JP2002177765A - イオンプレーティング装置及び薄膜作製方法 - Google Patents

イオンプレーティング装置及び薄膜作製方法

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JP2002177765A
JP2002177765A JP2000382154A JP2000382154A JP2002177765A JP 2002177765 A JP2002177765 A JP 2002177765A JP 2000382154 A JP2000382154 A JP 2000382154A JP 2000382154 A JP2000382154 A JP 2000382154A JP 2002177765 A JP2002177765 A JP 2002177765A
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喜昭 安田
Masahiro Akamatsu
雅洋 赤松
Masanao Tani
雅直 谷
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 圧力勾配型アーク放電を行うイオンプレーテ
ィング法により誘電体や半導体の薄膜を作製する際に、
不純物の混入を抑制できるようにし、高密度のプラズマ
の発生を可能にする。 【解決手段】 蒸発源を配置した真空容器1内に、プラ
ズマガン2の陰極4から高密度のプラズマを発生させ、
このプラズマの存在下で上記蒸発源の材料を真空容器1
内の基体に蒸着させる。その際、プラズマガン2の中間
電極5と陽極6に、焼結カーボンから成るグリッドオリ
フィス5b,6bを装填し、真空容器1内への不純物の
混入を抑制する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、誘電体や半導体の
薄膜を作製する圧力勾配型のアーク放電を行うイオンプ
レーティング装置及びその薄膜作製方法に関するもので
ある。又、その薄膜の一使用例は半導体である。
【0002】
【従来の技術】図4は一般的な90度偏向圧力勾配型ア
ーク放電イオンプレーティング装置の構成を示す模式図
である。同図において、1は誘電体膜や半導体膜の成膜
が行われる真空容器(真空槽)で、この真空容器1内に
はプラズマガン(URガン)2によりアーク放電プラズ
マ3が発生される。プラズマガン(URガン)2には陰
極4、中間電極5及び陽極6があり、陰極4にはキャリ
アガス(放電ガス)の導入管7が設けられている。8は
プラズマ制御用の磁場発生源である。
【0003】上記真空容器1内の下方には成膜材料の蒸
発源9が配置され、その下側に永久磁石10が設置され
ている。真空容器1内の上方には蒸着(成膜)が行われ
る基体(基板)11が配置され、この基体11はヒータ
12によって加熱されるようになっている。また、基体
11の下方にシャッタ13が設けられ、基体11との間
に反応ガスが導入管14から供給されるようになってい
る。
【0004】また、図5は反射型プラズマガンを用いた
反射式圧力勾配型アーク放電イオンプレーティング装置
の構成を示す模式図である。この装置は、複数の蒸発源
9を配置して多元同時イオンプレーティングを行うもの
であり、図4と同一構成要素には同一符号を付して重複
する詳細説明は省略する。
【0005】圧力勾配型アーク放電イオンプレーティン
グ法は、圧力勾配によって熱陰極をキャリアガス及び反
応ガスによる物理的・化学的損傷から保護し、大電流の
アーク放電プラズマ3を安定して発生させることが可能
なプラズマガン(URガン)2により高密度プラズマを
形成し、この高密度プラズマで蒸発源9から供給される
原料原子、分子を活性化させることにより、緻密で平坦
な誘電体・半導体膜を高速で堆積可能な薄膜作製法であ
る。
【0006】図4に示す装置では、アーク放電プラズマ
3を陽極直下に配置した永久磁石10からの磁場で90
度偏向させることにより、蒸発源9の加熱と雰囲気の活
性化を同時に行うことができる。また、図5に示す反射
型と呼ばれる装置では、陽極6を真空槽の中に配置しな
くても高密度プラズマを発生させることが可能であり、
プラズマガン2と独立した蒸発源9との併用により多元
同時反応蒸着を効率良く実行することができる。
【0007】上記プラズマガン2は、熱電子を発生させ
る円盤状の陰極4と、この陰極4と真空槽との間に圧力
勾配を形成させるためのオリフィスを兼ねた中間電極
(グリッド)5と、これらの対極である陽極6とから構
成されている。反射型URガンの配置では、陽極6もリ
ング状のグリッドとして作用する。そして、アーク放電
発生時にはこれらのグリッドの最中心部は高温の電子電
流に曝されるため、水冷された電極フランジの中心に高
融点金属(Mo,W等)のグリッドオリフィスを装填し
た構造とすることにより、電極の融解を防止している。
【0008】また、グロー放電よりもプラズマ密度が2
〜3桁高いアーク放電プラズマ3を使用しているため、
キャリアガス及び反応ガスの励起による活性種の生成効
率が高く、従来のスパッタ法やMOCVD法による薄膜
作製温度よりも低温で薄膜形成が可能である。更に、緻
密・平坦でかつ密着力の良い薄膜を高速に堆積すること
ができる。
【0009】上記の特長を活かして、これまでにABO
3型のいわゆるペロブスカイト構造をもつ強誘電体薄膜
・誘電体薄膜の作製や、アモルファスSi及び多結晶S
i薄膜等の半導体薄膜の作製にも適用されている。特
に、優れた圧電性、焦電性、電気光学特性等を示す代表
的な多元系酸化物強誘電体(PZT〔Pb(ZrxTi1
-x)O3〕やPLZT〔(Pb1-xLax)(ZryTi
1-y1-x/43〕等)の薄膜形成において、従来法より
も100℃低温での成長にもかかわらず、アニール処理
なしでペロブスカイト型の結晶構造が得られ、良好な強
誘電特性が確認されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記のよう
な圧力勾配型アーク放電イオンプレーティング装置のプ
ラズマガン(URガン)は、オリフィスを兼ねた各中間
グリッドによって陰極近傍の圧力が数Torrに保た
れ、キャリアガスイオンによるスパッタ損傷や反応ガス
(例えば酸素)による化学損傷から陰極を保護してい
る。しかし、各グリッドは、高密度プラズマに直に曝さ
れており、わずかながらガスイオンによるスパッタ損傷
を受ける。そして、このスパッタによりグリッドオリフ
ィスを構成している高融点金属が真空容器内に飛散し、
薄膜中へ不純物として取り込まれることが問題になって
いた。通常、この混入量は0.1%以下と微量であり、
各種薄膜の特性に影響を及ぼすことは少ないが、一部の
膜に対しては機能上深刻な不具合をもたらすことがあ
る。例えば、ノンドープ半導体膜の比抵抗が低下した
り、誘電体膜の透過率が減少したりする。
【0011】最も深刻なケースは、反射型配置のアーク
放電イオンプレーティング法によって、ペロブスカイト
型結晶構造を有する鉛系強誘電体・誘電体薄膜を成膜す
る場合である。この反射型配置では、プラズマ中の電子
電流がプラズマガンの最真空容器側に位置するリング状
の陽極グリッドに収束する。陽極フランジは冷却水によ
って熱的に保護されているが、プラズマの安定化のため
にインナーとして高融点金属(Mo,W等)の円筒を挿
入して用いており、これらの高融点金属は鉛とともに複
合酸化物を形成することが知られている。
【0012】そして、アーク放電電流がMoの場合は1
5A以下、Wの場合は30A以下と、比較的プラズマ密
度が低いときには上記複合酸化物の影響は見られない
が、放電電流の増加に伴ってインナーの表面温度も上昇
し、鉛との複合酸化物を形成するようになる。この複合
酸化物が不純物として薄膜中に混入し、図6に示すよう
にペロブスカイト相に対する異相として薄膜の結晶品位
を低下させる。また、不純物の混入量が一定量を超える
と、図7に示すようにもはやペロブスカイト相そのもの
が得られなくなるという深刻な問題が発生する。図6,
図7はそれぞれ放電電流20A,40Aのときの薄膜の
X線回折結果を示す図である。
【0013】上記不純物混入の問題を避けるために、従
来では放電電流を30A以下に抑えて使用するか、ある
いは高融点金属製の陽極インナーを撤去する対策がとら
れていた。しかしながら、前者はプラズマ密度に比例し
た酸素活性種量の制限、後者はプラズマ不安定化による
プラズマ電位及び電子温度の上昇による薄膜の損傷とい
う問題も抱えている。このために、鉛系強誘電体・誘電
体薄膜の堆積速度が3Å/s程度と、イオンプレーティ
ング法としては低いレベルに留まっていた。
【0014】本発明は、上記のような問題点に鑑みてな
されたもので、薄膜中への不純物の混入を著しく抑制す
ることができ、高密度のプラズマの発生が可能になり、
また、薄膜の結晶品位が高く、成膜速度の速いイオンプ
レーティング装置及び薄膜作製方法を提供することを目
的としている。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明に係るイオンプレ
ーティング装置は、蒸発源を配置した真空槽内にアーク
放電プラズマを発生させるプラズマガンを有したイオン
プレーティング装置であって、前記プラズマガンの中間
電極や陽極に焼結カーボンから成るグリッドオリフィス
を装填して構成したものである。
【0016】また、上記の装置において、反射型プラズ
マガンを使用し、真空槽内に複数種の蒸発源を配置して
多元同時イオンプレーティングを行うようにしたもので
ある。
【0017】本発明に係る薄膜作製方法は、イオンプレ
ーティング法による薄膜作製方法であって、蒸発源を配
置した真空槽内に、中間電極や陽極に焼結カーボンから
成るグリッドオリフィスを装填したプラズマガンにより
アーク放電プラズマを発生させ、このアーク放電プラズ
マが介在した状態で前記蒸発源からの材料を基体に蒸着
させるようにしたものである。
【0018】また、上記の方法において、反射型プラズ
マガンを用いて、真空槽内に複数種の蒸発源を配置して
多元同時イオンプレーティングを行うようにしたもので
ある。
【0019】また、上記の方法において、蒸発源から化
学式ABO3で表されるペロブスカイト型構造の強誘電
体化合物を基体に蒸着させるようにしたものである。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例を図面につ
いて説明する。
【0021】図1は本発明に係る圧力勾配型アーク放電
イオンプレーティング装置の要部の構成を示す模式図で
あり、ここでは従来(a)の圧力勾配型アーク放電プラ
ズマガンと比較して本発明(b)の圧力勾配型アーク放
電プラズマガンの構成を示している。また、図4及び図
5と同一符号は同一構成要素を示しているので、重複す
る詳細説明は省略する。
【0022】従来のプラズマガン(URガン)2の中間
電極5及び陽極6には、前述のように高融点金属(M
o,W等)のグリッドオリフィス5a,6aがインナー
として装填されていたが、本発明品のプラズマガン2の
中間電極5と陽極6には、焼結カーボンから成るグリッ
ドオリフィス5b,6bがインナーとして装填されてい
る。なお、他の真空容器1内の構成は図4及び図5と同
様であるので、説明は省略する。
【0023】本発明のイオンプレーティング装置では、
URプラズマガンの中間電極5及び陽極6に装填するグ
リッドオリフィス(インナー)5b,6bの材質を従来
の高融点金属(Mo,W等)から焼結カーボンに換える
ことにより、薄膜への不純物混入を抑制しながら放電電
流の増大を可能にしている。
【0024】すなわち、焼結カーボン製のグリッドオリ
フィス(インナー)5b,6bの使用により、プラズマ
中のガスイオンによってスパッタされても質量が高融点
金属よりも圧倒的に小さいために、ほとんどプラズマガ
ン2の中でのみ飛散し、真空容器1内への混入量が著し
く減少する。この結果、従来の高融点金属をグリッドオ
リフィス(インナー)5a,6aに使用したときよりも
高純度のプラズマを発生することができ、高純度かつ高
品位の誘電体・半導体の薄膜を作製することができる。
【0025】また、反射型配置のプラズマガン2を鉛系
誘電体薄膜の作製に使用したときに発生する陽極インナ
ーと鉛との複合酸化物形成の問題も、インナーの材質を
焼結カーボンにすることで抑制することができる。これ
は、焼結カーボンが酸素雰囲気下で加熱されて酸素と反
応したとしても、ほとんどがCO2等の気相化合物とし
て容器外へ排出されてしまうからである。そのため、鉛
蒸気存在下であっても不純物が混入することなく、大電
流放電(〜80A)による高密度プラズマの発生が可能
になる。この結果、真空容器1内の酸素活性種量は従来
法の2倍以上に増大し、高品位の誘電体薄膜を高速に形
成することが可能である。
【0026】更に、焼結カーボンは高温での抵抗値が低
いため、電子電流の陽極6への収束効率が高く、高融点
金属を陽極インナーに用いたときよりもプラズマ電位及
び電子温度が低下し、誘電体及び半導体薄膜の損傷が少
ない低温プラズマを生成することができる。
【0027】実際、酸化物誘電体へ適用したところ、焼
結カーボン製のグリッドオリフィス5b,6bの使用に
よる高密度・低温プラズマの発生によって、膜に損傷を
及ぼす高エネルギー荷電粒子を抑制しつつ、薄膜成長に
効果的な酸素活性種を増大させた結果、従来の2倍以上
の成膜速度で、薄膜誘電体を成長させることが可能にな
った。その結果、緻密で発達した柱状晶構造の膜が得ら
れ、良好な誘電特性が得られた。
【0028】次に、上記構成のイオンプレーティング装
置により実際に薄膜を作製した実施例について説明す
る。
【0029】〔実施例1〕図1及び図5に示す反射型圧
力勾配型アーク放電イオンプレーティング装置を用い
て、強誘電体多元系酸化物薄膜の製造を行った。まず、
薄膜材料として、3元系複合酸化物強誘電体PZT〔P
b(ZrxTi1-x)O3〕の薄膜作製を行った。
【0030】蒸発源9の材料として、Pb,Zr,Ti
の各金属を用い、電子ビーム加熱により各々独立に蒸発
させた。基体11は(100)面Siウエハ上にSiO
2/Ti/Ptの順に各構成材料を堆積したものとし、
膜組成をPb(Zr0.52Ti 0.48)O3に調製した。
【0031】そして、圧力勾配型アーク放電のプラズマ
ガン(URガン)2に5〜15sccmのArガスをキ
ャリアガスとして導入し、直流バイアス電圧を印加する
ことにより、アーク放電を発生させた。放電電圧は70
V、放電電流は40Aで制御した。このアーク放電で生
成した高密度プラズマ(プラズマ密度>1012cm-3
を、プラズマ制御用の磁場発生源8によって生じた50
〜300ガウス程度の磁場によって真空容器1内に導い
た。この状態で、導入管14よりO2ガスを反応ガスと
して100sccm導入することにより、真空容器1内
に高密度の酸素プラズマ及び酸素の活性種を生成した。
【0032】上記の酸素活性種の存在下で、ヒータ12
により500℃程度に加熱した基体11上に薄膜作製を
行った。このとき、水晶振動子式膜厚モニタにて、Pb
蒸発量がZrとTiの蒸発量の合計に対して20倍の範
囲になるように、かつZrとTiの蒸発量がほぼ同等に
なるように、蒸発源9のパワーを制御することにより、
ペロブスカイト型結晶構造を有する薄膜強誘電体が形成
された。図2に得られた薄膜のX線回折結果を示す。放
電電流が40Aでも不純物相によるピークが観測されな
いことがわかる。なお、薄膜形成時の真空容器1内圧力
は1〜5mTorrであり、Langmuirプローブ
によりプラズマ電位は約7V、電子温度は約1.5eV
と測定された。これにより、焼結カーボン製の陽極イン
ナーの効果によるプラズマの低温化が確認できた。
【0033】この結果、薄膜強誘電体の形成としては高
速な5Å/sの成膜速度が得られた。この値は放電電流
40Aで、陽極インナーを使用しなかったときの2倍に
相当する。得られたPZT膜にPt上部電極を形成した
キャパシタセルに対して、強誘電体特性の測定を行った
ところ、図2に示すような非常に良く飽和したP−E
(分極−電界)ヒステリシス曲線が観測された。すなわ
ち、実施例1の方法により、低温で高品位の強誘電体3
元系酸化物薄膜が高速に形成されることがわかった。
【0034】〔実施例2〕次に、実施例1と同様の装置
及び条件で2元系複合酸化物強誘電体PT〔PbTiO
3〕の薄膜作製を行った。
【0035】放電電流を70Aに引き上げて酸素活性種
量を増大させた結果、9Å/sという高速な堆積速度に
もかかわらず、基体温度500℃においてもas−de
po.でペロブスカイト単相PT膜が得られた。得られ
たPT膜は比誘電率ε=480、損失tanδ=0.0
1を示し、良好な誘電特性を有していた。また、同膜の
キャパシタセルに対して、強誘電特性の測定を行ったと
ころ、図3に類似したP−Eヒステリシス曲線が観測さ
れ、残留分極Pr=22.4μC/cm2、抗電界Ec
=95kV/cmという強誘電特性が得られた。このよ
うに、実施例2の方法により、PTを非常に高速に成膜
できることがわかった。
【0036】以上、本発明の各実施例について述べた
が、本発明では特にP(Pb),Z(Zr),T(T
i),L(La)の各元素のうち、PTやPZTあるい
はPLZTの化学式ABO3で表されるペロブスカイト
型構造の強誘電体化合物の薄膜作製に対して有効であ
り、これらの各元素もしくはそれらの酸化物の複数種の
材料を蒸発源9として用いるようにしても良い。また、
Pbの蒸発量を(Ti+Zr)のそれに対して10〜3
0倍とすることもできる。
【0037】また、キャリアガスとしてはHe,Ar等
の希ガスを使用し、反応ガスとしてO2ガスを使用する
のが有効である。蒸発源9は、EB(電子ビーム)加熱
源や抵抗加熱源により個別に加熱することができる。
【0038】また本発明は、圧電トランスあるいは圧電
インバータ、微小ミラーあるいはレンズ駆動型の光スイ
ッチ、導波路型光スイッチ、光シャッタ、光変調器等の
光学部品、半導体メモリ(FRAM)用誘電体、インク
ジェット型プリンタヘッドの駆動部材、各種センサ(振
動ジャイロ、加速度センサ、赤外線(熱)センサ、比光
センサ、超音波センサ等)、光スキャナ、印画紙書き込
み用微小光源ユニット等に適用することができる。
【0039】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、薄膜中
への不純物の混入を著しく抑制することができ、高密度
のプラズマの発生が可能になり、また、薄膜の結晶品位
が高く、成膜速度も速いという効果が得られる。
【0040】すなわち、従来の方法では、プラズマガン
の中間電極や陽極のインナー(グリッドオリフィス)材
である高融点金属(Mo,W等)がプラズマ中のガスイ
オンの衝突によってスパッタされ、不純物として薄膜中
へ混入する問題があったが、比重の小さい焼結カーボン
をインナー材として使用することにより、スパッタによ
る同部材の飛散をプラズマガン内に留め、薄膜中への混
入を著しく抑制することができる。カーボンそのものの
混入レベルも0.1%以下と極めて小さく、高純度のプ
ラズマを供給することができる。
【0041】また、反射型配置のプラズマガンを鉛系誘
電体薄膜の作製に使用したときに発生する陽極インナー
と鉛との複合酸化物形成の問題も、インナーの材質を焼
結カーボンにすることで抑制することができ、鉛蒸気存
在下であっても不純物が混入することなく、大電流放電
(〜80A)による高密度プラズマの発生が可能にな
る。この放電電流の増大により高密度のプラズマが生成
でき、結果として、薄膜誘電体の成長に効果的な酸素活
性種の量を増大させることが可能になる。そのため、容
易に結晶品位の高い誘電体薄膜を得ることができる。
【0042】また、カーボン製陽極インナーは高温での
抵抗が低く、プラズマ中の電子電流の陽極への収束効率
が向上し、プラズマ電位及び電子温度が低下したいわゆ
る低温プラズマ化が促進される。この結果、荷電粒子に
よる膜の損傷や再蒸発が抑制され、成膜速度が2倍程度
増大する。
【0043】更に、高密度の酸素プラズマに曝されても
表面が絶縁化することなく、安定して陽極インナーとし
て長期間使用できる。
【0044】また、従来法である圧力勾配型アーク放電
イオンプレーティング法の優れた成膜性能はそのまま保
有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るイオンプレーティング装置の要
部の構成を示す模式図
【図2】 本発明の実施例1で得られた薄膜のX線回折
結果を示す図
【図3】 本発明の実施例1で得られた薄膜の分極−電
界ヒステリシス曲線を示す図
【図4】 圧力勾配型アーク放電イオンプレーティング
装置の構成を示す模式図
【図5】 反射型プラズマガンを用いた圧力勾配型アー
ク放電イオンプレーティング装置の構成を示す模式図
【図6】 不純物が混入した薄膜のX線回折結果を示す
【図7】 不純物の混入量が多い薄膜のX線回折結果を
示す図
【符号の説明】
1 真空容器(真空槽) 2 プラズマガン 3 アーク放電プラズマ 4 陰極 5 中間電極 5b グリッドオリフィス 6 陽極 6b グリッドオリフィス 7 導入管 8 磁場発生源 9 蒸発源 10 永久磁石 11 基体 12 ヒータ 13 シャッタ 14 導入管
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 谷 雅直 東京都目黒区中目黒2丁目9番13号 スタ ンレー電気株式会社内 Fターム(参考) 4G075 AA24 AA42 AA51 BA02 BC03 BD14 CA17 CA47 CA57 CA65 DA02 EA05 EB01 EB41 EC21 FB03 FC15 FC20 4K029 BA50 BC00 CA04 DB05 DB14 DD06 5F045 AA08 AB31 AD09 AE01 AE15 AF03 AF10 DC63 DP01 DQ10 EE06 EF01 EF11

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 蒸発源を配置した真空槽内にアーク放電
    プラズマを発生させるプラズマガンを有したイオンプレ
    ーティング装置であって、前記プラズマガンの中間電極
    に焼結カーボンから成るグリッドオリフィスを装填した
    ことを特徴とするイオンプレーティング装置。
  2. 【請求項2】 プラズマガンの中間電極と陽極に焼結カ
    ーボンから成るグリッドオリフィスを装填したことを特
    徴とする請求項1記載のイオンプレーティング装置。
  3. 【請求項3】 プラズマガンは反射型プラズマガンで、
    真空槽内に複数種の蒸発源を配置して多元同時イオンプ
    レーティングを行うことを特徴とする請求項1または2
    記載のイオンプレーティング装置。
  4. 【請求項4】 各蒸発源を個別に加熱することを特徴と
    する請求項3記載のイオンプレーティング装置。
  5. 【請求項5】 イオンプレーティング法による薄膜作製
    方法であって、蒸発源を配置した真空槽内に、中間電極
    に焼結カーボンから成るグリッドオリフィスを装填した
    プラズマガンによりアーク放電プラズマを発生させ、こ
    のアーク放電プラズマが介在した状態で前記蒸発源から
    の材料を基体に蒸着させるようにしたことを特徴とする
    薄膜作製方法。
  6. 【請求項6】 プラズマガンは中間電極と陽極に焼結カ
    ーボンから成るグリッドオリフィスを装填したプラズマ
    ガンを用いたことを特徴とする請求項5記載の薄膜作製
    方法。
  7. 【請求項7】 プラズマガンに反射型プラズマガンを用
    いて、真空槽内に複数種の蒸発源を配置して多元同時イ
    オンプレーティングを行うようにしたことを特徴とする
    請求項5または6記載の薄膜作製方法。
  8. 【請求項8】 各蒸発源を個別に加熱するようにしたこ
    とを特徴とする請求項7記載の薄膜作製方法。
  9. 【請求項9】 蒸発源から化学式ABO3で表されるペ
    ロブスカイト型構造の強誘電体化合物を基体に蒸着させ
    るようにしたことを特徴とする請求項5または6記載の
    薄膜作製方法。
  10. 【請求項10】 強誘電体化合物はPb,Zr,Ti,
    Laの各元素の何れかの組合せの化合物であることを特
    徴とする請求項9記載の薄膜作製方法。
  11. 【請求項11】 蒸発源はPb,Zr,Ti,Laの各
    元素とこれらの各元素の酸化物のうち何れかの組合せの
    複数の化合物より成ることを特徴とする請求項9記載の
    薄膜作製方法。
  12. 【請求項12】 蒸発源はPb,Ti,Zrの各元素を
    有し、Pbの蒸発量をTiとZrを合せた蒸発量の略1
    0〜30倍としたことを特徴とする請求項9記載の薄膜
    作製方法。
  13. 【請求項13】 アーク放電ガスに希ガスを使用し、反
    応ガスにO2を使用するようにしたことを特徴とする請
    求項9ないし12何れか記載の薄膜作製方法。
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