JP2010045065A - 発光装置の製造方法および発光装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】LED半導体層の上に直接蛍光体薄膜を備え、発光効率のよいLED発光装置の製造方法を提供する。
【解決手段】基板上に半導体積層膜100を形成し、半導体積層膜100から基板を剥離し、半導体積層膜100上にアーク放電プラズマを用いるイオンプレーティング法により蛍光体膜3を成膜する。半導体積層膜100から成膜時の基板を剥離することにより、基板による光の減衰を防ぎ、光の取り出し効率のよい発光装置が得られる。蛍光体膜をアーク放電プラズマを用いるイオンプレーティング法により製造することにより、半導体積層膜にダメージを与えることなく結晶性のよい緻密な膜を成膜でき、蛍光体膜の変換効率も高い。
【選択図】図2
【解決手段】基板上に半導体積層膜100を形成し、半導体積層膜100から基板を剥離し、半導体積層膜100上にアーク放電プラズマを用いるイオンプレーティング法により蛍光体膜3を成膜する。半導体積層膜100から成膜時の基板を剥離することにより、基板による光の減衰を防ぎ、光の取り出し効率のよい発光装置が得られる。蛍光体膜をアーク放電プラズマを用いるイオンプレーティング法により製造することにより、半導体積層膜にダメージを与えることなく結晶性のよい緻密な膜を成膜でき、蛍光体膜の変換効率も高い。
【選択図】図2
Description
本発明は、LED(発光ダイオード)と蛍光体との組み合わせた発光装置に関する。
携帯電話や薄型テレビ用のLCD(液晶)バックライト、自動車用灯体光源として白色LEDが多く使用されている。これら用途の白色LEDを実現するために、約450〜460nmに発光する青色LEDと、この波長で励起され黄色に発光する蛍光体とを組み合わせて白色光源とする発光素子が一般に実用化されている。通常これらの白色LEDは、青色LEDチップの周囲に黄色の蛍光体(例えばYAG:Ceなど)をシリコーン樹脂に分散させてコートした構造が一般的である。
特許文献1には、蛍光体セラミックス基板を用い、この上にLED構造体を成長させた素子、あるいは、蛍光体セラミックス基板をLEDに貼り付けた素子が提案されている。
特許文献2および特許文献3には、青色LEDチップの表面に直接蛍光体薄膜を搭載したLED素子が開示されている。蛍光体薄膜の形成方法としては、特許文献1の段落「0014」に電子ビーム蒸着、加熱蒸着、交流スパッタリング、化学蒸着、及び、原子層エピタキシー等の公知の方法を用いることができると記載されている。特許文献2の段落「0014」には、スパッタリング法またはレーザーパルス(PLD)法を用いて蛍光体薄膜を蒸着することが記載されている。
蛍光体を分散させた樹脂によりLEDチップをコートした素子構造は、長時間高温で駆動すると樹脂に黄変が生じるという問題がある。これに対し、特許文献1〜3に記載の素子は、蛍光体セラミックス基板や蛍光体薄膜に樹脂等の有機成分を含まないため樹脂の黄変の問題が生じない。しかしながら、特許文献1記載の技術のように蛍光体セラミックス基板の上にLED構造体を成長させる方法は、成膜装置の中に蛍光体セラミックス基板を持ち込まなければならず、蛍光体の成分が反応炉に入ることで成長炉内を汚染し、LED特性に影響を与える可能性がある。また、特許文献1記載の蛍光体セラミックス基板をLEDに貼り付ける構成の素子は、接着材等を用いて接着する工程が必要であり、工数がかかる。蛍光体セラミックス基板として蛍光体硝子を用いる場合、熱伝導率が低いものもあり、熱引きが悪いという問題もある。
一方、特許文献2および3の技術ではLEDチップの表面に直接蛍光体薄膜を形成するため、LEDチップの半導体膜にダメージを与えない成膜方法を用いる必要がある。しかし、特許文献2および3に記載の成膜方法は、加速粒子を半導体膜に衝突させるスパッタ法や、結晶性を上げるために基板を高温に加熱する蒸着法を用いている。基板温度が低温で、加速粒子が少なく、しかも、結晶性のよい膜を形成できる成膜方法を用いることが望まれる。
さらに、特許文献1、2および3に記載の素子は、いずれもLEDチップが基板を含んでいるため、LEDの活性層から発せられた光が、厚い基板で横方向へ伝搬されることにより自己吸収され、光の取り出し効率が低下するという問題もある。
本発明の目的は、LED半導体層の上に直接蛍光体薄膜を備え、発光効率のよいLED発光装置の製造方法を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明によれば、以下のような発光装置の製造方法が提供される。すなわち、発光体構造をもつ半導体積層膜と、半導体積層膜上に直接搭載された蛍光体膜とを有する発光装置の製造方法であって、基板上に半導体積層膜を形成する工程と、半導体積層膜から基板を剥離する工程と、半導体積層膜上にアーク放電プラズマを用いるイオンプレーティング法により蛍光体膜を成膜する工程とを含む製造方法である。このように、半導体積層膜から成膜時の基板を剥離することにより、基板による光の減衰を防ぎ、光の取り出し効率のよい発光装置が得られる。蛍光体膜は、アーク放電プラズマを用いるイオンプレーティング法により製造することにより、半導体積層膜にダメージを与えることなく、結晶性のよい緻密な膜を成膜でき、蛍光体膜の変換効率も高い。
上記アーク放電プラズマとしては、ヘリウムガスと酸素ガスのプラズマを用いることが可能である。これにより、酸素プラズマの密度を高くすることができる。
上記蛍光体膜を成膜する工程は、例えば、Yを含む蒸発源とAlを含む蒸発源とCeを含む蒸発源とをそれぞれ蒸発させてアーク放電プラズマ中を通過させ、半導体積層膜に堆積することにより、Y3Al5O12:Ceからなる蛍光体膜を成膜する。
半導体積層膜から基板を剥離する工程では、例えば、半導体積層膜の基板とは逆側の表面にサブマウント基板を固定した後、基板を剥離し、蛍光体膜を成膜する工程は、半導体積層膜の基板を剥離した面に蛍光体膜を成膜する。
また、本発明の別の態様によれば、発光体構造をもつ半導体積層膜と、半導体積層膜から発せられた所定の波長光により励起され、他の波長の光を発する蛍光体膜とを有する発光装置であって、半導体積層膜は成膜時の基板から剥離された薄片状であり、蛍光体膜は半導体積層膜上に直接搭載されている発光装置が提供される。
本発明の一実施形態について説明する。
まず、本実施形態の製造方法により製造するLED発光装置の構造を図1を用いて説明する。図1のように、LED発光装置は、LED構造積層膜100をパッケージ401に搭載した構造である。パッケージ401には、一対の電極端子402,403と、反射部材404と、保護用の透明ガラス405が備えられている。
まず、本実施形態の製造方法により製造するLED発光装置の構造を図1を用いて説明する。図1のように、LED発光装置は、LED構造積層膜100をパッケージ401に搭載した構造である。パッケージ401には、一対の電極端子402,403と、反射部材404と、保護用の透明ガラス405が備えられている。
LED構造積層膜100の詳しい構造を図2に示したように、n型半導体層4、活性層5、p型半導体層7を積層した構造である。これらは、いずれも窒化物系化合物半導体(InxAlyGa1−x−yN(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1))により形成されている。p型半導体層7の上にはp−電極8が配置されている。p型半導体層7および活性層5は、その一部が切り欠かれてn型半導体層4の一部を露出している。露出したn型半導体層4上には、n−電極9が配置されている。
このLED構造積層膜100は、中心波長450〜480nmの青色光を発光する。
LED構造積層膜100のp−電極8およびn−電極9は、図1に示したように、パッケージ401の一対の電極端子402、403に接続されている。
n型半導体層4の表面には、蛍光体膜3が配置されている。この蛍光体膜3は、青色光を吸収して黄色光を発光する蛍光体からなる。例えばYAG:Ce系の蛍光体を用いることが可能である。一例としては、Y3Al5O12:Ceを用いることができる。
図1のLED発光装置において活性層5から発せられた光は、LED構造積層膜100内を伝搬して、一部の光は蛍光体膜3を通過して出射され、直接または反射部材404で反射されて透明ガラス405を通過し、外部に向かって出射される。このとき、蛍光体膜3を通過する光の一部は、蛍光体を励起して黄色光に変換される。これにより青色光と黄色光とが混合され、白色光が出射される。
図1のLED発光装置は、LED構造積層膜100が基板を備えていない。蛍光体膜3は、LED構造積層膜100に直接搭載されている。このため、活性層5から発せられLED構造積層膜100を伝搬する光は、薄いLED構造積層膜100を伝搬して出射されるため、基板を備えている場合と比較して基板伝搬による減衰がなく、光の取り出し効率が高い。また、薄いLED構造積層膜100は、自己発熱を効率よく逃すことができる。
以下、本実施形態のLED発光装置の製造方法について説明する。本実施の形態では、薄いLED構造積層膜100にダメージを与えにくい成膜方法で、結晶性に優れた緻密な蛍光体膜3を形成する。
まず、LED構造積層膜100をMOCVD法等により成膜する。図3のように、基板1として所定の面(例えばC面)を主平面とするサファイア基板やSiC基板を用意し、所定の温度で熱処理することによりクリーニングする。その後、所定の低温で基板1を加熱し、アモルファス状の窒化物系化合物半導体層を薄い膜厚で形成する。成膜方法としては公知の方法を用いることができ、例えばMOCVD法を用いることができる。MOCVD法を用いる場合、供給ガスとしては、反応ガスとしてトリメチルガリウムおよびアンモニアを用いることができる。その後、所定の温度で熱処理することによりアモルファス状の窒化物系化合物半導体層を結晶化させる。これにより、窒化物系化合物半導体の結晶粒からなる低温バッファ層2を形成する。
次に、基板1を所定の温度で加熱しながら、バッファ層2の上に所定の濃度でn型不純物をドープした窒化物系化合物半導体を所定の膜厚で結晶成長させ、n型半導体層4を形成する。n型半導体層4の上に窒化物系化合物半導体を結晶成長させ、所定の構造の活性層5を形成する。さらに、活性層5の上に、所定の濃度でp型不純物をドープした窒化物系化合物半導体を結晶成長させ、p型半導体層7をそれぞれ形成する。いずれも公知の結晶成長方法、例えばMOCVD法により形成することができる。
次に、p型半導体層7を熱処理することによりアクチベーション処理する。p型半導体層7の上にp−電極8を形成した後、基板1および各層を分割し、p型半導体層7および活性層5を所定の形状に切り欠く。露出したn型半導体層4の一部の上には、n−電極9を形成する。以上により、基板1上にバッファ層2を介して、LED構造積層膜100が形成される。
次に、LED構造積層膜100から基板1を剥離するために、基板1側からレーザー光を照射する。バッファ層2は、レーザー光を吸収するため、バッファ層2と基板1の界面で、LED構造積層膜100と基板1とを剥離することができる。この方法の他に、ケミカルリフトオフ法を用いることも可能である。この場合、バッファ層2は、化学的にエッチングができる材料で、かつ、InAlGaNに格子定数が近い材料により形成する。
剥離したLED構造積層膜100は、通常数十μm程度と薄い。ハンドリングが困難な場合には、図4のように電極8,9側に金属層11を介してサブマウント基板10を貼り付けてもよい。金属層11としては、金またはAu/Sn合金層を用いることができる。サブマウント基板10としては、例えばSi基板を用いる。
つぎに、n型半導体層4の表面に蛍光体膜3を形成する。本実施形態では、蛍光体膜3をアーク放電を用いる成膜方法(例えば、アーク放電イオンプレーティング法)により成膜する。アーク放電を用いることによりプラズマ密度を高くできるので酸素や構成元素の活性化率が高く、緻密で結晶性の良い膜を低温で成膜することができる。また、スパッタ法と比較して放電電圧が低いため、高エネルギーをもった加速粒子がなく、n型半導体層4に与えるダメージが非常に少ない。
ここで、アーク放電イオンプレーティング装置について図5を用いて説明する。図5のアーク放電イオンプレーティング装置は、電子流を反射させる反射型でかつ圧力勾配型のプラズマガン210を備えている。
真空容器211内には、成膜すべきLED構造積層膜100を支持する基板ホルダー13が配置されている。基板ホルダー13内にはLED構造積層膜100を加熱するためのヒーターが内蔵されている。真空容器211内のLED構造積層膜100に対向する位置には、蒸発源12が配置される。蒸発源12は、ここでは、いずれも銅ハースに充填されたY2O3、Al2O3、CeO2の3種類、もしくは、Y、Al、Ceの3種類を用いる。図5には図示していないが、真空容器211内には、蒸発源12に電子ビームを照射する電子ビームガンが備えられている。また、LED構造積層膜100と蒸発源12との間の空間に反応ガスを供給するための反応ガス導入管15が配置されている。
真空容器211の側面にはプラズマガン210が備えられている。プラズマガン210は、筒状のプラズマガン容器103に、陰極21、第1中間電極22、第2中間電極23、陽極24、フランジ26をプラズマ引き出し軸101に沿って順に配置した構造である。陰極21、第1中間電極22、第2中間電極23、陽極24は不図示のガイシによって相互に絶縁されている。陽極24の外周側には、プラズマをガイドするための空芯コイル25が配置されている。
陰極21は、アーク放電に適した公知の陰極構造のものを用いる。陰極21には放電ガスの導入口102が備えられている。第1および第2中間電極22、23は、いずれも中央に所定の径の貫通孔を有しており、この貫通孔によってプラズマガン容器103の圧力を真空容器211よりも陽圧に維持し、圧力勾配を形成する。第1および第2中間電極22,23には、生じたプラズマを収束させて貫通孔を通過させるための磁場を発生する永久磁石または電磁石が必要に応じて内蔵されている。フランジ26は、プラズマガン210を真空容器211に連結する。
プラズマ発生のための電気配線は、図5に示されるように、陰極21と陽極24との間に直流電源を設け、第1および第2の中間電極22、23は適切な抵抗値の抵抗を介して陽極24に接続した構成である。陰極21から適切な流量の放電ガスを流して、直流電源により陰極21と陽極24間に電圧を印加することにより、陰極21と陽極24間及び真空容器211内に直流アーク放電プラズマを発生させることができる。
プラズマガン210は、陽極24を真空容器211の手前に配置した反射型の構成であるため、プラズマガン210から真空容器211内に導かれた直流アーク放電プラズマ中の電子は空間電荷によって反射されて陽極24に戻る。よって、真空容器211内にはプラズマ105のみが発生し、電子電流が空間を流れない。プラズマ105は、空芯コイル25が形成する磁場の影響を受けず、非常に均質なプラズマ105を真空容器211内に発生させることができる。
蒸発源12の材料として、Y2O3、Al2O3、CeO2の3種類またはY、Al、Ceの3種類を用い、電子ビーム加熱により各々独立に蒸発させる。各金属の蒸発量をモニタし、電子ビーム加熱源の出力をフィードバック制御することによりYとAlとCeの蒸発量を組成Y3Al5O12:CeのY、Al、Ce比となるように制御する。
圧力勾配型アーク放電プラズマガン210に所定流量のHeガスを放電ガスとして導入し、直流バイアス電圧を印加することにより、アーク放電を発生させる。このアーク放電で生成したHeプラズマは空芯コイル25によって生じた磁場によって真空容器211内に導かれる。
この状態で、ガス導入管15よりO2ガスを導入することにより、真空容器211内にHeと酸素の混合プラズマが形成される。このとき酸素プラズマの密度は高密度であり、これにより高濃度の酸素ラジカルが生成される。
基板ホルダー13に内蔵されたヒーターにより所定温度に加熱したLED構造積層膜100に向け、蒸発源12からYとAlとCeを電子ビーム加熱蒸発させると、各蒸気は、混合プラズマを通過することにより酸素ラジカルと反応し、酸化されながら基板上に堆積する。これにより、組成Y3Al5O12:Ceの蛍光体膜3をLED構造積層膜100上に堆積させる。
以上の工程は、ウエハの状態で行う。このウエハ状の蛍光体膜3付きLED構造積層膜100をダイシングにより切り分け、チップにする。チップを図1のようにパッケージ401にマウントする。図4のようにサブマウント基板10を貼り付けた場合は、サブマウントごとパッケージ401に実装することも可能である。
本実施形態ではアーク放電プラズマを用いており、プラズマ密度が高いため、酸素や構成元素の活性化率が高く、緻密で結晶性の良い組成Y3Al5O12:Ceの蛍光体膜3を低温で成膜できる。
また、アーク放電イオンプレーティング法は、放電電圧が通常100V程度であり、一般的なスパッタ法の放電電圧500〜1000Vと比較して低いため、高エネルギーをもった加速粒子がなく、LED構造積層膜100に与えるダメージが非常に小さい。よって、LED構造積層膜100の発光効率を低下させることなく、結晶性がよく変換効率の高い蛍光体膜3を成膜することができ、発光効率の高いLED発光装置を製造することができる。
特に、本実施形態では放電ガスとしてHeガスを用いており、Heガスは電離電圧が24.6Vと酸素(O2)ガスの電離電圧12.2 Vの約2倍となるため、酸素ガスにHeガスの約2倍のエネルギーを供給できる。また、Heガスの電離能率は最大1イオン対/cm程度、O2ガスでは最大10イオン対/cm程度であり、HeガスはO2ガスの1/10の電離能率しかない。したがって、放電ガスとしてHeガスを用いることにより、電離電圧の作用と、電離能率の作用の相乗効果により、著しく高密度の酸素プラズマを期待することができる。
また、本実施形態のアーク放電イオンプレーティング装置は、3つの構成元素YとAlとCeを別々のハースから蒸発させ、個別に制御できるので組成のずれが小さく、組成Y3Al5O12:Ceの蛍光体膜3を成膜できる。
組成Y3Al5O12:Ceの蛍光体膜3の膜厚は、LED構造積層膜100から出射される青色光の一部を黄色光に変換し、青色光との混合光を白色にするために必要な膜厚に設定する。すなわち、Ce濃度を高くすれば、黄色光への変換効率が高まるため膜厚を薄くでき、Ce濃度を低くすれば厚い膜厚が必要である。一例としては、Ce濃度が3w%である場合に、蛍光体膜3の膜厚は約10μm程度にする。
本実施形態で製造されるLED発光装置は、蛍光体膜3が有機材料を含まないため、有機材料の黄変等による輝度変化、色変化がない。
また、LED構造積層膜100に直接YAG:Ce蛍光体膜3を蒸着形成するため、色ばらつきのない白色LEDが実現できる。
蛍光体膜3のCe濃度や厚みを変えることで容易にさまざまな色度の白色LEDを製造することができる。
LED構造積層膜100も蛍光体膜3も薄膜形成プロセスで製造でき、製造プロセスが単純になる。LED構造積層膜100を形成する半導体成膜装置(MOCVD装置)内に蛍光体を持ち込む必要がないため、半導体が蛍光体元素によって汚染されることがない。
LED構造積層膜100は基板を剥離されているため、LED構造積層膜100が発光した光が基板を伝搬することによる減衰がなく、光を無駄なく取り出せる。LED構造積層膜100自体は薄いので、横方向への光伝搬による自己吸収は少ない。よって、LED構造積層膜100から発せられる光量を増加させることができる。
蛍光体膜3は、アーク放電イオンプレーティング法で形成されているため、LED構造積層膜100にダメージを与えず成膜することができる。LED構造積層膜100の発光効率を低下させることなく、成膜されている。しかも、結晶性がよく緻密な蛍光体膜3が得られるため、LED構造積層膜100の青色光を高い変換効率で黄色光に変換することができる。よって、青色光と黄色光とを効率よく発し、両者の光が混合された発光効率の高い白色LED発光装置を製造することができる。
半導体積層膜100に図4のようにサブマウント基板を固定した場合、サブマウント基板ごとダイシングして、チップ上にし、パッケージ401に実装することが可能である。サブマウント基板を取り外すことももちろん可能である。
本実施の形態の白色LED発光装置は、液晶ディスプレイのバックライトや、自動車用ヘッドライト光源等の各種の白色光源用途に利用することができる。
なお、本実施形態では、電子ビームにより蒸発源を加熱して材料を蒸発させているが、蒸発源の加熱方法をこの方法に限定されるものではなく、抵抗加熱により蒸発源を加熱する方法や、プラズマを蒸発源に引き込んでプラズマにより蒸発源を加熱する方法等公知の各種方法を用いることができる。
なお、本実施形態では、電子ビームにより蒸発源を加熱して材料を蒸発させているが、蒸発源の加熱方法をこの方法に限定されるものではなく、抵抗加熱により蒸発源を加熱する方法や、プラズマを蒸発源に引き込んでプラズマにより蒸発源を加熱する方法等公知の各種方法を用いることができる。
1…基板、2…低温バッファ層、3…蛍光体膜、4…n型半導体層、5…活性層、7…p型半導体層、8…p−電極、9…n−電極、10…サブマウント基板、11…金属層、21…陰極、22…第1中間電極、23…第2中間電極、24…陽極、25…空芯コイル、26…フランジ、211…真空容器、12…蒸発源、13…基板ホルダー、100…LED構造積層膜、15…反応ガス導入管、101…プラズマ引き出し軸、102…放電ガス導入口、103…プラズマガン容器、210…プラズマガン、211…真空容器、401…パッケージ、402、403…電極端子、404…反射部材、405…保護用透明ガラス。
Claims (5)
- 発光体構造をもつ半導体積層膜と、前記半導体積層膜上に直接搭載された蛍光体膜とを有する発光装置の製造方法であって、
基板上に前記半導体積層膜を形成する工程と、
前記半導体積層膜から前記基板を剥離する工程と、
前記半導体積層膜上にアーク放電プラズマを用いるイオンプレーティング法により蛍光体膜を成膜する工程とを含むことを特徴とする発光装置の製造方法。 - 請求項1に記載の発光装置の製造方法において、前記アーク放電プラズマは、ヘリウムガスと酸素ガスのプラズマであることを特徴とする発光装置の製造方法。
- 請求項1に記載の発光装置の製造方法において、前記蛍光体膜を成膜する工程は、Yを含む蒸発源とAlを含む蒸発源とCeを含む蒸発源とをそれぞれ蒸発させて前記アーク放電プラズマ中を通過させ、前記半導体積層膜に堆積することにより、Y3Al5O12:Ceからなる前記蛍光体膜を成膜することを特徴とする発光装置の製造方法。
- 請求項1ないし3のいずれか1項に記載の発光装置の製造方法において、前記半導体積層膜から前記基板を剥離する工程では、前記半導体積層膜の前記基板とは逆側の表面にサブマウント基板を固定した後、前記基板を剥離し、
前記蛍光体膜を成膜する工程は、前記半導体積層膜の前記基板を剥離した面に前記蛍光体膜を成膜することを特徴とする発光装置の製造方法。 - 発光体構造をもつ半導体積層膜と、前記半導体積層膜から発せられた所定の波長光により励起され、他の波長の光を発する蛍光体膜とを有する発光装置であって、
前記半導体積層膜は、成膜時の基板から剥離された薄片状であり、
前記蛍光体膜は、前記半導体積層膜上に直接搭載されていることを特徴とする発光装置。
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