JP4580870B2 - リボヌクレオチド又はリボヌクレオチド誘導体の製造方法 - Google Patents
リボヌクレオチド又はリボヌクレオチド誘導体の製造方法 Download PDFInfo
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Description
ホスホロアミダイト法においては、3’−5’インターヌクレオチド結合の2’−5’結合への転位やヌクレオチド鎖の切断を防止するために、ホスホロアミダイトユニット(モノマーユニット)の2’位の水酸基(2’水酸基)を適切な保護基を用いて保護することが重要であり、2’水酸基の保護基には、5’位の水酸基(5’水酸基)の保護基の除去、リン酸ジエステルの保護基の除去、核酸塩基の保護基の除去、ヌクレオチド鎖の固相担体からの切り出し等の条件下では安定して存在するが、これらの条件とは異なる条件下において短時間に除去できるという特性が求められる。
従来、2’水酸基の保護基としては、例えば、アセタール系保護基、シリル系保護基等が知られている。
しかしながら、これまでのアセタール系保護基は、5’水酸基の保護基の除去、リン酸ジエステルの保護基の除去、核酸塩基の保護基の除去、ヌクレオチド鎖の固相担体からの切り出し等の条件下において安定して存在することができなかったため、3’−5’インターヌクレオチド結合の2’−5’結合への転位やヌクレオチド鎖の切断を防止することができなかった。例えば、5’水酸基の保護基として一般的に用いられる4,4’−ジメトキシトリチル基(DMTr基)は酸処理により除去可能であるが、これまでのアセタール系保護基も酸処理により除去可能であったため、アセタール系保護基とDMTr基とを組み合わせて用いると、DMTr基の脱離とともにアセタール系保護基の脱離が生じ、3’−5’インターヌクレオチド結合の2’−5’結合への転位やヌクレオチド鎖の切断を防止することができなかった。一方、酸に対して安定であるアセタール系保護基として2’−O−1−(2−シアノエトキシ)エチル基(CEE基)が知られていたが(Wolfgang Pfleiderer等,HELVETICA CHIMICA ACTA,第81巻,1545−1566頁,1998年;特開平7−196683号公報)、このアセタール系保護基は酸に対する安定性が高過ぎるため、RNAを分解しないような酸性条件下では除去することができず、2’水酸基の保護基としては不適当であると考えられていた。
このため、現在、2’水酸基の保護基としては、TBDMS等のシリル系の保護基が一般的に用いられている。また、DMTr基の脱保護条件では安定であって、DMTr基の脱保護条件とは異なる酸性条件で除去できるアセタール系保護基として、1−(2−フルオロフェニル)−4−メトキシピペリジン−4−イル(Fpmp)基や、1−(4−クロロフェニル)−4−エトキシピペリジン−4−イル(Cpep)基が開発されている。
しかしながら、TBDMS等のシリル系保護基は、2’水酸基への導入効率が低い、分子が嵩高いため立体障害となり縮合反応効率が低い等の問題点がある。
上記課題を解決するために、本発明は、以下のリボヌクレオチド又はリボヌクレオチド誘導体の製造方法を提供する。
(1)次式(II):
[式中、Bは核酸塩基又はその誘導体を表し、Xはオキソアニオン又はチオアニオンを表し、Y及びZは互いに独立して水素原子、固相担体又は水酸基の保護基を表し、R1は水素原子又は置換基を有していてもよいトリチル基若しくは9−フェニルキサンテニル基を表し、R2、R3及びR4は互いに独立して水素原子、ハロゲン原子又は置換基を有していてもよいアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基、アラルキル基、アシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基、アルキルチオカルボニル基、アルコキシチオカルボニル基、アリールチオカルボニル基、アラルキルチオカルボニル基、アリールオキシチオカルボニル基若しくはアラルキルオキシチオカルボニル基を表し、R5は電子吸引基を表し、nは1以上の整数を表す。]
で表されるリボヌクレオチド誘導体(II)をフッ化物処理することにより、
次式(I):
[式中、B、X、Y、Z、R1及びnは前記と同義である。]
で表されるリボヌクレオチド又はリボヌクレオチド誘導体(I)を製造する工程を含む、リボヌクレオチド又はリボヌクレオチド誘導体(I)の製造方法。
(2)前記フッ化物としてテトラブチルアンモニウムフルオリドを用いる前記(1)記載の製造方法。
(3)次式(II):
[式中、Bは核酸塩基又はその誘導体を表し、Xはオキソアニオン又はチオアニオンを表し、Y及びZは互いに独立して水素原子、固相担体又は水酸基の保護基を表し、R1は水素原子又は置換基を有していてもよいトリチル基若しくは9−フェニルキサンテニル基を表し、R2、R3及びR4は互いに独立して水素原子、ハロゲン原子又は置換基を有していてもよいアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基、アラルキル基、アシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基、アルキルチオカルボニル基、アルコキシチオカルボニル基、アリールチオカルボニル基、アラルキルチオカルボニル基、アリールオキシチオカルボニル基若しくはアラルキルオキシチオカルボニル基を表し、R5は電子吸引基を表し、nは1以上の整数を表す。]
で表されるリボヌクレオチド誘導体(II)を、無水溶媒中、シリル化剤存在下で第3級アミン処理又はホスファゼン塩基処理した後、中性条件又は酸性条件下で加水分解することにより、
次式(I):
[式中、B、X、Y、Z、R1及びnは前記と同義である。]
で表されるリボヌクレオチド又はリボヌクレオチド誘導体(I)を製造する工程を含む、リボヌクレオチド又はリボヌクレオチド誘導体(I)の製造方法。
(4)前記第3級アミンとして1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセンを用いる前記(3)記載の方法。
(5)次式(III):
[式中、Bは核酸塩基又はその誘導体を表し、Wは酸素原子又は硫黄原子を表し、Y及びZは互いに独立して水素原子、固相担体又は水酸基の保護基を表し、R1は水素原子又は置換基を有していてもよいトリチル基若しくは9−フェニルキサンテニル基を表し、R2、R3及びR4は互いに独立して水素原子、ハロゲン原子又は置換基を有していてもよいアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基、アラルキル基、アシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基、アルキルチオカルボニル基、アルコキシチオカルボニル基、アリールチオカルボニル基、アラルキルチオカルボニル基、アリールオキシチオカルボニル基若しくはアラルキルオキシチオカルボニル基を表し、R5は電子吸引基を表し、R6はリン酸保護基を表し、nは1以上の整数を表す。]
で表されるリボヌクレオチド誘導体(III)をアンモニア処理又は第1級アミン処理することにより、前記リボヌクレオチド誘導体(II)を製造する工程を含む、前記(1)〜(4)のいずれかに記載の製造方法。
(6)前記式(III)においてBで表される核酸塩基が、次式:
[式中、R7はフェノキシアセチル基、フェニルアセチル基、アセチル基又はベンゾイル基を表し、R8はイソブチリル基又はベンゾイル基を表し、R9はフェノキシアセチル基、フェニルアセチル基、アセチル基又はイソブチリル基を表し、R10は2−シアノエチル基を表し、R11はベンゾイル基、4−メトキシベンゾイル基又は4−メチルベンゾイル基を表し、R12はジメチルアミノメチレン基を表す。]
で表される保護基を有する核酸塩基である前記(5)記載の製造方法。
(7)酸処理によりR1で表される5’水酸基の保護基を除去する工程を含む、前記(1)〜(6)のいずれかに記載の製造方法。
(8)次式(III):
[式中、Bは核酸塩基又はその誘導体を表し、Wは酸素原子又は硫黄原子を表し、Y及びZは互いに独立して水素原子、固相担体又は水酸基の保護基を表し、R1は水素原子又は置換基を有していてもよいトリチル基若しくは9−フェニルキサンテニル基を表し、R2、R3及びR4は互いに独立して水素原子、ハロゲン原子又は置換基を有していてもよいアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基、アラルキル基、アシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基、アルキルチオカルボニル基、アルコキシチオカルボニル基、アリールチオカルボニル基、アラルキルチオカルボニル基、アリールオキシチオカルボニル基若しくはアラルキルオキシチオカルボニル基を表し、R5は電子吸引基を表し、R6はリン酸保護基を表し、nは1以上の整数を表す。]
で表されるリボヌクレオチド誘導体(III)を、無水溶媒中、シリル化剤存在下で第3級アミン処理又はホスファゼン塩基処理した後、中性条件又は酸性条件下で加水分解することにより、
次式(I):
[式中、B、X、Y、Z、R1及びnは前記と同義である。]
で表されるリボヌクレオチド又はリボヌクレオチド誘導体(I)を製造する工程を含む、リボヌクレオチド又はリボヌクレオチド誘導体(I)の製造方法。
(9)前記第3級アミンとして1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセンを用いる前記(8)記載の方法。
(10)酸処理によりR1で表される5’水酸基の保護基を除去する工程を含む、前記(8)又は(9)記載の製造方法。
図2は、2’−O−[1−(2−シアノエトキシ)エチル]]−5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−ウリジン−3’−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホロアミダイト)(5)の合成工程を示す図である。
図3は、液相法による保護されたウリジル酸2量体の合成工程を示す図である。
図4は、ウリジル酸2量体の脱保護工程を示す図である。
リボヌクレオチド誘導体(III)が有する2’水酸基の保護基は、核酸塩基又はその誘導体が有する保護基の除去、R6で表されるリン酸保護基の除去、ヌクレオチド鎖の固相担体からの切り出し等の際に一般的に用いられるアンモニア又は第1級アミンに対して安定であるが、アンモニア又は第1級アミンによる処理時間が長時間であると若干脱離するおそれがある。したがって、上記式(III)においてBで表される核酸塩基又はその誘導体が保護基を有する場合、当該保護基は、ヌクレオチド誘導体(III)のアンモニア処理又は第1級アミン処理により、R6で表されるリン酸保護基とともに短時間で除去できることが好ましい。このような保護基としては、例えば、上記のような脂肪族アシル基、芳香族アシル基、置換基を有する脂肪族アシル基又は芳香族アシル基、β脱離による除去が可能な、電子吸引基を有するエチル基、ジアルキルアミノメチレン基等が挙げられる。このような保護基を有する核酸塩基又はその誘導体を以下に例示する。
[式中、R7はフェノキシアセチル基、フェニルアセチル基、アセチル基又はベンゾイル基を表し、R8はイソブチリル基又はベンゾイル基を表し、R9はフェノキシアセチル基、フェニルアセチル基、アセチル基又はイソブチリル基を表し、R10は2−シアノエチル基を表し、R11はベンゾイル基、4−メトキシベンゾイル基又は4−メチルベンゾイル基を表し、R12はジメチルアミノメチレン基を表す。]
ウラシル又はその誘導体に関しては通常保護基を必要としないが、ベンゾイル基、4−メトキシベンゾイル基又は4−メチルベンゾイル基を導入することにより、合成中間体の脂溶性及び結晶性が向上し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによる精製や結晶化が容易になる。
Bで表される核酸塩基又はその誘導体が保護基として上記のような脂肪族アシル基、芳香族アシル基、置換基を有する脂肪族アシル基又は芳香族アシル基、β脱離による除去が可能な、電子吸引基を有するエチル基、ジアルキルアミノメチレン基等を有する場合、当該保護基は、アンモニア処理又は第1級アミン処理により除去することができる。また、Bで表される核酸塩基又はその誘導体が保護基としてジメトキシトリチル基、モノメトキシトリチル基等のトリチル基を有する場合、当該保護基は、酸処理により除去することができる。また、Bで表される核酸塩基又はその誘導体が保護基として上記のようなβ脱離による除去が可能な電子吸引基を有するアルコキシカルボニル基を有する場合、当該保護基は、第3級アミン処理又はホスファゼン塩基処理により除去することができる。
上記式(I)、(II)又は(III)には、Bで表される核酸塩基又はその誘導体が複数個含まれているが、これらは同一の種類であってもよいし、異なる種類であってもよい。
上記式(I)、(II)又は(III)において、R1で表されるトリチル基又は9−フェニルキサンテニル基は置換基を有していてもよいし、置換基を有していなくてもよい。なお、R1で表されるトリチル基又は9−フェニルキサンテニル基は5’水酸基の保護基であり、当該保護基は、酸処理により除去することができる。
トリチル基は、3個のフェニル基のうち1個以上に置換基を有することができる。トリチル基又は9−フェニルキサンテニル基は、フェニル基の2位、3位又は4位のいずれか1以上に置換基を有することができる。トリチル基又は9−フェニルキサンテニル基が複数の置換基を有する場含、置換基の種類は同一であってもよいし、異なっていてもよい。
トリチル基又は9−フェニルキサンテニル基が有する置換基は特に限定されるものではなく、その具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、t−ペンチル基、ネオペンチル基等のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基等のアルコシキ基等が挙げられる。
置換基を有するトリチル基としては、例えば、4−メトキシトリチル基、4,4’−ジメトキシトリチル基、4,4’,4’’−トリメトキシトリチル基、4−メチルトリチル基、4,4’−ジメチルトリチル基等が挙げられるが、これらのうち、4,4’−ジメトキシトリチル基が好ましい。
置換基を有する9−フェニルキサンテニル基としては、例えば、9−(4’−メトキシフェニル)キサンテニル基、9−(4’−メチルフェニル)キサンテニル基等が挙げられるが、これらのうち、9−(4’−メトキシフェニル)キサンテニル基が好ましい。
上記式(II)又は(III)において、R2、R3又はR4で表されるハロゲン原子は特に限定されるものではなく、その具体例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。
上記式(II)又は(III)において、R2、R3又はR4で表されるアルキル基は特に限定されるものではなく、その具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、t−ペンチル基、ネオペンチル基等の炭素数1〜5の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が挙げられる。
上記式(II)又は(III)において、R2、R3又はR4で表されるアルケニル基は特に限定されるものではなく、その具体例としては、ビニル基、アリル基、クロチル(2−ブテニル)基、イソプロペニル(1−メチルビニル)基等の炭素数2〜5のアルケニル基が挙げられる。
上記式(II)又は(III)において、R2、R3又はR4で表されるアルキニル基は特に限定されるものではなく、その具体例としては、エチニル基、1−プロピニル基、プロパルギル基等の炭素数2〜5のアルキニル基が挙げられる。
上記式(II)又は(III)において、R2、R3又はR4で表されるシクロアルキル基は特に限定されるものではなく、その具体例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等の炭素数3〜6のシクロアルキル基が挙げられる。
上記式(II)又は(III)において、R2、R3又はR4で表されるシクロアルケニル基は特に限定されるものではなく、その具体例としては、シクロペンテニル、シクロヘキセニル等の炭素数5〜6のシクロアルケニル基が挙げられる。
上記式(II)又は(III)において、R2、R3又はR4表されるアリール基は特に限定されるものではなく、その具体例としては、フェニル基、p−メトキシフェニル基、3,5−ジメトキシフェニル基、p−クロロフェニル基、p−フルオロフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、ナフチル基等の置換又は非置換の芳香族炭化水素基;フリル基、チエニル基、ピリジル基、ピロリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、ピラリジニル基、キノリル基、イソキノリル基等の置換又は非置換の芳香族複素環基が挙げられる。
上記式(II)又は(III)において、R2、R3又はR4で表されるアラルキル基は特に限定されるものではなく、その具体例としては、ベンジル基、α−メチルベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基が挙げられる。
上記式(II)又は(III)において、R2、R3又はR4で表されるアシル基は特に限定されるものではなく、その具体例としては、アセチル基、トリフルオロアセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、ピバロイル基等の炭素数1〜5の脂肪族アシル基;ベンゾイル基、3,5−ジメチルベンゾイル基、2,4,6−トリメチルベンゾイル基、2,6−ジメトキシベンゾイル基、2,4,6−トリメトキシベンゾイル基、2,6−ジイソプロポキシベンゾイル基、ナフチルカルボニル基、アントリルカルボニル基等の芳香族アシル基が挙げられる。
上記式(II)又は(III)において、R2、R3又はR4で表されるアルコキシ基は特に限定されるものではなく、その具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基等の炭素数1〜5の直鎖状又は分岐鎖状のアルコキシ基が挙げられる。
上記式(II)又は(III)において、R2、R3又はR4で表されるアリールオキシ基は特に限定されるものではなく、その具体例としては、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等のアリールオキシ基が挙げられる。
上記式(II)又は(III)において、R2、R3又はR4で表されるアラルキルオキシ基は特に限定されるものではなく、その具体例としては、ベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基等のアラルキルオキシ基が挙げられる。
上記式(II)又は(III)において、R2、R3又はR4で表されるアルコキシカルボニル基は特に限定されるものではなく、その具体例としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、n−オクチルオキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基が挙げられる。
上記式(II)又は(III)において、R2、R3又はR4で表されるアリールオキシカルボニル基は特に限定されるものではなく、その具体例しては、フェノキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等のアリールオキシカルボニル基が挙げられる。
上記式(II)又は(III)において、R2、R3又はR4で表されるアラルキルオキシカルボニル基は特に限定されるものではなく、その具体例としては、ベンジルオキシカルボニル基、フェネチルオキシカルボニル基等のアラルキルオキシカルボニル基が挙げられる。
上記式(II)又は(III)において、R2、R3又はR4で表されるアルキルチオカルボニル基は特に限定されるものではなく、その具体例としては、メチルチオカルボニル基、エチルチオカルボニル基、n−ブチルチオカルボニル基、n−オクチルチオカルボニル基等のアルキルチオカルボニル基が挙げられる。
上記式(II)又は(III)において、R2、R3又はR4で表されるアルコキシチオカルボニル基は特に限定されるものではなく、その具体例としては、メトキシチオカルボニル基、エトキシチオカルボニル基、n−ブトキシチオカルボニル基、n−オクチルオキシチオカルボニル基等のアルコキシチオカルボニル基が挙げられる。
上記式(II)又は(III)において、R2、R3又はR4で表されるアリールチオカルボニル基は特に限定されるものではなく、その具体例としては、フェニルチオカルボニル基、ナフチルチオカルボニル基等のアリールチオカルボニル基が挙げられる。
上記式(II)又は(III)において、R2、R3又はR4で表されるアラルキルチオカルボニル基は特に限定されるものではなく、その具体例としては、ベンジルチオカルボニル基、フェネチルチオカルボニル基等のアラルキルチオカルボニル基が挙げられる。
上記式(II)又は(III)において、R2、R3又はR4で表されるアリールオキシチオカルボニル基は特に限定されるものではなく、その具体例としては、フェノキシチオカルボニル基、ナフチルオキシチオカルボニル基等のアリールオキシチオカルボニル基が挙げられる。
上記式(II)又は(III)において、R2、R3又はR4で表されるアラルキルオキシチオカルボニル基は特に限定されるものではなく、その具体例としては、ベンジルオキシチオカルボニル基、フェネチルオキシチオカルボニル基等のアラルキルオキシチオカルボニル基が挙げられる。
上記式(II)又は(III)において、R2、R3又はR4で表されるアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基、アラルキル基、アシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基、アルキルチオカルボニル基、アルコキシチオカルボニル基、アリールチオカルボニル基、アラルキルチオカルボニル基、アリールオキシチオカルボニル基又はアラルキルオキシチオカルボニル基は、置換基を有していてもよいし、置換基を有していなくてもよい。
上記式(II)又は(III)において、R2(又はR3)とR4とは、相互に連結して、R2(又はR3)及びR4がそれぞれ結合している炭素原子と共同して環を形成してもよい。
上記式(II)又は(III)において、R5で表される電子吸引基(電子求引基)は特に限定されるものではなく、その具体例としては、シアノ基、ニトロ基、p−ニトロフェニル基、アルキルスルホニル基(例えば、メチルスルホニル基、トリフルオロメチルスルホニル基、エチルスルホニル基等)、アリールスルホニル基(例えば、フェニルスルホニル等)、トリフルオロメチル基、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル(例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル等)、ヒドロキシカルボニル、アリールオキシカルボニル(例えば、フェノキシカルボニル等)等が挙げられるが、シアノ基であることが好ましい。
上記式(III)において、R6で表されるリン酸保護基は特に限定されるものではなく、その具体例としては、メチル基、2−シアノエチル基、2−(トリメチルシリル)エチル基、2−(p−ニトロフェニル)エチル基等が挙げられるが、これらのうち、メチル基又は2−シアノエチル基が好ましい。
上記式(I)又は(II)には、Xで表されるオキソアニオン(O−)又はチオアニオン(S−)が複数個含まれているが、これらは同一種類のアニオンであってもよいし、異なる種類のアニオンであってもよい。
上記式(III)には、Wで表される酸素原子又は硫黄原子が複数個含まれているが、これらは同一種類の原子であってもよいし、異なる種類の原子であってもよい。
上記式(I)、(II)又は(III)において、Y及びZで表される水酸基の保護基は、R1で表される5’水酸基の保護基が除去される条件下で除去されない限り特に限定されるものではないが、その具体例としては、t−ブチルジメチルシリル基、t−ブチルジフェニルシリル基等のシリル基;レブリニル基、アセチル基、フェニルアセチル基、フェノキシアセチル基、ブチリル基、プロピオニル基、ベンゾイル基等のアシル基;テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル等の環状保護基;イソプロピリデン基、メトキシメチリデン基、ベンジリデン基等の2’3’−環状アセタール型保護基等が挙げられるが、これらのうち、フェノキシアセチル基又はt−ブチルジフェニルシリル基が好ましい。Y及びZがともに水酸基の保護基を表す場合、Y及びZで表される水酸基の保護基は同一種類であってもよいし、異なる種類であってもよい。
Y及びZで表される水酸基の保護基が上記のようなアシル基である場合、当該保護基は、アンモニア処理又は第1級アミン処理により除去することができる。また、Y及びZで表される水酸基の保護基が上記のような環状保護基、2’3’−環状アセタール型保護基等である場合、ギ酸等の酸処理によって除去することができる。また、Y及びZで表される水酸基の保護基が上記のようなシリル基である場合、当該保護基は、テトラブチルアンモニウムフルオリド(TBAF)等のフッ化物処理により除去することができる。
上記式(I)、(II)又は(III)において、Y及びZで表される固相担体は特に限定されるものではないが、その具体例としては、アミノアルキル化された高分子担体(例えばポリスチレン)、多孔性の球状グラスビーズ(controlled pore glass:CPG)、ポリエチレングリコール等が挙げられる。ヌクレオチドの水酸基とY及びZで表される固相担体とは、直接結合していてもよいし、コハク酸エステル、シュウ酸エステル、フタル酸エステル、4−カルボキシフェニル(ジイソプロピル)シリル基(A.Kobori,et al.Chem.Lett.,16−17(2002))等のスペーサー(リンカー)を介して結合していてもよい。Y及びZがともに固相担体を表す場合、Y及びZで表される固相担体は同一種類であってもよいし、異なる種類であってもよい。
Y及びZで表される固相担体がコハク酸エステル、シュウ酸エステル、フタル酸エステル等のスペーサーを介して水酸基と結合している場合、当該固相担体は、アンモニア処理又は第1級アミン処理により除去することができる。
Y及びZで表される固相担体が4−カルボキシフェニル(ジイソプロピル)シリル基を介して水酸基と結合している場合、当該固相担体は、テトラブチルアンモニウムフルオリド(TBAF)等のフッ化物処理により除去することができる。
上記式(I)、(II)又は(III)において、nは1以上の整数である限り特に限定されないが、通常は1〜100の整数であり、好ましくは1〜30の整数である。
以下、R1が置換基を有していてもよいトリチル基若しくは9−フェニルキサンテニル基であるリボヌクレオチド誘導体(I)、(II)又は(III)をそれぞれ「リボヌクレオチド誘導体(I−1)」、「リボヌクレオチド誘導体(II−1)」又は「リボヌクレオチド誘導体(III−1)」といい、R1が水素原子であるリボヌクレオチド誘導体(I)、(II)又は(III)をそれぞれ「リボヌクレオチド誘導体(I−2)」、「リボヌクレオチド誘導体(II−2)」又は「リボヌクレオチド誘導体(III−2)」という。
〔リボ核酸合成モノマーの製造〕
次式(a):
[式中、Bは前記と同義である。]
で表されるリボヌクレオシド又はリボヌクレオシド誘導体(a)をピリジン、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル等の有機溶媒に溶解し、これに1,3−ジクロロ−1,1,3,3−テトライソプロピルジシロキサン、ジ−tert−ブチルジクロロシラン又はジ−tert−ブチルシリルビス(トリフルオロメタンスルホン酸)を添加するとともに、発生する塩化水素やトリフルオロメタンスルホン酸の捕捉剤としてピリジン、トリエチルアミン等を添加して反応させることにより、次式(b):
[式中、Bは前記と同義であり、R13は1,1,3,3−テトライソプロピルジシロキサン−1,3−ジイル基又はジ−tert−ブチルシランジイル基を表す。]
で表されるリボヌクレオシド誘導体(b)を製造することができる。この際の反応温度は通常0〜40℃、好ましくは15〜25℃であり、反応時間は通常1〜12時間、好ましくは4〜8時間である。また、1,3−ジクロロ−1,1,3,3−テトライソプロピルジシロキサン、ジ−tert−ブチルジクロロシラン又はジ−tert−ブチルシリルビス(トリフルオロメタンスルホン酸)の添加量は、リボヌクレオシド又はリボヌクレオシド誘導体(a)に対して通常1〜2モル当量、好ましくは1〜1.2モル当量であり、捕捉剤の添加量は、リボヌクレオシド又はリボヌクレオシド誘導体(a)に対して通常1〜2モル当量、好ましくは1〜1.2モル当量である。
次いで、リボヌクレオシド誘導体(b)を1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、トルエン、アセトニトリル等の有機溶媒に溶解し、これに次式(c):
[式中、R2、R3、R4及びR5は前記と同義である。]
で表される化合物(c)を添加するとともに、触媒としてp−トルエンスルホン酸水和物、p−トルエンスルホン酸ピリジニウム塩、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、塩化水素、硫酸等を添加して反応させることにより、次式(d):
[式中、B、R2、R3、R4、R5及びR13は前記と同義である。]
で表されるリボヌクレオシド誘導体(d)を製造することができる。この際の反応温度は通常0〜40℃、好ましくは15〜25℃であり、反応時間は通常10分間〜1時間、好ましくは10〜20である。また、化合物(c)の添加量は、リボヌクレオシド誘導体(b)に対して通常1.1〜10モル当量、好ましくは1.1〜5モル当量であり、触媒の添加量は、リボヌクレオシド誘導体(b)に対して通常0.1〜10モル当量、好ましくは1.1〜5モル当量である。
次いで、リボヌクレオシド誘導体(d)をテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジクロロメタン、アセトニトリル等の有機溶媒に溶解し、フッ素化剤(例えば、テトラブチルアンモニウムフルオリド、トリエチルアミントリハイドロフルオリド、フッ化水素ピリジン等)と酸(例えば、酢酸、塩酸、硫酸)とを任意の混合比の混合試薬として反応させることにより、次式(e):
[式中、B、R2、R3、R4及びR5は前記と同義である。]
で表されるリボヌクレオシド誘導体(e)を製造することができる。この際の反応温度は通常0〜40℃、好ましくは15〜25℃であり、反応時間は通常15〜20時間、好ましくは16〜18時間である。また、混合試薬におけるフッ素化剤と酸との混合比は、通常1:1〜1:2、好ましくは1:1〜1:1.5であり、混合試薬の添加量は、リボヌクレオシド誘導体(d)に対して通常2〜10モル当量、好ましくは3〜5モル当量である。
次いで、リボヌクレオシド誘導体(e)を、ピリジン等の有機溶媒に溶解し、これにR1a−Cl[式中、R1aは置換基を有していてもよいトリチル基若しくは9−フェニルキサンテニル基を表す。]を添加して反応させることにより、次式(f):
[式中、R1a、R2、R3、R4及びR5は前記と同義である。]
で表されるリボヌクレオシド誘導体(f)を製造することができる。この際の反応温度は通常0〜40℃、好ましくは15〜25℃であり、反応時間は通常4〜12時間、好ましくは6〜8時間である。また、R1a−Clの添加量は、リボヌクレオシド誘導体(e)に対して通常1〜2モル当量、好ましくは1〜1.1モル当量である。
こうして製造されたリボヌクレオシド誘導体(f)は、リボ核酸合成モノマーであるリボヌクレオシド誘導体(h)を製造するにあたっての中間体である。
次いで、リボヌクレオシド誘導体(f)を、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジクロロメタン、アセトニトリル等の有機溶媒に溶解し、これに次式(g):
[式中、R6は前記と同義であり、R14及びR15は同一の又は異なるアルキル基を表す。]
で表される化合物(g)及び亜リン酸化剤(例えば、2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホロクロリダイト、メチル−N,N−ジイソプロピルホスホロクロリダイト等)を添加して反応させることにより、次式(h):
[式中、R1a、R2、R3、R4、R5、R6、R14及びR15は前記と同義である。]
で表されるリボヌクレオシド誘導体(h)を製造することができる。この際の反応温度は通常0〜25℃、好ましくは15〜25℃であり、反応時間は通常1〜3時間、好ましくは2〜3時間である。また、化合物(g)の添加量は、リボヌクレオシド誘導体(f)に対して通常1〜2モル当量、好ましくは1〜1.1モル当量であり、亜リン酸化剤の添加量は、リボヌクレオシド誘導体(f)に対して通常1〜2モル当量、好ましくは1〜1.1モル当量である。
上記式(g)及び(h)において、R14及びR15で表されるアルキル基は特に限定されるものではなく、その具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、t−ペンチル基、ネオペンチル基等の炭素数1〜5の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が挙げられるが、これらのうち、エチル基又はイソプロピル基が好ましい。R14及びR15で表されるアルキル基は同一であってもよいし、異なっていてもよい。また、R14及びR15で表されるアルキル基が一体となって環を形成していてもよい。
こうして製造されたリボヌクレオシド誘導体(h)は、リボ核酸合成のモノマーとなる。
〔リボヌクレオチド誘導体(III−1)の製造〕
(工程1)5’水酸基の脱保護
常法に従って得られる次式(i):
[式中、B、R1a、Y及びZは前記と同義である。]
で表されるリボヌクレオシド誘導体(i)を酸処理することにより、R1aで表される5’水酸基の保護基を除去し、5’水酸基の脱保護を行う。この際、酸処理は、例えば、トリフルオロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸等を1〜5%の濃度になるようにジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等の有機溶媒に溶解した溶液を用いて行うことができる。当該溶液を用いた処理温度は通常0〜40℃、好ましくは15〜25℃であり、処理時間は通常0.5〜10分、好ましくは0.5〜1分である。
(工程2)ホスホロアミダイト体の活性化及び縮合反応による鎖伸長
リボヌクレオシド誘導体(h)にプロトンを与えて活性化させ、5’水酸基を脱保護したリボヌクレオシド誘導体(i)と縮合反応させる。この際、反応溶媒としては、例えば、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン等を用いることができ、活性化剤としては、例えば、1H−テトラゾール、5−エチルチオテトラゾール、5−ベンジルチオテトラゾール、5−ニトロフェニルテトラゾール、3,4−ジシアノイミダゾール、3,4−ジクロロイミダゾール、3,4−ジシアノイミダゾール、ベンゾトリアゾールトリフラート、イミダゾールトリフラート、N−シアノメチルアンモニウム塩等を用いることができる。また、反応温度は通常0〜40℃、好ましくは15〜25℃であり、反応時間は通常5〜15分、好ましくは3〜5分である。
縮合反応における活性化剤としては1H−テトラゾールが一般的に用いられる。但し、縮合反応では2’水酸基の保護基の立体障害による縮合反応速度及び縮合反応収率の低下が問題となるので、1H−テトラゾールと比較して,縮合反応速度及び縮合反応収率の向上が期待できる活性化剤(例えば、5−エチルチオテトラゾール、5−ベンジルチオテトラゾール、5−ニトロフェニルテトラゾール、3,4−ジシアノイミダゾール、3,4−ジクロロイミダゾール、3,4−ジシアノイミダゾール、ベンゾトリアゾールトリフラート、イミダゾールトリフラート、N−シアノメチルアンモニウム塩等)を用いることが好ましい。N−シアノメチルアンモニウム塩としては、例えば、N−シアノメチルジメチルアンモニウムテトラフルオロホウ酸、N−シアノメチルジメチルアンモニウムヘキサフルオロリン酸、N−シアノメチルジメチルアンモニウムトリフルオロメタンスルホン酸、N−シアノメチルジメチルアンモニウムビストリフルオロメタンスルホンイミド、N−シアノメチルジメチル過塩素酸、N−シアノメチルピロリジンテトラフルオロホウ酸、N−ヘキサフルオロリン酸、N−シアノメチルピロリジントリフルオロメタンスルホン酸、N−シアノメチルピロリジントリフルオロメタンスルホンイミド、N−シアノメチルピロリジン過塩素酸、N−シアノメチルピペリジンテトラフルオロホウ酸、N−シアノメチルピペリジンヘキサフルオロリン酸、N−シアノメチルピペリジントリフルオロメタンスルホン酸、N−シアノメチルピペリジントリフルオロメタンスルホンイミド、N−シアノメチルピペリジン過塩素酸、N−シアノメチルジイソプロピルアンモニウムテトラフルオロホウ酸、N−シアノメチルジイソプロピルアンモニウムヘキサフルオロリン酸、N−シアノメチルジイソプロピルアンモニウムトリフルオロメタンスルホン酸、N−シアノメチルジイソプロピルアンモニウムトリフルオロメタンスルホンイミド、N−シアノメチルジイソプロピルアンモニウム過塩素酸等を用いることができる。
次いで、必要に応じて、未反応物の水酸基をキャッピングする。この際、キャップ化試薬としては、4−ジメチルアミノピリジンやN−メチルイミダゾールをピリジン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン等の任意の混合溶媒に0.05〜1Mの濃度になるように溶解した溶液と、無水酢酸、無水メトキシ酢酸等とを適当な混合比(例えば9:1〜19:1)で混合した溶液を用いることができる。当該溶液を用いた反応時間は通常0〜40℃、好ましくは15〜25℃であり、反応時間は通常0.5〜5分、好ましくは0.5〜1分である。
(工程3)亜リン酸結合のリン酸トリエステル結合への酸化
亜リン酸結合のリン酸トリエステル結合への酸化は、例えば、ヨウ素をピリジン、水、アセトニトリル、テトラヒドロフラン等の無機溶媒、有機溶媒又はそれらの任意の混合溶媒に0.05〜2Mの濃度になるように溶解した溶液や、過酸化t−ブチルアルコールをメチレンクロライド、トルエン等に溶解した溶液を用いて行うことができる。当該溶液を用いた反応時間は通常0〜40℃、好ましくは15〜25℃であり、反応時間は通常0.5〜5分、好ましくは0.5〜1分である。
亜リン酸結合のリン酸トリエステル結合への酸化は、酸化反応時に生じる中間体の加水分解、溶媒中のH2Oによる縮合反応効率の低下等を防止するために、無水溶媒中で行うことが好ましい。亜リン酸結合を無水溶媒中でリン酸トリエステル結合へ酸化できる試薬としては、例えば、過酸化t−ブチルアルコール、2−(フェニルスルホニル)−3−(3−ニトロフェニル)オキサジリジン、2−(フェニルスルホニル)−3−フェニルオキサジリジン、(1S)−(+)−カンファースルフォニルオキサジリジン、(1S)−(+)−8,8−ジクロロカンファースルフォニルオキサジリジン等を用いることができる。
上記工程1〜3により、次式(j−1):
[式中、B、R1a、R2、R3、R4、R5、R6、Y及びZは前記と同義である。]
で表されるリボヌクレオチド誘導体(j−1)(ダイマー)を製造することができる。
また、上記工程3において、酸化反応の代わりに硫化反応を行うことにより、次式(j−2):
[式中、B、R1a、R2、R3、R4、R5、R6、Y及びZは前記と同義である。]
で表されるリボヌクレオチド誘導体(j−2)(ダイマー)を製造することができる。硫化反応は、例えば、硫黄、Beaucage試薬(3H−1,2−ベンゾジチオール−3−オン−1,1−ジオキシド)等を用いて行うことができる。
次いで、上記工程1〜3に従って、リボヌクレオチド誘導体(j−1)又は(j−2)(ダイマー)とリボヌクレオシド誘導体(h)(モノマー)とを反応させることにより、次式(k):
[式中、B、R1a、R2、R3、R4、R5、R6、W、Y及びZは前記と同義である。]
で表されるリボヌクレオチド誘導体(k)(トリマー)を製造することができる。
同様にして上記工程1〜3を繰り返すことにより、リボヌクレオチド誘導体(III−1)(オリゴマー)を製造することができる。
上記工程1〜3は、市販の核酸合成機を用いて行ってもよい。
〔リボヌクレオチド誘導体(III−2)の製造〕
リボヌクレオチド誘導体(III−2)は、リボヌクレオチド誘導体(III−1)を酸処理し、R1aで表される5’水酸基の保護基を除去することにより製造することができる。酸としては、例えば、トリフルオロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸等を用いることができるが、ジクロロ酢酸を用いることが好ましい。酸処理は、具体的には、上記酸をジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等に濃度が1〜5%となるように溶解した溶液を用いて行うことができる。当該溶液を用いた処理温度は通常0〜40℃、好ましくは15〜25℃であり、処理時間は通常0.5〜5分、好ましくは0.5〜1分である。
リボヌクレオチド誘導体(III−1)において、Bで表される核酸塩基又はその誘導体が保護基としてジメトキシトリチル基、モノメトキシトリチル基等のトリチル基を有する場合、当該保護基は、ヌクレオチド誘導体(III−1)の酸処理により、R1aで表される5’水酸基の保護基とともに除去される。
〔リボヌクレオチド誘導体(II−1)の製造〕
リボヌクレオチド誘導体(II−1)は、リボヌクレオチド誘導体(III−1)を塩基処理し、R6で表されるリン酸保護基を除去することにより製造することができる。塩基としては、R6で表されるリン酸保護基は除去するが2’水酸基の保護基は除去しない塩基を用いることができる。このような塩基としては、例えば、アンモニア、第1級アミン等が用いることができ、第1級アミンとしては、例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン等の第1級アルキルアミンを用いることができる。塩基処理は、具体的には、上記塩基を水、エタノールに濃度が15〜30%となるように溶解した溶液を用いて行うことができる。当該溶液を用いた処理温度は通常0〜50℃、好ましくは10〜25℃であり、処理時間は通常1〜8時間、好ましくは1〜2時間である。
リボヌクレオチド誘導体(III−1)において、Bで表される核酸塩基又はその誘導体が保護基としてアセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基等の脂肪族アシル基;ベンゾイル基、4−メチルベンゾイル基、4−メトキシベンゾイル基、フェニルアセチル基、フェノキシアセチル基、4−tert−ブチルフェノキシアセチル基、4−イソプロピルフェノキシアセチル基等の芳香族アシル基;ハロゲン原子、アルキル基、アルキルオキシ基等の置換基を有する脂肪族アシル基又は芳香族アシル基;2−シアノエチル基、2−(p−ニトロフェニル)エチル基、2−(ベンゼンスルホニル)エチル基等のβ脱離による除去が可能な、電子吸引基を有するエチル基;ジメチルアミノメチレン基、ジブチルアミノメチレン基等のジアルキルアミノメチレン基を有する場合、当該保護基は、ヌクレオチド誘導体(III−1)のアンモニア処理又は第1級アミン処理により、R6で表されるリン酸保護基とともに除去される。
リボヌクレオチド誘導体(III−1)において、Y及びZで表される水酸基の保護基がレブリニル基、アセチル基、フェニルアセチル基、フェノキシアセチル基、ブチリル基、プロピオニル基、ベンゾイル基等のアシル基である場合、当該保護基は、ヌクレオチド誘導体(III−1)のアンモニア処理又は第1級アミン処理により、R6で表されるリン酸保護基とともに除去される。
リボヌクレオチド誘導体(III−1)において、Y及びZで表される固相担体がコハク酸エステル、シュウ酸エステル、フタル酸エステル等のスペーサーを介して水酸基と結合している場合、当該固相担体は、リボヌクレオチド誘導体(III−1)のアンモニア処理又は第1級アミン処理により、R6で表されるリン酸保護基とともに除去される。
〔リボヌクレオチド誘導体(II−2)の製造〕
(1)第1の製造方法
リボヌクレオチド誘導体(II−2)は、リボヌクレオチド誘導体(III−2)を塩基処理し、R6で表されるリン酸保護基を除去することにより製造することができる。塩基処理は、〔リボヌクレオチド誘導体(II−1)の製造〕と同様に行うことができる。
リボヌクレオチド誘導体(III−2)において、Bで表される核酸塩基又はその誘導体がアセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基等の脂肪族アシル基;ベンゾイル基、4−メチルベンゾイル基、4−メトキシベンゾイル基、フェニルアセチル基、フェノキシアセチル基、4−tert−ブチルフェノキシアセチル基、4−イソプロピルフェノキシアセチル基等の芳香族アシル基;ハロゲン原子、アルキル基、アルキルオキシ基等の置換基を有する脂肪族アシル基又は芳香族アシル基;2−シアノエチル基、2−(p−ニトロフェニル)エチル基、2−(ベンゼンスルホニル)エチル基等のβ脱離による除去が可能な、電子吸引基を有するエチル基;ジメチルアミノメチレン基、ジブチルアミノメチレン基等のジアルキルアミノメチレン基を有する場合、当該保護基は、ヌクレオチド誘導体(III−2)のアンモニア処理又は第1級アミン処理により、R6で表されるリン酸保護基とともに除去される。
リボヌクレオチド誘導体(III−2)において、Y及びZで表される水酸基の保護基がレブリニル基、アセチル基、フェニルアセチル基、フェノキシアセチル基、ブチリル基、プロピオニル基、ベンゾイル基等のアシル基である場合、当該保護基は、ヌクレオチド誘導体(III−2)のアンモニア処理又は第1級アミン処理により、R6で表されるリン酸保護基とともに除去される。
リボヌクレオチド誘導体(III−2)において、Y及びZで表される固相担体がコハク酸エステル、シュウ酸エステル、フタル酸エステル等のスペーサーを介して水酸基と結合している場合、当該固相担体は、リボヌクレオチド誘導体(III−2)のアンモニア処理又は第1級アミン処理により、R6で表されるリン酸保護基とともに除去される。
(2)第2の製造方法
リボヌクレオチド誘導体(II−2)は、リボヌクレオチド誘導体(II−1)を酸処理し、R1aで表される5’水酸基の保護基を除去することにより製造することができる。酸処理は、〔リボヌクレオチド誘導体(III−2)の製造〕と同様にして行うことができる。
リボヌクレオチド誘導体(II−1)において、Bで表される核酸塩基又はその誘導体が保護基としてジメトキシトリチル基、モノメトキシトリチル基等のトリチル基を有する場合、当該保護基は、リボヌクレオチド誘導体(II−1)の酸処理により、R1aで表される5’水酸基の保護基とともに除去される。
〔リボヌクレオチド誘導体(I−1)の製造〕
(1)第1の製造方法
リボヌクレオチド誘導体(I−1)は、リボヌクレオチド誘導体(II−1)をフッ化物処理し、2’水酸基の保護基を除去することにより製造することができる。フッ化物としては、例えば、テトラブチルアンモニウムフルオリド(TBAF)、フッ化カリウムと18−クラウン−6との混合試薬等を用いることができるが、TBAFを用いることが好ましい。TBAFを用いると2’水酸基の保護基を短時間で除去することができるからである。フッ化カリウムと18−クラウン−6との混合試薬を用いる場合、クラウンエーテルによりカリウムイオンが捕捉されてフッ化物イオンが遊離し、遊離したフッ化物イオンが、TBAFの場合と同様に2’水酸基の保護基を除去することができる。フッ化物処理は、具体的には、TBAFをテトラヒドロフラン等に濃度が0.5〜1Mとなるように溶解した溶液等を用いて行うことができる。当該溶液を用いた処理温度は通常0〜60℃、好ましくは15〜25℃であり、処理時間は通常0.1〜30時間、好ましくは0.2〜0.5時間である。
リボヌクレオチド誘導体(II−1)において、Y及びZで表される水酸基の保護基がt−ブチルジメチルシリル基、t−ブチルジフェニルシリル基等のシリル基である場合、当該保護基は、リボヌクレオチド誘導体(II−1)のフッ化物処理により、2’水酸基の保護基とともに除去される。
リボヌクレオチド誘導体(II−1)において、Y及びZで表される固相担体が4−カルボキシフェニル(ジイソプロピル)シリル基を介して水酸基と結合している場合、当該固相担体は、リボヌクレオチド誘導体(II−1)のフッ化物処理により、2’水酸基の保護基とともに除される。
(2)第2の製造方法
リボヌクレオチド誘導体(I−1)は、リボヌクレオチド誘導体(II−1)を、無水溶媒中、シリル化剤存在下で塩基処理した後、中性条件下で加水分解し、2’水酸基の保護基を除去することにより製造することができる。塩基としては、例えば、第3級アミン等の有機塩基、ホスファゼン塩基(Schwesinger塩基)等を用いることができる。なお、第1級アミン又は第2級アミンとシリル化剤とを併用すると、対応するシリルアミンへと変換され、第1級アミン又は第2級アミンの塩基性が極端に減少するため有効ではないと考えられる。第3級アミンとしては、例えば、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン(DBU)、ジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N−メチルピペリジン等を用いることができるが、DBUを用いることが好ましい。DBUを用いると2’水酸基の保護基を短時間で除去することができるからである。ホスファゼン塩基としては、例えば、2−tert−ブチルイミノ−2−ジエチルアミノ−1,3−ジメチル−1,3,2−ジアザホスホリナン、(tert−ブチルイミノ)トリス(ジメチルアミノ)ホスホラン、tert−ブチルトリス[トリス(ジメチルアミノ)ホスホラニリデン]ホスホリミディックトリアミド等を用いることができる。シリル化剤としては、例えば、N,O−ビストリメチルシリルアセトアミド、N,O−ビストリメチルシリルトリフルオロアセトアミド、N,O−ビストリメチルシリルベンズアミド等のトリメチルシリル化剤を用いることができる。無水溶媒としては、例えば、アセトニトリル、ニトロメタン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド等を用いることができる。塩基処理は、具体的には、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン(DBU)をアセトニトリル等に濃度が0.5〜1Mとなるように溶解した溶液等を用いて行うことができる。当該溶液を用いた処理温度は通常0〜60℃、好ましくは15〜25℃であり、処理時間は通常0.1〜30時間、好ましくは0.2〜0.5時間である。加水分解は、塩基処理の後、中性条件下で行う。加水分解は、例えば、塩基処理後の反応溶媒に酸を加えて中和し、反応溶媒中に残存する塩基を除去した後に行うことができる。酸は特に限定されるものではないが、例えば、酢酸のアセトニトリル溶液、塩化水素のアセトニトリル溶液等を用いることができる。酸による残存塩基の中和は無水条件下で行う必要がある。
シリル化剤の不存在下で塩基処理を行うと、脱保護された2’水酸基がリン酸エステルのリン原子を求核攻撃し、ヌクレオチド鎖の分解が生じる。そこで、シリル化剤存在下で塩基処理を行う。シリル化剤は、2’水酸基又は脱保護反応の中間体として生成する2’−O−2−ヒドロキシエチル基をシリル化することにより、水酸基の隣接リン原子への攻撃を抑制するので、ヌクレオチド鎖の分解が防止される。
リボヌクレオチド誘導体(II−1)を、無水溶媒中、シリル化剤存在下で塩基処理することにより、リン酸エステルはリン酸シリルエステルへと変換されるとともに、2’水酸基又は脱保護反応の中間体として生成する2’−O−2−ヒドロキシエチル基はシリル化される。リン酸シリルエステルは、水を加えると、直ちに加水分解されて遊離のリン酸エステルに変換される。シリル化された2’水酸基は、水を加えると、隣接する遊離したリン酸の分子内酸触媒作用で速やかに加水分解され、遊離の2’水酸基に変換される。脱保護反応の中間体として生成する2‘−O−2−ヒドロキシエチル基がシリル化されて2−トリメチルシロキシエチル基に変換されている場合、当該シリルエーテルは極めて不安定なため、水を加えると、直ちに加水分解され、不安定な2−ヒドロキシエチル基に変換された後、直ちにアセトアルデヒドの脱離を伴って分解し、遊離の2’水酸基に変換される。なお、加水分解処理は酸性条件下で行うこともできるが、酸性条件下で加水分解処理を行うとR1aで表される5’水酸基の保護基が除去されるので、リボヌクレオチド誘導体(I−1)の製造方法では中性条件下で加水分解処理を行う。中性条件は通常pH7.0であり、酸性条件は通常pH2.0−6.9である。
リボヌクレオチド誘導体(II−1)において、Bで表される核酸又はその誘導体が有する保護基が2−シアノエトキシカルボニル基、2−(p−ニトロフェニル)エトキシカルボニル基、2−(ベンゼンスルホニル)エトキシカルボニル基等のβ脱離による除去が可能な、電子吸引基を有するアルコキシカルボニル基である場合、当該保護基は、リボヌクレオチド誘導体(II−1)の第3級アミン処理又はホスファゼン塩基処理により除去される。
(3)第3の製造方法
リボヌクレオチド誘導体(I−1)は、リボヌクレオチド誘導体(III−1)を、無水溶媒中、シリル化剤存在下で塩基処理した後、中性条件下で加水分解し、R6で表されるリン酸保護基及び2’水酸基の保護基を除去することにより製造することができる。無水溶媒中におけるシリル化剤存在下での塩基処理及び中性条件下での加水分解処理は、上記第2の製造方法と同様に行うことができる。
リボヌクレオチド誘導体(III−1)において、Bで表される核酸又はその誘導体が有する保護基が2−シアノエトキシカルボニル基、2−(p−ニトロフェニル)エトキシカルボニル基、2−(ベンゼンスルホニル)エトキシカルボニル基等のβ脱離による除去が可能な、電子吸引基を有するアルコキシカルボニル基である場合、当該保護基は、リボヌクレオチド誘導体(III−1)の第3級アミン処理又はホスファゼン塩基処理により除去される。
〔リボヌクレオチド誘導体(I−2)の製造〕
(1)第1の製造方法
リボヌクレオチド誘導体(I−2)は、リボヌクレオチド誘導体(II−2)をフッ化物処理し、2’水酸基の保護基を除去することにより製造することができる。フッ化物処理は、〔リボヌクレオチド誘導体(I−1)の製造〕と同様にして行うことができる。
リボヌクレオチド誘導体(II−2)において、Y及びZで表される水酸基の保護基がt−ブチルジメチルシリル基、t−ブチルジフェニルシリル基等のシリル基である場合、当該保護基は、リボヌクレオチド誘導体(II−2)のフッ化物処理により、2’水酸基の保護基とともに除去される。
リボヌクレオチド誘導体(II−2)において、Y及びZで表される固相担体が4−カルボキシフェニル(ジイソプロピル)シリル基を介して水酸基と結合している場合、当該固相担体は、リボヌクレオチド誘導体(II−2)のフッ化物処理により、2’水酸基の保護基とともに除去される。
(2)第2の製造方法
リボヌクレオチド誘導体(I−2)は、リボヌクレオチド誘導体(I−1)を酸処理し、R1aで表される5’水酸基の保護基を除去することにより製造することができる。この際、ヌクレオチド鎖を分解しないように酸処理を行うことが好ましく、このような酸処理は、例えば、酢酸等を水に濃度が80%となるように溶解した水溶液、pH1.5〜2.5(好ましくはpH2.0)の水溶液(例えば、塩酸水溶液−ジオキサン混合溶液)等を用いて行うことができる。当該溶液を用いた処理温度は通常0〜50℃、好ましくは20〜30℃であり、処理時間は通常10〜120分、好ましくは20〜40分である。
リボヌクレオチド誘導体(I−1)において、Bで表される核酸塩基又はその誘導体が保護基としてジメトキシトリチル基、モノメトキシトリチル基等のトリチル基を有する場合、当該保護基は、リボヌクレオチド誘導体(I−1)の酸処理により、R1aで表される5’水酸基の保護基とともに除去される。
(3)第3の製造方法
リボヌクレオチド誘導体(I−2)は、リボヌクレオチド誘導体(II−2)を、無水溶媒中、シリル化剤存在下で塩基処理した後、中性条件又は酸性条件下で加水分解し、2’水酸基の保護基を除去することにより製造することができる。無水溶媒中におけるシリル化剤存在下での塩基処理は、〔リボヌクレオチド誘導体(I−1)の製造〕と同様に行うことができる。また、加水分解処理は、中性条件又は酸性条件下で加水分解処理を行う点を除き、〔リボヌクレオチド誘導体(I−1)の製造〕と同様に行うことができる。
ヌクレオチド鎖の3’末端の2’水酸基又は3’水酸基がシリル化されている場合、リン酸の隣接基の関与がないので、中性条件下における加水分解反応は遅いと考えられる。したがって、この場合には酸性条件下で加水分解することが好ましい。
リボヌクレオチド誘導体(II−2)において、Bで表される核酸又はその誘導体が有する保護基が2−シアノエトキシカルボニル基、2−(p−ニトロフェニル)エトキシカルボニル基、2−(ベンゼンスルホニル)エトキシカルボニル基等のβ脱離による除去が可能な、電子吸引基を有するアルコキシカルボニル基である場合、当該保護基は、リボヌクレオチド誘導体(II−2)の第3級アミン処理又はホスファゼン塩基処理により除去される。
(4)第4の製造方法
リボヌクレオチド誘導体(I−2)は、リボヌクレオチド誘導体(II−1)を、無水溶媒中、シリル化剤存在下で塩基処理した後、酸性条件下で加水分解し、2’水酸基の保護基及びR1aで表される5’水酸基の保護基を除去することにより製造することができる。無水溶媒中におけるシリル化剤存在下での塩基処理は、〔リボヌクレオチド誘導体(I−1)の製造〕と同様に行うことができる。また、加水分解処理は、酸性条件下で加水分解処理を行う点を除き、〔リボヌクレオチド誘導体(I−1)の製造〕と同様に行うことができる。
リボヌクレオチド誘導体(II−1)において、Bで表される核酸又はその誘導体が有する保護基が2−シアノエトキシカルボニル基、2−(p−ニトロフェニル)エトキシカルボニル基、2−(ベンゼンスルホニル)エトキシカルボニル基等のβ脱離による除去が可能な、電子吸引基を有するアルコキシカルボニル基である場合、当該保護基は、ヌクレオチド誘導体(II−1)の第3級アミン処理又はホスファゼン塩基処理により除去される。
(5)第5の製造方法
リボヌクレオチド誘導体(I−2)は、リボヌクレオチド誘導体(III−2)を、無水溶媒中、シリル化剤存在下で塩基処理した後、中性条件又は酸性条件下で加水分解し、R6で表されるリン酸保護基及び2’水酸基の保護基を除去することにより製造することができる。無水溶媒中におけるシリル化剤存在下での塩基処理は、〔リボヌクレオチド誘導体(I−1)の製造〕と同様に行うことができる。また、加水分解処理は、中性条件又は酸性条件下で加水分解処理を行う点を除き、〔リボヌクレオチド誘導体(I−1)の製造〕と同様に行うことができる。
リボヌクレオチド誘導体(III−2)において、Bで表される核酸又はその誘導体が有する保護基が2−シアノエトキシカルボニル基、2−(p−ニトロフェニル)エトキシカルボニル基、2−(ベンゼンスルホニル)エトキシカルボニル基等のβ脱離による除去が可能な、電子吸引基を有するアルコキシカルボニル基である場合、当該保護基は、リボヌクレオチド誘導体(III−2)の第3級アミン処理又はホスファゼン塩基により除去される。
(6)第6の製造方法
リボヌクレオチド誘導体(I−2)は、リボヌクレオチド誘導体(III−1)を、無水溶媒中、シリル化剤存在下で塩基処理した後、酸性条件下で加水分解し、R1aで表される5’水酸基の保護基、R6で表されるリン酸保護基及び2’水酸基の保護基を除去することにより製造することができる。無水溶媒中におけるシリル化剤存在下での塩基処理は、〔リボヌクレオチド誘導体(I−1)の製造〕と同様に行うことができる。また、加水分解処理は、酸性条件下で加水分解処理を行う点を除き、〔リボヌクレオチド誘導体(I−1)の製造〕と同様に行うことができる。
リボヌクレオチド誘導体(III−1)において、Bで表される核酸又はその誘導体が有する保護基が2−シアノエトキシカルボニル基、2−(p−ニトロフェニル)エトキシカルボニル基、2−(ベンゼンスルホニル)エトキシカルボニル基等のβ脱離による除去が可能な、電子吸引基を有するアルコキシカルボニル基である場合、当該保護基は、リボヌクレオチド誘導体(III−1)の第3級アミン処理又はホスファゼン塩基処理により除去される。
リボヌクレオチド誘導体(I−1)及び(I−2)の製造にあたり、核酸塩基又はその誘導体の保護基、R6で表されるリン酸保護基及び2’水酸基の保護基が除去されたヌクレオチド鎖が塩基性条件下に置かれると、ヌクレオチド鎖が分解してしまう。核酸塩基又はその誘導体の保護基、ヌクレオチド鎖の3’末端の2’水酸基又は3’水酸基の保護基及びR6で表されるリン酸保護基の除去が塩基処理により行われる場合、核酸塩基又はその誘導体の保護基、ヌクレオチド鎖の3’末端の2’水酸基又は3’水酸基の保護基及びR6で表されるリン酸保護基の除去を2’水酸基の保護基の除去よりも後に行うと、核酸塩基又はその誘導体の保護基、R6で表されるリン酸保護基及び2’水酸基の保護基が除去されたヌクレオチド鎖が塩基性条件下に置かれることになり、ヌクレオチド鎖が分解してしまう。したがって、核酸塩基又はその誘導体の保護基、ヌクレオチド鎖の3’末端の2’水酸基又は3’水酸基の保護基及びR6で表されるリン酸保護基の除去が塩基処理により行われる場合、当該塩基処理は、2’水酸基の保護基の除去よりも前に行うことが好ましい。上記の製造方法によれば、核酸塩基又はその誘導体の保護基、ヌクレオチド鎖の3’末端の2’水酸基又は3’水酸基の保護基及びR6で表されるリン酸保護基の除去を、2’水酸基の保護基の除去よりも前に行うことができるので、ヌクレオチド鎖は分解されず、リボヌクレオチド誘導体(I−1)及び(I−2)を効率よく製造することができる。
R6で表されるリン酸保護基及び2’水酸基の保護基は、R1aで表される5’水酸基の保護基の除去条件(酸性条件)下では安定して存在することができる。したがって、リボヌクレオチド誘導体(I−1)及び(I−2)の製造にあたり、R1aで表される5’水酸基の保護基の除去を行う時点は特に限定されるものではなく、核酸塩基又はその誘導体の保護基、ヌクレオチド鎖の3’末端の2’水酸基又は3’水酸基の保護基、R6で表されるリン酸保護基及び2’水酸基の保護基の除去を行う前であってもよいし、これらの除去を行った後であってもよいし、これらの除去を行う間であってもよいが、核酸塩基又はその誘導体の保護基、ヌクレオチド鎖の3’末端の2’水酸基又は3’水酸基の保護基及びR6で表されるリン酸保護基の除去を行う前であることが好ましい。R1aで表される5’水酸基の保護基の除去により脱保護された5’水酸基がリン酸エステル結合を攻撃し、ヌクレオチド鎖が切断されることを防止するためである。
リボヌクレオチド又はリボヌクレオチド誘導体の精製は、C8〜C18の逆相カラムクロマトグラフィー、C8〜C18逆相カートリッジカラム、陽イオン交換カラムクロマトグラフィー、陰イオン交換カラムクロマトグラフィー等の方法を単独で用いることにより、又は高速液体クロマトグラフィー装置と組み合わせて用いることにより行うことができる。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに詳細に説明する。
〔実施例1〕2’−O−[1−(2−シアノエトキシ)エチル]]−3’,5’−O−(1,1,3,3−テトライソプロピルジシロキサン−1,3−ジイル)ウリジン(2)の合成
本実施例の合成工程を図1に示す。
45mlの1,4−ジオキサンに溶解させた3’,5’−O−(1,1,3,3−テトライソプロピルジシロキサン−1,3−ジイル)ウリジン(1)(1.41g,3mmol)に対し、ビニルオキシプロパンニトリル(9.92g,30mmol)、p−トルエンスルホン酸−水和物(630mg,3.3mmol)を加え撹拌した。反応は10分で完結し、過剰量のピリジンを加え反応を終了させた。反応系を濃縮後ジクロロメタンで希釈し有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した。有機層を分離後、無水硫酸ナトリウムで乾燥、シリカゲルカラム(塩化メチレン、メタノール)にて精製した。目的物(2)(1.60g,2.8mmol)は2種類のジアステレオマーの混合物であり、収率94%で得られた。なお、核酸塩基として、ウリジンの代わりにアセチル化アデニン、アセチル化シトシン、アセチル化グアニンを用いた場合の収率は、それぞれ96%、97%、65%であった。
1H NMR(CDCl3)δ8.84(1H,br.s,H−N(3));7.92(1H,d,H−C(6));5.72(1H,d,H−C(5));5.67(1H,d,H−C(1’));5.13(1H,m,MeCH(O)2);4.30−3.71(7H,m,CH2CH2O,H−C(2’),H−C(3’),H−C(4’),H−C(5’);2.65(2H,m,CH2CH2O);1.44(3H,d,MeCH(O)2);1.10−0.86(28H,m,4Me2CH)。
〔実施例2〕2’−O−[1−(2−シアノエトキシ)エチル]]−5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−ウリジン(4)の合成
本実施例の合成工程を図1に示す。
2’−O−[1−(2−シアノエトキシ)エチル]]−3’,5’−O−(1,1,3,3−テトライソプロピルジシロキサン−1,3−ジイル)ウリジン(2)(568mg,1mmol)を5mlのテトラヒドロフランに溶解させ、そこへ1Mテトラブチルアンモニウムフルオリド及び1.2M酢酸のテトラヒドロフラン溶液を5ml加えて17時間室温で反応を行った。反応溶液を減圧濃縮したオイル状の残渣を少量の塩化メチレンに溶解させ、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(塩化メチレン、メタノール)によって精製し副生したテトラブチルアンモニウム酢酸塩を取り除いた。溶出してきた2’−O−[1−(2−シアノエトキシ)エチル]ウリジン(3)を濃縮した後、ピリジンによって共沸乾燥し、さらに15mlのピリジンを加えた。そこへ、4,4’−O−ジメトキシトリチルクロリド(367mg,1.1mmol)を加え、反応を開始した。8時間室温で反応させた溶液に水を加え反応を終了した。反応後の溶液を減圧濃縮し、ジクロロメタンに溶解させた。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で2回洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。硫酸ナトリウムを濾過して取り除き、ろ液を減圧濃縮した。さらにシリカゲルカラムクロマトグラフィー(1%ピリジン、塩化メチレン、メタノール)によって精製を行い、目的の2’−O−[1−(2−シアノエトキシ)エチル]−5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−ウリジン(4)(543mg,0.85mmol)を2種類のジアステレオマーの混合物として収率85%で得た。なお、核酸塩基として、ウリジンの代わりにアセチル化アデニン、アセチル化シトシン、アセチル化グアニンを用いた場合の収率は、それぞれ96%、90%、93%であった。
1H NMR(CDCl3)δ8.63(1H,br.s,H−N(3));8.00(1H,d,H−C(6));7.40−6.83(13H,m,DMTr)5.96(1H,d,H−C(1’));5.32−5.27(1H,d,H−C(5));5.20−5.05(1H,m,MeCH(O)2);4.49−4.43(1H,m,H−C(2’)):4.39−4.23(1H,m,H−C(3’)4.07−4.05(1H,m,H−C(4’));3.96−3.71(8H,m,H−C(5’),MeO);2.66−2.57(2H,m,CH2CH2O);1.43(3H,d,MeCH(O)2)。
〔実施例3〕2’−O−[1−(2−シアノエトキシ)エチル]]−5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−ウリジン−3’−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホロアミダイト)(5)の合成
本実施例の合成工程を図2に示す。
2’−O−[1−(2−シアノエトキシ)エチル]]−5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−ウリジン(4)(644mg,1mmol)をピリジン及びトルエンで3回ずつ共沸を行い乾燥させた。5mlのジクロロメタンに溶解させ0℃に冷却した。そこへジイソプロピルエチルアミン及び亜リン酸化剤である2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホロクロリダイトのジクロロメタン溶液(447μl,2mmol/5ml)を滴下した。滴下後の反応溶液を室温に戻し、1時間反応を行った。乾燥したエタノールで反応を止め、反応混合物をジクロロメタンで希釈した。有機層をリン酸緩衝溶液(pH7.0)で5回洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥、さらに減圧濃縮を行った。シリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製を行い。目的物(5)(692mg,0.82mmol)は4種類のジアステレオマーの混合物として収率82%で得られた。
1H NMR(CDCl3)δ8.65(1H,br.s,H−N(3));8.04−7.97(1H,m,H−C(6));7.40−6.80(13H,m,DMTr)5.96−5.93(1H,m,H−C(1’));5.27−5.06(2H,m,MeCH(O)2,H−C(5));4.60−3.41(12H,m,H−C(2’)H−C(3’))H−C(4’)H−C(5’),MeO,CH2CH2O,CH2CH2OP);2.69−2.55(4H,m,CH2CH2O,CH2CH2OP);1.44−1.35(3H,m,MeCH(O)2);1.188−1.13(12H,m,(CH3)2CH);1.04−1.00(2H,m,(CH3)2CH));
31P NMR(CDCl3)δ150.78,150.22,149.54,148.97
〔実施例4〕液相法による保護されたウリジル酸2量体の合成
本実施例の合成工程を図3に示す。
デシケーター中で乾燥させた2’,3’−O−ビスフェノキシアセチルウリジン(7)(24.4mg,48μmol)及び2’−O−[1−(2−シアノエトキシ)エチル]]−5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−ウリジン−3’−(2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホロアミダイト)(5)(47.4mg,56μmol)をアセトニトリルに溶解させ、そこへ0.5M 1−Hテトラゾールのアセトニトリル溶液(114μmol/228μl)を加えて室温で3時間反応させた。35.7μlの反応溶液に過酸化t−ブチルアルコールの水溶液(80wt%)を加え30分間撹拌した。反応液をジクロロメタンで希釈した後、有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で2回洗浄、硫酸ナトリウムで乾燥を行った。硫酸ナトリウムを濾過によって取り除き、濃縮乾燥した。反応混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(1%ピリジンを含む、ジクロロメタン、メタノール)によって精製を行い目的の保護されたウリジン2量体(8)(60.5mg,48μmol)を4種類のジアステレオマーの混合物として定量的に得た。
1H NMR(CDCl3)δ9.88−9.70(2H,br.m,H−N(3)(up and low));7.85−7.69(2H,m,H−C(6)(up and low));7.38−6.78(23H,m,DMTr,PheO)606−5.91(2H,m,H−C(5)(up and low));5.76−5.48(3H,m,MeCH(O)2,H−C(1’)(up and low));4.60−3.41(24H,m,H−C(2’)H−C(3’))H−C(4’)H−C(5’)(up and low),MeO,CH2CH2O,CH2CH2OP,PheOAc);2.69−2.55(4H,m,CH2CH2O,CH2CH2OP);1.42−1.25(3H,m,MeCH(O)2);
31P NMR(CDCl3)δ−1.73,−1.99,−2.10,−2.13
〔実施例5〕ウリジル酸2量体の脱保護
本実施例の脱保護工程を図4に示す。
保護されたウリジン2量体をジクロロメタンに溶解させ、そこへジクロロ酢酸(最終濃度:3%)を加え、1分間反応を行った。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で反応を止め、さらにジクロロメタン層を炭酸水素ナトリウム水溶液で2回洗浄後、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。有機層を濃縮乾固後、25%アンモニア水とエタノールとの混合溶媒(混合比3:1)を加え室温で1時間撹拌を行った。反応溶液を濃縮、凍結乾燥させた。そこへ、1Mテトラブチルアンモニウムフルオリドのテトラヒドロフラン溶液を加え、室温で2時間反応を行った。反応溶液に酢酸アンモニウム緩衝溶液を加え、反応を終結させた。反応混合物を水で希釈した後、水相をジクロロメタンで、5回洗浄を行った。水相を濃縮乾燥させ、残渣を少量の酢酸アンモニウム緩衝溶液に溶解させ逆相のシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製を行い、目的のウリジン2量体を得た。
〔実施例6〕固相法によるオリゴリボ核酸の合成
一般的なホスホロアミダイト法によるオリゴマーの合成法に準じて、オリゴリボ核酸の合成を行った。2’位又は3’位の水酸基のうち、一方をサクシニルリンカーを介して固相担体(CPG)に担持し、他方をアセチル基で保護したウリジン(1μmol)に対し、0.1Mウリジンのモノマーユニットのアセトニトリル溶液0.2ml、活性化剤として0.5Mテトラゾールのアセトニトリル溶液0.2mlを加え、反応時間5分の条件で縮合させた。さらに、(i)ヨウ素(2%)、水(2%)、ピリジン(20%)のテトラヒドロフラン溶液による酸化、(ii)無水酢酸、2,6−ルチジン(10%)のテトラヒドロフラン溶液、及び1−メチル−1−H−イミダゾール(20%)のテトラヒドロフラン溶液によるキャップ化、(iii)ジクロロ酢酸(3%(v/v))のジクロロメタン溶液による5’水酸基の脱保護のサイクルを9回繰り返した。平均の縮合反応の収率は、4,4’−ジメトキシトリチルカチオンによる定量によって行い、99.5%であった。28%アンモニア水とエタノール(3:1)の混合溶液によって、固相担体からの切り出し、及びリン原子上の脱保護を行った。目的物の溶液を凍結乾燥させ、1Mテトラブチルアンモニウムフルオリドのテトラヒドロフラン溶液を加え2’水酸基の脱保護を行った。HPLCによって精製を行い、脱保護されたウリジンの10量体を95%の収率で得ることができた。
〔実施例7〕2’−O−1−(2−シアノエトキシ)エチル基(CEE基)の脱保護条件及び安定性の検討
2’−O−[1−(2−シアノエトキシ)エチル]]−5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−ウリジン(4)におけるCEE基の脱保護条件及び安定性を検討した。
CEE基の脱保護条件及び安定性は、試薬(塩基)として、0.5M 1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン(DBU)を含有するアセトニトリル溶液(0.5M DBU/MeCN)、0.5M 1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン(DBU)及び0.5M N,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド(BSA)を含有するアセトニトリル溶液(0.5M DBU,0.5M BSA/MeCN)、0.5Mテトラブチルアンモニウムフルオリド(TBAF)のテトラヒドロフラン溶液(0.5M TBAF/THF)、25%NH3水溶液、25%NH3水溶液とエタノールの混合溶液(3:1,v/v)(25%NH3水溶液−EtOH(3:1,v/v))、2M NH3のエタノール溶液(2M NH3/EtOH)を用いて、室温又は55℃における半減期(分)を求めることにより測定した。なお、反応混合物を薄層シリカゲル板(Merck F254)にキャピラリを用いてスポットし、ジクロロメタン−メタノール(9:1,v/v)で展開した後、紫外線照射下で出発物質と生成物のスポットの紫外吸収強度を比較して、両者が等しくなる時間を半減期とした。
結果を表1に示す。
表1に示すように、CEE基は、リン酸ジエステルの保護基の除去、核酸塩基の保護基の除去、ヌクレオチド鎖の固相担体からの切り出し等の際に用いられる25%NH3水溶液、25%NH3水溶液−EtOH(3:1,v/v)、2M NH3/EtOHに対しては安定であるが、0.5M DBU/MeCN、0.5M TBAF/THFにより容易に除去できた。特に0.5M TBAF/THFにより短時間に除去できた。
産業上の利用の可能性
リボヌクレオチド誘導体(II)又は(III)における2’水酸基の保護基は、2’水酸基へ効率よく導入できるとともに、縮合反応において立体障害となることがなく、さらに、5’水酸基の保護基の除去、リン酸ジエステルの保護基の除去、核酸塩基の保護基の除去、ヌクレオチド鎖の固相担体からの切り出し等の条件下では安定して存在するが、これらの条件とは異なる条件下において短時間に除去することができるので、リボヌクレオチド誘導体(II)又は(III)を利用することによりリボヌクレオチド誘導体(I)を効率よく製造することができる。
Claims (4)
- 次式(II):
で表される保護基を有する核酸塩基を表し、Xはオキソアニオン又はチオアニオンを表し、Y及びZは互いに独立して水素原子、固相担体又は水酸基の保護基を表し、R1は水素原子又はトリチル基、ジメトキシトリチル基、モノメトキシトリチル基、若しくは9−フェニルキサンテニル基を表し、R2、R3及びR4は互いに独立して水素原子、ハロゲン原子又はアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基、アラルキル基、アシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基、アルキルチオカルボニル基、アルコキシチオカルボニル基、アリールチオカルボニル基、アラルキルチオカルボニル基、アリールオキシチオカルボニル基若しくはアラルキルオキシチオカルボニル基を表し、R5はシアノ基、ニトロ基、p−ニトロフェニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、トリフルオロメチル基、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシカルボニル基、及びアリールオキシカルボニル基からなる群から選ばれる電子吸引基を表し、nは1以上の整数を表す。]
で表されるリボヌクレオチド誘導体(II)をフッ化物処理することにより、
次式(I):
で表されるリボヌクレオチド又はリボヌクレオチド誘導体(I)を製造する工程を含む、リボヌクレオチド又はリボヌクレオチド誘導体(I)の製造方法。 - 前記フッ化物としてテトラブチルアンモニウムフルオリドを用いる請求項1記載の製造方法。
- 酸処理によりR1で表される5’水酸基の保護基を除去する工程を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
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