JPH07252646A - 光学薄膜の製造方法 - Google Patents

光学薄膜の製造方法

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JPH07252646A
JPH07252646A JP6044153A JP4415394A JPH07252646A JP H07252646 A JPH07252646 A JP H07252646A JP 6044153 A JP6044153 A JP 6044153A JP 4415394 A JP4415394 A JP 4415394A JP H07252646 A JPH07252646 A JP H07252646A
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film
plasma
thin film
crucible
fluoride
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JP6044153A
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Koichi Sasagawa
孝市 笹川
Makiko Ooyamaguchi
まき子 大山口
Katsuhide Kawamata
克英 川又
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、アーク放電型イオンプレーティン
グを利用したフッ化物(特に、フッ化マグネシウム)の
光学薄膜の成膜に関し、特に基板を加熱することなしに
膜損失のない、高密度の、密着性の高い膜を得ることの
出来る光学薄膜の製造方法を提供することを目的とす
る。 【構成】 膜物質としてフッ化物(特に、フッ化マグネ
シウム)の単層膜又は多層膜を製造する方法において、
各層の形成過程が以下の工程よりなることを特徴とする
薄膜の製造方法。 所定の圧力に設定された第1の真空空間中でアーク放
電によりプラズマを生成する工程。 形成する膜に対応した蒸発物(フッ化マグネシウム)
を導電性のるつぼに載置し前記第1の真空空間よりも低
い圧力に設定された第2の真空空間に設置する工程。 前記第2真空空間に設置された前記るつぼに前記プラ
ズマを照射して間接的に前記蒸発物を加熱し、該第2の
真空空間中で反応ガス(六フッ化硫黄)を導入しながら
前記薄膜を形成する工程。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アーク放電型イオンプ
レーティングを利用した薄膜状フッ化物(光学薄膜)、
およびその製造(成膜)方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】現在、一般的な成膜方法として、真空蒸
着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、C
VD(化学的気相成長法)等が用いられている。これら
の成膜方法にはそれぞれに特徴があり、通常は成膜する
膜を形成している物質(以下、膜形成物質という)に応
じて使い分けられている。
【0003】例えば、光学薄膜である反射防止膜や反射
増加膜を成膜する際は、主に真空蒸着法が用いられてい
た。真空蒸着法は、所定の真空度に設定した空間内で蒸
発物を加熱し、蒸発した分子を基板上に堆積させること
で成膜を行うものである。膜を形成する物質は1種類に
限られるものではなく、合金や化合物のような複数の物
質からなる(つまり、前記膜形成物質が複数種類ある)
膜が必要となる場合もある。このような複数の物質から
なる膜を真空蒸着法を用いて成膜する場合、反応ガスの
導入による化合物の形成というかたちで成膜ができない
ときは、蒸発物るつぼを複数設けてこのるつぼに膜を形
成する個々の膜形成物質からなる蒸発物を載置する。そ
して、このるつぼに設けられた抵抗加熱、電子銃加熱、
高周波誘導加熱などの加熱手段を用いて蒸発物を各々同
時に蒸発させ、基板上に各蒸発物を堆積させていた。ま
た、同一のるつぼに複数の膜形成物質からなる蒸発物を
混合させた状態で載置し、これを蒸発させて複数の物質
からなる膜を成膜する場合もあった。
【0004】さらに、膜が合金により形成されている場
合は、この合金自体をターゲットとしたスパッタリング
法を用いることもあった。このスパッタリング法は、タ
ーゲットにイオンを衝突させて、これにより生じるター
ゲット材料のスパッタリング作用により成膜を行うもの
である。一方、酸化物や窒化物などの化合物からなる膜
を成膜する際は、主に反応性ガス(酸素や窒素)を成膜
空間に導入してスッパタリングを行う反応性スッパタリ
ング法を用いていた。
【0005】膜の質を考慮して、より高品質な(耐久性
や光学特性がよいなど)膜を成膜するためにプラズマ雰
囲気中で蒸着による成膜を行うイオンプレーティング法
を用いる場合もあった。このイオンプレーティング法で
は、蒸発物から蒸発した原子をプラズマによりイオン化
するとともに、電界を与えてこのイオンを基板に衝突さ
せることで基板上に成膜を行うものである。イオンプレ
ーティング法は、プラズマの生成方法とるつぼの構成に
よりさらにいくつかの方法に分けることができる。例え
ば、(イ)成膜が行われる空間を形成するための真空容
器内に高周波励起電圧を印加してグロー放電を起こし、
これにより膜の基板への密着性や,膜そのものの密度を
向上させる高周波型イオンプレーティング法、(ロ)真
空容器内にホローカソードを導入してアーク放電を起こ
すホローカソード型イオンプレーティング法などが知ら
れている。また、最近では(ハ)プラズマ生成装置の陰
極を、LaB6(六ホウ化ランタン)からなる主陰極とこれ
より熱容量の小さい物質からなる補助陰極とで構成した
複合型陰極とし、この生成装置を用いてプラズマを生成
する方法(以下、UR型プラズマ生成法という)が提案
されている(特公平2-50577 )。また、(ニ)このUR
型プラズマ生成法で生成したプラズマに永久磁石により
磁場を与えることで、このプラズマをシート状に成形し
て広い面積を成膜できるようにした方法も提案された
(特公平4-23400 )。さらに、(ホ)この方法をイオン
プレーティング法(特開平2ー101160)、(ヘ)スパッタ
リング法(特開平2ー104663)、(ト)CVD(特開平3-
215671)などに応用した例も知られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】フッ化マグネシウム
(MgF2)膜は各種光学薄膜を構成するための物質とし
て、古くから主に真空蒸着法で製造(成膜)され、広範
囲に利用されているが、その成膜法の性質上様々な制約
があった。例えば、真空蒸着法では蒸発物がイオン化す
ることなく基板上に堆積するので、成膜された膜の密度
が低くなり易く、所望の耐環境性が得られ難い。また、
密着性,耐久性を高めるには膜中に含まれる水分を減ら
す必要があるが、そのためには成膜時に基板を 250〜30
0℃程度に加熱しなければならない。そのため、成膜す
る基板(レンズ等)に耐熱性が要求されるので、その材
質が制限されるという問題があった。
【0007】スパッタリング法は、比較的高密度の薄膜
を形成することができるので、密着性,耐久性の優れた
薄膜が成膜され易い。しかし、ターゲットの使用効率が
低くて成膜速度が遅いため、効率良く成膜することがで
きないという問題があった。また、イオンプレーティン
グ法では、成膜の際に基板がプラズマによって洗浄され
るので、基板を加熱しなくても密着性の良い薄膜が形成
され易い。しかし、所望の密着性を達成しようとする
と、やはり基板を加熱する必要があった。さらに、この
方法では低真空(比較的高い圧力)下で成膜が進行する
ので、形成された薄膜中に水分や不純物等が含まれて膜
の純度が低くなり易かった。そのため、成膜された薄膜
は密着性、耐久性に劣る場合が多く、大気中で薄膜の特
性が変化し易いという問題もあった。
【0008】これら問題点を解決する方法としてアーク
放電型イオンプレーティング法による成膜を検討した。
しかし本製造法では、基板無加熱でフッ化マグネシウム
(MgF2)膜を製造できるものの、陰極とるつぼ間で放電
を行うために蒸発物には導電性物質(金属)を用いなけ
ればならず、フッ化マグネシウムの製造(成膜)にはマ
グネシウム(Mg)を蒸発物に用いる事になる。しかし、
この場合マグネシウム(Mg)の沸点が低い(1107°C :7
60Torr)ために昇華してしまい、膜厚の制御が困難とな
り再現性に問題があった。
【0009】蒸発物にフッ化マグネシウム(MgF2)を用
いる場合、膜中でフッ素原子(F)が不足し、形成され
た膜に膜損失(吸収)が大きいという欠点があった。本
発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、アー
ク放電型イオンプレーティング法にて基板無加熱で膜損
失の無いフッ化マグネシウム光学薄膜を効率良く製造
(成膜)することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明では、膜物質とし
てフッ化物の単層膜(又はフッ化物の層を含む多層構造
の薄膜)を製造する方法において、各層の形成過程が、
(イ) 所定の圧力に設定された第1の真空空間中でア
ーク放電によりプラズマを生成する工程、(ロ)形成す
る膜に対応した蒸発物を導電性のるつぼに載置し、該る
つぼを前記第1の真空空間よりも低い圧力に設定された
第2の真空空間に設置する工程、(ハ)前記第2の真空
空間に設置された前記るつぼに前記プラズマを照射して
間接的に前記蒸発物を加熱し、蒸発させ、該第2の真空
空間中で、反応ガスを導入しながら前記薄膜を形成する
工程、からなることを特徴とする光学薄膜の製造方法
(請求項1)。
【0011】請求項1記載の光学薄膜の製造方法におい
て、前記フッ化物がフッ化マグネシウムであることを特
徴とする光学薄膜の製造方法(請求項2)。前記フッ化
マグネシウムを形成する際、蒸発物としてフッ化マグネ
シウム(MgF2)を使用し、反応ガスとして六フッ化硫黄
(SF6 )を使用することを特徴とする請求項1又は2記
載の光学薄膜の製造方法(請求項3)。
【0012】請求項2又は3記載の光学薄膜の製造方法
により製造されたフッ化マグネシウムの単層膜又はフッ
化マグネシウムの層を含む多層膜(請求項4)を提供す
る。
【0013】
【作用】本発明者らは、フッ化物の薄膜をアーク放電型
イオンプレーティングにて形成させることにより、真空
蒸着法と異なり基板加熱を行わなずして形成が可能であ
る事を見出した。これは、前記プラズマ生成手段によっ
て前記第2の真空空間中に生成したプラズマの密度が高
いこと、および、第2の真空空間内で薄膜を形成する位
置(基板を設置する位置)付近の電離度が高いことに起
因すると考えられる。
【0014】アーク放電型イオンプレーティングにて、
例えばフッ化マグネシウム(MgF2)薄膜を形成する方法
としては(a)マグネシウム(Mg)を蒸着源とし、反応
ガスとしてCF4やSF6を用いる方法、(b)蒸着源にMgF2
を用いる方法、がある。(a)では、マグネシウム(M
g)金属を蒸着源に用いるので放電は容易に行えるが、
マグネシウム(Mg)の融点が低いために昇華しやすく、
成膜速度のコントロールが困難という欠点が有り再現性
を上げるのは難しい。
【0015】(b)ではフッ化マグネシウム(MgF2)が
誘電体であるため、放電を起こすためには坩堝(ライナ
ー)に導電性の物質を用いる必要が有るが、比較的容易
に成膜速度のコントロールが可能である。しかし、MgF2
のみで成膜を行うと、膜中でフッ素が不足し吸収の大き
い膜になってしまう。 そこで、本発明では(b)の手
法に加え、フッ素系のガス(六フッ化硫黄:SF6)を補
助フッ化ガスとして導入した。ガス導入量の増加に応
じ、膜の吸収は減少してゆき、化学量論組成で膜損失の
無い安定なMgF2膜を形成させることが出来る。
【0016】また、前記第2の真空空間の成膜時の圧力
を他のイオンプレーティング法に比較して高真空(低い
圧力)にできるため、形成する光学多層膜の膜中への不
純物(薄膜構成物以外の粒子等)の混入が抑制され、該
光学薄膜が所望のMgF2のバルク密度に近い値を有する
(所望のMgF2に近い膜質が得られる)と考えられる。本
発明によれば、成膜時に基板を加熱する必要がないの
で、薄膜状フッ化物を形成させる基板等の材質が耐熱性
による制限を受けない。そのため基板の材質の選択の幅
が広がる。
【0017】本発明の製造方法は、フッ化物としては、
フッ化マグネシウム(MgF2)に限られることなく、フッ
化カルシウム(CaF2)、フッ化アルミニウム(AlF3)、
フッ化ハフニウム(HfF4)などにも好適に使用できる。
なお、本発明の製造(成膜)時には、前記第1の真空空
間から導入されるプラズマ生成手段の放電ガスとして用
いるAr、Heなどの不活性ガスと、反応ガス(SF6ガス
等)とが第2の真空空間に導入される。従って、前記成
膜時の第2の真空空間の圧力は、これら放電ガスの分圧
と反応ガスの分圧の和に依存して決定されることにな
る。
【0018】以下、図面を引用して、実施例により本発
明をより具体的に説明するが、本発明は、これに限られ
るものではない。
【0019】
【実施例】図1は、本発明の一実施に使用した薄膜形成
装置(アーク放電型イオンプレーティング装置)の概略
断面図である。この薄膜形成装置は、蒸発物を入れた導
電性の物質からなるるつぼ19を載置するるつぼ保持手
段7、前記るつぼ19の真下に設置されたプラズマ収束
用永久磁石8、基板12を支持する回転可能な基板ホル
ダ18、基板12上に形成された薄膜の膜厚を測定する
水晶振動子からなる膜厚モニタ17、蒸発物からの蒸発
粒子が基板12に到達するのを防ぐシャッタ15および
これら各構成要件が設置された空間を真空状態にするス
テンレス(SUS304)製の真空容器6とを備えている。さ
らに、真空容器6に取り付けられた前記蒸発物を電子を
含むプラズマで加熱するために、該プラズマを生成する
プラズマ生成手段(電子銃)50と、前記プラズマに外
部から磁場を与えるために、生成手段50と真空容器6
との接続部に配置された空芯コイル14と、基板ホルダ
18およびこれに載置される基板12の電位がるつぼ保
持手段7の電位に対して負の電位となるように設定する
バイアス電源11と、を備えている。
【0020】るつぼ保持手段7は、図示していない水冷
機構を有すると共に、プラズマ生成手段50の陽極を兼
ねている。また、るつぼ保持手段7は、前述のようにバ
イアス電源11によって基板ホルダ18よりも高電位と
なるように構成される。真空容器6には、容器6内を所
望の圧力に設定するための排気手段(図示せず)と、反
応ガス供給口10とが設けられている。この反応ガス供
給口10に は、反応ガスを容器6内に導入するための
反応ガス供給手段(図示せず)が接続されている。ま
た、容器6の壁面にはプラズマ生成手段50が設置さ
れ、この生成手段50によって生成されたプラズマ流が
容器6内の空間に導入されるようになっている。
【0021】前記排気手段は、真空容器6に設けられた
排気口9とこの排気口9に接続されたトラップを備えた
油拡散ポンプと油回転ポンプ、補助バルブ、粗引きバル
ブ(共に図示せず)およびメインバルブ16等から構成
される。また、本実施例のプラズマ生成手段50は、陰
極部と陽極7との間に中間電極3、4を配置することで
これら陰極と陽極間の空間を陰極側と陽極側とに分ける
と共に、陰極側の圧力を陽極側よりも高い圧力に維持し
た状態でプラズマを生成するように構成されている。そ
のため、例えば、陰極側の圧力を1Torr程度、陽極側の
圧力を10-1〜10-4Torr程度の希望する値に設定してプラ
ズマを生成することが可能である。このような構成のプ
ラズマ生成手段は、圧力勾配型プラズマ生成手段と呼ば
れている。この圧力勾配型プラズマ生成手段を用いる
と、成膜が行われる真空容器6内を高真空(低い圧力)
に保ちながら、プラズマ生成のために安定な放電を行な
うことができる。また、圧力差により主陰極2に対する
イオンの逆流がほとんど無いため、イオンの衝突による
陰極の損傷を防止できる。また、陰極からの熱電子放出
が低下し難い、陰極の寿命が長くなる、大電流放電が可
能となる等の利点を有する。さらに、真空容器6内に反
応ガスを導入してもこのガスがプラズマ生成室51に入
り込む恐れがない。
【0022】ここで、薄膜形成装置(アーク放電型イオ
ンプレーティング装置)を用いてフッ化マグネシウム薄
膜を製造(成膜)する過程について説明する。まず、基
板12として光学研磨した直径30mmの円形の石英ガラス
を用意し、この基板12を基板ホルダ18に取り付け
る。そして、るつぼ保持手段7の凹部(プラズマ生成手
段50の陽極を兼ねる)に導電性の物質からなるるつぼ
19を載置し、その中にフッ化マグネシウム(MgF2)を
入れる。その後、前期排気手段により真空容器6内を排
気し、メインバルブ16の開度を調整しながら圧力が8
×10-6Torrになるように設定する。この状態で、主放電
電源5により陰極部51と陽極(るつぼ保持手段)7と
の間に約600Vの直流電圧を印加してプラズマを生成す
る。この時、プラズマ生成手段50においては、陰極部
51のガス導入口1からの放電ガス(Ar)の導入によ
り、陰極部51の近傍領域(前記第1の真空空間)のガ
ス圧は約1Torr程度に維持される。また、前記排気手段
によって真空容器6内の陽極(るつぼ保持手段)7の近
傍領域の圧力が約2×10-3Torrとなるように設定する。
これにより、プラズマ生成手段50の陰極部51付近で
アーク放電が生じ、前記放電ガスがプラズマ化される。
生成されたプラズマは、第1の中間電極3および第2の
中間電極4により前記プラズマ生成室から陽極7側(真
空容器6内部側)に引き出される。このプラズマは、中
間電極や空芯コイル14によって円柱状に収束され、プ
ラズマ流13として真空容器6内に導かれる。そして、
陽極(るつぼ保持手段)7近傍に設置されたプラズマ収
束用磁石8の磁場によって進路を変えられ、導電性のる
つぼ19を照射する。プラズマで照射加熱されたるつぼ
19に載置された蒸発物(フッ化マグネシウム)は、誘
電体のため直接プラズマに照射されないが、加熱された
るつぼ19により間接的に加熱されて蒸発する。この
時、メインバルブ16の開度を調整して真空容器6の圧
力が5×10-4Torrとなるように前記排気手段を制御して
おく。一方、前記反応ガス供給手段により反応ガス供給
口10から六フッ化硫黄ガス(SF6)を所望の流量(50
CC/分)で容器6内に導入し、蒸発物から蒸発した物質
(フッ化マグネシウム)と反応させる。なお、反応ガス
の導入後も容器6内の圧力が5×10-4Torrに維持される
ようにメインバルブ16の開度を調整しておく。その
後、シャッタ15を開くと、蒸発した物質(フッ化マグ
ネシウム)および反応ガス(六フッ化硫黄ガス)はプラ
ズマ中を通ることによりイオン化されて、基板12上に
到達する。その結果、この基板12表面には薄膜状のフ
ッ化マグネシウム(MgF2)が形成される。なお、薄膜の
形成中は、膜厚モニタ17によって薄膜の膜厚と成膜レ
ート(蒸発速度)を測定できるので、所定の膜厚となっ
た時点で成膜を止めればよい。
【0023】 真空容器内の到達圧力(真空度) :8×10-6Torr 成膜時の真空容器内の圧力(真空度):5×10-4Torr アーク放電電圧 :50 V アーク放電電流 :20 A 放電ガスAr流量 :20 SCCM (CC/分) 反応ガスSF6 流量 :50 SCCM (CC/分) 蒸発物 :MgF2(導電性るつぼ使用) 成膜速度 :0.3 nm/sec 膜厚 :500 nm 本実施例で製造(成膜)したMgF2膜の屈折率分散の例を
図2に、膜損失測定結果を図3に示す。
【0024】図より明らかなように、本実施例で得られ
たMgF2薄膜(単層膜)は、可視波長域で膜損失(吸収)
の無い膜が得られた。
【0025】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、アーク
放電型イオンプレーティング法においても、膜損失の無
いフッ化マグネシウム(MgF2)を成膜する事ができる。
また、成膜時に基板を加熱する必要がないため、熱に弱
い材料からなる基板上にもフッ化マグネシウムの薄膜を
形成することができる。さらに、基板加熱装置が不要と
なるため成膜に用いる薄膜形成装置の構成が簡単になる
という利点も有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】は、本発明にかかる一実施例に使用した薄膜形
成装置(アーク放電型イオンプレーティング装置)の概
略断面図である。
【図2】は、本実施例により得られたMgF2単層膜の屈折
率分散(各波長毎の屈折率)の例を示す図である。
【図3】は、本実施例により得られたMgF2単層膜の各波
長毎の膜損失(吸収)を示す図である。
【符号の説明】
1 ガス導入口 2 主陰極 3 第1の中間電極 4 第2の中間電極 5 主放電電源 6 真空容器 7 るつぼ保持手段(陽極) 8 プラズマ収束用永久磁石 9 排気口 10 反応ガス供給口 11 バイアス電源 12 基板 14 空芯コイル 15 シャッタ 16 メインバルブ 17 膜厚モニタ 18 基板ホルダ 19 るつぼ(導電性) 50 プラズマ生成手段(電子銃) 51 プラズマ生成室 以上

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 膜物質としてフッ化物の単層膜又はフッ
    化物の層を含む多層膜を製造する方法において、各層の
    形成過程が、 (イ) 所定の圧力に設定された第1の真空空間中でア
    ーク放電によりプラズマを生成する工程、 (ロ) 形成する膜に対応した蒸発物を導電性のるつぼ
    に載置し、該るつぼを前記第1の真空空間よりも低い圧
    力に設定された第2の真空空間に設置する工程、 (ハ) 前記第2の真空空間に設置された前記るつぼに
    前記プラズマを照射して間接的に前記蒸発物を加熱し、
    蒸発させ、該第2の真空空間中で、反応ガスを導入しな
    がら前記薄膜を形成する工程、からなることを特徴とす
    る光学薄膜の製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の光学薄膜の製造方法にお
    いて、前記フッ化物がフッ化マグネシウムであることを
    特徴とする光学薄膜の製造方法
  3. 【請求項3】 フッ化マグネシウムを形成する際、蒸発
    物としてフッ化マグネシウム(MgF2)を使用し、反応ガ
    スとして六フッ化硫黄(SF6)を使用することを特徴と
    する請求項1又は2記載の光学薄膜の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項2又は3記載の光学薄膜の製造方
    法により製造されたフッ化マグネシウムの単層膜又はフ
    ッ化マグネシウムの層を含む多層膜。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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