JPH06330293A - イオンプレーティング法および装置 - Google Patents

イオンプレーティング法および装置

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JPH06330293A
JPH06330293A JP5124557A JP12455793A JPH06330293A JP H06330293 A JPH06330293 A JP H06330293A JP 5124557 A JP5124557 A JP 5124557A JP 12455793 A JP12455793 A JP 12455793A JP H06330293 A JPH06330293 A JP H06330293A
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JP
Japan
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pressure
discharge
plasma
ion plating
film
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Application number
JP5124557A
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English (en)
Inventor
Koichi Sasagawa
孝市 笹川
Katsuhide Kawamata
克英 川又
Makiko Ooyamaguchi
まき子 大山口
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Nikon Corp
Original Assignee
Nikon Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】基板の汚染、不純物の混入を防止して膜の良品
率を向上させる。 【構成】グロー放電からアーク放電を生じさせることで
生成したプラズマ23を蒸発物に照射し、該蒸発物をイ
オン化することで成膜を行なうイオンプレーティング法
において、成膜が行われる空間の圧力を、グロー放電を
起こす段階、アーク放電を起こす段階および膜が形成さ
れる段階、の3つの段階についてそれぞれ所定の値に設
定する。前記空間の圧力の設定は、この空間を排気する
排気手段22の排気量を調整することで行なう。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、薄膜形成方法の一種で
あるイオンプレーティング法に関し、特に、圧力勾配型
プラズマ生成手段と複合陰極型プラズマ生成手段とを組
み合わせたプラズマ生成手段を使用するイオンプレーテ
ィング法において有用となるものである。
【0002】
【従来の技術】イオンプレーティング法は真空蒸着の一
種であり、蒸着物質の基板への付着(成膜)にイオン作
用を用いる薄膜形成方法である。この方法では蒸発物か
ら蒸発した原子をイオン化してプラズマを生成すると共
に、このイオンを基板に衝突させることで基板上に前記
蒸着物質からなる薄膜を形成する。イオンプレーティン
グ法は、真空蒸着に比べて耐食性、絶縁性、基板への付
着性が向上する他、堆積密度の高密度化が可能となると
いう利点を有している。イオンプレーティング法は、プ
ラズマの生成方法と蒸発源の構成によりさらにいくつか
の方法に分けられる。例えば、真空容器内で高周波励起
電圧を印加してグロー放電を起こすことでプラズマを生
成し、これにより薄膜の性質を操作するようにした高周
波型イオンプレーティング法や、真空容器内にホローカ
ソードを導入してアーク放電を起こし、これによりプラ
ズマを生成するホローカソード型イオンプレーティング
法などが知られている。
【0003】また、最近では、陰極と陽極の間に中間電
極を設けて陰極が設置された領域の圧力を1Torr程度、
陽極が設置された領域の圧力を10-3Torr程度に設定して
放電を行なう圧力勾配型プラズマ生成手段が提案されて
いる。この圧力勾配型プラズマ生成手段は、(イ)イオ
ンが陽極側から陰極側に逆流して陰極が損傷する恐れが
少ない、(ロ)大電流で放電することができる、という
利点を有している。さらに、陰極部を熱容量の小さい補
助陰極とLaB6からなる主陰極とで構成した複合陰極とし
た複合陰極型プラズマ生成手段も提案されている。この
生成手段では、補助陰極に初期放電を集中させて主陰極
を加熱し、最終的にこの主陰極によってアーク放電が行
われるように構成されたもので、これにより大電流の放
出が可能となるものである。さらに、これら圧力勾配型
プラズマ生成手段と複合陰極型プラズマ生成手段とを組
み合わせたプラズマ生成手段も提案されており、このプ
ラズマ生成手段をイオンプレーティング装置に取り付け
た例(以下、このような装置を「URイオンプレーティ
ング装置」という)も提案されている(特開昭58-7377
0)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、前述のよう
なURイオンプレーティング装置では、プラズマを生成
する際に放電状態が不安定になる現象が起きていた。そ
して、このような不安定な状態で成膜を行なうと、基板
が汚染したり膜中に不純物が取り込まれていた。そのた
め、URイオンプレーティング装置による成膜では膜の
良品率が低いという問題があった。本発明は、このよう
な問題を解決することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的のために、本発
明では、グロー放電からアーク放電を生じさせることで
生成したプラズマを蒸発物に照射し、該蒸発物をイオン
化することで成膜を行なうイオンプレーティング法にお
いて、成膜が行われる空間の圧力を、グロー放電を起こ
す段階、アーク放電を起こす段階および膜が形成される
段階(成膜段階)、の3段階についてそれぞれ所定の値
に設定するようにした(請求項1)。また、成膜が行わ
れる空間の排気を行なう排気手段の排気量を調整するこ
とで、該空間の圧力を所定の値に設定するようにした
(請求項2)。そのために、プラズマを生成するプラズ
マ生成手段、基板を支持する基板支持手段、蒸発物を支
持する蒸発物るつぼ、前記基板支持手段と蒸発物るつぼ
とを収容する真空容器、および前記真空容器内を所定の
圧力に設定する排気手段とを有するイオンプレーティグ
装置において、前記排気手段に排気量を調整する排気量
調整手段を設けた装置を提供する(請求項3)。さら
に、前記真空容器内の圧力を測定する圧力測定手段と制
御手段とを設けて、前記測定手段で得られた結果をもと
に前記排気量調整手段を制御して前記真空容器内を所定
の圧力に設定するようにした装置を提供する(請求項
4)。
【0006】
【作用】本発明者らの研究によれば、URイオンプレー
ティング装置における放電状態(放電の安定さ)は、成
膜が行われる空間(以下、成膜空間という)の圧力に依
存する。そして、前述のようなURイオンプレーティン
グ装置の成膜過程においては、グロー放電時、アーク放
電時および成膜時の各段階に対して、前記成膜空間を適
当な圧力に設定すれば、安定した放電状態が得られるこ
とが分かった。各段階における圧力は、グロー放電時は
数Torr〜10-3Torr、特に2×10-3Torr付近、アーク放電
時は8×10-4Torr付近に設定すると好ましい結果が得ら
れる。成膜時の圧力は、成膜する膜の種類によって異な
るが、概ね10-4Torr台の圧力に設定すると好ましい結果
が得られる。
【0007】また、本発明では、前記成膜空間の排気を
行なう排気手段の排気量を調整することで該空間の圧力
を所定の値に設定する。そのため、反応性イオンプレー
ティング法を用いる場合、前記空間に導入する反応性ガ
スの流量を一定量に維持しておくことができる。その結
果、蒸発物と反応性ガスとの反応量が一定の値で安定す
るので、成膜された膜の構成物質の成分比や膜厚の再現
性を向上させることが可能となる。
【0008】
【実施例】図1は、本発明の一実施例であるURイオン
プレーティング装置の構成を示す概略断面図である。こ
のURイオンプレーティング装置は、蒸発物を設置する
凹部を複数有する蒸発物るつぼ10と蒸発源カバー4か
らなる蒸発源11、プラズマ収束用磁石12、基板13
を支持する回転可能な基板ホルダ14、基板13上に形
成された薄膜の膜厚を測定する水晶振動子からなる膜厚
モニタ15、蒸発源11からの蒸発粒子が基板13に到
達するのを防ぐ遮蔽手段16およびこれら各構成要件が
設置された空間(成膜空間)を所定の真空度に維持する
ステンレス(SUS304)製の真空容器17とを備えてい
る。さらに、真空容器17に取り付けられた、前記蒸発
物を過熱する電子を含むプラズマを生成するプラズマ生
成手段(電子銃)30と、この生成手段30と真空容器
17との接続部に配置されたプラズマに外部から磁場を
与えるための空芯コイル18と、前記成膜空間の圧力を
測定する圧力計24とを備えている。なお、基板ホルダ
14およびこれに載置される基板13の電位と蒸発物る
つぼ10との電位差を任意に設定するためのバイアス電
源を設けてもよい。
【0009】蒸発物るつぼ10は、蒸発物を設置するた
めの複数の凹部1と回転機構(図示せず)とを有してい
る。そして、この回転機構で凹部1の位置を変えること
により、プラズマ23をこれらの凹部に載置された蒸発
物に選択的に照射できるように構成されている。カバー
4には、1つの凹部に載置された蒸発物にのみプラズマ
23が照射されるよう切り欠け(図示せず)が設けられ
ており、プラズマ23はこの切り欠け部分を通って選択
された蒸発物に照射される。蒸発物るつぼ10はプラズ
マ生成手段30の陽極も兼ねている。
【0010】真空容器17には、容器17内を所望の圧
力に設定するための2組の排気手段と、反応性ガス供給
口20が設けられている。この反応性ガス供給口20に
は、所定量の反応性ガスを容器17内に導入する反応性
ガス供給手段25が接続されている。プラズマ生成手段
30は真空容器17の壁面に設置され、この生成手段3
0によって生成されたプラズマ流が容器17内の空間に
導入される。
【0011】前記2組の排気手段は、各々、真空容器1
7に設けられた排気口21a、21bと、この排気口2
1a、21bにそれぞれ接続されたトラップを有する油
拡散ポンプと油回転ポンプ、補助バルブ、粗引きバルブ
(共に図示せず)、およびメインバルブ22a、22b
により構成される。この排気手段は、前記ポンプ自体で
の排気量は常に一定量に維持され、真空容器17内に対
する排気量はメインバルブ22の開口面積を変えること
で調整される。これら両排気手段は、図2に示すよう
に、プラズマ生成手段30に対向するように並列に配置
される。なお、図2では排気手段のメインバルブ22の
みを図示してある。図3は、各メインバルブ22a、2
2bの構成を示す概略平面図である。メインバルブ22
a、22bは、それぞれ真空容器17の排気口21に続
く直径10インチの円形の開口部44と、開口部44を開
閉するバルブプレート42と、このプレート42を移動
させるステッピングモータを備えた排気量調整部43と
で構成される。調整部43のステッピングモータを駆動
してプレート42を所定量移動させることで、開口部4
4の面積を変えて排気量を調整できる。
【0012】遮蔽手段16は、シャッタ16aとシャッ
タ駆動部16bとを備え、駆動部16bを駆動すること
でシャッタ6aの開閉を行なう。駆動部16bの駆動力
には圧縮空気を用いた。プラズマ生成手段30には、前
述のように複合陰極を用いた圧力勾配型プラズマ生成装
置を用いた。この圧力勾配型プラズマ生成装置について
は「真空第25号第10巻」に記載されている。プラズマ生
成手段30は、一端に配置された陰極部31、石英管3
2、第1の中間電極33、第2の中間電極34、前記蒸
発物るつぼを兼ねる陽極10、および主放電電源35と
を有している。また、アーク放電時の放電電流を測定す
る放電電流測定手段26が設けられている。両中間電極
33、34はリング状に形成されており、この両中間電
極33、34と石英管32とによって、真空容器17に
接続する空間が形成される。この空間のうち、特に陰極
部31に接する石英管32内の空間がプラズマ生成室と
なり、密閉状態を維持できるようになっている。プラズ
マ生成手段30と真空容器17とは、図示していない絶
縁被覆を介して接続されている。陰極部31は、熱容量
の小さいTa(タンタル)からなるパイプ状の補助陰極
と、LaB6(六ホウ化ランタン)からなる円板状の主陰極
(共に図示せず)を有し、補助陰極はガス導入口36に
接続されている。ガス導入口36は放電ガス(キャリア
ガス)としてArガスを供給する放電ガス供給手段37に
接続され、所定の流量の放電ガスを補助陰極付近に導入
することができる。
【0013】また、本実施例のURイオンプレーティン
グ装置は、制御手段50を備えており、この制御手段5
0によって放電ガス供給手段37、主放電電源35、シ
ャッタ駆動部16b、反応性ガス供給手段25、排気量
調整部43、蒸発物るつぼ10に設けられた前記回転機
構、シャッタ駆動部16bおよび基板ホルダ14を制御
することで、成膜過程が自動化されている。圧力計2
4、放電電流測定手段26および膜厚モニタ15で測定
された値は、それぞれコントローラ50に送られる。コ
ントローラ50はこれらの測定結果と膜の種類(蒸発物
および反応性ガスの種類)と所望の膜厚とに基づいて、
プラズマの発生状態と出力の調整、反応性ガスと放電ガ
スの流量の調整、基板13と蒸発物るつぼ10間の電位
差の調整、前記排気手段による排気量の調整、シャッタ
16aの開閉、プラズマ23を照射する蒸発物の選択等
を行なう。
【0014】ここで、プラズマ生成手段30による放電
過程(プラズマ生成過程)を説明する。油拡散ポンプと
油回転ポンプに接続されたメインバルブ22a、22b
を共に全開とし、真空容器17内の圧力が1×10-6Torr
程度になるように設定する。この後、陰極部31のガス
入口36から放電ガス(キャリアガス)としてArガスを
導入し、陰極部31の近傍領域のガス圧を1Torr程度に
維持する。また、前記排気手段により、真空容器17内
の陽極(蒸発物るつぼ)10の近傍領域の圧力を約2×
10-3Torrに設定する。圧力を設定する際は、コントロー
ラ50で排気量調整部43を制御してメインバルブ22
の開口度を設定する。開口度の設定は、各バルブプレー
ト42をそれぞれ所定量だけ移動させることで行なう。
この時、全開時の開口部21の開口面積に対する割合を
開口度とすると、一方のメインバルブ22aは開口度を
0(完全に閉じた状態)にし、他方のメインバルブ22
bを開口度を約 2/3に設定した。この状態で主放電電源
35により陰極部31と陽極10との間に600 V前後の
直流電圧を印加する。これにより、まず、前記補助陰極
の先端にグロー放電(1A以下)を発生させる。このグ
ロー放電(初期放電)によって、補助陰極の先端がArガ
スの電離による逆流イオンの衝突によって加熱される。
その結果、補助陰極先端は熱電子を放出するようにな
り、放電電圧が徐々に低下して放電電流が増加する。補
助陰極の先端が2000℃以上に加熱されると、放電電圧は
70V前後、放電電流は30A以上に達する。この状態で2
〜3分すると、補助陰極先端の放射熱により主陰極が17
00℃程度に間接的に加熱される。加熱された主陰極から
は大電流の熱電子放出が発生し、この主陰極が放電を生
じさせる陰極として機能するようになる。この時点で、
放電はアーク放電(最大 250A程度)となり、補助陰極
の温度は低下する。そのため、この補助陰極の熱による
損傷(消耗)は回避される。
【0015】始めから主陰極をグロー放電のAr逆流イオ
ンによって直接加熱しない理由は主陰極を構成するLaB6
が低密度物質(比重4.6 )で、高速逆流イオンによって
スパッタリングされる恐れがあるからである。しかし、
LaB6は熱電子放射特性が極めて良く、融点より著しく低
い温度でも大電流密度の熱電子放出ができる。そのた
め、大電流放電でも熱的消耗が小さく、長寿命であると
いう利点を有する。これに対し、補助陰極を構成するTa
は、高密度物質(比重16.7)で前記初期放電によって生
じるスパッタリング作用に対する耐久性は有している
が、最終的な大電流密度の熱電子放射による温度上昇に
は極めて弱いため、熱的消耗が激しく寿命が短いという
欠点を有する。本実施例で用いたプラズマ生成手段30
は、陰極部31を初期放電時のスパッタリング作用に強
いTaからなる補助陰極と、最終の熱電子放射温度に強い
LaB6からなる主陰極とを組合わせた複合型LaB6陰極とし
たことで両者の欠点を補い合い、イオンの集積効率を高
めている。
【0016】また、本実施例のプラズマ生成手段30
は、陰極部31と陽極10との間に間電極33、34を
配置することで、これら陰極と陽極間の空間を陰極側と
陽極側とに分けると共に、陰極側の圧力を陽極側よりも
高い圧力に維持した状態でプラズマを生成するように構
成されている。そのため、例えば、陰極側の圧力を1To
rr程度、陽極側(成膜空間内)の圧力を10-1Torr〜10-4
Torr程度の希望する値に設定してプラズマを生成するこ
とができる。これにより、成膜が行われる真空容器17
内を高真空に保ちながらプラズマ生成のための安定な放
電を行なうことができる。また、圧力差により前記主陰
極に対するイオンの逆流がほとんどないため、イオンの
衝突による陰極の損傷を防止できる。また、陰極からの
熱電子放出が低下し難い、陰極の寿命が長くなる、大電
流放電が可能となる等の利点を有する。
【0017】以下、本実施例のURイオンプレーティン
グ装置による多層膜の製造(成膜)過程について説明す
る。コントローラ50には、あらかじめ多層膜の1層当
たりの膜厚と成膜レート(成膜速度)と積層数とを入力
しておく。まず、基板13として光学研磨した直径30mm
の円形の石英ガラスを用意し、この基板13を基板ホル
ダ14に取り付ける。そして、蒸発物るつぼ10(プラ
ズマ生成手段30の陽極を兼ねる)の凹部1の1つに蒸
発物としてチタン(Ti)を、他の1つにシリコン(Si)
を載置し、前記チタンが載置された凹部1が蒸発源カバ
ー4の切り欠けの下部に位置するように前記回転機構に
より蒸発物るつぼ10を回転させる。この後、排気量調
整部43によりバルブプレート42を移動させてメイン
バルブ22a、22bを全開にする。そして、圧力計2
4によって容器17内の圧力を測定しながら排気を行
い、真空容器17内の圧力を1×10-6Torr(到達圧力)
に設定する。容器17内の圧力が1×10-6Torrになって
いることを確認した後、コントローラ50による自動制
御を開始する。図4および図5は、自動制御過程を説明
するフローチャート図である。
【0018】自動制御が開始されると(ステップ10
0)、URイオンプレーティング装置のインターロック
を確認する(ステップ105)。ここでは、冷却水の量
やシャッタ16aを駆動するための圧縮空気の量と圧力
および容器17の真空度などが所定の値になっているか
否かの確認を行なう。所定値を満たしているとステップ
110に進み、そうでないときは所定値となるように調
整する。ステップ110では、コントローラ50により
排気量調整部43を制御してメインバルブ22の開口度
を設定する。開口度の設定は、各バルブプレート42を
それぞれ所定量だけ移動させることで行なう。ここで
は、一方のメインバルブ22aの開口度を0(完全に閉
じた状態)にし、他方のメインバルブ22bの開口度を
約 2/3に設定する。次いで、プラズマ生成手段30の放
電ガス供給手段37により、陰極部31のガス導入口3
6から放電ガス(Ar)を所定(20cc/min)の流量で生成
手段30内部に導入する(ステップ115)。この時、
陰極部31の近傍領域(前記第1の真空空間)のガス圧
は約1Torr程度に維持される。この後、圧力計24によ
って容器17内の圧力を測定する(ステップ120)。
ステップ125では、ステップ120での測定値が所定
の値(第1の設定圧力:2×10-3Torr)になっているか
否かを判断し、設定値になっていればステップ135に
進む。そうでない場合は、ステップ130で所定時間待
つ。この間に排気手段による排気が進行するので、所定
の待ち時間の後、ステップ120に戻って圧力計24に
より再度真空容器17内の圧力を測定する。この動作は
容器17内の圧力が第1の設定圧力になるまで繰り返さ
れる。ステップ135では、主放電電源35により陰極
部31と陽極10との間に所定の電圧( 600V)を印加
して放電を開始する。これにより、プラズマ生成手段3
0の陰極部31付近でグロー放電が起きる。この後、前
述のように放電がグロー放電からアーク放電に移行し
(ステップ140)、前記放電ガスがプラズマ化され
る。生成されたプラズマは、第1の中間電極33および
第2の中間電極34により前記プラズマ生成室から陽極
10側(真空容器17内部側)に引き出される。このプ
ラズマは、中間電極や空芯コイル18によって円柱状に
収束され、プラズマ流23として真空容器17内に導か
れる。真空容器17内に導かれたプラズマ23は、陽極
(るつぼ)10近傍に設置されたプラズマ収束用磁石1
2の磁場によって進路を変えられ、蒸発物カバー4に形
成された切り欠けを通って蒸発物るつぼ10に形成され
たチタンが載置された凹部1に達する。前記切り欠けの
位置のほぼ真下にプラズマ集束用磁石12が配置されて
いるので、プラズマ23は選択された蒸発物(ここでは
チタン)に集中して照射され、このチタンを蒸発させ
る。次いで、コントローラ50により排気量調整部43
を制御して、メインバルブ22aの開口度を0(完全に
閉じた状態)、メインバルブ22bを開口度を約 1/3に
設定する(ステップ145)。この後、圧力計24によ
って容器17内の圧力を測定する(ステップ150)。
ステップ155では、ステップ150での測定値が所定
の値(第2の設定圧力:8×10-4Torr)になっているか
否かを判断し、設定値になっていればステップ165に
進む。そうでない場合は、ステップ160で所定時間待
った後、ステップ150に戻って圧力計24により再度
真空容器17内の圧力を測定する。この動作は容器17
内の圧力が第2の設定圧力になるまで繰り返される。ス
テップ165では、放電電流測定手段26でアーク放電
時の電流を測定し、この値が設定値であるか否かを判断
し、設定値であればステップ175に進む。設定値でな
い場合は、プラズマの状態が異常であるとして、ステッ
プ110の状態まで戻ってメインバルブ22の開口度を
設定し直す。ステップ175では、コントローラ50に
より反応性ガス供給手段25を介して反応性ガス供給口
20から酸素ガス(O2)を所望の流量(85 CC/分)で容
器17内に導入する。これにより、蒸発物から蒸発した
物質(チタン)と酸素とが 反応する。反応性ガスの導
入を開始した後ステップ180に進み、コントローラ5
0により排気量調整部43を制御して、メインバルブ2
2aの開口度を 1/2、メインバルブ22bを開口度を1
(全開)に設定する。この後、圧力計24によって容器
17内の圧力を測定する(ステップ185)。ステップ
190では、ステップ185での測定値が所定の値(第
3の設定圧力:3×10-4Torr)になっているか否かを判
断し、設定値になっていればステップ200に進む。そ
うでない場合は、ステップ195で所定時間待った後、
ステップ185に戻って圧力計24により再度真空容器
17内の圧力を測定する。この動作を容器17内の圧力
が第3の設定圧力になるまで繰り返す。ステップ200
では、コントローラ50によりシャッタ駆動部16bを
駆動してシャッタ16aを開くと共に、基板ホルダ14
を回転させてこのホルダに支持された基板13に自転お
よび公転運動を与える。シャッタ16aを開くことで、
蒸発した物質(チタン)および反応性ガス(酸素ガス)
はプラズマ中を通ってイオン化され、基板13上に到達
する。そして、この基板13表面に薄膜状の酸化チタン
(TiO2)が形成される。ステップ210では、膜厚モニ
タ15により成膜レート(成膜速度)を測定し、測定結
果をコントローラ50に送る。ステップ215では、膜
厚モニタ15により基板13上に形成中の膜(酸化チタ
ン膜)の厚さを測定する。測定された成膜レート、膜厚
の結果は表示できるようにしておいてもよい。ステップ
220では、膜厚が所定の値になっているか否かを判断
し、所定値になっていればステップ230に進む。そう
でない場合は、ステップ225で所定時間待った後、ス
テップ215に戻って再度膜の厚さを測定する。この動
作を所定の膜厚になるまで繰り返す。膜厚が所定の値に
達するとシャッタ駆動部16bによりシャッタ6aを閉
じる(ステップ230)。こうして、多層膜の一層分が
基板13上に形成される。
【0019】ステップ235では、基板13上に形成さ
れた膜の層数が所定の値であるか否かを判断する。所定
の層数になっていればステップ245に進み、成膜を終
了させる。膜の層数が所定値でない場合は、ステップ2
40に進む。ステップ240では、次に成膜する膜の種
類に応じて蒸発物と反応性ガスを選択する。本実施例で
は酸化チタン層上に酸化ケイ素(SiO2)からなる層を成
膜するので、コントローラ50は、蒸発物るつぼ10に
設けられた前記回転機構を駆動して、シリコンが載置さ
れた凹部1が蒸発源カバー4の切り欠けの下部に位置す
るように設定する。反応性ガスの種類は酸化チタンの成
膜時と同様酸素を用いたが、異なるガスを使用する場合
は反応性ガス供給手段25で切替えるようにする。この
後、ステップ165に戻る。ステップ165以下の制御
過程は、酸化チタン膜の成膜と同様なので説明を省略す
る。
【0020】以上のようにして、蒸発物るつぼ10に載
置したチタンとシリコンに交互にプラズマ23を照射し
て一層ずつ交互に成膜し、酸化チタンからなる層と酸化
ケイ素からなる層を交互に15層ずつ積層された多層膜を
基板13上に形成(製造)した。各層の膜厚は、使用す
る光の波長(本実施例では 500nm)をλとした時、λ/
4となるように設定した。本実施例の成膜条件を以下に
示す。 真空容器内(成膜空間)の到達圧力:1×10-6Torr グロー放電時の真空容器内の圧力 :2×10-3Torr(第
1の設定圧力) アーク放電時の真空容器内の圧力 :8×10-4Torr(第
2の設定圧力) 成膜時の真空容器内の圧力 :3×10-4Torr(第
3の設定圧力) 反応性ガス(O2)流量 :85 CC/min 蒸発物 :チタン(Ti)、シ
リコン(Si) 成膜速度 :0.3 〜 0.5nm/se
c 基板温度 :150 ℃以下 形成された多層膜の一層ごとの膜厚を調べたところ、所
望の膜厚に対する変位量(誤差)はそれぞれ1〜2%
で、ほぼ均一な膜厚が得られたことが分かった。また、
基板の汚染や膜中の不純物は見られなかった。本実施例
で製造(成膜)された多層膜に光を照射し、その時の透
過率を分光光度計を用いて測定した。この結果を図3に
示す。測定光には測定波長 340〜700nm の光を用いた。
図3において、横軸は光の波長を、縦軸は各波長におけ
る透過率を示す。図3から判るように、本実施例で得ら
れた多層膜は計算値とほぼ同等な特性が得られた。
【0021】なお、本実施例で用いたURイオンプレー
ティング装置に基板ホルダ14およびこれに載置される
基板13の電位と蒸発物るつぼ10との電位差を任意に
設定するバイアス電源を設けてもよい。電位差を適宜設
定することで膜の性質を変えることができる。また、こ
の場合も制御手段50によってバイアス電源を制御する
ようにしてもよい。
【0022】
【発明の効果】以上のように、本発明では、URイオン
プレーティング法による成膜過程の各段階について成膜
が行われる空間の圧力を適切な値に設定したので、プラ
ズマ生成時の放電の状態を安定させることができる。そ
の結果、基板の汚染、不純物の膜への混入といった現象
が起き難くなり、膜の良品率が向上する。
【0023】また、前記空間の排気を行なう排気手段の
排気量を調整してこの空間の圧力を所定の値に設定する
ので、反応性イオンプレーティング法を用いる際に、前
記空間に導入する反応性ガスの量を一定量に維持するこ
とができる。そのため、成膜する膜の構成物質の成分比
および膜厚の再現性を向上させることができる。さら
に、排気手段、反応性ガスの効率的利用が可能になると
いう利点も有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】は、本発明のイオンプレーティング装置の概略
断面図である。
【図2】は、図1の装置を矢印A方向から見た概略平面
図である。
【図3】は、本実施例のイオンプレーティング装置の排
気手段の構成を示す概略平面図である。
【図4】は、本発明の実施例の成膜過程を説明するため
のフローチャート図である。
【図5】は、本発明の実施例の成膜過程を説明するため
のフローチャート図である。
【図6】は、実施例で製造(成膜)した多層膜の光学特
性の一例を示すグラフである。
【主要部分の符号の説明】 10 蒸発物るつぼ(プラズマ生成手段の陽極を兼ね
る) 11 蒸発源 12 プラズマ収束用磁石 13 基板 14 基板ホルダ 16 遮蔽手段 17 真空容器 21 排気口 22 メインバルブ 23 プラズマ 24 圧力計 25 反応性ガス供給手段 30 プラズマ生成手段 31 陰極部 35 主放電電源 36 放電ガス供給手段 42 バルブプレート 43 排気量調整部 50 コントローラ

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 グロー放電からアーク放電を生じさせる
    ことで生成したプラズマを蒸発物に照射し、該蒸発物を
    イオン化することで成膜を行なうイオンプレーティング
    法において、 成膜が行われる空間の圧力を、グロー放電を起こす段
    階、アーク放電を起こす段階および膜が形成される段
    階、の3つの段階についてそれぞれ所定の値に設定する
    ことを特徴とするイオンプレーティング法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のイオンプレーティング法
    において、 前記空間の排気を行なう排気手段の排気量を調整するこ
    とで該空間の圧力を所定の値に設定することを特徴とす
    るイオンプレーティング法。
  3. 【請求項3】 プラズマを生成するプラズマ生成手段、
    基板を支持する基板支持手段、蒸発物を支持する蒸発物
    るつぼ、前記基板支持手段と蒸発物るつぼとを収容する
    真空容器、および前記真空容器内を所定の圧力に設定す
    る排気手段とを有するイオンプレーティグ装置におい
    て、 前記排気手段が排気量を調整する排気量調整手段を備え
    ていることを特徴とするイオンプレーティング装置。
  4. 【請求項4】 請求項3記載のイオンプレーティング装
    置において、 前記真空容器内の圧力を測定する圧力測定手段と、該測
    定手段で得られた結果をもとに前記排気量調整手段を制
    御して前記真空容器内を所定の圧力に設定する制御手段
    とを有することを特徴とするイオンプレーティング装
    置。
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