間加温し、HPLCで分析し
た(3−20% アセトニトリル、20分、50mM ギ
酸アンモニウムバッファー、5C18−MS colum
n)。
【0044】結果を図2に示す。図2の最上段は反応前
のチャートであり、上から2段目は波長366nmの光
を1時間照射した後のチャートであり、上から3段目は
連結した17量体を分離して90℃で2時間加熱した後
のものであり、最下段は波長302nmの光を1時間照
射し酵素分解した後のチャートである。
【0045】実施例8 DNA鎖内部のシトシンをウラ
シルに変換(ゲル電気泳動) 1μM ODN−1、7μM ODN−2、7μM OD
N−3、50mMカコジル酸ナトリウム(pH7.
0)、100mM NaClを含む水溶液50μLを石
英チューブに加え、氷上で、366nmの光照射を1時
間行った。次に、この反応液をエッペンドルフチューブ
に移し、90℃で2時間加熱した後、再度、石英チュー
ブを用いて、室温で302nmの光照射を1時間行っ
た。さらに、反応液にウラシルDNAグリコシラーゼを
1μL(1unit)加えて、37℃で1時間加温した後、
ピペリジンを5μL加えて90℃で30分加熱した。反
応溶液をスピードバックで留去し、ローディングバッフ
ァーを加えて、7M 尿素(urea)を含んだ15%ポリ
アクリルアミドゲル電気泳動によって分析した。泳動結
果をX線フィルムで視覚化するため、−80℃で一晩保
存した。
【0046】結果を図3に示す。図3中の各レーンは次
のとおりである。 レーン1:反応前 レーン2:366nmの光照射を1時間行った。 レーン3:レーン2の後に90度加熱を2時間行った。 レーン4:レーン3の後に302nmの光照射を1時間
行った。 レーン5:レーン4の後にウラシルDNAグリコシラー
ゼで処理(37℃で1時間)して、ピペリジンで90度
加熱を30分間行った。 レーン6:レーン2の後に90度加熱を行わずに、30
2nmの光照射を1時間行った。 レーン7:レーン6の後にウラシルDNAグリコシラー
ゼで処理(37℃で1時間)して、ピペリジンで90度
加熱を30分間行った。 レーン8:5'−32P−TGTGUAAAAAAをウ
ラシルDNAグリコシラー ゼで処理(37℃
で1時間)して、ピペリジンで90度加熱を30分
間行った。 この結果、コントロールのレーン8と、光反応実験で得
られたレーン5のバンド(ウラシルでの切断)が一致し
た。レーン6、7のように90度加熱を行わないと酵素
で切断されないので、加熱によって、シトシンがウラシ
ルに変換されていることがわかる。
【0047】実施例9 デアミネーションの時間変化の
実験 1μM ODN−1、7μM ODN−2、7μM OD
N−3、50mMカコジル酸ナトリウム(pH7.
0)、100mM NaClを含む水溶液50μLを石
英チューブに加え、氷上で、366nmの光照射を1時
間行った。次に、この反応液をエッペンドルフチューブ
に移し、90℃で15分間隔で2時間まで加熱した後、
それぞれの時間の反応液を、石英チューブを用いて、室
温で302nmの光照射を1時間行い、反応液にウラシ
ルDNAグリコシラーゼを1μL(1unit)加えて、3
7℃で1時間加温し、ピペリジンを5μL加えて90℃
で30分加熱した。反応溶液をスピードバックで留去
し、ローディングバッファーを加えて、7M ureaを含
んだ15%ポリアクリルアミドゲル電気泳動によって分
析した。泳動結果をX線フィルムで視覚化するため、−
80℃で一晩保存し、デンシトメーターを用いてバンド
を定量化した。結果を図4及び図5に示す。図4の各レ
ーンは次のとおりである。 レーン1:反応前 レーン2:366nmの光照射を1時間行った。 レーン3:レーン2の後に90度加熱を行わず、302
nm光照射1時間、ウラシルDNAグリコシラーゼ処理
(37℃で1時間)、ピペリジン処理(90度加熱・3
0分)を行った。 レーン4:レーン2の後に90度加熱を15分行った。
それ以外はレーン3と同じ。 レーン5:レーン2の後に90度加熱を30分行った。
それ以外はレーン3と同じ。 レーン6:レーン2の後に90℃加熱を45分行った。
それ以外はレーン3と同じ。 レーン7:レーン2の後に90度加熱を60分行った。
それ以外はレーン3と同じ。 レーン8:レーン2の後に90度加熱を75分行った。
それ以外はレーン3と同じ。 レーン9:レーン2の後に90度加熱を90分行った。
それ以外はレーン3と同じ。 レーン10:レーン2の後に90度加熱を105分行っ
た。それ以外はレーン3と同じ。 レーン11:レーン2の後に90度加熱を120分行っ
た。それ以外はレーン3と同じ。 レーン12:5'−32P−TGTGUAAAAAAを
ウラシルDNAグリコシラ ーゼで処理(3
7℃で1時間)して、ピペリジンで90度加熱を3
0分間行った。
【0048】
【発明の効果】本発明は、光による可逆的な核酸類の連
結・解裂を利用した新規な点変異法を提供するものであ
り、本発明の方法は特定の位置の塩基を簡便な方法によ
り特異的に点変異させることができる。本発明の方法
は、酵素反応を使用する必要が無く、光を用いたユニー
クな構造を持つ核酸を合成するため、環境にもやさしい
方法である。また、本発明の方法によれば、光連結性ヌ
クレオシド含有DNAの光照射により、対象シトシンに
対するシクロブタン反応を行い枝分かれ核酸を形成さ
せ、加熱処理、及び化学反応処理を行うことでシトシン
の脱アミノ化を促進し、最終的に光解裂を行い、DN
A、及びRNA上の任意のシトシンをウラシルへと誘導
することが可能になる。本発明の方法により得られたウ
ラシル体は、ウラシルDNAグリコシラーゼ処理を行う
ことで任意の位置で特異的に切断することができる。こ
のような変換はDNAのみならず、mRNA上のシトシ
ンをウラシルへ特異的に変換し、mRNAの遺伝情報を
特異的に変更することができる。さらに、本発明の方法
は、フォトブランチング技術との組み合わせにより、
i)光転写制御、ii)光翻訳制御、iii)光誘導型変異
蛋白の生産等への利用が期待される。このように本発明
の方法は、後処理の必要な化学活性化剤や使用条件に制
限がかかる酵素を全く用いずに、光をトリガーとして用
いるシトシンからウラシルへの点変異技術であり、環境
にやさしい21世紀型のバイオテクノロジー技術であ
る。任意の位置のシトシンをウラシルへと点変異させる
技術としても有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の方法によりシトシンをウラシ
ルに変換する方法を化学反応式により具体的に説明する
ものである。
【図2】図2は、本発明の方法によりDNA中のシトシ
ンをウラシルに変換したときの各ステップにおけるHP
LCのチャートを示したものである。図2の上から、反
応前のチャート、波長366nmの光を1時間照射した
後のチャート、連結した17量体を分離して90℃で2
時間加熱した後のチャート、最下段は波長302nmの
光を1時間照射し酵素分解した後のチャートである。
【図3】図3は、本発明の方法によりDNA中のシトシ
ンをウラシルに変換したときの各ステップにおける電気
泳動の結果を示す、図面に代わる写真である。
【図4】図4は、本発明の方法によりDNA中のシトシ
ンをウラシルに変換する際の、デアミネーション反応を
種々の反応時間で行った場合の電気泳動の結果を示す、
図面に代わる写真である。レーン3は0分、レーン4か
らレーン11はそれぞれ反応時間を15分ずつ長くした
ものである。
【図5】図5は、本発明の方法によりDNA中のシトシ
ンをウラシルに変換する際の、デアミネーション反応に
おけるシトシン体の減少率(%)とウラシル体の生成率
(%)を時間(分)に対してプロットしたグラフであ
る。

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 変換したい塩基を有する核酸類を、光連
    結性ヌクレオシドを含有するDNAの存在下で、光照射
    して変換したい塩基と光連結性ヌクレオシドとを結合さ
    せ、変換したい塩基を化学的に変性させた後、光照射し
    て変換したい塩基と光連結性ヌクレオシドとを解裂させ
    ることからなる核酸類中の塩基が点変異した核酸類を製
    造する方法。
  2. 【請求項2】 光連結性ヌクレオシドが、DNAの末端
    に位置しているDNAである請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 光連結性ヌクレオシドが、ビニル基を導
    入したピリジミンを有する核酸を含有するものである請
    求項1又は2に記載の方法。
  4. 【請求項4】 光連結性ヌクレオシドが、 【化1】 (式中、ZはO又はNHを示し、X及びYの少なくとも
    一方は電子吸引性基を示し、X及びYの残りの基は水素
    原子を示す。)で表される基を有するヌクレオシドであ
    る請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
  5. 【請求項5】 電子吸引性基が、カルボキシル基、低級
    アルコキシカルボニル基、置換アミド基又はシアノ基で
    ある請求項4に記載の方法。
  6. 【請求項6】 ZがOで、Xが水素原子で、Yがカルボ
    キシル基、低級アルコキシカルボニル基、置換アミド基
    又はシアノ基である請求項4又は5に記載の方法。
  7. 【請求項7】 変換したい塩基が、シトシンである請求
    項1〜6のいずれかに記載の方法。
  8. 【請求項8】 化学的に変性させる方法が、脱アミノ化
    である請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
  9. 【請求項9】 核酸類の一部を固定化させるためのテン
    プレートを用いる請求項1〜8のいずれかに記載の方
    法。
  10. 【請求項10】 核酸類が、DNA、RNA、又はPN
    Aである請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
  11. 【請求項11】 核酸類中の特定の位置の塩基を、光連
    結性ヌクレオシドを含有するDNAの存在下で、光化学
    反応を利用して酵素の不存在下で他の塩基に変換するこ
    とからなる核酸類中の特定の位置の塩基が点変異した核
    酸類を製造する方法。
  12. 【請求項12】 光連結性ヌクレオシドが、ビニル基を
    導入したピリジミンを有する核酸を含有するものである
    請求項12に記載の方法。
  13. 【請求項13】 変換される塩基がシトシンである請求
    項11又は12に記載の方法。
  14. 【請求項14】 核酸類が、DNA、RNA、又はPN
    Aである請求項11〜13のいずれかに記載の方法。
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