JP3787430B2 - スパッタリング装置及びそれを用いた薄膜形成法 - Google Patents

スパッタリング装置及びそれを用いた薄膜形成法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、反応性スパッタリング装置に関し、特に該装置を用いて、半導体素子用の電極や保護膜、液晶装置用の電極や保護膜、光磁気記録媒体用の保護膜、光学物品用の反射防止膜や増反射膜等を形成するに好適な薄膜形成法の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
従来の反応性スパッタリングは、スパッタリングガスと反応ガスとの混合ガスを反応室内に導入して、金属ターゲットをスパッタし、ターゲット構成原子と反応ガスとの化学反応で金属化合物薄膜を形成するものである。この場合反応ガスがターゲット表面で金属ターゲットと反応してターゲット表面に金属化合物を形成してしまう。一般に金属化合物に対するスパッタリング収率は、金属に対するそれの10%程であるから、反応性スパッタでは堆積速度が遅くなってしまう。これを改善すべく反応ガスの流量を少なくすると、形成される金属化合物薄膜は金属原子の含有率が高い薄膜となり、化学量論比を満たす薄膜となり得ず、光学特性(屈折率、透過率他)等の薄膜の特性が劣ったものとなる。
【0003】
そのため、このような技術的課題を解決しようとする試みがいくつか提案されている。
【0004】
図5は特開昭62―56570号公報に記載されている反応性スパッタリング装置の模式図である。1はターゲット、2は基板、3はスパッタリングガスとしてのアルゴン(Ar)の供給管、4は反応ガスとしての酸素(O2)の供給管、9は反応室、12はターゲットホルダー、7は基板ホルダーである。
【0005】
上記公報によれば、図 5の装置を用いると、スパッタガスと反応ガスが別々に導入されるので、スパッタリングがターゲット近傍で優先的になされ、酸化反応が基板近傍で優先的になされるので、スパッタレートが向上し、酸化物の特性が改善されるらしい。
【0006】
しかしながら、現実にはターゲットと基板間において、スパッタガスと反応ガスが混ざり両者の混合プラズマが形成されてしまう。特に大面積の基板上に薄膜を形成するような場合、基板とターゲット間の放電領域も大きなものとなり、スパッタガスと反応ガスが分離して存在し難い。よって、期待するほどに膜質の改善やスパッタレートの向上は望めない。
【0007】
一方、図 6は、特開平6―41733号公報に記載されている反応性スパッタリング装置の模式図である。1はターゲット、2は基板、3はスパッタリングガスとしてのアルゴン(Ar)の供給管、4は反応ガスとしての酸素(O2)の供給管、9は反応室、12はターゲットホルダー、7は基板ホルダー、8は電源、9は反応室、12はターゲットホルダー、13は差圧板、14は高周波電源、15は排気ポンプ、16は磁石、17は冷媒を循環させる為の管である。
【0008】
この装置では、真空ポンプに連通する排気口を反応室9の上部に設け、差圧板13を利用して反応室上部と反応室下部との間に圧力差を作りスパッタリングガスと反応ガスの分離を試みている。しかしながら、図6の装置では、差圧板13の開口部13aは基板2の大きさより大きいものである為に、現実にはスパッタリングガスが差圧板13の開口部13aを通って基板2側に流れてしまう。よって、この装置であっても十分なスパッタレートの向上や膜特性の向上は期待するほど向上しない。又、高周波電源14による酸素の予備励起を必要とする為、装置構成が複雑になるし、更には、予備励起する為に反応ガス供給管4内壁がスパッタされて、鉄のような反応ガス供給管の構成物質が形成すべき膜中に取り込まれる等の弊害の方が大きい。
【0009】
又、スパッタされた粒子が基板に飛び込むことによる過度の温度上昇を引き起こしやすい。
【0010】
上述した装置とは別の目的を達成する為に提案された反応性スパッタリング装置が特開平7―335553号公報に記載されている。この装置は、半導体デバイスのコンタクトホールを埋め込む為にコリーメーターをターゲットと基板の間に設けたものである。
【0011】
このコリメーターを有する装置では、コリメーターのアスペクト比が大きい為にスパッタされたターゲット構成原子が基板表面に入射する角度が小さくなり、均一大面積の連続した薄膜を形成することが難しい。更には、コリメーター表面がスパッタされて、コリメーターの構成原子(例えばコリメーターがステンレスの場合、鉄)が成膜すべき、TiN薄膜に混入する。
【0012】
更に、米国特許第5,415,753号の明細書及び図面、或いは、文献「THE SECOND INTERNATIONAL SYMPOSIUM ONSPUTTERING & PLASMA PROCESSES,1993,PP269−274」には、ターゲットと基板との間に、開孔付プレートを配置するとともに、スパッタリングガスと反応ガスとを別々に供給するように、構成された反応性スパッタリング装置が記されている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記米国特許に記されている装置といえども、放電により発生する負イオンの作用を制御することが出来ない。その為、緻密な膜が得られなかったり、緻密な膜にしようとすると膜の損傷が激しくなる等、成膜の再現性や装置の制御性の点で充分なものとは云えなかった。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、負イオンの制御が容易で、扱い易いスパッタリング装置を提供することにある。
【0015】
本発明の別の目的は、負イオンの制御が容易で、所望の特性の薄膜を形成し易い薄膜形成法を提供することにある。
【0016】
本発明のスパッタリング装置は、反応室と、前記反応室内に配置された基板を保持する為の基板保持手段と、前記反応室内に配置されたターゲットを保持する為のターゲット保持手段と、複数の開孔を含み、前記反応室内の空間を前記ターゲット側の空間と前記基板側の空間とに仕切る仕切り部材と、前記ターゲットと前記仕切り部材との間に放電を起こす為の電力を供給する電力供給手段と、前記ターゲット側の空間に、前記ターゲットをスパッタリングする為のスパッタガスを供給するスパッタガス供給手段と、前記基板側の空間に、反応ガスを供給する為の反応ガス供給手段と、前記仕切り部材と前記基板との間に配置された導電性部材と、前記導電性部材に対して、可変な電位を付与する手段とを有しており、前記複数の開孔のアスペクト比が1.0未満であることを特徴としている。
【0017】
(作用)
本発明によれば、仕切り部材と基板との間に配された導電性部材により、基板に入射する負イオン(例えばO~,F~等)の量ないし運動エネルギーを適正化することが出来る。
【0018】
これにより、イオンアシスト効果の発現と膜の損傷防止効果の発現を制御出来るので、所望の特性の薄膜を容易に得ることが出来る。
【0019】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の好適な実施の形態による反応性スパッタリング装置の模式的断面図である。
【0020】
図1の反応性スパッタリング装置は、基板2を保持する為の基板保持手段としての基板ホルダー7と、ターゲット1を保持する為のターゲット保持手段としてのターゲットホルダー12と、ターゲット1をスパッタリングする為のスパッタガスGAを反応室9内に供給するスパッタガス供給手段としてのガスシャワーヘッド3と、ターゲット1と基板2間に放電によるプラズマ5を起こす為の電力を供給する電力供給手段としての電源8とを備えている。そして、ターゲット1と基板2との間に複数の開孔6aを有する仕切り部材としてのグリッド板6が設けられ、基板2とグリッド板6との間に所定の電位に保持される導電性部材19が設けれられている。4は、反応ガスGBを供給する為の反応ガス供給手段であるガスシャワーヘッドである。導電性部材19としては、メッシュ状のもの等が用いられる。
【0021】
少なくともターゲット1とグリッド板6との間で生じた放電によるプラズマ5により負イオンが生じる。プラズマはグリッド板6の開口から基板側にしみ出すこともある。図1に示したように導電性部材19はターゲット1及びグリッド板6に対してバイアス電圧源44から正の電圧が与えられているので、基板表面に負イオンを積極的に引き込むことが出来る。こうして成膜過程にイオンアシスト効果が発現し、形成される膜は良質の緻密な膜になる。
【0022】
図2は、本発明の別の実施の形態によるスパッタリング装置を示している。
【0023】
図2の装置では、ターゲットとグリッド板との間に高周波電源から交流電力をブロッキングコンデンサを介して投入し放電を起こすようになっている。そして、導電性部材19には、バイアス電圧源44から仕切り部材(グリッド板)6に対して負の電圧が与えられている。
【0024】
これにより基板表面への負イオンの入射を抑制ないしは防止することが出来、基板上に形成されつつある膜の損傷を低減することが出来る。
【0025】
図3は、本発明の更に別の例によるスパッタリング装置を示している。
【0026】
この装置は、導電性部材19としてのメッシュにバイアス電圧を付与する為のバイアス電圧源を有し、これが正のバイアス電圧と負のバイアス電圧とを選択的にメッシュに供給できるようになっている。
【0027】
反応室9を構成する容器の上方には、ターゲット1を保持するターゲットホルダー12が取り付けられており、ターゲットホルダー12は、マグネトロン放電を生ぜしめる為の磁界発生用磁石16を有している。
【0028】
容器の下方には、基板2を保持し自転軸xを中心に自転する基板ホルダー7が設けられている。
【0029】
不図示のスパッタガス源から供給されたスパッタガスは環状シャワーヘッド3のガス放出口10より、グリッド板6の上方の空間に供給され、排気口24aより排気される。
【0030】
不図示の反応ガス源から供給された反応ガスは環状シャワーヘッド4のガス放出口11よりグリッド板6下方の空間に供給され排気口24bより排気される。
【0031】
ターゲット1とグリッド板6との間には、電源8よりDC又はAC電圧が印加されターゲット1とグリッド板6との間の空間で放電が生じる。
【0032】
イオンアシスト効果を望む場合には、メッシュ19に正のバイアス電圧を与えるようにスイッチSW1をオンする。
【0033】
逆に、膜の損傷を極力抑えたい場合は、スイッチSW2をオンしてメッシュ19に負のバイアス電圧を与える。
【0034】
いずれのバイアス電圧源も供給電圧が可変である為に、メッシュに与える適した電圧値を容易に定められる。
【0035】
本発明に用いられる導電性部材19としては、針金等で構成された開口率95%以上のメッシュ等が好ましく用いられる。当該メッシュはアルミニウム、タンタル、チタン、銅、鉄、ニッケル、クロム等の金属から選ばれる少なくとも一種又は、該金属と他の元素との合金等の細長い針金で構成されるとよい。又、少なくともその表面を成膜すべき物質に応じて不純物発生源とならないような材料で構成することが好ましいものである。
【0036】
図4は、本発明に用いられる仕切り部材6の一例を示す平面(a)と仕切り部材6の断面(b)を示している。該導電性の仕切り部材としてのグリッド板6の少なくとも表面の材料は、スパッタすべきターゲット1の構成材料に応じて選択するとよい。換言すれば成膜すべき膜の構成材料に応じてグリッド板6の材料を選ぶとよい。例えば酸化シリコン膜を成膜する場合にはシリコン(Si)からなる部材を用い、酸化タンタル膜を成膜する場合にはタンタル(Ta)からなる部材を用い、酸化アルミニウム膜を成膜する場合にはアルミニウム(Al)からなる部材を用いる。このようにグリッド板はシリコン(Si)、タンタル(Ta)、アルミニウム、マグネシウム(Mg)、インジウム(In)、チタン(Ti)、銅(Cu)、等の材料から選ばれる。グリッド板はその基材としてターゲット材料とは無関係に選択した導電性又は絶縁性或いは半導体性の材料を用い、少なくともターゲット1側を向いた基材の表面にターゲットと同じ材料からなる導電性の被膜が形成された板状部材であってもよい。
【0037】
又、AC電源を用いる場合には、導電性の基材の表面をターゲットと同じ材料で被覆するとよい。
【0038】
グリッド板6に設けられた複数の開孔6aのアスペクト比は、1.0未満、より好ましくは、0.6未満であることが望ましく。これにより、ガスの相互拡散が抑制され、又、適切な堆積速度で成膜ができ、且つ膜厚が全面に亘って均一な膜が得られる。
【0039】
グリッド板の上面から見た開孔の3次元形状は円筒形、角柱等でよく、該開孔の平面形状すなわち開口形状(2次元形状)は円、楕円、四角、三角、等いずれの形状でもよい。
【0040】
開孔6aのアスペクト比ARは、開孔の深さ(板の厚み)Dを、開口の面積と同じ面積をもつ真円の直径Lで除した値(D/L)で定義される。更に基板2の表面が円形の場合は、直径Lは基板2の直径の1%乃至15%、より好ましくは4%乃至10%とすることが望ましい。
【0041】
更に、均質な膜を形成する為には、グリッド板6の複数の開孔6aは規則的に分布している方が良い。そして、開口率は均一大面積の薄膜を適当な堆積速度で得るには5%乃至90%、より好ましくは20%乃至70%が望ましい。
【0042】
そして、グリッド板は、ターゲットとの間に電位差を生じるように所定の電位に保持された状態でスパッタリングが行われる。SWはグリッド板6の電位を設定する為の電位切り換え手段としてのスイッチである。グリッド板6と基板2はともに同じ電位としてもよいし、異なるとしてもよい。又、グリッド板6とチャンバとは互いに異なる電位とすることもできる。よりスパッタレートを上げる為には供給する電力を上げればよいが、こうするとスパッタされた原子が基板に飛び込みすぎて、基板温度を過度に上昇させてしまう。これでは、熱変形を嫌う基板上に膜を形成出来ない。本例では、グリッド板がスパッタされた原子を捕獲するので、このような問題が解決出来る。
【0043】
スパッタガス供給口10は、図1〜3のように、ターゲット1近傍に且つターゲット1を囲うように複数配置されている方が望ましい。図1〜3の装置ではスパッタガス供給口10は管の中心よりターゲット1側にありターゲット1側に優先的にガスを吹き出すように構成されている。スパッタガス供給口10は環状の供給管であるガスシャワーヘッド3上にほぼ等間隔で配列されている。換言すれば円周上に対称に複数の供給口が配されていると言える。
【0044】
同様に、反応ガス供給口11も、基板2近傍に且つ基板2を囲うように複数配置されていることが望ましい。図1〜3の装置では反応ガス供給口11は管の中心より基板2側にあり基板表面に優先的にガスを吹き出すように構成されている。反応ガス供給口11は環状の供給管であるガスシャワーヘッド4上にほぼ等間隔で配列されている。換言すれば円周上に対称に複数の供給口が配されているといえる。
【0045】
基板保持手段7はスパッタリング中、1乃至50rpmでの自転が可能に構成されている。これによりより一層均一な膜ができる。
【0046】
図3に示したようにターゲットホルダー12に磁石を配置して、反応性マグネトロンスパッタリングとしてもよい。こうすれば、スパッタガスのプラズマはよりターゲット近傍に閉じ込められる。
【0047】
又、電源8としてはDC電源又はAC電源が用いられる。AC電源としては、例えば13.56MHzのRF電源があり、必要に応じてDCバイアスを重畳させてもよい。スパッタリングレートを向上させて、薄膜の堆積速度をより一層向上させる場合にはDC電源を用いたDCスパッタを行うことが望ましい。
【0048】
反応室9の排気口は、不図示の排気ポンプに接続されている。排気ポンプは主排気用のターボ分子ポンプやクライオポンプと粗排気用のロータリーポンプ等を組み合わせて構成できる。
【0049】
又、図1〜3はターゲット1を上方に、基板を下方に配置した装置を示しているが、この関係を上下逆にして上方に基板をその被成膜面が下を向くように配置して、下方にターゲットをそのスパッタされる面が上を向くように配置してもよい。或いは被成膜面及びスパッタされる面が非水平となるように平板上の基板やターゲットを立てて配置してもよい。
【0050】
(成膜方法)
以下、上述した反応性スパッタリング装置を用いて薄膜を形成する薄膜形成法について説明する。
【0051】
まず、反応室9内にターゲット1と基板1と仕切り部材6とを配置する。この時、ターゲット1と仕切リ部材6の表面は同じ材料からなるものを選ぶとよい。
【0052】
まず、複数の開孔を有する仕切り部材を配置する。そして、ターゲット1をターゲットホルダー12上に配置する。続いて基板2を基板ホルダー7上に配置する。
【0053】
反応室9内を排気し、必要に応じて基板2を冷却又は加熱する。
【0054】
ガスシャワーヘッド3の供給口10からターゲット1と仕切り部材6との間の空間に該スパッタガスGAを供給し、反応ガスシャワーヘッド4の供給口11から基板2と仕切り部材6との間に反応ガスGBを供給する。
【0055】
反応室内の圧力を 0.05乃至 13 パスカル、より好ましくは0.1乃至1.3パスカル程度に維持した状態で、ターゲット1と基板2との間にDC電圧又はRF電圧を印加して、ターゲット1と仕切り部材6との間に放電を起こして、スパッタガスのプラズマ5を生成する。このプラズマ粒子にてスパッタされたターゲットの構成原子はグリッド板6の開孔6aを通して基板2の表面に達する。ここで、グリッド板6と基板2との間の空間にはターゲット構成原子と反応する反応ガスが存在しているので、基板表面で反応し、ターゲットの構成原子と該反応ガスの構成原子とを含む膜を基板上に形成することができる。
【0056】
又、この時、導電性部材19には、バイアス電圧源44より所望の電位レベルにある電圧が印加され、負イオンの基板への入射を抑制又は促進している。
【0057】
本実施形態によれば、グリッド板6がターゲット1と同じ材料で構成されているので、プラズマ粒子がグリッド板6をスパッタしても、基板2上に形成される薄膜に影響はない。反応ガスのターゲット側への流出をグリッド板によって防止できるので、反応ガスとスパッタされたターゲット構成原子との反応は基板表面で優先的に生じる。こうして、スパッタレートが低下することはなく、高堆積速度で化学量論比にかなり近い薄膜が形成できる。そして、負イオンの制御により所望の特性の膜が得られる。
【0058】
本発明に用いられるターゲット及び仕切り部材の表面材料としては、Si,Al,Ta,In,錫(Sn),Ti,Cu,亜鉛(Zn),Mg,W等を用いるとよい。
【0059】
又は、それら材料の酸化物や窒化物やフッ化物であってもよい。
【0060】
スパッタガスとしてはHe,Ne,Ar,Kr,Xe,Rn等があげられる。
【0061】
反応ガスとしてはO2、N2、F2、NF3等があげられる。
【0062】
基板としては、透光性のもの、非透光性のものいずれであってもよく、その材料としてはシリコン、GaAs等の半導体基板や、ガラス、石英、蛍石等の絶縁性基板や、ステンレス、アルミ等の金属基板があげられる。
【0063】
形成できる薄膜としては酸化シリコン、酸化アルミニウム、フッ化アルミニウム、酸化タンタル、酸化インジウム、酸化すず、窒化チタン、酸化銅、酸化亜鉛、フッ化マグネシウム、窒化タングステン等である。
【0064】
特に本発明の反応性スパッタリング装置は、凹面又は凸面をもつ透光性絶縁性の基板表面上に光学薄膜を形成する場合に有効であり、本発明の薄膜形成法により得られた光学薄膜はエネルギーの高いKrFエキシマレーザーやArFエキシマレーザー光学系物品の反射防止膜又は増反射膜として優れた特性を示す。
【0065】
同じ反応性スパッタリング装置を用いて異なる組成の膜を形成する場合には、仕切り部材を交換可能にすると良い。
【0066】
又、スパッタされた原子がグリッド板上に付着する。特にターゲット側の開孔の角部に付着して開口を塞ぐことがある。よって、開孔を埋めないように、開孔の角部を面取りしてテーパー状にすることが好ましい。図5はこのようなグリッド板6のテーパー形状の開孔6aを示す部分的な断面図である。図4a(b)と比較すると明白なように角部6bが面取りされている。これにより、グリッド板の交換頻度が減少し、装置の連続使用時間が延びる。
【0067】
【発明の効果】
本発明によれば,基板と仕切り部材との間に設けた導電性部材に所定のバイアス電圧を与えることにより、所望の特性をもつ薄膜を容易に形成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好適な実施形態による反応性スパッタリング装置の模式図である。
【図2】本発明の好適な実施形態による反応性スパッタリング装置の模式図である。
【図3】本発明の好適な実施形態による反応性スパッタリング装置の模式図である。
【図4】本発明の反応性スパッタリング装置に用いられる仕切り部材の平面及び断面を示す図である。
【図5】別の仕切り部材の開孔付近の部分的な断面図である。
【図6】従来の反応性スパッタリング装置の1例を示す模式図である。
【図7】従来の反応性スパッタリング装置の別の例を示す模式図である。
【符号の説明】
1 ターゲット
2 基板
3、4 ガスシャワーヘッド
5 プラズマ
6 グリッド板(仕切り部材)
7 基板ホルダー
8 電源
9 反応室
10 スパッタガス供給口
11 反応ガス供給口
19 導電性部材

Claims (11)

  1. 反応室と、
    前記反応室内に配置された基板を保持する為の基板保持手段と、
    前記反応室内に配置されたターゲットを保持する為のターゲット保持手段と、
    複数の開孔を含み、前記反応室内の空間を前記ターゲット側の空間と前記基板側の空間とに仕切る仕切り部材と、
    前記ターゲットと前記仕切り部材との間に放電を起こす為の電力を供給する電力供給手段と、
    前記ターゲット側の空間に、前記ターゲットをスパッタリングする為のスパッタガスを供給するスパッタガス供給手段と、
    前記基板側の空間に、反応ガスを供給する為の反応ガス供給手段と、
    前記仕切り部材と前記基板との間に配置された導電性部材と、
    前記導電性部材に対して、可変な電位を付与する手段とを有しており、
    前記複数の開孔のアスペクト比が1.0未満であることを特徴とするスパッタリング装置。
  2. 該開孔のアスペクト比が0.6未満である請求項に記載のスパッタリング装置。
  3. 該仕切り部材は、該複数の開孔が規則的に分布した板状部材である請求項1又は2に記載のスパッタリング装置。
  4. 該基板保持手段は面内自転可能であることを特徴とする請求項1乃至3いずれかに記載のスパッタリング装置。
  5. 前記ターゲットは、アルミニウム、タンタル、シリコン、マグネシウムから選択される材料の単体、或いは該材料の化合物であることを特徴とする請求項1乃至4いずれかに記載のスパッタリング装置。
  6. 前記スパッタガスは、前記ターゲット近傍に且つ前記ターゲットを囲うように複数配置された供給口から、該反応ガスは、該基板近傍に且つ該基板を囲うように複数配置された供給口からそれぞれ供給されることを特徴とする請求項1乃至5いずれかに記載のスパッタリング装置。
  7. 前記基板は透光性絶縁基板であることを特徴とする請求項1乃至6いずれかに記載のスパッタリング装置。
  8. 前記スパッタガスはHe,Ar,Ne,Kr,Xeから選択される少なくとも一種のガスであることを特徴とする請求項1乃至7いずれかに記載のスパッタリング装置。
  9. 前記反応ガスは酸素、窒素、フッ素の少なくともいずれか1つであることを特徴とする請求項1乃至8いずれかに記載のスパッタリング装置。
  10. 前記反応ガスはNF3であることを特徴とする請求項1乃至9いずれかに記載のスパッタリング装置。
  11. 前記基板は凹面又は凸面を有する透光性絶縁基板であることを特徴とする請求項1乃至10いずれかに記載のスパッタリング装置。
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